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2014年8月23日 (土)

福島第一原発吉田調書

吉田調書が公開される見込みであることの報道があった。

毎日 8月23日 福島原発事故:「吉田調書」政府が一転公開へ

その原因は、朝日新聞や産経新聞が聴取内容を報道し、「各報道機関がそれぞれの解釈で記事化し、政府が公開しないと、内容が『独り歩き』しかねない」との判断のようである。

6月9日の原子力発電問題という関西電力大飯原発3、4号機についての5月21日の福井地裁判決についてのブログを書いた中で、朝日新聞の吉田調書という報道があることに触れた。産経新聞は8月18日より吉田調書抄録なる報道を開始した。双方の報道内容は、それぞれのリンク先で読むことができる。記事の内容からすると、大人と子どもぐらい、産経が優れており、朝日の内容は、会社の体質を反映していると思えるような低俗内容と感じた。思うことを以下に書きます。

1) 何故吉田元所長は非公開を望んだのか?

産経の吉田調書抄録(1の5/5:ここにあり)にずばり出ていると思う。

 吉田氏「『撤退』みたいな言葉は、菅氏が言ったのか誰がいったか知りませんけども、そんな言葉、使うわけがないですよ。テレビで撤退だとか言って、馬鹿、誰が撤退なんていう話をしているんだと、逆にこちらが言いたいです」

 --政治家ではそういう話になってしまっている

 吉田氏「知りません。アホみたいな国のアホみたいな政治家、つくづく見限ってやろうと思って」

 --ある時期、菅氏は自分が東電が逃げるのを止めたみたいな(発言をした)

 吉田氏「辞めた途端に。あのおっさん(菅氏)がそんなの発言する権利があるんですか。あのおっさんだって事故調の調査対象でしょう。そんなおっさんが辞めて、自分だけの考えをテレビで言うのはアンフェアも限りない。事故調としてクレームつけないといけないんではないか」

真実を残したい。そのためには、政治や世間や全てを忘れ、好きなことを言わないと残せないから、好きなことを言う。しかし、ある人にとっては不都合なことなので、非公開を希望すると吉田氏は調書に残すことに同意したのだと思う。

私だって、このブログで同じようなことを言ったなと思う。そうなると、さすが吉田氏は私と違い、大人です。

2) 朝日の批難

朝日が批難を受けたのは、吉田調書報道の第一回で命令に違反して、皆が第2福島に逃亡したと報道した事であった。その部分について、産経の吉田調書抄録(2)は、『吉田所長が「正しかった」と認識していたことが分かる。』と報道している。(このページ

タイミングがおもしろい。福島第1原発にいた所員らの9割が10キロ南の福島第2原発に一時退避したのは、3月15日午前7時頃。実は、同じ、3月15日午前5時半ごろには、菅直人首相(当時)が東電本店を訪れ、「撤退したら東電は100%つぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ」と絶叫したのである。最高の漫画である。

こんな人が、どうして首相になってしまうのか、日本の社会の仕組みなのだろうと頭を抱えるのであるが、これだけではなく、無茶苦茶な人であるが。産経には、「第1原発にとどまったのは吉田氏ら69人。15日昼ごろには第2に退避していた多数の人が戻った。」とある。Fukusima50なる報道があったが、実際はFukushima69であったのだ。

いずれにせよ、福島第1を離れたことは正しかったと思う。放射線量の高い中で、仕事をせざるを得ない。3月15日付け厚生労働省令第23号で、緊急時の上限が250ミリシーベルト(その緊急作業に従事する間に受ける線量)となったのですが、上限を超えての作業はしてはならないし、させてはならない。大量の放射線を受けた人は、次の人に交代させ、作業ができる人を現場は確保せざるを得ない。厳しいことになる危険性の予測があれば、待避なんて、実に正しいことだと思う。

3) ベント遅れの原因

嘗て、このブログこのブログこのブログとベント遅れの原因に関する推測を書いたのであるが、産経の吉田調書抄録(5)によれば、12日に日付が変わってからの早い時間にベントの実施を決定したようである。当然である。電気がない、圧搾空気がないのないないづくしで、暗い中、やったこともないことを現場に行って人力でやろうというのだから大変である。

ベントは原発特有の装置ではなく、ケミカルプラントだって、多くのプラントで使われている。容器の内部圧力が高くなって、破損爆発することが一番恐ろしい。それより、爆発前に空気中に排気筒を使ってガスを逃すのが未だ救われる。従い、通常状態は、閉じてあり、最悪自体になったときに開けてベントと称する空気中への放出をする、但し、基本的には、遠隔操作である。遠隔操作のベースは電気であり、場合によっては圧搾空気である。福島第1は、津波により双方とも失われた。原発なんて、放射性物質が漏れないように、密閉されており、電気がなければ、昼でも真っ暗である。弁慶の泣き所をやられたので、どうしようもなかった。

地震による被害は、産経の吉田調書抄録(3)によれば、重大ではなかったようである。すなわち、津波が来る前の50分間は、発電所の人間は被害状況の把握に集中していた訳であり、順序としては、原子力発電所なので、放射性物質の拡散につながるような事態が発生しているかどうかであったと思う。吉田氏は「基本的にはなかった。水漏れとか機器の損傷とか、私は全く聞いておりません」と述べており、いずれにせよ、この点は、他のエビデンスからも確認できるはずである。

4) 吉田氏

どのTV局だったかは覚えていないが、吉田氏が東京電力本社前でインタビューを受けていたTV報道を見たことがある。いい技術者だなとの印象を覚えている。いい技術者とは、技術的真理・真実を大事にするのである。権威や空気で、判断を下すことが難しい人である。そんな人が福島第1の所長だったから、あの程度で済んだのだと思う。

吉田さんありがとうございましたとお礼を申し上げたい。

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