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2014年11月15日 (土)

消費税10%解散とは、理屈からしておかしいよ

このブログ書いてまだ1週間である。現在は、めまぐるしく変わる世の中であります。次の報道には驚かされます。

読売 11月15日 衆院選、来月14日に…年度内の予算成立目指す

朝日 11月15日 消費税10%、先送りへ 17年4月を想定、民主も容認

読売の記事は、消費税率10%を先送りする場合は、首相は衆議院を解散し12月2日公示、14日投票での衆議院選を実施すると報道している。朝日の記事には、消費税率10%は2017年4月からの実施とし、更に記事の下の「無料登録で続きを読む」では、軽減税率導入の可能性についも触れられている。

ニュースソースからの情報を総合して書いているのであろうが、論理的には無茶苦茶である。朝日記事の有料部分の最後には、現在の法律制定時の首相野田氏も賛成していると書いてある。

1) 政府財政が健全であることがその国の発展の基礎である

この命題を忘れて、足下のみをハイライトし、好き勝手なことを言って良いのかである。今や政府債務は1000兆円を突破しているのである。2000年以降の債務残高は次のグラフである。

Jgdebt201411

政府が破綻しても、国は存在する。国民も存在するし、生活がある以上は、産業・経済も存在する。

しかし、破綻すると政府はその役割を果たすことが困難になる。国債の利払いと償還が一部でもストップすれば、そんな国債は誰も買わず、政府は資金調達に窮する。最後の手段は、日銀が国債を引き受ける(買い入れる)ことであるが、そんな事態になった場合は、日銀の銀行券は紙切れに一歩近づく。そうなると日銀預金を保有している市中銀行(一般銀行)はリスクヘッジの為に日銀預金残高を減らさざるを得なくなる。日本国債は売られる。大口保有の郵貯銀行や一般銀行も国債の評価損や売却損により大幅赤字に転落する。日本円よりは米ドルやユーロが好まれる。為替レートは、すごい円安が進行する。円安でも輸出企業は喜べない。原材料が円安で高騰するからである。デフレなんてのは、夢物語になってしまう。

年金と医療保険は給付額が極めて悪くなる。当然、混合診療解禁であるが、実は保険対象医療を限定せざるを得ないからである。街には、失業者というような表現ではなく、高齢低所得者の集団がとの表現になる気がする。

消費税10%を先送りすると国債バブル崩壊への道を歩み始めることになると思います。なお、国債バブル崩壊があったギリシャは、この記事WSJ 11月14日 ギリシャ、2年連続でプライマリーバランス黒字化達成へのように少しは再建が進んでいるようです。

2) もし消費税10%解散なら、代案が提案されるべき

2012年8月に現在の消費税10%の増税が公布された時に、私は何を書いていたかと振り返ったら、これであった。税は、国の骨格の制度である。ゆがんだ税制の国に、立派な国はない。本来の姿は、政府が実施すべき機能・役割を決め、それに必要な歳出を見積もり、その為の歳入となる税制を決定する。民主党の事業仕分けは、政府機能・役割と歳出の見直しであったと思うが、あれじゃ無理だよと言いたくなる。理論ではなく、魔女狩りとも一部の人に批判されたような感情優先であった。

歳出削減は容易ではない。1)のグラフを見て欲しい。せめて、既に法として成立している消費税10%を実現することが第一歩のはずである。さもないと破綻ですよというのが私の警告である。

代案としては、消費税以外の所得税と法人税で消費税2%分相当の4兆円の増税をするのである。法人税が今更無理というなら、所得税のみでの4兆円増税は可能である。何故なら、消費税2%増税分を所得税にシフトするだけだからである。個人にとっては、消費税で払おうが、所得税で払おうが同じである。4兆円は、所得税の税収を15兆円として約26%になるが、所得税は累進税率なので所得金額に応じた課税が可能である。

なお、蛇足であるが法人税減税と外形標準課税をセットで実施というのは、よろしくない。現在の都道府県税である事業税の外形標準課税の付加価値割の方式での課税と理解するが、利益に加えて人件費や支払利息と家賃に課税される。これじゃ、不振企業をつぶすような制度になりかねない。派遣労働者の場合の計算等は、現行の事業税と同様の制度が導入されるであろうが、資本金1億円以下の会社を利用されたらどうなるのだろうとも思う。いずれにせよ、制度を複雑にすることは、納税と徴収に手間を煩わせることになり、国民も企業も税務署も迷惑なだけである。そして、結果は、課税の不公平につながりかねない。

3) 給付付き税額控除や軽減税率

消費税率10%を提案した野田内閣が給付付き(私は還付付きと呼んでいるが)税額控除を同時に成立させなかったから、現在の変な事態が発生しているようにも思う。

本年4月の消費税が8%になった時には、住民税非課税の人に臨時福祉給付金1万円が配られたのである(参考:この厚生労働省のWeb)。臨時福祉給付金は暫定的・臨時的な措置であったのであり、もし選挙で消費税が論点となるなら低所得者向けの消費税率10%緩和対策であるはず。

なお、軽減税率は、納税と徴収が複雑になるだけで、最も悪い制度であると考える。そんな馬鹿に賛成するのは日経 11月15日 新聞の軽減税率適用を要請 日本新聞販売協会のような所なのだと思う。食料品を軽減税率にしたとして、マグロのトロも軽減税率なのとか思うし、魚や牛を部首によって税率分類しても、機能はできない。レストランは、食材を軽減税率で仕入れて、通常税率で販売する事になる。納税額が軽減税率分増加するが、そんなことは手間暇大変である。可能だとすれば、インボイス制の導入であるが、それなら還付付き税額控除の法がよほど簡単である。臨時福祉給付金が実施できたのだから、税還付なんてもっと簡単である。

4) マスコミ報道に惑わされてはならない

今回の朝日新聞の記事は、可能性との言葉はあるものの、吉田調書同様誤解が生じかねない表現が多い。簡単に上面だけで読むと間違うのである。自分たちの読者層を喜ばせればよいとしか考えていないと思える。朝日新聞だけの問題とは限定できない。やはり、マスコミ報道には注意をすることと、情報源に近い筋の情報を信じ、マスコミ報道に働いているバイアスを感じつつ読まねばならない。日経の新聞販売協会の報道を読むと「何時自分もお新聞を止めようかな」とまで思ってしまう。新聞よりネットの方が、私には貴重である。努力すれば生の貴重な情報を入手できる。

衆議院選となった場合、各党、各立候補者は何を訴えるのだろうか。本日のブログの主旨からすれば、1)に書いたように、投票の際には、政府財政のことを真剣に考えているかを判断基準にせざるを得ないように思う。現状では、消費税増税を真っ向から否定しているが、他の税目の増税でカバーすべきという共産党が選択肢として浮かび上がる。どうなのだろうか?小選挙区制では候補者個人の考えは関係なく、当選すれば、その所属政党の力関係で全てが決まる嫌な制度で好きではないのだが。

首相は、マスコミにここまで書かれた以上、解散総選挙しか選択肢がないような感じである。マスコミが政治を操ることなどあってはならない。だから、今回は嫌な気分である。2012年8月に10%消費増税に関して書いた直前のブログでこんなことを書いた。朝日新聞批判であったのだが、閣議決定を朝日新聞が独自に拡大解釈して生活保の護切り捨てが今後の日本の選択肢であるかのように報道した。

マスコミ報道に惑わされず自らの良心に従って発言・行動し、自らの信念で選挙投票をすべきと考える。

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