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2011年9月21日 (水)

福島第一原発放射性物質飛散は回避可能であったか?

福島第一原発の事故は、放射性物質の飛散により広範囲に影響を及ぼしており、放射性物質の飛散がなければ、被害や影響は局地的な範囲に収まり、影響は現状よりずっと小さかったのではと思う。

厳密な評価をする必要があると考えるが、放射性物質の飛散の原因の大部分は、やはり水素爆発により大気中に飛散し、降雨あるいは自然現象により地面に落下したことに起因すると思う。なお、今回、このエントリーの放射性物質飛散の回避は、水素爆発を防げたならと言うことで考えてみたい。水素爆発が、放射性物質飛散の原因の全てではないが、大きな関係があるとしてのことである。

1) 自衛隊出動による回避可能性

どのような手段で水素爆発が回避可能であると言えば、自衛隊の出動である。いずれにせよ、得られている情報は限定されており、多くの情報を入手可能な調査者・団体が調査・分析・評価すべきであり、ここで記載することは、結論ではなく、可能性であるから、しかるべく調査し報告書を公開して欲しいのである。

武力であり軍隊である自衛隊の出動は、民間要請で行ってはならず、総理大臣命令により出動すべきである。翻って言えば、総理は、その義務を果たしたのかにもなる。なお、ここに言う自衛隊の出動とは、燃料プールに海水を撒いた出動ではない。水素爆発の前に、放射性物質飛散を防ぐために、出動して有効な手段が取れなかったかである。

福島第一原発の事故調査は、日本の原発のためのみの調査に終わってはならない。世界の発電原子炉の今後の安全運転、事故防止、放射性物質飛散回避に役に立つ事故調査でなければならない。例えば、次の表は世界各国の発電用原子炉の数と出力である。現在中国で建設中の原発が完成すれば、中国は日本に次ぐ世界第4位の数と出力を持つ原発大国となる。日本には、中国の黄砂が風に運ばれてやって来る。万一の場合は、同じように、放射性物質が日本に来る可能性があると思う。もし、事故の際の放射性物質の飛散が、人民解放軍の出動で回避できるなら、是非出動して欲しいと思う。その為には、福島事故の正確なレポートを世界各国に提出し、福島原発事故から学んだ貴重な経験が世界で生かされるようにすることである。

Powerreactor20119

2) 自衛隊活動の可能性

自衛隊が何を出来たかであるが、その前に、事故をふりかえっておきたい。

3月11日14時46分に地震発生。福島第一原発では、1号機、2号機、3号機の3基が運転中であったが、タービン及び原子炉が14時47分に自動停止し、未臨界となった。(全制御棒が一斉に炉心下部から炉心に急速挿入され、原子炉の停止:SCRAMに成功。)外部電源が止まったが、非常用ディーゼル発電機が起動し、SCRAM後の冷却が開始された。

3月11日15時41分に津波が到達し、タービン建屋地下が水没。結果、非常用発電機が運転不可能となり、全交流電源を喪失した。東京電力は15時42分に原子力災害対策特別措置法第10条に基づく特定事象発生を経済産業省、福島県他に通報。16時45分に、東京電力は、同法第15条の緊急事態に至った旨を通報した。内閣総理大臣は、19時03分に原子力緊急事態宣言を発し、内閣総理大臣を本部長とする原子力災害対策本部及び原子力災害現地対策本部を設置した。

3月12日14時以後、14時30分より以前に、1号機原子炉格納容器のベントに成功。

3月12日15時36 分に1号機原子炉建屋で爆発が発生。

3月15日06時頃に2号機格納容器サプレッションチェンバー付近において爆発音が発生。

3月13日20時10分頃に3号機の原子炉格納容器のベント成功。

3月14日11時01分に3号機原子炉建屋で爆発が発生。

3月15日06時頃、4号機原子炉建屋の爆発が発生。

自衛隊に出動命令が出せたとするなら、11日19時03分の時点か、あるいは、原子力災害対策本部での緊急検討の結果、直ちに出動命令を出すことが出来たはず。普通に考えれば、15時41分の全交流電源喪失を受けて、専門家が提案するはずと思う。何故なら、直流電源しか残されておらず、その直流電源もバッテリー容量の限度から8時間程度しか依存できない。

交流電源がなくとも、直流電源で機能する計器や監視装置は存在する。また、非常時の冷却システムである1号機の非常用復水器(アイソレーション・コンデンサ)、2号機の原子炉隔離時冷却系(RCIC)、3号機の原子炉隔離時冷却系と高圧注水系(HPCI)等は、交流電源不要であるが、直流電源は必要と思う。

自衛隊は、夜間飛行可能で重量物運搬可能なヘリコプターを持っている。これを使えば、ある程度の交流電源も運搬できたし、充電済みバッテリーを輸送することもできた。勿論、整流器を持った小型エンジンの充電器を自衛隊は保有しているであろうし、おおよその装備も持っている。これらを利用したなら、水素爆発を防げたのではないかと期待する。

タービン建屋地下1階には、非常用ディーゼル発電基のみならず、配電盤もあり、直流が少しは利用できた3号機を除いて、どこまで有効であったか分からない。しかし、陸上を走っていった電源車は交通渋滞や交通規制で進むのが難しかったことと比べれば、自衛隊の夜間飛行は利用可能な最も有効な手段であった可能性がある。原子力災害防止のためなら、内閣総理大臣命令で出動して、構わなかったはずである。

仮に3号機の水素爆発を防げたなら、3号機のジルコニウム-水反応による水素が原因である可能性の4号機爆発も防げたかも知れない。そうなると、飛散した放射性物質も現状より少なく、冷温停止に向けての作業も幾分か容易であったかも知れない。

これが、私が望む事故報告書において含んでおいて欲しい項目である。批判される対象は権力の中枢であり、またその組織の動きである。それ故に、最も必要な究明点であると思う。

3) 参考資料

参考資料をいくつか上げておきます。

IAEAに対する日本国政府の追加報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について-(第2報)2011年9月: http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/backdrop/20110911.html

IAEAに対する日本国政府の追加報告書-東京電力福島原子力発電所の事故について 2011年6月: http://www.kantei.go.jp/jp/topics/2011/iaea_houkokusho.html

日本原子力学会「原子力安全」調査専門委員会情報 http://www.aesj.or.jp/information/fnpp201103/chousasenmoniinkai.html

(例えば、福島第一原子力発電所事故からの教訓 ここ

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