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2011年6月21日 (火)

電力・エネルギー政策の議論のための必要な情報開示・公開を望む

東洋経済2011年4月9日号掲載の《日本激震!私の提言》送電網は新規業者に開放を 原発は政府が管理すべき――八田達夫・大阪大学名誉教授が6月21日にWebに掲載されており、この記事を読んで、そう思いました。

八田氏の意見には、賛成する部分があるが、細かい部分では、私の意見とはかみ合わない。例えば、八田氏は、次のように述べているが、実態は、新規の託送契約を認めていないのか、理由があり、新規契約を受けられないのか分からない。

電力を止められた大口需要家にはほかに調達の手だてがある。2005年の電力自由化で新規参入した事業者(PPS、特定規模事業者)と新たに契約すれば電力供給を受けられる。しかし震災以後、電力会社は新たな送電の「託送供給」契約を認めていない。すぐにも送電線を自由に使えるよう、開放させるべきだ。

次のグラフは、資源エネルギー庁の電力調査統計から作成した。3月11日の東日本大震災後、3月14日から計画停電が東京電力圏内であった。グラフ対象としたのは、自由化部分の6000V以上である。東京電力のみとせず、全国とした。理由は、PPSの供給統計が、全国一本であり、電力会社を超えての電力託送もあり得るからである。

Electricityconsump20116g

折線グラフが右軸であり、月間消費量を年平均で割った指数である。3月の供給量の落ち込みは、一般電気事業者の方が、PPSより大きく、PPSの指数は自家発とほぼ同じであった。自家発についての統計は、速報値となっているが、一般電気事業者とPPSの比較は、統計上は問題がないはず。統計上の分析としての結論は、八田氏が言うようなPPSが困難とはならない。八田氏が、何を根拠に述べたのか分からず、3月末・4月始めの時点における推測であったかも知れない。いずれにせよ、適正な情報公開を望む。

八田氏が述べている「震災後、日本卸電力取引所(前日市場)が停止している。」については、電気新聞 6月1日 JEPX東京市場が再開 1日渡し約定量が急増に報道されているように、5月20日から再開されている。

なお、八田氏と、意見が最も異なる部分は、次の部分であり、以下が私の意見である。

1) 発電・送電・配電の分離は、方向としては正しいかも知れないが、無理に推進することによる不都合の発生があり得る。十分な検討なしに推進することには反対する。むしろ、送配電網の自由化・解放を、スマートグリッドの推進により、一層の進展を図り、市場競争が正常に機能するようにすることが重要と考える。その結果として、発送配電分離の望むべき姿が浮かび上がってくると期待する。

2) 株式会社は利益追求と市場競争により高い効率を得られる。しかし、原発は、それと馴染まない部分があり、一般電気事業者による発電事業とするには問題があると思う。一方、政府管理の政府事業が良いかというとそうは思わない。情報開示がなされ、国民の民主的な管理下が良いのであり、安全を重視し、合意されたルールに基づいて運転された時に、最も利益があがる仕組みの民間事業が良いように思う。なお、一般電気事業者からは、切り離すべきと考える。

なお、現在の自由化は、不十分と思える面が多く、その部分について多くの国民が参加した議論が必要と考える。電気の供給義務は、一般電気事業者のみが負っており、その義務は自由化されていない100V/200Vの低圧供給のみと私は理解する。(参考:電気事業法18条1項)しかし、一般電気事業者と卸電気事業者は供給計画を経済産業大臣に提出する義務がある。(電気事業法29条1項)6000V以上の電圧供給を停止してでも、100V/200Vの電力供給を維持する義務が一般電気事業者にあると理解する。これが絶対的に正しいかどうかは別にして、法を無視してまで、3月に政府は計画停電を実施したと理解する。国民の理解と制度改正・法改正を棚上げして、国民を無視した独裁政権と思っている。

2010年度において自家発以外の売買されている電力中、6000V以上の自由化電力は62%(574,936GWh)である。自由化部分なので、電力調査統計で需要家数・契約数は公表されていないが、大口需要家であり、ほとんどかスマートメータのような30分毎の計測機能を備えたメータが設置されていると思う。これを利用して、合理的な需要管理や個別需要家に対する電力供給強制停止が可能なはず。是非合理性を持って取り組んで欲しいと思う。

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