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2011年7月 2日 (土)

原子力発電と地元

九州電力の玄海原子力発電所の定期点検後の再開に関するニュースに関連して、原子力発電所について考えてみたいと思います。ニュースとしては、

読売 7月1日 玄海原発再稼働、佐賀知事が改めて容認姿 と

読売 7月1日 玄海原発、安全性クリアは疑問…佐賀知事に質問

であり、記事を読んで、2つのニュースの間に隔たりがあると感じる。最終的な、行方は、未だ分からないと思う次第。頭をひねって考えてみます。

1) 県・市町村との原子力発電所の安全確保に関する協定書

玄海原発に関しては、佐賀県及び玄海町(地元県・町)と九州電力との間で、「原子力発電所の安全確保に関する協定書」が締結されている。当初締結1972年11月6日、最終改訂2005年1月1日で、その協定文は、この佐賀県のWebにあります。

協定書第4条で、事前了解が規定されており、原子炉施設の変更、土地の利用計画及び冷却水の取排水計画を変更や新燃料、使用済燃料及び放射性廃棄物の輸送計画の策定について、九州電力は地元県・町からの事前了解を得なければならない。しかし、定期検査終了後の運転復帰に関して、地元県・町が許可を与える権限はないと考える。

発電用原子炉の定期検査は、電気事業法54条や電気事業法施行規則に定められており、13月、18月または24月以内のインターバル(2008年12月までは13月以内のみ)で実施し、終了時に経済産業大臣から定期検査終了証が交付される。発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令を含む技術基準に合致していれば、定期検査終了と認められるのであり、安全確保を目的としての定期検査は、技術面の判定であるべきと考えられる。

一方で、福島原発事故による放射性物質の飛散は、原発地元にとっては、極めて気にかかることであり、定期検査を終了し、運転を再開するなら、再開前に、安全について納得できるまで、十分な説明を受けたいと要望するのは当然と思う。協定書の特定の条項になくとも、協定書の背景にそのような情報開示・説明があると考える。

2) 地元県・市町村

協定書は、佐賀県及び玄海町とのみ締結されているが、地元としてどこまで含まれるかについてです。玄海原発付近の地図は次です。

玄海町を唐津市が取り囲み、唐津市の最も原発に近い所から原発までは、1kmも離れていない。唐津市にしてみれば、万一事故があれば、避難区域に入ると心配せざるを得ない。唐津市民にも、納得できるように説明をと要望しても当然と思えるし、協定の当事者でないとして、説明を拒否することも不適切と思う。

玄海原発から20km圏内を含めると、福岡県糸島市も境界付近が少し入る。協定当事者として、あるいは協定当事者と同等の扱いを受ける県・市町村として福岡県や糸島市も含まれるべきではないかと思える。福島で立ち入り禁止区域となった20km以内が県境を超える原発を調べてみると、他にも存在する。
島根原発 18.4km 鳥取県境港市
美浜原発 16.2km 滋賀県長浜市
敦賀原発 13.6km 滋賀県長浜市
高浜原発  3.2km 京都府舞鶴市
大飯原発 16.6km 京都府舞鶴市

浜岡原発の協定書における県と市は、静岡県、御前崎市、牧之原市、掛川市及び菊川市であり、10kmを基準としていると思うが、当事者が多い協定も存在する。

協定書は、法的に有効と考えるが、裁判で争う性格ではなく、関係当事者が真摯に協議して対処する以外に方法はないと考える。その意味でも、協定書に含まれていなくても協定当事者と同一の扱いをすべき県・市町村も存在すると考える。果たして、20kmなのか簡単に言えないが、参考として各原発から放射性物質が漏洩した場合のSPEEDIのシミュレーションを公開することである。福島原発は、西風の場合、太平洋に飛んでいく状態であった。しかし、他の原発は、それほど単純ではないはず。放射性物質の漏洩など考えたくないが、国民を欺くことは、すべきでない。

3) 地元県・市町村が原発停止可能か

協定上は、地元県・市町村に、そのような権利はない。しかし、5月に菅首相は、運転中の浜岡原発を停止した。権利・権限がないにも拘わらず、中部電力が違反をしたわけでもないのに、技術基準に変更があったのでもなく、地震の確率が高いとして停止を依頼した。それなら、地元に住む人に、同じ権利・権限があっても、おかしくはないと考えられる。地元に住まない菅直人にあるなら、直接に影響を受けるかも知れない地元に住む人には、もっと大きな発言権があってもおかしくはない。

技術的な理由、あるいは基準として賛同できる理由、すくなくとも普遍的な合理性を持った理由が欲しい。津波は、海があれば、どこでも生じ得るはず。大津波の発生確率なんて、合理的に推定が可能と思わない。福島第一1号機-4号機事故は、海面から10m高さの地面(GL)に14-15mの津波が来た。全ての原発の地面高さ(GL)は、公表されているのでしょうか?実は、福島第一1号機-4号機のGLよりも低い原発があるのではないでしょうか?例えば、浜岡原発はこの中部電力の説明によれば、海との間に10-15m高さの砂丘があり、原発のGLは6-8mです。何とも評価できません。福島第一原発は、外部電源が復旧しても原発が受電不可能であったのです。津波ではなく、地震で損傷したのです。

考えると果てしなく不安が広がる。福島原発事故の報告書と、事故から学ぶべき改善点の報告が十分な情報開示と共に欲しいのです。それがないから、菅直人と同じ思考形態になってしまう。正しい論理性を持って作られた社会にすべきです。さもなければ、暗黒の日本になると思います。

4) 節電厳しく疲弊する恐れ

東京電力と東北電力の管内で電気事業法の電力使用制限令の適用が始まったようですが、供給不足は、冬そして来年と厳しさが一段と増えるように思います。本日現在、稼働中の原発の合計出力は18,159MWです。定期点検が終了しても、運転が再開されなければ、運転中の原発が順次定期点検となり、稼働中の原発は少なくなっていく。勝手な試算ではあるが、イメージとして掴むのに容易かと思い、グラフを書いたのが次です。

Nucleargenece20117

念のため、個別の発電所毎の実績と、定期点検停止予想時期を書いた表も掲げます。

Nucleargenece20117a

脱原発を目指すとしても、直ちに原発を停止・廃止できず。地元の人と多くの日本住民の理解が必要と思います。そのためには、情報公開と住民参加が欠かせないと思います。そんな中で、今のような独裁ではなく、民主主義が形作られていけば良いと思いますが。

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