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2016年3月 7日 (月)

水素エネルギー供給の一大生産地なんてあるの?

東日本大震災から5年目となるが、水素エネルギーってエネルギーの主役になるには、ほど遠いと思うのだが、首相は3月5日に福島県を訪問し、視察後『福島を、日本中に水素エネルギーを供給する一大生産地に、未来の水素社会を開く先駆けの地としていきたいと考えています。』なんて述べた。スピーチ文は、次の首相官邸のWebにある。

平成28年3月5日 福島県下訪問

水素は、宇宙全体では多く存在し、星間ガスや銀河間ガスの主成分(密度は低い)であるが、地球上にも水素単体としては大気中にも存在する。しかし、容積比でたったの0.00005%(0.5ppm)であり重量比だとその15分の1程度となる。多くの水素は酸素と結合した水の状態や動植物あるいは化石燃料として存在する重要な物質であり、人が生きていくための貴重な物である。

0.00005%の物質を抽出するのは大変であり、相当のエネルギーを必要とする。例えば、メタンはCH4なので元素の数では4分の3が水素であり、重量比でも25%が水素である。しかし、メタンから水素を分離するのもエネルギーを必要とするわけで、水素をエネルギー源として使用する目的なら、メタンをそのままエネルギーとして利用した方が大きなエネルギーが得られる。貯蔵にも輸送にもメタンの方が容易でコストも安いし、安全である。メタン以外に石油も考えられるが、これとて同じで水素を経由せずに直接エネルギーとして利用した方が、効率も良く、優れている。

では、CO2排出の面ではと言うと、これもメタンや石油の状態で利用した方が、CO2排出量が少ない。水素はクリーン・エネルギーと言うが、水素製造時に発生するCO2排出を無視した場合である。

この読売の記事 3月5日は、首相のスピーチを報道しており、『風力など再生可能エネルギーで水を電気分解すれば、CO2削減につながる。』としているが、当然のことであるが、電気分解で消費する電気エネルギーと製造された水素のエネルギーを比較すると、製造されたエネルギーの方が小さい。再生可能エネルギーによる電力は、そのまま利用した方が賢いのである。従い、再生可能エネぎーが相当に安く、消費できないほど発生した時に、水素でも製造して蓄えておくというような使い方になる。

なお、車のエンジンはそれほどエネルギー効率が高いわけではない。それ故に電気自動車が注目されるのであり、水素自動車も水素電池の方が車のエンジンよりは効率がよいので、総合効率・コストでは水素自動車が有利になる可能性は将来においてはある。

水素エネルギーの研究や技術開発は進めるべきと考えるが、水素エネルギー供給の一大生産地というのは、あまりにも現実を無視した虚構発想と考える。

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