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2016年3月 2日 (水)

すっきりしない解りにくい最高裁判決 JR東海共和駅構内認知症患者事故賠償事件

日経は、家族免責で初の基準なんて、言っているが、混乱の極地とも思えるのです。

日経 3月1日 家族免責で初の基準 認知症事故の最高裁判決

最高裁判決文はここにあります。

1) 要介護度1はどの程度か

私は、分からないのですが、Webで見ると、「排泄や食事はほとんど自分ひとりでできるが、身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする」とある。これが免責の基準になって良いのだろうかと思うのです。判決文では10ページの下の方からです。(AはJR東海を止めてしまった認知症の老人(男)で、Y1はその妻で、Y2が息子です。)

第1審被告Y1は,長年Aと同居していた妻であり,第1審被告Y2,B及びCの了解を得てAの介護に当たっていたものの,本件事故当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており,Aの介護もBの補助を受けて行っていたというのである。そうすると, 第1審被告Y1は,Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督するこ とが現実的に可能な状況にあったということはできず,その監督義務を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。したがって,第1審被告Y1は,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。

認知症の人に事故を起こされ、被害を受けても、全く賠償を受けられない。自分で、高額の保険でもかけておかねばならないが、認知症の人から被害を受けたらお金がもらえる保険があるのかな?認知症の老老介護って多いと思うのです。認知症が始まったら、成人後見人制度を利用して、後見人に適切なケアを受けて、他人に極力迷惑をかけないように手配をしてもらうことは可能だし、要介護度1では、完全に可能だと思うのです。

2) 別居すれば責任無し

次の判決文(11ページ)は、私には、そう読めてしまうのです。

また,第1審被告Y2は,Aの長男であり,Aの介護に関する話合いに加わり,妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながら第1審被告Y1によるAの介護を補助していたものの,第1審被告Y2自身は,横浜市に居住して東京都内で勤務していたもので,本件事故まで20年以上もAと同居しておらず,本件事故直前の期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないというのである。そうすると,第1審被告Y2は,Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが可能な状況にあったということはできず,その監督を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。したがって,第1審被告Y2も,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。

最も息子Y2の妻Bは横浜に住むY2と別居し、事件を起こした認知症老人の家の近くに住み、毎日通って老人Aとその妻Y1の介護をしていたのです。だからいよいよ私には分からなくなる論理構成なのです。

妻Bを監督義務者とすると妻Bに過酷なのです。しかし、それだからと言って、息子Y2を責任がないとして良いのだろうかと思うのです。家族会議の結果だとしたら、誰かの妻に介護をやらせよう。そうすれば、自分たちは責任を負わずに済むとなるなら、変な話です。

3) 認知症には近寄らざるべき

認知症には近寄らざるべきとならないでしょうか?逆走車が認知症の運転だったら、通り過ぎることを祈るだけ。万一事故に巻き込まれても、責任を追及できない可能性がある。認知症には関わるな。関わるのは、詐欺師のような悪い奴らだけ。でも、それでは、悲しい社会です。やはり、認知症の人とも仲良くやっていける社会が望ましい。電車を止めるようなことは滅多にやらないが、生きている以上は、人に迷惑をかける。損害をかければ、賠償し、お詫びをすることで社会が成り立っている。認知症の人も、そんな社会で生きていけることが望ましいと思うのだけど。

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