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2011年6月 1日 (水)

IAEA暫定報告書を読む

IAEAの東日本大震災原発事故調査団が、6月1日に暫定報告書を提出した。その報告書は次の所にある。(英文のみと思う。)

Preliminary Summary - IAEA INTERNATIONAL FACT FINDING EXPERT MISSION OF THE NUCLEAR ACCIDENT FOLLOWING THE GREAT EAST JAPAN EARTHQUAKE AND TSUNAMI (24 May- 1 June 2011)

1) 日本側の対応を評価

The main preliminary findings and lessons learned are”として、今回の結論が書かれているが、その冒頭は、日本の関係者の協力を得て、調査が進んだとの文章である。また、発電所の現地での安全確保についても、高い評価をしている。

The response on the site by dedicated, determined and expert staff, under extremely arduous conditions has been exemplary and resulted in the best approach to securing safety given the exceptional circumstances. This has been greatly assisted by highly professional back-up support, especially the arrangements at J-Village to secure the protection of workers going on sites.

日本政府の国民を放射能汚染から守ることについても、同様に良い評価をしている。

The Japanese Government’s longer term response to protect the public, including evacuation, has been impressive and extremely well organized. A suitable and timely follow-up programme on public and worker exposures and health monitoring would be beneficial.

勿論、総合評価であり、問題がないわけではないが、それらの問題点については、今後の詳細な検証の報告書を待たざるを得ない。

2) 今後の復興

次の部分であるが、冷静な見方であり、その通りと思う。現時点では、今後の工程やスケジュールは誰も正確に分からない。今や、世界の関心は、福島原発事故の放射能汚染ではなく、避難した人達が、どのように戻れるか、どのように汚染除去が可能かであり、特に原発保有国が関心を持っていると思う。各国の援助を受けてでも、避難した人達ができる限り早く戻れるようにすべきと考える。

The planned road-map for recovery of the stricken reactors is important and acknowledged. It will need modification as new circumstances are uncovered and may be assisted by international co-operation. It should be seen as part of a wider plan that could result in remediation of the areas off site affected by radioactive releases to allow people evacuated to resume their normal lives. Thus demonstrating to the world what can be achieved in responding to such extreme nuclear events.

3) 津波リスクを過小評価

報道は、この日経6月1日 「福島原発、津波被害を過小評価」 IAEA報告書案のように、IAEA報告書の津波についてが大きく報道されている。津波だけではなく、protection against the risks of all natural hazardsと全ての自然の驚異に対する備えであり、periodically update these assessments and assessment methodologiesと、定期的に見直しをすることの必要性を強調している。

The tsunami hazard for several sites was underestimated. Nuclear designers and operators should appropriately evaluate and provide protection against the risks of all natural hazards, and should periodically update these assessments and assessment methodologies in light of new information, experience and understanding.

4) 原子力管理制度

報道は「規制」と読んでいるが、Regulatoryという言葉は、規制よりも管理が正しく、私は管理と使います。そして、この日経6月1日 細野補佐官、IAEA調査団報告「規制当局の組織再編は不可避」 あたりは未だ良いのですが、一部の報道には、「原子力安全・保安院の独立が不十分だった」などとした報告書の概要を日本政府に手渡しました。と述べているのもあります。

報告書は、次の文章です。固有名詞をあげていません。IAEAの安全基準に則した独立性を確保したNuclear Regulatory System(原子力管理制度)を確立すべきと言っている。私は、内閣府の原子力委員会と原子力安全委員会を、経産省の原子力安全・保安院より問題視すべきと考えています。原子力委員会は政策立案機関です。原子力安全委員会は、安全に関する規則を作り、許可を出す機関です。原子力安全・保安院は、行政機関であり、規則通りに建設され運転されているかをチェックする行政組織です。誰が責任重大かを見誤ってはなりません。原子力安全・保安院と言っているのは、IAEAではなく、細野豪志首相補佐官です。もし、政治的な意図を持っているとすると、恐ろしいと思う。

Nuclear regulatory systems should address extreme external events adequately, including their periodic review, and should ensure that regulatory independence and clarity of roles are preserved in all circumstances in line with IAEA Safety Standards.

5) その他

随分引用を書いてしまったが、まだ多くあります。一度読んでみるとおもしろいかも知れません。福島第一原発の放射能汚染が大きくなってしまった最大の原因は水素爆発と思います。津波同様に、次の文章からすれば、水素爆発も過小評価されていたのではと思います。

Hydrogen risks should be subject to detailed evaluation and necessary mitigation systems provided.

電源喪失を考えていなかったから、それ以上の非常事態は、考慮の範囲外であったのかも知れない。しかし、それでもIAEAが指摘しているon-site Emergency Response Centres(現地緊急連絡体制)の確立や、マニュアルを超えた緊急事態への備えが、もう少し、できていたらと思う。普通であれば、マニュアル通りの行動を訓練する。しかし、原発のような施設は、マニュアルを超えた事象を研究する人間を社内組織に置く。そして、その人間は、非常事態のシナリオを沢山つくることを業務とする。それを、空想と批判せずに、対応を関係者が検討し、訓練する。そのようなことも、対策として重要と考える。

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wsws.org William Whitlow 2011年6月4日 6月1日、国際原子力機関 (IAEA)は、福島原発災害の報告書素案を発表した。報告書は、東京電力と日本政府を非難から免れさせる取り繕いだ。報告書の当たり障りのない表現は、論議を抑圧し、原子力業界を、精査から保護しようとする企てだ。 報告書が出された時... [続きを読む]

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