2021年7月 4日 (日)

熱海土石流の原因は太陽光発電なのか?

熱海市の傾斜地にある伊豆山神社付近で土石流が発生した。そして、この土石流の原因は太陽光発電の工事にあるとする話を耳にした。

Google Mapで見てみると災害現場の上流側約800m離れたところに工事中の現場が見受けられた。(クリックで拡大)

Atami20217

Google Earthで調べると2020年12月の写真があり、そこには太陽光発電写真が写っている。(クリックで拡大)

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未だ断定はできない。太陽光発電設備と土砂災害に因果関係があるのか、今後調査をすることは絶対必要と考える。

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2021年4月10日 (土)

福島第一原発の処理水は海洋放出へ

政府は、福島第一原発のトリチウムを含む処理水を海洋放出する方針を固めたとのことである。

日経 4月9日 福島第1原発の処理水、海洋放出の方針 政府

決定を先送りして解決する問題ではなく、海洋放出以外の選択は馬鹿げたことだと思う。

3月15日のブログ(ここ )の中で、国内外の原子力施設からのトリチウム年間放出量国内の原子力発電所からのトリチウム海洋放出量 のグラフを掲げたように、原発からはトリチウムの海洋放出や空中放出は行われているのであり、今回の方針が初となるのではない。おそらく、海洋放出する量は福島第一原発の従来からの放出管理目標値である年間22兆ベクレルとするのであろうか。

年間22兆ベクレルの放出で考えても、次のグラフのように処理をするには28年を要する計算となった。貯蔵量が少なくなれば、ゼロとはならないが、リスクは低くなる。

Fukushima3h20213a

処理水の将来量は、よく分からないが、放出する22兆ベクレルより大きければ、追いつかない。但し、トリチウムが崩壊してヘリウムになる分の減少はある。22兆ベクレルは従来からの放出管理目標値を適用した数値であるが、それでも加圧水型原発(PWR)からのトリチウム原発より遙かに小さい。大飯原発なんかだったら、その数十倍の量のようである。福島の魚に対する影響はないとしか言いようがないのかな。

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2021年3月15日 (月)

福島原発事故から10年の課題 トリチウム

福島第一原発のトリチウムについては、様々な報道がある。福島原発事故関係のブログを書いたからには、やはりトリチウムについても書いておかねばと思った。

1) トリチウムとは

Wikiはここ にあり、三重水素とも呼ばれる。あの燃料自動車にも使われる元素番号1の水素である。自然界の水素の多くは陽子が1つで電子が1つであるが、トリチウムは陽子は1つと中性子2つが原子核であり、電子が3つある。いかにも不安定な感じであるが、放射性崩壊のベータ崩壊をして電子を出して、中性子が陽子になり、元素番号2のヘリウム(He)になる。半減期が12.32年で1崩壊あたり18.6keVの崩壊熱を出す放射性元子である。

トリチウムが水素であると言うことは、大部分は水として存在する。水、すなわちH2Oの”H”であるが、トリウムがある水とは、2つある水原子”H”のうちの一つがトリチウムであり”T”で現すとTHOという化合物の水である。仮にそんな水を電気分解して水素と酸素を得たならば、水素はHとTが混合した状態である。この”H”と”T” が混じった水素を”H”と”T”に分離することは、できなくはないが、とてもやっかいである。

2) 福島第一原発のトリウム

福島第一原発に存在するトリチウムも水として存在する。トリチウム単体だったと仮定したならば、トリチウム”T”は普通の水素”H”より重いがヘリウム”He”より軽いので、空の上に拡散していく。福島第一原発1~3号機合計でどれだけの量があるかと言うと、2019年10月31日で856兆ベクレル(Bq)と言うわけで、重量にすると私の計算では2.4グラム(g)である。但し、トリチウムが含まれている水の量は、この東京電力のグラフ のように2021年1月で126万m3と言うことである。ここ にグラフがあるが、2月末-3月初めでは1日あたり100m3増加している。 この水の量は雨水の流入と地下水である。

地下水流入はやっかいな問題である。流入してきた地下水はくみ上げざるを得ない。くみ上げなければ、放射性物質を含んだ水が地下水にまぎれて外部に流出する恐れがある。安全の為には地下水が常時流入するようにポンプアップを続けねばならない。「黒部の太陽」という小説・映画でトンネル工事が破砕帯を抜けるにあたり苦労した話がある。しかし、破砕帯の水は外部に、排出する際に処理は不要であり、また切り羽部分の空気圧力を高くして、水の流入量を減少させることも可能であった。福島第一原発は、逆で地下水は外部に漏出できない。地下水対策で実施していることは① 地下水バイパス揚水として発電所西側で地下水をくみ上げ、発電所へ流れる地下水を減少させること、②  サブドレインと称している発電所外側近辺で地下水をくみ上げること③ ①の地下水バイパスの発電所側に凍土方式の陸側遮水壁を建設し凍結して地下水進入防止を図っていることと④ 地表をアスファルト等で覆って雨水の地中への浸透を減少させることをしている。

福島第一原発1~3号機の現状は、事故時の核燃料がデブリとして原子炉格納容器の底部に個体として存在する。このデブリは核分裂はしていないが、核崩壊はしており熱を発している。この熱を進入してきた地下水を利用し、循環させて冷却をしている。使用済み核燃料プールの役割を、破損した原子炉格納容器が果たしている。循環水には大量の放射性物質が入る訳で、セシウムやストロンチウム等の放射性物質を除去(分離)している。流入した地価水相当の量は循環から外に出さねばならず、ALPSと呼んでいる装置で水に含まれている多核種のほとんどを除去しているが、トリチウムはALPSで除去できない。このトリチウムが含まれている水の貯蔵量が126万m3と言うわけである。

3) 対処方法

126万m3は、20万トンのタンカー6隻分に相当する訳で、やはり多い。ダムの貯水量からすると少ないが、ダムには貯蔵できない。何故なら、蒸発させられないから。トリチウムがTHOになっていて、H2OのなかにTHOが混じっている。重量比では1兆分の2がHTOである。HTOの量は重量では小さいが、放射性物質として放射線を発する量としてのベクレルで計測すると126万m3の水はH2Oがゼロベクレルであるのに対し、HTOは856兆ベクレルである。蒸発とは水が気体になることで、気体の中にTHO、すなわちトリチウムが含まれることとなる。なお、H2Oの水素としてではなくHあるいはトリチウムとして溶けているものもある。

処理方法としては、① 気体(水蒸気)として放出する、② 気体(トリチウムを分離した単体)として放出する、 ③ トリチウムを分離しトリチウム単体として気体保管する、④ 地下深く高圧注入する、⑤ 海洋放出する方法と ⑥  タンク管理を継続する方法の6種類ではないかと思う。

放出せずにタンクを増設し、保管量を増やすことも不可能ではない。但し、どこかで一杯になる。安全性を考えると敷地の外には保管したくない。輸送をする場合は、タンクローリーであれパイプラインであれ事故の危険性はある。大型タンクにすると万一の漏出事故の対策を考えると適切な大きさにせざるを得ない。どこまでタンク増設が可能か私には不明だが、検討・研究の価値はあると思う。

なお、トリチウムは半減期12.32年の放射性物質であることから12.32年経過すれば半分の量となり、半分はヘリウムに変化する。トリチウムの放射線量の経年変化を図示すると次のグラフとなる。福島第一原発の汚染水のトリチウムは、崩壊により減少はするが、一方で新たに壊れた原子炉配管や燃料デブリから発生するものもある。差引、どうなるのか私には分からない。

Tritium20213

トリチウムの①の気体として放出すること並びに⑤の海洋放出は、実は世界中の原発で行われているのである。次は、2020年2月10日の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会の報告書にある図6である。

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日本についても数字がある。福島第一 2010年液体放出2.2兆ベクレル、気体放出1.5兆ベクレル。日本のBWR平均液体放出316億-1.9兆ベクレルで気体放出が770億-1.9兆ベクレルとあり、更に日本のPWRの場合は平均値として液体放出18兆-83兆ベクレル、気体放出4400億-13兆ベクレルとなっている。

PWR(加圧水型原子炉)の方が、トリチウムの発止量・放出量が多いのであるが、この原子力産業協会の放射線に関する基礎知識(118) によれば、ホウ素(ボロン)の使われ方が、PWRとBWR(沸騰水型原子炉)とで使われた方に差があるためトリチウム発生量が異なると言うことである。また、次の日本の原発別の年間トリチウム海洋放出量の図がある。

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トリチウム海洋放出に対する反対が根強いと聞く。しかし、1979年に福島第一原発におけるトリチウム海洋放出量は年間22兆ベクレルという基準値が設定されたとのことである。もし、この22兆ベクレルの海洋放出をするなら、856兆ベクレルの保管中のトリチウムを含む水は33年で処分可能ということである。

なお、上の図からすれば、PWRなみの排出量を認めれば、年間80兆ベクレル程度まで海洋放出可能であり、10年強で処理が終了する。常磐ものというブランド魚という話がある。ここ にふくいお魚図鑑がある。若狭湾には、PWR原発が5発電所あり、いずれも福島第一原発より多くのトリチウムを海洋放出していた。もし、常磐もの魚を消費者が敬遠するなら、若狭もの・ふくいお魚は、どうなるのだろうと思う。

福島第一原発のトリチウム問題を調べていくと、報道されない重要なことの存在に気がつく。福島第一原発の廃炉は、誰もやったことのないことをやっているのであり、行程通りには進まないのが当然であり、その中で安全第一を最重要事項として進めている。この安全第一とは、工事の事故もそうであるが、それと同等あるいはそれ以上に放射性物質の放出リスクに気を付けなくてはならない。福島第一原発事故が起こったときもそうであったが、今も人気取りをもくろんだ間違った政治家の発言がある。関係者の方々は、雑音に惑わされることなく、自らが信じる良心を大事にして任務を続けていただきたいと思う。

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2020年12月19日 (土)

東京外かく環状道路工事の地表陥没

このブログこのブログ の続きです。 東日本高速道路が東京外かく環状道路の地下トンネルルート上にある東京都調布市の市道が陥没したことについて、その因果関係も認めて陳謝し、個別に補償する方針を表明したとのニュースがあった。

東京新聞 12月18日 調布陥没「トンネル工事が原因」 有識者委が中間報告 NEXCO東日本が補償表明

12月17日には、日経に次の記事があった。

「大深度」工事直後に地表沈む 東京外環道、衛星で解析

日経記事は、有料記事ですが、衛星解析技術を持つイタリアのTREアルタミラと日本のスペースシフト(東京・港)から、電波を使って地表変化を1ミリ単位で捉える「干渉SAR」データを入手。陥没地点を中心に東西530メートル、南北870メートルの範囲で、4月8日から10月12日までの変化を調べた分析結果から、工事の進捗に沿って陥没地点周辺で急激に変化している様子が読み取れたとある。

「原発は安全」という根拠のない噂が流布していたことがある。原発は原爆の爆弾を製造する設備と言えば、嫌がる人はいるが、現在の原発はプルトニウムを生み出し、プルトニウムは原爆の元(原材料)である。同様に「大深度地下は安全」、「大深度地下は地表に影響を与えない」という根拠のない話が崩れたと考える。地表に影響を与えない大深度というのは存在すると考える。しかし、それを一律に地下40mから深いところ又は支持地盤上面から10m以上深いところなんて単純な決め方は崩れた。陥没が生じた現場のトンネル上面は地表から約42mで支持地盤上面からの深さは18mで、基準からすれば影響の出ない大深度でのトンネル工事であった。

この12月18日の日経記事「東京・調布の陥没、工事との因果関係認める 東日本高速」 は、リニア中央新幹線など他の大深度地下工事に影響する可能性もあると述べている。その通り。トンネル工事で、その近くに影響が出るのはよくある話。

東海道線の丹那トンネルは1918年に工事を開始し、16年を費やして1934年に開通したが、この工事を難工事とした最大の問題は涌水であった。(参考:三島市郷土資料館第303号 )トンネルで涌水があったことは、同時に周辺には渇水をもたらした。土木工事は大変である。それを甘く見れば、人間に災難が降りかかる。

さて、中央リニア新幹線への影響は、どうだろうか?大深度地下の直上だけでなく、大深度地下トンネルのある程度の範囲の人達から承諾を得ないと工事は出来ないように思う。もし、1カ所でも難行すれば、中央リニア新幹線はできない。相当な遅れが生じる可能性はある。JR東海は大丈夫だろうかと株価を見ると12月18日終値14,135円であった。大不良資産となるかどうか?

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2020年12月11日 (金)

種苗法の改正が公布されたが、わからないことおおすぎ

12月9日に種苗法の改正が公布された。しかし、調べれば、調べるほど、訳が分からない法律改正である。

日経 12月2日 改正種苗法が成立 参院本会議 公布の官報は ここ にある。

1)自家増殖の扱い

自家増殖を一部制限と報道されている。しかし、この部分こそ今回の種苗法改正の争点であった。 具体的には、 種苗法第21条2項で「農業を営む者で政令で定めるものが、・・・登録品種等の種苗を用いて収穫物を得、その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、その更に用いた種苗、これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばない。」を全て削除してしまったのである。但し、21条1項は、そのままなので、新品種の育成その他の試験又は研究のためにする品種の利用は大丈夫である。

農業とは、種子をまいて、育て、収穫物を得て、次世代のための種子を得る。何世代も繰り返し、交配したりして、品種改良に努める。自分の田畑の土、風土、気候等に適した種を開発していく。そんなことするよりは、病害虫や自然災害に強く、収穫量も多いと期待される種苗を金を払って購入した方が、賢いかも知れない。多分、楽ではあるだろう。

ちなみに農水省は、ほとんどの品種は一般品種であり、今後も自由に自家増殖ができると言っている。一般品種とか登録品種と聞いてもぴんと来ないが北海道の米で例を挙げると「きらら397」は一般品種で「ななつぼし」は登録品種である。

いずれにせよ、この議論の行き着く先は、農家の権利は守られ、同時に品種開発に関する正当な報酬を受ける権利も守られ、正常な状態にあるべきと考える。しかし、今そんなことが危ぶまれているわけではないのに、何故こんな法改正をするのだ。バカかと思う。ちなみに、現行法でも登録品種の種苗は金を払わないと手に入らない。売買契約において、必要なら、自家増殖の禁止を盛り込み、そこに巨額の違約金を定めれば良いのである。こんなことに刑事罰を導入すべき理由が理解できない。

2)優良品種が海外に流出防止

優良品種の海外への流出防止が種苗法改正の理由と説明されている。しかし、これも本末転倒である。優良品種の海外流出で損をするのは、一般国民よりも、むしろ種苗を開発した育成権者である。韓国で、日本のブランドいちご「レッドパール」とか「章姫」が栽培されている。しかし、「レッドパール」や「章姫」は、日本の育成権者が韓国の生産者に利用を許諾して始まった。その後、勝手に増殖・栽培され、日本への逆輸入されたそうである。この例なんか、自分の落ち度を世の中のせいにするバカじゃんとなる。

その他流出経路不明があるが、密輸出の可能性はある。しかし、密輸出の防止は、法の問題より、税関のチェック体制の問題のはず。法改正で望むのはアホである。

今回の改正に21条の2、21条の3の追加があり、育成権者は保護が図られないおそれがある国や産地を形成しようとする地域を指定できることとなった。こんな改正なら、自家増殖禁止とセットにする必要なんかないと思う。それでも、密輸出には無力である。農家からすれば、農家を密輸の犯人とみたてて自家増殖を禁止したのかとなる。

3)穀物メジャー・遺伝子組換え農作物

Wiki(ここ )には、世界の穀物流通の70%を五大穀物メジャーが扱っているとある。ここ にトウモロコシ、ダイズ、セイヨウナタネとワタの輸入量の農水省の説明がある。例えば、年間のトウモロコシ輸入量は米国から1450万トンあり、そのうち92%が遺伝子組換え作物と推定される。これを見ると、トウモロコシ、ダイズ、セイヨウナタネとワタは95%程度が遺伝子組み換え作物なんです。

2018年に「国は、毎年度予算の範囲内で、・・・・指定種子生産者に対しては、主要農作物の種子を生産するために必要な経費の一部を補助することができる。」という内容の種子法が廃止されてしまった。

これから先、どのようになっていくのやらと思ってしまう。ここ に国際連合食糧農業機関(FAO)のFAO's role in seeds(種子に対する役割)と言うのがある。次の文章で始まり、そうだよねと思ってしまう。

FAO plays a lead role in strengthening the conservation and sustainable use of plant genetic resources for food and agriculture through policy assistance, technical support and awareness raising.

In the broadest sense, this encompasses the whole range of actions involved in the conservation, diversification, adaptation, improvement and delivery to farmers through seed systems.

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2020年11月15日 (日)

東京外かく環状道路地表陥没事件

直前の直前のブログ の続きです。

ある人から、国交省や東日本高速道路による説明会が最近あり、出席した住民による不満は大きかったと聞いた。 参考:東京新聞 11月6日 「逃げ口上ばかり」NEXCO東日本の説明に住民の不満続出、調布の道路陥没

1)損害賠償の権利

地下工事をしている直上の土地が陥没したわけで、工事をその原因と推定するのは、当然のことと考える。大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度地下法)においても、民法上の損害賠償の権利は否定されていない。しかし、この調布市の地表陥落事件において、事業主・東日本高速道路が加害者と認定されたとしても、故意や過失があったのかも、裁判では問題にされるのであろう。

単純な問題ではなさそうだが、被害者補償は社会的な義務と考える。

2)大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(大深度地下法)

そもそもの発端は、大深度地下法にある。大深度地下法の内容を再検討することこそ、陥没原因究明と同時に重要であると考える。実は、大深度地下法20条には、「国土交通大臣又は都道府県知事が使用の認可に関する処分を行おうとする場合の手続については、前二条に規定するもののほか、土地収用法第二十二条から第二十五条までの規定を準用する。」とある。土地収用法23条には次の様にある。

事業の認定について利害関係を有する者から次条第二項の縦覧期間内に国土交通省令で定めるところにより公聴会を開催すべき旨の請求があつたときその他必要があると認めるときは、公聴会を開いて一般の意見を求めなければならない。

次条第2項の縦覧期間とは、事業の種類及び起業地の公告の日から2週間であり、こんな短期間で良いのか、それ以前から情報は発せられており2週間で十分なのか検討が必要と考える。同時に浮かび上がる疑問は、調布市での公聴会は、どうであったのかである。この公告の主語は市町村長である。調布市は、東京外かく環状道の大深度トンネル工事について、何時どのような公告を実施し、公聴会は開催されたのか、その結果はどうなのか、議事録等は公開されているのか、このような点を重視したい。

大深度地下法は、大都市地域において、通常利用されない大深度地下を社会資本整備に使うことを目的として制定された。しかし、むやみに大深度地下利用を推進することには問題があると考える。調布トンネル工事の陥没は貴重な事例である。

3)浅い地下トンネル

片側3車線の高速道路で浅い地下トンネル(トンネルではなく上部が開いている溝状態の部分もある)の高速道路がある。常磐道の三郷と柏の間で、流山市と柏にまたがっている。地下トンネル全長3.6kmであり、うち飛び地があるが流山市部分2.3km、柏市部分1.3kmである。 ここ に流山市常磐自動車道環境委員会発行の30周年記念誌がある。その中に掲載されている委員の言葉には次の様なのがあり、浅い地下トンネルでも十分ではと思う。土地収用費も含めた工事費で比較すると、どうなのかは分かっていないが。

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住宅密集地が地下道構造(上が公園)になり、道路両側に20メートルの緩衝緑地帯がつけられた常磐道。24時間公害データ記録システム方式監視施設の設置(市内沿線4か所)。そのデータをチェックし改善要求をする「常磐道環境委員会」の設置。そして、それら全てを担保する流山市と日本道路公団(現在の東日本高速道路株式会社)との協定書。この「流山常磐道パック」こそ、その昔、13年間の苦しい公害反対の住民運動を闘った市民、それを支援した市議会と市行政が残した宝であり、環境優先都市をかかげる流山市と全流山市民の「永遠の宝」である。
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守る会の努力によりトンネル方式、上部を公園とする案に決定され、現在は青風公園として近隣自治会の合同防災訓練や当自治会祭り等、多用途に利用されております。常磐道がもたらした良い面だと思われます。
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道路開通後、交通量の増加による騒音の基準値オーバーに対して、月1回開催される委員会のチェックにより、これまで、数々の騒音低減のための追加工事が行われてきた。現在は、1日の交通量10万台弱(年平均)で、何とか基準内に抑え込んでいる。住宅密集地が地下道構造(上が公園)になり、道路両側に20メートルの緩衝緑地帯がつけられた常磐道。24時間公害データ記録システム方式監視施設の設置(市内沿線4か所)。そのデータをチェックし改善要求をする「常磐道環境委員会」の設置。そして、それら全てを担保する流山市と日本道路公団(現在の東日本高速道路株式会社)との協定書。この「流山常磐道パック」こそ、その昔、13年間の苦しい公害反対の住民運動を闘った市民、それを支援した市議会と市行政が残した宝であり、環境優先都市をかかげる流山市と全流山市民の「永遠の宝」である

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2020年11月 5日 (木)

東京外かく環状道路(関越~東名)は、どうなるの?

2020年10月18日に東京都調布市東つつじケ丘の住宅地で、東京外かく環状道路(関越~東名)のトンネル工事の直上の市道が陥没した。そこで、東日本高速道路が陥没箇所周辺の地盤調査を実施していたところ地中の空洞を確認したと11月4日に発表があった。

NHKニュースは、ここ にあります、また、 東日本高速道路 の発表はここ にあります。

NHKニュースの画像には道路トンネルの位置が表示されており、空洞はトンネル直上であります。


子どもの頃、砂山でトンネル掘って遊んで、崩れることは常であった。大深度地下トンネルが大丈夫というのは、神話に過ぎないのではと思う。本当に大丈夫であるという確信が得られるまでは、東京外かく環状道路のトンネルはもちろんのこと、中央リニア大深度地下トンネルを含め、全ての大深度地下トンネルの工事を中断すべきと考える。仮に10年以上かかっても、良いではないかと思う。それが無理なら、高架橋にすれば良いのである。

東京外かく環状道路(関越~東名)とは、どのような大深度地下トンネルであるのか。この大深度地下使用認可申請に向けた平成25年9月の説明会資料 が一番分かりやすいのではと思う。ルートの縦断面図が26、27、28ページにある。縦断面図のTPmゼロは海抜であり、地表面ではない。ちなみに、 東つつじケ丘 の陥没箇所は、地表面海抜35m、支持地盤上面が22-23m、トンネル上面がマイナス9-10mである。

大深度地下とは、 支持地盤上面から更に10m以上深い地下、あるいは地表面から40m以上深い地下で、この双方の条件を満たす場合と23ページに説明がある。現在どこを掘削中かは、1基は東名立坑をスタートしてここ 、2基で掘削中でありもう1基は ここ ということであります。

ところで、何故高架道路を地下道路にしてしまったのでしょうか?上の平成25年9月の説明会資料15ページには都市計画の変更と書いてあり、16ページに域分断や排出ガス、騒音、振動の影響を抑制そして事業期間を短縮なんて書いてあるが、本当なのでしょうか?工費は、どうなのか。排出ガスなんて、地下でも地上でも関係ない。こんな説明会資料で誤魔化されたくない。きちんとした報告書をWebで公開すべきである。

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2020年8月28日 (金)

むなしく思える球磨川の治水

次の様なニュースがあった。

朝日 8月25日 川辺川ダムあれば「水量4割減」 7月豪雨で国交省試算

一方で、次のニュースもある。

熊本日日新聞 8月27日 「ダムありき」議論やめて 球磨川流域の建設反対派、被災者ら

別のニュースとしては

熊本日日新聞 8月26日  川辺川ダム「選択肢の一つ」 蒲島知事「白紙」から転換

知事の発言や態度をどう評価するか、私は追いかけていたわけではないので何も言えないが、2008年4月16日の知事就任記者会見の抱負がここ にある。言えることは、12年間進展がなかったと言うことなのだろう。反対派のダムの緊急放流のリスクとは、何を考えている人たちなのだろうと思ってしまう。ダム緊急放流とは、流入量が異常に増加したことに対応し、河川流量を下げるためのダム放流だが、相当異なった意味になってしまっている。

朝日の記事が述べている「最大水量を約4割削減できたとする試算」とは、8月25日開催の資料(これ )の説明資料(3/3)の次のページと理解する。これを見て、川辺川ダムが万能だとは思えないはず。しかし、ないよりまし。他の対策(例えば、降水予測や増水予測、通報体制・・・)と組み合わせて良いものを作り上げていくことが重要と考える。

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2019年12月 6日 (金)

河川堤防の越水・決壊(越水しても決壊しない堤防)

Diamondオンラインに次の記事があった。

Diamond Online 12月3日 台風19号の堤防決壊は防げた?実績ある対策を「封印」した国交省の大罪

 安価な「耐越水堤防」の建設を推薦している。即ち、河川が流れている側とは反対の堤防の裏側を越水しても越流水によって浸食されにくいように、「裏のり」を遮蔽シートやブロックなどで覆って強化し、「堤防の最上部(天端〈てんば〉)」と「裏のりの最下部(のり尻)」も洗掘されないようにする改造案である。

なるほど、その通りである。堤防の高さは変わらないので、堤防より河川水位が上回れば、水害の発生の阻止までは出来ない。しかし、決壊しないのなら、氾濫して流れ出す水量も大きくはない。避難時間も確保できる。千曲川が氾濫・決壊・越流した長野市穂保地区でも、堤防が流されてしまった。堤防からの越水は防げなくても決壊に至ることは避ける。重要なことと考える。


そこで、その長野市穂保地区の千曲川堤防復旧工事は、本復旧において「耐越水堤防」の建設になったとのことである。

日経 12月4日 長野の千曲川堤防調査委、決壊した穂保の堤防、補強して復旧へ

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2019年10月23日 (水)

台風19号の利根川における洪水調節評価

台風21号が来ているが、どうやら日本列島は暴風圏内に入らないと思える。一方、10日ほど前に日本に上陸した台風19号は、10月12日午後7時頃に伊豆半島に上陸し、関東地方を縦断したが、広い範囲で記録的な大雨をもたらし多くの河川で氾濫が起こった。

幸い利根川では堤防決壊はなかったようであり、2010年10月30日にこのブログ「ウルトラ堤防」 を書いたが、このウルトラ堤防(田中調整池)にも水が入り、利根川の防水に一定の役割は果たしたのだと思う。この国交省記者発表資料によれば、 渡良瀬遊水地、菅生調節池、稲戸井調節池、田中調節池の4つの調節池で約2.5億m3の洪水量を貯留とあります。3ページ目-4ページ目の写真を見ると台風19号で利根川水位が上昇したときに越流が生じて調整池に水が入り貯留したことが確認できる。

ダムは、どうだったのかと矢木沢、奈良俣、藤原、相俣、薗原、草木、下久保、渡良瀬遊水池、川俣、川治、五十里、湯西川の12ダムについて国交省のデータベースから数字を拾ってグラフを書いてみた。上が合計貯水量で下が各ダムの貯水量です。

Tone12dam201910a

次のグラフがこれら12ダム合計でのダムへの流入量とダムからの放流量を書いたグラフです。概ね、ダムからの放流量は50%程度にコントロールしています。

Tone12dam201910b

さて、利根川の河川水はどうなったか。八斗島と取手における水位をグラフにしました。赤線が、八斗島と取手における氾濫危険水位であり、取手はやばい水位でした。なお、グラフは、計測点の基準水位ゼロ高からではなく、海面標高で作成しています。

Tone12dam201910c

これらの洪水緩和施設が将来にわたり機能してくれることを期待します。

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