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2012年11月 2日 (金)

家庭用温水器の比較

パナソニックが2013年3月期の年間予想として、これまで発表していた純利益500億円を純損失7650億円と、8150億円も悪化する業績予想を発表した。

日経 11月1日 パナソニック7650億円赤字 13年3月期、63年ぶり無配

パナソニックの発表は、ここにある。

8150億円の差の原因は、営業利益の減少額が1200億円とその15%に過ぎない。大きな原因としては前年度の法人税等が13億円に対して4114億円に増加したことがある。この税額増加は、繰延税金資産の取り崩しが関係している。4125億円を、この9月四半期ですでに取り崩しており、第2四半期で既に6851億円の純損失となっている。税額が増加して納付額が増えたのではなく、将来に課税計算上損金扱いできると計画していた繰越欠損金が、その見込みが確実でなくなったとしたことにある。

シャープも同様に、11月1日 日経 シャープ、赤字過去最大に 構造改革費追加計上など響く、(会社発表)となった。

どこか会社の方針が間違っていなかったのだろうかと思う。日本企業が、ガラパゴス化しているのではないだろうか。世界市場に目を向けず、世界との競争・競合を忘れ去った時は、井の中の蛙となり、たちまち苦境に立つ。

政府が10月26日付けの「経済危機対応・地域活性化予備費等の活用」という名称の閣議決定がをした。(ここ)この中に、家庭用エネファーム設置の緊急支援251億円という支出がある。これもガラパゴス的税金の無駄使いだと感じる。

1) エネファームとは

参考としてこの東京ガスの製品仕様(パナホーム製)からの情報に基づき考える。都市ガスを水蒸気改質して水素を取り出し、燃料電池でこの水素と空気中の酸素を反応させて電気を発生し電力を得る設備である。

ところで、この設備(エネファーム)とは、都市ガスから電力を作ると言えるが、熱も同時に発生する。ガス中の35.7%が電力となり、44.8%が温水(貯湯温度が60℃なので70℃程度が設備出口温度と思う)として得られる。100%から引き算をすると19.5%が利用できないロスとなる。

エネファームとは、コジェネレーションであり、ロス20%は、電力と温水をあわせた総合効率であり、80%は高いと言える。しかし、電力と温水は同時に生み出されるコジェネレーションであり、単独に電力又は温水が得られるわけではない。そこで、この設備の場合には200リットルの貯湯タンクがセットになっている。発電と同時に生み出される温水は200リットル貯湯タンクに貯蔵される。風呂他で40℃強のお湯を使う場合に、貯湯タンクの70℃の温水を水で温度を下げるとして1日あたりの70℃の温水使用量を計算してみると次のグラフのようになった。

Enefirm201110a
1日あたりのお湯の家庭での消費量は、バスタブに200リットル程度入れるのが多いと思うので、1日あたりのお湯の消費量は300リットル程度ではないかと思う。当然のことながら混合する水道水の温度が低ければ70℃の温水使用量は増加するし、夏のように温度が高ければ70℃の温水使用量は少ない。エネファームの場合、発電と温水発生が同時なので、温水使用量が少ない場合は、発電量も少ない。夏と冬で発電量が異なってくる。

そこで次のグラフは、70℃の温水使用量ではなく、その温水を発生した場合に発電される電力発電量のグラフとした。

Enefirm201110b_2
70℃温水使用量のグラフより発電量のグラフの傾きが急になったのであるが、これは水道水の温度が低いと70℃を得るためのエネルギー量が大きくなり、従い発電量も増加したからである。夏と冬の発電量の差が大きいのである。発電量とガス消費量は比例関係にあり、ガス消費量も計算できるが、ガス消費量をm3ではなく、単価を147円/m3として金額で上のグラフの右軸で表した。

いずれにせよ、夏は発電量が少なく、冬発電量が増加する機器である。(夏でも発生する温水を捨てれば、発電量を抑える必要はない。しかし、無駄にエネルギーを使うことになり、効率は悪くなる。)

電力のみでこの結果を評価すると、kWhあたり32.5円程度になる。東京電力の値上げ後の単価でkWhあたり26-27円程度故、エネファームからの電気は、温水を勘案して評価しないと、相当高いことになる。

2) 高効率ガス温水器

熱効率が95%程度の高効率ガス温水器が存在する。東京ガスのWebで見てもエコジョーズ24号が40万円程度である。一方、エネファームは276万円もする。熱効率では、高効率ガス温水器の方が高いこととなる。

3) エコキュート

ヒートポンプで温水を得る設備である。パナソニック・エコキュートのWebはこちらである。外気温等の季節条件や沸き上げ温度により異なるが、6.0kWの加熱能力に対して消費電力は1.2-2.0kW程度である。消費電力に対して3倍以上のエネルギーが得られるということである。

そうなると熱効率は、発電時及び送配電の総合効率を40%としても、120%の効率となる。熱効率の面では最も優れた設備と言える。

4) エネファーム、高効率ガス温水器、エコキュートの総合比較

比較をするのが一番よく分かるので、表にした。
Enefirm201110c_2

料金ではエネファームが一番安い。次にエコキュートが安いが、深夜電力との組み合わせによっては、料金が更に安くなるはずである。なお、設備費では276万円のエネファームや40万円の高効率温水器の間になるのが80万円程度のエコキュートである。一方、エネルギー消費で考えれば、家庭に届く電力が一次エネルギーの40%であるとした場合、エネファームが80%効率なので最も効率が高い。しかし、実は、この表を見て、それほど大きな差があると思えない。むしろ実際の使用条件によっては、逆転することもあり得ると思う。また、メンテナンス費用も考えねばならず、その面では温水器が一番安いはずである。

一般家庭におけるエネルギー使用のうち風呂の温水使用は大きな割合を占める。だから補助金を出して省エネを奨励するという考え方に立っている。しかし、一方で、その補助金とは税金である。それ故、有効に支出されねばならず、エネファームに50万円もの補助金とは疑問に思った。また、パナソニックとシャープの巨額赤字の報に接すると、日本の市場が補助金や再生可能エネルギーの電力高値買い取りによりガラパゴス化してしまって、かえって日本企業の力を弱くしているような懸念を抱いてしまう。

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