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2016年12月 6日 (火)

戦艦武蔵

NHKが「戦艦武蔵の最期~映像解析 知られざる“真実”~ 」という番組を放送していた。航空魚雷により前部が損傷し、それにより速力低下、引き続きの航空魚雷による装甲板(ボイラーとタービン部分を覆ったアーマープレート)の破損による浸水から沈没、そして水中での大爆発と言ったような内容であった。

不沈艦などあり得ないが、不沈艦と誤解した。原発とそっくりさんみたいである。そのことは、設計者なり、物事をきちんと考える事ができる人は、分かっていたはずである。

戦艦の装甲板の外側は大砲であれ、魚雷であれ、命中すれば、たちどころに破壊する。大砲は装甲板の外側であるが、大砲自身の外側に装甲板を付けてあり、たちどころの破壊は免れる。動くことが可能で、大砲を撃つことができれば、何とかなるというような考え方である。しかし、同一箇所に何発か被弾すれば、装甲板も壊れるし、浸水する。当然の事である。

戦艦武蔵の事を書いた本で、私が好きなのは、吉村 昭の「戦艦武蔵」である。長崎の船台での建造を目隠しするために、シュロを買い占めする話から始まる。

 

武蔵は大砲を一発も実質撃つことなく沈んでいった。大砲を撃つためにレイテ沖に向かったが、到着する前に沈没した。大金をつぎ込んで、スクラップ以下の価値であった。

何故大和・武蔵なんて作ったのかは、アメリカに備えるためであった。アメリカとの戦争を望んだのかと言えば、望まなかった。しかし、海軍というものがある以上は、海軍は戦えずとは言えず。「ある程度は、抵抗する。本土は、簡単には侵略させない。」と言う事になってしまうし、そのための策は講じざるを得ない。大和・武蔵とは、そのようなアメリカへの対抗策として生まれた。即ち、アメリカは大西洋と太平洋に面しており、軍艦はパナマ運河を経由して行き来できないと効率が悪すぎる。そこで、パナマ運河通過可能が条件となり、Panamax船形で押さえられる。新パナマ運河の完成前のPanamaxは最大船幅32.3mである。ミッドウェイ海戦のアメリカ軍空母エンタープライズ、ホーネット、ヨークシャーいずれも船幅は25.4mである。大和・武蔵の船幅は38.9mである。

戦艦は横方向に大砲を撃つ。大和・武蔵は砲塔3本で各3本の砲があるので、同時に9砲発射でき、各砲の角度を微妙に変えて、ある範囲に着弾するようにするようにする。9弾のうち、どれかが命中すれば、戦果が上げる。一方向の右か左に一斉に撃つので艦は当然反動で傾く。傾きを押さえ、安定させるのが、船幅であり、広いほど安定する。最大射程距離40kmある46cm砲は、アメリカの軍艦は装備できない。このような考え方である。かと言って、大和・武蔵でアメリカ本土を攻撃するのは無茶である。万一、日本にアメリカ軍艦が来ても、大和・武蔵があれば、ある程度は対抗できるとの考え方。海軍軍人の中には、大和・武蔵は最後の砦であり、その前に外交交渉で解決して欲しいとの気持ちであった人もいるはず。

武蔵は、実質大砲を撃たなかった。大和は、レイテ沖で少しだけ撃った。しかし、大和も、沖縄に出撃した時は、もはや活躍可能な世の中ではなかった。大和・武蔵は我々に大きな教訓を残したように思う。ある一つの考えに凝り固まってはならない。総合的に考えて計画を練り、悪ければ直ちに修正をすることの必要性である。大和・武蔵は巨額の税金を使って建造された。この税金の一部でも、当時貧しかった東北農村の人たちのために回す事ができていたなら、少しは変わっていたのだろうか?

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コメント

武蔵は最初の射撃で、衝撃により射撃方位盤が壊れました.
そのために、各砲独自に射撃を行ったところ、連絡不足から機銃員が射撃の爆風で飛ばされ犠牲者がでたので、射撃が中止されたと言うような話です.
射撃方位盤というのは、測距儀で測った情報を砲塔に電気的に伝える設備で、目標方向、角度が指針で示されるので、角砲塔はその指針に合わせて射撃を行います.

簡単に言うと、指令室でダイヤルを回すと、それに合わせてセルシンモータで各砲塔の指針が動くようになっていました.

書き加えれば、射撃時の波による船の横揺れを記憶し補正する装置を、大和、武蔵は持っていました.(日本光学製)
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当時の大型の駆逐艦が3000トン程度です.大和、武蔵の砲塔一つが3000トン近くあって、このように考えると大和、武蔵が如何に巨大であったかが分ります.

ミッドウェー海戦以降、二隻ともトラック島の湾内にとどまって全く出撃しなかったので、批判を浴びて仕方なく出撃したようですが、会敵しませんでした.
トラック島で、一度射撃演習を行っています.

投稿: rumichan | 2016年12月 6日 (火) 18時39分

rumichanさん

コメントをありがとうございます。

しかしねーー。例え、武蔵の射撃方位盤が壊れなかったとしても、主砲は使えなかったはずです。何故なら、ロケット砲ではなく、砲筒の中で砲弾を加速するので、砲口を出た瞬間と同時に高圧のガスが出てくる。このため、主砲付近や甲板に人がいると吹き飛ばされる。

武蔵が航空機と戦うためには、高射砲や機銃が必要で、主砲を撃つ時は、水兵を退避させざるを得ない。航空機は、時速360kmであったとしても、分速6kmである。3分で約20kmですから、それくらいの距離になると、主砲は役に立たず、高射砲と機銃が主役になる。

駆逐艦が3000トンとして、巡洋艦が11,000トン、大和・武蔵が70,000トンと考えて、艦の重量と燃料消費が比例するとすれば、大和・武蔵は燃料を食いすぎて、出撃させるわけにはいかない。

投稿: ある経営コンサルタント | 2016年12月 6日 (火) 22時14分

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