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2011年5月15日 (日)

原子力損害の賠償の政府支援枠組のハテナ

13日の金曜日に発表された政府支援の枠組みは、やはり、本筋・本質をはずしたポピュリズムの内容と思います。

平成23年5月13日 東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害の賠償に関する政府の支援の枠組みについて

1) 政府責任

現内閣は、福島第一原子力発電所の事故対策において、トンデモない間違いばかりしていることを反省すべきと考える。完全に本末転倒になっている。東京電力が、電源喪失で、3月11日午後3時42分に経済産業大臣に原子力対策特別措置法10条1項の報告を行った時点で、私は事故対策の責任は政府に移り、東京電力は対策の実施者になったと考える。

3月11日午後3時42分に、政府は福島第一原発の事故対応に関する全権限を取得した。自衛隊出動も可能となったし、米国他に対して支援要請を行うことも可能となった。しかし、現実には、何も実行されなかった。逆に、混乱さえ与えた可能性があると思う。

私は、原子力発電とは、核分裂を兵器以外に利用している唯一の方法と考える。そして、原子力平和利用(原子力発電)とは、核兵器とイコールではないが、それに近く、共通する部分が多いと考える。放射能、放射線、放射性物質の対策は、核保有国と日本とでは雲泥の差があるはず。原子力発電所の基数も米国104、フランス59と日本の54よりも多い。過去に、大気圏内核実験も核保有国により実行されており、核についての経験は、日本とは比べものにならないはず。

人民の生命・財産を守る政府が相手国の外国政府や政府機関との交渉をすべきである。関係閣僚会合決定として発表された政府の支援の枠組には、政府の役割はほとんどなく、政府の免責を主張しているとさえ私は感じる。

2) 東京電力の今後

このあたりも何ら配慮されていない。現体制を維持し、損害賠償はすべて東京電力の義務に止めようとしていると考えられる。原子力事業者とは、東京電力を含む一般電気事業者9社と日本原子力発電の合計10社であり、この10社が支援機構を設立し、支援機構が東京電力に財務支援を行い、政府は支援機構の資金に関して資金貸付のようなことを行う。

しかし、この方法は、東京電力にとって、メリットがない。支援機構からの資金援助が、借入金なら全額負債であり、一気に負債が増加する。その結果、会社として成り立つか直ちには私にも分からない。他の9社にとっては、迷惑なだけ。

もし、支援機構からの資金援助が資本金であるなら、関係会社を設立して、関係会社に資本を持たせることとなる。実は、私が、堀江貴文の懲役2年6月実刑確定で批判したホリエモンの行為と似ることになる。ちなみに、原子力発電による発電量割合で持ち分を決めるとすると、2009年度と2010年度における東京電力の割合は、25.6%と28.9%である。

正面から取り組めばよいことを、複雑化している。機構の仕組みが入ったところで、東京電力の賠償債務が変わらなければ、貸借対照表の債務の額も何ら変化がない。それを、「原子力事業者を債務超過にさせない。」と理屈の通らないことを述べるべきではない。

3) 国家管理

電力国家管理体制になるように思う。どの部分を読んでも、政府介入が行われると予想される表現が多い。日本は、市場経済による発展を目指しており、今や計画経済や社会主義など、世界中にほとんど存在しない。北朝鮮並みを目指すように思える。

日本では2000年の電気事業法改正により、電力自由化が始まった。現状については、この経済産業省パンフレットが、参考になると思う。

今回の福島第一原発の事故を理由に、政府介入を許し、電力国家管理体制に移行してはならない。電力自由化を推進すべきである。それが、原子力発電の将来を決めることであり、また合理的な電気料金を実現することである。国家管理になれば、電気料金は高くなる。安定供給は得られない。政府が、経営合理化等について監督(認可等)をするなんて、トンデモない話である。

4) 拙速な法はつくるべきではない

そもそも、急がねばならない理由が理解できない。被害者救済なら、こんな法を作らなくても可能である。今回の政府支援枠組みに関する法について、野党がどのように出るのか、国会を通過するのか不明である。

電気料金を上げないための政府支援の枠組などと甘い言葉に乗せられてはならない。実態は、悪魔のささやきと思える。原子力の新規発電会社をつくり、そこに移行することが、問題点を浮かばせることにつながり、本当の解決になると思う。原子力が、コスト高なら、これ以上新規発電所は建設されないであろうし、魅力があり、人々から支持されれば建設される。他の発電所とどんぶり勘定になって管理されても分からない。現状において、電気事業会計規則で合理的になっているとの意見もあると思うが、やはり原子力のみを取りだして別会社として、社債格付けを取得し、社債発行や借入を行う。そのような市場経済を目指して欲しい。別会社にすれば、原子力関連の原発1基1000億円と言われる交付金についても、今より分かりやすくなると思う。

なお、私は、2)で、こんな政府支援の枠組みは東京電力にもメリットはないと書いた。多分、ないと思うが、それ以上に、この枠組みは、日本の電力供給体制の発展には、障害となることが多いと思う。こんな枠組みが成立するなら、いっそのこと東京電力には会社更生法を申請して欲しいと思う。

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