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2012年8月19日 (日)

朝日新聞の報道能力

朝日新聞の報道能力については、いつも疑問を持つが、理解に苦しむような記事が多い。

8月17日 生活保護抑制、公共事業は温存 来年度概算要求基準決定

閣議決定したのは、次の「平成 25 年度予算の概要求組替え基準について」である。

財務省Webの8月17日閣議決定 平成 25 年度予算の概要求組替え基準について

財務省Webにある閣議決定を読んで、朝日の報道のように、理解すべきだろうか?

閣議決定の5ページに「③義務的経費や社会保障関係費等の効率化の効率化」の中で、確かに「これを聖域視することなく、生活保護の見直しをはじめとして、 最大限の効率化を図る。」との記載は存在する。しかし、朝日の報道の「高齢化にともなう社会保障費の自然増分8千億円の予算要求は認めるが、生活保護などの見直し(削減)で全体の伸びを極力抑える方針を示した。 」というのは、言い過ぎであると思うし、文章の冒頭にこれを書くと、8月17日閣議決定はこれが主要部分であるとの誤解を与える。全体の1部のことであり、また読み方によっては、解釈が異なる部分について、このような報道をする。

記者の能力が低すぎると言えば、それで終わってしまうが、三流新聞にとどまり続けるという選択もあると思うが、良い報道を心がける努力をしてもよいと思う。もし、私が新聞社の報道責任者であれば、2つの記事に分ける。1つは、閣議決定の内容を正確に伝えることである。もう一つは、生活保護の切り捨てに懸念をするなら、その旨の正しい報道をする。

生活保護について、正しい報道をしようとすれば、内容が多岐にわたり、複雑で、容易ではない。例えば、最低賃金と生活保護費の逆転現象についても、簡単には扱えない。生活保護者ビジネスなんて、生活保護者を顧客とするビジネスが、成立したりする。また、生活保護費予算を縮小しようとすると、相談員やケースワーカーの充実をはかり、必要な支援が正しく行き渡るようにする生活保護脱却の仕組みの足を引っ張る懸念もある。生活保護者の子ども達は貧困から抜け出して、生活保護の再生産・悪循環を避けるようにしなければならない。

そもそもは、格差拡大や日本経済の構造問題により生活保護者が増加しているのだとすれば、その是正こそ、簡単ではないが、努力すべきである。日本は、計画経済による無失業者や無貧困者という体制を採っていない。市場経済を基本的原則としているのである。市場経済においては、市場における敗者は存在するし、必要不可欠な面がある。しかし、それを放置して、社会が成立するのではない。敗者や貧困者に対する必要なレベルの支援制度が確立されてこそ、本当の市場経済は存在できるのである。

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