2018年9月 7日 (金)

倉敷市真備町の水害について真実が知りたい

西日本豪雨での倉敷市真備町における水害では、約50人の方が亡くなられ、悲しい災害でした。

せめて避難の開始が少しでも早かったら少しでも犠牲者が少なかったのではと思う次第です。本日の朝日新聞の「でんでんご」という連載での次の記事で思ったのです。

朝日 9月7日 (てんでんこ)西日本豪雨:17 市長の苦悩

有料記事の部分に入ったその冒頭ですが、次のようにあります。

倉敷市長、伊東香織(いとうかおり)(52)のいつになく力強い声が、スピーカーから雨の降り続く真備町地区に響く。呼びかけは避難準備・高齢者等避難開始を発表した7月6日午前11時半に始まり、地区の北側に避難指示を出した翌7日午前1時半すぎまで続いた。

真備町地区で小田川の堤防決壊があったのは7月6日の翌日7日の午前6時52分であった。これまでの報道だと、真備町地区の全域に避難勧告が出されたのは6日午後10時頃であり、更に北側の今回浸水被害があった地域に避難指示が出されたのは7日午前1時半であった。

朝日の本日の記事は、6日午前11時半の避難勧告であり、避難勧告とは強制力は無く避難を呼びかけるだけだが、市長自らがスピーカーで呼びかけたのだとしたら、倉敷市職員を初め消防団員や関係者一同が水害の危険性を、市長が呼びかけた時点で認識していたと思うし、危険性について一致した認識だったと思う。6日午前11時半から翌7日午前6時52分までの19時間までの間、関係者の対応は、どうだったのだろうかと思う。

しかし、現実には50人の死亡者が出た。

当時どのように関係者が考え、どのように行動したのか、調査解明し、反省すべき点とやむを得なかった点を分析し、他の地方自治体や住民・市民・国民に広く公開し、今後は死亡者が一人でも少なくなれば思う次第である。断片的報道より事実の調査と分析が重要と考える。

なお、このブログで私が、本件に関して書いた参考記事はこれです。

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2018年8月 2日 (木)

ダム決壊の可能性

7月25日のこのブログで野村ダムは、ダム決壊を防ぐために放流したのではないことを書いた。一方、7月23日にラオスでダムが決壊し、死亡者・行方不明者も発生し、多くの人々が被害にあうという事件があった。

日経 7月25日 ラオスのダム決壊、19人死亡 3千人以上が救援待ち

1) ダムは決壊するか

人間が作った物である以上は、壊れて不思議ではない。一方、野村ダムのようなコンクリートダムは、決壊の可能性はまずないと思って良い。では、決壊可能性があるダムはと言うと、フィルダムと称するロックフィルダムのようなダムで、ダム堰堤を越えて水が流れれば、水流がダム本体を壊し、ダム決壊が生じる。そのため、フィルダムの場合は、満水位をダム堤頂より下げてダム堰堤から越流しないように安全性を高める設計としている。

次の表は、利根川上流域に位置するロックフィルダムの奈良俣ダムとコンクリートダムの矢木沢ダムの比較である。奈良俣ダムは堤頂より8m低い位置を洪水満水位としており、これ以上高い水位では貯水ができず、水は洪水吐ゲートを乗りこえ越流する設計となっている。矢木沢ダムも余水吐水路がダムの横に位置する特殊な設計であるが、洪水満水位は堤頂より1.5m低いだけである。

ダム名奈良俣ダム矢木沢ダム
ダム形式 ロックフィルダム コンクリートアーチダム
ダム頂高(堤頂標高) 158m(896m) 131m(856m)
最高水位 150m(888m) 129.5m(854.5m)
最低水位   62m(800m)   71.5m(796.5m)
有効貯水容量 85,000,000m3 175,800,000m3
湛水面積    2.0km2    5.1km2
有効貯水容量 85,000,000m3 175,800,000m3
集水面積    95.4km2    167.4km2

更に例を出すと、鬼怒川上流の五十里ダム(コンクリート重力ダム)の場合は、ダム堤頂594mに対してそれより3m低い591mが洪水満水面である。黒部第四ダムの場合は、特別な洪水吐ゲートはなく、湖面が1,448mより高くなると水が自然越流する設計である。

なお、フィルダムでも農業用水用のため池で川の土手と同じような構造のアースダムがある。アースダムでも管理が行き届いていれば問題ないが、場合によっては崩れる可能性もあり、万一越流したら決壊する。なお、どのようなダムでも、管理者はダムの変形が生じていないか常時測量を行い、危険防止に努めている。

2) ラオスのダム事故

悲しい事件であるが、プロジェクトは410MWの Xe Pian-Xe Nam Noy水力発電プロジェクトであり、発電する電力の90%はタイへの売電目的であり10%はラオス電力公社へ販売する。韓国企業・タイ企業・ラオス企業が出資する民間水力発電事業である。総工費は約10.2億米ドルで、完成予定は2018年11月であった。(参考ここ他)建設されているダムはXe Pian(セピアン)ダムとXe Nam Noy(セナムノイ)ダムの2つであり、それぞれ有効貯水量は23百万m3と885百万m3である。Xe Pianダムの水をXe Nam Noyダムに流し込み、Xe Nam Noyダムが位置する反対側から14km水を引きこんで、732mの水圧鉄管で落として落差630mを得て発電するのである。なお、Xe Pianダムは高さ47m、Xe Nam Noyダムは75.5mで湛水面積は2.7km2と45.8km2である。Xe Nam Noyダムは、有効貯水容量で矢木沢ダムの約5倍であるが湛水面積では約9倍である。

そこで決壊したダムであるが、このReuterの記事は,高さ16m、長さ770mのサドルダムD(補助ダム)と報じている。環境評価影響報告書は、3-13ページの”3.3.6 Saddle Dams"にXe Nam Noyダムには、貯水地の西側に3つのアースダムによるサドルダムが必要であると記載されている。

Xe Nam Noyダムの補助アースダムが崩壊したと考えられる。又、このプロジェクトの位置は北緯15度、東経106.6度付近のカンボジア国境から50km程度北へ入った地点である。参考地図としてはこの地図があるが、相当複雑である。Xe Nam Noyの水は北に流れ、東に曲がってXe Kong Riverとなる。一方、崩壊したと考えられるアースダムの水は、西に流れるXe Pian Riverに流れ込んだ。本来の水でないXe Nam Noyの水が流れたのである。

アースダム崩壊の場合もその前兆があったと思われる。豪雨で手の打ちようがなかったとの話もある。アースダムを採用する事が適切であったのかも問われなければならない。そもそも、ダムの現場は高原である。400世帯以上の約2000人の移転が必要であった。ダムにより発電した電力の90%は外国に行く。電力輸出は良いが、それがラオスの人々の恩恵に繫がり、環境影響は最小である事が必要である。このような事故を起こす事は許されない。

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2018年7月29日 (日)

山林の豪雨崩落への備え

西日本豪雨の記憶が生々しく残っているが、また台風12号がやってきた。気になる一つが、山林の豪雨による崩落である。自然災害と言ってしまえば、それまでであるが、人災が関係しているなら、人災部分は取り除く必要がある。日経に次の記事があった。

日経 7月22日 山林 放置の危うさ(風紋)

平成29年度の森林・林業白書には、森林の整備・保全の章に「我が国の国土面積3,780万haのうち、森林面積 は2,508万haであり、国土の約3分の2が森林となっている。」とある。緑に恵まれた美しい日本である。実際、海外から日本に到着すると、緑の多い国に戻ったとほっとした事が多かった。

日本の森林は58%が私有林とのこと。森林が金を生む優良資産であるなら、問題はないとも言えるが、間伐等手入れをするにも林道から離れており、コストがかかる。手入れは不十分で、その結果、価値が低い立木しか育っておらず、伐採・運搬して販売するにも採算が取れず、放置せざるを得ない状態の森林も多いと思う。土壌の侵食や流出を防ぐ機能は低下し、洪水緩和や水源涵養機能も低くなる。

資産価値を持たなくなった場合、相続が発生しても、相続登記は行われず、所有者不明に近い状態となる。山林の場合、住宅地、農地よりも土地境界が不明確な事が多い。民法717条で損害賠償義務を訴えられる恐れがあるなら、相続したいとは思わない。

森林法は農林水産大臣による、森林・林業基本法の基本計画に即した、保安施設の整備の状況等を勘案した全国森林計画を、5年ごとに、15年を一期とする計画立案義務、都道府県知事は、全国森林計画に即した地域森林計画を、市町村は、その区域内にある地域森林計画の対象となつている民有林につき、五年ごとに、10年を一期とする市町村森林整備計画をたることを定めている。

災害対策と国土の保全の面からも、税金を使ってでも、森林・山林を守っていく必要性を感じるのである。但し、実情を完全には把握できておらず、そのために、更に不安に思う面もあるが。

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2018年7月25日 (水)

ダムは洪水を緩和・軽減するが、無くしはしない

ダムに対する誤解なのか、原子力発電と同様で、安全神話なのかわからないが、ダムは洪水を防いでくれるとの誤解があるように思う。もしかして、ダムに対する反対運動に対抗して、作られた神話なのか、政治家が推進目的で広めた神話なのか、分からないことだらけですが。

そのようなことを思っている時に、このDiamond Onlineの記事 7月25日を読んだ。関西大学の特別任命教授が書かれおられるが、その3ページ目に次の記述があった。

(5)治水ダムの放流による氾濫
 ダムが洪水で満水状態になると、上流から流入する洪水をそのまま下流に流す必要がある。そうしないと、ダムが決壊してしまうからだ。ところが、この操作を実施することを下流住民は知らず、洪水氾濫に巻き込まれてしまった。愛媛県の肱川の野村ダムで起き、大洲市と西予市で犠牲者が発生した。

私の7月19日のブログで書いた事であるが、国交省野村ダム管理所は、午前2時半に西予市に対して、午前6時50分頃にダムが満水となる予想を連絡した。

そもそも、野村ダムの諸元はここにあるが、ダムの堤高60mであり、ダムの基部(基礎岩盤)から35mが設計上での貯水可能最低水面となっている。35mから60mの間が貯水能力となるが、ダムの上から1.8m下がった位置を洪水時最高水位としているので、35mから58.2mまでが貯水容量であり、23.2m水面を上下させる事で、野村ダムの活用可能な貯水容量は0m3から12,700,000m3まで変化する。

野村ダムは、かんがい容量10,200,000m3と水道容量1,700,000m3の合計を総貯水容量12,700,000m3から差し引くと、800,000m3が洪水調節容量となる。しかし、6月16日から10月15日の期間は、ダム水面をダムの基部から53.2mの位置とすることにより800,000m3ではなく、3,500,000m3のの洪水調整能力を持つように運用している。

3,500,000m3のの洪水調整能力で大丈夫かと言うと、野村ダムの諸元は、計画高水流量 1,300m3/sで調節流量300m3/sである。1,300m3/sのダムへの流入はあり得る前提であり、調節流量300m3/sなので、1秒間に1,000m3の割合で貯水量が増加する事があり得る。その場合は、3,500秒で満水となる計算なので、ほぼ1時間で満水となる。このような場合は、計画最大放流量1,000m3/sとなっているので、1,000m3/sの放流をすることもあり得るし、異常洪水流量は2,500m3/sと記載されており、異常時には2,500m3/sもあるとの前提である。

7月19日のブログで掲げたグラフを再度掲示するが、右軸が貯水量であり、8日午前8時に12,728,000m3の貯水量となり、12,000,000m3を超えている。野村ダムはコンクリート重力ダムであり、能力以上に貯水しても決壊はしない。ただ、能力以上に貯水する事はできないのである。午前2時半に市役所に連絡する事の対応で良かったのか、市役所はこの連絡を受けてどう対処したのか等検証すべき課題は多い。しかし、一方で、ダムの刻々と変化する貯水量はWebでも公表されていたのであり、誰もが見る事ができ、各自が自分で判断する事も不可能ではなかったと思う。

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ダムの容量を大きくして、どのような規模で上流から水が流れ込んでも大丈夫なようにすることは不可能ではないだろう。しかし、膨大な建設費となるし、甚大な環境破壊ともなる。適正な規模の適正な開発・適正なダムの建設が重要である。ダムのみで洪水被害を防止するのではなく、情報伝達や適正な堤防の整備や緑化を含めた総合的な取組こそが洪水被害を最小限にする方法である。

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2018年7月18日 (水)

倉敷市真備町の浸水被害から学ぶLCP

直前のブログ西日本豪雨から学ぶべきことにおいて、小田川が倉敷市真備町に流れ込む直前にある矢掛町東三成の水位観測所での観測データを使って、小田川の河川水位のグラフを書き、河川水位が上昇して危険が生じると予測された時点での避難決断ができないかを考えた。

今回は、上流での降水量を見て考える事とする。気象庁の気象データからで、倉敷市真備町の上流地域である矢掛(住所:岡山県矢掛町東三成)と佐屋(住所:岡山県井原市芳井町佐屋)の1時間毎の降水量のグラフである。

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7月5日午前3時頃から矢掛でも佐屋でも降雨量が増大していった。最大雨量は矢掛で7月6日午後10時に23mmを記録し、上流の佐屋では1時間前の午後9時に32.5mmを記録した。7月6日午前0時からの累計雨量は、次のグラフとなる。

Odariver2018719d

7月6日午前0時から7月7日午前9時までの累計雨量は矢掛では210mmであり、佐屋では279mmとなる。

このあたりでの夏期月間雨量は200mm程度と想定され、1月分の雨が1日半で降ったのである。近年の小田川での最大浸水被害は昭和47年7月の洪水であった。当時、床上浸水5,203戸、床下2,144戸、全半壊227戸、そして浸水農地3,765haであったとのことである。この昭和47年7月の洪水時の矢掛雨量観測所における最大日雨量は94㎜、9日から13日の4日間での総雨量は 210 ㎜を記録した。今回は同じ矢掛で33時間の間で210mmとなったのである。

真備町の小田川反乱について土屋信行氏がYomiuri Onlineに川の水位上昇が避難基準では逃げ遅れるという記事を書いておられる。この記事の2ページ目に倉敷市役所は小田川の南側の住民には6日午後11時45分に避難指示を出し、川の北側の住民にはその1時間45分後の翌日午前1時30分であったと書いておられる。北側が遅れた理由はあったはず。

6日の午後9時に佐屋で豪雨は32.5mmとなり、矢掛で午後10時に23mmとなった。午後9時、10時の矢掛での小田川水位は3.5mであり、同日午前4時の3.0mから0.5m上昇していた。豪雨の結果、小田川水位の更なる上昇が予想された。6日午後11時、午前0時の水位は4.09mであり3時間で0.5mの上昇であった。

将来に生かせる教訓は多いと思う。自分で自分の身の安全と財産被害も少しでも軽減する安全計画(LCP:Life Continuity Plan)を考えておくのが重要だと思う。

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2018年7月16日 (月)

西日本豪雨から学ぶべきこと

災害は、忘れた頃にやってくるのだろうが、災害から学んだ教訓を最大限に生かすことは重要である。学ぶためには、フィルターやバイアスのない現実を直視し、分析せねばならない。

この毎日新聞の記事7月15日は、死者212人不明21人と伝えている。この中国新聞の記事7月15日は、広島、山口、岡山、鳥取の4県で計163人。と伝え、岡山県の死者60人のうち倉敷市真備町の死者が50人と伝えている。

倉敷市真備町の死者の数は多かったのである。さて、倉敷市真備町を倉敷市のハザードマップで見てみると、浸水時の危険性(浸水時の目安)が、まび記念病院の付近は5.0mとなっている(当該ハザードマップはここ)。実際には、どうだったか、この山陽新聞の記事 真備でディスカウント店営業再開 8日ぶり、住民「とても助かる」は、「一時は高さ4メートルまで冠水し、全商品の廃棄を余儀なくされた。」とある。ハザードマップの浸水危険予測が、ほぼ的中しているように思う。

即ち、ハザードマップを一度は良く読んで、危険時の事を考えておく事が必要なのだと思う。BCP(Business Continuity Plan)ならぬLCP(Life Continuity Plan)を考え、適切に見直す事は重要だと思う。

この産経Westの記事 7月10日 真備町地区の避難指示、堤防決壊確認のわずか4分前は、6日午後10時に地区の全域に避難勧告を発表。午後11時45分に小田川の南側、7日午前1時半に北側にそれぞれ避難指示を出した。国交省はその約4分後の午前1時34分ごろ、小田川との合流地点近くの高馬川で堤防の決壊を確認。午前6時52分ごろには、すぐ近くの小田川の堤防決壊も確認した。

そこで、小田川の水位計測記録を見てみる事とする。小田川の水位計測地点は倉敷市になく、倉敷に入る前の1km上流の岡山県小田郡矢掛町東三成に水位観測所がある。この観測データにより水位変化のグラフを作成したのが次である。グラフのゼロメートル水位は海抜10.9mである。

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6日の午後6時から7日の正午までの部分を拡大したのが次である。

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小田川の堤防決壊が6時52分とのことで、一番水位が高く、堤防決壊により水位が下がったと思われる。7月5日午前9時頃までは水位は2m程度であり、それ以降水位の上昇が大きくなっていった。果たして、どう判断できたか、分からないが、矢掛町東三成での水位が3mを超えた5日の昼12時には避難に備える準備をし、4mになった6日の午後3時、あるいはその日の暗くならないうちのせいぜい19時前には避難をするという決断ができたのなら、被害はゼロにはならなかったが、やむを得ないという範囲内に押しとどめる事ができたのではと思う。危険地区に住居がある場合は、避難指示を待たず、避難勧告で避難をすることや、国土交通省の水位観測所のデータを見て、自分にあった判断をする事と思う。

ハザードマップを利用しての自分なりのLCPを考えておく事は重要と思う。

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2018年6月 8日 (金)

再生可能エネルギーも環境負荷が低い開発を

再生可能エネルギーによる発電・エネルギー利用は環境負荷が低いことが最大の利点である。しかし、次のようなメッセージに接すると、???と思ってしまう。

日経BP 6月7日 別府市が温泉発電に「待った」、込めた意思

WWF Japan 活動トピック ツキノワグマのすむ森で?徳島県中部で計画される風力発電事業

1) 温泉発電とは、地下からの温水・蒸気で直接タービンを回すのではなく、熱交換機(蒸発器)で熱媒体を熱(気化)し、熱媒体でタービンを回す発電方式を採用する発電を意味する。(参考:この資源ネギー庁の説明)熱媒体には代替フロン、ペンタン、アンモニア水等が使われるようです。熱媒体を使うのは、その気化温度が水よりは低く、噴出する地熱の温泉水や蒸気が70℃-150℃であっても、発電に利用できる圧力が得られ、エネルギーが得られるからです。

温泉発電は、規模も小さく、環境負荷は低いが、無条件によいとは言えず、別府市は2016年5月に「温泉発電等の地域共生を図る条例」を施行しているとの記事です。別府市のWebを見るとこの「温泉発電等を行う事業者の方へ」というページに温泉発電等の導入が自然環境及び生活環境と調和するとともに、市民との共生が図られながら行われるよう、条例を制定したとあります。当然のことと思います。

なお、地熱発電の場合、「環境影響評価法」では環境アセスメントは、出力10,000kW以上の事業は義務であり、7,500~10,000kWの事業は個別判断であります。

2) 風力発電の場合も、地熱発電と同様で環境アセスメントは、出力10,000kW以上の事業が義務であり、7,500~10,000kWの事業が個別判断であります。

こんなゆるい環境基準でよいのかと思います。WWFが述べている徳島県中部の山間地での計画は風車42基、約140,000kWの発電ということで、環境アセスメントは義務であるが、山の上に設置する風力発電は大きな環境破壊です。例えば、風車42基で約140,000kWだと、1基3,333kWとなるが、これだけ大きな風車だと風車の直径は140m程度で高さは地面から170mというように巨大です。山の上まで運搬と建設用の道路が作られ、メンテナンスにもこの道路が使われる。自然破壊そのものと思います。

屋根上に設置する太陽光発電なら環境破壊はほぼ無いと言えるが、大型化した再生可能エネルギー利用設備は恐ろしいです。

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2018年5月25日 (金)

無電柱化 VS 電柱合理化

電線等を地下埋設して無電柱化とする工事が取り組まれている。しかし、その恩恵を受けるのは、国交省が管理する国道と都道府県が管理する都道府県道と繁華街とその周辺になると予想する。 勿論、大規模マンション等で当初から無電柱地域として開発された場所や公園の様な特別な場所はある。

無電柱化は、良いことかと言えば、その建設費は高く、維持費も架空線より高い可能性もあると思う。現在、電力は自由化され、一般送配電事業者が送配電線を維持・管理・運用し、電力供給者は送配電料金を支払い、電力供給を行っている。税金で賄わない部分のコストアップは、この送配電料金に上乗せされ、利用者が負担する事となる。地中化されない地方の住宅、施設、工場が電線地中化の費用を分担する事になるのは不合理に思える。そして現在電柱上にある変圧器を地中化した場合の設置場所問題もある。Wikiを見ると、地中化のデメリット、課題なんてことも書いてある。災害に強いかと言えば、強いかも知れないが、場合によっては、破損・断線箇所が特定しにくくなり、復旧が遅れることもある。

実際には、個別の案件毎の評価で決定すべきと考える。

そこで電柱合理化案であるが、次の写真を見ていただきたい。

Dsc_0070r

どこにでもある道路です。この写真で道路の右側に東京電力の電柱があります。一方、左側ですが、こちらにも少し高さは低いもののNTT東日本の電柱があります。そして、それぞれ光ケーブルが張られ、ケーブルテレビ局の同軸ケーブルや有線放送の通信線が張られている。電柱については、電力会社も通信会社も同じ電柱を共有し、合理的に架空線を張ってもらいたいと思うのである。この写真の場合で言えば、右側の東京電力電柱に集約すれば、左側の電柱は無くなり、スッキリするはず。

上の写真をご覧頂くと、歩道も狭い事が分かる。狭い歩道が電柱のある場所は、更に狭く通り辛い。自転車は、車道を走るべきとのことであるが、危険を避けるのが最重要であり、場合によっては歩道を走る事もやむを得ない。但し、歩道の歩行者には高齢者や子ども、そしてベビーカー。時には、電動車いすも行き交うわけで、電柱が歩道の利用者の交通を阻害している箇所については、優先して電柱合理化を進めて欲しいのである。

電柱合理化の費用は、高額ではないはず。もし、強度が問題なら、高い強度の電柱と取り替えればよいのである。そして、場所によっては、自転車専用道を路側に設ける事も検討して欲しい。電柱合理化は、費用よりは効果の方が大きいことが多いと思うのである。

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2018年1月29日 (月)

送電線利用率・空き容量の評価

次の朝日の記事は正しいのだろうかと思ったのである。

朝日 1月28日 基幹送電線、利用率2割 大手電力10社の平均

この朝日の記事は、東北電力では平均利用率19.4%と低いにも拘わらず、「空き容量ゼロ」送電線が多いと批判している。

正しいのであろうかと、電力広域的推進機関系統情報サービスのデータから、1月26日の東北電力500kV送電線電力潮流のデータをとりグラフを書いてみた。

Tohokupowerflow2018126

東北電力の500kV送電線の容量は9,400-9,700MWである。上のグラフは30分毎の電力潮流なので、平均電力は3,000ならば、6,000MWへと2倍の値になると思うが、常磐幹線以外は、ほとんど電力は流れていない。しかし、これで空きが大量にあると断定することには無理があると考える。点検、修理、保守、事故等のための電力の迂回路は必要であり、停電の発生を抑えるためには、どうしても安全余裕が必要である。事故が事故を呼ぶ事故の連鎖も送電系統には起こりうる。

そして、東北電力の「秋田支店管内の66kV以下の送電線の空容量(これ)」を見ると、66kV以下の送電線の空容量は全てゼロとなっている。

500kV送電線は余裕があるが、66kV以下の送電線は空きがないという事なのだろうかとは思うが。いずれにせよ、具体的な分析を見ないで議論をすると誤った結論に行き着くのであり、電力広域的推進機関が正しく機能していることを期待している。

一方、風力発電の開発に対して、徳島県鳴門市の取組は高く評価したい。読売の2017年7月17日の記事はここにあり、鳴門市の「陸上風力のゾーニング(適地評価)結果について」はここにある。

市の地域を自然環境・社会環境への負担度合に応じて、「原則開発不可とするべき場所(レッドゾーン)」、「極めて慎重な開発検討を要する場所(オレンジゾーン)」、「慎重な開発検討を要する場所(イエローゾーン)」およびゾーニングから外れた環境・社会負担が大きくない地域に分かれている。鳴門市のWebでは10項目にわたる評価書が全て公表されている。鳴門市は、このゾーニング評価を重要見解として位置付け、事業を計画する者に対しも、その評価内容を、尊重して欲しいとしている。無秩序な乱開発は、社会と環境に悪い結果をもたらす。広い視野を持った開発が望まれる。

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2017年12月25日 (月)

電気自動車のCO2排出量

DIAMOND onlineに新型リーフの実燃費(実電費)に関する記事があった。

DIAMOND online 12月24日 新型リーフ、実電費はカタログ値の7割だった【試乗記】

記事の5ページ目に「500km走行で平均電費は7km/kWh」との記事がある。日産のカタログ値は、このページにJC08は120wh/km、一充電走行距離は400kmとある。これからすると、8.33km/kWhと7km/kWhであれば、カタログ値の84%であり、カタログ値に近いと思うのである。

ハイブリッドで良いのではとの声もあり、プリウスと比較する。プリウスはカタログ値JC08モード37.2km/Lとある。プリウスの実燃費であるが、22km/L程度が妥当かと思う。即ち、25km/Lで走れたと聞いた事はほとんど無く、中には市街地走行がほとんどと思うが20km/L以下という人もいる。そこで、ハイブリッド車の実燃費を22km/L、電気自動車を7km/kWhとしてCO2排出量を比較する。

プリウスの22km/LのkmあたりのCO2排出量であるが、kmあたりの燃費は0.04545L/kmである故、0.04545LのガソリンのCO2排出量を求めればよい。ここに環境省・経済産業省H29.12.1公表温室効果ガス排出係数の表がある。ガソリン34.6GJ/kl、0.0183tC/GJとなっており、これから計算するとCO2排出量は81.53g-CO2/kmとなった。

電気自動車は0.143kWh/kmとなるので、この電気事業者別排出係数の一般電気事業者の数字518g/kWhを使うと74.07g-CO2/kmとなる。約10%プリウスより低い。

但し、沖縄電力のCO2排出量は705g-CO2/kWhとなっており、これを使うと電気自動車の排出量は100.8g-CO2/kmとなり、プリウスより23%以上多い。石炭火力の電力だと860g-CO2/kWh程度なので、123g-CO2/kmとなる。プリウスの1.5倍である。

今後、再生可能エネルギーによる発電が全発電量に対する割合増加が見込まれ、そうなると現在の電気自動車CO2排出量74.07g-CO2/kmより更に減少する。電気自動車は性能アップや運転アシスト機構の装備も内燃機駆動車よりも容易と思われ、今後の主力になるように思う。

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