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2015年7月12日 (日)

NHK日曜討論における不当な解説

NHK日曜討論は、出席者が自由に意見を述べ、議論をすることから、様々な観点を率直に考えさせてくれる良質のTV番組であった。

しかし、最近は、レベルが悪くなっている。従来にはない長い紹介と解説が入るのである。堕落したとも言える間違った説明が多い。12日は「賛成・反対 激突 安保法案 専門家が討論」というテーマであった。

最後にPKO協力法の改正についての議論があり、その前にPKL協力法改正の内容について中川緑アナウンサーから解説があった。6月24日に安全保障関連法案におけるPKO協力法の改正案を書いた私としては、驚いてしまった。PKO協力法の改正法案に書かれていないことを述べていたのである。

中川緑アナウンサーが読み上げた解説は、従来PKOにおいて認められていなかった武器使用が、今回の改正案では、部隊の判断で武器使用が可能となる・・拡大されるというような内容であったと記憶する。自衛隊のPKO活動での武器使用は2001年のPKO協力法改正で可能となっている(参考:この内閣府説明 →国際平和協力業務に従事する自衛官等が、「自己と共に現場に所在する・・・その職務を行うに伴い自己の管理の下に入った者」の生命又は身体の防衛のために武器を使用できることとしました。)。

今回の改正案は「防衛」のための武器使用を「防護」のための武器使用と変更することであり、言葉だけに限定されると考える。むしろ、国連における決議に基づき国際平和維持活動を実施するという従来の枠組みを拡大してることが、PKO協力法改正案の一番大きな論点であるべきである。国連決議がなくてPKOをやりたいなら、先ずは国連・国連加盟国に働きかけて国連決議を行い多数の国によりPKOを実施するというのが我が国の方針であるべきである。米国の依頼でもPKOができるとするのは、間違いの元になると考える。

なお、改正案には他の9法律の改正と新規国際平和支援法があり、私も他の改正案や法案を、PKO協力法の改正案ほど丁寧に読んでいない。従い、もし他の部分にPKO関連の改正が記載されているのであれば、少し私のトーンも下がらざるを得ないのであるが、一方で、もしそうなら、そんな複雑な改正案は廃案にすべきである。解説は中川緑アナウンサーが読み上げているが、彼女が作成したのではなく、NHKの組織が作成したのである。報道機関がこの程度の理解しかしていないにも拘わらず、今国会で成立を目指すのは愚の骨頂である。

[追記]

7月16日に安全保障関連法案は衆議院を通過した。PKO協力法における武器使用について補足を追記します。PKO協力法の武器使用は第24条(改正が成立すると第25条)であり、厳密には「防衛」を「防護」と言葉を変更する以外にも改正がある。その中での大きな改正は、「派遣された自衛官は、その宿営地であってPKO業務に係る外国の軍隊の部隊の要員が共に宿営するものに対する攻撃があったときは、その宿営地に所在する者の生命又は身体を防護するための措置をとるその外国の要員と共同して、武器の使用をすることができる。(それは宿営のために使用する区域であって、囲障が設置されることにより他と区別されるものに限る。)」である。PKO派遣自衛隊が他の国の人達と共同で宿営地を設けざるを得ないことはある。そのような場合、宿営地が万一武力攻撃を受け生命又は身体の防護が必要となった場合に、共同して対処するのは当然のことと考える。

むしろ問題は、国連決議ではなく、国際連携平和安全活動として派遣された場合であると考える。それが改正案で、可能となるかどうかは十分検討していないが、米国の要請で出向いて、同じ所に宿営をして、米国をねらってテロリストが攻撃を仕掛けるような場合である。武器使用に関する改正ではなく、国際連携平和安全活動の追加という改正の妥当性である。

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