国連の核兵器無存在地域
広島と長崎原爆について語られることが多い8月初旬です。国連に核兵器軍縮廃絶に関係しているUNODA(国連軍縮部)がある。広島・長崎に関しては、よく報道されるが、国連UNODAの核兵器廃絶活動に関しては、報道されることが少ないと思うことから、Webから読んだ情報を書いてみたいと思います。
1) UNODA(United Nations Office for Disarmanet Affairs)
UNODAを外務省は、日本語で国連軍縮部と訳している。UNODAのWebホームページは、http://www.un.org/disarmament/であり、核軍縮廃絶・不拡散、大量破壊兵器・化学・生物兵器の軍縮廃絶と通常兵器特に内戦・内乱で多用される地雷や小兵器の軍縮廃絶を推進している。
2) 無核兵器地域
UNODAのこのWebには無核兵器地域(NWFZ: Nuclear-Weapon-Free Zones)が書かれている。無核兵器地域とは、国連総会において無核兵器地域と認定され、条約等により核兵器が存在していないことが取り決められており、核兵器が存在しないことが査察を含め確認が可能である国際的な手段が存在していることが条件となっている。
具体的には;
a) 中南米33諸国: Treaty for the Prohibition of Nuclear Weapons in Latin America and the Caribbean (中南米諸国ほぼ全て)
b) 南太平洋13諸国: South Pacific Nuclear Free Zone Treaty (オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、クック諸島、フィージー、サモア、ソロモン諸島、トンガ他)
c) 東南アジア10諸国: Treaty on the Southeast Asia Nuclear Weapon-Free Zone(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)
d) アフリカ52諸国: African Nuclear-Weapon-Free Zone Treaty(調印したが未批准の10国あり)
e) 中央アジア5諸国: Treaty on a Nuclear-Weapon-Free Zone in Central Asia (CANWFZ)(カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)
f) モンゴル: 2001年1月12日国連総会決議 55/33
g) 南極: 南極条約
h) 月を含む宇宙: 宇宙条約(月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約 )
i) 海底: 海底軍事利用禁止条約 (Treaty on the Prohibition of the Emplacement of Nuclear Weapons and Other Weapons of Mass Destruction on the Sea-Bed and the Ocean Floor and in the Subsoil Thereof )
g)、h)、i)は特殊な所でありますが、この9地域が無核兵器地域です。外務省の説明はここです。 外務省は、非核兵器地帯と呼んでいる。
3) 日本は無核兵器地域外
国連の関係において、日本は無核兵器地域にはなっていない。何故か、一つのヒントはこの2013年4月25日の産経記事:人類共存へ核不使用を NPT準備委で共同声明 日本、賛同国に加わらずにあるが、よく分からない。朝日は、この8月6日の記事で、その理由について「米国の核の傘に依存する安全保障政策への配慮からだった。」と報道している。
広島、長崎の原爆の日に、追悼や誓いだけではなく、日本政府に国際的な活動として何を求めるのか、米国の核の傘とは何であるのか、国民の間でよく議論すべきであると考えます。
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コメント
日本が賛同国にならないのは、抽象的な「核の傘」等では無くて、日本にある米軍基地や第七艦隊の艦艇には核兵器があるからでしょう。
第七艦隊には、当然、原子力潜水艦が含まれますし、核兵器を装備しているのは当然です。 第一、横須賀を母港にしている原子力空母には、核兵器が登載されているのも当然でしょう。 空母自体が、核兵器なのですし。
海兵隊等でも、各種武器には、劣化ウラン弾を発射可能な武器が多くあり、これ等も核兵器の範疇でしょう。
これ等の存在を承知していて、賛同国にはなれないのは当然で、未だ、良心的とも云えるのではないのでしょうか。 国民が、その意味を理解しているのかどうかは不明ですが、、。
投稿: とら猫イーチ | 2013年8月 9日 (金) 16時16分
無核兵器地域は、一国だけではなりません、条約締結が必要です、他の国が必要です。北アジア3諸国というのを、ですが、日本、韓国、北朝鮮ですから、中国の協力がないと、北をは・・・。もっとも、日本には米国の海軍母港があり、基地があるので、はたして。
投稿: omizo | 2013年8月 9日 (金) 20時24分
とら猫イーチ さん、omizo さん
コメントありがとうございます。
一国だけで、無核兵器地域となっているのが、f)に書いたモンゴルなんですね。国連決議がなされているので、一国だけでも国連の無核兵器地域として有効であると考えます。
日本に寄港する米軍艦船(特に潜水艦)には、核兵器が搭載されていると考えるのか当然かも知れませんね。と言うことは、やはり日本人の多くは核戦争はヤムを得ないと考えているのか、私にはよく分からなくなるのです。
8月9日の長崎市長平和宣言には、本年4月の日本政府の対応について次の文章が入っており、一歩踏み込んだとは思いますが、その前にすべき日本の核兵器政策の論議が全くされていないからなのでしょうか?
「しかし、日本政府は署名せず、世界の期待を裏切りました。人類はいかなる状況においても核兵器を使うべきではない、という文言が受け入れられないとすれば、核兵器の使用を状況によっては認めるという姿勢を日本政府は示したことになります。これは二度と、世界の誰にも被爆の経験をさせないという、被爆国としての原点に反します。 」
投稿: ある経営コンサルタント | 2013年8月10日 (土) 00時50分
モンゴルは、隣接する常任理事国のロシア、中国が承認していますし、異議は常任理事国及びどの国からも出ていません。 で、日本の場合に、ロシア、中国の承認が得たとして、安保協定がある米国の承認が得られるのだろうか?。北朝鮮からの異論はどうでしょう。また、商業原子炉を持つ国で、あるかどうか?。
投稿: omizo | 2013年8月10日 (土) 22時49分
omizo さん
日本の場合について、私は、無核兵器地域になるのは、米国が許さないと思います。勿論、安保条約を破棄して、そのように無核兵器地域になるというのも、国民が合意しての選択肢の一つになると思いますが。
もし、日本が無核兵器地域になろうとするなら、台湾、韓国、北朝鮮を含めて4国地域を無核兵器地域にする外交努力をすべきと考えます。核保有国である米国と中国は絶対にならないし、放棄しないはずですから。この4国地域で無核兵器地域とすることを合意できたなら、米国も中国も認めざるを得ないと私は思いますが、いかがでしょうか。
原発と無核兵器地域との関係ですが、南アフリカには1984年と1985年に運転を開始した930MWと900MWの原発があり現在も稼働中です。従い、私は、原発と無核兵器地域との直接の関係はないと考えます。なお、プルトニュームの扱いについては、国際的な厳しい査察と管理に置かれるが、無核兵器地域になっているかどうかとは、無関係に厳しい管理下にあるべきです。
投稿: ある経営コンサルタント | 2013年8月10日 (土) 23時44分
台湾を入れると、中国が強固に反対するでしょし、韓国は米国が反対す可能性が。 北東アジア圏は、中国、ロシア、米国の思惑が高度に絡んでますし。
南アフリカ原発は、稼動中のものはフランス製ですが、 現在、原発製造国の思惑が絡んでいますので、裏事情は、どうなんでしょう。 常任理事国の原発利権から承認と言うかんも。
投稿: omizo | 2013年8月13日 (火) 10時19分
omizo さん
何度もコメントをありがとうございます。
表だっては、どの国も核兵器を積極的に使用するとは、言えないのであり、それを逆手にとって、日本の外交が積極的に何かができないか期待したいのですが。
そんな期待を込める日が、広島と長崎の日であり、被爆体験を語ることで終わってしまっては、もったいないと思います。
投稿: ある経営コンサルタント | 2013年8月13日 (火) 16時10分