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2013年6月14日 (金)

成長戦略の最重要事項は給与アップを目指すことである

「アベノミクス」の「第3の矢」と報道されている「成長戦略(案)」を、総理大臣を本部長とする日本経済再生本部が6月12日に発表した。(このページからダウンロード可能。)

日経 6月12日 首相「次元違うスピード感で」 成長戦略を取りまとめ14日に閣議決定

様々な戦略が記載されているが、やはり最重要なことは、我々の給与が上がることであり、給与アップを目指すべきであると考える。そして、そのためには、首相任せ、与党任せ、官僚任せでは無理であり、我々自身が自分の手でもぎ取るべく努力することも極めて重要と考える。

今回のブログでは、厚生労働省の毎月勤労統計調査の分析結果をお伝えすると共に、私のコメントを加えることとします。参考にしていただければと思います。

1) 給与金額はどう推移しているか

図表1が、1990年1月以降の毎月の給与金額です。

Salary20136a

現金給与とは、給与支払総額であり、残業料もボーナスも含んだ税引き前の金額です。従い、夏と冬に金額が増加している。夏の増加額が小さいのは、全ての平均であり、夏のボーナスは会社により6月支給の会社もあれば、7月支給の会社もあるためです。所定内給与とは、残業を含んでいない給与金額(税引き前)です。

失われた20年間には、給与が全く増えなかった。ボーナスもだんだん減少している。少しわかりにくいので、ボーナスを含めた年収で示したのが図表2です。

Salary20136b

デフレだから減少していてもよいではないかとの意見もあるでしょうが、最高の1997年と比較すると2012年は446万円から377万円へと15%のダウンです。これじゃ、生活を切り詰め消費を押さえざるを得ないし、妻はパート労働をせざるを得ないというのが実情に思えます。(なお、このグラフは毎月勤労統計調査の歴月の平均月額を12倍した金額を年収としています。)

2) 労働者数

一体何人が給与所得を得ているか、毎月勤労統計調査からのデータです。

Salary20136c

厳密には、人数は調査産業の合計であるが、2013年3月末で45,475千人。うち一般労働者が32,098千人で、パート労働者が13,377千人となっている。2013年3月の業種別の労働者数は図表4の通りです。

Salary20136d

労働者のほぼ30%がパート労働者で、しかも飲食サービス業に至っては、77%がパートさんであり、卸売業、小売業も小売業のみのデータがないが、あればおそらくパート割合が相当大きいと思います。

なお、毎月勤労統計調査におけるパート労働者とは、1日の所定労働時間が短い労働者または1週間の労働日が短い労働者です。残業を含む労働時間は図表5の通りです。

Salary20136e

3) 一般労働者とパートタイム労働者の給与

図表5にあるように労働時間が異なるので、一般労働者とパートタイム労働者の給与を比較するため、時間外を含む給与額を労働時間で割った時間当たり賃金(時給)を示した図表を作成した。なお、ボーナスは含んでいない。

Salary20136f

時間当たりの給与額は、一般労働者とパートタイム労働者で見事に分かれました。勿論、平均であり、平均より上の人も、下の人も存在する。しかし、平均が一つの重要な指標であることに違いはない。

成長戦略の一つに、パートタイム労働者の給与アップが含まれるべきであると考える。当然、3号被保険者制度は廃止すべきである。パートタイム労働者の給与があがれば、年金財政も改善するし、医療保険財政もよくなるし、税収も増加する。消費も増え、国民の生活もよくなり、景気もよくなる。日本が不況から脱出できない理由の大きな要因として、パートタイム労働者の低賃金労働があると思う。その証拠が、図表3である。1990年には、パート労働者は、475万人と現在の1317万人の3分の1近くであった。

このパート労働者には、主婦パートだけではなく、数ヶ月単位の労働にもつけない若者も含まれているはずである。パート労働者を使うと、企業にとっては、経費面でメリットが大きいのである。企業負担の厚生年金と医療保険がないので、それだけで人件費が10%安い。しかし、その結果は、他の企業や国民全体の負担になっているのである。そして、ひいては労働市場の単価を安くしているのである。図表2で全労働者の平均給与のグラフを掲げているが、だんだん平均が安くなっている理由の中に、低賃金パート労働者の増加がある。

やはり給与生活者の収入増を目指すことは成長戦力において、重要なことと考えます。

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