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2015年6月15日 (月)

石炭火力新設に関する環境省の意見について

環境省は6月12日に山口宇部パワー株式会社による宇部興産株式会社構内における120万kWの石炭を火力発電所新設に関して、現段階において是認しがたいとの意見を提出した。

日経 6月12日 山口の石炭火力、環境相「是認しがたい」 正式表明

環境大臣の発表はこの環境省のWebにある。

この問題を考えるには、現在日本において火力発電所で、どれだけの発電を行い、CO2を幾ら排出しているか、そのうちの石炭火力からの排出量はといったような数字を押さえた上で議論をする必要がある。そこで、資源エネルギー庁の統計データから2014年度の火力発電の発電量、発電所からの送電電力量、石炭、LNG燃焼量、CO2排出量を計算した結果が次の表である。

Japaneseelectricityco22014a

10電力会社と電源開発の11社の火力発電(資源エネルギー庁のカテゴリーでは汽力発電)を対象として作成した。発電所送電端供給量あたりのCO2が一番多いのは電源開発の856g-CO2/kWhである。次いで、北陸電力、北海道電力、沖縄電力となり、LNGを燃料としていない電力会社のCO2排出量は多い。逆にLNGを多く使用する東京電力、関西電力、中部電力のCO2排出量は低い。

(注)電力会社各社が発表しているCO2排出量とは多少異なっている。上表は火力発電(統計項目としては汽力発電)のみについての計算であり、電力各社は水力発電等からの電力も含めた総販売電力量に対して計算しているからである。

更に、参考例を用いて計算することとする。その際、上記の表における計算で使用した係数と同じ2013年度以降適用の炭素排出係数を使用する。(このWebからダウンロードできる。)

電源開発のこの説明からは、熱効率は42%程度と読める。LHV基準としてあり、HHVに補正の上、発電端計算と推定されることから、所内動力比を6%と想定してCO2排出係数を計算すると850g-CO2/kWhと計算された。上表の電源開発の数字とほぼ同じである。

LNGに関してはコンバインドサイクル発電設備を想定する。この電気事業連合会のWebには「世界最高水準の59%(低位発熱量基準)(高位発熱量基準で53%)という高い熱効率を実現しました。」とある。コンバインドサイクル発電設備の所内動力比を3%としてCO2排出係数を計算すると352gCO2/kWhとなる。東京電力の475g-CO2/kWhよりも相当低いが、東京電力の設備には最新設備以外も存在すること、また、ほとんどのコンバインドサイクル発電設備は夜間運転をせず毎日起動・停止するような運転となっていることから最高熱効率ではない運転が含まれている。

参考例の計算結果を直接比較すると石炭火力発電所はLNGコンバインドサイクルの2.4倍ものCO2を排出する。LNGコンバインドサイクルのCO2排出量を425g-CO2/kWhであるとしても2倍のCO2を排出する。やはり石炭火力発電所のCO2排出量は大きいのである。

もう一点、述べておきたいことがある。日本の電力消費は近年毎年減少しているのである。日本の国民と産業の努力の結果であろうと思うし、省電力消費型の知識産業へと移りつつあるのかも知れないと思う。電力消費が減少しているなら、石炭火力発電所新設の必然性はないと思う。2010年度以降の日本の電力消費のグラフと表を最後に掲げる。なお、自家発電も含めており、総消費量で押さえている。

Japaneseelectricity2014a

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