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2014年3月10日 (月)

不公平なJALとANAの競争環境

日本航空(JAL)と全日空(ANA)の羽田発着の増加枠の割り当ては、ANAに有利な結果となり、JALは不公平が生じるとの見解を出していた。

しかし、実態としては、JALは有利な扱いを受けすぎており、このままでは日本の航空輸送が破滅する危険性があるとも言える。そのような見地で、3月4日の参議院予算委員会では、西田昌司議員(自民)が質問を行っていた。議事録は、未だ参議院Webに出ておらず、参議院TVのみでしか見れないが。

1) JALとANAの2013年3月期決算見通し

JALもANAも第3四半期の連結業績発表時に、2013年3月期の年間決算予想もあわせ発表している。JALは、ここにあり、ANAは ここにある。

その 2013年3月期の年間決算予想の比較表を作成した。次の通りである。

Jalana20143a

純利益は、JALがANAの10倍近くある。第3四半期の損益計算書をもう少し詳細に眺めると次のようになる。

Jalana20143b

単純に言えば、JALは営業利益と純利益がほぼ同額であるのに対し、ANAは純利益が営業利益の50%弱(厳密には47%)になっている。

2) ほぼ無借金経営のJAL

貸借対照を見ると、JALとANAの違いが明確に現れる。

Jalana20143c

JALは社債がなく長期借入金もANAの10分の1以下です。そして、JALが保有する現金預金は3665億円と、とてつもない金額です。

この差が、どこで現れたかと言えば、簡単である。2012年9月1日のブログ に書いたように、JALは会社更生手続き認可により87.5%の債務が切り捨てられ、資本は全額切り捨てられたからである。その上、6000億円程度に利益が累積するまでは、法人税が免除である。至れり尽くせりの手厚い保護を受けたJALである。

私は、このブログこのブログ  を書き、JALの会社更生法適用に反対していたが、当時の独裁政権は強行に推し進めた。債権者を泣かし、株主を虫けらのように扱った。被害者は、国民全員に及ぶような非常手段が採られた。銀行が更正法で債権切り捨てとなっても、半額近くは税金で戻ってくる。そして、債権者や株主が涙をのんであきらめた金額に相当する分は、こんどは法人税免除として国民の負担が増加している。

3) 日本の航空輸送業界

公正な競争市場があってこそ、その業界は発展するのである。税金を払う義務のない、資産を濡れ手に粟で手に入れた会社が業界に存在した場合、公正な競争市場が歪んでしまう。2013年3月期の年間決算予想は、西田昌司議員が質問で述べたように、おそろしい将来を予告しているのかも知れない。

ある時、JALが無借金且つ免税状態の有利な点を武器に、大口顧客に対して他社がまねできないような大幅ディスカウントを行っているとの噂を聞いたことがある。一方、こちらは私がヨーロッパ便で体験したことであるが、最近のJALの座席シートは良く、ビジネス席は横の客と隣通しにならないが、ANAは未だもう少し前世代の左右が同じ位置にある座席である。もともと、ANAは国際便でJALより不利な扱いを受けていることが多かった。ANAのロンドン便はヒースローではなくガトウィックで始まった。未だにパリ便は、JALがTerminal2に対し、ANAはTerminal1である。

様々なことがあるし、違って良いのであるが、市場での競争において、負債や税金条件が異なっていることは是正すべきと考える。

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コメント

まったくの素人ですが、御blog上の表の数字を追いかけると最近新株公開したJALがコストをかけず経営できているということが薄々わかります。2社の株価もあまりにアンバランス~一方は3桁他方はその20倍以上。まったく遜色のない同等のサービスを提供する競合相手同士としては府に落ちません。なんらかのかたちで優位な待遇をうけるのは当然だと思います。

投稿: kmetko | 2014年3月10日 (月) 12時05分

kmetko さん

コメントをありがとうございます。

この問題の解決は、容易ではないことから、悩ましいと思います。JALの株価は現在5000円を上回ったあたり。再上場時の公募価格が3790円なので、この時に購入した人は株価が1.3倍になっている。税金を払わない状態でJALが、株主配当をすることに抵抗はあるが、一般の株主にそんなしわ寄せをして良いかの問題はある。

ANAを破綻させても意味はない。かといって、JALに利益を積み立てても、その利益を処分する案を立案する主体者はJALの取締役会であり、社会全般の利益や国民全体に広く利益が行き渡るように配慮する必要もないし、また、そのようなことをするのが株式会社の取締役会でもない。

元は言えば、拙速に旧JALを破綻させてしまったことにあると私は思っています。それからすれば、現状についても拙速につたない解決策を求めるよりは、ある程度の時間は要しても、納得がいく解決策を立案していくしかないと考えます。

投稿: ある経営コンサルタント | 2014年3月10日 (月) 13時58分

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