2017年5月31日 (水)

原発の廃炉ビジネス

原発の廃炉ビジネスは、将来性のある大きなビジネスです。

日経 5月30日 エネルギー「店じまい」日欧で本格化 原発廃炉や油田閉鎖

3月14日のブログ原発ゼロについての一つの考察で、次のグラフを掲げたが、今後大量の原発が産業廃棄物となる。

Nuclearplant20173b

産業廃棄物と言ったて、普通の産業廃棄物ではなく、放射性物質が付着した汚染物質である。それを安全に廃棄するとなると、相当のお金がかかる。別の言葉で言えば、大きなマーケットのおいしい仕事である。

お金の出所は、電気料金と税金であり、それ以外はあり得ない。日本の中で放射性物質が付着した汚染廃棄物を処理できる所は、あまりないと思う。かといって、外国に持って行って処分する事は許されない。見て見ぬふりをするのではなく、よく考える必要がある。

記事の有料部分には、20年以上先にはなるだろうが、太陽光パネルの産業廃棄物問題が発生する可能性についての指摘がある。或いは、事業者は会社を解散し、太陽光パネル他の設備は朽ちるに任せ、放置される可能性さえあると思う。

環境を守る事は、容易ではない。監視をする事と、環境保全に有効な仕組み・制度を築いていく必要がある。

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2017年4月30日 (日)

新聞記事で再生可能エネルギーへの提言はこの程度(朝日)

次の朝日の記事を読んで、根拠を明白にせずに単に羅列しているだけの記事と思ったのです。(有料記事で全文を読むには登録が必要)

朝日 4月30日 (電力を問う「改革」の行方:5)変わる電源構成 再エネ、送電網がネック

タイトルからすれば、日本の送電網の分析・検討を行い、現状の課題をあげ、その解決策の提言をしているのかと思う。しかし、記事には、そんな記述は全くない。これが新聞記事なのだと感心した。

有料記事部分の最期に次の記述があるだけである。

「いま大事なのは、送電網の充実などにより再エネを基幹電源に育てていくことだ。」

念仏を唱えれば、何でも実現すると考えるのは、現代社会では宗教の世界の事であり、我々の社会生活に持ち込んではならない。フェイクニュースと朝日新聞は同レベルと扱われますよと警告をしたい。

これも有料記事部分であるが、「日本でもようやく成長を始めた再エネだが水力をのぞくとまだ5%ほど。」

朝日の記者は調べることすらせずに、デタラメを書く。実際は、私の3月26日のブログの次の表の通り、7.6%~10.2%である。私は、資源エネルギー庁の統計データから作成したのが以下の表であり、これが正しい。

Electricitysupply20173c_2

瞬間的ではあるが、3月26日のブログで引用したWWFジャパンの発表の通り九州電力で78%が再生可能エネルギーによる発電の実績がある。但し、全発電量に対する割合が78%であったのではなく、揚水動力で消費した電力を除外している。しかし、揚水動力除外が不合理なわけではない。揚水発電とは大型蓄電池と同じである。必要量以上に発電された電気を蓄電することにより安定的な電力供給を確保される。

では、送電網の充実により再生可能エネルギー割合を増加させる事ができるかと言えば、答えはイエスである。しかし、どの程度とか、どの部分にどのような拡充が望まれるかは、技術的な検討および金銭的な検討をする必要がある。バカ新聞記者には無理である。無理でよい。その代わり、真実を謙虚に書いて欲しいのである。

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2017年3月26日 (日)

九州電力は需要の78%を再生可能エネルギーとは本当か

九州電力は2016年5月4日の午後1時、需要の78%を再生可能エネルギーによる発電を受け入れて系統の安定運用を行ったとの記事が環境保護NGOのWWFジャパンのWebにあった。

WWFジャパンの2017年3月3日の記事 78%の再生可能エネルギーを運用して見せた日本の技術力

にわかには、信じられない数字です。しかし、九州電力の系統運用担当者に取材をしたことが書いてあり、また写真も掲載されている。

日本の電力供給において再生可能エネルギーが占める割合について資源エネルギー庁の電力調査統計を見ると図表1及び図表2の通りである。

Electricitysupply20173a

Electricitysupply20173b

全発電に対して再生可能エネルギーが占める割合は次の図表3の通りとなる。

Electricitysupply20173c_2

WWFの記事が伝える78%とは開きが大きすぎるのである。資源エネルギー庁の統計から再生可能エネルギーとしてピックアップしたのは風力、太陽光、地熱、バイオマスと廃棄物であり、水力は含んでいない。水力を含んだ場合、図表2で再生可能と水力の合計分となり、ほぼ15%~20%となる。一方、この水力には揚水発電や大型水力も含んでいる。なお、資源エネルギー庁の統計には、再生可能エネルギーの固定料金買取制度に係わる統計がある。そこで、図表1の再生可能エネルギーによる発電の内訳と固定料金買取制度による電力買取量合計を示したのが図表4である。

Electricitysupply20173d

固定料金買取電力が水力を含まない再生可能エネルギー発電より小さくなっているが、その理由としては、電力会社が保有・運転し買取制度対象外の設備や、石炭火力発電所においての燃料として利用しているバイオマスがあったりする。(このような部分の2重計算は回避するようにして図表を作成している。)

電力調査統計も固定料金買取制度の統計も九州地方のみを対象とした発電内訳のデータが存在しない。但し、固定料金買取制度の統計には発電を開始している再生可能エネルギー発電設備の導入容量のデータある。九州地方の割合を計算したのが図表5である。

Electricitysupply20173e_2

電力調査統計に都道府県別の電力需要統計があり、2016年3月から2016年11月を合計すると全国合計549,787GWhに対して九州7県の合計は54,670GWhであり、9.94%が九州地方の電力消費割合である。一方、再生可能エネルギーの全国に対する割合は19%程度であり、再生可能エネルギーの普及度は九州に於いて高い。全国平均の再生可能エネルギー割合が図表3であるとすると15%から20%が九州地方における割合となる。しかし、バイオマスや廃棄物については全国平均とあまり差はないと思える。一方、地熱発電は九州に多いので、そう簡単でもない。

固定料金買取制度の統計による太陽光発電の発電量は図表6である。図表5の設備割合を用いて、全発電量に占める九州地方の太陽光発電割合を計算した結果である。

Electricitysupply20173f_2

4月から11月の太陽光発電の合計発電量は5,698GWhである。電力調査統計による全国の4月から11月の発電量は641,082GWhであり、この10%が九州地方であるとすると64,108GWhが九州地方の発電量。太陽光発電の割合は8.9%となる。再生可能エネルギー全体では15%程度であるかも知れない。全国平均より高い。しかし、WWFの数字とは未だ差が大きい。

実は、WWFは、2016年5月4日の午後1時という瞬間値の値を発表しているのである。2016年5月4日の刻々と移り変わる発電量は九州電力でんき予報の実績値を見る事により分かる。図表7が2016年5月4日のロードカーブであり、WWFのWebにあるこのグラフと一致する。

Electricitysupply20173g

図表5にあるように九州地方の太陽光発電設備は6,800MWある。これらが平均で70%発電をしたなら4,680MWの出力となる。一方、午後1時の供給に対する必要発電出力は7,440MWであり、太陽光割合は62.9%であり、WWFの説明と一致する。

但し、太陽光発電は日の入りから日の出までは発電をせず、日の出や日の入りに近い時間帯は出力も低い。WWFのグラフの黄色部分が示しているように日中の正午前後に発電が集中する。太陽光発電単独での電気の供給は不可能であり、他の電源やバッテリーとの併用が必要である。他の手段と併用する事により、太陽光発電あるいは風力発電の割合をどこまで増加させる事ができるかが重要な課題である。WWFのグラフには必要発電量を超過している紫部分がある。これは、揚水発電において揚水動力として電力を消費、正確には揚水発電の上ダムに下ダムの水をポンプ・アップして消費した電力である。この水は19時-20時頃に上ダムから下ダムに水を発電目的で流して水力発電として電力供給に使われた。

揚水発電とは、大規模なバッテリーである。ちなみに九州電力の揚水発電所は図表8の通りである。

Electricitysupply20173h

太陽光発電や風力発電は出力変動の大きな電源である。電気は電圧一定、周波数一定で供給されている。発電が刻々と変化する需要に対応しなかった場合、電圧一定、周波数一定が乱れる。家庭に於いて電圧や周波数の乱れに対応できない機器が出るであろうし、工場等に於いては、安全機器の不動作・誤動作その他危険な事態が発生する可能性がある。あるいは、その前に安全装置が起動して、ブレーカーが作動し、停電となることもあるし、大規模停電が更に大きな需給アンバランスを引き起こし、全停電となる恐れもなきにしもあらずと思う。

再生可能エネルギーによる発電の割合を大きくする一つの要素は揚水発電である。しかし、WWFのグラフからして九州地方に於いては太陽光発電もこれ以上の増加はあまり見込めない気がする。全発電量に対しては15%程度が限界なのかも知れない。一方、現在公表されている統計データは少ない。都道府県別の電源別発電量は公表されているが、このデータは事業者の発電のみであり、事業者外の数字は日本全体で一つの数字となっている。又、発電量=消費量・供給量という統計になっていない。発電しても発電所内で消費する所内動力があり、揚水動力、送電損失、配電損失が存在する。2016年3月までは一般電力会社の数字は発表されていた。しかし、電力は自由化されたとの理由かも知れないが、公表されなくなってしまったデータも多いのである。エネルギーや電気の供給を考える上に於いて様々な統計データは欠かせない。多くの統計データの公表を望むのである。

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2017年3月 3日 (金)

日本人とは環境破壊に関心がないのだろうか

次の朝日の記事を読むと日本人とは環境に無頓着なのだろうかと思ってしまいます。

朝日 3月2日 小型火力、迫られる環境評価 原発事故で計画増 アセス対象外、住民不安

実は、1年以上前の2015年11月25日に小規模石炭火力の問題点というブログ(これ)を書いたことがある。出力112.5MW未満の火力発電所の建設は環境影響評価(アセスメント)の対象となっておらず問題であると書いたのです。1年以上前と今と全く変わっていない。気候変動による気温上昇を2℃以下に抑えるパリ協定が昨年11月4日に発効したが、日本は環境対策に無頓着と思える。

1000MW級のような大型石炭火力発電でもCO2排出量はkWhあたり800g弱である。一方、LNG火力の主力であるガスタービンコンバインドサイクルの大型発電所のCO2排出量はkWhあたり400g弱であるので、石炭火力のほぼ半分である。小規模石炭火力は、大型と比較すると、やはり熱効率は悪く、環境対策への投資額も小さくならざるを得ず、問題が多い。そのような傾向にあるにも拘わらず、野放しであることは、日本人とは環境に無頓着なのだと思う。

この信毎ニュース 2月11日は、上田市が、太陽光発電設備の設置事業者を対象とした市独自のガイドライン(指針)案をまとめ、防災や景観、環境面の影響を考慮し、「立地を避けるべきエリア」などを明示したことを伝えている。太陽光発電設備も、設置場所や設置方法が悪ければ、環境に悪影響を与える。残念なのは、上田市の取組は強制力を持つ事ができない。国会が唯一の立法機関であり、上田市は事業者の自主的取り組みを促すことしかできない。

112.5MW未満の火力発電所についても、太陽光発電所についても、法律の抜け穴で悪徳業者が環境破壊をすることを許すような現状を変えていかないと、日本の環境破壊は進むばかりと思う。

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2016年12月29日 (木)

やはり話題は年末も東芝だった

一旦踏みはずれると、どんどんと行ってしまう。そう思えてしまう東芝の数千億円損失事件です。

東芝プレスリリース 12月27日 CB&Iの米国子会社買収に伴うのれん及び損失計上の可能性について

日経 12月28日 東芝に厳しい視線「減損3000億円規模」の見方も 

東芝の2016年9月30日における株主資本合計は3632億円なので、2017年3月末には債務超過に近くになるかもと予想される。

株価チャートを見ると次の通りである。

Toshiba201612aToshiba201612b

株価は奈落の底へと向かっている雰囲気もある。

何が原因なのだろうと考えると、やはり原子力に対する過度の投資判断と考える。原子力はCO2排出がなく、コントロールがうまくできれば、低コストでクリーンなエネルギーが得られる。そして、コントロールの部分こそ、技術であり、東芝はこの技術に賭けたと言える。WHとは原子力潜水艦の動力を原子力に置き換える事に成功した会社である。

原子力をコントロールすると言葉で言うのは簡単である。しかし、技術とは人間があみだしたものである。神ではない故、不完全である。ビジネス用語で言うなら、リスクがある。しかも、原子力に関するリスクは確立を低くする事ができても、ゼロにはできず、発生すると損害額・被害額・賠償額は膨大である。

もう一つの観点は米国社会である。米国社会では、責任者・原因者の損害賠償・現状復帰義務をとことんまで追究する。そして、そのような責任や義務についての仕組みが社会を発展させる原動力になっていると考える。だから、スリーマイル島事故後には、全ての新規原発建設が中止となった。Too Large Risksであると、事業者が中止を決定したのである。日本は、社会主義国であるようで、役人と政治家が密室で原発推進を決定し、それを上場企業である電力会社に建設させ運転させる。そして事故発生の全責任は電力会社であるとの法律までつくる。免責が保証された日本の原発市場でビジネスをしてきた東芝が米国や世界でビジネスをできるとは思えない。ところが、日本のビジネス感覚で世界に、こともあろうか、原発で出て行った。

CB&Iであるが、東芝が興味を持ったのはStone&Webster(SW)である。SWは、Engineering会社であり、ゼネコンである。WHとSWが東芝の傘の下で、米国で原発の設計・機器供給から建設まで全てできる。このことの付加価値を東芝はねらった。しかし、現実は甘くはない。SWも技術者がいて価値がある。技術者が離散すれば、価値ゼロである。一方、仕事もなく、原子力技術者に高給を払い続ける事は難しい。CB&Iが、更に東芝の足を引っ張る可能性もある。

2016年8月29日の日経ビジネスの有料記事であるが、原発失敗が生んだ負の連鎖 東芝、1兆円リスクの震源地(記事はここ)があった。フリーポートLNGプロジェクトに嵌っていると言うのだ。米国のLNG事業は、日本とは全く異なるビジネスであり、プロジェクトである。この2016年8月15日の電気新聞の記事も東芝がフリーポートLNGを年間220万トン引き取る約束をしていると報道している。220万トンとは、金額では1000億円規模である。これが、半額になったり、3倍ぐらいの価格になったりと激しい値動きをするのである。日経ビジネスの1兆円リスクと言うのもデマとして片付けられないのような内容である。

これから東芝は、どうなるのだろうかと思う。

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2016年10月12日 (水)

東京電力10月12日大停電の原因究明の必要性

東京電力10月12日大停電の原因究明は必要だと考える。次のGoogleMapの中心付近が火災事故現場である。

この東京電力のプレスリリースが伝えているが、事故現場は洞道と呼ばれている地下トンネルであり、上のGoogleMapでも分かるように国道254号のほぼ真下である。どのような施設であるかは、東京電力プレスリリースの中のこのリンク先にあるが、地下送電線のケーブルの接続箇所である。ここには275,000ボルトの送電線(OFケーブル)が合計6回線。ケーブルの数では18本あったのである。

電柱地中化とか送電線地中化とは言われているが、送電線を地中化した設備であり、新座変電所から豊島変電所への275kVの3回線と新座変電所から練馬変電所への275kVの3回線の計6回線が地下トンネルの中に設置されていた。参考はこの東京電力の写真

大停電の原因究明と書いたが、この究明には、送電線地中化と事故が関係しているか?地中化することによりリスクが増大した可能性はないのか?といったような点を含めて欲しいのである。OFケーブルは、信頼性は高いと考える。しかし、送電鉄塔に架設したACSR(アルミ電線)と比較すると火災の可能性はあると考える。むやみやたらと電線地中化を進めるのではなく、リスクやメンテナンスを含めたコストと効果についても正しく検討し、結果が国民に提供されるべきと考える。

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2016年9月 9日 (金)

川内原子力発電所の今後

川内原子力発電所について、鹿児島県三反園知事の要請と九州電力の対応が平行線の状態である。

日経 9月7日 鹿児島知事、川内原発の即時停止を再要請  九電に

しかし、よく考えておくべき重要な問題はあり、見過ごすべきでないと考える。

1) 再稼働

現在稼働中の川内原発1号機と2号機は、2015年9月10日からと2015年11月17日からの運転開始である。原子力発電所は、13ヶ月を超えない時期に停止して、次の定期点検に入るのが通常である。13ヶ月でない可能性もあるが、日経 2016/6/28 は、1号機は10月6日から、2号機は12月16日から定期検査に入ると報道している。1号機はこれから1月以内、2号機は3月余りで停止することとなる。

その後の再稼働は、どうだろうか?2015年の川内原発1号機と2号機の再稼働の際には、鹿児島県知事の再稼働同意を得た後に九州電力は再稼働をした。来年になると予想される川内原発1号機と2号機の再稼働の際の鹿児島県知事からの再稼働同意は、どうなるだろうか?

平行線をたどったままでは、鹿児島県知事からの再稼働同意は難しいように思うが、どうだろうか?ここに2014年11月7日付けHuffington Postの鹿児島県知事の再稼働同意を伝える記事がある。この記事に「再稼働に必要な地元同意の範囲を定めた規定はなく」とあり、私も安全協定書を読み返したが、そこまでの権限を知事は有していない。

地元の意見・意向と知事の考え、電力供給、エネルギー源等が関係する問題である。国の政策と言っても、果たして国家レベルで規制すべき問題であるのかという点もある。法に違反していない場合に、国会や政府が関与すべきとは思わない。

2) 安全対策

原発が新規制基準に適合しているから安全とは言えないはず。安全性が高まり、信頼性が上がったとは言える。しかし、それは発電所の話であって、万一の事故の際の避難手段の確保については別である。原発付近の人々の避難態勢が不十分との見方が三反園知事の意見であるなら、その点については、検討も必要と考える。

なお、福島第一原発事故問題に関してこのブログで1号機は冷却停止から3時間余りで炉心損傷(メルトダウン)が始まったと書いた。これを防げた可能性として、自衛隊が原発事故防止を目的として蓄電池をヘリコプター輸送して直流電源だけでも緊急復旧できなかったかと思う。自衛隊が出動するには、首相命令が必要である。アホが首相であった場合には、機能しない。そんなリスクを原発地元が受け入れることが出来るだろうかと思う。

せめて、福島第一原発事故の際に、全電源喪失で自衛隊が蓄電池空輸作戦を実施していたなら、あのフクイチ事故は防げたのかどうか。また、自衛隊緊急出動で放射能汚染被害を軽減できたのか、きちんと検証すべきである。自衛隊緊急出動が有効と判断されれば、今後に生かすことが出来る。自衛隊の原発事故対策装備増強が必要なら、そのような手も打てる。

3) テロ

日本の原発のテロ対策はどうなのだろうか?電力会社の社員・職員は武器を持てないし、持つべきではない。日本の原発は、全て海に面している。万一、テロリストが武器を持って、海上から襲ってくるとどうなるだろう。原発を占拠して、爆破により放射性物質をまき散らすと脅かされたらどうなるだろうか?

大津波は来ない。事故は起こらない。そのような神話の中で、福島第一原発事故は発生した。前提を置いて考えることの危険性を我々は学んだ。その結果として、テロのようなことも考えておくべきである。

原子力規制委員会が安全と認めた原発は安全であるなんて考えるのは、バカである。原子力規制委員会の審査は、テロ対策や事故避難手段の確保まで及ばないし、及ぼすべきでもない。社会・人々が考えるべき問題である。

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2016年7月18日 (月)

無電柱化 耳障りは良いが実質は

都知事選で無電柱化の推進を訴えた候補者がいたとのニュースがあった。

朝日 7月16日 災害に強い東京、構築策は 都知事選の主要3候補訴え

電線を地中化すれば、景観が良くなり、電柱が倒れるリスクがなくなり、歩道は通行が楽になる。この日経 2016年2月1日 首相、電線の地下埋設に意欲 「東京五輪までに加速」 には、市区町村長の会長が首相に、全国的な電線の地下埋設の推進に向けた協力要をしたとある。

良いことずくめのようににも思えるが、甘い物ほど危険性が大きい可能性もあり、真実をよく知る必要がある。

1) 工事費及び保守経費

ここに、総務省が実施した無電柱化推進に関する2014年8月の「無電柱化対策に関する調査」の結果報告書がある。無電柱化(電線[電力・電話・光ケーブル・ケーブルTV同軸線等]の地中化)に関してのまとまった報告書である。

この報告書の18ページの表3に東京都における電線共同溝事業費の推移があり、20ページの表4に世田谷区の第6期電線類地中化計画概算事業費がある。これらからするとkmあたりの電線共同溝事業費は297百万円と223百万円と計算される。

この国土交通省のWebからVFM(バリュー・フォー・マネー)に関する簡易な算定の資料としての第3章 個別事業算定結果の中に、電線共同溝事業の結果があり、ダウンロードできる。その105ページに1000mで450百万円とある。規模を1000mとしたので割高となっている可能性もあるし、2005年の公表であり、その後に建設費を抑える工夫ができた可能性もある。

いずれにせよ、建設費は1kmあたり2億円程度は必要であると考える。メンテナンス・フリーはあり得ず、1000mで450百万円のすぐ下に「維持管理・修繕費: 400千円/年」とあり、建設費が2億円であれば年間0.1%の200千円は必要と考える。

仮に設備寿命を50年間とし、資金コストを年4%として、1kmあたりの年間コストを算出すると9,500千円となった。

電柱の場合のコストであるが、東京電力の共架についてを読むと、年額1,200円(税別)となっている。1kmあたりの電柱の数は40-45本程度であるので、45本を採用すると54千円である。

地中線は保守費でも年間200千円で、設備償却費等を考えると9,000千円を超えるとなっては、それなりの有効な意味がないと無駄使いとも思える。

2) 東京都の計画

2014年12月の東京都無電柱化推進計画がここにある。15ページの表3-2によると地中化済み819kmであり、整備対象は2,328kmと書かれている。18ページには、今後5年間で916kmを整備するとある。

1800億円が共同溝整備事業に使われるのあろうが、23ページの図4-5によれば55%が国交付対象事業費となっている政府補助金である。冒頭部分で、市区町村長の会長が首相に訴えたと書いたが、東京都に税金で補助するなら自分たちにも補助しなければ、理屈が立たないとなる。

3) 政治の闇の世界か、明るい未来か

政治の闇の世界か、はたまた、明るい未来かと思わせてくれる。公共性が高く、電柱が緊急車両の通行を妨げることがあってはならない消防署や災害拠点病院の近く等無電柱化を推進すべき所はある。従い、優先順位を付けて、合理的に無電柱化を推進することに賛成するが、何が何でも無電柱化が優れているとは思わない。

負担は、本来受益者であるべき。仮に無電柱化により地価が上がるのであれば、受益者はその地域の土地保有者である。国民全体が費用の55%も負担するのは行き過ぎと考える。

大内宿観光協会のホームページがここにある。大内宿は家屋の軒下に電線を通すことにより無電柱化を実現している。歴史的な美しい宿場の街並みがあり、電柱は目につかない。地中化よりも費用は安くついたと思う。

ディベロパーが住宅団地・宅地・戸建て住宅群を売り出す際に、無電柱の住宅団地として売り出すことも考えられる。その分高くなっているはずだが、美しい所に住むことは誰もが望んでいる。価格に対する満足度で決まるのが合理的であると考える。

東京都やそれ以外の無電柱化計画も全て都道府県道、市町村道の話である。自分の住む家の前の道路が無電柱化するとは考えない方が良さそうである。それを望むなら、最初からそのような環境の住宅に住むことである。

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2016年6月12日 (日)

九州電力黒川第一発電所損壊

4月16日未明の熊本地震本震により南阿蘇村で大きな被害が発生し、阿蘇大橋が崩落した。阿蘇大橋からほぼ西に1.5km離れた地点に九州電力黒川第一発電所の水力発電所の貯水槽があり、この貯水槽付近からも土砂崩れが発生し、住民2人が土砂崩れに巻き込まれ死亡した。

自治ドットコム 5月7日 南阿蘇村の発電所損壊=熊本地震、集落方向に水

写真は、このはフィントンポストの記事がよく写っています。

Google Mapは、4月16日以降撮影した震災被害がわかる上空からの航空写真がある。次がそれです。

説明図としては次を参照下さい。

Kumamotoaso2016b

4月16日未明の熊本地震本震は、土砂崩れを引き起こし、阿蘇大橋を破壊したが、同時に他の場所でも土砂崩れを発生させた。

九州電力黒川第一発電所は、説明図に貯水槽と書いてある地点に2,500m3程度の容量の貯水槽(ヘッドタンク)があり、ここから説明図左下付近の黒川第一発電所に水圧鉄管を通して水を流し、黒川第一発電所にある水車発電機(2基で最大42,200kW)を駆動する。貯水槽の海抜は約460mで水車位置は約205mであり、この落差255mを利用する。水圧鉄管の長さは908mある。貯水槽には、説明図の右上の沈砂池・調整池と書いた144,300m3の池から水路と水路トンネルにより流れ込んでくる。説明図では水路トンネルをブルーの実線で書いたが、3000m余り計5本のがあるようで、実際の詳細経路は必ずしも説明図の通りではない。この沈砂池・調整池には更に上流約800mにある取水堰で取り入れた黒川の水が水路を通って流入するようにしている。発電所が完成したのは1914年(大正3年)3月であり、当時は最大出力6,000kWであった。

黒川第一発電所は最大出力時に1秒間に20.3m3の水を流すので、貯水槽の水量は満杯の場合、最大出力で2分間あまりの発電量を蓄えている。発電時は、常に沈砂池・調整池から貯水槽に水が流れ込む形です。

冒頭に掲げた自治ドットコムの記事は「水力発電所の耐震性などの基準は65年の通産省(現経済産業省)省令で定められているが、同発電所の貯水槽は適用対象外という。」と書いており、貯水槽が耐震性不十分であったために水漏れを起こし、その結果2人死亡となる土砂崩れが発生したことを示唆しているようにも取れる。結論は、九州電力による調査結果も待って出すべきと考える。ここに九州電力5月10日発表の「黒川第一発電所における調査の実施について」がある。

今後の課題としては、次のようなことがあると考える。

1) 土砂崩れの原因

写真を見ると崩壊は貯水槽の上から始まっており、土砂崩れが貯水槽を破壊した可能性もありうる。逆に貯水槽が地震で崩壊し、その結果として土砂崩れが発生した可能性もあるが、解明が必要である。

土砂崩れが貯水槽を破壊したのであれば、貯水槽の耐震設計や耐震工事の問題ではないと思うのである。

2) 貯水槽の水抜き

報道には約10,000m3の水が流出したとあり、貯水槽の容量(2,500-3,000m3)より多い。これは、水路トンネル内の水が貯水槽崩壊後も流れ続けたからと思う。多分、沈砂池・調整池から水路トンネルへ向かう水については4月14日の地震以降流れ込まないようにゲートを閉じていたと思う。

貯水槽の水を完全に抜いておくことも可能であった。3本見える水圧鉄管のうち1本は余水路であり、余水路を使えば、発電しなくても貯水槽の水を空にできる。例え、土砂崩れの原因が貯水槽からの水漏れでなかったとしても、土石流の被害は小さかっただろうと思う。

九州電力は、何故貯水槽を空にしてなかったかは、土砂崩れと貯水槽崩壊を予想していなかったのだろうと思う。

3) 土石流の予測

土石流の予測は、困難と思う。しかし、可能性があるかどうかの評価は可能である。黒川第一発電所貯水槽土石流も阿蘇大橋土石流と同じ山で発生したのである。阿蘇大橋土石流が予測が困難であれば、黒川第一発電所貯水槽土石流も予測は同じように困難であったと思える。

しかし、黒川第一発電所貯水槽は、限定された場所に設置されていたのであり、土石流対策はありえたのかも知れないと思う。貯水槽から山の方にセンサーを幾つか設置して動きを監視し、異常があれば貯水槽の水抜きをするというような対策の可能性も含めてである。

黒川第一発電所は、水力発電所として比較的規模が大きい発電所である。発電にCO2を発生させない水力という再生可能エネルギーの利用である。発電所があることにより被害を起こしたり大きくすることはあってはならない。黒川第一発電所については、調査結果を公開し、他の電力会社の同様な水力発電に関しても調査結果を反映し、必要なら対策が講じられるようにして欲しいと考える。

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2016年2月29日 (月)

再生可能エネルギー電力の販売が新電力は可能ですか

電力自由化により新電力が再生可能エネルギー電力を販売可能かどうかの疑問について、朝日新聞の記事は、可能であるように報道していた。

朝日 2月28日 再生エネ電力は選べない? 4月自由化、家庭向けわずか

「環境を重視する人たちの選択肢は当面限られそうだ。」と書かれており、これでは購入することが可能であり、日本では4社が再生可能エネルギー電力を販売しているように読める。

しかし、これは大嘘と考える故、デマが広がらないように、再生可能エネルギーが一部の人の利益ではなく、多くの人の利益になるようにと考え、正しいことを記載します。

1) 再生可能エネルギー発電事業者は一般電気事業者に販売する

ユーザーに直接販売することは現状では考えられない。何故なら、再生可能エネルギーの固定価格買取制度による価格が再生可能エネルギー発電事業者にとっては一番高く売れる金額だからです。10kW以上の太陽光発電であれば2015年度後半で27円+消費税等で販売できる。(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法)

固定価格買取制度を利用しない販売も可能である。しかし、家庭用電気料金はこの2016年2月27日朝日新聞の記事では一番安い北陸電力が300kWhの使用で6,852円(消費税込み)である。単価にすると22.84円で、最も高い関西電力でも25.66円(税込み)である。

ビジネスとは、高く売ろうとするのが常識で、通常では無理をして安く売らない。

最も、この環境ビジネス オンラインの記事 2016年度のFIT買取価格、委員長案公表 10kW以上太陽光発電は24円(税抜)のように、太陽光も安くなりつつある。しかし、家庭用に販売するとなると送配電コストに相当する電力託送料も発生するのである。

2) 再生可能エネルギー発電単独での電力供給は困難である

太陽光発電設備を例にとると、正午前後に太陽エネルギーが地表に届く量が大きく、発電量も多い。朝夕は少なく、日没から日の出までは全く発電しない。昼でも雨や曇天の日は発電量が少なく、雲に太陽が隠れれば、出力が急に落ち込んだりする。夜間の家族団欒時間の電力は全く供給できない。

それでも、太陽光発電設備から家庭に電力供給をするなら、大規模バッテリーを保有して供給するか、他の発電設備との組み合わせで家庭が消費する量と同一量を常時供給する方法である。この場合、太陽光電力100%にはならないが、一般の電力事業者から購入する場合の固定価格買取制度に含まれている再生可能エネルギー発電の量よりは大きくなる可能性はある。電力自由化なので、再生可能エネルギー割合の予想値を提示し、実際割合はある変動幅とし、電力料金は○○円と言った契約は可能である。

風力発電も出力変動の激しい発電であり、太陽光以上に設備単独での供給は困難である。水力やバイオマスの様な発電量が安定しており、出力調整もある程度は可能な再生可能エネルギー発電もある。それでも、これら再生可能エネルギー発電からの電力がユーザーに直接供給されることが良いのかどうかは、総合的な観点も必要である。CO2対策が目的なら、CO2対策に有効なように設備が建設されることが望ましい。

3) 朝日新聞の嘘っぱち

冒頭の朝日新聞の記事は4社を実名で記載しており、Webで検索をしてみた。結果、やはり再生可能エネルギー発電電力を販売していなかった。その中で、みやまスマートエネルギーという会社があるが、固定価格買取制度の価格より1円高く購入すると言っている。こうなると、ビジネスモデルが成り立つとは思えない。振り込め詐欺の同類かとまで思ってしまう。

変なビジネスには気をつけた方が良いです。新電力の変なビジネスに高齢者の多くが引っかかったりしてと懸念する。例えば、以前から債務弁済が滞っていると噂のあった日本ロジテック(参考この経済産業省発表)の撤退なんてのもあります。(この日経ニュース 2月24日)電気の使用者にとっては、どの発電設備からの電力かは分からない。契約相手が、発電や供給をせずに契約不履行を起こしていても供給は継続されるのです。物理の原理で、どうしようもない部分もあります。ユーザーには不明ですから、恐ろしいです。

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