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2018年7月25日 (水)

ダムは洪水を緩和・軽減するが、無くしはしない

ダムに対する誤解なのか、原子力発電と同様で、安全神話なのかわからないが、ダムは洪水を防いでくれるとの誤解があるように思う。もしかして、ダムに対する反対運動に対抗して、作られた神話なのか、政治家が推進目的で広めた神話なのか、分からないことだらけですが。

そのようなことを思っている時に、このDiamond Onlineの記事 7月25日を読んだ。関西大学の特別任命教授が書かれおられるが、その3ページ目に次の記述があった。

(5)治水ダムの放流による氾濫
 ダムが洪水で満水状態になると、上流から流入する洪水をそのまま下流に流す必要がある。そうしないと、ダムが決壊してしまうからだ。ところが、この操作を実施することを下流住民は知らず、洪水氾濫に巻き込まれてしまった。愛媛県の肱川の野村ダムで起き、大洲市と西予市で犠牲者が発生した。

私の7月19日のブログで書いた事であるが、国交省野村ダム管理所は、午前2時半に西予市に対して、午前6時50分頃にダムが満水となる予想を連絡した。

そもそも、野村ダムの諸元はここにあるが、ダムの堤高60mであり、ダムの基部(基礎岩盤)から35mが設計上での貯水可能最低水面となっている。35mから60mの間が貯水能力となるが、ダムの上から1.8m下がった位置を洪水時最高水位としているので、35mから58.2mまでが貯水容量であり、23.2m水面を上下させる事で、野村ダムの活用可能な貯水容量は0m3から12,700,000m3まで変化する。

野村ダムは、かんがい容量10,200,000m3と水道容量1,700,000m3の合計を総貯水容量12,700,000m3から差し引くと、800,000m3が洪水調節容量となる。しかし、6月16日から10月15日の期間は、ダム水面をダムの基部から53.2mの位置とすることにより800,000m3ではなく、3,500,000m3のの洪水調整能力を持つように運用している。

3,500,000m3のの洪水調整能力で大丈夫かと言うと、野村ダムの諸元は、計画高水流量 1,300m3/sで調節流量300m3/sである。1,300m3/sのダムへの流入はあり得る前提であり、調節流量300m3/sなので、1秒間に1,000m3の割合で貯水量が増加する事があり得る。その場合は、3,500秒で満水となる計算なので、ほぼ1時間で満水となる。このような場合は、計画最大放流量1,000m3/sとなっているので、1,000m3/sの放流をすることもあり得るし、異常洪水流量は2,500m3/sと記載されており、異常時には2,500m3/sもあるとの前提である。

7月19日のブログで掲げたグラフを再度掲示するが、右軸が貯水量であり、8日午前8時に12,728,000m3の貯水量となり、12,000,000m3を超えている。野村ダムはコンクリート重力ダムであり、能力以上に貯水しても決壊はしない。ただ、能力以上に貯水する事はできないのである。午前2時半に市役所に連絡する事の対応で良かったのか、市役所はこの連絡を受けてどう対処したのか等検証すべき課題は多い。しかし、一方で、ダムの刻々と変化する貯水量はWebでも公表されていたのであり、誰もが見る事ができ、各自が自分で判断する事も不可能ではなかったと思う。

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ダムの容量を大きくして、どのような規模で上流から水が流れ込んでも大丈夫なようにすることは不可能ではないだろう。しかし、膨大な建設費となるし、甚大な環境破壊ともなる。適正な規模の適正な開発・適正なダムの建設が重要である。ダムのみで洪水被害を防止するのではなく、情報伝達や適正な堤防の整備や緑化を含めた総合的な取組こそが洪水被害を最小限にする方法である。

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