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2011年5月20日 (金)

日本電力市場自由化の推進

5月18日の首相記者会見(会見記録はここ)や官房長官による原子力発電のあり方についての発言(日経報道はここ)等がある。日本の電力供給体制について、自由化が現状でも形の上では整備されており、これを改良しつつ推進すべきであると考える。原子力については、現状の体制では、自由化を阻害することとなり、今の旧地域電力会社である一般電気事業者9社と卸売電気事業者(電源開発を含め2社)の事業にしておくべきではなく、新日本原子力発電会社に再編成すべきと考えている。

1) 現状の自由化(自由化されている電力とされていない電力)

電気事業法(以下法と略す。)も、結構読みにくい法律ですが、特定電気事業については、法3条1項において、許可を要しないと定められています。逆の書き方になっているので、頭が変になりそうであるが。

3条1項 電気事業(特定規模電気事業を除く。以下この節(第五条第七号及び第十七条第一項を除く。)において同じ。)を営もうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

特定規模電気事業とは、法2条1項7号で、特定規模需要に応ずる電気の供給と定められている。特定規模需要とは、電気事業法施行規則2条の2で、沖縄電力の供給区域以外の地域では、特別高圧電線路又は高圧電線路から受電する者であって、契約電力が原則として50kW以上の者の需要となっている。

高圧電線路とは6000Vなので、100V-200Vの受電は自由化されていないが、工場やビルで変圧器を保有し、高圧受電の需要家は自由化されているのです。法2条1項7号を書き出すと次の通りであり、赤字部分を読むとおもしろいことが分かる。例えば、関西電力が東京電力の供給地域で電気供給をすることも念頭にあるのです。

特定規模電気事業 電気の使用者の一定規模の需要であつて経済産業省令で定める要件に該当するもの(以下「特定規模需要」という。)に応ずる電気の供給(第十七条第一項第一号に規定する供給に該当するもの及び同項の許可を受けて行うものを除く。)を行う事業であつて、一般電気事業者がその供給区域以外の地域における特定規模需要に応じ他の一般電気事業者が維持し、及び運用する電線路を介して行うもの並びに一般電気事業者以外の者が行うものをいう

従い、50kW以上の電力は、供給区域の制限もないし、電気供給をするのに、許可も必要がない。電気料金の規制もない。但し、届出は必要(法24条)。電気事業法において、自由競争となっていると言って良いと思います。なお、発電所を含め、機器設備等(電気工作物)は、特定規模供給とは無関係に、技術基準への適合が必要である(法39条)。

2) 送配電線

自由競争と言っても、電気はトラックで運べず、電線が必要である。送配電線は、例えば北海道本州連携線のように電源開発が保有している送電線を除き、一般電気事業者10社が保有している。

そこで、電気事業法は、一般電気事業者に、送配電線網の他社利用に応じることを義務づけている。法24条の3第5項には、「経済産業大臣は、一般電気事業者が正当な理由なく託送供給を拒んだときは、その一般電気事業者に対し、託送供給を行うべきことを命ずることができる。」とある。

電力託送とは、分かりつらい面があるが、A点の発電所からB点の工場に対して、電力を送電しようとすると、A点の発電機で電力を送電線に流す、そして、B点の工場では流されてきた電力を消費することとなる。但し、実際にB点の工場が消費するのは、A点で発電された電力か電力会社の電力か区別できない。また、B点の電気消費が常にA点で送電線に送っている電力と等しいとは限らず、負荷が多少は変化するはず。しかし、電力会社との託送契約で、様々なことを取り決めることは可能で、過不足や許容範囲を超えた変動について精算をすれば、A点からB点まで、電力会社の送配電網を使用して電力を送ったことと同一の効果は得られる。

流通が自由であり、誰もが利用できるのであれば、自由化は達成されたと言ってよいと思う。

3) 50kW以上の自由化電力

自由化されたということは、電力会社の供給義務は、電気事業法の供給義務ではなく、個別の電力供給契約上の義務となったのであり、逆に供給契約において、需給逼迫時の供給量削減の特約を付けることも可能である。電力供給側が、そのようなことを望むなら、消費側は、価格の引き下げや、自家発電を稼働させるための事前通告の様な特約も要求することとなる。このような姿こそ、電力自由化であるはず。

近い将来、スマートメータやスマートグリッドの時代になると思う。日経 5月19日 東芝、次世代送電網でスイス社買収発表 1900億円というニュースもある。自由化をする上で、30分やそれ以下の10分とかの単位でメータを通信を利用して読み、刻々と変化する消費量と送電量を把握すれば、刻々と料金が市場で決定されたり、様々な市場電力取引が可能である。快晴で皆が太陽光で発電したら、その時刻の電気料金が安くなったり、夏の温度の高い日には需要増で電気料金が高くなったりするかも知れない。電気自動車は、料金の安い時を見計らって充電し、もし高くなり、出かける予定がないなら、充電した電気を高く売れるかも知れない。

市場取引による需給や設備投資の合理的な調整が期待できると考える。但し、一方で、電力は生活上の基礎インフラでもあり、ユニバーサル・サービスを確保しておく必要はある。現在、50kW未満が実質的にユニバーサル・サービスとなっているが、自由化を拡大し、下げることが、スマートグリッドとなれば可能である。

現状、50kW未満については、自由化されておらず。例えば、法18条1項や法19条1項がある。

18条1項 一般電気事業者は、正当な理由がなければ、その供給区域における一般の需要(事業開始地点における需要及び特定規模需要を除く。)に応ずる電気の供給を拒んではならない。
19条1項 一般電気事業者は、一般の需要(
特定規模需要を除く。)に応ずる電気の供給に係る料金その他の供給条件について、経済産業省令で定めるところにより、供給約款を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

福島第一原子力発電所の事故による賠償金支払いでの電気料金の上昇が懸念されているが、対応策は自由化の推進による市場競争下での合理的な価格形成の推進と考えます。

4) 新日本原子力発電

原子力発電は、市場競争に組み込むことに問題があると思う。自然エネルギー依存を強めるとしても、簡単に原子力を放棄できないし、仮に放棄した所で、高レベル放射性破棄物、プルトニウム、使用済み核燃料というやっかいな問題が残る。やっかいな問題を一般電気事業者に押しつけてはならないと考える。国策として進めた原子力の負の遺産も国策として解決すべきである。

原子力は明るい未来か、暗黒をもたらす悪魔か、不明な部分があると思う。もしかして、必要以上に怖がるのも負の面であるかも知れないし、一旦事故があると大きすぎる被害という面も、評価が難しい部分と考える。

急に放棄できず、現存する原子力発電所の運転を継続せざるを得ないと思うが、一般電気事業者から切り離して、新日本原子力発電株式会社を設立すべきと考える。50Hz/60HzあるいはBWR/PWRで切り分けて2社にするのが妥当な気がする。

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