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2012年4月24日 (火)

原子力とシェルガス

原子力とシェルガスなんて、変な組み合わせと、お思いでしょうが、共通点はエネルギーであり、それ以外はどうでしょうか?新エネルギーと言えば、再生可能エネルギーのように聞こえてしまうが、利用するに至ったのは比較的新しいという点で一致していると思います。

原子力については、負の側面というか、危険性や悪魔の側面が日々報道されており、一方、シェルガスはどうかです。日本では、天然ガスというと、クリーンで環境に優しいという風に思われがちであるが、実際は、そんな単純ではない。

1) フランスでは、シェルガス発掘が法律で禁止

フランスの法律の内容や条文を調べることができていないが、次のBBC Newsです。

BBC 19 January 2012  Bulgaria bans shale gas drilling with 'fracking' method

ブルガリでは、薬品注入・水圧破砕採掘によるシェルガスの採掘を禁止する法律を議会が可決したとを報道しているが、タイトルの副題に”Bulgaria has become the second European country after France to ban exploratory drilling for shale gas using the extraction method called "fracking".”とあり、その前に、既にフランスでシェルガス採掘が法で禁止になっているのです。

2) 何故シェルガスが環境汚染を引き起こすのか

上の1)で、”Fracking"を「薬品注入・水圧破砕採掘」と訳したのであるが、Frackingの意味は、上のBBC記事のWhat is fracking?等で、読む方が、私の説明より適切と思うのですが、要は、最近米国でシェルガス採掘に使用され始めた薬品注入・水圧破砕・水平抗井と言った方法で地中に埋まっているシェル(頁岩)の中に存在する天然ガスをシェル(頁岩)を破砕することにより地上に取り出す方法です。

イメージとすれば、堆積岩の中に閉じこめられたガス化した有機物(主としてメタン)を取り出すには、岩を砕けばよいので、中からガスが出てくる。地上に掘り出せば、ガスを取り出した後の、岩の捨て場に困るし、地中で砕いて、うまく取り出すのが安くガスをとる方法だと言える。しかし、薬品や水を注入するのに、環境汚染が生じないのかが問題です。

薬品も企業秘密であるし、地下資源の採掘方法なんて、そもそも企業秘密の塊なのです。一般の天然ガスは、ガスを通さない地層の下のガスがある地層からガスを取り出すのであるが、実は、この技術は欧米の特定の会社に独占されていると言ってもよい状態である。シェルガス採掘についても、彼らの独断場である。

どんな薬品を使っているか分からず、将来の汚染の評価が困難とすれば、どうでしょうか?

そうなると、セシウムなんて、安心できると思ってしまう。どうでしょうか?

3) 温室効果ガス抑制

温室効果ガス増加の影響は難しいのであるが、単純な気温の上昇よりも、異常気象の増加の可能性が我々の社会や生活に対する影響が大きいと私は思っている。実は、メタン(CH4)は、20年値で二酸化炭素(CO2)の72倍、100年値で25倍である。

そこで、シェルガスのFracking法による採掘であるが、私には、一般の天然ガス採掘より、天然ガスの漏洩が多いと思う。天然ガスは、温室効果がCO2の72倍とし、燃焼時のCO2排出量が(同一エネルギー発生に対して)石炭に比べ40%少ないとして計算して、1%のガス漏洩があるとすれば、ガス漏洩の方が温室効果ガス排出量は多くなる。

Fracking法とは、地中に薬品を注入し、地下のシェル(頁岩)を高圧水で破砕して、天然ガスを取り出すのであり、ガス漏洩はありそうに思えるのだが。

いずれにせよ、採掘に関わっている企業や関係者の金銭計算で、採掘されているのであり、将来にわたっての人類の幸福計算で採掘されているのではない。日本には、幸か不幸かシェル(頁岩)の地層は少ないと理解する。しかし、中国他にもシェル(頁岩)地層は多くあり、地球人としては、関心を持つべきと思う。

4) 原子力とシェルガス

フランスは、IEAの統計では2009年総発電量542,184GWhのうち原子力が409,737GWhであり、75.6%が原子力発電である。

それぞれの国で、独自のエネルギー政策・方針があってよいのであり、フランスを見習おうと言うつもりはない。しかし、「天然ガス=クリーン」のような事実を正しく把握しないで、考えることは止めるべきと言いたい。

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コメント

Frackingについて極めてわかりやすい説明で、大変勉強になりました。ありがとうございました。

投稿: 哲野イサク | 2013年7月21日 (日) 15時48分

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