« 大阪市のオスカードリームとオーク200 | トップページ | 衆院選の選択基準 »

2014年12月 4日 (木)

はやぶさ2の打ち上げ物語を計算で推定

はやぶさ2の打ち上げ実況中継をJAXAのWebで見ましたが、興奮を覚えました。

日経 12月3日 はやぶさ2、打ち上げ成功 予定の軌道に

JAXAによる17:20発表はここにあります。

中継は、打ち上げ(13時22分)から15分-20分ほど経過した14時少し前に一旦中断した。そして、14時55分頃に再開して、15時10分頃に終了した。何故なのかなと考えたら、当然のことで、成功の確率を上げるための手段だと理解しました。

そのような事も含め、私が気づいた興味ある点を書いてみます。

1) 最大の打ち上げ力はブースターなのかな?

ここに三菱重工とJAXAが2014年9月に発表した打ち上げ計画書がある。ロケット推進薬(燃料と酸化剤)は、第1段ロケット、ブースター、第2段ロケットに入っているが、その量はそれぞれ114t、151t、20tであり、ブースター2本分のが一番多い。即ち、打ち上げに必要なエネルギーはブースターが受け持ったのかも知れない。但し、ブースターは固体燃料であり、第1段・第2段は水素と酸素であり、単純な重量比較は正しいとは言えない。比推力の283.6秒と440秒も加味すると、推進エネルギーは第1段がブースターの1.3倍になる。しかし、推力で比較すると、第1段は1,100kNで、比較的短時間に燃焼を終了するブースターは5,003kNであり、圧倒的にブースターが大きい。

単純な計算をすると、打ち上げ時の全質量(重量)が287トンなら地球に引っ張られている重力は2,812kNとなる。ブースターがなければ1,100kNしか推力がなく打ち上げることができない。もし、推力がブースター込みで6,103kNあれば約11m/sec2の初期上昇加速度が得られる。ブースターは93秒で燃焼を終了し、107秒で切り離された。切り離しにより、衛星を含む質量はブースターと第1段の燃焼済み燃料と消費済み酸素を25トンと推定すると、ブースター130トンに加え25トンが差し引かれ110トンである。その後も第1段ロケットの推進剤は消費され、質量が減少していくことから第1段ロケットの推力1,100kNでブースター切り離し以後も加速可能である。

2) 第1段ロケット燃焼終了前にフェアリング分離

打ち上げ後4分11秒で衛星フェアリングを分離した。第1段は6分36秒まで、予定通りほぼ390秒燃焼した。4分11秒で空気がほとんど存在しない大気圏外に到達し、空気抵抗その他の影響はほとんどなくなり、ロケット先端の衛星フェアリングを分離し、質量を減らした方が良くなったと理解する。

3) 第2段ロケットは4分26秒燃焼後一旦燃焼停止

ロケットは6分36秒で1段目の燃焼を終了し、6分44秒で切り離し、6分54秒で第2段ロケットに点火した。その4分26秒後の11分20秒に一旦燃焼を停止した。

打ち上げ後11分20秒の位置であるが、この図を見ると、北緯25度東経155度付近であり、小笠原父島の追跡所を北緯27度東経142度とすれば、小笠原追跡所を少し過ぎた辺りになる。その時の速度は7.8km/秒である。高度を250kmとして地球周回軌道に入るための最低速度は私の計算では7.76km/秒であり、この速度以上になっている。そうであるなら、小笠原追跡所を離れつつある時に地上から電波を送ってコントロールするより、一周して戻ってきた時にコントロールした方が安全である。勿論、ほとんどは自動で、無理に地上からコントロールする必要はないと思うが、万一の場合は、地上から信号を送って制御する必要が生じる可能性がある。

打ち上げから4分26秒後とは午後2時26分30秒である。一周して戻ってくる(種子島でコントロールできるまで)少し前まで、中継も中断した。

3) 第2段ロケットの再点火と燃焼終了

打ち上げから1時間39分26秒後に種子島の少し南西北緯28度東経127度付近に戻ってきた時、第2段ロケットに点火した。それから4分5秒経過した1時間43分31秒に燃焼を終了した。位置は北緯23度東経147度付近と推定され、小笠原ダウンレンジ局に相当近い。この時の速度は11.8kmで高度は313kmである。地球の引力から脱出することとなる最低速度(第二宇宙速度)は11.2km/秒であり、この速度を超過している。C型小惑星「1999 JU3」に到達可能な速度になっている。

4) はやぶさ2と3衛星の分離

第2段ロケットの燃焼終了から3分50秒後に、はやぶさ2を分離。その6分40秒後に、しんえん2をその4分10秒後にARTSAT2-DESPATCHを、そしてその4分10秒後にPROCYONを分離していった。分離位置は、はやぶさ2分離が北緯13度東経163度付近で、最後のPROCYON分離位置が南緯13度西経153度付近と推定される。

JAXAのもう一つのキリバスのクリスマス島ダウンレンジ局が北緯2度西経157度である。距離的には、はやぶさ2分離位置では小笠原局との距離が短く、他のにしんえん、ARTSAT2-DESPATCHとPROCYONについてはクリスマス島の方が距離が短い。多分、にはやぶさ2の分離までは小笠原局、3衛星はクリスマス島で分離をフォローしたと想像する。

5) 感想

第2段ロケットを前半と後半に分けて燃焼し、しかもその間が1時間28分の燃焼停止を挟んでいる。三菱重工のWebで説明を見るとH-IIAロケットの第2段は燃焼時間の箇所に多数回再着火可能、アイドルモード機能と書いてある。でも、今回のはやぶさ2が再着火で打ち上げた最初ではないかと思う。最初のはやぶさは、全段固体エンジンロケットのM-Vで打ち上げており、再着火はできなかったと理解する。

概算であるが、自分で計算してみて思うのは、見事に、このポイントであれば小惑星に到達可能であるという計画で実施しており、さすが計算し尽くされていると感心した。小惑星1999JU3に行って帰るまでの軌道も、そのような、それ以上のすごい計画で予定されていると考える。惑星軌道になると太陽、地球や公転のことも考慮しての計算になるので、そこまではギブアップせざるを得ない。従い、はやぶさ2のスイングバイ軌道なんて計算できていないから、そうなのかなと思わざるを得なかったが、打ち上げロケットについて少し計算すると、それだけで全てを信頼する感覚になりました。

|

« 大阪市のオスカードリームとオーク200 | トップページ | 衆院選の選択基準 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/200131/60756766

この記事へのトラックバック一覧です: はやぶさ2の打ち上げ物語を計算で推定:

« 大阪市のオスカードリームとオーク200 | トップページ | 衆院選の選択基準 »