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2011年3月 3日 (木)

子ども手当は、どうなるのだろうか?

予算案を参議院が受けとった日にちについてまで、もめる状態なので、子ども手当なんて、どうなるのか、場合によっては大変な増税になると思うので、書いてみます。

1) 所得税増税

昨年2010年3月31日公布の所得税法等の一部改正により、所得税法の「控除対象扶養家族」の定義が「扶養親族のうち、年齢16歳以上の者をいう。」となり、子ども手当対象の16歳未満の扶養親族が範囲から外された。同様の改正は、地方税法でも行われた。結果、16歳未満の子供を持つ人の所得税は増税となっている。但し、適用は2011年1月1日からであるので、2011年の年末控除の時に、増税を実感することになる。

そこで、所得税が(住民税と合計で)、どのように増税となるかを計算した結果が次のグラフです。子ども2人で、2人とも15歳以下で、給与所得者であるとした場合です。共稼ぎであっても、専業主婦(夫)の家庭であっても、扶養控除が適用されるのが夫か妻か(他の親族の場合でも)一人だけなので、世帯単位の増税額としては同じです。

20113

グラフを書いてみると結構な増税額であることが分かります。子ども手当が払われれば、この増税額との差額が、収入増となるのか、負担増となるのか分かります。さて、その子ども手当ですが、月額13,000円(年額156,000円)で3歳未満は20,000円(年額240,000円)なので、子ども2人であれば312,000円であり、上のグラフからすると、給与金額が年間15百万円以下であれば、子ども手当金額の方が、増税額より大きいことになります。なお、増税をパーセントで示したのが、次のグラフです。

20113pct

2) 子ども手当法案が成立しなかった場合

子ども手当法案が不成立で、そして所得税についても改訂されなければ、増税は既に1年前に成立しているので、増税と児童手当の組合せとなる。児童手当は、3歳まで月1万円、3歳から小学校卒業まで月5千円(第3子以降は月1万円)であり、中学生にたいしては、上のグラフの増税の適用のみ。1人5千円で、2人で1万円の年間12万円となると、上のグラフからして年間5百万円以下の給与額であれば、トントンに近く、6百万円以上は増税であり、8百万円を超えるとそもそも児童手当の対象外であったので、20万円以上の増税となる。

そう考えると、子ども手当は所得控除の不適用を前提とする制度であり、児童手当は所得控除の適用を前提とした制度である。ねじれ状態で、与野党が譲らず、現行の所得控除不適用において児童手当に戻った時は、ネジレは国会だけでなく、子供を持つ世帯にまで影響を及ぼす。議員さん達は、勢力争いに明け暮れるのか、それとも国民のことを少しは考えるのか、あるいは誰が国民のことを考えるのか、興味を持って見守りたいと思う。なお、詳細の計算については、次の表を見てください。クリックすると拡大します。

20113_2

3) 雑感

所得控除から手当へとする方向は、それでよいと思うのです。しかし、増税については、所得税法で言わば恒久的な措置を行い、一方で子ども手当の方は、2011年度の1年限りの法案であり、矛盾を生じている。恒久財源が手当てできないと言いながら、所得税は恒久的に増税し、今回の平成23年度所得税の改正案でも扶養控除38万円は合計所得金額が4百万円を超える場合は、超える金額の38%を控除した残額としている。増税額を予算案で見ると、所得税134,900億円の税収は、前年度補正予算の所得税128,080億円から6,820億円しか増税を見込んでいない。上の計算からすれば、増収額はもっと大きいと思うが、よく分からないことをする人達です。何しろ、子ども手当関連の支出予算としては、「児童手当及子ども手当年金特別会計へ繰入」として1兆9598億円が計上されている。いよいよ分からない。

増税について、昨年の所得税改正について余りマスコミ報道はなかったように思うが、国会では、そのような発言は、何度もあった。例えば、次のような発言があった。財源問題は、所得控除不適用による増税で決着していたと、私は思っていた。

平成22年02月01日  衆議院 - 本会議(自民谷垣総裁の質問に対して鳩山総理の発言)
子ども手当と扶養控除の見直しについてのお尋ねがありました。控除から手当へ、我々のその理念は、相対的に高額の所得者に有利な所得控除というシステムから、相対的に支援の必要な方々に有利な手当へと切りかえるというものでございます。

平成22年02月08日  衆議院 - 予算委員会(自民加藤勝信委員質問に長妻大臣回答)
我々も実は今回、子ども手当を導入と同時に、公表をさせていただいておりますけれども、若年者扶養控除を廃止するということで、基本的に、それもプラスマイナスした実額でいうと、年収の高い人ほどこの金額は少なくなる、こういうような形にさせていただいているところであります。

平成22年02月16日 衆議院 - 本会議(公明竹内譲議員質問に菅大臣回答)
今般、子ども手当の創設と相まって、所得税の年少扶養控除を廃止することとしたところです。・・・個人住民税の年少扶養控除及び特定扶養控除についても、所得税との税体系上の整合性の観点から、同様の措置を講じることとしたところであります。

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コメント

民主党さんの政権公約(2009年衆院選挙)では、「配偶者控除と扶養控除の廃止で、子ども手当を支給する」とありました。

しかし2009年当時から、「配偶者控除・扶養控除の全廃では、1.6兆円の国税増収効果しか無い」と言う事は、(報道されていないし、民主党さんも指摘に耳をかなさかった故に、広くは知られていないでしょうけれど)知っている人は、知っていましたし、言われてもきました。

『児童手当を核として温存して、外郭を儲ける形で子ども手当を作り、配偶者控除・扶養控除の完全な廃止を行えば、1万3000円の支給は何とか可能』という状況であると言われてきたのです。

現実には、「配偶者控除は存続し、扶養控除の見直しも部分的なもの」である訳ですから、「今回の所得税法改正での国税の増収効果が約7000億円」と言われれば、「そんなものだろうというか、そんなにあるのか?」と思わなくもありません。

今回、子ども手当の法案が成立しなければ、児童手当に自動的に戻ることが出来るのも、今の子ども手当が、”児童手当を核としてそのまま包含する形で、外郭部を追加して、子ども手当という外見を形成してあるが故”の事である話ですので。

そもそも、「配偶者控除と扶養控除の廃止で、子ども手当が賄える」というのが、(ゴホゴホ

投稿: 秘匿希望。 | 2011年3月 4日 (金) 21時26分

秘匿希望さん

コメントをありがとうございます。

でもね~。子ども手当に戻ったなら、収入が8百万円以上の該当する親は、子ども手当はもらえない上に、扶養控除もなくなって増税となる。2010年と比べたら、増加と減少で、その差は大きいですよね。

たちまち、不満がわき出すのではと思いますが、どうなるのでしょうか?特例公債法案からすれば、金額的には子ども手当や扶養控除なんてゴミみたいだと、彼ら彼女たちは思っているのでしょうかね?

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年3月 4日 (金) 21時51分

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