2020年8月10日 (月)

原発問題

朝日新聞が次の記事を掲載していた。

8月9日 朝日 原発安全対策費、5.2兆円 対テロ施設、膨張 安価、揺らぐ前提

会員記事となっているが、無料登録で読むことが出来た。しかし、記事は次の文章で締めくくられており、結論がはなはだ変に思える。

政府は15年に、30年時点の電源別の発電コストを検証。原発は1キロワット時あたり「10・3円以上」で、水力(11・0円)や石炭火力(12・9円)より安いとした。ただ、安全対策費は1基約1千億円が前提で、1千億円増えれば0・6円高くなると想定している。膨張を続ける安全対策費が「低廉で重要なベースロード電源」とする原発の位置づけにも影響を及ぼす可能性がある。

まず、原発の発電コストが高いというのは、世の中の常識と思うが、常識に反したことが書いてあり、驚いたのである。福島事故前において、多くの人が 原発に幻想を抱いていた時代があった。あの頃の感覚を今に持ち出しているように思える。

原発の安全対策費用が莫大なのは、誰もが知っている当然の話。原発とは、放射性廃棄物の塊である。100年-200年という期間の監視が必要である。テロリストに占拠されずとも、テロリストからの脅しはあり得る。必要なことは、将来にわたり、幾らの出費・費用が必要であるかを検証することと考える。そして、それを国民が、どのように負担すべきかも検討する。電気代?税金?過去の政策の失敗は、将来に大きな負担・費用をもたらすのである。

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2019年10月30日 (水)

原子力発電についてはまじめに考えるべき

次の朝日新聞の記事を読むと、東京電力が日本原電にお金を払うのは間違いだと読んでしまう。

朝日新聞 10月28日 安全対策で割高懸念の原電 それでも電力会社が支える訳 (全文を読むには有料記事となっている。)

日本原電の株主構成は次の通りです。

Japc201910a

特殊な会社です。一方、この会社の販売先は、東京電力エナジーパートナー、関西電力、中部電力、東北電力、北陸電力と東京電力パワーグリッドの6社です。東海(1,100MW)と敦賀(1,160MW)の2つの原子力発電を保有している。しかし、2011年度に休止して以後は休止状態が継続しており発電していない。しかし、2019年度の売上高は109,130百万円であり、その内訳は次の通りである。

Japc201910b

原子力発電所とは、発電をしなくても金が掛かるやっかいな物である。かと言って、放っておいて済む物でもない。休止した状態でも放射性物質が大量に存在する。厄介者のおもりを誰がするかと言えば、所有者しかいない。この所有者日本原電が頼れるのは、株主と電力販売の契約がある相手先しかいない。

困ったことである。でも、日本の原子力発電の政策のツケが出ているだけの話である。ここで、東京電力に手を引けと言ったらまさに無責任発言である。日本の原子力発電政策が見える実例でもある。民主党という政党が政権を得る直前の2009年7月の政策集がここ にある。その39ページの右上に「原子力利用については、安全を第一としつつ、エネルギーの安定供給の観点もふまえ、国民の理解と信頼を得ながら着実に取り組みます。」と書いていある。原発に対する当時の代表的・模範的意見だと思う。現在は、どうなのだろうか、廃炉・使用済み核燃料問題・プルトニウム問題・核兵器転用問題・廃棄物処理問題等を含め、国民的議論が必要であると考える。

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2019年10月15日 (火)

関西電力経営幹部金銭受領問題と原子力発電

関西電力経営幹部を含む20人が、3月死去している福井県高浜町の元助役から2006~18年に約3億2千万円相当の金品を受け取っていた。この産経記事(10月2日) によると、受領最高額は鈴木聡常務執行役員で1億2367万円、次いで豊松秀己元副社長の1億1057万円となる。明らかに、常識を越えた金額であり、通常の交友関係ではないと言える。

1) 関電で金銭等を受領したのは全て原子力関係者

贈与したのは、関西電力高浜原発(826MWx2基と870MWx2基の合計3,392MW)が存在する地元高浜町の元助役なので、その贈与理由は原子力発電所であるはず。

2) 原子力発電のコスト

原子力発電とは、金のかかる設備です。単に、存在するだけで、費用が発生するのです。発電が終了し、廃棄するのに、費用が掛かり、その廃棄物処理には、廃棄方法すら不明な部分があり、いくら発生するか分からないという厄介者であります。そんな訳の分からない費用ではあるが、財務諸表では相対的な妥当性と言わざるを得ないが、原発を保有している各社は原子力発電のコストを発表しており、次の表の通りです。

Nuclear201910a

日本全体で年間1兆4千億円という金額です。発電をしているかどうかと余り関係がなく、変動費が少なく、固定費がほとんど言う構造です。次のグラフを見てください。2014年度は、日本における原子力発電の発電量はゼロでしたが、費用は1兆5千億円以上が計上されています。

Nuclear201910b

原子力発電費用の内訳として何が計上されているかを関西電力の2018年度の資料から書いたのが次のグラフです。

Nuclear201910c

3) 原発の地元に落ちるお金

関西電力の2018年度の費用から、考えると諸税163億円のうちの固定資産税63億円、修繕費424億円のうちの地元企業分、委託費246億円のうちの地元企業分が地元に落ちるお金です。関西電力の原発は、美浜、大飯、高浜であり3箇所の合計は6,578MW。うち半分強の3,392MWが高浜町にある。高浜町の地元企業に直接・間接に流れゆくお金がいくらかは分からないが、相当の金額になると思える。そして、原子力関係の物品や人件費は、一般向けより相当単価が高いのです。危険手当的な部分もある。放射線漏れのような事故があってはならないので高品質が求められる。作業員や技術者の年間放射線被曝量の規定があるから現場就労時間に制限があること等による。しかも、上で示したように、発電しているかどうかに拘わらず、変動が少ない。

もし、地元業者がうまく電力会社を取り込むことが出来れば、安定した収入と利益が得られることとなる。食い込む先は、原発に関わる主要人物・部門で良いのです。ここに、この関電金品受領事件の一つの原因があると私は思います。

4) 電力会社(原発発電会社)の都合 

日本原電は、東京電力、関西電力のような電力会社が90%以上の株式を保有する会社であるが、それ以外は全て一部上場の株式会社である。上場している会社の義務として社会的責任もあるが、一つ明白なのは、利益を計上することがある。赤字部門があっても良いが、その場合は、その原因を説明し、黒字にする展望を示すのが経営者の義務と言える。

この株式会社の原則を原発発電部門に当てはめると、経費はほぼ一定なのだから、発電して、例え利益計上できなくとも、収益を増加させ赤字幅を減少させることである。そうなると、経営者にとって、避けるべき事態は、反対運動が起こり、発電できなくなることである。

そんな利害関係に陥った関電原子力会計の幹部と地元のボスであった高浜町の元助役だったのだろうと想像するのです。互いに、「おまえの会社には発注を止めるぞ」とか「反対運動に火を付けるぞ」と言えたとしても、言うことが出来ない関係だっただろう。

5) 今後の日本の原子力発電の仕組み

原子力発電の仕組み、すなわち、組織や法の問題です。上場株式会社という制度に優れた点は多い。しかし、固定費が大半であり、運転・発電するには、余りにも多くのことが関係する。放射線漏れを起こしてはならないと要求しても、人間がすることに100%はない。しかし、100%に近づけるべく、また万一事故が起こっても被害を許容範囲に食い止めるような技術的・社会的・法的な仕組みをつくることは出来ると思う。それが、許容範囲になっているかどうかを判断する仕組みをつくることも重要である。そのようなことを考えると、やはり現状の上場株式会社による原子力発電事業は無理だと思う。

一つ思うのは、公社のような組織だろうか。但し、既存の公社の制度ではダメである。多くの専門化等が集まり、公開の場で議論をし問題点を洗い出し、修正し、仕組みを練り上げて作っていくのである。そんな、苦労をしていかないと、日本のエネルギー政策・原子力政策はできあがらないと思う。原子力政策と述べたが、その中には原子力をエネルギー供給の選択肢から外すことも含まれる。そのような検討を実施するための資金は存在するのである。何もしなくても、現状年間1兆4千億円の支出が存在する。しかも、この状態が今後とも何10年間と継続するのである、この一部から捻出すれば良く、単に支出を継続するより、効果が期待できる。

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2019年3月24日 (日)

原子力発電に対する補助金なんてありなのでしょうか?

次の朝日新聞の記事です。

意味や目的が理解できないのです。ちなみに、登録すれば、1日1記事読めるというので、登録して読んでみたが、支離滅裂のことが書いてある。目的も、意義も何もないと思う。

1)日本の原子力発電の費用と発電量

日本では、下の表に記載の10社が原子力発電所を保有している。各社の損益計算書に計上している原子力発電費と資源エネルギー庁の統計からの原子力の発電量である。原子力発電とは、発電することにより費用が発生するのではない。保有することにより費用が発生するのである。発電することができれば、日本の原子力発電事業者は、損失をリカバーできるのである。それなのに、発電することに更にインセンティブを付けるなんて、とんでもないバカの発想と思うのである。

Jnuclearp20193a

2)米国の"ゼロ・エミッション・クレジット(ZEC)とは

この冊子(ZERO-EMISSION CREDITS)からの引用であるが、排気ガスを排出しないことに対する貢献に対する価値の支払いである。再生可能エネルギーについて、排気ガスを排出しない社会的貢献として、発電費が多少高くても許容する。果たして、日本で原子力発電について、排気ガス無排出貢献として社会的価値を認め、お金を原子力発電事業者に支払うことについて多くの国民が賛成するのだろうか。国民が賛成しない案は、無理である。

米国ニューヨーク州とイリノイ州では、原子力発電事業者が原子力発電の廃止を計画。これに対し、ZECを支払って、原子力発電の廃止をやめさせようとの動きである。ZECを支払う理由は、原子力発電がなくなると代替発電はより高くなり、電力消費者はZECを負担する方がお得であるとの考えによる。何が正しいかは、難しいのであるが、米国では、この2つの州以外でも同様な議論がある。原子力発電が市場競争に勝てなくなってきており、閉鎖の計画が多くなっている。このことを巡っての米国での議論であるが、結論は出ていないと理解する。

いずれにせよ。日本のことは日本国民が決めるのである。朝日新聞でないことは確実である。

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2018年10月15日 (月)

九州電力再生可能エネルギー出力制御についての朝日の記事の違和感は会社の体質?

記事のタイトルからして驚きました。(有料記事ですが、登録で1日1記事読める対象です。)

余る電力、再生エネ岐路 太陽光発電、九電が抑制 「主力」の原発を優先

1) 原発の優先

今更、何をと思うのです。原子力発電は核兵器と同じ核分裂を利用している。人類が手にする物の中で、最も危険な部類に属する。しかも、日本の原発は、出力変動運転をするようには設計されていない。

原発とは、大変なものです。論じるなら、使用済み核燃料管理も含め、きちんと論じて欲しい。なお、使用済み核燃料とは、現在稼働中の原発燃料のみならず、過去に運転していた原発の使用済み核燃料もあることを忘れてはならない。

2) 問題は再生可能エネルギーなのか太陽光発電なのか

朝日の論調は、「原発は動かすのに、再生エネを抑えるのは順序が逆だ」との論理になっている。問題は太陽光発電にあり、再生可能エネルギーにあるのではない。

太陽光発電は日中10時から15時頃に発電量が多くなるが、それ以外の時間帯はあまり発電せず、しかも朝夕を含め夜は発電しない。バッテリーがないと用途が制限される電源である。九州電力は、再生可能エネルギーの接続済み11,600MWのうち8,070MWが太陽光と発表している。

70%が太陽光なんて、異常だと思う。何故、そんな異常事態となっているかは、太陽光の高値固定価格買い取り制度の結果でしかあり得ないはず。再エネ賦課金により日本の電力は一律2.64円高くなっているが、これは他でもない太陽光発電事業者にすべて支払われる。2.64円なんて、安いと思うかも知れないが、10%以上とも言える。不安定な発電をする事業者に高値を払うのは制度としておかしい。太陽光発電事業者にはバッテリー設置を義務つける等して、売買可能な品質の電力にした場合に、一般料金とするのが世の常識と思うのだが。

3) 融通なら効率化と決めつけて良いのか

朝日の記事って、おバカの塊のような記者が書いていると思ってしまう。九州電力は10月14日の予想として需要7,360MWに対して、供給力が12,290MWになるので、揚水発電で2,260MWを揚水動力として使用し、1,960MWを下関方面へ送電するとしている。需要7,360MWに対する再生可能エネルギーによる発電が5,420MWなので、需要に対しては再生可能エネルギーが74%である。出力が不安定な再生可能エネルギーが74%にまでなると、どのようにして需給バランスを保つというか、周波数や電圧安定を確保するかの問題となる。

関門送電線の容量が不足しているか、余っているか、分析しないと何も言えないはず。送電線の容量を大きくすると、それだけ設備費を要するわけで、送電コストが高くなる。マスコミは、余っている送電線容量と報道することもある。実は、このあたり、分析せずに誰かの話をそのまま言っているだけだからたちが悪い。

本庶佑教授、会見で記者の幼稚な質問に一喝 (Togetter)と言うのがあった。今回の朝日の記事も余る電力なんて表現で、どこに電力が余っているのだと常識のある人なら思ってしまう書きぶりであった。

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2018年6月18日 (月)

日経の日本の電力についての意見、ごもっともであるが

日経が次の記事を掲載していた。(無料記事は冒頭のみ)

日経 6月18日 思考停止が招く電力危機、原発「国策民営」の限界 エネルギー 日本の選択(1)

5月16日の経済産業省の審議会において、批判の声は上がったが、結局は、経産省が基本計画案に盛り込んだ「最適な電源構成」の原発比率は2030年に20~22%と、2015年に決めた前回の数値のままである。(日経記事にある5月16日の経済産業省の審議会とは、総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第27回会合)と思われ、このページにその時の資料が、又このページの5月16日第27回の部分で議事録等をクリックすればダウンロードできる。)

「官邸の意向をくみ取り、原発を争点にするのは避ける方が賢明という過度な配慮が働いたとの見方もある。」とも記事は指摘しており、それじゃ忖度したの?であるが、政権の中枢そのものも、明確な意見を持っていないのだと思う。持っていないからこそ、議論の先送りなのだろうが。

他の論点は、原発のコスト高と再生可能エネルギーのコスト安の問題である。世界的には、原発のコスト高と再生可能エネルギーのコスト安でほぼ決まっていると思う。だからこそ、世界的には再生可能エネルギーによる発電が大きく伸びている。原発の将来は、核兵器と結びついての発展しかないように思う。

何故、日本の進路と世界の進路が大きく異なってしまったのだろうか?世界が再生可能エネルギー発電の固定料金買取制(FIT)から脱却しようとする時に、日本はFITを導入した。再生可能エネルギーを発展させるのではなく、何でも良いから、再生可能エネルギーは良い事だと、無理矢理制度を導入し、失敗する。電気料金が上昇したのみとなってしまう。日本の発展に必要な事は何であろうか?世界に貢献する技術の発展が重要と考える。日本単独でなくて良い。世界的な連携で技術を発展させるのが現代の姿である。電力需要とは無関係に変動する再生可能エネルギーの発電を蓄電・吸収する技術は、どうか?この辺りは、物理的な技術に留まらず、市場の仕組みやルールを含めた管理や契約のありかたについての技術でもある。世界は今や、理科系・文化系、工学・経済・法とかのような各分野毎ではなく、相互に広く関係している総合的な管理下での競争であり、勝者とはそのような市場で勝ち抜く人と思う。

話が横にそれた感もあるが、日経記事は「早急に思考停止から脱しないと、次世代に大きなツケを残すことになる。」との文末文章で閉めている。さて、誰に向けて発せられた文章なのだろうか?国民全員に向けてと理解するのが、良いように思う。

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2018年6月10日 (日)

米、プルトニウム削減を日本に要求は、朝鮮半島非核化と関係?

米、プルトニウム削減を日本に要求との記事を日経が掲載した。

日経 6月10日 米、プルトニウム削減を日本に要求 核不拡散で懸念

自然界に存在するウラン(天然ウラン)は、238が99.27%で核分裂を起こす235は0.72%であり、残る0.01%弱がウラン234他である。核兵器にしろ平和利用にしろエネルギーを得られるのはウラン235であり、これをある程度以上の割合になるよう濃縮して利用可能となる。ウラン235は238より2.3%程軽いだけで、分離して濃縮するのは大変である。

ウラン以外に核分裂を起こす物質で利用されているのが、プルトニウム239・241である。プルトニウム239は、天然にはほとんど存在しないが、ウラン235が核分裂すると、生まれる。日本の原発の場合は、ウラン235の約3分の1程度がプルトニウムになるようである。すなわち、100万kWの原発を1年間運転した場合、300kg程度のプルトニウムが出てくる様である。但し、このプルトニウムはプルトニウム239・241の割合が60%-70%で原子炉級プルトニウムと呼ばれており、兵器様プルトニウムと呼ばれている93%以上の純度にはなっていないとのこと。高速増殖炉で使う燃料もプルトニウム239・241が77%程度であり、やはり兵器様プルトニウムではない。

使用済み核燃料は、プルトニウム以外に元々95%以上含まれていたウラン238、分裂しなかったウラン235そして核分裂生成物質が含まれており、放射線を放出しているわけで、この中からプルトニウムを抽出し、更にはそのプルトニウム239の純度をあげることの技術的ハードルは高い。しかし、米国が長崎に投下した原爆はプルトニウム爆弾である。70年以上経過した現代に置き換えれば、それほど高いハードルではないのではと思う。

北朝鮮は昨年9月の第6回目の核実験の際に、水爆実験成功と発表している。プルトニウム抽出技術は確立しているだろうと思う。

米朝会談の最大の焦点の一つは、半島の非核化である。その際、日本のプルトニウム保有の制限に米朝間で及ぶ可能性はある。米国が日本の内政に干渉可能かと言えば、ウラン燃料の提供を受け、原発関連の技術の大部分を米国に依存し、米国との様々な協定を締結しておりNPT(核非拡散条約)にも参加している。日本1国でプルトニウム問題を解決する事は不可能である。国際協調で解決すると共に、やはり核兵器のない世界の実現に向けて尽力すべきである。

なお、日本国内にプルトニウム削減に向けた動きがないかと言えば、この2018年1月16日の産経記事のように原子力委員会でも議論されている。

私は、原発を電力供給・エネルギー問題や安全性問題という狭い分野ではなく、使用済み核燃料の処分や核兵器問題を含めた幅広い観点で検討すべきと考える。

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2018年3月 9日 (金)

朝日新聞の原発記事はハテナです

3月8日の朝日新聞朝刊1面の記事は、不思議な記事です。

朝日 3月8日 未稼働原発に5年で5兆円超支出 費用は主に電気料金

5年で5兆円支出なんて言っているが、その内容は、私のこのブログで指摘した原子力発電のコスト構造のことと何ら変わりない。私は、日本の原子力発電は稼働していても、休止していても発生するコストは年間1兆4千億円で基本的に不変であると述べた。

そして、このコストとは現金支出に限定されず、廃炉費用、核燃料再処理費用、廃棄物処理費用等を含むのである。将来の予測を含んでおり、不確実なことが多いので、絵に描いた餅とも言える。核燃料サイクルという訳の分からない夢物語に基づいてのコスト計算なんて意味があるのかと思う。

記事には「費用は主に電気料金で賄われている。」とある。また、「電力各社は、再稼働すれば採算が取れると支出を続ける」ともある。しかし、現金を伴わない支出がほとんどであり、粉飾決算を行わず、正しく財務諸表を作成すると、このような計算になるというのが実態である。

朝日新聞も記事にするなら、本質を突いた記事を書く事を目指すべきと思う。

やはり原子力発電の本質は恐ろしいのである。即ち、発電を停止していても、休止していても、廃炉としても、コストは継続して発生するし、安全な管理が廃炉の後も必要である。日本の電気料金には将来に亘って原子力による発電がなくても、その安全確保のための費用と共に、その維持のための費用がかかるのである。それは、原子力発電という設備を保有したが故の変える事のできない運命とも言える。

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2017年12月22日 (金)

東京電力福島原発事故

東電原発裁判を読んだ。

2017年10月10日の福島地裁において国と東京電力に賠償金の支払いを命じる判決についての日経報道は次であった。

日経 2017年10月10日 原発事故で国に再び賠償命令 福島地裁、2900人対象

2002年7月の政府の地震調査研究推進本部が発表したM8.2規模の福島沖地震による津波を想定すれば福島第一原発での津波高さは15.7mと想定され、これに基づく対策をしていれば事故は防げたとする考え方が「東電原発裁判」では紹介されている。

原発は、一旦事故が起これば、その被害は甚大である。従い、通常の建物や設備では考慮しないような事態でも原発の場合は、対策を考えておくべきとするのは正しい。

しかし、津波対策をしていなかったことについての刑事罰や損害賠償の責任論で片付けられるほど簡単な問題ではないと考える。福島第一原発の津波は15.7mと想定されるとの報道はおろか、福島第一原発の敷地10mは津波に弱点ありとの報道にも接した記憶はない。国会や県議会で取り上げられただろうか。

考えるべきは、原発という設備の安全について日本国民全員が安易に捉えていたのではないかということである。勿論、深刻に考えていた人もいるはず。しかし、その警鐘は届かなかった。安全神話という大本営発表に、酔いしれていたのだろう。

「東電原発裁判」のもう一つの記述で興味深かったのが、2号機・3号機の炉心溶融や水素爆発は防げたのではないかという点である。1号機は、おそらく救いようがなかった。バッテリーにより非常冷却設備が稼働していた2号機・3号機は未だ時間的な余裕があった。

勿論、防げなかったかも知れない。しかし、このような方法なら、防げたはずであるという研究・検討はすべきである。自衛隊も派遣しないで政府は無策でいて、大規模な被害を福島一円に引き起こした。せめて、そのような研究・検討はして欲しい。原発稼働の最低限度の必要事項の一つと考える。

下の図が地震発生から水素爆発までの時間である。2号機は水素爆発をしていないとも言えるが、3月15日6:00にS/C付近において水素爆発と思われる衝撃音を確認と報告されており、下の図ではこれを水素爆発とした。

Fukushima201712a

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2017年10月11日 (水)

原子力発電の問題は国民の問題

福島地裁で、東電と国による損害賠償を命じる判決があった。

日経 10月10日 原発事故で国に再び賠償命令 福島地裁、2900人対象

国とは、日本政府であるが、財源は税金であり、国民全てが負担する事と変わりはない。

東電が負担するのが望ましいかというと、負担能力がないにも拘わらず、負担をさせても意味がないのである。この判決の賠償金は5億円であるが、原子力損害賠償・廃炉等支援機構(以下機構とする。)が、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法により、東電に対して拠出した交付金は本年3月末までで7兆円強である。更に、東電株主も50%以上は、機構である。機構からの交付金は返済される事になっており、東電の債務と考えると、東電の純資産額は2017年3月末で2兆3千億円なので、6兆7千億円近い債務超過となる。

このことを考えると、東電の責任だ、国の責任だと、責任論争すらむなしくなる状態である。機構は政府70億円・原子力事業者70億円で設立されているが資金源は交付国債が主体であり、実質政府である。東電は、7兆円を債務として計上しておらず、政府も交付国債を予算には含めていない。主要関係者が、粉飾決算をしているに近い。

本来であれば、東電に賠償責任有りとした「原子力損害の賠償に関する法律」第3条の解釈がおかしいのであり、変な解釈余地を残しているより、改正すべきである。力の強い人間が弱い人間に対して、自分の法律解釈を押しつけた例と思う。「言う事を聞かねば、****するぞ」みたいな。実際、福島事故については、当時東電は反論すれば、非難囂々の状態であった。

冷静になって考えると、原子力事業者に責任を押しつけて、解決にならないことが理解できる。原子力の責任を事業者だからと押しつけるより、危険性、問題点、期待できる便益等を国民参加で議論をして、方向を考えるのが正しい。原子力には、火力や水力にはない特別な危険性や特異点がある。その中には、使用済み核燃料の処理や核兵器製造を含むプルトニウム問題もある。上場会社である一般電気事業者に責任をとらせる仕組みが機能できない分野と考える。

日本の商業用原発は、未稼働発電所を含め、全て上場株式会社(上場会社が株式保有の日本原発を含め)が保有・運転している。全ての原発を、営利事業から切り離し、国民の管理体制に移管するのである。国家管理というと、戦前の悪いイメージがある。むしろ、戦前の国家管理の教訓を生かして、情報開示型・国民参加管理を目指すのである。上場株式会社には、様々な情報開示義務があり、戦前の国家管理より優れている。しかし、利益計上や株主利益の追求と無関係にはなれない。また、将来の国民の利益より当面の利益を考えると、保有している原発は、1日も早く再稼働したいというインセンティブが否応なしに働く面がある。

福島地裁判決を機会に、自分の頭の中にあるこのようなことを書いてみました。

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