« 南山大学のデリバティブによる損失 | トップページ | 高橋亨平先生のご冥福を祈念申し上げます »

2013年1月28日 (月)

ボーイング787機への日本政府支援

日本語のロイターでは見つからなかったのですが、英語のReutersに次の記事がありました。

Reuters  Jan 28, 2013 Exclusive: Japan eased safety standards ahead of Boeing 787 rollout

「特報:日本政府によるボーイング787機の安全基準を緩和」とでも訳すべきでしょうか?

ロイター報道では、JALとANAの話として、両者とも従来通りの基準でメンテナンス・運行しており、緩和された安全基準は適用していないとしている。しかし、40以上の基準を緩和しており、そのうち5つの勧告(Recommendation)はB787を有利にしており、特に4つはB787に直接関係するとの部分は、事実なのだと思う。

B787には、ジーエス・ユアサの電池以外にも三菱重工業、富士重工業、川崎重工業、東レ、ブリヂストン他多くの日本企業が生産に係わっており、これらの会社の下請けまで含めると日本経済のなかでも相当大きなシェアを占めるはずである。日本の航空機産業は、中進国より日本の技術に競争力があると考えられ、且つ将来まだまだ成長が見込まれる分野であり、将来の日本経済の発展に貢献すると期待できる。航空機を全て製造し完成機をアセンブルしなくても、それぞれの会社がその得意な分野で活躍する分業体制でよいと考える。

B787については、製造初期でのJALとANAの発注・受け取り機数が多い。英語Wiki(ここ)によれば、2012年12月末現在の総発注機数848のうちJALが45機、ANA66機で、引き渡し済み49機のうちJAL7機、ANA17機である。(最大発注会社は米国の航空機リース会社ILFCで74機。但し、引き渡しは未だない。発注機数では、2位がANAで、Unitedが3位、JALが4位。引き渡し数では、1位ANA、2位JAL、3位Unitedである。)

Reutersの記事には、日本企業の製造参加割合はB767では20%以下であったが、B777で25%になり、B787では35%となったとある。日本政府が航空機製造産業の分野を支援するのは間違いではない。また、三菱重工業他の参加企業もJALとANAに対してB787の採用を強く要望したと思う。一方、JALとANAにとっても航空機製造参加企業は有力な顧客である。そのような関係が決して悪いとは言えないと考える。なお、JALとANAにはA380を保有しての大量顧客輸送事業を成立させるだけの企業力はなく、B787に飛びついた面もあるとは思う。最も、B787とAir Busの競合機は2014年1号機引き渡し予定のA350と言われてもいるが。

ところで、日本政府が緩和した安全基準の具体的な内容は分からないが、過剰な緩和であったならば問題視されねばならない。決して、新技術が優れているのではなく、ある分野では不透明な部分が常につきまとうのである。技術とは、使うことにより、問題点が発見され、修正することにより完成に近づくのである。高松航空緊急着陸は、直流に関連した部分の事故である。直流とは安全装置のラストリゾートである。直流が失われて事故となったのは、福島第一原発である。高松航空緊急着陸B787は、詳細は不明であるが、NO-BLEED SYSTEMであっても、破損した電池系統以外のシステムは大丈夫であったと考える。

航空機製造産業を日本の重要な産業の一つとして支援すると位置づけるためには、運行やメンテナンスの面での合理的な基準作りにおいても日本が貢献していくことが重要と考える。

|

« 南山大学のデリバティブによる損失 | トップページ | 高橋亨平先生のご冥福を祈念申し上げます »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/200131/56648137

この記事へのトラックバック一覧です: ボーイング787機への日本政府支援:

« 南山大学のデリバティブによる損失 | トップページ | 高橋亨平先生のご冥福を祈念申し上げます »