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2015年3月 4日 (水)

医療費と医療保険

政府は公的医療保険制度改革の関連法案を閣議決定したとのニュースがあった。

日経 3月3日 大企業健保の負担増へ 政府、医療改革法案を閣議決定

2月27日に医療費の総額推移としてブログを書きましたが、医療保険について考えてみたいと思います。

1) 医療費と医療保険

医療保険区分別医療費の支払金額について表1を作成した。データは、厚生労働省の国民医療費の統計であり、最新データが平成24年度なので、平成24年度分を表にしている。なお、表の下の円グラフは表のグラフ化である。

H24iryouhi20153a

2) 医療保険別の主要項目収支

表1は、医療費の保険者区分での表であるが、それぞれの医療保険制度が保険料で賄われているのではなく、保険制度間の交付金や支援金があり、国庫負担と都道府県・市町村負担があり、複雑である。その概要を示すために作成したのが表2である。

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医療保険の支払金額30兆円強の40%余り(12.6兆円)は、後期高齢者制度による保険金であり、この12.6兆円のうち5.3兆円が他の医療保険制度が負担している。国民健康保険は、後期高齢者負担金を拠出すると共に前期高齢者制度と退職医療制度の負担金を健保組合他から受け入れている。

保険料の支払(天引き)時に負担金額は分かるが、それから先は保険事業者間でのやりとりであり、解りつらいのである。

3) 一人当たり平均保険給付と保険料

医療保険制度毎の保険給付額と保険料をそれぞれの制度が対象となっている保険対象者(各医療保険でカバーされている人数)で割算して平均保険給付額と保険料を計算したのが次の表3である。

H24iryouhi20153c

このブログの冒頭に掲げた日経記事で大企業の健康保険組合と言っているのは、表では2行目の組合健保と称している医療保険である。収入に対する保険料率で比較をしたのが次の表4であり、組合健保は保険料率では最も低いのである。(表4における保険料率は保険料、平均年収と表3の被保険者数で計算し、雇用主負担を除外するために1/2としている。保険料率の統計結果とは第19回医療経済実態調査の数字である。)

H24iryouhi20153d

組合健保は協会けんぽより保険料は常に安いのである。もし、高くなったら、組合健保は存続の意味がなく解散して協会けんぽを選択すればよいのであり、制度的に可能である。それもあって国民健保より少額ではあるが、協会けんぽには国庫による税金も入っているのである。

4) 日本の医療保険

1)から3)で、表であらわしたのが日本の医療保険であり、基本的には収入比例で保険料を支払い、どのような疾病になっても保険で医療を受けられる制度である。

医療保険で税金が投入されているのは表2の国庫負担と地方自治体負担の合計11.8兆円であり、保険給付総額30.9兆円の38%である。

2月24日に日経ビジネスOnlineにブラジルで見た「医療難民」のリアルとの記事があった。米国のオバマケアの新しい課題については、堤未果さんの次の「沈みゆく大国あめりか」に書かれている。

日本の医療保険制度に競争原理や市場主義原理はない。市場主義で医療保険をつくったなら、自動車保険のようになるだろう。例えば、喫煙していれば、保険料は高くなる。高齢になるほど保険料はアップする。疾病になると、「あなたの保険では、選択可能な治療方法は1、2,3の選択で4と5は保険金は全額カバーされません」のような保険会社の回答になると予想されます。医療保険については、社会主義がよいように思うです。

5) 年齢による医療費

表4において、後期高齢者医療制度では払った保険料の12.7倍もの保険金が受け取れることになっている。(と言うか、結果であり、平均で12.7倍です。)考え方次第で、若い時に払った保険料が戻ってきている結果かも知れない。年齢階級別の医療費(保険金のみではなく自己負担も含めた金額)が、厚生労働省の国民医療費の統計にあり、それをグラフにしたのが、次です。

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