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2013年6月22日 (土)

JR東海リニア中央新幹線の電力消費および経済性

先日(6月3日)に山梨リニア実験線に営業車両の原型が投入され、9月からは、42.8kmに延伸した実験線において、営業最高速度の500km/hでの約2分間の走行試験をも実施予定であるとのニュースがあった。

日経 6月3日 JR東海、リニア500キロ走行に向け試験本格化

日テレ・中京テレビのニュースは6月21日に開催されたJR東海の株主総会ではリニア中央新幹線についての質問も相次いだと報じている。

日テレ・中京テレビ 6月21日 JR東海の株主総会、リニアへの質問相次ぐ

未だ、試験段階であり、JR東海は実施を決定したわけではないが、気になることが多いのである。

1) リニア中央新幹線の電力消費

国土交通省に中央新幹線小委員会が2010年3月に設置され、2011年5月までに計20回の委員会が開催され、2011年5月12日にこの答申が出された。委員会での配付資料や議事録は、この国土交通省のWebからダウンロード可能である。

本来であれば、答申に中央新幹線の電力・エネルギー消費の予測がその根拠と共に記載されていなければならない。しかし、答申が出された同日の2011年5月12日の第20回配付資料に含まれているパブリックコメント結果報告には、17番目のコメントとして「消費電力と電磁波の影響が公開されるべき」とあり、最終ページに次の表がある。

Choulinear20136a

単位がエネルギー単位(電力の場合は、hが加わったkWh)ではなくkWになっている。500km/hでの走行時に35MWとあるので、もしこれを平均エネルギー消費とするなら40分の所用時間を12分間隔(5本/時間)で運行するなら片道3.3列車で往復6.6列車となり、それに35MWを掛けると233MWになる。実際には、加速時と登坂時に多くのエネルギーを必要とし逆に減速時と下り坂ではエネルギー回収が可能である。いずれにせよ、この270MWや740MWは、電車のみの平均エネルギー消費としての大雑把な計算と思える。

参考まで、東海道新幹線N700系であれば、1列車は平均8~9MW程度である。従い、列車のみで考えて、レール式電車の3倍以上のエネルギーを必要とするように思える。速度が違うので、距離で考えると差は縮まる。

本題は、これではなく、超伝導の維持エネルギーである。2005年5月の記事であるが、Nikkei BPnet リニアモーターカー用の「高温」超伝導磁石、JR東海によれば、高温超伝導磁石を開発したとあるが、マイナス253度である。LNGが、マイナス162度であるから、高温と言っても、極低温というのが実際である。保温材で温度が上昇しないようにするが、常時冷却することが必要である。2011年2月28日の委員会の配付資料にコスト低減等への取り組みについてがある。この12ページに液体ヘリウムを使わない直接冷却のことも書かれている。もし、温度が上昇したならば、コイルから熱が発生し、電気抵抗は大きくなり、たちまちリニア新幹線は運転できなくなる。また、メンテナンス時には、常温にせざるを得ないかも知れない。そうなると、この1週間は、リニア中央新幹線運休しますなんて発表が相次ぐ気がする。

中央新幹線小委員会の議事録や資料を読んでも、極超低温のことについては、私の見落としがあるかも知れないが、全く触れられていない。リニアモーターそのものには技術課題はないはずである。しかし、超伝導の利用に関しては、例えば、粒子加速器での利用はあるが、点の設置であり、鉄道のような線の設置ではない。新規技術の利用については、大きなリスクがあることも忘れてはならない。

なお、上に書いた270MWや740MWは、冷却に要する電力も含んでいる可能性もある。しかし、その場合は、電車が走行していても、いなくてもほとんど変化がなく、1日中、365日絶え間なく多大の電力を消費するお化けである。一旦、停電が起こると、1週間以上の運休となるので、電力不足の際は、一般家庭30万戸を停電にすることになるかも知れないことを危惧する。

JR東海も国土交通省も上に書いてあることに対して、技術データを含め情報を開示して欲しい。

2) リニア新幹線の経済性

資料を読むと気が狂っているのではと思ってしまう。次の2つの表を見てください。

Choulinear20136b
Choulinear20136c

上の表は答申からで下の表は第3回配付資料からです。維持運営費は、一番コストが小さくて済む南アルプスルートでさえ年間3080億円になっており、更に設備更新費が1年当たり1210億円となっている。一方、収入増は2720億円なので、誰が考えても収支が合わない。2720億円の収入の根拠金額(すなわちx1.1x1.15の元となる額)は東海道新幹線の収入金額ではなくJR東海のバスを含む全ての収入金額です。

取締役選任決議案がよく株主総会で可決されたと思います。もっとも、こんなことを言うと、なぜ株主総会が終了してから書くのだと叱られそうですが。

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コメント

超伝導磁石は車両に搭載でガイドレール側ではありません。よってメンテ時の運休期間や無走行時電力消費のそのような心配は無いと思いますよ。また、磁力と電磁波は同一視するものでもないと思います。超伝導磁石の冷却用液体窒素はランニングコストに入るでしょう。

投稿: サトウ ススム | 2013年7月25日 (木) 07時52分

記事を拝読しましたが、リニア新幹線を走らせる消費電力は現行の東海道新幹線の比ではないかも。難点は、何といっても建設費がネックになるのと、車窓の風景を眺める見込みが無い点です。

投稿: 格安チケット 東海道新幹線 | 2013年8月 2日 (金) 09時12分

格安チケット 東海道新幹線 さん

コメントをありがとうございます。

もしかしたら、次期東海道新幹線は、JR東海ではなく、全く新しい会社が事業をすることにした方が、良いかも知れないと思いました。

そうすると、通常のレール鉄道とするか、磁気浮上とするか、基本に立ち返って検討をするので、情報も開示されやすいし、よりまともな判断が下せることが期待できる。

そして、何より現東海道新幹線と競合が生じるのであり、格安チケットを含め、合理的になることも期待できると思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2013年8月 2日 (金) 14時45分

もういらない

南アルプスに穴をあけるべからず。

東海道新幹線の大改修を如何に利用客の影響を最小限にして行うのか真剣に考えられたし

投稿: 鉄道ファン | 2013年8月29日 (木) 22時58分

鉄道ファン さん

コメントをありがとうございます。

東海道新幹線の大改修は、リニアと切り離して、何時どのように実施するのが、現状の計画を説明し、利用者の支持を得るべきと私も考えます。

投稿: ある経営コンサルタント | 2013年9月 1日 (日) 17時04分

N700系のモータの数
305kW×56 = 17,080kW(Z・G・N編成)16両(電動車14両)
305kW×32 = 9,760kW(S・R編成)8両
-----------------------
リニアの消費電力が、N700系16両に相当する定員時の数値ならば、最高速度を比較すれば、リニアの消費電力は妥当な数値だと思います.
(速度が2倍ならば、2倍電力を消費して当然です.そのかわり電力を消費する時間は半分になります)

それはそれとして、
南アルプスに穴をあけるべからず、に賛成です.

投稿: ルミちゃん | 2013年9月24日 (火) 04時46分

ルミちゃん

コメントをありがとうございます。

実は、9月になってJR東海が環境影響評価準備書を公表し、その中に、答えが書いてあるのです。

東京都の部分では、ページ環14-2-1の図14-2-1をご覧ください。CO2排出量(一人あたり)東京~大阪間 として、新幹線N700系「のぞみ」が7.1kg-CO2/人であり、超伝導リニアが29.3kg-CO2/人となっています。

従い、同じではなく、超伝導リニアは新幹線のぞみの4.1倍です。前提として、新幹線も超伝導リニアも同じ乗車率61.2%を使っており、CO2排出量の係数は同じ電力ということになるので、超伝導リニアは新幹線のぞみの4.1倍の電力消費が正しいと考えます。

投稿: ある経営コンサルタント | 2013年9月24日 (火) 15時58分

輸送需要量
 平成57年がリニアと在来の新幹線として出ていますが在来が現状の予測なのか、リニアに需要が移動した需要なのかわからない。人口は急速に減少する。需要は人口と関係するが57年だけでは人口との関係が分からない。時系列予測が知りたい。
費用、CO2排出量
 建設、維持費用、CO2排出量ともリニアが多くなっている。超電導で電気損失がなくなるから維持費用の要らない磁力が得られると思っていた。コスト分析が知りたい。
 人口減少に新幹線はいらないと思っていた。
 

投稿: 伊東 孝 | 2013年10月22日 (火) 18時16分

需要予測
 リニア、在来の平成57年が出ているが在来予測は現状予測なのかリニアができて減少するよそくなのか。需要は人口の影響を受けるが、減少に向かうことが明らかな時系列予測が欲しい。
費用、CO2発生量
 建設、維持費用、CO2発生量ともリニアが多くなっている。超電導を利用するので減少しない電流による磁力の利用できる夢の動力と思っていたが、コスト分析、CO2発生理由を教えてほしい。
 人口の減少する狭い日本にこれ以上の新幹線は要らないと私はお思っていた。

投稿: 伊東 孝 | 2013年10月22日 (火) 18時32分

 速度が2倍になれば消費エネルギーは4倍になる。軌道との摩擦力がともなう新幹線とは一概には論じれないにしても重力ポテンシャルに反して常に浮上し続けるエネルギーを考えればリニアの消費電力は狂気の沙汰だ。商売にならないだろう。

投稿: にっく | 2014年4月15日 (火) 00時26分

皆様、速度ちうのをナメきっとりゃせんですか(・。・? 140km/h超えたら航空機事故みたいな有様になります。小生ソノ速度から横転した車両の片付けした経験有り。福一事件を経験してまだ遠隔操作に懲りませんか(?。?バカ丸出し

投稿: 頭の悪いおぢさん | 2014年5月15日 (木) 15時00分

頭の悪いおぢさん様

コメントをありがとうございます。

観点を変えて、リニア新幹線の経済性について一度書いてみたいと思います。JR東海がリニア新幹線により赤字に陥り、JAL再生のようになることの恐ろしさです。すなわち、国民の税金を投入し、今のJALのように税金を払わなくても良い会社になる場合です。結局は、将来の国民の負担になる。人口減社会での話で大変です。
今の東海道新幹線も運行を続けるし、その費用も発生するのです。そう言った可能性をそのうちに書いてみたいと思います。

投稿: ある経営コンサルタント | 2014年5月17日 (土) 12時00分

リニアー新幹線は凄い技術だ!
だが、出来上がって運営する時はどうなるか?
1。建設費は最終的に2倍になる。ーコストが上がる要因のみ
2。電気を起こす費用は2倍になる。ー発電のコスト上昇
3。乗車需要は予想の1/2になる。ー従来の新幹線で良い。人口減。NON-ECO.
4。電気量は新幹線と較べ一人を同じ距離に運ぶのに4倍以上必要になる。

リニアーの駅の近くの人達は時短が大きいが駅まで1時間かかる人の時短効果は少ない。電気を4倍以上の無駄をしてリニアーに乗る気がしない。
リニアーは日本の常識が無くなって行く最先端の計画と思っています。

革新的で世紀の事業をしていると思っている方達には欠点は見えないかも知れない。見えていても見ないのかも知れない。
電気の食い過ぎで廃線になるのではと危惧する。

投稿: バブル経営に反対 | 2014年9月23日 (火) 09時02分

経費だけを考えたらバスや電車だけで良いはずで、飛行機(旅客機)や新幹線は生まれなかったと思います。

数億円の経費も、労働力には新たな雇用が生まれますし女性の社会進出も促進されます。

切符の料金が高くても利用てくれる人が増えれば良いですね。
流石に、停電は無いでしょう。
リニアができる頃には一家に一台太陽光発電も普及してると思いますし。

コンサルタントを仕事にしているようですが、コンサルタント業ならリニア駅付近の観光地が盛り上がるように外国人客を誘致するとか良いアイディアに期待してます。

投稿: ぴーしー西谷 | 2014年9月25日 (木) 16時12分

大電力はJR東海が自前で新規供給するのでしょうか?
中電の浜岡原発も東電の柏崎原発も充てにしている動きのようで整合していない!!

投稿: J-ship | 2015年5月30日 (土) 03時02分

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