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2016年6月21日 (火)

福島第1原子力発電所炉心溶融について(その3)

6月20日のブログの追記として東京電力が発表した「MAAPコードによる福島第一原子力発電所の事象解析について」に記載がある炉心露出開始時間、炉心損傷開始時間を書きました。

炉心露出開始時間と炉心損傷開始時間を冷却系統が機能しいた時(1号機は津波による電源喪失まで、2号、3号機はHPCIやRCICが機能していた時まで)と炉心露出開始時間、炉心損傷開始時間を表にまとめると次のようになった。

Fukushimareactor20166

冷却ができなくなってから1号機は3時間あまりで炉心の損傷が始まり、2号機の場合は6時間足らず、3号機については約8時間で炉心損傷が始まった。

冷却ができなくなれば原発は暴走状態と考えます。何か手を打つことができなかったのか、調査して欲しい思います。事故調査とは、早ければよいのではなく、将来のための教訓を残し、事故からフィードバックすべきことを学ぶものと考えます。

上の表の発生熱については6月20日のブログに掲載したグラフであり、炉心露出開始時間、炉心損傷開始時間については2012年3月12日の東京電力は「MAAPコードによる福島第一原子力発電所の事象解析について」(これ)から、冷却系の停止時間については「原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書-東京電力株式会社福島原子力発電所の事故について-」(この経産省のWebからダウンロード可能)からです。参考として、2012年6月20日東京電力の福島原子力事故調査報告書の用語集でのHPCIとRCICに関する説明を記載しておきます。IAEAへの報告書には、2号機ではRCICが3号機はRCICとHPCIが断続的に機能していたように記載があります。

HPCI : High Pressure Coolant Injection System /高圧注水系
非常用炉心冷却系(ECCS)の内の一つで、配管等の破断が比較的小さく、原子炉圧力が急激には下がらないような事故時、蒸気タービン駆動の高圧ポンプで、原子炉に冷却水を注入することのできる装置。ポンプの流量(=能力)は原子炉隔離時冷却系(RCIC)に比べて約10倍と大きいが、原子炉停止時冷却系(SHC:1F1)又は残留熱除去系(RHR:約1800m3/h、福島第一2'--"'5号機の場合)に比べると小さい。福島第一1号機~5号機に設置されている。

RCIC : Reactor Core Isolation Cooling System /原子炉隔離時冷却系
通常運転中何らかの原因で主蒸気隔離弁(MSIV)の閉等により主復水器が使用できなくなった場合、原子炉の蒸気でタービン駆動ポンプを回して冷却水を原子炉に注水し、燃料の崩壊熱を除去し減圧する。また、給水系の故障時などに、非常用注水ポンプとして使用し、原子炉の水位を維持する。RCICポンプの流量は、HPCIの約1/10程度の約96m3/h (福島第一2~5号機の場合)で、さほど大きくない。

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コメント

NHKの報道番組は、時間の割りに中身が少ないのですが、これは良くまとまっている方ではないでしょうか.
原発メルトダウン 危機の88時間
https://www.youtube.com/watch?v=eLL1H6iv2sQ


『冷却ができなくなれば原発は暴走状態と考えます。何か手を打つことができなかったのか、調査して欲しい思います。』

一号機の場合は、一時間後に燃料が露出すると言う報告を受けながら、忘れてしまったそうですが、こう言う場合はどうすればよいのでしょうか?.

投稿: rumichan | 2016年7月 6日 (水) 02時44分

rumichanさんが紹介されているNHKの報道番組は、よくできていますね。

私は、「一時間後に燃料が露出すると言う報告を受けながら、忘れてしまった。」と言うのは、事実ではないと思うのです。その出所はどれですか?6月21日のブログで書きましたが、通常でも原子炉燃料棒の中心温度は1700°C以上です。(水と接している燃料棒表面は300°C程度ですがhttp://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/03/03060106/03.gif)

その報告を受けていたが、忘れてしまったというのが、首相官邸の話であれば、あり得るかも知れないと思うのです。

実際に、1号機は冷却停止から2時間20分で燃料が露出し、その40分後に炉心損傷が始まった。原子炉の冷却が停止してしまったら、どれだけの時間で燃料が露出するか計算できた。誰かが、それを行っていて当然の話である。

まったく活かされなかったのか、その結果がベント実施の決定であったのか。いずれの場合においても、最低でも電源が必要であった。しかし、電源確保に政府が動いたことは、残念ながら私には確認できていません。

投稿: ある経営コンサルタント | 2016年7月 6日 (水) 15時49分

原発メルトダウン 危機の88時間
https://www.youtube.com/watch?v=eLL1H6iv2sQ

22:00~24:00辺りを見てください.
23:00辺りに吉田所長の証言があります.

『情報班の話は、私のその時の記憶から欠落している』

記憶にないとは、忘れてしまったのではないですか?.
(証言をしたときだけでなく、事故当時も)

投稿: rumichan | 2016年7月 7日 (木) 01時49分

rumichanさん

ご指摘ありがとうございます。

福島第一の現場にも、ほぼ正確にTAF(炉心露出開始)の時間を把握していた人がいたことになりますね。再現ドラマでは、白板に書き込んでいますが、そうだとすると、それはどうなったのでしょうね。一時的な蓄電池復旧で炉心水位を誤認識して、そのまま埋もれた可能性もありますね。

もうひとつの疑問は、福島第一の現場以外にもTAF水位予測を計算した人がいるのでは、すくなくともTAF水位は一番気になるはずなのだが、東京電力以外に保安員や原子炉の事故安全に係わった人で、TAF時間を予測した人がいるのではと思うのです。それらの人がどうしたのか、何故活かされなかったのか、調査すべきと私は考えます。

ご紹介されているNHK再現ドラマの25:00から25:30あたりに官房長官の談話が(ニュースと思いますが)そのまま、「原子炉に異常はありません」と入っていて皮肉ですよね。官房長官も知らずに述べているのでしょうが、誰がどこまで知っていたのか、情報がどこで断絶してしまったのか、今後の危機管理を考える上で重要だと思います。

原発再稼働には、欠かせない調査だと思うのです。

投稿: ある経営コンサルタント | 2016年7月 8日 (金) 22時23分

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