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2011年5月24日 (火)

海水注入中断にはガバナンス欠如あり

福島第一原子力発電所1号機に、3月12日午後7時4分から、海水注入を始めたが、7時25に中断し、8時20分再開ですが、やはり、政府首脳がガバナンスを樹立していなかったことの結果と思います。参考となる日経記事は次です。

日経 5月24日 「可能性ゼロではない」口癖が生んだ誤解 注水中断問題  原発事故対応、官邸と原子力安全委員長の溝

1) 福島第一原子力発電所と原子力災害対策本部の間の通信・連絡手段の確立

官房長官は、この3月11日記者発表で、原子力緊急事態宣言を出したことを述べており、原子力災害対策本部が設置されたのであるから、対策本部と現場である発電所とは、必要な際は直ちに通信・連絡が可能なように体制を確立して然るべきである。対策本部が東京電力本社経由でないとコミュニケーションが取れないということは、お粗末と思う。

私は、発電所にも、首相官邸にも衛星電話があったと思う。官邸と発電所側の双方に、連絡責任者が定められていたのか、Faxも衛星電話で使えたはず。発電所側で、放射線量の高い外部に行くことができないため、衛星電波を受ける必要がある電話が使えなかった可能性もあるが、少なくとも発電所と東京電力本社とは、何らかの方法による通信手段が存在したはず。それを、官邸と発電所の直接連絡に使用することも可能であったと思う。

現場との間に通信・連絡が不十分であることは、旧日本軍の補給なし前線と同じと思う。

2) 「ゼロではない」発言の会議

受け取りようによっては、幅が広いのである。この発言の前後を知らないと、そもそも誤解の多い発言であったのか、誤解する方が悪いのかは、その場にいない者にとっては、議事録もビデオもなしで、判断が困難である。

しかし、そもそも、この会議の目的等が明確ではない。例えば、この5月22日の別紙 3/12 の東京電力福島第一原発1 号機への海水注入に関する事実関係(訂正版)を読んでも、よく分からない。総理は、国会答弁で、同席した東京電力の人が海水注水開始には準備が1時間以上要するとのことで・・と述べており、自由討議であったと思える。自由討議で良いのであるが、重要事項については、大前提として確認をして実施する等をしておかないと会議が混乱する恐れがある。

単純に技術事項の確認であれば、総理が参加すると、支障が生じる場合さえある。会議は、その目的や前提を明確にしておかないと、失敗する恐れさえある。

この5月23日官房長官記者発表を読んでも、会議があったと書いていないし、官房長官3月12日発表では「既に20時20分、着手いたしております」と淡々と述べられているのみである。

不十分な基礎情報で会議は実施されては、ならない。

なお、原子力安全委員会のWebを見ても、私が探した限りでは、本件について、何も書かれていない。原子力安全委員会は、経済産業省を含む全ての省とは独立し、原子力委員会及び原子力安全委員会設置法24条により「内閣総理大臣を通じて関係行政機関の長に勧告することができる。」 と定められている。

役に立たない原子力安全委員会(原子力委員会も同様)というのは、政府自身のガバナンスが全くないことと同じとおもう。

3) 海水注入に関する東京電力についての誤報

この47ニュース 3月20日 海水注入遅れたと米紙指摘 東京電力、廃炉を懸念のような報道が当時あった。今は、東京電力が先行して海水注入をしており、それを官邸の会議情報により中断したとの現在の認識である。

米紙としてThe Wall Street Journalをあげているが、例えば、このWSJ MARCH 12, 2011 Japan Fills Damaged Reactor With Seawater にしても、東京電力が廃炉を懸念したためとの表現は見あたらないと思うのである。

別の記事なのであろうが、何故このようなことになるかと言えば、必要な情報開示を実施していないからである。情報開示がなされないのは、ガバナンスがないから、広報体制を築けないのだと思う。例えば、経済産業省原子力安全・保安院にのみ広報活動をさせているが、原子力災害対策本部は、何をしているのだろうか?ここに、「原子力安全委員会において3月11日以降に行った助言の活動について」というのがあるが、原子炉の対策についての活動は、見あたらない。

多くのことについて、素人が、デタラメに動いている気がする。大臣を含め、皆素人である。それを認識して、外部を含め信頼できる人達の教えを受けて、その上で、正しい判断で動けばよいはず。

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