復興予算
復興予算の不適切な執行が先日以来話題となっている。
日経 10月14日 復興予算、被災地事業に限定 民主政調会長 「不適切」批判受け
記事に”細野氏は同番組で「党がチェック機能を果たしきれなかった」と語った”とあるが、党の問題ではなく、政府の問題である。党にそんな能力があるはずがない。内閣が公務員の協力を得て正しく税金を使うようにするのであり、財務省官僚他をして不正な予算請求・執行が生じないように管理・業務執行をするのである。事業仕分けのような政治パフォーマンスが好きな人達には苦手なのだろうと思う。
復興予算とは、国民の税金である。国債でまかなった分についても、所詮将来の税金から利払いと償還がなされるのである。復興に支出すると国民に約束した一方で、他の用途に支出することは国民に対する裏切りであると同時に、重大な内閣不信のみならず政府不信にまでつながる。恐ろしいことである。何故なら、正当に支出されることを信じるから、国民は税を納めるのである。信頼できる政府であるからこそ、税負担を当然の義務と考えることができる。
消費税増税の賛成論を私はこのブログで書いた。それは、政府の財政危機を克服するためのやむを得ぬ手段と考えたと同時に、所得税・相続税の増税が実施され、国民番号法を成立させ、公平な税負担に近づけることが条件であるとした。にもかかわらず、税の不正使用をすることは許されないはずである。
今回の不正流用の背景には、私は、民主党の体質が起因しているように思う。事業仕分けのように予算削減の政治パフォーマンスが優先し、各省庁に予算削減を要求するが、一方で政治パフォーマンスにつながる復興予算と化粧(Decoration)ができれば、予算は認められる。実質ではなく、政治パフォーマンスの世界となってしまったように思う。本来であれば、財務官僚他が不正に対して正しく行動するように内閣が指導すべきが、異なったことをしてしまう。企業だったら、倒産に結びつくような出来事と思う。
ところで、復興予算の捻出のために、2011年12月2日に「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」という法律が公布された。復興特別所得税と復興特別法人税が、この法律で課せられる。
復興特別法人税は、法人税額の10%であるが、同じ2011年12月2日に公布された「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」により税率が30%から25.5%に引き下げられた。その結果、復興特別法人税が課せられても28.05%であり、2%弱税率が下がった。復興特別法人税は3年限りなので、法人税は2015年4月1日以降の事業年度からは25.5%となる。
復興特別所得税であるが、所得税の2.1%である。税率20%の人なら20.42%となる。課税期間はなんと2013年1月1日から2037年12月31日までであり、25年間も続くのであり、気が遠くなる。お母さんのおなかの中にさえいない子どもにまで税が課せられる恐ろしい特別税である。そんなに長期にするなら、特別税ではなく、どうどうと所得税とすべきである。また、所得税の2.1%なので、金額が小さいだけに事務処理経費が大変である。源泉所得税も来年1月以降は2.1%増加する。預金利息、配当金、証券関係にもこの復興特別所得税がかかる。
わかりやすい税が良いのである。番号制を導入して不正を困難にして、正直者が馬鹿を見る状態はなくすべきである。事務処理の容易さも重要である。民主党の方々よ!支持を受けたければ、パフォーマンスではなく、実際に国民のためになることをすべきであると忠告をしたい。
なお、最後に、復興特別税に関する法律の第72条を掲げる。法律違反の解釈は、国民の通常の感覚や常識ですべきと考える。
第72条 平成二十四年度から平成四十九年度までの間における復興特別税の収入は、復興費用及び償還費用(復興債(・・・)の償還に要する費用(・・・)をいう。・・・)の財源に充てるものとする。
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