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2011年3月 5日 (土)

中央リニア新幹線に「はやぶさ」を走らせたなら

3月5日、最高速度320km/hで走行する東北新幹線はやぶさのE5系電車が走り始めました。

日経 3月5日 新幹線はやぶさ発進、国内最速の時速300キロ 東京―新青森、最短3時間10分に

1) はやぶさが中央新幹線を走ったなら

中央新幹線とは、磁気浮上のリニアで計画されている新幹線です。距離が最も短い南アルプスルートで東京・大阪間が438kmで、67分の所要時間となる。このルートを、はやぶさ(E2系電車)が走った場合を、計算してみる。

3月5日のはやぶさの時刻表では、10時33分盛岡発で新青森着11時22分である。即ち、所要時間は49分であり、盛岡・新青森間を178.4kmとすると、平均走行速度218.4km/hである。この速度で、東京・大阪の438kmの走行時間を計算すると、2時間00分となる。但し、仙台・盛岡間を計算すると平均時速244.4km/hなので、東京・大阪間は1時間47分となる。

電車は、様々な制約下で、運転されているので、中央新幹線をはやぶさが走行する場合は、制約条件は相当緩和されるはず。そこで、最小限の制約として、出発駅と到着駅の加速と減速のみを考え、それを除いた区間は最高速度の320km/hの走行が可能であるとする。平均加速・減速性能を1.5km/h/sとした場合は、320km/hの加・減速の時間が213秒であるが、これを250秒とし、走行距離を11kmとする。この前提での所要計算は、次の式となる。

438km走行時間 = (438km - 11km x 2)/320km/h + 2 x 250sec/3600sec/h

                      = 1.4389時間 = 1時間26分20秒

磁気浮上リニアとの差は20分に縮まったのです。名古屋での停車を考えていないが、一方で、磁気浮上リニアの計算も不明です。今後、車輪走行電車の技術革新が進めば、磁気浮上リニアとほとんど変わらない気がします。新しく、トンネルを掘って、直線に近い新線を建設するのであるから、最高速の車輪走行鉄道が可能です。

2) エネルギー消費

車輪走行と磁気浮上リニアを比較すると車輪走行がエネルギー消費で優れています。第一に、車輪走行は浮上させるためのエネルギー消費が必要ない。磁気浮上は、幾ら超電導技術を使うとしても、ゼロではない。車両内部(例えば、前照灯や座席の照明・冷暖房)の消費電力供給のために、わざわざガスタービンを搭載しCO2を排出する案もある(山梨実験線のリニアがそうである。)。超伝導コイルも高温超伝導が可能であるとしても液体窒素の温度-196℃は、LNGの温度-162℃より低く、低温を全線にわたり24時間、365日維持するための必要エネルギー量も大きいと思われる。

Webで探すと、このようにピーク電力は40倍で、平均でも3倍と書いておられる方もいる。そこで、信頼性の高い情報を探すと、社民党中島隆利衆議院議員が2010年10月19日に質問書を提出していた。(ここにあります。)磁気浮上リニア新幹線についての多くの疑問を、質問している。そこで、その回答であるが、10月29日に総理大臣臨時代理として仙谷氏が回答をしている。(ここにあります。)

「ピーク電力、平均電力の総量等、想定される電力使用量の詳細を明らかにしていただきたい。」との質問の第1項目に対して、「中央新幹線の具体的なルート等が決まっていないため、現時点でお尋ねについてお答えすることは困難である。」との答えである。落第というより失格の回答である。

政府もJR東海も秘密にしておきたい理由があると思えてしまう。実は、10倍以上のエネルギー消費の塊ではないかとも思える。また、ここに交通政策審議会陸上交通分科会鉄道部会中央新幹線小委員会による2010年12月15に付けの中間とりまとめの報告書があるが、エネルギー消費については、何も書かれていない。

国民に知らせたくないとするこのようなことは、絶対反対である。民主党は、情報公開を進めるとして政権についた。しかし、実際にすることは全く逆の、国民を無視した専制政治を行っているように思う。

なお、はやぶさのCO2発生量の低さについては、2010年12月28日のブログ1000円高速より鉄道発展策をを見てください。

3) 安全性

磁気浮上リニア鉄道の大きな課題は、安全性であると考える。鉄道の安全性は、様々な要素が関係する。例えば、英仏トンネルには英国の鉄道列車とフランスの鉄道列車が乗り入れているが、安全規格や安全制度が異なり、双方の規格・基準・要求を満たすために工期の遅延や工事費の増加もあったと聞く。鉄道の安全性や信頼性は、机の上の問題ではなく、実際に運行していて事故やトラブルが発生しないことである。JR西日本尼崎事故は、ATSの整備なんて小さな問題ではなく、もっと大きなところにあったと思います。

磁気浮上リニア鉄道と車輪式新幹線を比較すると、車輪式新幹線がよほど信頼できると考えます。のぞみ号と中央新幹線と、どちらを選ぶかと言えば、20分の差なら、のぞみ号に乗って安心する方を選ぶと思います。多分、運賃もずっと安いはずだし。リニアができても、現在の新幹線を撤去する理由は全くなく、当然運行を継続すると考えています。

4) 将来

まず、中央新幹線を建設するなら、国家プロジェクトであってはなりません。政府や自治体の債務保証、補助金、貸付、出資等一切を排除すべきです。3)で英仏トンネルのことを書きましたが、英仏トンネルは、民間会社に対して55年間の事業権を付与した民間プロジェクトです。(なお、当初55年間であったが、その後延長が合意され、現時点では2086年までの事業権です。)この事業権を保有する会社が、フランスに本社があるユーロトンネル(ホームページはここ)です。ちなみに、ここをクリックすると株価が出ます。

中央新幹線をJR東海がすべきかどうかは別にしても、民間会社に対して有期の事業権を付与し、民間会社が民間事業として自ら全額を資金調達し、建設し、運営することも選択肢として考えるべきと思います。その民間会社が、磁気浮上リニアとするか、車輪式新幹線とするか、最終決定をすればよいのです。民間から資金を集めるためには、上場や社債発行も必要です。そのためには、エネルギー消費量に関する情報を含め全て公開せねばなりません。

多くの国で鉄道が見直され日本企業が活躍できるチャンスが期待されている。ところで、その鉄道とは何であるか。磁気浮上リニア鉄道ではないはず。実は、磁気浮上リニア鉄道は、飛行機よりも経済性が低いであろうと私は思っています。山梨実験線の走行実験に関して税金が投入されているなら、情報を公開すべきです。2)で書いた仙谷由人の答弁書を読めば、秘密主義も甚だしい。情報が公開されないなら、今後一切の税金投入に反対します。

磁気浮上リニアは、ドイツでも研究され、上海では実現したが、断念された。何故、日本が磁気浮上リニアの研究を続けるか不思議に思う。同様なことは、原子力開発でも同じで、高速増殖炉の開発を続けるのか、不思議でならない。一方で、トリウム炉の研究は、ほとんど行っていないと理解する。世界の逆を行く方法もあるかも知れないが、その場合は、それについて国民の理解と支持を得るために十分な説明をすべきである。

そんななか、はやぶさはいいですね。

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