2009年12月 3日 (木)

消費者金融の総量規制への対応等

9月27日に亀井さん、こちらのほうはどうするの?を書いたのですが、更に気になることが出てきました。

1) サラ金や消費者金融は中小企業金融円滑化法の対象外

中小企業金融円滑化法は、12月1日に参議院を通過し、12月4日から施行のようです。

12月1日 日経 金融円滑化法、施行は4日 亀井金融相が方針

中小企業金融円滑化法(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律)は、第4条と第5条で中小企業者または住宅資金借入者から金融機関に対し弁済に係る負担の軽減の申込みがあった場合に、借換えその他弁済に係る負担の軽減に資する措置をとるよう努めることを定めたのであり、モラトリアムを義務化したのではありません。一方、金融機関による対応措置の実施に関する方針策定、説明書類の縦覧、行政庁への報告等については義務となっており、一定の効果は期待できるかも知れません。

しかし、個人の場合は、住宅資金の借入に限定されており、消費者金融は対象外です。また、対象となっている金融機関に消費者金融を行っている貸金業者は含まれません。従い、事業資金であっても、銀行、信用金庫、農協その他、中小企業金融円滑化法第2条に該当する金融機関からの借入でないと対象となりません。

2) 総量規制

2006年12月20日公布の貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律により、グレーゾーン金利の廃止となりました。罰則の引き上げは、公布から1月で一部施行となり、施行日は公布後1年でしたが、グレーゾーン金利の廃止は施行日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日となっています。(附則1条4項)従い、2010年6月20日までの、どこかです。

2010年6月施行部分の中に、総量規制があり、貸金業からの借入金は複数の貸金があれば、その合計で年収の3分の1以内を原則とすることが定められています。次の貸金業法第13条2を読んでみてください。この条文は、2010年6月20日施行であるから、現在は未施行です。

(過剰貸付け等の禁止)
第十三条の二 貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合において、前条第一項の規定による調査により、当該貸付けの契約が
個人過剰貸付契約その他顧客等の返済能力を超える貸付けの契約と認められるときは、当該貸付けの契約を締結してはならない
2 前項に規定する「個人過剰貸付契約」とは、個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約(住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約(以下「住宅資金貸付契約等」という。)及び極度方式貸付けに係る契約を除く。)で、当該貸付けに係る契約を締結することにより、当該個人顧客に係る個人顧客合算額(住宅資金貸付契約等に係る貸付けの残高を除く。)が当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額に<三分の一を乗じて得た額をいう。次条第五項において同じ。)を超えることとなるもの(当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。)をいう。

3) 総量規制の適用

年収の3分の1を超える貸付は、過剰貸付であるとして原則禁止にしました。1回の借入額はなく、累計して年収の3分の1以下にすべきとの話です。従い、仮に、年収3百万円の人がいて、Aローンから50万円借りており、Bローンから30万円借りているとしたら、新たに借り入れることができる金額は20万円です。もし、既に100万円以上借りているとすれば、新規借入はできないのです。(ヤミ金融奨励法に思えてしまう。)

貸金業者とは、「国と地方公共団体ならびに貸付けを業として行うにつき他の法律に特別の規定のある者が行うもの以外」が原則です。(貸金業法2条)従い、総量規制には、クレジットカードでキャッシングサービス枠の契約をカード会社としていれば、それも対象です。対象とならないのは、住宅借入や銀行とのカードローンの契約、あるいは生協の貸付事業による借入等と思います。

そこで、実態を調べるべく、ネットで探すと、次の日経記事がありました。

日経 10月27日 改正貸金業法の「総量規制」、利用者の6割知らず

日本貸金業協会のアンケート調査によれば、借入残高がある4064人のうち、実際に年収の3分の1以上のお金を借りている利用者は50.2%との報道です。ここに、その日本貸金業協会のアンケートの結果報告があります。「それじゃダメじゃん

消費者金融を利用している半数の人をヤミ金に走らせる法律が良いのだろうか、大いなる疑問です。多重債務は、よくはありません。しかし、グレーゾーン撤廃の陰で、ヤミ金奨励というバカなことをして良いのでしょうか?

4) 民主党の責任

中小企業金融円滑化法なんて、実質的に余り意味のない法を作るより、ヤミ金対策に取り組むべきです。何のために国会で多数を取ったのか、問われています。

対策は相当に難しいと思います。アイフルが事業再生ADRの申請をしたように、消費者金融業者が余力を失っており、焦げ付き可能性の高い貸付を実行する元気は、あまりないと思います。地方自治体が、貸金業者が取り込めない部分の貸付をするのが良いのでしょうが、不良債権の山ができる危険性が高いと思います。素人が、手を出すと、恐ろしい結果になり得ます。

本当は、地方自治体と地域の民生委員やその他NGO・NPOのような支援をする人達と手を携えて取り組むのがよいと思うのですが、グレーゾーン撤廃と同時にNPOバンクの貸金業実施や参入に対するハードルを高くしてしまった。

何もしないでいると、恐ろしいことが起こりそうな気がします。実態を調査し、適切な処置をすべきと考えます。必要があれば、新たな法を作っても良いし、法改正をしても良いのですから。民主党は、苦しい人の生活を考えるべきと思います。

5) 年収証明書の提出

2010年6月施行の改正部分(第13条)に、貸し付け契約締結に際して、その個人に累積50万円以上を貸し付ける時、または他の貸金業者も含めて100万円以上となる場合、貸金業者は源泉徴収票等の年収証明書の提出を受けなければならないとの定めがあります。クレジットカードでキャッシングサービス枠の契約をカード会社としている場合は、枠を極度額とする極度方式基本契約が締結されていることとなり、同様に年収証明書の提出となります。(第13条の3により100万円以上が対象)

借入を受けている側の義務ではないのですが、提出しないとローンが受けられなくなるのでは、困ることとなり、応じざるを得ません。消費者金融やクレジットカードのキャッシングは、ここまでの状態になっているのですから、早急に国民総背番号の納税者番号制度を実現すべきです。金持ち優遇の日本を脱しないといけません。子供手当も実施するなら、親の住民税と固定資産税の合計額が100万円以上を超える場合は、支払われないようにするとかして実施すべきです。各市町村に住民票を置いている住民の住民税と固定資産税は市町村役所が把握しています。民主党で世の中のことを知らない人は、納税番号がないからできないとバカなことを言っていましたが。

消費者金融問題もやっかいな問題と思います。民主党の方々は、官僚依存の脱却と言ったのであり、自ら問題解決にあたるべきです。但し、官僚からの必要な支援を受けるべきと考えます。重要なことは、官僚という言葉ではなく、国民という言葉です。

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次世代スパコン

次世代スパコンの事業仕分けWG評価結果に対して、ノーベル賞受賞者がこぞって反論をしたりで、一度は、自分なりに調べてみなければと思っていました。

事業仕分けWG評価コメントと事業仕分けの資料は次の所にあります。

WG評価コメント この資料の3/10ページから7/10ページ

1) 安井至東大名誉教授の意見

12月1日のあらたにすに安井氏の投稿記事があり、これを読んで、相当分かりました。

2009年12月01日 安井 至 「仕分け」でスパコン予算が削られたが

2) 国民に対するPR

税金を使うからには、スパコンの必要性をPRすることが必要であるが、PRがほとんどなされていないと思う。地デジや裁判員制度に、あんなにPR予算を使うなら、先端技術の必要性を政府は宣伝すべきである。おそらく、科学技術予算は、予算が確保できたなら、予算全額を研究に支出したくなり、PRなんて予算の無駄使いに思えることから、おろそかになるのだと思う。

しかし、科学技術予算の中から、管理費は支出することになる。管理のない支出こそ無駄使いとイコールである。税金を使うのであり、国民に対するPRは絶対必要である。

3) 事業仕分けWG評価コメント

事業仕分けWG評価コメントを読んでも、やはり国民に対するPRの必要性を感じます。例えば、「トヨタもF1から撤退した。苦渋かつ前向きの判断を。」とのコメントがあるが、スパコンとF1を同列に考えた人がいる。おそらくスパコンをやっている人には、思いもつかないことのはずである。

スパコンの成果として何を期待するかは、事業仕分け資料を読んでも余り解らない。それでなくても、解りつらい世界である。

4) 私の整理

私なりに理解すると、ここに世界最速スパコン100位リスト(TOP500 List - November 2009 (1-100))があり、その第1位はOak Ridge National Laboratory(USA)のJaguar - Cray XT5-HE Opteron Six Core 2.6 GHz / 2009 Cray Inc.であり、演算性能1759TFlopsである。現在の日本最速スパコンは、海洋研究開発機構の地球シミュレーター SX-9/E/1280M160 / 2009 NECであり、ランクは31位で、演算性能は122TFlopsと、14分の1である。この状況を挽回するために、演算性能は10000TFlopsと現在1位の5.7倍の性能のスパコンを設置するプロジェクトである。勿論、完成した時に、1位であることの保証はないし、仮に1位であったとして、直ぐにランキング下位になる可能性も充分ある。

事業仕分け対象のスパコンは、理研に設置され、2006年度から富士通、NEC、日立製作所との共同で開発が始まったが、2009年5月にNECと日立が経営環境の悪化を理由に撤退し、メーカーは富士通1社となった。一方、12月2日日経に、富士通、次世代スパコンの試作機を稼働 というニュースがあり、それでは、やれば良いじゃないとの気になる。

スパコンの性能のみを競争しても仕方ないのであり、スパコンを使って、何をして、どのような成果を期待するかが、重要である。世界最速スパコンリストには、500位まで掲載されており、国別の台数をグラフにすると次のようになった。

Supercomputercountry200911

実は、日本は6位である。スパコンにより大量のシミュレーションを実施し、その結果により実験の数を減らし、開発スピードを短縮する競争となっている。スパコンを使いこなすことこそ、次世代の競争に勝ち残れることである。PCも、そうかも知れない。使っているうちに、何に使えるかが分かってきたりする。

日本が中国よりランクが下なのは、現状の国力からすると納得したりして。しかし、そのうちに、現在16位のインドより下になる可能性もないとは言えず。

スパコンは、事業仕分けWGが指摘するように、10000TFlopsを目指すだけが全てではないはず。適切な高性能のスパコンの台数を多くし、多くの研究者が様々に利用できるようにすることも重要である。

事業仕分けWGは、次世代スパコン予算267.8億円を、見送りに限りなく近い縮減としたが、これより増加しても、効果的にスパコンに投資をすることが意味あると思う。投資を怠れば、次世代の発展はなく、競争に敗れる。財源は、ガソリン暫定税撤廃なんてバカなことを止めればたちどころに捻出できる。

1990年代のバブルにおいては、海外の土地に投資をしたバカがいる。その結果は、金融機関の破綻となり、税金が使われた。土地は、投資をしても、投機であり、一方に利益が生まれた場合は、他方に同額の損失が発生する。科学技術への投資からは、フルーツが期待できる。

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2009年12月 1日 (火)

デフレ対策

日銀の白川総裁も名古屋市内における講演で、現状をデフレと発言されたようです。

日経 11月30日 日銀総裁「デフレ克服に努力」 市場安定へ迅速に行動

普通なら、金融緩和を行い資金需要を興すために、日銀の金利を下げる政策となるが、現状のように0.1%でやっていたら、金利で刺激することは困難と思います。

11月21日のデフレ対策として最低賃金アップでは、最低賃金を引き上げて需要を刺激することの効果と期待を書きました。

もう一つの効果的な方法は、健全な政府政策だと思います。現政権の経済政策は、残念ながら不透明である。違う表現をすれば、不統一で混沌としています。マニフェストに書いてあるから、それを何が何でも実行すると言う。民主党マニフェストには、4年後の平成25年度には、無駄使いをなくして16.8兆円の財源を確保すると書いてある。平成22年度は、7.1兆円となっている。財源は、全く確保できていない。財源無くしてやれば、借金しかなく、そんな財政運営はバカでもできる。

現状は、無駄使いを無くすどころか、支出が増大するばかりである。政府財政が完全に破綻して、政府が何をできるかと言えば、何もできない。子供手当は、所得制限をしないことが聞こえてきたり、16歳以上23歳未満に適用される特定扶養控除を存続させるような話があったり、思想なしの無茶苦茶に思えます。

来年度は税収減と支出増が起こりそうで、それでいてその先が見えない。民主党もバラマキ政策ではない歳入庁構想や年金制度改革のような本当に必要な政策にじっくりと取り組むべきと思う。そして、先端産業・革新技術への研究開発による投資をしないと将来が暗くなってしまう。バラ色の夢は、バラマキではやってこない。夢を作れば、デフレも克服が簡単と思います。

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2009年11月28日 (土)

外国為替レートと日本経済

27日の米ドルは一時的に84円82銭までの円高になりました。

日経 11月27日 円続伸、一時84円台 独歩高の様相に

外国為替と日本経済について考えてみます。

1) 本当に円高?

米ドル安の可能性があるわけで、それをチェックするには、他の通貨と併せて見る必要があり、2008年12月1日からの主要通貨の為替レートをグラフにしました。

Forex200911mc

2009年1月頃は、ユーロや英ポンドも安くなったが、2009年5月以降は米ドルのみが安くなった感があります。今度は、新興国通貨も加えて、10通貨を対象に為替レートの推移を見ることとしますが、2008年12月1日を1.0としてグラフを書きました。円との為替レートで現しており、1.0より大きい場合は、その通貨高(円安)としています。

Forex20091110c

10通貨を比較すると、例外的動きがロシア・ルーブルです。一方、最も強い通貨と言えるのが、ブラジル・リアルです。上の2つのグラフからは、円高と言うより、やはり米ドル安と思います。11月になってからは、10通貨比較グラフでも、ほぼ全ての通貨で右下下がりになっているので、円高傾向にはなっています。

10通貨比較グラフでのもう一つの重要なポイントは、米ドルと人民元が重なっていることです。中国当局が、完全に外国為替を米ドルで固定していると考えます。米ドルと人民元のみをグラフにすると次のようになりました。

Usdcny200911

2) 日本経済への影響

今の日本の最大の輸入品原産国は中国であり、中国と米国を合算すると2008年で輸入のうち29%、輸出のうち33%を占めます。次のグラフを見てください。

Import2008

Export2008

米国向けの輸出は、自動車が一番多く、落ち込むでしょうね。中国向け輸出は、人民元が米ドルに固定となっているため、中国からの輸出はあまり変化が起こらないように思います。そうなると、日本から中国向けもそう大きな変化はなく、金額的には増加する可能性さえあると思います。日本の輸出先の2位から7位まで今やアジアですから。成長・発展するアジアに対する輸出は、そう大きく落ち込まないと思います。それだけの活力あるマーケットと思います。

日本経済への影響はむしろ輸入であるように思います。中国品が更に安く入ってきます。消費者は、喜ぶかも知れない。しかし、結果的には、農産物、食料、衣料等が更に安くなる。結果として、農家や地方の産業にボディーブロー的ダメージが行くことを懸念します。今だって、高齢の年金受給者が従事している、あるいは、規模拡大して何とかギリギリで維持している農業が本当に立ちゆかなくなる懸念を持ちます。それが、これから工業製品にも少しずつ広がる可能性もあります。日本製電化製品は、ほとんどなくなったりして。日本は、心臓部品の製造と、新規製品の開発だけになるような気がします。

恐ろしい時代がやってこようとしているのでしょうか?少し前の「上げ潮派」の発想からすれば、中国躍進まっしぐらみたいであり、民主党の農業戸別保証金制度では、財源があっという間になくなるだけで、構造改革は何も進まない可能性もありますから。

そんな日本をどうするのか悩みます。観点を変えて、中国の対米輸出は、金額で日本の対米輸出の2倍以上です。米中の結びつきは、無視できない大きさになっています。日本の、対米オンリーで考えてきたやり方を、アジア・太平洋という大きな地域の中で、日本の役割は何であり、日本はどのような産業を伸ばして行くべきかを考える必要があると思います。

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2009年11月22日 (日)

現在の日本に最も必要なこと

「現在の日本に最も必要なこと」は、何でしょうか?次の日経の記事を読んだ時に、教育ではと思いました。

日経 11月22日 製造業の投資、新興国シフト 09年、欧米向け逆転も

直ぐ頭に浮かぶのは、日本の失業率の増加です。しかし、よく考えると、新興国シフトにより、企業自身が生き延びることができている。シフトをする力も持っていなければ、その企業はジリ貧となり、売上の落ち込みが始まり、存続できなくなる。グローバル時代の生存競争で勝ち残るのは、適材適所を地球(グローブ)上で、することが勝者になる道である。もし、シフトにより日本での雇用が減少するなら、新たな雇用を生み出す産業が興るのが本筋である。(それさえできないほどの人材不足に陥ると、すごいことになる気がする。)

企業にとって、何に投資をするかは、非常に重要で、選択の幅は幾らでも広がる。投資とは、新規事業の内容やその規模により必要とする設備を、地球上のどこにするかの選択が含まれている。選択肢が多い分、検討事項も、指数関数で増加する。高度成長時代は、日本のどこに工場を建設するかのみで、今と比較すると単純であったはず。

シフトは、製造部門に止まらないと思う。今や、アジアの金融市場規模は、シンガポールや香港の方が、東京より大きい。製造業で、製造部門が新興国に移り、設計部門や研究開発部門が日本という姿も、これから変わる可能性がある。設計・研究が工場と近い距離にあることのメリットで移転するだけでなく、優秀な人材が集めやすい場所が、日本でなくなったなら、日本の魅力は大きく消滅してしまうように思える。観光立国で国民が生活できる程の収入を確保できるとは、思えない。

日本の人材教育を考えた場合、終身雇用時代は企業が新人をOJTなりで、教育して、優秀な人材を育て上げた。今は、大学3年生から就活が始まり、中途半端な人材しか育て上げることができていない懸念を持つ。社会人と大学を行ったり来たりして、研究が自由にできる環境を作るべきであると思う。究極の教育は、研究であると思う。研究することにより、疑問が生まれ、その疑問を解決しようとして、多くの努力をし、多くのことを学ぶことができる。今の学生は、そんな経験ができていない。できるチャンスもなく、下手をすれば、フリーターで、研究生活なんて縁遠くなってしまう。

日本の政治は、不況対策と言ってバラマキをするだけで、日本の将来の発展のための必要な政策を立案・実施できていない。少子化対策、高校教育支援があって良いのだが、それら以外に、世界で競争ができる人材を多く育てることの重要性を感じる。国立大学が何故独立行政法人になる必要性があったのか不思議に思える。(予算を削るためと思えるから)

日本の現在の停滞は、高度成長期の時代に日本が置かれていた環境と現在がまるで違っているのに、高度成長期の連続のようなことをしているから生じていると思う。社会構造や人々の精神構造にまで関係する部分もあると思うから、そう簡単ではない。しかし、ミクロ的に考えれば、この変化に対応して、真に優秀な人材を持った企業が、こらからの勝ち組企業になると思う。

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環境税(地球温暖化対策税)

次のニュースがあり、環境税については、その少し前の11日のニュースを掲げます。

日経 11月21日 国家戦略室、暫定税率見直しで協議 環境税も検討に着手

日経 9月11日 環境税導入なら年1121円負担増 環境省案で家計試算

環境省の税制案は、次のWebからダウンロードできます。(平成22年度税制改正となっている方です。)

環境省の環境税の具体案

平成22年度税制改正には、地球温暖化対策税のみが書いてあり、実質は二酸化炭素税(CO2Tax)です。

1) 環境税の税率

環境省の税案の1ページ目に書いてあり、次が税率です。

1

なお、石炭は炭種により熱量が大きく変動するのですが、25.8MJ/kgは6500kCal/kgに相当する熱量が高い高品質の石炭です。

2) ガソリン税暫定税率

ガソリン及び軽油の税率と私の計算した税額は次の通りです。

200911_2

ガソリン税と軽油取引税を合計すると、4兆円を超える金額となり、暫定税率がその半分の2兆円ですから、暫定税率をなくすと影響が非常に大きいことが分かります。なお、上の日経の記事は、「暫定税率を廃止すれば、年間約2兆5000億円の税収減」としていますが、その理由は、自動車重量税が1兆7000億円あり、このなかに暫定税率による税額が約5000億円含まれているからです。

いずれにせよ2兆5千億円は、平成21年度当初予算の税収46兆円と比べて、その5%以上になる巨額です。この税収がなくなるとどうなるかと言えば、将来の世代に負担を押しつけることとなります。

3) 環境税導入とガソリン暫定税の廃止

ガソリンの地方揮発油税は地方自治体の財源になるので、揮発油税のみを考えると17,320円の増税と24,300円の税廃止であるから、6,980円税が少なくなる。但し、原油段階の環境税が適用されるから、総合では税引き下げ額5,916円である。政府財政の観点では、57百万kl相当の3372億円税収が減少することとなる。

環境税は、石油化学の原料となるナフサ、製鉄用に使用する石炭、セメント焼成に使用する石炭、漁船用と農業用のA重油を除いて、全ての化石燃料に課税されることとなる。その結果は、次の表の通り。

200911a

約1兆円の地球温暖化対策税を徴収して、ガソリンに3300億円補助する。結果としては、6700億円の増税であり、輸入時とガソリン出荷時に課せられる間接税であることから物価が上昇し、国民負担が増加する。

4) 国民負担額

6700億円が輸出品に転嫁される部分もあり全額が国民負担となるわけではない。しかし、車に乗らない人にとっては、実はガソリンへの補助金3300億円も負担するのであるから、一人あたり年間6,000円、一世帯あたり2万円というような額の負担になると思う。

家計支出の直接的な部分のみを考えると;

A) 灯油: 18リットルで50円値上がり。従い、年間700円以上と思う。

B) 電気料金: 1kWhあたり40銭程度の値上がり。従い、年間4,000kWh消費している家庭で1,600円。

C) ガス: 1m3あたり1.32円程度の値上がり。従い、年間500m3消費している家庭で660円程度。

以上合計で、2,960円。鉄、プラスチック、セメントが値上がりしなくとも、それ以外は全て税負担増となるのであり、例えば電力を1kWhにつき10円で購入している大工場があるとすれば、電力コストは4%上昇する。当然、製品に波及すると考えるべき。

増税となっても、税が有効に使われ、低炭素社会に向かうのであればよいが、実際にはガソリンの値下げに使われ、しかもCO2増加に向かう。せめて、ガソリンに対する地球温暖化対策税を暫定税率と同じ24,300円とするか、あるいはヨーロッパ諸国に少しでも近づけるべく例えば30,000円とすれば、どうだろうかと思う。

エコカー減税をしても、その財源は国民全員が負担しているのである。本来であれば、燃費の悪い車に負担をさせるべきである。その方法は、ガソリン税の税率を上げることにある。

5) 石油石炭税のナフサ免税

石油石炭税のナフサに対する免税(租税特別措置法90の4)と税還付(租税特別措置法90の5)の適用期限が2010年3月31日までです。ガソリンは、租税特別措置法で特別扱いしているので、本来の姿に戻すとして25,100円/kl税金を低くなり、同じ思想で本来の姿に戻すなら、ナフサからも2,410円/klの石油石炭税の免税・税還付を中止することとなります。それに対して、石油化学工業各社は、当然引き続きの免税・税還付適用を求めています。

毎日 11月20日 石油化学工業協会:ナフサ非課税継続求め緊急決議

石油化学工業協会 2009年11月19日 緊急決議

2008年は国産と輸入合計で約4,400万Klのナフサを原料としているので、約1,000億円の免税・税還付額です。環境税で免税とし、一方で租税特別措置の撤廃を唱えているから変な現象が生じるかも知れないという笑い話です。

それにしても、石油石炭税とは変な税金なのです。税率からしても原油・石油製品2,410円/kl、ガス1,810/トン、石炭700/トンですから。地球温暖化対策税に統一して合理化すべきです。

税を大きくいじろうとすると種々問題は出てくるのですが、政権のためではない、国民のための税制を作って欲しいと思います。

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2009年11月21日 (土)

デフレ対策として最低賃金アップ

この人の言うことは、好きになれないようです。(同じようなことを他の人も口にしていることが報道されていますが。)

日経 11月20日 菅副総理、デフレ脱却へ日銀に協力要請

1) 政府月例経済報告

内閣府の11月の月例経済報告がここにあります。実際にどう書かれているかは、総論の部分を抜き出すと、次の通りです。

(我が国経済の基調判断)
景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。
・輸出は、アジア向けを中心に、増加している。生産は、持ち直している。
・企業収益は、大幅な減少が続いているが、そのテンポは緩やかになっている。設備投資は、下げ止まりつつある。
・企業の業況判断は、依然として厳しい状況にあるものの、全体として持ち直しの動きが続いている。ただし、中小企業ではそのテンポは遅い。
・雇用情勢は、依然として厳しい。
・個人消費は、持ち直しの動きが続いている。
・物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。

先行きについては、当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。

(政策の基本的態度)
政府は、家計の支援により、個人消費を拡大するとともに、新たな分野で産業と雇用を生み出し、日本経済を自律的な回復軌道に乗せ、内需を中心とした安定的な経済成長を実現するよう政策運営を行う。また、「緊急雇用対策」を推進するとともに、雇用・環境等について迅速かつ重点的な取組を行い、景気の下支えを図るための経済対策を取りまとめる。日本銀行に対しては、我が国経済が、物価安定の下での持続的成長経路に復帰するため、引き続き政府との緊密な連携の下で、適切かつ機動的な金融政策運営を期待する。

「物価の動向を総合してみると、緩やかなデフレ状況にある。」であり、妥当な判断と思います。

2) 日銀の11月20日金融政策決定会の結論

日銀の11月20日金融政策決定会の結論は、ここにあります。こちらも違和感なく読めます。結論は、「無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.1%前後で推移するよう促す。」となっています。

なお、白川総裁が記者会見を行っていますが、内容については東洋経済 11月20日 【日銀総裁会見】政策は現状維持、白川総裁「物価の認識は政府と違わない」が、記事の分量も多いし、冷静に伝えていると思います。

3) 日銀決定に政府は関与すべきではない

日本は、中央銀行が独立している正常な国であって欲しいと思います。意見交換をすることは、問題ないし、情報交換を含め大いにして欲しいと思います。しかし、中央銀行は政府とは独立しており、それを民主党が主張した結果、白川総裁に決まっています。

日銀無担保コールレートを0.1%としていることから、下げても無意味と思うし、国債の買い入れのような禁じ手は、すべきでないと思う。

私からすれば、経済音痴の民主党の議員が変な考えをすると間違いが起きるリスクありと感じます。日銀の政策決定は、日銀に委ねるのが一番です。

4) 最低賃金アップ

民主党のマニフェストには、最低賃金1000円があったはずです。「全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指す。」なんて、書いてあります。

最低賃金アップにより物価が上昇することを目指すべきと考えます。最終消費支出が増加します。結果、消費拡大による経済成長が引き起こされ、経済の好循環が生まれます。緊急経済対策として、最低賃金アップをするのです。

多分、経営者から反対が出るでしょうね。自公政権ではできなかったはずなので、民主政権が実施するのです。経営者の反対論は、人件費を上げると、会社が倒産する、あるいは雇用を維持できず、雇用人数を縮小すると言ったことと思います。しかし、全企業に同じ条件で適用されるので、企業の販売価格を上げることが可能です。

そこで、経営者が更に言うこととして、海外移転が加速されるとのことかも知れません。しかし、もともと日本の最低賃金と海外の労働コストを単純比較することが間違いです。もし、海外移転があるなら、現在の日本の賃金で生じています。むしろ最低賃金に近いような水準での労働は、スーパーのパート労働のように、産業そのものが海外移転できない産業が多いように思います。それからすると、スーパの値下げ競争は減少していくでしょうね。最低賃金アップになり、更に景気もよくなるなら、その方がよいと思います。

なお、正規雇用労働者のような最低賃金が1000円になっても、恩恵を受けない人もいます。しかし、最低賃金低迷や景気悪化によりボーナスや給与は抑えられています。もしかしたら、来年の春闘では、デフレにより賃下げなんてことか経営側から出てこないとも限りません。そう考えると、最低賃金アップは歓迎すべきと思います。

最低賃金アップに関係ない人として、農水産業の人々があります。しかし、見方を変えると、大手スーパーに、力ずくで、価格をあり得ないほど下げさせられ、最低収入に押さえられています。対抗することができなくて困っている現状と思います。それからすると、最低賃金アップを契機に、値上げ交渉できるチャンスと思います。農家も自分の農産物のスーパーでの販売価格を知っています。それが下がっているから、高く売れない。でも、上がれば、自分の販売価格を上げる交渉も可能です。

5) 現在の最低賃金

平成21年度の都道府県別最低賃金を掲げておきます。高い東京都は、安い沖縄県、宮崎県他の1.257倍あり、いきなり1000円で統一は無理と思いますが、10%上げたとして、結構インパクト大きいと思います。民主党は、マニフェストに書いたのですから、景気対策として、最低賃金アップの展望を示し、実行することだと思います。

200911

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2009年11月15日 (日)

日本航空の事業再生ADR申請

日本航空についてが多いのも気が引けるのですが、次のニュースに関連しては、書かざるを得ないと思いました。

日経 11月13日 日航、最終赤字1312億円 4~9月で最大、つなぎ融資1250億円

記事の最後の「日航は13日付で事業再生ADR(裁判外紛争解決)手続きを申請した。」です。

1) 日本航空の発表

日本航空は、プレスリリースをしていませんが、13日に発表した有価証券報告書の継続企業の前提についてが、次でした。

【継続企業の前提に関する事項】
当社グル-プは、前連結会計年度において50,884百万円の営業損失を計上しており、当第2四半期連結累計期間においても売上高の減少により95,793百万円の営業損失の計上及び借入金の返済条項の履行の困難性が存在している。当該状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在している。
 ・・・当社は、当該状況を解消すべく、平成21年11月13日に、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法所定の特定認証紛争解決手続(事業再生ADR手続)を申請し、関係金融機関等に対して支援を要請し、事業再生計画案を提示している。当社は、・・・関係各位の皆様のご理解を得て、収益の改善を図りたいと考えている。
 <省略>

2) 今後の見通し

私は、甘すぎるのかも知れませんが、次の日経の記事は、アメリカン又はデルタから増資を受けて再建する案を西松遥社長が述べたと伝えていますが、それが一番良いのではと思います。何故なら、国内線の過去のしがらみを切れるチャンスと思うからです。この際、外圧を使うなら、それでも良い。合理的な経営こそが求められているのですから。2009年9月12日のデルタの日本航空への出資に書いたように、航空法の外資規制により外資は最大33.33%までです。

日経 11月14日 日航社長「アメリカンが自然」 米航空との提携、年内に結論

3) 再建策の反省

過去を振り返って、最悪はチーム前原であるというのが、私の考えです。カネボウ再生と日本航空再建は全く異なります。カネボウは、資産(例えば各事業毎)の切り売りが可能でした。しかし、日本航空は、ほとんどが航空輸送事業であり、切り売りするのではなく、スケールメリットを生かして競争に勝ち抜かねばならない事業なのです。LCCなら、規模が小さくてもチャンスはあるが、定期便運行会社は、スケールメリットを生かすことが重要であると考えます。

チーム前原の報告書は公開されていないと了解しますが、結論は融資銀行に一部債権放棄を求めたと報道により理解します。銀行にしてみれば、資本が先に犠牲になるべきであり、それが本筋です。報告書を読んでいないので、間違っているかも知れないが、変な結論を出したと思っています。

逆に、チーム前原が、変な結論を出したから、政府介入に道を更に開いてしまった。民主党は、自分たちに企業経営の知識や能力もないのに、何かできると誤解をしてしまったと思う。このあたり、まさかとは思うが、利権構造を維持したい人達が、政府介入をさせようと動いていたとしたら、根が深い問題があると思う。

4) 再建の可能性

継続企業の前提に関する記述や事業再生ADR申請は、企業の信用力にとってマイナスです。しかも、政府介入で、信用力が更に落ちたと言えます。しかし、私は、再建可能と思います。

今回の1312億円の赤字は、恐れるべきではないと思います。1312億円の赤字の最大の原因は、営業収入の減少です。従い、営業収入が戻れば、黒字になるはずです。そこで、全日空と比較します。(情報源は、両社の決算説明会資料です。)

Jalana200911

収入の減少率に、それほど大きな差がないことが分かります。日本航空は国際線の収入が全日空の2倍以上あるため、同じ率の減少でも、金額にすれば大きくなる。むしろ、日本航空は、収入減2748億円に対して、事業費・一般管理費等のコスト削減は1526億円であり、全日空は収入減1268億円に対してコスト削減499億円です。対比すると、次のようになります。

Jalana200911c

固定費が大きいことから、収入が減少してもコスト減少は変動費のみとなるので、減少幅はそれほど大きくはならない。次のグラフは、日本航空の決算説明会資料に次のグラフ(国際線の説明)がありますが、日本航空も頑張っています。

Jal200911p

2009年5月・6月が底で、回復しつつあり、9月は座席占有率が80%近くあり、しかもRPKは前年比プラスになっていますから、座席・距離あたりの収入額(円建てと思います)が前年より大きくなったのです。一方、ASKを見ると、座席・距離の総数は、4月-9月の間、連続して昨年より10%程下回っていますから、ダウンサイジングを進めていると了解します。その結果が、コスト削減になっているのかも知れません。

マスコミの報道ほど、悪くないと思います。政府介入でゆさぶられた結果、継続企業の前提に関する注記をせざるを得なくなった。その結果、事業再生ADRを申請せざるを得なくなったとの見解が私の見方です。

5) 企業年金

これにも触れざるを得ないと思うので、書きます。日本航空と従業員・退職者の間のことです。第三者が、よく知らないで、物を言うことは良くないと思います。従い、見守りたいと言うのが私の結論です。

当然、特別立法はしてはなりません。企業年金がマイナス運用となっているのは、現在ごく普通のことです。むしろ、その問題を解決する為の法を考えるべきと思います。くれぐれも、会社が倒産しても、企業年金は労働債権として保護されるなんて考えないことです。確実に保護されるのは、外部の年金基金に積み立てられた部分です。しかし、株価下落により資産が増加するのではなく、減少しているのが現在の状況です。例えば、ここに企業年金連合会の2008年度年金資金運用状況があります。表紙の次の1ページ目に資産残高の推移グラフがあります。平成18年度末に13.2兆円あった資産が20年度末には9.3兆円に減少しています。

企業年金は、議員さんやお役人さんには、少し縁遠いものです。マスコミに扇動されて、日本航空企業年金タタキをするより、大きな観点から、よく考える必要があると思います。国債の大量発行と低金利政策のしわ寄せが、企業年金の資産悪化に繋がっているように感じます。では、どうするか?健全な財政状態に戻すことも重要と思います。

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2009年10月30日 (金)

太陽光発電からの電力買取48円が始まります

1) 太陽光発電電力買取制度

太陽光発電からの48円/kWhでの電力買取が11月1日より始まります。誰が、そんなことを決めたかですが、経済産業大臣です。次の二階経済産業大臣告示です。

2009年8月31日付経済産業大臣告示278号

そんな権限が大臣にあるのかというと、大臣告示には本年7月8日公布の「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」第5条1項の規定に基づくと書いてあり、第5条1項は次の通りです。

第5条1項 経済産業大臣は、特定エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用の適切かつ有効な実施を図るため、特定エネルギー供給事業者が行う事業ごとに、非化石エネルギー源の利用の目標及び次に掲げる事項に関し、特定エネルギー供給事業者の判断の基準となるべき事項を定め、これを公表するものとする。
一  推進すべき非化石エネルギー源の利用の実施方法に関する事項
二   再生可能エネルギー源の利用に係る費用の負担の方法その他の再生可能エネルギー源の円滑な利用の実効の確保に関する事項
三  その他非化石エネルギー源の利用の目標を達成するために計画的に取り組むべき措置に関する事項

私も、この5条1項が、そんな幅広い権限を大臣に与えているとは、読み切れていませんでした。しかし、電力買取価格のみならず、消費者が負担する太陽光発電買取結果による電気料金の値上げ幅まで、大臣が決定する権限を持っています。法律としては、政府に権限を与えすぎであり、公正な委員会を組成するような内容の法律にできなかったかと思います。なお、消費者負担については、告示278号の5ページ目に「当年度における転嫁の単価については、・・・・」と書いてあり、毎年度設定するとなっています。

ユニバーサルチャージならぬ太陽光サーチャージですが、大臣がそこまでの権限を持つとなると、物価統制のような気がしなくもありません。日本の電力料金は電力会社が経済産業省の認可を受けるが、主体は電力会社という方式(電気事業法19条)でした。即ち、電気事業は公共インフラであるが、事業主体は民間上場企業をとした制度です。更には、2000年の電気事業法改正により、大口電力(現在は50kW。但し、沖縄は2000kW。)は自由化され、大口電力の料金については大臣による認可もないからです。

2) 太陽光サーチャージ

太陽光発電を設置していない人にとっては、電気料金の値上げ幅の方が、気になります。料金関係については、経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会・電気事業分科会買取制度小委員会が、料金に関する検討を行い、結論を出し、その結果、大臣告示となっています。ここに”買取制度小委員会「買取制度の詳細設計について」取りまとめ”と題した2009年8月25日付けの審議結果があります。なお、この調査会や委員会が、どの法令で設立され、どのような権限を保有しているかについて調査できていません。

8月25日付けの審議結果の5ページの一番下に48円の買取価格が書いてあり、サーチャージについては、2ページの脚注に「kWh 当たりの負担額は約0.1 円程度(制度導入当初)」とあり、資料2ページ(17/27ページ)にもう少し詳しい説明があります。但し、10ペ-ジに、「例えば、暦年ベースの買取総額を集計し、次年度に回収するスキームを基本とすることが適当である。」と書いてあり、2010年4月1日からの電気料金値上げです。

2010年4月からの値上げ幅は、0.1円/kWhと予想されます。月に300kWhの電力を消費する家庭であれば、月30円ですが、家庭用の電力のみならず、あらゆる電力が値上がりするので、物価に跳ね返ってくる部分もあると思います。

なお、将来のサーチャージ額ですが、7月12日の太陽光発電による電気料金の値上がりに書いたように麻生総理が4月9日に日本記者クラブで20倍にすると述べたのです。そうなると、逆さや分は20倍の2円/kWhとなり、毎月600円で年間7,200円の負担です。これに物価上昇が加われば、年間1万円今より電気代他出費が増えます。

麻生総理が言うように20倍になるか不明であるし、技術革新により太陽光発電設備も安くなり、買取価格が下がっていくので、逆ざやは単価においては小さくなるはずです。しかし、量の上では、増加するので不明ですが、基本的にエネルギー価格は今後とも上昇を続けると見て間違いはないと思います。

3) 太陽光悪徳商法

やはり太陽光悪徳商法が、はびこっているようです。わざわざ経済産業省が呼びかけていますから。

経済産業省News Release 2009年10月8日 太陽光発電装置に関する消費者保護の取り組みについて

次の国民生活センターの報道資料発表は、悪徳商法の事例が6ケース書いてあります。

国民生活センター 報道発表資料 2009年10月7日 ソーラーシステムの訪問販売のトラブルが増加 -「売電収入」や「補助金」の過剰なセールストークに惑わされないで-

悪徳業者は、裁判でも訴えてくるから、大変です。例えば次の裁判例があります。(これは、70万円から100万円、あるいはそれ以上かも知れませんが、高く売りつけていた例です。)

平成21年9月17日判決言渡 平成20年(ワ)第6050号損害賠償請求事件

4) 太陽光発電の損得勘定

太陽光発電設備の費用は、幾らが妥当かと言えば、2)でリンクを張った2009年8月25日付けの審議結果の資料3ページ(18/27ページ)に書いてある3.5kWの設備で185万円か、それ以下だと思います。

幾ら買取収入が得られるかは、ここにSanyoの説明がありますが、1,169を掛けたのが年間発電kWhとなっています。これに、冷蔵庫等家屋内で消費した電力を引いた残りなので、審議結果の資料3ページは60%としています。そうなると、700を掛ければよいので、3.5kWの設備では年間2,450kWhであり、48円で買取収入が得られれば、117,600円です。年による変動もあるし、屋根が南から少しずれていることもあると思うので、これが最大限なのかも知れません。

いずれにせよ、審議結果の資料3ページ(18/27ページ)は、当然のことですが、実勢の数字です。これを参考にするのがよいと思います。但し、メンテナンスフリーではないことを認識しておいてください。台風が来て、物が飛んできて壊れる可能性もあるし、屋根に上って素人がメンテナンスすることは不可能です。それと、電池は直流ですが、利用や買取の際は交流なので、インバーターやそのコントロール関係もあります。これらも、専門家でないとメンテナンスができず、メンテナンスをすると、その年は買取収入以上の出費になるかも知れません。

将来の姿が見えにくいのですが、エネルギー価格は上昇するとの読みで、20年後を楽しみに投資するのが太陽光発電かも知れないと思います。但し、一方で、買取価格は国民全員による費用分担で支えているのであり、闇雲に進むのではなく、監視を続けて、必要があれば制度改正を行うことが重要と考えます。

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2009年10月26日 (月)

鳩山政権の税制改革

衆院本会議で、鳩山首相就任後初の所信表明演説がありました。例えば、次のリンク先でに全文を読むことができますが、下に抜き出した文章は全くその通りで、賛成します。

Nikketi Net 特集 政権交代 (10/26)鳩山首相が初の所信表明 国政の変革、政治主導で

政党や政治家のためではなく、選挙のためでももちろんなく、真に国民のためになる議論を、力の限り、この国会でぶつけ合っていこうではありませんか。

税制改革については、内閣府に税制調査会を設置することを9月27日の閣議で決定し、既に3回会合を持っています。閣議決定は、ここにあります。

1) 鳩山政権の税制改革の理念

党税調は持たずと言っており、自民党を反面教師にしています。確かに、自民党政権が利益調整政権であったので、利益調整を実施する重要な機能を党税調が持っていました。利益調整をせず、国民のためにまっしぐらに進むとの理念で党税調を廃止したと理解します。

第1回の税制調査会での、鳩山首相の冒頭の挨拶には次の文章がありました。(議事録はここにあります。なお、会議のビデオや資料等がここから見れたり、Downloadできます。)

・・・・・ある意味で「政治とは税なり」と、税の議論こそ政治家が真剣に行わなければならない最大のテーマだと思っておりますが、・・・・・、この国の未来に向けてあり得べき税制の在り方というものを真剣に国民のために議論していただき、結論を得ていただきたい、心からそのことをお願い申し上げます。・・・・

2) 税制改革の方向

第1回の税制調査会で、鳩山首相が10月8日付諮問文府企第241号(ここにあります。)を提出していますが、この諮問を読めば、税制改革の方向が分かります。

A) 番号制度の導入

是非早急に導入してください。国民にとって年金と健康保険は、重要です。税も国民にとって重要であり、統一番号を使って、給付も徴収も合理的に進められるようにすべきで、「消えた年金問題」が過去の失敗例を物語っています。10月26日の「あらたにす」でも、中央大学森信茂樹氏が「「番号」の導入を決断する時」を書いておられました。ここにあります。

B) 所得控除から給付付き税額控除へ

子供手当導入までに、導入するのでしょうか?月額2万6000円を支給するなら、子供2人で年間624千円。給付付き税額控除なら、税額が624千円以下の人は、税金を納付するのではなく、税金とは政府が支給してくれる金銭になる。面白い制度で、色々使えるかも知れないと思います。

一方で、消費税率を上げるために、消費税制度の低所得者に対する逆進性を解消し、負担を軽減するために、給付付き税額控除が言われていた面がある。給付付き税額控除の導入は、消費税率上昇に向かうことを加速するかも知れない。しかし、給付付き税額控除という制度を悪者にする必要はないと思う。

配偶者控除も中止し、夫婦合算課税か、共稼ぎでも専業主婦(夫)でも差がないようにしないと、例えばパート主婦の低賃金のような様々な問題が解決しにくいと思う。社会の変化に税制が対応しないといけないのは、法人税のみではなく、働き方とか生活に密接に関連した部分の税制改革は重要と思う。

給付付き税額控除は、番号制度がないとうまくいかないと思います。

C) 炭素税

ガソリン・軽油の特別税を廃止するなら、その代替となる税を考えるべきと思います。ガソリン・軽油の特別税の廃止については、何故廃止するのか、私は理解できない。一般財源になっているのだから、廃止するより年金・医療に回した方が、国民のためになると思うのだが。

高速無料化も同じで、料金が高すぎるなら、千円高速の廃止を含め合理的な料金が幾らであるかを、国民の前に資料を明示して、議論をするのが最初のステップだと思う。

炭素税も、議論が必要で、CO2削減策とも密接な関連がある。検討は必要であり、諮問は「環境負荷に応じた課税」と言っていますが、私は炭素税だと考えました。でも、来年3月に法を成立させるのは、性急すぎる。もう1年掛けるべきだと思います。そうなると、ガソリン・軽油の特別税の廃止も1年先送りがよいと思います。

D) その他

上記以外に租税特別措置法の見直しやたばこ税の増税がありますが、いずれにせよ、様子を見たいと思います。将来の明るい未来のための税制を作ってもらいたいと思います。

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