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2015年9月27日 (日)

原子力発電コストとは絵に描いた餅

次のコラムを朝日新聞が掲載しており、「一人歩きをさせてはならない原子力発電コスト」なんてことを思った。

朝日 9月26日 (今さら聞けない+)原発のコスト試算 日本政府「最安」、欧米は高騰

朝日が政府による試算としている原子力の発電コスト10.3円/kWhは、5月2日のブログで既に取り上げたが、経済産業省資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会長期エネルギー需給見通し小委員会の発電コスト検証ワーキンググループの試算です。5月2日にブログを書いた時には、未だ報告書は発表されていなかったが、5月26日に公表されておりこのWebからダウンロード可能です。(発電コスト検証ワーキンググループと書かれている箇所です。)

5月2日のブログに掲げた表ですが、次の表が財務諸表からの原子力発電コストです。なお、2014年度は、10社合計原子力発電は15,391億円で、発電ゼロだったので、kWhあたりコストは無限大でした。

Nuclear20155

発電コスト検証ワーキンググループの試算は、1200MWの原子力発電所を想定し、この稼働率を70%として計算した結果として10.3円/kWhを算出している。上の表から考えて、70%稼働率を達成できれば10.3円/kWhは困難とは思えない。66.5%の稼働率であった2010年度を参考値として考えれば、安全性を高めたことによるコストアップを考慮しても10.3円/kWhは妥当と感じる。

しかし、70%の稼働率が現実的であるのかについては議論があるはず。発電コスト検証ワーキンググループは、コストを試算し、kWhあたりの単価を計算するなら、稼働率を想定する必要がある。その稼働率を日本の原子力発電というカテゴリーにあてはめて良いかどうかは全く異なった検討が必要である。

検証ワーキンググループの試算は、発電コストに関しては1200MW原発1基なのであるが、ダウンロードできるファイルにエクセルがある。このエクセルを見ると前提は福島事故の2011年よりも原子力発電を増設すると読めるのである。即ち、800tU(ウラン重量)の使用済み核燃料を毎年処理し、最終的には高濃度廃棄物として処分することとなっている。8月12日のブログで書いたが、日本にある原発全ての1取り替え分のウラン燃料は1,340tUである。1年半稼働し、半年を補修とすると2年に1度の燃料取り替えとなる。1340tUの半分670tUより大きな量のウラン消費を見込んでいるのかも知れない。

高濃度放射性物質の処理はどうするかの問題は解決されていない。発電所から出てきた使用済み燃料が指定放射性廃棄物の濃度8000Bq/kgになるには1億年経過しても無理かも知れないのである。私にとっては、原子力発電廃棄物の処理費計算なんて不可能と思えるのだが。札束を付けても、誰も引き受け手がないものを、どうするかは、「そんなものは、作らないこと」が正解かも知れない。

絵に描いた餅で、将来を考えることは間違いである。絵に描いた餅だと分かっている場合には、どの程度ぶれる可能性があるのかとボラティリティーを考え、また原子力というリスクについても十分に考慮に入れて考えるべきであります。

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