2009年12月 9日 (水)

川崎協同病院事件医師有罪確定

川崎協同病院事件で殺人罪に問われた須田医師の有罪が、最高裁による上告を棄却を決定したことにより、確定しました。読売の記事と最高裁の決定文を掲げます。

読売 12月9日 延命中止で最高裁が初判断、医師の殺人罪成立

最高裁判所第三小法廷 平成21年12月07日 殺人被告事件 棄却決定

もう一つ、この事件の弁護人である矢澤 しょう治氏が書いた本があります。

殺人罪に問われた医師 川崎協同病院事件 終末期医療と刑事責任

この最高裁の決定に関しては、様々な問題を含んでいるので、書くこととします。

1) 殺人罪

須田医師が検察に起訴されたのは、殺人罪です。業務上過失致死ではないのです。殺意を持っていないにも拘わらず、殺人罪が成立するのでしょうか?検察は医師を殺人者として起訴し、裁判所は殺人罪であるとしました。なお、少し前に無罪となった福島県立大野病院の産婦人科医の容疑は業務上過失致死罪でした。

2) 事件

どのような殺人罪であったのかは、事件を振り返る必要があるので、少し書きます。

死亡したのは、当時58歳男性(1940年生)の型枠大工で、1984年に川崎公害病患者に認定され、以来川崎協同病院に通院するようになり、1985年頃から、呼吸器内科医である須田医師の外来に通っていました。

1998年11月2日、仕事帰りの車内で気管支喘息の重責発作を起こし、午後7時頃、心肺停止状態で川崎協同病院に運び込まれた。救命措置により心肺は蘇生したが、意識は戻らず、人工呼吸器が装着されたままICU(集中治療室)に入院。意識は戻りませんでした。

11月4日から外来の時から主治医であった須田医師が治療の指揮を執りました。血圧、心拍等は安定していたが、気道は炎症を起こし、喀痰からは黄色ブドウ球菌、腸球菌が検出されました。家族に対しては、意識の回復は難しく植物状態となる可能性が高いことなどの病状を説明しました。

その後、自発呼吸がみられたため、11月6日、人工呼吸器は離脱されたが、舌根沈下を防止し、痰を吸引するために気管内チューブは残されました。機械で空気を送り込むことはしなくても、気管内チューブは入れたままにしておかなければ、自分では呼吸できない状態でした。

11月16日、男性の妻に「この管を抜いてほしい。」と言われ、須田医師は「管を抜けば呼吸状態が悪くなり最期になりますよ。奥さん一人で決められることではないですよ。家族で来られる人は全員来て下さい。」と言ったところ、「みんなで考えたことです。実は、今日、夜、みんなで集まることになっています。今日お願いします。」と言われた。同日午後5時30分ころ、男性の妻や子、孫らが病室に集まり、午後6時ころ、須田医師は准看護婦と共に病室に入った。家族が集まっていることを確認し、被害者の回復をあきらめた家族からの要請に基づき、男性が死亡することを認識しながら、気道確保のために鼻から気管内に挿入されていたチューブを抜き取るとともに、呼吸確保の措置も採らなかった。

ところが、予期に反して、男性は身体をのけぞらせるなどして苦もん様呼吸を始めたため、須田医師は、鎮静剤のセルシンやドルミカムを静脈注射するなどしたが、これを鎮めることができなかった。そこで、同僚医師に助言を求め、その示唆に基づいて筋弛緩剤であるミオブロックをICUのナースステーションから入手した上、午後7時ころ、静脈注射の方法により投与した。男性の呼吸は、午後7時3分ころに停止し、午後7時11分ころに心臓が停止した。

3) 殺人罪

2)に書いた事件を読んで、皆さんは、殺人罪とすることが適当と思われますか?刑法とは、社会において犯罪を犯す者を罰し、刑事司法とは後始末をつけて、犯罪の発生を防ぐことが重要と思います。

悪徳医師に対しては、殺人罪であろうが、業務上過失致死罪であろうが、適用すべきと考えます。しかし、善意の行為に対して、罪を問うべきではないと考えます。

最高裁の判断は、次でありました。

上記の事実経過によれば,被害者が気管支ぜん息の重積発作を起こして入院した後,本件抜管時までに,同人の余命等を判断するために必要とされる脳波等の検査は実施されておらず,発症からいまだ2週間の時点でもあり,その回復可能性や余命について的確な判断を下せる状況にはなかったものと認められる。

そして,被害者は,本件時,こん睡状態にあったものであるところ,本件気管内チューブの抜管は,被害者の回復をあきらめた家族からの要請に基づき行われたものであるが,その要請は上記の状況から認められるとおり被害者の病状等について適切な情報が伝えられた上でされたものではなく,上記抜管行為が被害者の推定的意思に基づくということもできない。以上によれば,上記抜管行為は,法律上許容される治療中止には当たらないというべきである。

そうすると,本件における気管内チューブの抜管行為をミオブロックの投与行為と併せ殺人行為を構成するとした原判断は,正当である

4) 最高裁判断の危険な部分

「余命等を判断するために必要とされる脳波等の検査は実施されておらず・・・その回復可能性や余命について的確な判断を下せる状況にはなかったものと認められる」と書いてあり、人は死ぬことに対して、脳波等の検査が必要なのでしょうか。臓器移植をしない場合は、自然死があり得ると私は考えます。

違った表現をすれば、医師は医療費を湯水のように使い、治療をする義務を負うのではとならないのだろうか。医療保険は、どうなるでしょうか?100%公費負担の生活保護を受けていないと、医療費負担も大変。医師や医療機関は、義務を負うから、これを逃れる方法として、死亡する可能性がある人については、受け入れ拒否(何か理由をつけねばなりませんが)となる可能性はないか?馬鹿げたことを思ってしまいます。

回復する可能性がある限りは、治療をすべきです。しかし、医療の進歩は、極限を伸ばしていきました。回復の見込みがない場合、どこまで治療を継続すべきでしょうか?昔なら、「先生に看取ってもらえて、故人も幸せでした。」となるが、今はICUでチューブだらけで、家族からは手も握ってもらえない死しか許されないのでしょうか?

20世紀の時代には、まだQOLとか緩和医療とかの言葉があったが、医師に対して、QOLを言っても、医師が殺人となるなら、医師は患者のQOLなんて考えるより、自分の身の安全を優先せざるを得なくなるのではと危惧します。尊厳死を選択するかどうかは、その個人の自由であり権利であると思います。その権利さえ否定されたのではとの危惧を持ちます。参考までに、矢澤 しょう治氏の本にある米国の状況とした部分にある文章です。(128ページ)

「医師には、痛みと苦しみを除去し、瀕死の患者の尊厳と自己決定権を尊重する義務がある。たとえ死を早めることが予想されるとしても、効果的な疼痛緩和を施すことはこの義務の一部とみなされる。患者が末期症状でも永久的な意識回復不能でもない場合であっても、適切な代行判断や最善の利益についての検討に基づくのであれば、すべての生命維持装置を停止させることは非倫理的ではない。」

5) 家族

家族は殺人罪で起訴されなかったが、どうなのでしょうか?最高裁も家族の要請に基づき行われたと言っています。殺人は、実行犯より、依頼人の方が重罪ではないかと思います。今回の最高裁決定は、医師を保守主義に向かわせるのみならず、家族も常に殺人罪の恐怖に陥れたのかと思います。

この事件の家族について書くと、医療費は公害認定病であったので負担なしでした。それ故、公害認定病患者死亡給付金も1千万円受領できました。実は、この事件は、死亡から約3年を経過病院内でにおいて須田医師と麻酔科のT医師との間で麻酔器の使用を巡る対立が生じ、T医師が、そのときの院長に対し、この男性のカルテのコピーを見せて、須田医師を辞めさせなければコピーをばらまくなどと言って迫ったことから、病院は警察に説明をして、殺人事件に発展していったのです。家族に対して、病院は5千万円支払いました。

6) 筋弛緩剤ミオブロック

須田医師は、筋弛緩剤ミオブロックを死に至らせるために、注射したのでしょうか?男性は家族の見ている目の前のベッドの上で苦しんでいました。筋弛緩剤ミオブロックは、手術の時の筋弛緩に使用するのです。その前に、鎮静剤のセルシンやドルミカムを静脈注射したが、効果がなく苦しみ続けた。須田医師は、長年の人工呼吸療法の経験から、効き目が早く現れる喉頭筋群の筋弛緩作用を期待して点滴でゆっくり落とし始め、自然に上気道の狭窄が軽減したところで止めたと述べています。

医療について、一つのことが、人によっても見方が異なってくるのです。従い、医療に刑法が関わること。グレイな場合には、医師に有利に判断して良いと私は思うのですが。医療機関や医師の選択権は患者にあるのですし、民事の請求権まで放棄する必要はありませんから。

7) 医療崩壊

医療崩壊を加速したと思います。医師と医療機関は安全サイドに治療をせざるを得ず、医療費が増加する。安全サイドになるから、全て書面での確認がなければ、医療を受けられない。あるいは、医師が逃げ出すのでしょうか?

しかし、考え方によれば、現行法の欠陥を指摘した最高裁決定です。これを受けて、医師法の改正や、健康保険制度を根本的に変更することを検討した方がよいように思います。生活保護の医療費無償や後期高齢者制度は、どうなるのかな?かといって、混合診療の拡大のように自己負担を増加させると、治療費が続かないのかな?ただ延命のために、莫大なお金を支出するのみならず、例えば終末期になり、臓器のどこからか出血する。そのため、ほとんど見込みがなくても輸血をする。そのために、若い人に回すべき輸血用血液がなくなる。

医療については、よく考えないと大変なことになります。

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2009年12月 3日 (木)

消費者金融の総量規制への対応等

9月27日に亀井さん、こちらのほうはどうするの?を書いたのですが、更に気になることが出てきました。

1) サラ金や消費者金融は中小企業金融円滑化法の対象外

中小企業金融円滑化法は、12月1日に参議院を通過し、12月4日から施行のようです。

12月1日 日経 金融円滑化法、施行は4日 亀井金融相が方針

中小企業金融円滑化法(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律)は、第4条と第5条で中小企業者または住宅資金借入者から金融機関に対し弁済に係る負担の軽減の申込みがあった場合に、借換えその他弁済に係る負担の軽減に資する措置をとるよう努めることを定めたのであり、モラトリアムを義務化したのではありません。一方、金融機関による対応措置の実施に関する方針策定、説明書類の縦覧、行政庁への報告等については義務となっており、一定の効果は期待できるかも知れません。

しかし、個人の場合は、住宅資金の借入に限定されており、消費者金融は対象外です。また、対象となっている金融機関に消費者金融を行っている貸金業者は含まれません。従い、事業資金であっても、銀行、信用金庫、農協その他、中小企業金融円滑化法第2条に該当する金融機関からの借入でないと対象となりません。

2) 総量規制

2006年12月20日公布の貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律により、グレーゾーン金利の廃止となりました。罰則の引き上げは、公布から1月で一部施行となり、施行日は公布後1年でしたが、グレーゾーン金利の廃止は施行日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日となっています。(附則1条4項)従い、2010年6月20日までの、どこかです。

2010年6月施行部分の中に、総量規制があり、貸金業からの借入金は複数の貸金があれば、その合計で年収の3分の1以内を原則とすることが定められています。次の貸金業法第13条2を読んでみてください。この条文は、2010年6月20日施行であるから、現在は未施行です。

(過剰貸付け等の禁止)
第十三条の二 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が
個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない
2 前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に<三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。

3) 総量規制の適用

年収の3分の1を超える貸付は、過剰貸付であるとして原則禁止にしました。1回の借入額はなく、累計して年収の3分の1以下にすべきとの話です。従い、仮に、年収3百万円の人がいて、Aローンから50万円借りており、Bローンから30万円借りているとしたら、新たに借り入れることができる金額は20万円です。もし、既に100万円以上借りているとすれば、新規借入はできないのです。(ヤミ金融奨励法に思えてしまう。)

貸金業者とは、「国と地方公共団体ならびに貸付けを業として行うにつき他の法律に特別の規定のある者が行うもの以外」が原則です。(貸金業法2条)従い、総量規制には、クレジットカードでキャッシングサービス枠の契約をカード会社としていれば、それも対象です。対象とならないのは、住宅借入や銀行とのカードローンの契約、あるいは生協の貸付事業による借入等と思います。

そこで、実態を調べるべく、ネットで探すと、次の日経記事がありました。

日経 10月27日 改正貸金業法の「総量規制」、利用者の6割知らず

日本貸金業協会のアンケート調査によれば、借入残高がある4064人のうち、実際に年収の3分の1以上のお金を借りている利用者は50.2%との報道です。ここに、その日本貸金業協会のアンケートの結果報告があります。「それじゃダメじゃん

消費者金融を利用している半数の人をヤミ金に走らせる法律が良いのだろうか、大いなる疑問です。多重債務は、よくはありません。しかし、グレーゾーン撤廃の陰で、ヤミ金奨励というバカなことをして良いのでしょうか?

4) 民主党の責任

中小企業金融円滑化法なんて、実質的に余り意味のない法を作るより、ヤミ金対策に取り組むべきです。何のために国会で多数を取ったのか、問われています。

対策は相当に難しいと思います。アイフルが事業再生ADRの申請をしたように、消費者金融業者が余力を失っており、焦げ付き可能性の高い貸付を実行する元気は、あまりないと思います。地方自治体が、貸金業者が取り込めない部分の貸付をするのが良いのでしょうが、不良債権の山ができる危険性が高いと思います。素人が、手を出すと、恐ろしい結果になり得ます。

本当は、地方自治体と地域の民生委員やその他NGO・NPOのような支援をする人達と手を携えて取り組むのがよいと思うのですが、グレーゾーン撤廃と同時にNPOバンクの貸金業実施や参入に対するハードルを高くしてしまった。

何もしないでいると、恐ろしいことが起こりそうな気がします。実態を調査し、適切な処置をすべきと考えます。必要があれば、新たな法を作っても良いし、法改正をしても良いのですから。民主党は、苦しい人の生活を考えるべきと思います。

5) 年収証明書の提出

2010年6月施行の改正部分(第13条)に、貸し付け契約締結に際して、その個人に累積50万円以上を貸し付ける時、または他の貸金業者も含めて100万円以上となる場合、貸金業者は源泉徴収票等の年収証明書の提出を受けなければならないとの定めがあります。クレジットカードでキャッシングサービス枠の契約をカード会社としている場合は、枠を極度額とする極度方式基本契約が締結されていることとなり、同様に年収証明書の提出となります。(第13条の3により100万円以上が対象)

借入を受けている側の義務ではないのですが、提出しないとローンが受けられなくなるのでは、困ることとなり、応じざるを得ません。消費者金融やクレジットカードのキャッシングは、ここまでの状態になっているのですから、早急に国民総背番号の納税者番号制度を実現すべきです。金持ち優遇の日本を脱しないといけません。子供手当も実施するなら、親の住民税と固定資産税の合計額が100万円以上を超える場合は、支払われないようにするとかして実施すべきです。各市町村に住民票を置いている住民の住民税と固定資産税は市町村役所が把握しています。民主党で世の中のことを知らない人は、納税番号がないからできないとバカなことを言っていましたが。

消費者金融問題もやっかいな問題と思います。民主党の方々は、官僚依存の脱却と言ったのであり、自ら問題解決にあたるべきです。但し、官僚からの必要な支援を受けるべきと考えます。重要なことは、官僚という言葉ではなく、国民という言葉です。

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2009年11月22日 (日)

環境税(地球温暖化対策税)

次のニュースがあり、環境税については、その少し前の11日のニュースを掲げます。

日経 11月21日 国家戦略室、暫定税率見直しで協議 環境税も検討に着手

日経 9月11日 環境税導入なら年1121円負担増 環境省案で家計試算

環境省の税制案は、次のWebからダウンロードできます。(平成22年度税制改正となっている方です。)

環境省の環境税の具体案

平成22年度税制改正には、地球温暖化対策税のみが書いてあり、実質は二酸化炭素税(CO2Tax)です。

1) 環境税の税率

環境省の税案の1ページ目に書いてあり、次が税率です。

1

なお、石炭は炭種により熱量が大きく変動するのですが、25.8MJ/kgは6500kCal/kgに相当する熱量が高い高品質の石炭です。

2) ガソリン税暫定税率

ガソリン及び軽油の税率と私の計算した税額は次の通りです。

200911_2

ガソリン税と軽油取引税を合計すると、4兆円を超える金額となり、暫定税率がその半分の2兆円ですから、暫定税率をなくすと影響が非常に大きいことが分かります。なお、上の日経の記事は、「暫定税率を廃止すれば、年間約2兆5000億円の税収減」としていますが、その理由は、自動車重量税が1兆7000億円あり、このなかに暫定税率による税額が約5000億円含まれているからです。

いずれにせよ2兆5千億円は、平成21年度当初予算の税収46兆円と比べて、その5%以上になる巨額です。この税収がなくなるとどうなるかと言えば、将来の世代に負担を押しつけることとなります。

3) 環境税導入とガソリン暫定税の廃止

ガソリンの地方揮発油税は地方自治体の財源になるので、揮発油税のみを考えると17,320円の増税と24,300円の税廃止であるから、6,980円税が少なくなる。但し、原油段階の環境税が適用されるから、総合では税引き下げ額5,916円である。政府財政の観点では、57百万kl相当の3372億円税収が減少することとなる。

環境税は、石油化学の原料となるナフサ、製鉄用に使用する石炭、セメント焼成に使用する石炭、漁船用と農業用のA重油を除いて、全ての化石燃料に課税されることとなる。その結果は、次の表の通り。

200911a

約1兆円の地球温暖化対策税を徴収して、ガソリンに3300億円補助する。結果としては、6700億円の増税であり、輸入時とガソリン出荷時に課せられる間接税であることから物価が上昇し、国民負担が増加する。

4) 国民負担額

6700億円が輸出品に転嫁される部分もあり全額が国民負担となるわけではない。しかし、車に乗らない人にとっては、実はガソリンへの補助金3300億円も負担するのであるから、一人あたり年間6,000円、一世帯あたり2万円というような額の負担になると思う。

家計支出の直接的な部分のみを考えると;

A) 灯油: 18リットルで50円値上がり。従い、年間700円以上と思う。

B) 電気料金: 1kWhあたり40銭程度の値上がり。従い、年間4,000kWh消費している家庭で1,600円。

C) ガス: 1m3あたり1.32円程度の値上がり。従い、年間500m3消費している家庭で660円程度。

以上合計で、2,960円。鉄、プラスチック、セメントが値上がりしなくとも、それ以外は全て税負担増となるのであり、例えば電力を1kWhにつき10円で購入している大工場があるとすれば、電力コストは4%上昇する。当然、製品に波及すると考えるべき。

増税となっても、税が有効に使われ、低炭素社会に向かうのであればよいが、実際にはガソリンの値下げに使われ、しかもCO2増加に向かう。せめて、ガソリンに対する地球温暖化対策税を暫定税率と同じ24,300円とするか、あるいはヨーロッパ諸国に少しでも近づけるべく例えば30,000円とすれば、どうだろうかと思う。

エコカー減税をしても、その財源は国民全員が負担しているのである。本来であれば、燃費の悪い車に負担をさせるべきである。その方法は、ガソリン税の税率を上げることにある。

5) 石油石炭税のナフサ免税

石油石炭税のナフサに対する免税(租税特別措置法90の4)と税還付(租税特別措置法90の5)の適用期限が2010年3月31日までです。ガソリンは、租税特別措置法で特別扱いしているので、本来の姿に戻すとして25,100円/kl税金を低くなり、同じ思想で本来の姿に戻すなら、ナフサからも2,410円/klの石油石炭税の免税・税還付を中止することとなります。それに対して、石油化学工業各社は、当然引き続きの免税・税還付適用を求めています。

毎日 11月20日 石油化学工業協会:ナフサ非課税継続求め緊急決議

石油化学工業協会 2009年11月19日 緊急決議

2008年は国産と輸入合計で約4,400万Klのナフサを原料としているので、約1,000億円の免税・税還付額です。環境税で免税とし、一方で租税特別措置の撤廃を唱えているから変な現象が生じるかも知れないという笑い話です。

それにしても、石油石炭税とは変な税金なのです。税率からしても原油・石油製品2,410円/kl、ガス1,810/トン、石炭700/トンですから。地球温暖化対策税に統一して合理化すべきです。

税を大きくいじろうとすると種々問題は出てくるのですが、政権のためではない、国民のための税制を作って欲しいと思います。

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2009年10月30日 (金)

太陽光発電からの電力買取48円が始まります

1) 太陽光発電電力買取制度

太陽光発電からの48円/kWhでの電力買取が11月1日より始まります。誰が、そんなことを決めたかですが、経済産業大臣です。次の二階経済産業大臣告示です。

2009年8月31日付経済産業大臣告示278号

そんな権限が大臣にあるのかというと、大臣告示には本年7月8日公布の「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」第5条1項の規定に基づくと書いてあり、第5条1項は次の通りです。

第5条1項 経済産業大臣は、特定エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用の適切かつ有効な実施を図るため、特定エネルギー供給事業者が行う事業ごとに、非化石エネルギー源の利用の目標及び次に掲げる事項に関し、特定エネルギー供給事業者の判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するものとする。
一  推進すべき非化石エネルギー源の利用の実施方法に関する事項
二   再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法その他の再生可能エネルギー源の円滑な利用の実効の確保に関する事項
三  その他非化石エネルギー源の利用の目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する事項

私も、この5条1項が、そんな幅広い権限を大臣に与えているとは、読み切れていませんでした。しかし、電力買取価格のみならず、消費者が負担する太陽光発電買取結果による電気料金の値上げ幅まで、大臣が決定する権限を持っています。法律としては、政府に権限を与えすぎであり、公正な委員会を組成するような内容の法律にできなかったかと思います。なお、消費者負担については、告示278号の5ページ目に「当年度における転嫁の単価については、・・・・」と書いてあり、毎年度設定するとなっています。

ユニバーサルチャージならぬ太陽光サーチャージですが、大臣がそこまでの権限を持つとなると、物価統制のような気がしなくもありません。日本の電力料金は電力会社が経済産業省の認可を受けるが、主体は電力会社という方式(電気事業法19条)でした。即ち、電気事業は公共インフラであるが、事業主体は民間上場企業をとした制度です。更には、2000年の電気事業法改正により、大口電力(現在は50kW。但し、沖縄は2000kW。)は自由化され、大口電力の料金については大臣による認可もないからです。

2) 太陽光サーチャージ

太陽光発電を設置していない人にとっては、電気料金の値上げ幅の方が、気になります。料金関係については、経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会・電気事業分科会買取制度小委員会が、料金に関する検討を行い、結論を出し、その結果、大臣告示となっています。ここに”買取制度小委員会「買取制度の詳細設計について」取りまとめ”と題した2009年8月25日付けの審議結果があります。なお、この調査会や委員会が、どの法令で設立され、どのような権限を保有しているかについて調査できていません。

8月25日付けの審議結果の5ページの一番下に48円の買取価格が書いてあり、サーチャージについては、2ページの脚注に「kWh 当たりの負担額は約0.1 円程度(制度導入当初)」とあり、資料2ページ(17/27ページ)にもう少し詳しい説明があります。但し、10ペ-ジに、「例えば、暦年ベースの買取総額を集計し、次年度に回収するスキームを基本とすることが適当である。」と書いてあり、2010年4月1日からの電気料金値上げです。

2010年4月からの値上げ幅は、0.1円/kWhと予想されます。月に300kWhの電力を消費する家庭であれば、月30円ですが、家庭用の電力のみならず、あらゆる電力が値上がりするので、物価に跳ね返ってくる部分もあると思います。

なお、将来のサーチャージ額ですが、7月12日の太陽光発電による電気料金の値上がりに書いたように麻生総理が4月9日に日本記者クラブで20倍にすると述べたのです。そうなると、逆さや分は20倍の2円/kWhとなり、毎月600円で年間7,200円の負担です。これに物価上昇が加われば、年間1万円今より電気代他出費が増えます。

麻生総理が言うように20倍になるか不明であるし、技術革新により太陽光発電設備も安くなり、買取価格が下がっていくので、逆ざやは単価においては小さくなるはずです。しかし、量の上では、増加するので不明ですが、基本的にエネルギー価格は今後とも上昇を続けると見て間違いはないと思います。

3) 太陽光悪徳商法

やはり太陽光悪徳商法が、はびこっているようです。わざわざ経済産業省が呼びかけていますから。

経済産業省News Release 2009年10月8日 太陽光発電装置に関する消費者保護の取り組みについて

次の国民生活センターの報道資料発表は、悪徳商法の事例が6ケース書いてあります。

国民生活センター 報道発表資料 2009年10月7日 ソーラーシステムの訪問販売のトラブルが増加 -「売電収入」や「補助金」の過剰なセールストークに惑わされないで-

悪徳業者は、裁判でも訴えてくるから、大変です。例えば次の裁判例があります。(これは、70万円から100万円、あるいはそれ以上かも知れませんが、高く売りつけていた例です。)

平成21年9月17日判決言渡 平成20年(ワ)第6050号損害賠償請求事件

4) 太陽光発電の損得勘定

太陽光発電設備の費用は、幾らが妥当かと言えば、2)でリンクを張った2009年8月25日付けの審議結果の資料3ページ(18/27ページ)に書いてある3.5kWの設備で185万円か、それ以下だと思います。

幾ら買取収入が得られるかは、ここにSanyoの説明がありますが、1,169を掛けたのが年間発電kWhとなっています。これに、冷蔵庫等家屋内で消費した電力を引いた残りなので、審議結果の資料3ページは60%としています。そうなると、700を掛ければよいので、3.5kWの設備では年間2,450kWhであり、48円で買取収入が得られれば、117,600円です。年による変動もあるし、屋根が南から少しずれていることもあると思うので、これが最大限なのかも知れません。

いずれにせよ、審議結果の資料3ページ(18/27ページ)は、当然のことですが、実勢の数字です。これを参考にするのがよいと思います。但し、メンテナンスフリーではないことを認識しておいてください。台風が来て、物が飛んできて壊れる可能性もあるし、屋根に上って素人がメンテナンスすることは不可能です。それと、電池は直流ですが、利用や買取の際は交流なので、インバーターやそのコントロール関係もあります。これらも、専門家でないとメンテナンスができず、メンテナンスをすると、その年は買取収入以上の出費になるかも知れません。

将来の姿が見えにくいのですが、エネルギー価格は上昇するとの読みで、20年後を楽しみに投資するのが太陽光発電かも知れないと思います。但し、一方で、買取価格は国民全員による費用分担で支えているのであり、闇雲に進むのではなく、監視を続けて、必要があれば制度改正を行うことが重要と考えます。

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2009年10月23日 (金)

あるあると消費者委員会と花王の不思議な関係

日本の消費者保護は、大丈夫でしょうか?

1) あるあるで変な証言をした人物が消費者委員会の委員

消費者委員会の委員名簿がここにあります。その中の、田島眞・実践女子大学生活科学部教授が「あるある」で「レタスが眠らせる効果がある。」と証言していたとのことです。その告発を書かれたのが、健康食品管理士認定協会理事長の長村洋一氏(鈴鹿医療科学大学大学院・教授)で、ここにあり、さらにその本文はここにあります。名前と顔が隠してありますが、田島眞氏に間違いはありません。

ブログでは、松永和紀blogがあり、実は松永和紀blogで、私も知りました。

2) 不可思議の花王エコナ

エコナクッキングオイルなんて知りませんでしたが、突然エコナ関連製品に関する花王株式会社からの失効届の提出についてを消費者庁が発表して知りました。

「特定保健用食品(特保)」とは何であるかですが、この東京都福祉保険局のWebによれば、健康増進法26条(特別用途表示の許可)の許可を受けた販売に供する食品です。

少なくとも、花王は、お墨付きをもらって高く販売し、利益を得ることを意図したはずです。

NBOnline 10月20日 虚実ない交ぜ“消費者主権”が、指摘しているのですが、消費者団体などがエコナ発売当時から「ジアシルグリセロール」というエコナの主成分が発ガン物質であると問題視していたとのこと。しかし、実はエコナには、別の発ガン物質が含まれていたと言うのです。

植物油脂を加工して製造される人工ミルクに、発ガン性の疑いが濃い「グルシドール(以下G)」に構造が近いグリシドール脂肪酸エステル(GE)が含まれ、GEが仮にGに変化するという「最悪のケース」においては健康被害が無視できず、「リスク評価を進めるべき」という見解をドイツの公的機関が、発表した。これを受け厚生労働省は、花王に調査を指示。花王が独自に調査して、エコナにはほかの食用油よりも高い水準でGEが含まれていることが判明した。その結果、特保を取り下げたと言うのです。確かに、この消費者庁の文書には、「グリシドール脂肪酸エステルが高濃度で含まれることが判明し」と書いてあります。やはり、エコナは黒に近かったのでしょうか?それを、政府は特保だと認定した。

健康増進法26条に書かれている特別の用途とは、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用であり、これで健康食品のお墨付きを政府が与えるというのは、行き過ぎであると思います。バランスの取れた食事が一番よいはずです。

花王は、エコナクッキングオイルを、植物性加工油脂、グリセリンエステル、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)、(原材料の一部に大豆を含む)と説明しています。エコナとは、Edible Coconut Oil of NAGASEのことで、椰子油を主成分としていたのではと思います。対策としては、バランスの取れた食事が一番よいはずで、特保は多分価格が高いから止めた方がよいように思いました。(特保とは、リスクが低いことが保証されている訳ではない。ちなみに、薬もリスクがあるが、治療という重要なリターンの期待がある。)

3) そう言えば、あるあるのスポンサーは花王

これを思いつくと、花王から遠ざかりたくなりました。

4) 消費者委員会

消費者委員会とは、消費者庁及び消費者委員会設置法で 設置された委員会です。消費者保護をするにあたり極めて重要な委員会ですが、委員の選定はやはり極めてずさんであったと思います。

だれが、決めたか。麻生太郎です。(やはり!)法第6条の「委員及び臨時委員は、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」に従い、9月1日に任命しています。

では、鳩山君が首にできるかというと、できないと私は思います。何故なら、この委員会は政府とは独立しており、政府の消費者行政を監視し、意見を述べる委員会だからです。消費者庁とは別の組織です。総理大臣は任命できるものの、辞任させる権限はないし、持つべきでないと思います。

そもそも、この消費者委員会の任命を総理大臣とすることがおかしいのです。立候補者に対し、国民投票で決めればよいと思います。そうすると、どの様な人か、その意見や、熱意、経歴等も全て国民に明らかになります。国民の為の消費者行政が、総理大臣のための消費者行政にしてしまうのでは、意味がありません。だから、あるある捏造田島眞氏が就任したのですが。

ちなみに、法案に対し、日弁連は「委員の任命は「両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命」と修正すべきである。なお、委員は兼職禁止について規定すべきである。」との意見書を2008年11月19日に出していました。兼職禁止も賛成します。消費者保護を片手間にして欲しくありません。

ところで、今の委員の首を切る方法ですが、自ら辞めてもらうことが一つですが、それ以上に重要なことは法改正だと思います。私が言うように、選挙で選べないなら、せめて日弁連が言う改正を民主党政権が直ちにして欲しいと思います。

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2009年10月 7日 (水)

光市母子殺人事件実名表記本の出版(その2)

不思議な事件でして~!

著者の増田美智子さんという方は、以前から、色々書かれておられたのですね。JanJanニュースに増田美智子さんの署名記事がありました。彼女の記事について、もめ事があったのでしょうか?

JanJanニュース 2007/01/14 鳥越俊太郎さん、しっかりしてください

出版元インシデンツについてですが、同社の代表寺沢氏について、この人かどうか確信はありませんが、Wikiで引くとこのページのが出てきました。

私が言えることは、表現や言論・出版の自由は重要であることです。この事件については、もう少し見ていきましょう。

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光市母子殺人事件実名表記本の出版

検索ワードによると、このブログの9月26日の光市母子殺人事件少年容疑者実名表記の出版が多くの人に読まれているようで、少し事情が変わっているようなので、追記します。現状については、次の朝日の記事が、実態を報道していると思いました。

朝日 10月7日 光母子殺害実名本、弁護団「約束違う」著者「本人OK」

実名を出すことについて、弁護士は、承諾していないと述べており、著者は了解を取り付けているとしており、食い違っています。

私は、双方とも本当のことを述べていると思います。著者に対しては、当時はそう述べたのであろうし、現在は実名出版を取りやめて欲しいと思ってるのでしょう。

9月26日のブログで、私は「本人が実名で本が出版されることに同意しているなら」と前提を書いたのですが、現状では、この前提は崩れていると考えるべきと思いました。勿論、本当はどうかと争ってもよいのかしれませんが、弁護士が代理人としての行為をしていると考えるだけではなく、争っても無駄なだけであり、おそらく少年の利益にはならないだろうと思うからです。

印刷を再度行い、実名部分を「光市少年A」とでもすれば、解決すると思うのです。これで、本を購入して読む人が当初予定した以上に増え、著者の目的は達成されると思います。言論出版の自由も確保される。少年法第61条については、既に報道で光市事件の少年と言う言葉は完全に出ています。報道され多くの人が周知している情報で特定することは、少年法第61条の問題もないと考えます。

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2009年9月27日 (日)

亀井さん、こちらのほうはどうするの?

アイフルが事業再生ADRの申請を行い、受理されました。

9月24日 アイフル発表 事業再生計画(案)の概要に関するお知らせ(事業再生ADR手続の正式申込および受理)

本当に大変なのは、どこなのか、金融政策として(単なる政府資金の導入のみならず、法の整備も含め)必要な対象は、何であるのか?そう簡単ではないと思います。そこをしっかりと見極めて実施するのが重要であり、選挙の票のために、政策があるのではありません、

消費者金融を支援しようというのではなく、むしろ次の報道が気になります。

日経 9月21日 貸金業者、1年で32%減 5月末5700社、規制強化で廃業増

業者が廃業した結果、ヤミに潜っているのではないかとの危惧です。業者側がヤミ金融業者となることもあるかも知れませんが、借り手が新規資金に恵まれたとはとても思えず、借り手がヤミ金融に手を出して深みに陥ってしまう恐れです。(アイフルも貸借対照表を見ると貸付残高が減少しています。)

グレーゾーン金利の廃止は、それでよかったかも知れないが、当時心配されたヤミ金融の増加懸念については、対策が施されているのだろうか?対策ができていないと、グレーゾーン金利を廃止ししても意味がないことになってしまう。グレーゾーン金利の返還問題は、裁判で争えばよいだけですが、立法により廃止することは、法律論争ではなく、実社会の経済取引のルールに関与することですから、実際に社会でおこっている減少をウォッチし、モニターを継続し、必要とあれば、次々と手を打つたねばなりません。

亀井さん、あなたは就任早々、モラトリアムなんて発言したのですから、貧困により消費者金融からも相手にされなくなった人達に対するケアも十分していただきたいと思います。

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2009年9月26日 (土)

光市母子殺人事件少年容疑者実名表記の出版

光市母子殺人事件少年容疑者の実名を記載したルポルタージュ本が出版されるとのニュースがありました。

共同47 9月26日 元少年の実名表記したルポ刊行へ 山口県光市の母子殺害事件

どう思われますか?ちなみに、実名の掲載を禁じている少年法61条は、次の通りです。

少年法61条 ・・・・・少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

現在少年は、広島高裁の死刑判決を受けて、最高裁に上告をしている。その少年のことについて、本の上で、本名をわざわざ出さずとも主張はできるので、それでよいとの意見もあると思います。しかし、死刑判決を受けているわけで、実質少年としては扱われていない。次の最高裁が最後の裁判であり、死刑となる可能性が高いと思われる。死刑制度そのものも嫌ですが、死刑判決を受けるであろう被告を人間扱いしないことは、もっと嫌です。

少年法61条は、少年の保護更正・将来の社会復帰の為に、定められている。光市母子殺人事件については、容疑者は死刑の可能性が高く、最も軽い判決でも、無期刑しかあり得ない。一生通常の社会復帰は、あり得ない。一方で、人には、実名で自分の主張や様々なことを語り、他人が自分について語ることに賛成する権利が存在する。一生を少年Aとして扱われ、死刑を受ける。嫌な気がします。既に成人(28歳)となった本人が実名で本が出版されることに同意しているなら、少年法61条の禁止には該当しないと私は解釈したいのですが、いかがですか?

被害者の観点からの報道しかされなかった事件であり、本が出されることは意味があると思うし、出版の自由は極めて重要と思います。少年法においても、無期刑や死刑はあり得るとしていますから、特別な場合には、少年を人としての権利を保護することが必要と思います。

少年法51条1項 罪を犯すとき十八歳に満たない者に対しては、死刑をもつて処断すべきときは、無期刑を科する。

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2009年9月17日 (木)

経団連CSRアンケート調査結果に思う

toshiさんの9月17日のブログで知りました。経団連が会員企業1297社に対してアンケート調査を行い437社より回答があった「CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果」を、9月15日に公表しています。ここからダウンロードできます。結果だけを読む場合は、概要版が読みやすいと思います。

一つ前の鳩山内閣誕生で、民主党の公開会社法案の批判について少し触れましたが、企業のCSRについて、批判を書きたくなりましたので、今回はCSRに関する私の思いを書き連ねます。

1) 会社は株主のものではない

民主党の公開会社法案の基になっている考えは、会社は株主のものだけではなく、取引先や労働者、地域など様々なステークホルダー(利害関係者)の為のものである。これは、誰もが賛成することであり、且つ上場企業のみならず、また株式会社のみならず、社団、財団、NPO、NGO、独立行政法人等を含め、およそほとんどの団体にあてはまると考えます。

嘗て、ホリエモンが「株式時価総額が企業の価値」と言っていたことがありますが、とんでもないことです。One of Themの評価を、全てであるかのように、扱うことは誤りであり、企業の評価は、それほど簡単ではありません。もし、企業価値評価の最重要項目を一つあげるなら、「誰もが魅力を感じる企業」と思います。

CSRとは、社会の中で、活動する企業が、その企業を取り巻く多くのステークホルダーに対する責任と思います。また、多くのステークホルダーから意見を聴取し、そのなかの取り組むべき課題に取り組むこともCSRであると考えますし、そもそも企業としての社会的責任を果たすことがCSRであると考えます。

2) キャノンのCSR

経団連の調査結果であったことから、経団連会長企業キャノンのCSRを見てみました。先ずは、有価証券報告書ですが、「3 対処すべき課題」に次の文章がありました。

また、当社グループが更なる進化を遂げ、永々と発展し、繁栄し続ける真のグローバルエクセレントカンパニーとなるため、独自のコア技術の研究体制および経営人材の育成の強化に努めるとともに、社会貢献活動にも更に力を注いでまいります。

キャノンに、キヤノン 社会・文化支援活動という小冊子があり、社会・文化支援活動といのが社会貢献活動に含まれている内容と理解します。立派な内容であり、継続願いたいと思います。但し、少し気にかかる点としては、ボランティアと思われる活動に、「社員と家族など100名以上が参加しました。」とあります。これも、これでよいのですが、会社から社員や家族に強制することがあってはならず、会社(もしかしたら仕事上の上司や関係者)から言われたから、参加したというようなことに下手をするとなってしまうことを恐れます。

CSRとは利害関係者の為の企業活動ですが、利害関係者の自由を拘束することになってはいけないと思います。各個人が自分の意思で活動すべき分野については、企業は寄附のような金銭支援、あるいは給料を払って社員の業務活動として支援すべきと、私は思います。

3) 企業のCSR

現実には、不況下において、社会貢献活動に金銭や社員を割り振る余裕のない企業が実は多いと思います。そのような場合、CSRは、おざなりにして良いのかと言うと、私はそうは思いません。例えば、消費者に危険性があるものが発見されたら、例え、それが法令上問題にならなくとも、消費者保護のために、取り除くのが企業の社会的責任(CSR)であると考えます。

フェアトレードを目指すことや下請けいじめをしないことも、CSRのはずです。日本においても、国会で成立した法以外に、社会規範のような法があると私は考えます。それでなくとも、多くの法があり、多少は矛盾した部分もある。ある法では問題なくとも、別の法では解釈によっては、問題があり得ることはよくあります。法を解釈する上において、社会規範は重要です。「調査しましたが、法令違反の事実はありませんでした。」と自慢するのは、好きではありません。

内部統制制度を作って、それを遵守するだけで良いのか?であります。社会的責任の方が、もっと大事かもしれませんし、抜けてしまってはいけません。本当は、CSRがしっかりしていれば、EnronやWorldCom事件もなかったように思います。そう考えると、内部統制はCSRの一部である気がします。

4) 男女差別・ジェンダー

「男女共同参画ではないか。おまえは遅れている。」と言われそうです。男女共同参画社会基本法の公布が1999年6月23日ですから、10年と少しを経過しました。私は、男女共同参画という言葉は、ごまかしである気がしてならないのです。何故かというと、この10年で何も変わっていないと思うからです。その中で、あえて言えば、福島瑞穂新大臣が小渕優子旧少子化担当大臣と引き継ぎ挨拶をした時に、出産間近で働いている大臣を見たことです。但し、これも、異常と思います。衆議院選は、仕方がないが、9月の出産予定に対して、産休は、どうあるべきか、少子化担当大臣は激務でないか、本当は麻生旧総理他が考えるべきであったとも思います。

いずれにせよ、男女差別は、ほとんど変わっていないと言うのが残念ながら私の感触であり、男女差別と言うこととします。企業において、男女差別はないと思っておられますか?女性に対して、そう質問をしたら、「トンデモナイ」との答えが返ってきます。そんな簡単になくならないし、男女共同参画社会基本法を遵守していれば、解決するような単純な問題ではないはずです。

実は、CSRを実践することには、企業の中で男女差別をなくすことも、含まれているはずです。ISO26000が、Social Responsibilityであり未だDraft状態で、正式な基準とはなっていませんが、Gender Equalityは含まれており、ISO26000の”Box 2 – Gender equality and social responsibility”の最後には次のように書かれています。

Gender equality in stakeholder engagement is also an important means for achieving gender equality in an organization’s activities. In addition to including a balance between men and women, organizations may find it useful to seek expertise in addressing gender issues.
Organizations are encouraged to use indicators and targets to systematically monitor processes and track progress in achieving gender equality.

個人が生きていく上に置いて、社会から恩恵を受けていると同時に義務を負っている。企業・組織・団体も、全く同じで、それぞれ義務を有しており、それがCSRであると考えます。よりよい社会を作っていく義務は、政治家と国民にのみあるのではなく、企業や団体にもあると思います。

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