2017年2月 1日 (水)

節税目的の養子縁組「有効」 しかし一人だけです

節税目的の養子縁組「有効」との最高裁判決があった。

日経 2月1日 節税目的の養子縁組「有効」、最高裁初判断 当事者の意思重視

判決文は、裁判所のWebにもあります。(ここ

1歳だった長男の息子(本人からは孫)と養子縁組をしたのだから、当時(多分今でも)孫は養子について何も全く理解していない。養子縁組の届け出が提出されたのが、2012年で、その翌年の2013年に被相続人は死亡した。今、その孫は5歳位。

このようなケースの養子縁組を有効と最高裁は認めた。養子縁組を結ぶ事は何人でも可能である。しかし、節税目的では実質一人に限られる。(相続税法第15条から)

・・・相続人の養子の数は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ・・・とする。

① 当該被相続人に実子がある場合又は当該被相続人に実子がなく、養子の数が一人である場合 一人
② 当該被相続人に実子がなく、養子の数が二人以上である場合 二人

これら以外に特別養子縁組は別扱いとなったりするが、いずれにせよ実質的には一人であり、一人だけは認めようという税制である。

さて、具体的には幾ら節税が可能かというと、基礎控除が一人6百万円なので、税率が30%であるとすると180万円の節税となる。死亡した人が自ら保険金を支払い、自らが被保険者となっている生命保険があるとすれば、生命保険金の非課税枠一人5百万円が使える事となる。なお、課税されるほどの相続財産を残す人は多くない。

ところで、本当にこの話は、そんな相続税を巡るみみっちい話なのでしょうか?私は、そうでないと思います。そもそも男1人、女2人の3人兄弟・姉妹で男が自分の子供を親の養子にしてしまったから相続人が4人になってしまった。2人の姉妹からすれば、3分の1相続できるはずが、4分の1に減少し、まだ幼い養子の分を含めて男の子は実質2分の1の財産を入手する。

大金持ちはもちろん中金持ち・小金持ちも大変です。相続になると、仲違いが始まる事も多々あります。遺言書を作成するのも方法ですが、親を含めて生前から財産分与の話をし、書き物に残すなり、遺言書として残すのも方法かと思います。書き物には、当然子供各人の義務についても書くのです。要介護になった場合、認知症になった場合とかの対処も含めることができればと思います。

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2017年1月19日 (木)

首相に衆議院を解散する権限があることでよいのか

衆院解散・総選挙が常時と言っていいほど話題になる。例えば、

日経 1月17日 衆院選と改憲、「18年末同日投票」はあるか 編集委員 清水真人

明文化されていないとしても、無効とまでは言えない。しかし、首相が使いマスコミがフォローする首相の専権事項とするこの解散権とは、問題が多いと思う。首相は、他の大臣を任命し、その任命した大臣と共に内閣を組織する。行政権は内閣に属することから、行政の長は首相である。

行政の長である首相が立法機関である衆議院の解散権を持つのは、アンバランスというか、不自然というか、権力がありすぎと思うからである。憲法69条は、衆議院で不信任の決議案の可決の際の衆議院解散について記述しており、衆議院が解散されるのは、衆議院の決議によるのが自然な形であると考える。

1月19日の日経BPの次の記事であるが、同じような考えと同感を覚えた。

日経BP 1月19日 改憲の論点2:歯止めなき衆院解散権の是非 内閣の解散権は「国民のため」にある 神田 憲行

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2016年12月 4日 (日)

横浜市の軽トラックによる集団登校の児童の死傷事故

87歳の男が集団登校中の小学生の列に軽トラックで突っ込み、小学生ら7人を死傷させた悲しい事故が10月28日の朝に発生した。

現在この男は鑑定留置され、認知症の有無が調べられている。

日経 11月11日 横浜小1死亡、87歳男を鑑定留置 認知症の有無調査 

男は「どこをどう走ったか覚えていない」との供述をしたとあり、認知症との判定がなされる可能性は高いと思う。そこで、思い起こされるのが、次の最高裁判決について書いた私のブログです。

2016年3月2日ブログ すっきりしない解りにくい最高裁判決 JR東海共和駅構内認知症患者事故賠償事件

2016年3月4日ブログ 認知症損害賠償の最高裁判決を受けての民法改正

認知症と判定されれば、刑事罰を問う事は困難となる(刑法39条)。そして、賠償責任についても責任を負う必要はない(民法713条)。

死亡した子供の親は、どう思うのだろうか?どれほど悲しむのだろうか?この男の家族についてよく知らないが、家族も責任はないと判断される可能性がある。最高裁のJR共和駅構内認知症患者事故賠償事件の最高裁判決である。家族が、どこまで責任を負うべきか、最高裁判決は、賠償義務無しとした。ちなみに、JR共和駅構内事件での賠償金額はJR東海が請求したのは720万円であった。死亡したなら、そんな金額では満足できないはず。そして、家族に財産があり、支払能力があるかの問題もある。JR共和駅構内事件の認知症の高齢者の場合では、相当多数の不動産を所有するとともに,5000万円を超える金融資産を有していたとのことであるが。

自動車保険については約款に「当会社は、対人事故により、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害に対して、この賠償責任条項および基本条項に従い、保険金を支払います。」と書いてあるのが通常です。民法713条と最高裁判決をあわせて考えるとどうなるのでしょうか。このWebによれば、2015年10月に発生した宮崎市中心部での軽乗用車歩道暴走による2人死亡、4人重軽傷の認知症の人が起こした事故では自動車保険で損害賠償保険金が出たようです。これが、どの程度、他の場合にも適用できるのか、私には判断がつかないのですが。

いずれにせよ、認知症が疑われる場合は、自ら運転する事を止めるのが人としての社会的責任であると考えます。これを社会的な強制ルールとするなら、高額の罰則金を課するようにすることだと思います。自分自身で決定できることです。家族も決定できるので、可能だと思います。それでも言う事を聞かない年寄りには、家族が縛るなり、拘束しても良いのでは?他人を殺す可能性がある人間を野放しにはできない。

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カジノ解禁法に反対する良識

2014年2月7日に次のようなブログを書きました。

大王製紙の前会長井川意高の「熔ける」を読んで

この「熔ける」という本を読んで、井川意高氏が人間性に問題がある特別な人とは思わなかった。むしろ、ごく普通の人で、ストレス発散ができたと、深入りし、抜け出す事ができなくなった被害者です。企業の経営者も心底から相談できる相手がなく、孤独だとよく言われる。経営者でなくとも、企業戦士として働く人はほとんどが同じような境遇です。そんな人が賭博にはまりこむ。東映やくざ映画が頭に浮かびます。

そんなことを思い起こさせるのが、12月2日に内閣委員会で可決された統合型リゾート推進法案(カジノ解禁法)です。

日本のトランプ型政治家が推進している悲しい法案で、良識ある新聞社は、こぞって反対する社説を掲げている。

日経 12月3日 社説 拙速なカジノ解禁は問題多い

朝日 12月2日 社説 カジノ法案 危うい賭博への暴走

読売 12月2日 社説 カジノ法案審議 人の不幸を踏み台にするのか

毎日 12月2日 社説 カジノ法案 唐突な採決に反対する

産経 12月2日 主張 カジノ解禁法案 懸念解消を先送りするな

河北新報 12月3日 社説 カジノ法案/「負」の部分から目そらすな

マスコミもこぞって反対するトランプ構造です。どうなるのかな?

参考に井川意高氏の「熔ける」へのリンクを掲げます。カジノの魅力(恐ろしさ)を体験した人の本です。

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2016年6月30日 (木)

東京オリンピック招致に対する警告も含むのか

OECD関係のニュースとしては日経 6月30日 税逃れ、悪質な国・地域に制裁検討 OECD租税委員会というようなのが多いのですが、OECDは次のような発表も6月30日にOECDは行っている。

日本、国際贈賄防止の最優先化が不可欠 

(英語の文書はJapan must make fighting international bribery a priority

海外における賄賂支払(贈賄)に対する取組が弱すぎると言っている。

すぐに頭に浮かぶのが東京オリンピック招致委員会と電通が払ったオリンピック招致のために支払った巨額の賄賂である。

東京オリンピック関係者と電通は襟を正すべきでしょうが、どのような気持ちでこのOECDの声明を聞いているのでしょうね?オリンピック関係者は、皆がやっていることで大したことはないと思っているとしたら、OECDの指摘は的を得ていると言える。

確かに、オリンピックを開催する東京都の辞めた知事なんか出張費使い放題で、金銭感覚はすごかった。同じように賄賂を支払うのかな?

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2016年4月 3日 (日)

公共の福祉 vs 公益 (本日のNHK日曜討論より)

本日のNHK日曜討論で自民党高村氏と共産党志位氏との間で憲法に関して「公共の福祉」と「公益」についての議論があった。ご承知のように、「公共の福祉」は、現憲法が使用している言葉であり、一方自民党憲法案には「公益」という言葉が使われている。

まず、高村氏が述べた事を紹介すると「公共の福祉とは意味が曖昧であり、公益とすべきである。」との意見であった。

一方、志位氏が述べたのは、「公共の福祉とは、国民からの発想に基づいており、公益は上から目線の施政者側からの発想であり、現憲法がふさわしい。」との意見であった。

私の意見は「公共の福祉こそ守るべきものであり、基本的人権の一つとして死守すべきである。」との考えです。

以下に、私の意見を書きます。

1) 現憲法の条文

第12条  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

2) 現法制定に至る前のGHQドラフト

GHQドラフトは、1946年2月13日に日本政府に提示され、26日の閣議でこのGHQ案に必要な修正を加え新しい憲法草案を起草することを決定したのですが、GHQ案には公共の福祉という言葉はなかったのです。

第10条 此ノ憲法ニ依リ日本国ノ人民ニ保障セラルル基本的人権ハ人類ノ自由タラントスル積年ノ闘争ノ結果ナリ時ト経験ノ坩堝ノ中ニ於テ永続性ニ対スル厳酷ナル試練ニ克ク耐ヘタルモノニシテ永世不可侵トシテ現在及将来ノ人民ニ神聖ナル委託ヲ以テ賦与セラルルモノナリ

第11条 此ノ憲法ニ依リ宣言セラルル自由、権利及機会ハ人民ノ不断ノ監視ニ依リ確保セラルルモノニシテ人民ハ其ノ濫用ヲ防キ常ニ之ヲ共同ノ福祉ノ為ニ行使スル義務ヲ有ス

GHQドラフトは当然英語であり、原文の英語版も掲げておきます。(これらは国立国会図書館のWebからの資料です。)

Article X. The fundamental human rights by this Constitution guaranteed to the people of Japan result from the age-old struggle of man to be free. They have survived the exacting test for durability in the crucible of time and experience, and are conferred upon this and future generations in sacred trust, to be held for all time inviolate.

Article XI. The freedoms, rights and opportunities enunciated by this Constitution are maintained by the eternal vigilance of the people and involve an obligation on the part of the people to prevent their abuse and to employ them always for the common good.

3) 公共の福祉

GHQドラフトにおいては”common good”となっていた言葉を「共同ノ福祉」と訳し、現憲法では「公共の福祉」になったと理解します。

「公共の福祉」とは何を意味するか、相当幅広い意味を持ち、国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、最大の尊重を必要とすると憲法13条にあり、幅広い意味を持たないとならないのです。

一方「公益」とは何でしょうか?私は、税法上の言葉だと思っています。所得税、法人税等で非課税にする扱いがあって良いわけで、その際、公益目的であれば非課税とする考え方はごく一般的であります。公益法人という言葉も税法ではよく使われます。

例をあげます。農業は、生産者、流通関係者も利益を生むのが正常であり、事業として成立するからこそ消費者に食材を供給できる。農業における生産も流通も公益事業とは呼びません。しかし、公共の福祉に反していないし、社会に貢献しています。全ての企業活動もそうです。一方、企業の違法行為や適法ではあるが、公共の福祉の目的に合致しない行為・活動もありうるかも知れない。不適切会計も、その一つかと思います。医療は一般的には公益事業ではなく、課税事業です。しかし、医療行為は公共の福祉に合致する行為です。

4) 憲法の重要性

憲法97条から99条の第10章は最高法規という章であり、憲法の重要性を定めている。憲法を解釈するのは、政治家、議員あるいは官僚もしくは学者ではありません。国民が解釈するのであり、制定するのも国民です。私に言わせれば、憲法に曖昧な部分があっても構わない。良いと考えることは、良いのである。国民の解釈と違った勝手な解釈をする政治家がいれば、落選させる。

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2016年3月 2日 (水)

すっきりしない解りにくい最高裁判決 JR東海共和駅構内認知症患者事故賠償事件

日経は、家族免責で初の基準なんて、言っているが、混乱の極地とも思えるのです。

日経 3月1日 家族免責で初の基準 認知症事故の最高裁判決

最高裁判決文はここにあります。

1) 要介護度1はどの程度か

私は、分からないのですが、Webで見ると、「排泄や食事はほとんど自分ひとりでできるが、身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする」とある。これが免責の基準になって良いのだろうかと思うのです。判決文では10ページの下の方からです。(AはJR東海を止めてしまった認知症の老人(男)で、Y1はその妻で、Y2が息子です。)

第1審被告Y1は,長年Aと同居していた妻であり,第1審被告Y2,B及びCの了解を得てAの介護に当たっていたものの,本件事故当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており,Aの介護もBの補助を受けて行っていたというのである。そうすると, 第1審被告Y1は,Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督するこ とが現実的に可能な状況にあったということはできず,その監督義務を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。したがって,第1審被告Y1は,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。

認知症の人に事故を起こされ、被害を受けても、全く賠償を受けられない。自分で、高額の保険でもかけておかねばならないが、認知症の人から被害を受けたらお金がもらえる保険があるのかな?認知症の老老介護って多いと思うのです。認知症が始まったら、成人後見人制度を利用して、後見人に適切なケアを受けて、他人に極力迷惑をかけないように手配をしてもらうことは可能だし、要介護度1では、完全に可能だと思うのです。

2) 別居すれば責任無し

次の判決文(11ページ)は、私には、そう読めてしまうのです。

また,第1審被告Y2は,Aの長男であり,Aの介護に関する話合いに加わり,妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながら第1審被告Y1によるAの介護を補助していたものの,第1審被告Y2自身は,横浜市に居住して東京都内で勤務していたもので,本件事故まで20年以上もAと同居しておらず,本件事故直前の期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないというのである。そうすると,第1審被告Y2は,Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが可能な状況にあったということはできず,その監督を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。したがって,第1審被告Y2も,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。

最も息子Y2の妻Bは横浜に住むY2と別居し、事件を起こした認知症老人の家の近くに住み、毎日通って老人Aとその妻Y1の介護をしていたのです。だからいよいよ私には分からなくなる論理構成なのです。

妻Bを監督義務者とすると妻Bに過酷なのです。しかし、それだからと言って、息子Y2を責任がないとして良いのだろうかと思うのです。家族会議の結果だとしたら、誰かの妻に介護をやらせよう。そうすれば、自分たちは責任を負わずに済むとなるなら、変な話です。

3) 認知症には近寄らざるべき

認知症には近寄らざるべきとならないでしょうか?逆走車が認知症の運転だったら、通り過ぎることを祈るだけ。万一事故に巻き込まれても、責任を追及できない可能性がある。認知症には関わるな。関わるのは、詐欺師のような悪い奴らだけ。でも、それでは、悲しい社会です。やはり、認知症の人とも仲良くやっていける社会が望ましい。電車を止めるようなことは滅多にやらないが、生きている以上は、人に迷惑をかける。損害をかければ、賠償し、お詫びをすることで社会が成り立っている。認知症の人も、そんな社会で生きていけることが望ましいと思うのだけど。

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2016年2月17日 (水)

笹子トンネル事故での会社役員には賠償責任を求めることは正しいか

笹子トンネル事故で、中日本高速道路と点検業務を担当していた子会社の役員(計4人)に対する損害賠償訴訟の判決において、横浜地裁は、個人としての賠償責任はないと請求を棄却したとのニュースがあった。

日経 2月17日 笹子トンネル事故、役員の賠償責任は否定 横浜地裁

訴訟を提起されたご遺族は、「民意からかけ離れた判決だ。個人の責任を明確に追及するため訴訟を続ける」と話されているとのこと。感情的には、そうであっても、それが正しいとは限らず、事故原因を究明し、再発を防ぐべきと考える。

中日本高速道路の組織の名称は中日本高速道路株式会社であり、全株式を政府が保有している。現在、名義人は財務大臣となっている。

会社の取締役は、会社が賠償責任を負うべき行為に対して、同様に賠償責任を負うべきであろうか?取締役が会社に損害を与えた場合は、会社に賠償責任を負う。東芝は、元取締役に対して損害賠償訴訟を行っている。株主代表総称も取締役より株主に対する賠償金支払訴訟でなく、裁判で勝っても、当該取締役は会社に賠償金を支払う。取締役が直接被害者に賠償金を支払うことについての論理は、難しいと考える。やはり、会社に損害賠償を求めるべきであり、当然十分な金額の賠償を受けるべきである。笹子トンネル事故での会社による4億4千万円余りの賠償額は十分であったかどうか、私には判断できないが。

笹子トンネル事故において法令違反は、あったのであろうか?法令に「・・・・について十分な点検を実施し・・・」と記載されていた場合、拡大解釈をすれば、相当その範囲は広がる。しかし、道路トンネルのメンテナンスを含め、規則をあいまいな状態にして管理することは良くない。その観点からすれば、道路トンネルのメンテナンスに関する規則を立案すべき国土交通省や土木学会あるいは大学や研究機関の方が高速道路会社の取締役より責任重大とも思える。

勿論、中日本高速道路の責任は重大であり、実は中日本高速道路以外の東日本や西日本にも言えるのであるが、点検をしていれば、問題点を早めに検知して、対策が講じられた可能性もある。ある人から聞いた話であるが「トンネル内の鉄製ハンドレールはすぐにぼろぼろになるのです。」車の排気ガス汚染により、トンネル内は腐食が激しいことは、関係者にとっては常識だったようである。

中日本高速道路とは、日本道路公団を分割し民営化して設立された株式会社の一つである。そもそも、何故分割民営化などする必要があったのかを検証する必要がある。不必要な高速道路を建設せずに政治から独立するためだとするなら、その検証が必要である。道路公団という組織のままの方が、一体であることの合理性を追求して、必要なメンテナンスの管理体制を組め、実施できたかも知れない。

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2015年12月17日 (木)

最高裁夫婦同姓損害賠償棄却判決

最高裁は、民法750条の「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」について合憲であるとする判決を下した。

もしかしたら、夫婦別姓を認めないことは、基本的人権の侵害であるとして、違憲判決を出してくれるのではと期待していた私にとっては残念なことである。しかし、未来永劫この状態が継続するわけではなく、近い将来には夫婦別姓も認められるようになると期待したい。

判決文はこの裁判所Webにあり、補足意見、反対意見の記載も含め31ページあり、ある程度の長さであるが、読むことをお奨めしたい。

21ページ目から27ページ目にかけて記載がある木内道祥裁判官の意見は、私なんかは、同調したくなる。例えば、

・ 婚姻の際に,例外なく,夫婦の片方が従来の氏を維持し,片方が従来の氏を改めるとするものであり,これは,憲法24条1項にいう婚姻における夫婦の権利の平等を害するものである。

・ 問題となる合理性とは,夫婦が同氏であることの合理性ではなく,夫婦同氏に例外を許さないことの合理性であり,立法裁量の合理性という場 合,単に,夫婦同氏となることに合理性があるということだけでは足りず,夫婦同氏に例外を許さないことに合理性があるといえなければならないことである。

・ 夫婦同氏であることの合理性ではなく,夫婦同氏に例外を許さないことの合理性なのである。

立法不作為であり、国会が正当な理由なく長期にわたって改廃等の立法措置を怠っていたものとして,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものであるとの反対意見を出されたのが山浦善樹裁判官である。

山浦氏が述べておられるように、民法750条の夫婦同姓制度は、どちらの姓を選択しても良いのであるが、実際には夫の姓を選択することが多く、実質は女性の職業活動・社会活動に不利益・不都合をもたらしているとの指摘は事実である。また海外でも日本と同様に同様に夫婦同氏制を採っていたとされるドイツ,タイ,スイス等の多くの国々でも近時別氏制を導入しており,現時点において,例外を許さない夫婦同氏制を採っているのは,我が国以外にほとんど見当たらないとの指摘は考慮すべきと考える。

12月17日の朝日新聞の耕論(ここ)は、3人の人から聴取した意見を掲載していた。その中で、私は次の部分に共感を覚えました。

泉徳治氏

国会議員は多数派によって選ばれますから、政治家が常に多数意見の方を強く意識するのは当然のことです。・・・少数者の人権を守ることができるのは裁判所しかないのです。

山田昌弘氏

女性や若い人も含めだれもが活躍するには、多様性を認め、いろいろな選択肢を用意することです。その少なさ、社会の寛容性のなさが、日本経済の停滞感につながっているのではないでしょうか

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2015年12月 2日 (水)

消費税軽減税率 密室議論での決定に反対する

消費税率10%を適用するにあたり、消費税軽減税率をどうするかについて、与党である自民・公明両党の関係者間で実質決定することで動いているようである。

税という国民にとって関心が高く重要な事項を密室決定のような形で進めることに、反対するのである。憲法第30条は「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」となっており、第84条で「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」となっている。国会で成立した法律に基づかないと税の徴収はしてはならないのである。消費税軽減税率の導入は、大きな制度変更であり、議論を国民全般に拡大し、国民の意見を聴取して方向を決定すべきであると考える。

そもそも自民党の中にも、消費税軽減税率反対論者は多いと思う。経済界は、消費税の事務処理等が複雑となることから、ほとんどが反対と思う。軽減税の適用・不適用を間違えれば、脱税が発生するのであり、そのような分野で神経をすり減らすより、業務の拡大あるいは労働時間の短縮に注力した方が合理的と考えるひとが多いはずである。(例えば、この読売ニュース 11月27日です。)

仮に4000億円を軽減税の対象とするなら、4人家族で世帯あたり年間約平均1万3千円である。現金で受領した方が、国民にとって不公平感はない。

税とは納付するのが全てではなく、逆の面から見ると受け取りである。税を財源とする政府支出を金額及び支出内容において合理的にすることにより豊かな国を実現できるのである。

将来において消費税インボイス制導入という話も聞こえてきたりする。インボイス制が導入されれば、消費税益税は例外扱いを除き解消される。しかし、消費税率を増加したり、さらに複雑な複数税率制の導入も容易となる。実は、今回の消費税軽減税率導入に際して、これをインボイス制導入の糸口とし将来の増税への足がかりにしようと考えている人がいると思う。即ち、法人税や所得税および消費税を比べると、複数税率が適用できれば消費税が最も国民の抵抗を少なくして導入できると考えている人である。

次の三木義一氏の「日本の納税者」は主権者である納税者の権利が無関心により失われているのではと警告を書いておられます。

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