2017年1月12日 (木)

東芝は債務超過ですか?原発の今後は

東芝が認識する損失額は日々拡大に向かっているようで、時事ドットコムは4000億円という数字を掲げていた。

時事ドットコム 1月11日 想定外の費用4000億円=米原発事業で膨らむ-東芝

私が12月29日に取り上げた時(このブログ)は、3000億円規模というような表現だったのですが、ついに4000億円の数字も聞かれるようになった。

東芝からは未だ発表がないので、何とも言えない面はある。しかし、相当のエビデンスを出さないと東芝発表は信じてもらえない。或いは、もっとすごいのは、その先を見通して、真実を述べていないとして、東芝の株式売却を進める投資家は出ると思う。WHにしろCB&Iにしろ、高給取りの技術者は働いているわけで、雇用の維持だけでも、相当のキャッシュフローが出て行く。借入金で捻出するとしても、銀行はすんなり貸すだろうかである。

勿論、東芝はつぶれない会社である。東芝がつぶれたら、福島第一原発の廃炉はおろか、他の原発の運転どころか、休止も、廃炉も困難となる。日立、三菱がいるではないかであるが、原子力分野の技術者が他の分野に転出したりして、総人数が減少したら、やばくなることがないか心配である。

運転休止から以降も数十年間(使用済み燃料の管理まで考えれば、数百年、数千年)も高度な技術を使って面倒を見なければならない原発は、民間会社ではなく、政府が全てを管理する社会主義体制でなければ、利用・推進できない発電方式のような気がする。もっともチェルノブイリはソ連時代の事故であり、そう考えると、人間の英知を超えた存在と認識するのが正しいように思えてくる。

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2016年12月19日 (月)

銀行に関する本 2冊

『住友銀行秘史』という本が、最近話題になったりしており、読んでみました。

 

『住友銀行秘史』の最終章は、「しかし・・・・・。私は湧き上がってくる無力感を抑えようもなかった。」で終わるのですが、私自身、読み終わって、同じような気分になってしまいました。この最終章の後に、エピローグが続くのですが、それも次の終わり方です。

Sumitomokunishige

上の地位に昇ろうとして権謀術数を尽くす。果たして、それで幸福なのか、冷えた目で見れば、幸せの尺度も忘れた餓鬼状態と思える。住銀から行ったイトマン河村社長も表面的な業績数字を出すために、伊藤寿永光の手にかかり、インチキ不動産投資にのめり込む。1990年頃と言うべきか、もっとそれ以前の時代も含めてであるが、バブルに沸いた人たちや企業がいた。その中で、住友銀行はどうだったのかと考えるには良い本と思う。では、他の銀行や企業はと言えば、残念ながら、それほど私はよく知らず、何も言えません。

逆に銀行関係の本で読んで楽しくなったのは、次の本でした。

 

地方銀行、信用金庫、信用組合のことが書かれていますが、物的担保の価値が融資を決めるのではなく、企業の借り入れ能力(成長性)を見極めて、支援することでないと、地方経済は消滅するとの観点からの本です。なかなかおもしろく、読んでいて、こちらは気分が良くなります。そうですよね。企業の本当の魅力は将来の成長です。MicrosoftやGoogleのような企業が何故日本では生まれないのか、考えてみると良いのかも知れません。

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2016年11月22日 (火)

さすがスティグリッツ教授 大胆な発言

次の東洋経済ONLINEの記事です。

東洋経済ONLINE 11月21日 スティグリッツ氏警告「トランプは危険人物」

スティグリッツ教授については、この3月16日のブログで書いた事もあるが、経済に関しての正しい分析を構築されている人と私は考えている。

トランプ次期大統領に関しては、選挙前の過激な発言を軌道修正し、共和党主流とも融合的な行動にもなっているとの報道もある。でも、それって、何よ!と言いたくなる。選挙とは、それほど、デタラメなのか?これからも次々と前言を変えていく可能性もある。

トランプ大統領となって、米国では富裕層は富を増加し、多くの人はより貧しくなる。失業は増加するが貧困層や中間層を助ける有効な政策はほとんど実施されないと思う。

世界の他の国々は、どうなるだろうか。あまり影響を受けないのは中国とインドかも知れないと思う。逆に、欧州と日本は、引きずられるのか、独自色を出して、格差拡大にならないように努力するのだろうか?おもしろい幕が上がるのかも知れない。

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2016年11月12日 (土)

リニア新幹線 無意味な資産を残す可能性

次のようなニュースがあった。

日経 11月11日 リニア融資へ改正法成立 全線開業、最大8年前倒し

政府が、鉄道建設・運輸施設整備支援機構を通じて、JR東海に2016年度と17年度に1.5兆円ずつ計3兆円をリニア中央新幹線の建設資金として貸し付けることが国会で決まった。(国交省の説明はここにある。)しかし、成立した法律の中に3兆円という文言はない。この財務省の説明のように予算の中で処理されていくのである。

3兆円の税金が使われるかも知れないのに、こんな軽い乗りで良いのだろうか?JR東海の純利益は2016年3月期3287億円、連結純利益3310億円の会社である。しかも収入の90%以上は東海道新幹線からである。11年後の2027年に品川―名古屋間が完成して誰がこんなリニア新幹線を利用するのだろうかと思う。もの珍しさに1度ぐらい乗る人はいるだろう。しかし、東京オリンピックがある2020年からは日本経済は大不況と言うより、貧困人口の増大に悩む国になっていると思う。

東京ー大阪間の建設費を9兆円として50年で償還すると年間1800億円となる。しかし、次の表のように維持運営費と設備更新費で年間4300億円を必要とする。合計6000億円であるが、この金額はJR東海の利益より大きい。もし現状の利益額を維持するなら6000億円の増収を計る必要がある。2016年度の収入は1兆7000億円なので、2兆3千億円と35%増加させねばならない。人口減社会で旅客輸送量は減少することを考える必要性を感じるのだが。

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民間上場企業であるJR東海が、リニア新幹線を自社の信用力や企業の力で自らの判断により投資を実施することで、事業実施に賛成しておられた方もおられると思う。政府融資の恐ろしさは、事業が失敗しても破綻とはならず、泥沼になってしまう恐れである。しかも今回は、国民には気がつかないうちに法律の改正(しかも補足部分での改正)が行われ、融資金額も3兆円で上限とされている訳でもなく、無限大の可能性もある。

まことおそろしにほんの政治であります。参議院の投票結果を見ると賛成は自民、民進、公明、維新、こころ、無所属で反対は共産、自由、社民、沖縄でした。国民による議論の場を奪った政治家たちでありました。

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2016年10月23日 (日)

不良資産の恐ろしさ

10月23日の朝日新聞は、次の社説を掲載していた。

核燃サイクル 高速炉の虚構を捨てよ

既に1兆円以上の金額を支出している。政府は廃炉を含めて見直すことを決定したと言うが、これだけ多額の支出をしたわけであり、しかも廃炉にしたとしても、ナトリウムの安全な保管や放射性物質の廃棄を初め、相当な支出は今後も続く。一方、もんじゅを建設し研究成果として何が得られたのか、得られた成果と支出ならびに返済が必要な負債や今後の費用の見通しについて政府および関係者は発表すべきである。

もんじゅは、1兆円を超える支出であった。しかし、よく考えると、豊洲新市場も「もんじゅ」に相当似通っていると思える。この産経の2016年8月30日の記事は、総事業費5900億円で維持費1日700万円と報道していた。

この築地市場概要 平成27年度版によれば、築地市場の年間取扱金額は5214億円(水産物4350億円と青果物864億円)である。10月16日のブログに書いたように東京都卸売市場すべての総収益は200億円である。すべての市場の取扱金額は2016年9月は1058億円であった。単純に12倍すると1兆2700億円となる。市場手数料を金額あたりのパーセントであるとすると、1.6%弱である。仮に、市場手数料を上げると、小売価格の上昇になりかねないし、市場を経由しない産地直送のような取引が増加すると予想される。豊洲新市場6000億円は、どのようになるのだろうか、考えねばならない。補助金があるので、6000億円より低い金額で考えても良いのかも知れない。しかし、豊洲新市場の維持費は築地より高い可能性もある。

仮に5000億円を50年で回収すると考えても年間100億円である。これを築地の年間取扱金額のパーセントで考えると2%である。豊洲新市場を経由した場合に2%価格上昇するとしたなら、ほとんどの関係者は市場を経由しない取引を考えるだろうと思うが。どうだろうか?

経済学の「いろは」ができない人が考えたとしか思えないようなことである。最近”Stranded Assets”(埋没資産)という言葉が使われたりしている。もんじゅや築地新市場以外にもたくさんありそうで、よく考えねば、子孫に不良資産と負債を残すだけになりかねない。

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2016年9月11日 (日)

河上肇氏の貧乏物語から100年

朝日新聞天声人語が「大阪朝日新聞での連載開始から、あすでちょうど100年になる」との文を掲載していた。

朝日新聞 9月11日 天声人語 100年目の貧乏物語 (冒頭のみ)

若かった昔、河上肇氏の貧乏物語を読んで、経済学に一層の興味を持った。何故貧乏人が存在するのかと分かりやすく書いてある。経済を分析するには貨幣価値以外の基準も大切であることを教えてくれた。

そして、貧乏をなくすることは可能であるとの結論があった。勿論、簡単なことではない。自分の前世の悪行が、先祖のたたりがと言うような非論理的な考えから解き放たれることの重要性である。

100年前と比べて日本における貧乏は減少した。しかし、社会の格差が拡大しつつあるように思えるし、それ以上に低所得者層が取り残されつつあると言うべきか、豊かさから遠くなって行っているような気がする。全くの暗闇と言うわけではないが、河上肇氏の貧乏物語が力づけてくれた貧困問題への取組に対する勇気を思い出して、微力でも何かしたいなと思います。

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2016年8月25日 (木)

今後の日本の課題

Diamond Onlineに次の記事があった。

Diamond Online 8月24日 熊野英生 人口減少と経済発展の両立は不可能ではない

別の表現では、高齢化社会は怖くないということでもある。経済とは生産物であり、それは物だけではなくサービスも含まれる。豊かな社会とは、生産物を多く受け取ることができ、そのことで豊かになる社会である。

高齢化社会が問題視されるのは、高齢化による非生産人口の増大。即ち、一人当たりの生産高が同じであれば、生産人口の減少と共に、総生産高は減少する。同様に、消費側である生産物を受け取る側の人口が減少しても、その減少幅が低ければ、一人当たりの生産物受け取り量は減少し、貧しい社会となる。

農業分野では、多くの高齢者が働いているが、サラリーマン・勤労者分野では、65歳がやはり現在においては一つのハードルとなっている。やはり、これを打開していかないと、豊かな社会の実現は困難であると思う。1億総活躍社会を目指すとなるが、かけ声で実現する訳ではない。

冒頭に掲げた熊野氏の分析がおもしろかったのは、求人がどの分野に多くなり、どの分野で労働力が増加すべきかとのアプローチである。将来労働人口が総数で増加しないなら、どの分野からどの分野にシフトすべきかが重要である。熊野氏が掲げておられる主要国の職業別就業人口割合では、日本と韓国は専門的・技術書的職業の割合がヨーロッパの半分程度である。このことからすれば、技術立国日本を目指して、進めば日本は豊かになれる可能性があるように思える。高齢者は、技術立国日本を目指すために、活用すれば良いように思う。技術とは失敗の積み重ねの結果である。高齢者とは、長く生きた分だけ、多くの失敗を経験しており、それを生かせる仕組みを作り上げられるかが課題であるように思う。

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2016年8月 8日 (月)

日本の国際化

2016年1月~6月の国際収支状況は経常収支が10兆6256億円の黒字であった。前年同期の2015年1月~6月と比較して2兆5,317億円の黒字幅拡大である。

日経 8月8日 経常黒字、9年ぶり高水準 上期10.6兆円 

財務省による発表はここにあります。

一つの大きな原因は原油とLNGの金額ベースでの輸入減少であり、2015年1月~6月比較で1兆6,009億円[▲38.2%]と1兆4,454億円[▲46.4%]の減少であった。燃料関連で約3兆円輸入額が減少し、貿易収支全体では3754億円の輸入超から2兆3,540億円の輸出超となった。差は2兆7,294億円であり、この原因の大部分は原油とLNGの輸入金額の減少であった。なお、数量ベースでは、前年同期比原油3.2%増、LNG5.3%減である。

2016年1月~6月の国際経常収支の黒字10兆6256億円のうち貿易収支は2兆3,540億円であり、黒字の大部分は貿易収支ではなく、第一次所得収支9兆6,129億円である。第一次所得収支とは子会社やJVからの受取・支払の利子・配当金等や証券・債券投資等に係わる受取・支払の利子・配当金等です。貿易収支は2011年から赤字ですが、第一次所得収支は2004年から年間10兆円を超える黒字が続いている。日本の国際化と言うべきかグローバリゼーションと言うべきか、日本及び世界の国際化と相互依存は進んでいると私は考える。そして、そのような中での日本と世界の成長戦略を考えるべきである。

医療ツーリズムなんて、しっくりとこないことを言っていた政治家がいたと思う。医療ツーリズムの前に、日本の医療の国際化が必要であると思う。そんな思いで、読んだのが次のSYNODOSの記事である。

SYNODOS 2016.08.04 医療通訳はだれのため?――在日外国人の健康格差、現実に即した医療体制とは

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2016年7月24日 (日)

マーティン・ウォルフ氏のFT社説

日経が『せめぎ合う民主主義と世界秩序』として7月24日にFinancial Timesに掲載されていたマーティン ウォルフ氏のFTの社説を載せていた。次です。

日経 7月24日 [FT]せめぎ合う民主主義と世界秩序

私なんかは、このような意見に共感を覚え、賛同します。興味ある方は英語の原文も読むことをおすすめします。英語の記事は、次のリンクにあります。(タイトルも日付も、日経訳文と少し異なっているが、これです。)

FT COM July 19, 2016 Global elites must heed the warning of populist rage

英語で読むのも、おもしろいものです。日経での第3パラグラフの「これらの政策はまがい物だ。」は、原文では”The remedies they offer are bogus.”となっている。最後の文章の締めくくりの部分は、日経では「しかし、失敗は許されない。我々の文明そのものが危険にさらされているからだ。」となっているが、英語での以下の表現の方が、私にはやさしく聞こえると同時に、勇気を与えてくれそうな気がします。

It is not going to be easy. But failure must not be accepted. Our civilisation itself is at stake.

マーティン ウォルフ氏は、5つの政策について書いているが、その通りで、これも英語がおもしろい。第5の政策を日経記事は「扇動政治家と訳しているが、原文は” the quacks”となっており、ヘイトスピーチをする人達も含んだ幅広く扇動家であると私は考える。

日本においても金融政策や公共投資政策に過度に依存しないで、人々が昨日より明日が豊かになることを目指す政策を考えて、実施すべきです。

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2016年6月18日 (土)

大失敗のアベノミクス(やはりいびつ)

アベノミクスとは、近い将来には、大失敗の経済政策として批判されるように思う。国債発行残高の3分の1を中央銀行が買い占めして保有しているのは、どう考えてもいびつである。

日経 6月18日 国債保有、日銀が3分の1超す 買い取り限界論も

この日経の記事には日銀資金循環統計を基に作成した国債残高のグラフがあり、そのグラフを見るとよく分かる。安倍政権発足当時の2012年12月時点の日銀保有国債残高は100兆円を切っていた。それが本年3月末には364兆円と3.7倍になっている。中央銀行が国債を買い続けたなら、その国はいずれ破綻する。

阿部・黒田による暴走としか言いようがないと思える。物価2%上昇で良いことがあるのか?実は意味がない。意味がないバブル経済を目指して、国民を貧困に陥れるリスクを考えねばならない。アベノミクスとは単に日銀金利を下げただけで、他は何もしていない。「それじゃ駄目じゃん!」の見本みたいな政策である。日銀金利を下げただけでは、展望も何もないのである。

そんな展望のなさは、消費税増税延期も同じである。軽減税率を言い出して、消費税はおかしくなったのであるが、本来は消費税増税結果のしわ寄せを吸収し社会変革を促す予算支出を伴った政策も含めて考えるべき所を、金持ちほど優遇する軽減税率の導入に走った。だから延期する選択肢しかなかった。

1990年代初頭のバブル崩壊以後、日本において特筆すべき産業はほとんど生まれていないように思える。本来であれば液晶なんかそうであったのだろうか。しかし、液晶も技術の底は意外と浅く中国なんかも簡単に追いつける技術であったのだろうかと思う。

英国のEU離脱についての国民投票は23日なので1週間を切っている。嘗ての大英帝国であれば、絶対になかった議論である。強い英国であれば、世界で経済競争に負けるわけがない。今や、保護主義に入らないと不安に思う人が多くなっている。日本も、そのようになるリスクがあり、その場合、誰が貧しくなるのかをよく考えねばならない。利益を受け続けるのは、政治家だけで良いのでしょうか。

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