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2011年4月 7日 (木)

福島第一原子力発電所事故の背景

福島第一原子力発電所事故が重大なことになっている背景には2つのことがあるように思えてならない。1つは、初動対応に不十分な点が無かったかという点と津波対策・電源対策の万全さは、どうであったかの点です。

福島原発ばかり書いていて、止めたいと思うのですが、次の朝日の記事を目にすると、やはり気になってしまった。

朝日 4月7日 電源喪失、認識の甘さ陳謝 保安院・安全委トップら

6日の衆院経済産業委員会で共産党吉井英勝衆院議員の質問に答えていうことで、しんぶん赤旗も見てみた。

しんぶん赤旗 4月7日 原発事故集中審議 吉井議員質問

1) 菅首相ヘリコプター訪問とベント開始の遅れは関係あり?

地震翌日の3月12日の朝に菅首相が福島第一原子力発電所をヘリコプターで行ったことが、私には、引っかかってならなかったのですが、上のしんぶん赤旗の記事の下半分ぐらいに11日と12日の政府首脳の行動等が時間軸で、書いてある。

その中の3月12日が次のようになっている。

1時20分 第1原発1号機・格納容器圧力異常上昇
1時30分 枝野官房長官がベント(蒸気排出)指示
2時30分ごろ 首相が福島原発視察を決定
5時54分 第2原発1、2号機・圧力抑制機能喪失
6時00分すぎ 枝野官房長官が東電に「どうしてベントがすすんでいないのか」
6時14分 菅首相が原発視察にヘリ出発
★首相、安全保安委員長が不在に
6時50分 経産相が東電に第1原発1、2号機原子炉格納容器内の圧力抑制を命令
7時45分 第2原発に原子力緊急事態宣言。避難・屋内退避指示
★10時間以上東電に命令せず
10時17分 1号機ベント開始

ベントとは、格納容器内のガスを外部に放出し、圧力を下げることであり、原子力発電所の写真で写っている煙突(厳密には煙を出さない排気筒)からフィルターを通して行う。格納容器内のガスは、通常放出している建屋内の空気より放射のレベルが高く、フィルターを通しても、やはり外部には放射能が排出されることとなる。

枝野官房長官がベントを12日の1時30分に指示したにも拘わらず、ベントの開始が9時間近く遅れた10時17分であった。この遅れは、極めて重大と考える。首相が、ヘリコプターで上空を飛ぶ時に、ベントがなされていれば、首相は被爆の危険性にさらされる。首相が、ベントを遅らせるように指示することはなかったと信じるが、首相が上空を飛ぶことから、それを思って誰かがベントの実施を躊躇した可能性はあるかも知れない。

そもそも、首相は1時30分の官房長官のベント決定を知っていた。むしろ、発表前に知らされ、承認をしていたはず。それなら、福島第一原子力発電所視察など、するべきでなかった。無能首相どころか、おじゃま虫首相かな?

ところで、ベントの遅れと緊急避難との関係では、3km圏避難、10km圏屋内退避指示が11日21時30分で、20km圏内避難指示が12日18時25分となっており、ベントの遅れには結びつかないはず。ベントを決断した直前のいきさつは、次の通りであり、1時30分のベント決定はうなずける。うなずけないのは、実施が、9時間近く遅れたことである。

19時03分 第1原発に原子力緊急事態宣言
21時23分 第1原発半径3キロ圏避難、10キロ圏屋内退避指示
22時00分 原子力安全・保安院「2号機炉心露出か燃料棒被覆管破損」の予測発表

参考に、IAEAが当時のことを伝えているFukushima Nuclear Accident Update Logは、次である。くどいようだが、電源車の記述もある。

11 March 2011, 21:10 UTC(日本時間12日 8時10分)
.......Mobile electricity supplies have arrived at the site. .....the officials have decided to vent the containment to lower the pressure.

12 March 2011, 06:30 UTC(日本時間12日15時30分)
......starting at 12 March 9:00 am local Japan time, they have started the preparation for the venting of the containment of the Unit 1 reactor at the Fukushima Daiichi plant through a controlled release of vapour

2) 津波対策・電源対策

不十分であったことは、間違いないと思います。しんぶん赤旗の記事は、吉井議員が原子力発電所の安全対策に関して質問を行った委員会に2010年5月26日の経済産業委員会と2006年3月1日の予算委員会があると書いている。そこで、この2つの委員会の議事録を読んでみると、鋭い感覚で指摘していると思った。参考に、議事録を「続きを読む」に入れておきます。時間があれば、目を通してみてください。

吉井議員には、衆議院議員などせずに、原子力委員になって欲しいとも思う。しかし、原子力委員は誠実に国民のために働ける人であればなれるのであり、やはり衆議院議員の方が、もっと国民のために働いてくれるかなと期待します。(おそらく、ここまで、突っこんでくれる人は、議員の中にはいないと思うから。)

174-衆-経済産業委員会-14号 平成22年05月26日

平成二十二年五月二十六日(水曜日)
    午前九時五分開議

○東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。吉井英勝君。

○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
 私は、最初にきょうは、電力会社の鉄塔倒壊事故の最近の状況、これが一体どうなっているのかということから伺っておきたいと思います。

○寺坂政府参考人 お答え申し上げます。
 最近ということでございますので、平成十二年度から二十一年度までの鉄塔倒壊の事故、電気事業法に基づきます電気事故報告を受けているものでございますけれども、全部で六件ございまして、一番最近におきましては、関西電力、二〇〇八年の九月十五日に美浜におきまして鉄塔の上部折損、そういった事故が起こってございます。

○吉井委員 鉄塔事故というと、普通の人は何か鉄塔がぶっ倒れただけの感じでとどまると思うんです。しかし問題は、例えば今おっしゃった美浜にしても、原発の送電鉄塔なんですね。これは、発電した電力を送る方と、原発が事故をやったときに、二次冷却系のポンプを回す電源として、外部電源が断たれてしまう、内部もアウトになりますと、自然崩壊熱を除去する二次系の冷却ポンプは動かなくなるんですね。これは単なる鉄塔事故にとどまらない深刻な問題を抱えているんだということを、普通の人はなかなかわかりにくい話なので、単なる事故かと思いますから、そういうことをやはりきちんとつかんでおく必要があると思うんです。
 二次冷却系ポンプを回す外部からの電源が失われることと、そのとき、大体今、日本では三系列の、自家発とバッテリーの、ディーゼルとバッテリーの系列で三系列ありますが、これは、中越沖地震のような巨大地震に直面したとき、自家発の電源も切断されて原発停止となった場合には、最悪で見ますとどういう事態が起こるとお考えなのかを伺います。

○寺坂政府参考人 原子力発電所の安全確保のために、今委員御指摘のような、外部電源の喪失、そういったことに伴います安全の確保というのは大変重要な課題でございまして、原子力発電所の場合、発電所のトラブルその他におきまして、発電がまず停止をするということが重要でございますけれども、停止した後、その崩壊熱と呼んでおります、引き続き熱エネルギーを発生してございますので、これを冷却していくということが大切なことでございます。
 そういったことで、電源が確保されることによりまして崩壊熱の冷却機能というものが確保されるということが大事でございまして、各発電所におきましては、非常用の電源装置、そういったものを複数用意することによりまして、あるいはそれ以外の要素もございますけれども、そういったことによりまして冷却機能というものが継続的に動くことが大切なポイントであるというふうに理解をしてございます。

○吉井委員 ですから、まず鉄塔が倒れたら、これはもう完全に、さっきもおっしゃった事故の中には、二〇〇五年の石川県羽咋市で地すべりによる鉄塔倒壊、これは、地震等によれば当然地すべりどころの話じゃなくなるんですが、外部電源がまず断たれる。内部電源はどうかという点では、これは以前取り上げたこともありますが、二〇〇六年の七月に、スウェーデンのフォルスマルク原発一号機では、安全系の内部電源四系列のうちの二系列の事故で、四系列すべて電源喪失につながる事故がありました。
 つまり、内外の例から見ると、やはり最悪の場合を想定しなきゃいけないんですね。ですから、自然崩壊熱が除去できなくなる、それは炉心溶融にも至り得る大変深刻な事態を考えておかなきゃならないということだと思うんですが、どうですか。

○寺坂政府参考人 まず、先ほど委員御指摘になられました北陸電力の、羽咋市での鉄塔の倒壊事故でございますけれども、平成十七年の四月一日に発生してございます。
 それで、この鉄塔自身の復旧と建て直しまでには約十四カ月を要したものでございますけれども、同時に、並行して作業をしてございました別の幹線がございまして、これは約三週間後の四月二十二日に運用を開始してございます。
 それ以前に、倒壊した直後、これは原子力発電所が安全に停止をしたところでございまして、それで、御案内のとおり、電力といいますか、送電線、いろいろなところでつながっているわけでございますので、そういった意味で、北陸電力の場合におきましても、外部電源の喪失、そういう事態にはならなかったということでございます。
 ただ、いずれにいたしましても、これは今の事例でございますけれども、原子力施設を設計する場合に、放射性物質の閉じ込めのために、多重性それから独立性を有します非常用の所内電源を備える、そういったことなどの多重防護の考え方というものは極めて重要でございまして、日本の原子力発電所におきましては、今申し上げましたような多重防護の考え方に基づいた設計がなされまして、それによって安全性を確保しているというところでございます。(吉井委員「最悪の場合は炉心溶融ですね、最悪のとき」と呼ぶ)
 最悪といいますか、そもそもそういった事態が起こらないように工学上の設計、ほとんどもうそういったことはあり得ないだろうというぐらいまでの安全設計をしているところでございますけれども、ゼロじゃないという意味の論理的な世界におきまして、外部電源がすべて喪失されて、今、非常用の所内電源、ディーゼル発電機の話を申し上げましたけれども、隣の発電所からの電源融通もできないとか、いろいろな悪い事態というものが、非常に小さい確率ながらも一つ一つ、その小さい確率のものが全部実現をして、それで外部電源が全部喪失されて冷却機能が失われるということになりますと、もちろんその時間によるわけでございますけれども、長時間にわたりますと炉心溶融とかそういったことにつながるというのは、論理的には考え得る、そういうものでございます。

○吉井委員 これは、論理的な、頭の体操の話じゃなしに、現実に、志賀原発の場合には送電鉄塔の倒壊で、これは地震じゃなくて地すべりだけだったんですね、しかし、たまたまここは、おっしゃったように二系列目を建設中だったから送れたけれどもということですが、それにしても、一基倒壊、五基損壊で、他の電源で停電を解決するまでに十万九千二百世帯が八分間停電。原発そのものについては、原発で起こした電力を供給できるようになるまでは、皆さんの方からいただいた資料で四十二日間かかった、今、十四カ月というお話でしたけれども、これは最短の回復の方の話ですが、かかったということも、あらかじめ資料をいただいております。
 東京電力の方も、茨城県の潮来、鹿嶋の送電鉄塔が倒壊しましたが、これは、回復するまで、修復するまで何日かかっていますか。

○寺坂政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘の東京電力の鉄塔の倒壊事故は平成十四年十月のものだというふうに理解してございますけれども、これは台風による暴風雨でございます。
 それで、十月の一日にその倒壊事故が発生いたしまして、本復旧をいたしましたのは、平成十五年、翌年の六月二十一日、あるいは二十五日でございます。その前に仮復旧をしてございまして、仮復旧したのが、平成十四年、事故の発生した年の十一月二十五日でございますから、二カ月弱で仮復旧して送電ができるようになったということでございます。

○吉井委員 今お話ありましたように、要するに、東京電力の復旧までには八カ月と三週間かかっておるんです。
 それで、単なる外部電源が失われた場合を頭の体操で考えるだけじゃなしに、現実に起こっているということをまず考えなきゃいけない。それから、内部電源が失われたという例はフォルスマルク原発の例など現実にあるんだということを想定して考えていかなきゃいけないというのが、まず、これは頭の体操じゃなくて、現実の問題だということを踏まえておく必要があると思うんです。
 巨大な地震が起こりますと、今のようなことが同時に発生することが起こり得るわけですね。それで、地震や地すべりや落雷により、送電線が故障して原発の電力が供給できなくなった例の方もまたあるわけですね。供給側がうまくいかない。逆に、二次冷却水ポンプ用の外部電源が給電できなかった例もあるわけですが、具体の事例、おわかりだったらお聞かせいただきたいと思います。

○寺坂政府参考人 まず、原子力発電所の供給ができなくなったといいますか、正確に言うと、送電線が使えなくなったということでございますけれども、先ほどの北陸電力のケースは、一号機でございますけれども、発電所そのものが停止いたしましたので、それ自身が供給が、送電ができなくなったということはないと思います。
 一番最初に申し上げました美浜のケース、これは美浜の原子力発電所からつながっているものでございますので、これはある種、瞬間的にといいますか、原子力発電所の電力が送電はできなくなったということだと理解してございます。

○吉井委員 これは例えば、かつてありましたが、京都市内のような需要地で、落雷等で比較的大規模に停電が起こる。そうすると、需要地がとまってしまうために供給できなくなって、原子炉をとめる、そういう問題が出てきたりとか、そういう例は随分ありますから、やはり巨大な地震で停止したときに、自家発電や外部電源の喪失で二次冷却系が機能しなくなって炉心溶融に至ったときにはどれだけの規模の被害が発生するのか、こういうことを検討しておくことが必要だと思うんです。
 この点では、一九五九年には原子力産業会議が、国の委託調査で、東海村の原発で炉心溶融のような深刻な事態を想定して、チェルノブイリ事故の三分の一の放射線の放出量を見て損害の試算をやっています。当時の国家予算の金額にして二倍、死者は七百二十人を超え、五千人が障害を起こし、四百万人が被曝手帳をもらうことになるだろうというふうに試算をしておりますが、大臣はこの当時の国の委託調査のことを御存じでしょうか、伺っておきます。

○直嶋国務大臣 いろいろな調査があることは聞いていますが、今御指摘の調査については、私はまだ確認をしておりません。

○吉井委員 これは、国が一九五九年に委託して、原子力産業会議、原子力産業会議は名前が最近ではちょっと変わっていますけれども、いずれにしても、経済界、原発メーカーの方たちが中心になってやっているところへ委託調査をして、そしてそういう報告を出していて、この試算の手法というのは今日でも非常に有効だと。これは、もう数年前になりますが、有馬科学技術庁長官も、今で言う文部科学大臣ですね、あの人が評価をしておられた試算です。
 さて、次に伺っておきたいのは、中国の四川省で二〇〇八年五月十二日に大規模な地震がありましたが、あれから二年たちました。仮に、中国、韓国、北朝鮮や東南アジアなどの原発で炉心溶融のような事故が発生した場合に日本への影響はどうなるのかということについては、これは現実的な検討というものをやはりやっておかなきゃいけないと思うんです。
 日本学術会議は、ことし二月二十五日に、黄砂・越境大気汚染物質の地球規模循環の解明とその影響対策についてという報告書をまとめています。どこで発生し、日本にどういう経過でやってきて、どういう影響が出るのかということについて、この内容を簡潔に伺っておきたいと思います。

○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘の日本学術会議の報告書につきましては、黄砂あるいは越境大気汚染物質の地球規模循環の解明、その影響対策ということで、こういったものが、黄砂やあるいは大気汚染物質が地球規模で輸送、拡散することを認識する必要があり、中国、モンゴルの発生源からの黄砂は、偏西風に乗って、日本、太平洋等を越えて大気の大循環として地球規模で回遊するというようなことを念頭に置いて、そういった事例があるというふうなことを報告している内容というふうに承知しているところであります。

○吉井委員 これは、アメリカ、ヨーロッパを越えて、さらに中央アジアを経て、中国、日本へまた戻ってくる、それが大気循環だということで、季節によって偏西風というのは変わるわけですね。中央アジアを通るときもあれば、季節によっては、中央アジアのあたりはもう少し北の方へ寄ったところを偏西風が流れるとか、そういうことも報告としてあるわけです。
 ここで伺っておきますが、核関連動態監視のためのSAR画像解析判断技術の調査研究を初めとして情報収集衛星に随分予算を投じてきているわけですが、地上におけるCTBTの放射性核種の監視観測所のデータと突き合わせて、衛星からの放射性同位元素の分析により、国内はもとより外国の原発事故の状況や、本当は、事故が起こってからの話よりも、事故が起こる前の予兆を測定して対応するということは、これは衛星を使っている時代ですから非常に意味があることだと思うんです。
 もちろん、その中には、宇宙からの放射線の分を取るとか、データについてはその分の較正、補正をしなければなりませんが、そういう測定、評価をするということは、衛星が非常に大事な役割を果たし得るところだと私は考えているんです。
 現状はどの程度、原発事故やあるいはその予兆に当たるものを把握しているのか、伺います。

○小野政府参考人 お答え申し上げます。
 情報収集衛星のレーダー衛星におきまして、今お話ございましたSARという技術を活用しております。これは、衛星の方から電磁波を地上に向けてぶつけまして、その電磁波のはね返った波を計測するという形で運用するのがレーダー衛星の手法でございます。
 これは、あくまでも地表面の変化というものを見るものでございまして、大気につきましては透過してしまうということでございますので、今御指摘のような放射能等につきまして検知するということはできないというふうに御理解いただきたいと思います。

○吉井委員 内閣官房でも文科省でもいいんですけれども、要するに、いっぱい人工衛星を打ち上げているわけですよ、観測衛星や情報衛星を。その中で、日本はもとより世界各地の原発の事故も、はっきりした事故になれば航空写真でも簡単な話なんですが、放射線の漏れ出しているものを早期に確認して、その波長を合わすとか、それで同位体の検出が理論的には可能な話なんですが、そういう手法をとって、原発事故なり予兆なりを衛星を使って測定しているのかどうか、それを伺います。

○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のような、放射線の漏れ等を検知して、衛星からそれを事前に調査することによりましてその状況を把握するといったことにつきましては、少なくとも国内ではそういった試験なり研究なりはされておりません。
 諸外国においてそういう研究開発がなされているかどうかについては、詳細を承知しておりませんけれども、一九八六年のチェルノブイリの事故のときには、あれは火災が検知されて、その火災自体は衛星からの情報であったというふうには承知しております。

○吉井委員 この機会に伺っておきますが、国から民間にH2Aの移管をした後、情報収集衛星光学三号として打ち上げたH2A十六号機の経費は九十四億二千万円というふうに内閣官房から示されております。
 文科省に伺っておきますが、同じ民間に移管された後、十七号機、十八号機の打ち上げ費用は幾らであったのかを伺います。

○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいまH2Aロケットの製造等に関する契約価格ということでお尋ねがございました。
 H2Aロケットにつきましては、平成十九年三月以降の打ち上げに関しましては、技術移転を受けた企業が、その製造、打ち上げ受注等を行うという体制になってございます。
 このため、御案内と思いますけれども、世界には大変多くの打ち上げ用ロケットがございますし、それらが激しい国際競争のもとで打ち上げ受注を競っているという状況でございますので、そういった契約価格に関する情報というのが公表された場合には、そういった受注にかかわる交渉、日本のロケットが実際使われるかどうかという交渉に影響を及ぼすということがございまして、外国ロケットとの間の国際競争力に悪影響が及ぶというおそれがあるために公表させていただいておりません。
 なお、ロケット製造等に関する契約価格については、諸外国においてもこれは公表されていないというふうに承知しておりますので、その点御理解賜ればと思います。よろしくお願いいたします。

○吉井委員 内閣府の方は移管後も公表しているんです。文部省の方は秘密扱い。しかし、これは国の技術の移転したものなんです。もともと国のものなんです。それが非公開扱いで国民には何もわからないというのは、一つ一つ、仕様が全部、注文が違うわけですから、違って当たり前なので、しかしそれもわからない。とんでもない話ですから、これは委員長にお願いしておきますが、やはりこういうものは公開させるようにしていただきたいと思います。

○東委員長 理事会で検討いたします。

○吉井委員 情報収集衛星など多額の経費を使って開発してきた衛星で、先ほど来のお話ですと、原発事故はもとより、原発事故の予兆となる放射性排気ガスの分析や掌握もできていないと。
 しかし、原発のトップセールスは今やっておるわけですよね。セールスをやるからには、過酷事故が発生した場合の日本への影響評価、これをやっておくのが私は当たり前だというふうに思うわけなんです。
 この機会に、そうしたら、チェルノブイリ事故の影響範囲、改めてその影響範囲と被害を伺っておきたいと思います。これは簡潔で結構です。

○泉政府参考人 当時、チェルノブイリ事故は一九八六年の四月に発生した事故でございますけれども、その後、一九八六年、昭和六十一年の六月六日に政府の放射能対策本部が発表いたしました、チェルノブイリ原発事故に起因する放射能の我が国への影響についてということで、ここにこの放射能対策本部の発表の資料がございますけれども、その時点までに行われた国内の放射能調査の結果からすると、我が国における放射能レベルは、高空浮遊じん、大気浮遊じん、雨水、水道水、牛乳、野菜等のすべての試料について漸減し、現時点ではソ連原発事故による放射能レベルは十分低い状況になっているというふうな記載がございます。

○吉井委員 それは大分遠いところの話のことなんですね。
 一九八六年八月にIAEAで非公開会議が開かれて、四万人を超える死者という推定値もあったんですが、IAEAの公式見解としては四千人の死者とされ、チェルノブイリから一千百キロ離れたスウェーデンのフォルスマルク原発のところで、これはこの原発とは違う放射性核種が確認されているんですね。つまり千百キロ離れたところでも影響は出ている。それで、二〇〇〇年の追悼集会での発表では、事故処理に当たった人たちで五万五千人の死者が出たということも公表されております。
 そこで、先日審議したJOGMEC法でも、カザフスタンのウラン鉱開発、製錬から原発まで取り組むということにしているんですが、もともとあの地域はプレートのぶつかり合う中でヒマラヤ山脈ができていったところですし、地震もよくあるのが中央アジアなんですが、カザフで原発事故があったとき、黄砂のように、あるいは黄砂に付着して、偏西風に乗って日本へ放射性物質が飛んでくることは想定し得ることなんですが、放射性物質が付着した黄砂が家や車や畑の野菜に積もっても人体には大丈夫なんだと検証するものをきちんとやっておられるのかどうかを伺っておきます。

○泉政府参考人 例えば、諸外国で原子力発電所の事故等が生じた場合の放射性物質の我が国への影響といったようなことにつきましては、もとより、国民の安全、安心を確保する観点から、文部科学省では、都道府県と協力いたしまして、日本全国の環境放射能のモニタリングを行っているところでございまして、この際、例えば偏西風等の影響も含めた形での全国の放射能水準が把握されるということになりますので、万一、放射能の異常値が出た場合には、関係省庁と連携しながら、その原因あるいは異常値の人体への影響の程度把握、対応等を検討することにしておるということでございます。

○吉井委員 さっきも言いましたように、仮にカザフであれ中国であれ韓国であれ北朝鮮であれ、原発の炉心溶融が起こったときに、偏西風に乗って、例えば黄砂などに付着してやってきた場合は、黄砂の被害で車に随分積もったりした日があったのは我々経験済みなんですが、やはりきちんとアセスメントをやらないことには、簡単に原発をあっちゃこっちゃ売りに行ったらいいという話じゃないと思うんですよね。
 軽水炉による核兵器拡散の議論はこの間やりました。一方、アセスメント抜きに、トップセールスだということで簡単にやったら、売った先で事故があったときに日本にはね返ってくる話なんです。
 これは大臣に伺っておきたいんですが、売り込んだ先の技術水準のいかんにかかわらず、原発というものには基本的に、炉心溶融にも至る危険が伴うんです。これは、スリーマイルの事故であれチェルノブイリであれ、アメリカでも旧ソ連でもそういう事故をやっているわけですが、その危険を伴う中で、日本への影響を、やはりきちんとアセスメントをやって、考えて臨むというふうにしなかったら、それを考えないでトップセールスをやるというのは、私はこれは大分問題があると思うんですが、大臣はそういう検討をした上でトップセールスをやられたのかどうかを伺います。

○直嶋国務大臣 吉井先生御指摘の点は、問題提起としてお伺いはしておきたいと思いますが、現在我が国が原子力発電施設を輸出する相手方の国で事故が起こった際の影響については、経済産業省としてそういったアセスメントは行っておりません。
 一方で、諸外国において原子力発電を利用する場合には、各国が、それぞれの国がみずから安全の確保に万全を期するということは大前提になっております。
 したがいまして、我が国としても、原発の新規導入国と二国間の原子力協力協定を締結する際には、安全確保の取り組みを相手国に求めているところであります。例えば、御指摘のカザフスタンとの原子力協力協定の交渉に当たっても、我が国から原子力安全条約等の原子力安全四条約の締結を求め、カザフスタンはこれら四条約を締結した、そういう経緯もございます。
 また、同時に、原子力協力の一環として、さまざまな国に対して、人材育成や法制度整備に向けた原子力専門家の派遣や受け入れ、安全に関する情報提供などの協力を行っているところでありまして、さらに、諸外国が活用可能な原子力発電に係るIAEAの国際安全基準の策定活動等に我が国としても積極的に貢献をいたしているところでございます。
 したがいまして、基本的に今の枠組みは、それぞれが責任を持ってやる、そして間違いなくやれるように我々も協力支援をさせていただいているということでございます。
 学術レベルの研究はいろいろなものがあろうかと思うんですが、現状は、国際的にこういう形で行っているということでございます。

○吉井委員 協定があれば安全が保たれるという話じゃないんです。技術の水準が問題になってくるんです。それから、原子力という技術そのものに、非常に危ない、もともと本質的な危険があるわけなんです。
 そのことを踏まえるならば、簡単に、アセスメントもやることなくどんどん売り込みに行くというやり方は、これはやはり改めなきゃいけないし、逆に、日本の持っているすぐれた技術の中の一つである再生可能エネルギー、この分野は随分たくさんあるわけですね。これは国際的にも爆発的普及を進めるということが大事ですから、そういう方面でこそ輸出等を考えていくべきである、このことを申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

○東委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四分休憩

164-衆-予算委員会第七分科会-2号 平成18年03月01日

平成十八年三月一日(水曜日)

○高市主査 これにて古本伸一郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。

○吉井分科員 日本共産党の吉井英勝です。
 きょうは、原子力発電所の地震、津波対策を取り上げたいと思います。
 津波に関しては、二階大臣も地元でお詳しい、一八五四年の安政の南海大地震、あのときに、広川町の方で、当時は村だったと思いますが、「稲むらの火」、これは尋常小学校の教科書にも出てきたりしたものですが、あの中で、「村から海へ移した五兵衛の目は、」「風とは反対に波が沖へ沖へと動いて、みるみる海岸には、広い砂原や黒い岩底が現れてきた。」という記述があります。
 同様のことは、例えば、私、きょう女川町の町史を持ってきて見ているんですが、この中でも、ちょうど一九六〇年五月二十四日のチリ地震津波が日本へ来たとき、この地震の影響は、遠いところの話ですからほとんどないんですが、このときの津波というのは、女川町の消防団の方が望楼から見ておられて、この町史によりますと「勤務見張中湾内は異常な干潮で、両魚市場から金華山一の鳥居、越木根にかけて海底が見えるほどであつた」と。
 だから、津波の場合は、大体、押し波の、高い方の被害がよく話題になりますが、引き波の問題というのも随分ありまして、女川町の議員の方がその記録に基づいて海図で当たってみると、六メートル基準水位から下がっていた、こういうこともあります。それから、ちょうど二〇〇四年の十二月二十六日に発生したスマトラ沖地震、あのときも、報道などによりますと、インドネシアのシムル島では海岸線から三百メートル沖までずっと海が引いていったということもあります。
 では、引いている周期はどれぐらいかというのも、日本にもその記録は結構ありまして、一九六〇年五月二十四日のチリ津波のとき、あのときは三陸海岸で五十分前後。ですから、引き波の状態がずっと、どんどん水位が下がっていく状態が二十五分、実際、うんと引いているときは二十五分間というわけじゃありませんけれども、非常に長い時間にわたって潮が引いていった。
 ですから、津波対策の一つに、やはり引き波がどのような規模になるかの検討というのはきちんとやっておかなければ、これは経産省所管でいいますと、火力発電所もそうですし、石油化学コンビナートの冷却水もそうですし、原発についてもそうなってきます。
 そこで、政府参考人に最初に伺っておきますが、基準海水面から四メートル下がったとか五メートル下がったとか六メートル下がったとか、いろいろあるわけです。検潮所の記録であるとか現地調査のデータ、それから、経産省でいえば、お金を出している情報収集衛星がありますね、あれの写真と海図とを突き合わせて調べるとか、この間、陸域観測衛星の「だいち」の方は、文部科学省を中心に、レイテ島の地すべりの、かなりよくわかる映像を送ってきたりとか、そういう記録というのはちゃんとあるわけですが、やはりそういうものを通じてデータをきちんと得ているのかどうか、このことを最初、参考人に伺っておきます。

○広瀬政府参考人 原子力安全・保安院では、チリ地震やスマトラ沖地震による津波について、関連の調査報告書や文献などにより津波の状況について把握をしてきております。
 特に、一九六〇年に発生しましたチリ地震による津波につきましては、我が国の太平洋岸に大きな被害を与えましたことから、我が国の原子力発電所に対する影響を検討するため、数値解析などによりチリ地震による津波の高さの評価を行っております。
 また、スマトラ沖地震による津波につきましても、インド洋沿岸に設置されております原子力発電所も影響を受けたことから、その情報収集に努めるとともに、津波で被害を受けたインドのタミールナド州で昨年開催されました国際原子力機関、IAEA主催の津波ワークショップに我が国としても参加し、被害を受けた原子力発電所の現地調査やスマトラ島の被害報告などの情報収集を行っております。

○吉井分科員 今もお話があったように、この押し波の波高が、例えば十メーターだとかもっと高いのもあるんですね。それに埋もれてしまったといいますか、水没に近い状態で原発の機械室の機能が損なわれるとか、もちろんそういうこともあるんですが、私は、意外と余り注目されていない引き波の方の問題ですね。
 実はその記録は、波高高の方は、例えば明治の三陸地震にしても、東京電力は電柱の上に三十八メーターとかマーキングしています。そういうのもあるわけですけれども、引き波のときにどこまで下がったかというのは、実はなかなか記録として残りにくいものですから、検潮所にしても針が振り切れてしまってわからないとか、なかなか大変なんです。
 しかし、まず、この周期で見れば、五十分前後のものがあり、それから沖合三百メートルぐらい海底が露出してくるとか、深さが三メートルから六メートルとかこういうふうになってきますから、そういう点では、この日本の原子力発電所が、冷却のときに通常は海水を使いますが、正常に取水ができるのかどうかというのをきちっとやはり見ておかなきゃいけないと思うんです。
 実は、保安院の方からも資料をいただきましたけれども、そこで参考人に最初に伺いますが、三陸海岸にある東北電力女川原発の一号機、東電福島第一の一、二、三、四、五号機、この六基では、基準水面から四メートル深さまで下がると冷却水を取水することができないという事態が起こり得るのではないかと思いますが、どうですか。

○広瀬政府参考人 現在、我が国で営業運転中の原子力発電所は五十四基ございます。社団法人土木学会の「原子力発電所の津波評価技術」に基づく評価手法による低下水位というもので評価をしておりますが、各原子力発電所の非常用海水ポンプの渦流吸い込み水位を下回るものが、先生御指摘のように幾つかございます。女川一号機それから福島第一の一から六号機、福島第二の一、三号機、泊の一、二号機、島根の一、二号機、浜岡一から四号機でございます。

○吉井分科員 ですから、そういう評価もあるわけですが、要するに、評価するとともに、一つは、どこまで水位が下がっているかということをきちっと今までのデータを収集していくと、これぐらいの津波だったらここまで下がるということがわかるので、保安院からいただいた資料によると、四メーターまで下がれば六基が取水ができなくなる、五メーター以上下がると新たに六基、合わせて十二基に取水に問題が出てくる。さらに、六メーターまで下がるということを考えると、二十基ふえて三十二基で問題が出てくるということになるのではないかと思うんですが、この点はどうですか。

○広瀬政府参考人 今先生御指摘の点は、基準水面からの水位の低下ということであったかと思います。
 基準水面からの水位の低下で見ますと、非常用海水ポンプ渦流吸い込み水位を下回るもの、これを単純に数えますと、水位が四メートル低下した場合には二十八基、五メートル低下した場合には四十三基、六メートル低下した場合には四十四基が、一時的に下回ることになります。

○吉井分科員 ですから、大臣も今聞いてもらいましたように、広村の時代というのは山へ逃げるという時代なんですが、今は原子力発電所の冷却という機能が失われる、そういう問題に直面をしている。
 中部電力の宮池取締役が論文の中で紹介しておられるものでは、引き波のときに八・八メートルまで下がるというのが紹介されています。そこでは、余り取水口を下に下げ過ぎますと砂を巻き込んでしまったりして問題が出てくるから、海底から二メートルの高さに固定しているんだという話でありますが、経済産業省としては、やはりその八・八メートルまで下がったときなども考えて、取水口が六メートルであっても、あるいはもっと低いものについても、きちんとした引き波のときの対策をとらなきゃいけない、こういう立場で臨まれますね。

○広瀬政府参考人 いずれの原子力発電所におきましても、津波により水位が低下した場合には、取水槽等により必要な海水を取水できるよう設計をされているか、または、必要な海水を一時的に取水できない場合におきましても、原子炉隔離時冷却系等によりまして原子炉を冷却できる対策が講じられております。

○吉井分科員 まず、その取水の方では、いただいた資料では、浜岡原発などは六百メートル先まで延ばしていって、六メーター下のところで取水するという形なんですが、そもそもあそこは東海地震の震源域の真上なんですね。そうすると、液状化の問題もあれば、直下型地震による配管そのものの破壊という問題もあるわけです。非常に深刻な問題を抱えているんだから、私は、直下型の短周期の地震動、それから長周期の地震動、あわせて津波の問題について、今、根本的に地震国日本としては考えていかなきゃいけないというふうに思います。
 今、取水槽のお話ありました。これも浜岡について資料をいただいたので、私も計算をしてみました。一号機にだけ限って見ておきますと、運転には毎秒三十五トン必要なんですね。取水槽の海水量、容量が千二百トンですから、仮に引き波で取水できなくなって、ダンパーか何かでプールの水は漏れないようにしたとしても、ここで運転に必要な取水時間というのは三十四秒間なんですね。三十四・三秒。
 それだけじゃないです。仮にとめたとしても、原子炉というのは放射性崩壊していきますから崩壊熱を除去する、これには幾ら必要かといったら、毎分六十トンの冷却水が必要だと。だから、プールに蓄えられているのが千二百トンで、最初、すぐとめるまでの間にどんどん冷却に使っていますから、使った上で、とめてからも毎分六十トンですから、仮にすぐとめたとしても、やはり十分から十数分間は、最悪の場合には崩壊熱を除去する機能が失われてくるということについても、対策をきちっと考えておかなきゃいけないんじゃないですか。

○広瀬政府参考人 地震が発生しました場合には、事業者は津波警報によく注意をすることになります。津波警報が発表された場合には、事業者は潮位をよく監視しまして、津波のおそれがあるというときには直ちに原子炉を停止させるということになります。
 その際、原子炉の崩壊熱をいかに除去するかということでございますが、今先生が例にとられました浜岡原子力発電所で申し上げますと、水位低下によりまして、取水口の下端レベルで水位が約四分間程度下回ることになります。浜岡発電所の場合には、取水槽を設けておりまして、原子炉機器冷却系に必要な量の海水が二十分間程度以上確保されておるということであります。その間には取水の水位が回復をしますので、水位低下に対しましても原子炉施設の安全性は確保されているというふうに考えております。

○吉井分科員 今おっしゃった四分の話というのは、直下型で同時に津波が起こったときには、私はそういう発想も成り立つかと思っているんです。それをあながち否定しているんじゃないんです。しかし、チリ津波なんかのときには、そもそも周期が五十分なんですね。長いんです。そのときは、水位低下の状態が長時間にわたるわけです、二十分近くとか、あるいはもう少し長い場合とか。ですから、それは、今おっしゃったような簡単な話じゃない。
 ですから、確かに、津波が来れば、すぐその対策を遠くからの津波だったらとれるわけです。しかし、近くの津波の場合は、地震そのものの問題、浜岡でいえば冷却水管が破損されるということも含めて考えなきゃいけない。そういう深刻な問題を持っているということを考えて、しかし、その対策をちゃんととらなかったら、例えば、原子炉停止に時間がおくれ、崩壊熱除去の取水槽の水量が不足してしまったときは、これは私、余り大げさに物を言うつもりはないんですが、しかし、最悪の場合というのは、常にこういうものは考えなきゃいけませんから、最悪の場合には、崩壊熱が除去できなければ、これは炉心溶融であるとか水蒸気爆発であるとか水素爆発であるとか、要するに、どんな場合にもチェルノブイリに近いことを想定して対策をきちんきちんととらなければいけないと思うんです。最悪の場合は、崩壊熱が除去できなかったら、そういうことになり得るわけでしょう。

○広瀬政府参考人 原子炉施設の場合でございますが、まず、BWR、沸騰水型の場合には、原子炉停止時冷却系で原子炉の崩壊熱を除去いたします。これは、原子炉から出てまいります水蒸気を用いて、蒸気タービンで原子炉隔離時冷却ポンプを動かしまして、サプレッションプールの水で冷却をするというやり方で、これが機能すると考えております。また、加圧水型原子炉の場合も、同様な形で補助給水系を稼働させて原子炉の崩壊熱を除去できるというふうに考えております。

○吉井分科員 要するに、おっしゃったタービンを回す冷却系が、それ自身を冷却するのに冷却用の海水を使うわけですよね。それが失われてしまうということは、これはそもそも、その冷却機能が失われるということになるんです。とめた場合は比較的早くにその冷却水量は少し要らなくなったとしても、今度は内部の崩壊熱除去にそれは必要になってくるわけです。内部の崩壊熱の除去の分が一分間六十トンということで、これが失われてきたりすると、やはり深刻な問題になるわけですね。
 だから、最悪の場合は炉心溶融とか起こり得るということを念頭に置いて対策を考えなきゃいけないと思うんですが、そのことは一応念頭に置いての対策を考えるんですね。

○広瀬政府参考人 先ほど申し上げました蒸気タービンといいますのは、発電系のタービンではなくて原子炉隔離時冷却系のポンプを動かすタービンでございますので、そのタービンで補助原子炉隔離時冷却系を作動させるということになっております。原子炉の安全性のためには、停止した場合に崩壊熱を除去するということを第一に考えて対応することが重要だと考えております。

○吉井分科員 ですから、原子炉をとめるまでも、とめてからも、その冷却をする冷却系が喪失するというのが、津波による、引き波による問題なんです。
 あわせて、大規模地震が起こった直後の話ですと、大規模地震によってバックアップ電源の送電系統が破壊されるということがありますから、今おっしゃっておられる、循環させるポンプ機能そのものが失われるということも考えなきゃいけない。その場合には、炉心溶融という心配も出てくるということをきちんと頭に置いた対策をどう組み立てるのかということを考えなきゃいけないということだけ申し上げて。
 次に、中部電力の宮池取締役の論文を読んでいると、中央防災会議による東海地震動スペクトルに浜岡一号機の耐震設計のS1、S2を当てはめると、周期一秒、つまり、長周期側で基準値震動を超えているということを認めておられますが、これは確認していますね。

○広瀬政府参考人 中央防災会議が発表しました強振動予測データに基づく地震動の応答スペクトルは、〇・八秒付近で耐震設計に用いられております基準地震動S2の応答スペクトルを超えております。ただ、原子力発電所の安全上重要な建物や設備に関係する周期帯におきましては、浜岡原子力発電所の耐震設計に用いられている基準地震動S2の応答スペクトルを十分に下回っておりまして、浜岡原子力発電所の耐震安全性に問題はないと考えております。

○吉井分科員 しかし、それは、グラフを見たらすぐわかるように、超えているんですよね。あなたのおっしゃったのは、S2の一・七倍したのよりも低いというだけの話で、逆にS1の方からいきますと二倍以上も大きいんですよね、応答加速度というのは。ですから、直下型地震、東海地震が来たときに、浜岡原発は、実はS1、S2の、当初の、耐震設計をやった、この基準を超えるものが中央防災会議から示されているわけですから、実は非常に深刻だということを見ておかなきゃいけないと思うんです。
 その上で宮池さんは、それでも大丈夫だとしておられるのは、論文の中で書いていますね。多度津試験所の大型振動台による実機試験によって確認されているからだという説明です。阪神大震災の後に、私、予算委員会で、これは九五年二月一日でしたが、伺ったときには、当時の川田エネルギー庁長官は、やはり、多度津に世界で最も大きい大型振動台を持っておりまして、そこで実地の加振試験を加えて安全性の実証をいたしておりますというのが答弁でした。
 ここでエネ庁長官に伺っておきたいんですが、日本の原発というのは地震国でも大丈夫としてきたのは、多度津で実証試験を行っているから大丈夫なんだ、大丈夫は実証されているんだというのが、日本の原発政策、エネルギー政策の中で安全を主張してきた大きな根拠になっていた。だから、川田当時のエネルギー庁長官もそういうお話であったと思うんですが、これは、長官、どうですか。

○小平政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御存じのとおり、原子力の安全規制につきましては、以前は資源エネルギー庁が担当しておりましたけれども、省庁再編の際に担当が変わりまして、現在は原子力安全・保安院が担当いたしております。
 今先生から御指摘のございました多度津の大規模試験施設によります試験でございますが、これにつきましては、昭和五十七年に完成をいたしまして、それから二十三年間使われていたわけでございますけれども、この間にさまざまな試験を行いまして、御指摘の耐震等についての確認を行っていたわけでございますけれども、この試験所のデータを活用することによりまして、最近のコンピューターによります解析等の発展によりまして十分に地震時の挙動を把握することが可能になったということで、現時点では、二十三年間使いました施設によらずとも試験ができる状況になっているというふうに承知をいたしております。

○吉井分科員 日本の原発は安全だという政策推進の根底には、やはりこの多度津の試験装置などで、これは世界一の装置だったんですね、これを実証してきたんです。だけれども、これは、まだ使っていない原発の機器類を置いての話なんです。
 現実の原発の設備というのは、腐食も進めば、熱や、あるいは圧力の繰り返し加重の問題とか疲労によって随分老朽化というものが進んできているんです。ですから、実際には、ECCSのバルブの弁棒破損だとか、余熱除去系の配管が爆発して壊れてしまったりとか、制御棒そのものに亀裂が入ったり、制御棒のガイドローラーが壊れたりとか、それから制御棒を駆動する水圧系配管に穴があいてしまうとか、いろいろな問題が出てきているんです。だから私は、老朽化したもののきちんとした、事故になる前に、直前に実機試験をやっておくというのが非常に大事な意味を持っていると思うんです。
 兵庫県にできたE―ディフェンスというのは、新しいものは、それをやったとしても、原子炉の中で使ったものは放射化されていますから、管理区域を設けてしか次々と実験することができないんですね。そういう点では、せっかくE―ディフェンスをつくって新しい装置のデータをとるんだったら、現に老朽化したものについて、幾つかサンプル的にしろ何にしろ、そこへ持っていって、本来はきちんと実機試験をやると。原子力安全委員長代理は、昨年の秋の内閣委員会では、やはり実証は大事だというお話をしておられましたが、私は、今そういうことが必要だと思うんです。
 一言でいいですから、政府参考人に伺っておきますけれども、腐食や亀裂や破断の発生を、直前に近い状態、つまり、老朽化したものの実証試験を行ったということはどれぐらいありますか。

○広瀬政府参考人 多度津を使いました試験は、合計二十一件になっております。(吉井委員「老朽化ですよ、老朽化したもの」と呼ぶ)
 老朽化をしたもの、そのものについての実証試験は行われておりません。

○吉井分科員 大臣、お聞きいただいたように、今そこが大事なんですね。三十年、四十年と運転してきて老朽化している原発の安全性というのは最初と全然違うわけですから。中性子照射によって脆性破壊の問題とかいろいろな問題が出ていますから、だから佐々木保安院長は、かつて、重要機器の最終体力をきちんとここの多度津で確認をしておくんだということを言っておられたんです。ところが、今の御答弁では、全然確認できていないんです。
 だから、まさに、管理区域にして老朽化したものを実機試験をする大事なときに、ここの施設はどうなったかといったら、実はこれを建設するときは、三百十億円の施設を国が百四十五億円、半分補助して、国民が税金を出してつくった装置なんです。ところが、昨年の秋、私はもっと早く知っておったら、これは残すように大臣のところに頼みに、前の大臣かもしれないけれども行ったんですけれども、二億七千七百万円でたたき売りですよ。
 これを買い取った今治造船というのは、もともとそういうことをやるのが専門の会社じゃなくて、まあ倉庫か何かに使おうかいというところでしたから、もう完全に壊してしまったんですね。解体、スクラップにしてしまったんですよ。世界一の装置がこんなことになってしまったんですけれども、年間わずか十億円の、これを維持する技術屋さんらの給料が、節約しなきゃいけない、行革だと言って切ってしまったんですね。しかし、私、年間一千億近い原発立地地域の三法交付金からすれば、十億ぐらい安いものだと思うんですよ。
 私は、最後に大臣に、こういう引き波の問題、それから直下型地震の問題、そして、そういうものに対応して、やはり老朽化した原発の安全性を、原発についての考え方は立場によっていろいろあるにしても、この原発の危険性から国民の安全をどう守るかというのは、大臣も私も一緒だと思うのです。そのために、やはりこういう私がきょう提起した問題については、大臣としては真剣な努力を尽くしていただきたいし、多度津ぶっ壊したのを戻せと簡単にいきませんけれども、やはりそういう深刻な事態に今あるんだ、老朽化した時代ですね、それをどうしていくのかということについて、大臣の率直な考えというものを伺いたいと思います。

○高市主査 二階大臣、簡潔にお願いいたします。

○二階国務大臣 きょう、吉井議員から、御専門の立場から種々傾聴に値するお話をいただきました。
 また、私の地元でもありますが、広村のお話も伺いました。あの津波が押し寄せてきたときに、津波が来たときに逃げるということは、これはだれでもわかるわけですけれども、津波が、先ほどからのお話の引き波になったときに、先般のこの海外の悲惨な地震、津波の例からいたしますと、あの被害を多く受けられた皆さんの地域では、津波に対する知識というものが日本ほど普及されているという状況ではありませんでしたので、引き波になったところへみんなついていったといいますか、神様が与えてくれたチャンスみたいなことで、魚がいっぱいはね回っているわけですから、そこへ追っかけていったというようなことがあって、これはもう結果は御想像のとおりで、まことに悲惨なことになったと思うわけであります。ですから、こうした面についても、我が国がしっかりとした経験に基づいて対応していかなきゃいけない。
 昔の名前で言う広村、今の広川町でも、地震、津波に対する浜口梧陵の記念館というものを今建設中でありまして、先ほど来吉井議員のお話を伺いながら、原子力、そして同時に引き波のことについて何らかの資料を準備しておかなきゃいけないのではないかなということをしきりに考えておりました。
 同時に、多度津工学試験所の問題でありますが、吉井議員からの御指摘は十分承りました。今後、これらの問題に対して、吉井議員の御提議をヒントにして、我々がどう対応しなきゃいけないか少し考えてみたい、その時間を与えていただきたいと思います。
 私は、先般も、福井・美浜の原発の現場に伺ってまいりました。当時、福井の知事と話をしたことは、今も全国の、つまり、この原子力発電所設置地域の知事の横の会合もあるやに伺っておりますが、それがどの程度活発に対応されておるかということもあわせ考え、私は、全国の関係知事にもお集まりをいただいている。そうしましたら、昨日、ある県の議長が参りまして、そういう話を漏れ聞いたが、それぞれの議長も入れてくれないかという話でございますから、それはそれでしっかり対応すること、一人でも多くのそういう責任者に参加していただくことが大事だと。
 我々は、今、吉井議員からの御提言をもう一度、役所だけではなくて、私も原子力関係で存じ上げているような方々もおられますから、そうした専門家の意見等も聞いて、今後にどう対応するか。先ほどから感銘深いお言葉として、最悪の事態を考えろということであります。
 私は、原子力に対しては、もう最悪の事態を考えても考え過ぎということはないと思う。ですから、原子力の安全の確保のために、今後、経済産業省を挙げて真剣に取り組んでまいりますことをここでお約束申し上げておきたいと思います。

○吉井分科員 では、終わります。

○高市主査 これにて吉井英勝君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十分休憩

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