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2013年9月24日 (火)

栃木県の黒部ダム

あまり知られていないようですが、栃木県に黒部ダムという名前のダムがあります。次がその写真です。

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ダムの表面が石張りで、周囲の自然にとけ込んだこぢんまりとした美しいダムです。日本ダム協会のダム便覧(日本のダム)によれば、ダムの高さは28.7m、堤頂長150mで、総貯水容量2,366千m3ですから、例えば富山県の黒部ダム(高さ186m、堤頂長492m、総貯水容量199、285千m3)と比べると、とても小さなことが分かります。

ダムの所在地は、次の場所です。

住所は、日光市日蔭で、鬼怒川の上流地域の標高約700mの地点にあり、すぐ近くに日光市栗山総合支所があります。公共交通機関としては、鬼怒川温泉から女夫渕行きの日光市営バスに乗り、栗山総合支所前で下車して、停留所から少し先です。車であれば、鬼怒川温泉から川治ダムの方へ向かい、青柳平のバス停の所を右の方へ入っていくとすぐです。又、日光霧降高原の方から霧降高原道路を通り、大笹牧場を経由しても行くことができます。鬼怒川の最上流には、川俣温泉、平家平温泉、女夫渕温泉、更に奥に(女夫渕温泉から徒歩となりますが)八丁ノ湯があり、これらは山奥の静かな情緒ある温泉宿で、更に奥には山小屋日光沢温泉があります。温泉に一泊し、その際に、黒部ダムで一時停止するのも趣があるかも知れません。なお、更に鬼怒川を源流までたどっていくと有名な湿原の鬼怒沼まで歩くことができます。本当に自然豊かな美しい地です。

1) 黒部ダムの歴史

もう少し紹介していきます。栃木県の黒部ダムは、100年前の1912年の完成という日本で4番目に古いコンクリートダムなのです。ちなみに、1番古いのは神戸市の布引五本松ダム(1900年完成)、2番が長崎市の本河内底部ダム(1903年完成)、3番が神戸市の立ヶ畑ダム(1905年完成)です。

誰が、何のために黒部ダムを作ったのかですが、鬼怒川水力電気株式会社であり、小田急の設立時の親会社であり、小田急と合併しているので、小田急電鉄です。鬼怒川水力電気の創設者は利光鶴松氏で、略歴はNet検索すれば大量に見つかりますが、これを参考に上げておきます。ちなみに、利光鶴松氏は東京市街鉄道の役員もしており、東京都交通局の電気事業の歴史にも大正2年のこととして、「鬼怒川水力電気株式会社より受電開始、深川発電所閉鎖。」とあります。

では、鬼怒川水力電気の発電所とは、どこに存在するのかというと、鬼怒川温泉にあり、当時は下瀧発電所と言う名前で、現在は東京電力鬼怒川発電所です。鬼怒川水力電気の下瀧発電所は、戦前の発送電国有化政策により日本発送電に買収され、戦後の9電力体制発足において東京電力の発電所となったのです。

2) どのように発電するのか

黒部ダムのすぐ下流・栗山総合支所の東隣に沈砂池があり、黒部ダムの水はここから逆川ダムによる調整池に約7.5kmまたは約11kmのトンネルを経由して流れていきます。そして、逆川ダムの調整池から恋路沢の上流にある小さな池を通って鬼怒川温泉に所在する鬼怒川水力発電所に有効落差330mで流れ落ちて発電されるのです。水が流れ落ちる水圧鉄管(Penstock)しか見れないのですが、次の写真の中央の茶色パイプが水圧鉄管です。

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何故発電所が見えないのかは、現在では地下(多分地下50mぐらい)に発電所があるからです。鬼怒川水力電気下瀧発電所の当時は、発電所は地上にあったのです。これを1963年に東京電力が大改造を行い、それまで36.5MWであったのを127.0MWへと発電出力を3倍以上にしたのです。そのため、地下発電所として落差を大きくし、また黒部ダムから逆川ダムへ水を流入させるトンネルをもう1本掘削して、2本としたのです。

ちなみに、地形図を見ると黒部ダムから逆川ダムへの水路トンネルが2本あります。理由は、この発電出力増加に見合う水量確保のためで、直線的に延びている水路トンネルが1963年掘削のトンネルで山にそってカーブを描いているのが1912年完成のトンネルです。当時は、機械力をほとんど利用できず、ダイナマイトはあったものの人馬が活躍した工事でした。

1963年の発電所の大改造をあったが、黒部ダムは基本的に同じです。勿論、自然条件が変わっている訳はなく、流量や水量は同じです。落差を大きくした分は確かに発電量の増加にはなっているものの増加量は20%もありません。実は、発電時の水量を大きくしたのです。その結果、水を貯めておくだけの発電しない時間帯が多くしなります。しかし、これは大いに意味があるのです。例えば、太陽光発電を考えると夜間でゼロになり、曇が覆えば出力はたちまち下がる。これをカバーするには、発電出力を容易に調整できる発電機が必要です。また、電気の付加価値はピーク時に高いと考えると、付加価値の高いピーク時に多く発電できる能力を持つことが付加価値の高い設備となります。

なお、そんなに水の使用量を変化させると下流では困ることになるのですが、東京電力は1963年の鬼怒川発電所大改造と同時に鬼怒川発電所の南東5kmにあり、鬼怒川発電所の水が水路トンネルで運ばれていく西古屋ダムと塩谷発電所を建設しているのです。西古屋ダムと塩谷発電所は次の位置です。

なお、逆川ダムへ私は行ったことはないのですが、途中で車を降り、徒歩となるが、ダムには行けるようです。

3) 栗山発電所

黒部ダムのすぐ上流にあるのが次の栗山発電所です。そして、栗山発電所に流れてくる水は土呂部ダムからであり、更に土呂部ダムに流れてくる水はせき止めている土呂部川の水と川俣ダムにある川俣発電所からの発電放流水が地下水路トンネルを通ってやってくる水とがあります。

栗山発電所と土呂部ダムの写真も参考に掲げておきます。

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