« 歓迎中国人旅行者増加 | トップページ | この報道どこまで信じてよいのやら(消費税) »

2015年9月 6日 (日)

インドネシア政府の高速鉄道方針に賛成する

インドネシア政府は、ジャワ島での高速鉄道導入に関する方針を決定し、日本と中国のいずれの事業案も採用しないと日本政府へ4日に伝えたと報道だがあった。

日経 9月4日 インドネシア、高速鉄道導入せず 日中両案不採用

記事のタイトルには高速鉄道不採用となっているが、記事の文章には時速200~250キロ程度の「中速鉄道」導入を検討方針とあり、速度が200km/hを超える鉄道は十分高速鉄道であり、昔日本の新幹線を「夢の超特急」と呼んでいた当時の新幹線の速度より早い。高速鉄道不採用なる表現は正しくなく、高速鉄道方針を一歩進めたと考えるべきである。

インドネシア政府決定を検証するためには、不採用とした高速鉄道とは、どのような鉄道であったのかを調べる必要がある。それは、おそらく営業最高速度300km/h(設計最高速度350km/h)の鉄道であると推測する。推測理由は、2009年3月付けの円借款案件形成等調査として日本交通技術(株)、(社)海外鉄道技術協力協会、電気技術開発(株)と(株)アルメックの4者が実施した「インドネシア・ジャワ島高速鉄道建設事業調査」の報告書があり、この報告書が不採用の高速鉄道の原案になっていると推定するのである。

さて、日本の新幹線は営業最高速度が何km/hであるかを調べねばならない。この日経のイチからわかる 最高時速320キロに 新幹線、どこが優れてる?によれば、東海道新幹線270km/hで、東北新幹線は320km/hである。東海道新幹線の営業最高速度が低い理由は最小曲線半径が2,500mであり、東北新幹線の4,000mより急カーブになっているからである。インドネシア新高速鉄道が営業最高速度200km/hなら、最小曲線半径は2,500mでも可能となる。もっとも、特定の区間は2,500mとし他の区間は4,000mで押さえることも可能なはず。ちなみに、半径2,500mを270km/hで走行した時、半径4,000mを320km/hで走行した時の、それぞれの横Gを計算すると0.143Gと0.134Gであり、ほとんど差はなく、同等と考えられる。

ところで一体何km/hまで鉄道の最高速度は可能なのかとチェックしてみるとこの川重のWebには「世界市場向け350km/h新型高速鉄道車両「efSET」の自社開発について」とあり、350km/hの鉄道は可能なのだと考える。

そこで再び、「インドネシア・ジャワ島高速鉄道建設事業調査」の報告書を読むと、最小曲線半径が6,000mとある。なお、今回対象としていたのはジャカルタ―バンドン間の約140kmである。140kmであれば、営業最高速度200km/hであろうが、300km/hであろうが差は10分にもならないだろうと思う。それなら200km/hを採用して、建設費を含む総費用を、どこまで節約できるかの検討をするのが正しい判断である。ジャカルタは海に近く標高約10mで、高原のバンドンは標高710m程度である、そもそも標高差が700mもあるのである。

私にとっては、どう考えても、営業最高速度200km/hの新インドネシア高速鉄道の採用が正しい判断と思える。日本政府は、この新インドネシア高速鉄道を支援すべきである。インドネシア政府は新高速鉄道計画についても、政府予算を投入せず、融資に対する政府保証もしないと表明しており、実に賢明な判断である。なお、「インドネシア・ジャワ島高速鉄道建設事業調査」の報告書は、ジャカルタ-スマラン-スラバヤ間の685kmで総事業費2兆1368億円であるとしている。単純比例でジャカルタ―バンドン間の約140kmを計算すると4400億円となる。この規模を民間事業者による競争で競わせて推進することは賢明である。今のインドネシアなら、そのような国力を有していると考える。日本企業も車両、安全設備、鉄道運営等様々な分野で参加し、インドネシア発展に寄与することを期待する。

ところで気になるのは中央リニア新幹線である。438kmに対して総事業費5兆5千億円である。これで計算するとkmあたり12.5億円となる。一方、不採用となったインドネシア鉄道は「インドネシア・ジャワ島高速鉄道建設事業調査」の報告書の数字からkmあたり3.1億円と計算できる。インドネシアの4倍以上の費用をかけて中央リニア新幹線を建設する意味がどこにあるのか不思議である。新国立競技場は白紙撤回となった。中央リニア新幹線も白紙撤回すべきではないか。インドネシアに習って、新中央新幹線の事業権競争入札をするのである。但し、国民の承認がある時に、着手であり、費用が高すぎれば、中止や白紙撤回もあり得、更に代案を検討することもあり得ることにする。国民の方を向いた民主的なインフラ整備が求められるのである。勿論、このブログで書いた安全確保の観点も重要である。川重の350km/h新型高速鉄道車両「efSET」を世界に先駆けて日本で採用することも可能と思う。

本来であれば、JR東海の内部から見直し論が出ても不思議ではないように思う。しかし、JR東海は東芝状態か、更に悪い状態かも知れないと危惧する。国鉄時代から引き継いだ磁気浮上式鉄道の実現はJR東海の使命とすることが亡霊となり、社長命令以上に重くのしかかり、誰も反対できないという、戦前の日本が戦争に突っ込んだみたいな状態になっていることを懸念するのである。

|

« 歓迎中国人旅行者増加 | トップページ | この報道どこまで信じてよいのやら(消費税) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/200131/62230759

この記事へのトラックバック一覧です: インドネシア政府の高速鉄道方針に賛成する:

« 歓迎中国人旅行者増加 | トップページ | この報道どこまで信じてよいのやら(消費税) »