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2014年10月19日 (日)

中央リニア JR東海に突っ張らせて良いのだろうか?

次の記事を読むと、私は、大いなる疑問がわいてくるのである。

日経 10月17日 JR東海社長、リニア着工認可「交通史上に残る大きな一里塚」

超電導磁気浮上リニアについては、調べれば、調べるほど、欠陥ばかりが目につき、こんなリニア浮上鉄道など5兆5千億円も費やして建設する意義はなく、次世代に負の遺産を残すようなものだと思うようになってきたからです。

1) 国鉄分割民営化の分割の不合理が生み出したJR東海(東海道新幹線)

国鉄分割民営化は1987年4月にJR東日本、JR東海、JR西日本の本州三社とJR北海道、JR四国、JR九州の三島会社およびJR貨物の7社に加え、新幹線鉄道保有機構と国鉄清算事業団が設立された。そして、新幹線(東海道、山陽、盛岡までの東北と上越)を保有していた新幹線保有機構から本州三社に1991年10月に分割払いで譲渡された。新幹線保有機構は、その時点で鉄道整備基金となり、1997年に船舶整備公団と統合されて運施設整備事業団となり、一方で国鉄清算事業団は日本鉄道建設公団に1998年に吸収され、そして2003年10月に日本鉄道建設公団と運施設整備事業団が統合されて現在の鉄道建設・運輸施設整備支援寄港(鉄道・運輸機構)となった。

超複雑な歴史であるが、本州三社が民営化(上場開始はJR東日本1993年、JR東海1997年、JR西日本1996年)にあった以外は、政府の支配組織(子会社)の組織再編・変更でしかなく、複雑化して国民の目を誤魔化すためのご都合改革とさえ思える。実際、鉄道・運輸機構の財務諸表は読んでみても、複雑怪奇で財務諸表の大原則である「事業内容と財政状態について明瞭に情報提供をする。」に反していると思える。財務諸表のみが問題なのではなく、事業内容が支離滅裂なのである。例えば、内航船の建造費融資を事業とする船舶整備公団の事業を鉄道支援事業と同じ組織が実施するのはきちがいとしか思えない。

それはさておき、本州三社に譲渡された新幹線の価格であるが、次の表を参照願いたい。

Jr201410a_2

表の第1行目が新幹線譲渡価格である。JR東日本については有価証券報告書に記載があったがJR東海とJR西日本は開示がなく、他の資料から推定した。事業会社の資産とは、将来のキャッシュフロー獲得に貢献する便益の源泉であり、その価額は将来キャッシュフローの割引現在価値である。それぞれの譲渡価格がどのように計算されたかはチェックしていないが、JR東海が一番高値であった。

本州三社は、新幹線を年率3.73%の利息付きの分割払いで購入しており、年間の元利合計支払額は4400億円を越えるのである。問題は、2013年度の元本減少額から推定した最終弁済日が2019年6月に到来するのである。今から5年後である。この話だけを単純に聞くと、問題はない。しかし、実は、この資金こそ、JR三島会社の支援に使われているのである。勿論、この資金は、旧国鉄の債務償還にも使われ又整備新幹線の建設他にも使われているのである。

ところで、2019年6月以降はどうするのであろうか?JR東海に勝手に中央リニアなんかに投資されては、たまったものではないと思えてしまう。国民の財産東海道新幹線を一企業の私欲のために使うのではなく、その収益は国民全体に利益が及ぶようにすべきではないだろうか。最も利払い額720億円なんて、消費税を1%あげることで得られる1兆円と比べれば、微々たる金額ではあるが。

2) JR各社を比較すると

JR各社を比較すると、よく分かるのである。次の表(クリックすると拡大表示)は本州三社は有価証券報告書より三島会社とJR貨物は決算公告より作成した比較表である。

Jr201410b

トップ3行の営業距離を見ればよく分かるが、線路の営業距離と売上高がJR各社で差が大きいのである。JR北海道はkmあたり3千万円の収入であり、JR東海は20倍以上の6億円以上である。三島会社の鉄道事業の厳しさが伺える。最も条件が厳しいJR北海道の事故や本州会社でも厳しいJR西日本はやはり事故があった。そんなことも影響しているかも知れないと勘ぐってしまう。

鉄道事業損益1と鉄道事業損益2としたのは、鉄道事業損益1が旅客運輸収入から運送営業費を差し引いた営業利益であり、鉄道事業損益2は有価証券報告書の営業利益と一致する鉄道線路使用収入、雑収入を加え、一般管理費と諸税、減価償却費を差し引いて計算した利益である。三島会社は、営業収益と営業費用のみの表示であるため不明である。

比較の結論としては、三島会社とJR貨物の4社は鉄道事業損益1と鉄道事業損益2は赤字、本州三社は3社とも黒字であること。そして重要なことは、JR全7社を合計すると鉄道事業損益1と鉄道事業損益2は黒字になるのである。

私の結論は、JR7社の経営については、最適化をすべきと言うことである。分割した結果のある部分は黒字で他の部分は赤字と言うのは、その分割が正しいのかを見直すべきである。方策を国民的視点に立って、考えるべきである。

3) 鉄道・運輸機構の不明朗会計

鉄道・運輸機構は会計検査員の監査対象となっており、不正な会計処理は行われていない。しかし、財務諸表は、変な法律にガンジリガラメに縛られて、理解不可能な状態である。その中で、JRに関して読み解けていることを述べると、1)の表にある本州三社から鉄道・運輸機構への金の流れである。

もう一つの金の流れは鉄道・運輸機構から三島会社へであり、2)の表の中で「経営安定化基金利息収入」、「鉄道・運輸機構受取利息」と書いた金額である。この金があるから、三当会社は存続できているのであり、1)で書いた新幹線の分割払いが終了すると鉄道・運輸機構に財源はなくなり、税金で補填するのではと思ってしまう。後3年すれば、三島会社は倒産するのだろうか?三島会社を倒産させてまで、中央リニアを建設する意味があるのだろうかと思ってしまう。

経営安定基金とは三島会社が鉄道・運輸機構に運用を委託した資産であり、JR北海道を例に取ると、7523億円が貸借対照表に計上されている。しかし、純資産の部に経営安定基金として6822億円が計上されている。鉄道・運輸機構の貸借対照表ではJR北海道からの長期借入金(最終返済期限2017年3月)として1149億円が計上されている。何故このように計上され、表示されているのか読み込んだが結局は分からなかった。

国鉄分割民営化以来の不明朗会計を引きずり、今再び、中央リニアとか言って、国民の目を欺くらかすことを実施しようとしていると思えてならない。JR東海さん!説明をお願いします。

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コメント

JR三島会社と鉄道運輸機構の関係について、述べさせていただきます。
JR三島会社への支援体制は、過去の色々な経緯もあり、非常にややこしくなっています。
まず、国鉄分割民営化の際に、三島会社は営業損失を計上する会社であることが見込まれたため、その運用益で赤字を補填する目的で経営安定基金が交付されました。
この経営安定基金の金額は、各社の赤字見込額と民営化当時の金利(確か7%強)を勘案して、ちょうど赤字額が埋まるようにして決められました。
それがJR北海道の場合は6822億円だったのです。
しかしながら、民営化以降、当初予定していたよりはるかに低金利になってしまったため、赤字を埋めるほどの運用益を出すことができなくなりました。
そこで、当面の支援策として、経営安定基金を三島会社から鉄道運輸機構に貸し付け、市場より高い金利の利息を支払うことにより、赤字を埋めることにしました。
これが、鉄道運輸機構の貸借対照表に計上されている長期借入金です。
ただし、この支援措置は期限付きであり、期限が到来すれば、借入金は三島会社に償還されます。
それが最終返済期限2017年3月です。
なお、これは全額償還されるのがこの返済期限というだけであり、これまでも少しずつJRに償還されています。
償還された経営安定基金は、各社の自主運用となります。
経営安定基金利息収入は、この「自主運用による運用益」と「鉄道運輸機構からの利息」の合計です。
以上が、平成23年までの状況です。

さて、民主党政権時代の平成23年に、JR三島貨物会社に対して、新たな支援措置が講じられました。
経緯をかいつまんで述べますと、まず鉄道運輸機構には複数の勘定があります。
この場合の勘定とは、それぞれ独立した会計単位であり、言ってみれば法人の中に独立した法人が複数あると思っていただければ、だいたい合っています。
(鉄道運輸機構は複数の法人が統合してできた法人であるため、このようなややこしいことになっています。
http://www.jrtt.go.jp/01Organization/Summary/Summary-enkaku.html)
その勘定の一つに、特例業務勘定があります。
これは、国鉄清算事業団を前身とした勘定であり、主な目的は国鉄から承継した資産を処分して、その資金で旧国鉄職員への年金を支払うことです。
この特例業務勘定が必要以上の資金を抱えているのではないかということが、民主党政権時代に指摘されました。
というのも、JR本州3社の株式売却益により、1兆円を超える資金を保有していたからです。
独立行政法人が利益を上げた場合、原則として国庫に納付します。
特例業務勘定は旧国鉄職員への年金支払のため、まとまった資金を保有している必要がありますが、それでも過分な資金は国庫に返納することになりました。
この国庫に返納される特例業務勘定の資金の一部がJR三島貨物会社への新たな支援措置に用いられたのです。
内容としては、大きく分けて2つ。
http://www.mlit.go.jp/common/000132195.pdf
1.JR三島貨物会社の設備投資への支援
 三島貨物会社が設備投資を行なう際に、無利子貸し付けや補助金の交付を行います。
2.経営安定基金の積み増し
 未だに経営の厳しいJR北海道と四国に対して、20年間資金を無利子で貸し付け、その資金で鉄道運輸機構から債券を購入し、その利息で赤字を埋めます。
 これがJR北海道とJR四国のPLに計上されている鉄道・運輸機構受取利息です。

では、JR三島会社の今後はどうなるのか。
JR九州は、民営化以後、経営を改善して上場を睨む所まで来ています。
問題のJR北海道と四国については、特例業務勘定による経営安定基金積み増しによる支援が、とりあえず20年間は続きます。
その後どうするのかについては、現時点で明確な答えは何もありません。
国にも、もしかしたら当のJRにもその後のビジョンはないかもしれません。

長くなりましたが、これがJR三島会社への支援体制及び現状の概略です。
中央新幹線については、よく分かりませんが、JR東海の収益の大半は東海道新幹線であり、何らかの形で東海道新幹線を運営できなくなれば(南海トラフ地震で壊滅的な打撃を受ける等)、経営が立ちいかなくなるので、そのような事態を極めて深刻なレベルで危惧しているのではないかと思います。
その問題を解決するための最適解が中央新幹線かと言われると、そこは何とも言えませんが。

投稿:   | 2014年10月20日 (月) 21時35分

コメントをありがとうございます。

鉄道・運輸機構に関する状況は複雑で、難解であります。

当初の見通しと現状は相当のずれがあり、現実にあわせて対応をしないと困った状態になると考えます。

とは言っても、JR北海道、JR四国から案は出せないと思うのです。税金・政府・機構他を含め他人の財布からの支援を頼るしかないのですから。そんな案を出したら、辞任した大臣以上にJR北海道、JR四国はマスコミからたたかれたりして。

かと言って、政治家に期待しては、いよいよ複雑になるだけだと思います。国民がと言いたいのですが、なかなか難しいので、資料や検討結果を全て公開する委員会のようなものを作って、そこで討議・検討することが良いように思います。リニア新幹線についも、同じような委員会を設置するのが良いと思います。国民との対話をWebでできるようにすれば良いと思います。

ハンドルネームで良いので、名前欄はブランクにせずに記入をお願いします。

投稿: ある経営コンサルタント | 2014年10月23日 (木) 00時06分

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