2021年2月 4日 (木)

新型コロナ対策特別措置法改正に関連して考えたこと

新型コロナ対策特別措置法、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)と検疫法の改正が成立した。

日経 2月3日 時短・入院の拒否に「過料」 改正特措法など成立

法律改正案が短期間に成立したのは、この1月28日のNHKニュース が報じている自民党と立憲民主党の修正合意が1月28日に成立したことがある。この修正合意により、感染症法72条の一年以下の懲役又は百万円以下の罰金から80条と81条の過料に修正されることになり成立した。

1月28日には、関連するもう一つの興味あるこのニュース(日経 1月28日 )がある。

「15日の厚生労働省の厚生科学審議会(厚労相の諮問機関)の感染症部会で、罰則を設けることに反対意見が多数出ていた。・・・共産党の小池晃氏は28日の参院予算委員会で、15日の感染症部会で「慎重意見が多数出ていた」と主張した。」

当該1月15日の第51回厚生科学審議会感染症部会 議事録は、ここ にある。参考となる次の様な発言が多い。読んでみると参考になることが多くある。

中澤参考人(全国衛生部長会 会長)の「報道では入院拒否で懲役や罰金刑という言葉ばかり目立ってしまうのですけれども、法の施行に当たっては、感染した患者さんやその周囲で感染拡大を心配している市民の皆さんに寄り添って対応していただくことを求めたいと考えております。それから、決して取締りや刑罰が先に立ってしまって法の趣旨がないがしろにされることのないように、社会にもきちんと説明をし、理解を得るように努めていただきながら見直しを進めていただきたいです。」

白井委員(枚方市保健所所長)「罰則規定について、特に保健所長の立場というか、保健所長会としても懸念をしているところではあるのですけれども、この対策の実効性が確保できるかといったところで、これが独り歩きするような形になると逆に保健所の仕事が増えるというか、どのようにどんな方に罰則というか、もちろん多数の方は協力していただける方が多いのですけれども、」

味澤委員(がん・感染症センター 都立駒込病院感染症科)「私は昔の伝染病予防法という時代から感染症をやってきたもので、伝染病予防法のときは、患者さんが病院から逃げますと法律上は交通封鎖までできるという法律だったのですが、実際に患者さんが逃げたらそれをしたかというと、そういうことはできなかったのです。むしろ患者さんを治ったから退院という形にしてしまったので、実際に今度は罰則規定をつくったときに、それをどう使えるか。なかなか非常に使いにくいのではないかと思うのです。伝家の宝刀というような意味はあるかもしれませんけれども、実質性を担保していくにはよく考えたほうがいいのではないかとは思います。その伝染病予防法の反省を踏まえて今の感染症予防法ができているので、その本質を生かしながらうまくやっていく方法を見つけるのがいいのではないかと個人的には思います。」

では、誰が刑事罰なんて言い出したのかであるが、地方自治体の首長達と思う。選挙民にアピールできるし、ダメなら保健所を初め部下に責任を押しつけられる。そんな構造を思ってしまう。

さて、ここ全国知事会の1月9日付新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を受けた緊急提言がある。そこには、次の様な表現もある。

感染拡大を防止するためには、保健所による積極的疫学調査や健康観察、入院勧告の遵守義務やこれらに対する罰則、民間検査で陽性となった本人による保健所への連絡の義務化、宿泊療養施設や自宅での療養の法的根拠及び実効性の確保、クラスター等複数の陽性者が発生した場合の知事の判断による施設の名称等の情報の公表等に関する感染症法の改正を行うこと

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2021年1月31日 (日)

印西市の老人ホームでの睡眠導入剤による殺人並びに殺人未遂事件

一審千葉地裁での裁判員裁判では殺人並びに殺人未遂罪で懲役24年であった。しかし、2019年12月の東京高裁での控訴審では差し戻しとなっていた。そして、1月29日の最高裁で千葉地裁の懲役24年が確定した。最高裁の判決文はここ にあります。

どのような事件であったか、最高裁の判決文から抜き出すと次の様になります。

2017年2月5日、老人ホーム事務室において、被告人波田野愛子は、同僚女性山岡恵子さんに対し、ブロチゾラムを含有する睡眠導入剤数錠をひそかに混入したコーヒーを飲ませた。山岡恵子さん は、午後3時頃になると、意識障害等を伴う急性薬物中毒の症状が生じ、普段とは違う口調で脈絡のない発言をするようになり、机に突っ伏して寝た。この様子を見ていた被告人は、山岡恵子さんに帰宅を促した。山岡恵子さん は、仮睡状態等に陥り、約100m走行した地点で車を脱輪させて鉄パイプの柵に衝突させた。被告人波田野愛子は、その現場に駆けつけ、上記鉄パイプの先端が車に突き刺さっているのを目撃した。山岡恵子さん は、本件物損事故の状況を説明できず、フェンスに背中をもたれて立ったまま寝ている様子であり、被告人波田野愛子が両頬を両手で叩いて声をかけても、黙ってぼう然と立ったままであった。山岡恵子さんは,ふらつきながら同事務室に戻り、机に突っ伏して眠り込んだ。被告人波田野愛子は、午後5時30分頃、車が走行可能である旨を告げて山岡恵子さんを起こし、運転して帰宅するよう老人ホームから送り出した。山岡恵子さんは、その後間もなく、急性薬物中毒に基づく仮睡状態等に陥り、約1.4㎞走行した地点で車を対向車線に進出させ、進行してきた普通貨物自動車に車を衝突させた。この事故により、山岡恵子さんは胸部下行大動脈完全離断等の傷害を負い、同日午後7時55分頃、搬送先の病院において死亡し、対向車線の車の人は全治約10日間を要する左胸部打撲の傷害を負った。

以上が第1事件であり、第2事件は2017年5月15日に発生した。この第2事件では別の同僚女性(当時69)について、その夫(当時71)が自動車で本件老人ホームに送迎していることを知っていた。被告人波田野愛子は5月15日午後1時頃から午後1時30分頃までの間に、老人ホーム事務室において、両人に対し睡眠導入剤数錠をひそかに混入したお茶を飲ませた。両人は、意識障害等を伴う急性薬物中毒の症状が生じ、午後2時頃以降夫は椅子に座ったまま眠り込み、その後両人とも体調が悪化して同事務室等で休んでいたが、被告人波田野愛子は、この様子を見ていた。被告人波田野愛子は午後5時30分頃、事務室で寝ていた両人に対し、帰宅時間である旨を告げて起こし、夫が自動車を運転してその妻である同僚女性と共に帰宅するよう仕向けた。夫は、車の運転を開始したが、妻である同僚女性と共に急性薬物中毒に基づく仮睡状態等に陥り、午後6時頃、約4.7㎞走行した地点において、車を対向車線に進出させ、対向進行してきた普通貨物自動車に車を衝突させた。この事故により、助手席の妻である同僚女性 は全治約1か月間を要する両側肋骨骨折の傷害を、夫は全治約10日間を要する全身打撲傷等の傷害を、対向車貨物自動車の運転手は加療約3週間を要する頸椎捻挫等の傷害をそれぞれ負った。

最高裁判決を読むと、睡眠導入剤等を飲ませて、車を運転させて帰宅させようとする行為が、殺人や殺人未遂であることは、常識的な基準と考える。東京高裁の判断である、被告人波田野愛子の行為により事故の相手方が死亡する危険性は低かったとする評価や、被告人波田野愛子には事故の相手方が死亡することを想起し難たかったという論理は私には奇妙に思える。

東京高裁の論理が否定されて良かったが、それが通れば、睡眠導入剤を飲ませて、どうなろうが、そこまでは思わなかった。想定外との答弁がまかり通ることになると思える。

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2020年12月20日 (日)

これも変な法律か?

阿部知子氏が12月19日の朝日新聞の私の視点に、生殖補助医療に関する民法特例法(生殖補助医療の提供等及びこれにより出生した子の親子関係に関する民法の特例に関する法律)について書いておられた。

法律の優生思想懸念 過ちを繰り返さない国会に 阿部知子 (会員記事だが、登録すれば読める)

11月20日参議院可決、12月 4日衆議院可決、12月11日に公布された。 公布を行った官報はここ にある。

次の第3条4項は、よく考えると差別を前提とした条文に思えてしまう。

4 生殖補助医療により生まれる子については、心身ともに健やかに生まれ、かつ、育つことができるよう必要な配慮がなされるものとする。

日弁連も11月12日にこの会長声明 を出し、 生まれた子の出自を知る権利などを含めた、子どもの人権の保障やその他の懸念を表明し、拙速の感も否めないとしていた。

阿部知子氏は法案に賛成した立憲民主党であるが、朝日新聞の私の視点の中で、 反対票を投じたとある。議員立法を主導した 秋野公造氏は公明党の医師。反対した政党は共産党。このブログ で書いた種苗法の改正もそうであるが、何故わけのわからない法律ばかり作るのだろう。国会議員は、是正・修正をする為の研究・検討を行い、修正すべく立法をすべきである。

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2020年4月18日 (土)

生活保護者への1人10万円の給付

一つ前のブログで高所得者も非課税で受け取れる1人10万円の給付と書いた。

生活保護者は、どうなるかであるが、10万円の給付は受け取れる。但し、一人10万円が収入認定され、支給を受けたことを報告し、その金額が保護費として支給される金額から減額されるであろう。

高所得者には、非課税で、生活保護者は100%政府(と地方自治体)に巻き上げられる。金額は、生活保護が世帯単位だから、4人家族なら40万円である。

そうだとしたら、弱肉強食と言うべきか、金持ち優遇と言うべきか、すごい政策である。

但し、今までの例で、災害に関する義援金の扱いについては、全額を収入認定しないということも行われてきた。災害の場合は、事故から、日常生活への復旧その他補修や臨時出費もあり得るので、取り扱いに関する厚生労働省内部通達で処理可能であったが、今回のコロナウィルスは、収入減が主体であり、地震、津波、台風、洪水等とは異なる。

さあ、どうするのだろうか?法律に生活保護世帯についての扱いを定めるのだろうか?

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2019年1月30日 (水)

最高裁判決vs朝日新聞vs読売新聞

最高裁は、1月23日に、性別変更の扱いを定めた現行法(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律)を合憲であると判断したのだが、朝日新聞の記事を読むとすっきりしなかった。判決文、朝日の記事、読売の記事を掲げます。みなさんどう思われるでしょうか?

最高裁判決文 平成31年1月23日第二小法廷決定

朝日 1月24日 性別変更に必要な手術「合憲だが不断の検討を」 最高裁

読売 1月25日 性別変更、手術規定「合憲」…最高裁が初判断 同一性障害特例法

現行法の定めは次のようになっています。

第3条 家庭裁判所は、性同一性障害者であって次の各号のいずれにも該当するものについて、その者の請求により、性別の取扱いの変更の審判をすることができる。
一 二十歳以上であること。
二 現に婚姻をしていないこと。
三 現に未成年の子がいないこと。
 生殖腺せんがないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること。
五 その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること。

3条2項は医師の診断書の提出義務についてです。争われたのは3条4項の妊娠したり相手を妊娠させる生物的能力を失っていることを条件とする現行法は憲法違反かどうかでした。最高裁は、「現在の社会的状況等を総合的に較量すると、この規定は、現時点では、憲法に違反するものとはいえない。」としたのです。

性同一性障害者に対して生殖腺除去手術を受けることを強制してはならない。一方、戸籍上の性別とは異なる性で生活することは自由である。

鬼丸かおる、三浦守の両裁判官の補足意見を私は次のように要約するが、判決文を読んで頂くのが一番良い。

卵巣又は精巣の摘出は、身体への強度の侵襲であり、本来その者の自由な意思に委ねられるものであり、身体への侵襲を受けない自由として憲法により保障されるものと解され、本件規定は、この自由を制約する面があるというべきである。本件規定に関する問題を含め、性同一性障害者を取り巻く様々な問題について、更に広く理解が深まるとともに、一人ひとりの人格と個性の尊重という観点から各所において適切な対応がされることを望むものである。

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2018年7月19日 (木)

西予市野村町肱川氾濫と野村ダムについての検証

愛媛県西予市にある野村ダムの操作が悪くて基準量の約6倍の放流され、ダムから約2km下流の野村町で肱川が堤防を越え、約650戸が浸水し、住民5名が死亡したとのニュースがあった。

ダムの操作が悪かったのか?浸水が予想されるにも拘わらず、避難が遅れ、被害を大きくしてしまったのか?検証をしてみる。

1) 野村ダム

野村ダムは国交省が保有・管理するダムであり、1973年建設開始、1982年完成のダムです。堤頂長300m、堤高60mで有効貯水量12,700千m3のダムです。目的は洪水調節ならびに農業用水と水道用水です。洪水調節ならびに農業・用水の利水目的として有効貯水量は12,700千m3である。洪水期の6月16日から10月15日の期間は利水目的でダムに貯水しておく水量は9,200千m3であり、他の期間(秋・冬・春)は11,900千m3となっている。

宇和島市、八幡浜市、西予市、伊方町のミカン農家と住民に対する水供給を担っており、各農協や市町役場との協定も存在するはずである。野村ダムは肱川のダムであり、肱川の河川は野村ダムからは東に流れ、北に折れた後、予讃線伊予長浜駅付近の伊予灘で瀬戸内海に流れ込む。しかし、野村ダムの利水の多くはダム本体から少し上流側の文治が駄馬の取水塔で取水されて西方に水路トンネルを通じて供給される。例えば、27.2kmの水路トンネルにより八幡浜市布喜川にある布喜川ダムに供給されたり、更にその先は佐田岬の先端に近い三崎にも供給されたりしている。

野村ダムの目的は、渇水時のための水供給源を確保しておくことであり、利水側の権利者としては最低でも野村ダムにを9,200千m3を貯水しておく権利を持っている。そこで、洪水調節として利用可能なのは、6月16日から10月15日の期間3,500千m3であり、それ以外の期間は800千m3である。

2) 7月6日から8日の野村ダム

7月6日、7日、8日の野村ダムの貯水量、流入量、放流量のグラフを書いた。

Hijikawa20187a

このグラフの貯水量(右軸)を見ると6日の午前1時頃は7,500千m3であり、通常の利水容量確保を考えた9,200千m3より貯水量を抑えて、洪水調整能力を高めていた事が分かる。(7月1日の貯水量は9,464千m3であり、通常の利水容量を確保していた。)

流入量は7月6日午後2時頃から急に増加し始め250m3/秒を超え、6日午後10時には300m3/秒を超えた。上のグラフには7日午前7時の最大1,593m3/秒があるため300m3/秒は、あまり大きいと思わないが、放流をしていない場合は、1時間値は1,000千m3であり、野村ダムの通常の洪水調整能力3,500千m3は3時間半で満杯になる。

流入量は7日午前4時から急増し、午前4時571m3/秒、午前5時716m3/秒、午前6時1074m3/秒、午前7時1593m3/秒となってきた。放流量は、午前6時頃までは、なんとか300m3/秒程度以下とする事でコントロールしてきたが、午前6時には貯水量が11,423千m3となってしまい、野村ダムの有効貯水量12,700千m3にほぼ達してしまった。ここで、コントロールは及ばず午前7時の1593m3/秒は、そのままダムから下流に出て行った。貯水量が12,700千m3に戻るのは、翌日の7月8日午前9時の事であった。

3) 教訓

2)に書いたようにダムは、見事にその役割を果たした。野村ダムが放流したから洪水を引き起こしたというような報道もある。しかし、野村ダムは精一杯限界まで頑張ったのである。

野村ダム(国交省野村ダム管理所)は、ダム情報を適切に伝えたかであるが、7月12日のこの47ニュースによれば、7日午前2時半に西予市へ、午前6時50分の満水予想を連絡した。それ以前のコミュニケーションがどうなっていたか不明であるが、もう少し、早い時点でダム満水の危険性が予知できたかも知れないと思う。野村ダムの洪水調整無能力告知を午前2時に突然受けても、西予市役所は困ってしまった可能性もある。7日の午前5時10分から防災無線を通じての避難指示を出し、同時に消防団が各戸巡回を開始したとの報道がある。

洪水調整能力3,500千m3というのは、ダムの中でも小さい方である。近くにダムがあれば、そのダムが洪水を防いでくれると思ってしまうが、自然の脅威の中では、ダムの力なんて小さいのである。そのことを念頭に置いた安全計画(LCP)を考えておく事が重要と思う。

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2018年5月22日 (火)

働き方改革

人口減社会、高齢化社会、そしてAI。これらが日本の社会に急激な変化をもたらそうとしている。社会の問題であると同時に個人の問題でもある。

そのような社会の変化に対して、働き方も変えていかなければ、世界の中で、日本は沈んで行く可能性がある。AIとは、地球規模の問題である。日本はAIなんて必要ではないとして、取り組まないでいたならば、おそらく日本の産業は競争力を失ってしまうだろう。

AIが人類のために色々考えてくれて、人類を幸せにしてくれる。ロボットはロボット憲章なるものを作って、人類に奉仕する事がロボットの役目であるなんてことは夢ではなく妄想であると普通の人なら思っているはず。ロボットが兵器として使われたら。兵隊ロボットを作れば、怖い者知らずになるのだろうか?相手も同じようなものを作るはずである。そう考えると悪夢の連鎖で眠れなくなる気がする。

AIの能力は、当分の間、限界がある。Singularity(技術的的特異点)と言われる、AIがAIを生み出せるような革新的な特異点は、当面来ない。しかし、AIが人類が行っている労働の分野を代替していくことは進む。この場合、AIに代替させる分野を決めることが、ビジネスで勝利する重要事項となる。AIを使って、コストを下げ、競争力を高め、他社よりも付加価値の高いモノとサービスを提供する。仕事の全てを理解し、AIの能力、人の能力や心を分かって、組織を組み立てていく事ができる人材こそ、求められる人材である。新時代の経営能力と呼べばよいのだろうか。

それやこれやで、今国会に内閣が提出した「働き方法案(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案)」であるが、その脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)は、2015年の時とほとんど同じである。ちなみに比較を作成してみたので、興味がある人はここを見て下さい。

一番気に入らないのは「一年間の賃金の額が平均給与額の三倍を相当程度上回る水準以上」としている部分である。これじゃ年報1075万円で決めれば、好き放題働かすことができるのである。両者による合意が大前提であるし、他にも条件があり、そんな単純ではないが、それでも3000万円以上とか5000万円以上とか、働く事を楽しくさせ、希望を持たせるような内容にすべきである。

そんな中、「働き方法案修正で正式合意 自公と維新・希望 」 日経 5月21日というニュースがあり、こいつら何考えてんだ!社会の敵だなと思った。

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2018年1月24日 (水)

憲法改正を考える

安倍首相は、憲法改正に関して、22日の施政方針演説でも、憲法審査会において議論を深め前に進めていくことを期待するとの発言をしており、憲法改正に向けた議論が活発化する可能性があると思う。

憲法改正を考える場合、感情で考えてはならない。実質的な占領状態下で制定されたという理由ではなく、実質的な占領状態下であっても、当時の人たちが最善を尽くして制定した良い部分は守っていくべきであり、憲法の文章を理性で考え、一語一語を検討して考えることが重要である。

次の『ナチスの「手口」と緊急事態条項』を読んだが、参考となるべきことが多く書いてあると思った。お読みする事をお薦すめします。

この『ナチスの「手口」と緊急事態条項』を読んで、ナチスによるワイマール憲法の抜け穴の利用について学ぶことができました。ワイマール憲法は、1919年8月に制定、公布、発効した。ドイツが第1次世界大戦の休戦協定に調印したのは、その1年少し前の1918年11月であり、講和条約であるヴェルサイユ条約に調印したのは、1919年6月である。ドイツ帝国は崩壊し共和国になってはいたが、旧体制の権力者は影響力を持っていたし、1917年のロシア革命の結果は、ドイツでも当時勢力を増しつつあった共産主義者への対抗論があった。そのような状況下で制定されたのがワイマール憲法であった。

ワイマール憲法の訳文をNetで探してみると、英訳は、このページにありました。ヒットラーの権力把握に最初に使われた48条とは次の訳文になっています。

Article 48 If a state (8) does not fulfil the obligations laid upon it by the Reich constitution or the Reich laws, the Reich President may use armed force to cause it to oblige.

2 In case public safety is seriously threatened or disturbed, the Reich President may take the measures necessary to reestablish law and order, if necessary using armed force. In the pursuit of this aim he may suspend the civil rights described in articles 114, 115, 117, 118, 123, 124 and 154, partially or entirely.

3 The Reich President has to inform Reichstag immediately about all measures undertaken which are based on paragraphs 1 and 2 of this article. The measures have to be suspended immediately if Reichstag demands so.

4 If danger is imminent, the state government may, for their specific territory, implement steps as described in paragraph 2.

5 These steps have to be suspended if so demanded by the Reich President or the Reichstag. Further details are provided by Reich law.

この訳文で”state”とはドイツ国ではなく、国に属する州のことです。ドイツ国は”Reich”です。いずれにせよ、ドイツ大統領は、憲法により安全のためなら人権を制限できるし、場合によっては、議会を遠ざける道があり得た。

日本国憲法には緊急事態条項がない。そもそも大統領や首相に立法権と同等の権力を与える事は問題が大きすぎるからであるが、日本国憲法54条には、衆議院が解散された閉会中でも内閣は参議院の緊急集会を求めることができるとしている。59条1項により、法律案は、両議院で可決したとき法律になる。59条1項の但し書きに相当する「この憲法に特別の定のある場合を除いては」から、参議院の緊急集会における議決は法律と同一効力がある特別令を定めることが可能と私は解釈する。但し、54条3項により、臨時的措置であり、次の国会開会の後10日以内に、衆議院の同意がなければ、効力は失われる。行政は最大の権力である。憲法65条で「行政権は、内閣に属する。」としているのであり、緊急事態と雖も、立法権は国会に属する事を守るべきである。

『ナチスの「手口」と緊急事態条項』の「なぜドイツでは憲法改正を何度も行っているのか」の節には、日本国憲法は、規律密度が低く、憲法の条文の解釈や法律以下の立法を通じて問題を解決する余地が広いという記述がある。私も同じように思うのである。憲法の解釈も時代により変化して良い。時代に合わせて、憲法を読まれるのである。しかし、どのような時にも忘れてはならないのは、良心や憲法前文にある崇高な理想の追求であると考える。

そのようなことを考えて憲法改正は一語一語検討すべきである。又、現憲法を維持するという保守主義も重要であり、現憲法が守っている人権や理想が侵害されないようにせねばならない。

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2017年12月 3日 (日)

性犯罪に関する刑法の解釈

強制わいせつ罪の解釈に関する最高裁判決が11月29日にあった。

日経 11月29日 強制わいせつ罪、成立に「性的意図」不要 最高裁が判例変更

判決文(裁判所Web)

刑法176条の強制わいせつ罪の条文とは、次です。

第百七十六条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

なお、47年前の最高裁判例では、強制わいせつ罪の成立に性的意図を要するとし、性的意図がない場合には,強要罪等の成立とした。強要罪の条文は次です。

第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
 前二項の罪の未遂は、罰する。

強制わいせつ罪は最高10年の懲役で強要罪は3年です。

7月21日に痴漢犯罪の対策なんてブログを書いたのですが、その私からすれば、強制わいせつ罪の解釈は、性的意図があるとかないとかではなく、その犯行そのものの内容を調査して決定すべきと考えます。本年6月から施行された改正刑法の結果、強制わいせつと強要では最高刑の懲役期間に随分開きがあります。

今回の最高裁判決は15人全員出席の大法廷で、かつ全員一致の意見による判決であった。いずれにせよ、刑法176条では、わいせつな行為に関して、特に修飾語も条件も付けていない、良識による解釈がふさわしいと考える。

この最高裁判決は上告棄却であったのであり、児童ポルノ製造罪などと併せ、懲役3年6月の大阪高裁の判決が確定した。

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2017年10月11日 (水)

原子力発電の問題は国民の問題

福島地裁で、東電と国による損害賠償を命じる判決があった。

日経 10月10日 原発事故で国に再び賠償命令 福島地裁、2900人対象

国とは、日本政府であるが、財源は税金であり、国民全てが負担する事と変わりはない。

東電が負担するのが望ましいかというと、負担能力がないにも拘わらず、負担をさせても意味がないのである。この判決の賠償金は5億円であるが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下機構とする。)が、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法により、東電に対して拠出した交付金は本年3月末までで7兆円強である。更に、東電株主も50%以上は、機構である。機構からの交付金は返済される事になっており、東電の債務と考えると、東電の純資産額は2017年3月末で2兆3千億円なので、6兆7千億円近い債務超過となる。

このことを考えると、東電の責任だ、国の責任だと、責任論争すらむなしくなる状態である。機構は政府70億円・原子力事業者70億円で設立されているが資金源は交付国債が主体であり、実質政府である。東電は、7兆円を債務として計上しておらず、政府も交付国債を予算には含めていない。主要関係者が、粉飾決算をしているに近い。

本来であれば、東電に賠償責任有りとした「原子力損害の賠償に関する法律」第3条の解釈がおかしいのであり、変な解釈余地を残しているより、改正すべきである。力の強い人間が弱い人間に対して、自分の法律解釈を押しつけた例と思う。「言う事を聞かねば、****するぞ」みたいな。実際、福島事故については、当時東電は反論すれば、非難囂々の状態であった。

冷静になって考えると、原子力事業者に責任を押しつけて、解決にならないことが理解できる。原子力の責任を事業者だからと押しつけるより、危険性、問題点、期待できる便益等を国民参加で議論をして、方向を考えるのが正しい。原子力には、火力や水力にはない特別な危険性や特異点がある。その中には、使用済み核燃料の処理や核兵器製造を含むプルトニウム問題もある。上場会社である一般電気事業者に責任をとらせる仕組みが機能できない分野と考える。

日本の商業用原発は、未稼働発電所を含め、全て上場株式会社(上場会社が株式保有の日本原発を含め)が保有・運転している。全ての原発を、営利事業から切り離し、国民の管理体制に移管するのである。国家管理というと、戦前の悪いイメージがある。むしろ、戦前の国家管理の教訓を生かして、情報開示型・国民参加管理を目指すのである。上場株式会社には、様々な情報開示義務があり、戦前の国家管理より優れている。しかし、利益計上や株主利益の追求と無関係にはなれない。また、将来の国民の利益より当面の利益を考えると、保有している原発は、1日も早く再稼働したいというインセンティブが否応なしに働く面がある。

福島地裁判決を機会に、自分の頭の中にあるこのようなことを書いてみました。

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