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2013年8月12日 (月)

東京電力福島原発の汚染水流出問題から思う

東京電力福島原発からの汚染水流出については、政府も腰を上げ、様々な検討がやっと始まるようである。

日経 8月8日 首相「汚染水、東電任せにせず」 国が前面に

私としては、当然のことと考える訳で、7月24日の東京電力財務諸表から読み解く福島原発事故に書いたように、財源についての当事者能力を失っている東京電力に責任を押しつければ、そのツケは国民に跳ね返るのであり、合理的な解決を図るべきである。即ち、東京電力による累計補償支払額は2014年3月末には3兆7893億円に達する見込みであり、この金額には汚染水料出対策費用や廃炉のための費用を含んでいない。そして、東京電力を倒産させると廃炉ができないことや、放射線汚染対策もできなくなる大問題に遭遇する。

1) 基準適合の海洋放出は当然の答え

日経 8月9日 政府、9月に海洋放出で具体策 福島原発の汚染水 にある「基準値を下回る地下水の海への放出の可能性も含め早急に検討したい」は、当然の答えであると考える。これができなければ、何のための基準であるのか、基準が間違っているなら、基準を訂正すべきであり、合理的な考えができない社会の不合理であり、不幸に陥るのみである。

原因は、東京電力による地元の漁業協同組合への説得失敗によるのか、不合理な地元漁協の対応であるのだろうか。説明がつかない風評被害による将来の増税と電気料金値上がりを国民が賛成するとは思わないのであるが、無責任体制においては、将来の不幸へと世の中は動く。

汚染水の海洋流出は、8月3日の時点では日経 8月3日 福島第1の汚染水、地下の遮水壁越え海に流出かのように1日に100トン程度との話であった。ところが、8月7日には日経 8月7日 福島原発の汚染水、1日300トンが海へ 経産省試算 のように推定値は3倍になった。

日経 8月9日 護岸の地盤改良完了 汚染水くみ上げへ 福島第1原発のように、地下水に高濃度の放射性物質が検出されているなら、それをくみ上げて流出を防ぐ以外に方法はない。しかし、くみ上げても、流れ込んでくる地下水の量が増加するので、いたちごっことなる。流れ込まないように、汚染する手前でくみ上げて海に放出する方法が望ましいはず。

冷凍遮水壁も検討されているようであるが、効果が見込めないのであれば、実施すべきではない。コンクリート遮水壁の法がよほど効果があると思う。いずれにせよ、東京電力に全てを任せるのではなく専門家による検討とその結果の公表を望む。

2) 民主党政権の悪夢を断ち切るべき

事故が起こった時、全ては東京電力の責任であるとして、自らの任務を放棄した前政権のやり方は絶対にすべきではない。国民の幸福を追求するためには、何をすべきかを基準に考えるべきである。

企業がすべきことと政府がすべきことは、同一ではない。その役割に違いはあり、最も合理的な役割を果たすようにせねばならない。そして、その際において、法案の国会提出権を有し、広範囲にわたる様々な組織を動かすことができる政府が中心的役割を果たすべきと考える。

国民の幸福の追求というテーマにおいて一企業に判断を委ねることは、おかしいと考える。

3) 未来のために

事故原因の追及をしなければならない。単純に東京電力が悪かったでは、将来に何も残さない。東京電力の株主総会が6月26日に開催された。その全議事録として東洋経済OnlineがWebに掲載している。その中に、緑の党グリーンピースジャパンの質問がある。原子炉の設計や建設、設備、保守サービスなどが、福島原子力発電事故の原因に関係していたかどうかの調査を東京電力は当事者として進めていくべきであるとの意見であり、東京電力の第89回定時株主総会開催ご通知を読むと、定款変更を求める提案であることから、定款変更で対処することは適当ではないとして取締役会は反対したとある。(議事録の当該部分はこのページの下の方から始まります。)

東京電力は、定款変更の必要性は認めなかったものの、原子炉の設計や建設、設備等の事故原因の可能性調査については調査を継続するとの回答と理解する。交直全ての電源が失われ且つ設備も地震と津波による損傷を受けていた。シビアな状態が重なったのは確かであるが、日本に地震があるのは常識であった。事故からは、少なくとも、未来のための教訓が残らねばならない。福島事故の後に残されている課題は、除染と廃炉作業のみではない。未来のために事故を分析し、事故が発生しないための成果を残さなければならない。

6月11日に米サンオノフレ原発廃炉決定から考える原子力リスクを書いたが、LA Times 7月18日  Edison starts legal action in San Onofre nuclear plant shutdownによれば、三菱重工への損害賠償手続きを開始したようである。サンオノフレ原発の蒸気発生器問題は、単純な問題なのか、原発に起因する特有の問題を持っているのかよく分かっていないが、裁判で争うことで明確になるなら、それも良いと思う。

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