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2011年3月14日 (月)

イレッサ訴訟

1月9日にイレッサ訴訟の和解に反対するを書き、2月26日にイレッサ大阪地裁判決についてこのブログ(社説の比較)を書きました。3月11日には、アストラゼネカと原告の双方が地裁判決を不服として、大阪高裁に控訴したとニュースがありました。

東京新聞 3月11日 原告側、アストラゼネカとも控訴 イレッサ訴訟判決

2月25日大阪地裁の判決文は、要旨と第5分冊が、イレッサ弁護団のWebでこのページからダウンロードが可能な状態になっています。アストラゼネカは、控訴の理由等をここに説明をしています。

イレッサが承認されたのが、2002年7月5日です。約3月後の10月15日に添付文書第3版が出され、同時に緊急安全情報も出されました。大阪地裁の判決もアストラゼネカの責任を認めたのは、この3月間です。しかし、判決文を読んでも、スッキリしませんでした。第1に、イレッサは薬として有効であるとしています。その上で、危険性の説明が十分ではなかったとして、その責任があるとしたのです。ところが、判決文(V-119ページ)で「・・・イレッサによる間質性肺炎の前記特徴が平成14年7月時点において判明していなかったことを伺わせるもののいうことができ、他にイレッサの副作用である間質性肺炎の特徴がその当時把握されていたことを認めるに足りる証拠はなく・・・・」と述べているのです。高裁で、どうなるか見てみたいと思いますが、大阪地裁の判決文(第5分冊のみですが)を私が読んだ印象としては、アストラゼネカが正しい気がします。

東京訴訟については、3月23日が判決日です。どのような判決でしょうか?

このブログの後半部分は、マスコミ報道について、書きます。2月26日には、社説について書きました。毎日新聞に記者の目というコラムがあり、”国の対応が「誤り」であったことは明らかだ”と述べています。大阪地裁の判決文を読むと、それは言い過ぎではないかと思えます。リンクと記事のコピー(クリックすると別窓で拡大)を掲げます。

毎日 3月4日 記者の目:肺がん治療薬「イレッサ」訴訟判決=日野行介(大阪社会部)

Mainichiiressa201134 意見が異なることに問題はないと思います。何故異なるのか、その判断をした理由等を議論し、何が正しいか論争をすれば良いのですから。しかし、私が、この記者の目の記述で嫌に思うのは、イレッサが承認された2002年7月頃は、何を述べていたかです。下に、2002年9月30日(10月15日に緊急安全情報が出されたので、微妙な日ですが)の毎日の科学・いま&未来というコラムで書いているイレッサについてです。2011年の記者の目と随分異なると感じませんか。決して、毎日だけではありません。マスコミ報道では、よくあること。真実の報道より、売上、視聴率を目指した人気取りの、その時のご時世にあわせた記事や報道になりがちと私は感じます。読み手、受け手としては、気をつけないと大変な目にあいます。でも、大新聞や大放送局に、どうどうと述べられると、つい信じてしまう人が多いかもしれません。

Mainichiiressa2002930

判決文V-79ページに、イレッサ推定投与数を、2002年7月末820人、8月末1960人、9月末9600人、10月末1万5000人、11月末1万8100人、12月末2万900人としています。ここまで伸びたのは、マスコミ報道が関係していないだろうか?重篤な患者にとっては、夢の薬と報道されれば、藁以上の物になると思う。医師が危険性を述べても、「どうなっても構いません。私の責任ですから、どうかこの薬を試させてください。」と患者が依頼したら、どうなるでしょうか?

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コメント

原告となる「イレッサ薬害被害者の会」がありますが、この団体の文章に面白い事が書いてあります。

引用)
インフルエンザで問題となったタミフルに関しては,どこかの医師が、現時点では有効な薬であると発表すると,この発表の表面上のみをつまみ食いして奨励してみたり。ガンの治療薬にサリドマイドが有効であるとどこかの医師が雑誌に述べているのを見ただけではないかと思われるが,サリドマイドとは何たるか,どのような被害が発生して今も尚多くの人たちが苦しみ続けている現状も知らずに、安易に「サリドマイドはがんに効く良い薬」と効果のみを謳う。
http://homepage3.nifty.com/i250-higainokai/subpage4-katudouki_007.htm
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これに対して、日本骨髄腫患者の会での意見として
引用)
 イレッサ訴訟について、疑問に思うのは、イレッサは今でもがん患者にとって有効な薬であるのに、承認した国が責任を問われていることです。
 報道などによると、添付文書に間質性肺炎の副作用を記載して注意喚起しているのに、裁判所の所見では、記載が目立っていなかったなどの理由で国に責任があるとされているそうです。
 がんの治療薬には常にリスクがあります。その上で医師も患者も薬の使用を決めるべきで、治療の現場では日常的に行われています。医師も読まなければいけない添付文書に書かれてある注意なのに、どうしてその承認がおかしいと言われているのか、記載の場所にばかりフォーカスがあたっていますが、患者と主治医のコミュニケーションの問題でもあるように思います。
 このようなことで薬の承認が違法となれば、骨髄腫の治療薬として再承認されたサリドマイドのようなハイリスクな薬をもう2度と国は承認できなくなるのではないか、それにより、治療が受けられなくなる患者のことを考えていただいているのかと懸念しています。
 私たちは、過去に薬害を起こした薬、サリドマイドを再承認してもらうために大変な苦労をしました。またこの先も、承認を待っている治療薬や治療法があります。これらの薬や治療法のリスクとベネフィットを医師と注意深く相談しながら私たちは命を繋いでいきます。
http://myeloma.gr.jp/2011/01/post-35.html
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この「イレッサ薬害被害者の会」の文章を読むと、60・70年安保などの全共闘時代の言い分にそっくりです。

投稿: うまそう | 2011年3月14日 (月) 23時30分

うまそうサン

コメントをありがとうございます。被害者の会の方々が、薬に対して、それなりの意見・感想をもたれて当然の面はあると思います。一方で、今回の例で言えば、イレッサにより寝たきりから解放され、通常に近い生活に戻られた患者の方もおられます。正当な評価とは、一面からのみ見てするのではなく、全てを総合して判断することが重要と思います。サリドマイドの再承認で書いておられるように。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年3月15日 (火) 00時42分

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