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2011年3月27日 (日)

福島第一原子力発電所について適切な情報開示を望む(その2)

日経に、次の記事があった。

日経Web版 3月27日 フクシマ、世界の原発政策に波紋 稼働・新設計画ストップ…関連企業の株価にも影響

世界の注目を集めている事故であり、当然のことと思う。適切な情報開示は、世界中からの要求になっている。原子力用の部品、機器、設備は、他の用途と比べ、格段に高い品質が求められていた。溶接箇所は、全てX線検査が必要で、不良品は全て破棄されていたと理解する。そのような基準で建設され、運転されていた。しかし、津波に対して、簡単に危機に陥った。この経験を生かしていかなければならない。そのためには、情報開示は欠かせないと考える。思いついたことを少し書き足します。

1) 原子炉冷却

1号基、2号基、3号基の原子炉格納容器の冷却を淡水へ切り替えて実施中です。経済産業省 地震被害情報(第56報)(3月27 日08時00分現在)及び現地モニタリング情報によれば、1、2、3号基は、それぞれ25日15:37、26日10:10、25日18:02から実施となっています。次のステップとして、外部電源で、ポンプを駆動し、計器・計装関係が回復していけば、安定していくことが期待できる。

それでも、この方式による淡水冷却を続けるべきかというと、やはり混じりけのない純度の高い水で冷却した方がよい。そんなことが可能かと言えば、蒸気タービンの直下に凝縮器という蒸気を海水冷却する大型の熱交換機がある。他にも、冷却が必要な機器はあり、凝縮器以外にも海水冷却をするための熱交換機がある。タービン建屋地下1階の床にたまった放射能を帯びた水を海に流せないので、凝縮器に貯蔵するが、凝縮器は3基以上ある。(1号基は2基の可能性もあるが)配管工事は必要であるかも知れないが、確実に、安定的な冷却が可能であり、5号基、6号基及び福島第二原発並びに今回の地震で停止した女川原発や東海2号原発は、そのように熱交換機を通した冷却を行っている。

2) 原子炉建屋

格納容器は、原子炉建屋の上部崩壊時に損傷をしている可能性が疑われる。一方、その内側にあり、燃料を格納している圧力容器は、大丈夫であろうと思う。しかし、ペレット、被覆管、原子炉圧力容器、原子炉格納容器、原子炉建屋の5重の壁で守る設計であったのであり、原子炉建屋は復旧する必要があり、建設しなければならない。これらが、どのような物であるかは、この東京電力の放射性物質の異常放出を防止するための対策.を、読むと少し説明がある。

原子炉圧力容器:冷却材中に漏れた放射性物質を燃料全体を収納している鋼鉄製の圧力容器(厚さ約16cm)

原子炉格納容器:鋼鉄製の格納容器(厚さ約3cm)があり主要な原子炉機器をスッポリと包んでいます。これは原子炉で最悪の事態が発生した場合でも、原子炉から出てきた放射性物質を閉じ込めておくとともに放射能を減らし、周辺における放射線の影響を低く抑えるためのものです

原子炉建屋:格納容器の外側は、二次格納施設として約1~2mの厚いコンクリートで造られた原子炉建屋で覆い、放射性物質の閉じ込めに万全を期しています。

原子炉建屋も、厚さ1~2mなので、通常の建築物では、ありえないような物です。おそらく格納容器の点検・補修と同時並行で建屋も建築することになると思います。

原子炉建屋が完成しても、内部のモニタリングも常に必要で、モニタリングがあるからこそ、安心して、元の生活に戻れると思います。最悪の場合のシナリオは、そんなことはないと思いますが、酷い放射能漏れが生じた時で、現場から全員退去しなくては、ならなくなった時だと思います。おそらく関係者も、それを一番恐れているはずです。格納容器が損傷している可能性があると書いたが、仮に損傷をしていた場合でも、それほど大きな損傷ではないと思う。何故なら、大きな損傷であれば、現場の放射のレベルももっと高いのであろうと思うから。

(地震被害情報(第56報)に、タービン建屋地下1階の床にたまった水の放射能計測結果が発表されているが、本当に高いのであれば、大騒ぎをするだろうとも思う。騒いでいる報道もあるが、電離放射線障害防止規則の限界値を100ミリシーベルトから250ミリシーベルトにあげた時点で、現場作業は非常に厳しくなっていると思う。)

3) MOX燃料・プルトニウム

マスコミ報道等で、まだ余り話題になっていないと思うが、3号基はこの東京電力の2010年10月26日のプレスリリースの通り、プルサーマルで運転しており、MOX燃料を装荷している。あやふやな情報として、単純にプルトニウムの毒性が高く、危険だとの情報が飛び交って、混乱を招く恐れもあるので、私の知識の範囲内のことを書いておきます。

MOX燃料とは、使用済み核燃料からプルトニウムを取りだして、ウランと混合して軽水炉の燃料に加工した物です。プルトニウムとは何かとなりますが、ウランが核分裂した時に、できてしまう物です。下の絵は、資源エネルギー庁のわかるプルサーマルというパンフレットからです。左がウラン燃料であり、原子炉に装荷時は、3%-5%がウラン235で97%-95%がウラン238です。この燃料が核分裂をして熱を出し、核分裂なので原子番号の小さなセシウムやヨウ素他の別の元素(これらを核分裂生成物と呼ぶ。)に変化します。同時に、中性子を出し、この中性子が別のウラン235にぶつかれば、そこで次の核分裂が生じ、一方、ウラン238にぶつかるとプルトニウムになります。その結果、燃料取り替え時には、ウラン235が減少(下の絵では1%)し、核分裂生成物(3%-5%)が生まれ、またプルトニウムが1%程度作られている。

Mox20113

上の絵の右端がMOX燃料であり、4%-9%がプルトニウムとなっているが、3号基に装荷されているのが、このような割合であるのか、またウラン燃料とMOX燃料の割合がどうなっているか判りませんでした。しかし、MOX燃料を装荷していなくとも、プルトニウムができており、そのプルトニウムも核分裂しているのです。だから、プルサーマルだからと特別にあわてる必要もないとも言える。

非常に判りつらい部分です。放射能が目に見えないと言っているが、核分裂だって目に見えないし、ウランだろうが、プルトニウムだろうが、放射能を出す物質は嫌だとの思いが先に立つ。しかも、プルトニウムとは、自然界にはほとんど存在せず、ウラン原子炉の中で作られてしまう、あるいは原爆として積極的に作られる物質ですから。また、ウランとプルトニウムは、別の元素であるし、性質も異なる面もある。やっかいだとは、言えるのですが、原子炉冷却をし、原子炉建屋を建設して、コントロールできれば、ウラン燃料と大差ない形で管理できると思います。逆に、そのようなコントロールができなければ、ウラン燃料も怖いと言える。

世界の注目を集めている今回の事故を教訓にしなければ、と思います。

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