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2014年5月 4日 (日)

憲法解釈

憲法解釈の変更なる言葉が使われているが、ある違和感を感じざるを得ない。日本国憲法は紙の上の文章であり、文章であるからこそ、解釈が伴う。憲法とは、国を定める最高法規であり、日本国憲法第98条に「この憲法は、国の最高法規であつて、・・・」としている。そして、憲法前文は「日本国民は、」という文章で始まり、この文章は「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」で結ばれる。

すなわち、日本国憲法は、国民が定めたのであり、それをどう解釈するかは、政治家、内閣あるいは政府の手にあるのではない。国民の手にあるのである。一人一人、解釈が異なるかも知れないが、ここまでは許される範囲とすることもあり得ると考える。しかし、それでも、それを決定するのは、国民である。以下、憲法記念日を少し過ぎたが、思うことを書いてみます。

1) 日本国憲法の制定

朝日新聞の意見を述べているのではないがこの5月4日の記事 に『「占領軍の素人が数日間でつくり、押しつけた憲法」。改憲を求める人々は、現行憲法をこう批判する。』とある。中には、そのように思っている人もいるのであろう。事実は、1946年2月13日にGHQは日本政府に対してGHQ草案を提示した。その後、日本政府は1946年6月8日に枢密院で起立(賛成)多数により修正内容を盛り込んで可決した。(参考:読売新聞 1946年6月9日(国会図書館Web) )政府は6月20日に帝国議会へ帝国憲法改正案を提出した。

衆議院は、1946年8月24日に帝国憲法改正案を修正議決した。そして貴族院は1946年10月3日に修正議決を行い可決した。これらの帝国議会での修正議決の結果、10月2日に枢密院に再諮詢され、1946年10月29日、枢密院本会議において、全会一致で可決された。

日本国憲法は、1946年11月3日に天皇の裁可、公布となった。(参考:日本国憲法公布 官報 1946年11月3日(国会図書館Web)

GHQ草案と現行の日本国憲法の各条の文章がどのように改正されたかは、4) に各条の比較を掲げているので、参照ください。

2) 憲法第9条

憲法第9条については、GHQ草案をめぐっての国内の議論でも存在した。1946年4月15日の憲法改正草案の枢密院審査委員会審査記録(未定稿:この国会図書館Webより )には、次の記載もある。

林 国号の点と難解なる字句の点はお答を諒とする。他の点は議論になるので一応以上に止める。 戦争抛棄に付自衛権はない様にとれる。世界の公正と信義に託するとは理想郷にすぎる。第九条に第一項の外第二項あり。故に自衛戦は出来ぬことになるか。

松本 第一項は戦争を仕掛ける方の抛棄なり。この外第二項があるが、これは外国から戦争を仕掛けられたとき、立ち上らぬと云ふ事ではない。この場合反抗することは当然なり。只軍備をもたぬ、その結果として交戦権ももたぬと云ふ丈なり。それなら自衛権ありと書いたらどうかと云ふと、これは又自衛権の名にかくれて戦争をする事になる虞があるから賛成出来ない。

一方、衆議院の1946年8月24日の決議で、第2項に「前項の目的を達するため、」が付け加わっている。QHQ草案の第9条に相当する部分は、4)の比較表の通りであるが、英語では次の通りであった。

War as a sovereign right of the nation is abolished. The threat or use of force is forever renounced as a means for settling disputes with any other nation. No Army, Navy, Air Force, or other war potential will ever be authorized and no rights of belligerency will ever be conferred upon the state.

”belligerency”なんて、難しい英単語もあるが、rights of belligerencyで交戦権ですか(あるいは交戦状態ノ権利ですか)、英語で読むとなるほどと感じるところもある。主権とは、sovereign rightのことなのだとか。

3) 憲法維持・改正

日経に5月2日 憲法「維持」が過去最高、「改正」と並ぶ 本社調査 との記事があったが、憲法をよく知ることは重要です。

4) 日本国憲法とGHQ草案との比較

最後に日本国憲法とGHQ草案の比較を掲げる。詳細な資料は国会図書館の日本国憲法の誕生 にあり、様々な資料をWebで読むことができる。

Constitution_and_ghqdarft_2

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