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2013年1月28日 (月)

南山大学のデリバティブによる損失

昨年7月21日に書いた南山大学の損失発表に関して南山大学関係者との名前で次のWebに南山大学が資産運用問題総括委員会報告書を発表したとの投稿があった。

http://www.nanzan.ac.jp/news/2012/20130125_oshirase.html

早速その報告書を読んで思ったことを以下に書きます。

1) デリバティブ損失額

報告書に次のように記載があり、損失額は229億円となっている。(原文を一部省略し短くしている。)

すべてのデリバティブ契約の解約を行いその結果、一連のデリバティブ取引による損失総額は約259 億7775 万円、利益総額は約30 億7935 万円で、結局のところ、差引約228 億9840 万円の損失でその処理を終えた。

2) デリバティブ取引についての委員会の見解

利益・損失の有無にかかわらず、南山学園はデリバティブ取引を行ってはならなかったと考える。」であり、正しい見解と考える。こんな常識的な判断ができなかったのは、証券会社のセールストークが上手であったこと、低金利下予算で計上した金融収益がなかったこと、担当者、担当理事、理事長他最高幹部がアホであったことがあげられるが、実は報告書に書かれている「デリバティブ取引には資産に当たるものがない」というデリバティブ(金融派生商品)の本質を誰も理解していなかったことになる。

デリバティブ取引については、会計上は正味の債権・債務で貸借対照表上認識し評価差額を当期の損益にすることになっているように、デリバティブ取引は通常契約時の決済と差額精算のみなので、資産運用ではないのである。例えば、米ドルの95円のオプション買いをするにしても、輸入業者がこのオプションを買う意味はあるが、運用として購入しても、購入費用をカバーする為替相場にならなければ損をするので、ばくちになる。南山大学が手を出したのは、そんな単純なデリバティブ取引でないと思うが、本質は同じ(ばくち)である。

3) 理事、理事長等幹部の責任

報告書は「財務担当理事、理事長および常務理事には、南山学園に対して損害を与える意図は全くないので、刑事責任を基礎付けるような事実は全く認められなかった。」と述べており、この部分については、そうであろうと思う。しかし、民事責任についても「損害賠償責任等の民事責任を問うに足りる事実を立証することには困難を伴うという結論に達した。」としており、これでよいのだろうかと疑問を抱いた。

勿論、私は、南山大学の関係者ではなく、この民事賠償について発言権を有していない。判断すべきは、南山大学の理事、職員、学生、卒業生、学資を支払っている親であり、そのような関係者が判断すべきであり、それを資産運用問題総括委員会が安易に結論づけて良いのだろうかと思うのである。個人から賠償を受けても、その結果得られる金額は少なく、229億円に遠く及ばないし、もしかしたら既に個人財産を処分してある程度の賠償をされているかも知れない。

それでも、あえて言えば、229億円の損失はビジネスでもたらせたのではなく、本来してはならないことをして発生したのである。他の大学だったら、どうするのだろうかと思う。実際、2008年11月19日 駒澤大学154億円損失に思う2008年11月24日 立正大学の148億円損失についてといようなのを書いたことがありました。

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