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2011年3月11日 (金)

年金について考える(その2)厚生年金

厚生年金と言っても、やはり複雑な面もあるので、最も身近な、幾ら払って、幾ら年金が受領できるかを先ずは書きます。

1) 年金保険料

2011年度は16.058%で、毎年0.354%づつ上がり、2018年度に18.3%になります。普通に考えれば高いと感じます。しかし、充分な額の年金が将来受け取れるなら、ヤムを得ないかと考えられます。なお、16%-18%は個人と会社による半額ずつの折半です。従い、会社にとっては、人件費は給与額の8%-9%高いコストアップとなり、個人にとっては、手取り給料が8%-9%下がります。これって、税金とどこが違うの?と疑問を持ちます。実は、2004年は13.58%であったので、知らないうちに所得税が5%増税されているのと同じ、あるいは、それ以上なのです。5%アップして、逆に年金はダウンですから。2004年以前が良すぎたのなら、やむを得ないとも考えられるので、いずれにせよ次の年金受給額のチェックです。

2) 年金受給額

保険料は、16.058%のように一律ですが、年金額は老齢基礎年金(定額部分)と老齢厚生年金(報酬比例部分)になるので、結果は複雑です。そして、3号被保険者が関係するので、更に複雑になります。何故3号被保険者が関係するかというと、2号被保険者の配偶者なので、2号被保険者が保険料を払っていると考えます。しかし、保険料は報酬比例の16.058%であっても、受給する年金は単身者(あるいは共稼ぎ世帯)と比べると配偶者が基礎年金を受給するので、世帯単位で考えれば、その分年金額は多くなります。

グラフにすれば、次のイメージです。

201130

3) シミュレーション

計算をしてみないとなりません。年金額は、次の式で計算をしました。

報酬比例部分年金額 = 勤務時平均年収額 x 勤務年数 X 5.769 X 1.031 X 物価スライド率

物価スライド率は、2011年度はマイナス0.4%なので、0.981を適用しました。基礎年金は、2月17日の年金について考える(その1)国民年金と同じ月額65,741円としました。年収6百万円の場合の計算を以下に掲げます。(クリックすると、別Windowで大きくなります。)

20113a年収6百万円の場合は、払った保険料総額を、受け取る年金額が上回るのは84歳以上になった時です。2百万円から10百万円まで、計算してグラフを書くと次のようになりました。基礎年金部分は、支払った保険料とは関係なく、受領できるので、所得が低いほど受取年金額と支払保険料の比率比較では有利と言えます。

20113b_2 

このグラフに国民年金の給付受領額も表示すると次のようになり、国民年金の方が有利と言えます。

20113c_2 

少し変えて、何歳まで受領すれば、支払った保険料の総額を上回れるかをシミュレーションした結果が次のグラフです。

20113d

上記の計算で、1000万円以上の年収の人については対象としていませんが、理由は厚生年金保険料は月額報酬62万円で賞与1回150万円が上限(年1050万円程度)となります。これ以上収入があっても保険料は上限額で変わらず、受け取る年金額もこの上限額見合いとなるので、最大額1000万円を年収とするグラフにしました。なお、月額報酬には残業手当も通勤手当も含みます。そして、厳密には等級で計算するので、当然ギザギザのグラフとなります。現制度における年金額の目安としては使えると考えます。

3) 3号被保険者

3号被保険者は、配偶者が2号被保険者であり、かつ2号被保険者の収入で生計を維持している人です。専業主婦(夫)であり、3号被保険者は常に2号被保険者とペアで存在する。別の表現にすると、2号被保険者には3号とペアである者とない者の2種類存在する。

そこで、共稼ぎ世帯と専業主婦世帯のモデルケースを仮定し、モデルケースの世帯収入金額を5百万円、7百万円、9百万円の3通りを考え、共稼ぎ世帯の場合は2人の収入をそれぞれ3百万円と2百万円、3百万円と4百万円、そして5百万円と4百万円として、どのようになるかを見てみます。

20113e

グラフは世帯収入が、1人であれ、2人合計であれ、同一なら完全に重なります。何故なら、共稼ぎ世帯でも3号被保険者世帯でも基礎年金部分は2人分あり、これに老齢厚生年金(報酬比例部分)が加わりますが、1人分であれ2人分であれ報酬額に対する同じ係数のかけ算なので答えは同じになるからです。約1000万円の年収が上限となっているが、年収が高いほど保険料に対して受領できる年金額が比率では小さくなっている。3号被保険者世帯の場合は、夫(または妻)の収入を2人の共同で稼ぎ出したとして年金受給額を決めていると言うことです。

合理的な気もしますが、問題がないわけではない。1号被保険者の場合は、同じ状態であっても2人分の保険料を支払う。しかし、上から2番目のグラフにあるように、1号被保険者の国民年金の場合は、厚生年金のどの所得金額より高い年金比率になっている。最も、年金が基礎年金のみであり、報酬比例部分もあわせて考えないと不合理な面はある。

むしろ、3号被保険者とは、2号被保険者の収入により生計を維持するものであるので、年収130万円以下であることが必要。結果、月10万円なら範囲内であるが、月平均15万円となると、厚生年金保険料が会社負担と合計で16.058%、個人の手取りで8.029%のダウンとなる。実際には、健康保険料も払わねばならず、個人負担5.5%として13.529%も手取り収入が減少することとなる。3号被保険者の制度は、このような関連を考えると、基礎年金は全額消費税による徴収に制度を変更してしまった方が、合理的な気がする。

参考まで、3月8日は国際女性デーであったのです。そこで、この日にOECDが、Unpaid WorkというこれをWebに出しました。Unpaid workとは、無償の仕事という意味ですが、この場合は、日本語の家事労働に相当します。家事労働の割合は、どの国でも女の方が多くの時間を割いていると言っています。日本は210分/日ぐらいでしょうか、第6位です。日本より、イタリア、ポルトガルの方が、女の家事労働の超過時間が多くなっています。但し、別のグラフを見てみると男の家事労働時間は、短い順番で1位韓国、2位インド、3位日本で4位が中国となっています。

個人の努力だけではなかなか大変。社会の制度も変わらなくてはならない。人口減社会に対応するには、女性の能力と労働力に頼らざるを得ないと思う。そうなると、共稼ぎ世帯を応援する制度に変えていかねばならず、3号被保険者制度も一見合理的に思えるが、日本の社会の発展を考えるなら、改革の必要があると思います。

4) 投資リターン

年金を投資とリターンのみで考えることが適切とは思わないが、投資とリターンの関係で見ることも必要と思います。

20113f

65歳の平均余命が、簡易生命表で男18.88年、女23.97年なので、男は84歳、女は89歳まで年金を受領すると仮定すると、男の場合は年収6百万円以下でないと投資損が見込まれ、女の場合は、どの場合でもプラスリターンが見込まれる。しかし、6百万円以上の年収であれば、リターンは年率1%にもなりません。以下の表は、グラフにしたデータを表にしたものです。

20113g

考えれば、当然で、終身年金は働いている時は同じように保険料を支払うので、短命より長寿が必ず受領額が大きい。平均余命で考えれば、男より女が有利。従い、同じ保険料で運用していることから、男の保険料が最終的には女の年金に使われているとも言える。しかし、それが社会として見れば、決して男が損をしていると結論づけるのは早急すぎる。本当に年金とは、難しいというか、奥が深いというか、社会を支える制度として発展させ、育てていく必要があることを感じます。保険料だ、税金だと、無意味な対立を煽るのではなく、どうするのが社会として、国民として、最も良いのかという観点を重視すべきと考えます。運用3号論戦は、本質を横に置いて、足の引っ張り合いをしている人達と痛感します。

なお、次回以降、共済組合にも少しふれ、そして、年金財政や将来の年金財政見通し、そして将来設計へと頑張ってみます。

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コメント

(厚生年金+基礎年金)=(被用者の年金)という制度は、

共働世帯・そうでない世帯について、同じ平均標準報酬額であれば、世帯単位での年金額は同じにする。
定額の基礎年金を内包する事によって、現役時代に高額の報酬を得た者から低額の報酬を得た者への、所得再分配機能を組み込む。これによって、現役時代に低所得層だった者にも一定水準の年金を保障する。

という政策意図の下で設計されてますから。

----運用三号の論戦
「今後の社会保障をどうするか?今後持続可能な年金制度はどうあるべきか?」という問題からは、運用3号の問題は”枝”でしょうね。
ただ、如何に優れた制度を創っても、信頼されない・信用されない制度で有れば実効性は担保できないのも事実で、「制度や執行体制への信用」という意味では、運用3号の問題は”幹”たり得るかと。
また、「現行制度の執行の問題」という事になると”幹”でしょうし、「今の統治体制の下での、統治ルールの問題としての、政務三役の言動の適否」という事になると”無視出来ない”と思われます。

ただ、「視点によって複数の命題があり、それぞれについて、個々に論じる必要性がある」事については、論じる間でもない筈ですが、国会論戦を見ていると。。。

まぁ、現与党において「制度論・執行論・執行組織論・執行体制論・財源論」の切り分け、「特定財源故の問題と、特別会計故の問題」の切り分け、「社会保険方式(税による社会保険方式を含む。)と税方式」の切り分け、これらがマトモに出来てない(或は切り分ける必要性を認識してないかも知れない)人が「政治主導」してるんですから、当然と言えば当然という気も。

投稿: 秘匿希望。 | 2011年3月11日 (金) 09時30分

秘匿希望さん

コメントありがとうございます。時間を要すると思いますが、年金シリーズを続けていきたいと思っていますので、是非今後ともコメントをよろしくお願いします。

制度論・執行論・執行組織論・執行体制論・財源論について検討することは必要性で、私も大賛成です。それをするには、足の引っ張り合いではできず、外部のシンクタンク等を使って良いから、現状分析や解決案を含めた報告書を作成し、国民に全てを開示し、その上で、議論すべしと私は思います。

私は、現在の制度がいつまで持続可能か、疑問を持っており、大仕事かも知れませんが、私なりに、現制度の持続可能性を分析してみたいと思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年3月11日 (金) 17時47分

せっかくの支払い保険料と年金受給額のシミュレーションですが、25歳前の国民年金保険料(1号)を支払わない前提で計算するのであれば、基礎年金受給額は満額の789千円にはなりません。ご提示のシミュレーションの場合、65歳からの基礎年金受給額は690千円になります。

投稿: 法務業の末席 | 2011年3月11日 (金) 22時36分

法務業の末席さま

コメントをありがとうございます。実は、国民年金1号と厚生年金2号の比較を可能とするため、国民年金1号のシミュレーションを、わざわざ25歳から保険料の支払を開始し、60歳以降は任意継続で65歳まで保険料を支払うとしたのです。

その1で、「私の計算を行った表はここにあります。」の「ここ」をクリックすると計算書が出てきます。断りもなく、細かい所で、前提条件をいじっていますが、変に書くと、いよいよ読みにくくなりはしないかと、思って、このようにしました。

続けたいと思いますので、是非どしどし、コメントをお願いします。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年3月11日 (金) 22時52分

>60歳以降は任意継続で65歳まで保険料を支払う

シミュレーション表では、60歳を超えて65歳に達するまでの5年間は、厚生年金被保険者として国民年金の2号被保険者ですので、国民年金の任意継続被保険者として加入することが出来ません。(国民年金法附則5条の規定)

ですので、基礎年金(定額部分)の計算においては、25歳から60歳に達する前月までの35年間で計算しますので、フルペンション年金額(789千円=40年加入で計算した基礎年金額)より5年分減算されて、690千円になります。

投稿: 法務業の末席 | 2011年3月11日 (金) 23時13分

国民年金法附則5条は、何年の附則であるか、分からず、Tryしましたが確認できませんでした。

なお、私は、次の平成22年度版パンフレットの4ページの下の方に、「希望すれば65歳到達までの間、任意加入ができます。」と書いてあるので、65歳まで1号被保険者として任意加入可能と考えました。(その1のシミュレーション)
http://www.nenkin.go.jp/pamphlet/pdf/01_00.pdf

その2のシミュレーションは、65歳まで働き続け、最後まで2号被保険者でいることを前提にしています。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年3月12日 (土) 01時03分

法附則5条は、昭和34年の最初のヤツです。
法令の附則を表記するとき、昭和60年法附則などと制定年を表記しますが、単に法附則5条と制定年を表記しない場合、それは法律が最初に制定された時の附則であることを示します。

国民年金の任意加入者は、被用者年金(厚年)の被保険者資格を取得した日に、国年の任意加入者の資格を喪失します。ですので60歳以後に厚生年金の被保険者でありながら、同時に国民年金の任意加入被保険者となることは出来ません。

また、老齢基礎年金の金額計算においては、昭和60年改正法附則8条4項により、60歳以後の厚生年金被保険者としての期間は算入できません。厚生年金の被験者(国年の2号被保険者)の期間の内、20歳に達した日の属する月から60歳に達する日の属する月の前月までの期間だけが、老齢基礎年金の計算対象である保険料納付済期間とされます。

この部分は、社会保険労務士試験などでは古典的定番の試験問題として、毎年形を変えて必ず出題される部分でもあります。


----(国年法附則5条)----
(任意加入被保険者)
第五条  次の各号のいずれかに該当する者(第二号被保険者及び第三号被保険者を除く。)は、第七条第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣に申し出て、被保険者となることができる。
一  日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の者であつて、被用者年金各法に基づく老齢給付等を受けることができるもの又は附則第四条第一項に規定する政令で定める者であるもの
二  日本国内に住所を有する六十歳以上六十五歳未満の者
三  日本国籍を有する者その他政令で定める者であつて、日本国内に住所を有しない二十歳以上六十五歳未満のもの
(2~5項省略)
6  第一項の規定による被保険者は、第九条第一号に該当するに至つた日の翌日又は次の各号のいずれかに該当するに至つた日に、被保険者の資格を喪失する。
一  六十五歳に達したとき。
二  被用者年金各法の被保険者、組合員又は加入者の資格を取得したとき。
三  前項の申出が受理されたとき。
四  第二十七条各号に掲げる月数を合算した月数が四百八十に達したとき。
(7項以下省略)
------------------

--(昭和60年改正国年法附則5条)--
(国民年金の被保険者期間等の特例)
第八条 (1~3項省略)
4  当分の間、第二号被保険者としての国民年金の被保険者期間に係る保険料納付済期間を有する者の二十歳に達した日の属する月前の期間及び六十歳に達した日の属する月以後の期間に係る当該保険料納付済期間は、国民年金法第二十六条及び第二十七条並びに同法附則第九条第一項、第九条の二第一項及び第九条の二の二第一項の規定の適用については、同法第五条第二項の規定にかかわらず、保険料納付済期間に算入せず、同法附則第九条第一項の規定の適用については、合算対象期間に算入する。
(5項以下省略)
------------------

投稿: 法務業の末席 | 2011年3月12日 (土) 06時24分

法務業の末席さま

何度もありがとうございます。1号被保険者ではなく、私の今回の2号被保険者の年金額の基礎年金部分の金額が690千円でなければならないというご指摘ですね。念のため、間違っているか、正しいか、指摘下さい。

昭和60年改正国年法附則5条とは、恐ろしい条文ですね。60歳以上になって働くのはバカの見本みたいになるように思えます。何故なら、収入があることにより受給される年金は減額もしくは停止され、その一方で、年金保険料は一般の人と全く変わらない料率で納付する。その上、納付しても、それは基礎年金部分に反映されず、老齢厚生年金部分がごくわずか増額されるだけ。

こんな不公平が世の中にあってよいのかと、感じますけど。しかも、人口減社会にあっては、60歳以降の人が働きやすい環境を整備すべきが。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年3月12日 (土) 11時49分

先ず訂正があります。
先の投稿で2つの法附則を引用しましたが、
2つ目の下記↓の引用開始の表示にタイプミスがあります。
--(昭和60年改正国年法附則5条)--

正しくはコチラ↓で、昭和60年改正国年法附則8条です。
--(昭和60年改正国年法附則8条)--

お詫びいたします。

  ◇  ◇

さて、基礎年金部分の金額が690千円でなければならないのかというお問い合わせですが、25歳前に国民年1号被保険者として保険料納付期間が無いならば、そのご理解は正確です。

さてもう一つ、60歳以上の年齢でも働きながら厚生年金の保険料を支払うのはバカみたいだとのご指摘も、そのとおりとしか言いようがありません。

そもそもが、昭和60年改正法(昭和61年4月からの新法)にて、被用者年金の被保険者を同時に第2号被保険者として国民年金の保険料納付済期間としたときに、被用者保険の保険料を報酬比例の保険料と、国民年金の1号被保険者の定額保険料との合計にしなかった結果です。

ご提示頂いたシミュレーションでの、25歳時(2010年)の厚生年金保険料年額の942千円を、12ヶ月の月割りにすると月額78,500円になります。この78,500円を63,400円の報酬比例保険料と、2010年度の国民年金保険料に相当する15,100円の定額保険料の合算という制度設計にしておくべきだった。

そして、60歳を超えてなおかつ働きながら厚生年金の保険料を納付する場合は、国民年金保険料に相当する定額保険料の15,100円は免除して、報酬比例の63,400円だけを徴収(労使折半)する設計になっていれば、60歳以上の厚生年金被保険者はバカを見ないで済むのです。

また、こうした報酬比例(純粋の被用者年金保険料)と定額保険料(国民年金保険料相当額)の合計額という設計であるなら、被扶養配偶者=第3号被保険者を持つ被用者年金の加入者は、報酬比例保険料+定額保険料×2人分という保険料負担にすれば、第3号被保険者の年金タダ乗りの不公平問題は起きなかったのです。

25年前の昭和60年の年金法改正で、従来の国民年金と被用者年金(厚年・共済)を無理矢理合体させ、保険料納付の不公平に目をつぶって基礎年金制度を作ったツケだと考えます。

本当の年金一元化の必要性とか3号被保険者の不公平問題解消の根本は、この昭和60年改正での無理な帳尻合わせ是正することを基本に据えないといけません。そして3号被保険者の問題点を全て理解するには、昭和60年法改正前のいわゆる旧法での年金制度や年金財政が、どのように改正後の新法に換骨奪胎して受け継がれたのか、理解する必要があると思います。

残念ながら昭和36年の国民皆年金から60年改正での経緯と経過措置を全て理解した、真の「年金のプロ」が厚生官僚にも政治家にも見あたらないのが、この日本の年金問題の本質かと思う次第です。

投稿: 法務業の末席 | 2011年3月12日 (土) 14時35分

「基礎年金の原資=基礎年金拠出金+国庫負担」であって、「基礎年金拠出金=保険料納付義務を有する者の割勘による拠出」という形式を創出して、「保険料としては、あくまでも国年保険料・厚年保険料であって、それ以上でもそれ以下でも無い」という部分で整合性を維持しつつ・・・みたいな、まぁ無理矢理というか力業というか。。。

給付の観点からは、「実質的には、旧来の夫の厚生年金の定額部分の一部と加給年金額を、妻の3号としての基礎年金に振り替える」という形を採用したりもして、いろいろ工夫したんだなぁとは思いますけど。

で、原則20歳以上60歳未満の完納者との公平性から、厚年加入者を国年第2号被保険者としつつも、20歳未満・60歳以上の厚年期間は、基礎年金の計算の対象にしないという附則を作ったと。。。

増税無き財政再建路線という内閣の方針に則って、「皆年金という政策目的の下、離婚後の女性・寡婦の老年期の所得保障を年金制度の枠組みに留める」、「被用者年金の受給権を有する夫+国年任意加入によって老齢給付の受給権を有する主婦=所得代替率の突出の抑制」という、まぁある程度矛盾した政策課題の中で出来てますからねぇ、3号という制度。

投稿: 秘匿希望。 | 2011年3月12日 (土) 17時16分

法務業の末席 さま、秘匿希望 さま

コメントをありがとうございます。

昭和60年改正国年法附則8条は、すごいですね、20歳未満と60歳以上が支払う厚生年金保険料は、払っても基礎年金の受給額に反映されない。しかも”当分の間”と言いながら、25年以上も経過している。私なんか、不公平な制度に思います。今回の修正を含め、近いうちに書きたいと思います。

いずれにせよ、ご指摘ありがとうございます。私の従来の理解は、60歳以上の場合は、40年以上の期間支払うことになると、そこで基礎年金部分が頭打ちになり、附則8条の状態になると思っていました。現制度では、60歳以上になって働くメリットは、金銭ではなく趣味であるとなりそうです。現制度では、70歳の被保険者資格喪失まで、保険料を払い続ける義務を持ちながら、年金の受給権利は60歳以降は支払った保険料に見合わない。

ところで、私のシミュレーションは、1号と2号を比較したいこともあったのです。余り、過去に遡りたくなかったことと、25歳まで学生で、25歳に働き始めるモデルが比較的現実的かと思いました。学生納付特例制度で納付猶予を受けても、年金受給額には反映されないので、1号のモデルで65歳まで支払うとしました。1号のモデルと2号のモデルの比較上の整合性を持たせるためには、学生納付特例を受けずに20歳から1号として保険料を支払うことにすればよいのですね。1号のモデルは、就職時に1号から2号に移行すれば良いだけですから。でも、その場合でも、65歳まで仕事を続けると、1号の場合は、60歳以降に任意継続する理由はまったくなく、2号は強制的に保険料納付がある。そんなモデルも考えてみます。その上で、どのようにブログで展開すべきかもう一度考えます。

引き続きよろしくお願いします。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年3月12日 (土) 22時04分

○学生納付特例の期間は、以後10年間(3年目からは加算が付くけれど)の間、追納が可能です。
単なる未納・滞納の徴収時効は2年ですが、”免除期間・納付特例期間”は、”法律上納付義務を免除された期間であって、納付義務の不履行(未納・滞納)とは異なる。”ので、扱いも異なります。
で、追納した学生特例期間は、以後納付期間と扱われますので、20歳以上60歳未満の完納と法律上扱われる事が可能となる途があります。

○20歳未満の基礎年金の問題は、中卒・高卒で厚年・共済に加入する人との公平性という観点から、常に問題になってきました。
その中には、”国年の強制適用期間を15歳・18歳からにする”という方向性もあったのですが、大学進学率の上昇の関係で”国年を22歳から似する”という意見も出てきて難しい問題である事は確かです。いくら理屈上”大学全入”と言っても、全ての人が大学進学出来る状況にある訳でも無く、15歳・18歳で社会にでる人もゼロではないので。
だからといって、”厚年の適用期間を20歳・22歳にする形で揃えると、中卒・高卒で厚年・共済の対象となった者の障害給付・遺族給付の点での諸課題が生じる”という話もあって、妙解はなかなか・・・。

投稿: 秘匿希望。 | 2011年3月13日 (日) 20時56分

秘匿希望さん

いつもコメントをありがとうございます。障害給付・遺族給付を維持し、収入・保険料の関係も考慮せねばならず、現行の制度になっているのは理解はできます。しかし、課題や矛盾は存在し、その解決には基本的な部分から考えていく必要があると私は思います。基礎年金税方式なんて、スッキリして良いように思うのですが、年金とは、税と同様に全員が利害関係者なので、利害関係者のできる限り多くが納得する形で解決すべきだと思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年3月14日 (月) 15時13分

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