2022年12月 7日 (水)

原発対応を含め災害対応庁の新設はどうか

9月2日のこのブログ で、岸田首相が「原子力発電所については、再稼働済み10機の稼働確保に加え、設置許可済みの原発再稼働に向け、国が前面に立ってあらゆる対応を採ってまいります。」と述べたことを紹介したが、最近は化石燃料の価格の高騰による電気料金上昇やこの冬の電力需給逼迫の懸念もあり、原発再稼働やこの11月28日日経ニュースのように廃止が決まった原発の建て替え案も浮上している。

福島原発事故で、私が思ったのは、日本そのものの脆弱性についてである。日本の和歌や古文は日本の自然の美しさを讃え、喜び、日本に生まれ生きていることの感激を述べているものが多い。一方、現代人は自然科学や社会科学を持っている。科学的な研究、調査、分析、思考等様々な方法を駆使して、豊かな社会や生活を実現していく努力を継続すべきである。ところが、日本は、特に日本の制度は、十分に合理的とは言えず、改善すべきことは多いと考える。原発について考えるなら、現状の制度や仕組みのままで良いのかも、十分考えるべきである。

1) 福島事故菅直人現地視察の謎

首相ともあろうお方が、事故翌日の3月12日の午前7時11分から約1時間近く福島第一原発を視察・訪問している(参考:この共同通信:津村一史の記録(YahooNews) )。午後3時16分に1号機の水素爆発があったので、それは約7時間後のことであった。津波による全電源喪失が15時37分だったから、電源喪失から爆発までほぼ24時間。

そのような原発が爆発する危険を承知で首相は現場に行ったのではないはず。無知はあったかも知れないが、正確な情報や分析結果が届いていなかったのか、官邸主導だと言って聞く耳を持たなかったのか、それとも妥当な分析やシミュレーションが実施されていなかったのか、原因は不明である。「安全が確認された原発」という不思議な言葉を耳にする。100%の安全はあり得ない。何故なら人間だからである。人間だからこそ、漏れは否が応でも出てしまう。しかし、人間だからこそ、漏れに対しても臨機応変な対応もあり得るのである。

あえて一言言うなら、原発を運転する電力会社に全ての責任を押しつけるのは間違いである。当時、官房長官は電力会社に責任があると言い続けていたことを思い出す。この資源エネルギー庁の説明地図によれば、原発で現在稼働中は7基、停止中3基、設置変更許可7基、審査中10基、未申請9基で国内に36基の原発がある。電力会社(発電会社)の数では11社である。これらの原発を安全に管理・運転するための役所を作ってはと思う。

2) 災害対応庁の新設

米国FEMAを思うのであるが、FEMAは災害に関して大きな権限を持つ役所である。日本には、これに該当する役所がない。災害は、消防・地方自治体・総務省・国交省の担当であるのだろうか?災害対応は市町村役場の対応のようになっている面があるが、余りにも不透明と思う。災害への対応とは、災害発生前から発生時のシミュレーションを行い、対応を考え、計画することからスタートする。市町村・都道府県レベルより大きい国レベルの検討・対策・対応が必要である。なお、市町村・都道府県の役割は重要である。市町村・都道府県に責任を押しつけても最善の結果は生まれないのである。災害対応庁をつくれば、合理的な災害対応が計れると考える。

運転を止めても原発の使用済み核燃料や高濃度を含め放射性廃棄物は存在する。どのような体制でどう管理するのか、リスクは残り続ける。災害リスクは政治家に行くのではない。国民に行くのである。原子力災害を含め全ての災害は、国民に対するリスクである。

NHKは、このWebページで、原発運転延長との題で、様々な論点を述べている。原発運転延長が議論されるなら、その議論の中で、原発事故対応や政府の組織・権限のあり方、事業者の解体・再編を含めた合理的な仕組み構築を含めた検討をすべきと考える。

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2022年7月 3日 (日)

原子力発電をどう考えるべきか

1)最高裁6月17日判決

最高裁は、6月17日に東京電力福島第1原発事故の避難者らに対して国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を認めなかった。

判決文は、ここここにありますが、国会賠償とは、どのような場合に認められるのか、考えさせられる。1条1項の条文は「公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは」となっており、曖昧である。福島第1原発の被害者補償は、政府が東京電力に資金を供与し、その資金で避難者・被害者補償を行うという方法が採られている。裁判で争っても、被害者が東電に加えて国からも賠償金を受け取れるとは考えにくいと思う。金額が十分かという金額面については、別次元のこととする。

菅野博之裁判官は、補足意見として次の様に述べておられる部分がある。

私は、基本的には、原子力発電は、リスクもあるものの、エネルギー政策、科学技術振興政策等のため必要なものとして、国を挙げて推進したものであって、各電力会社は、いわばその国策に従い、関係法令(「原子力基本法」、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」、「電気事業法」、「発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令」等)の下、発電用原子炉の設置の許可を受け、国の定める諸基準に従って原子力発電所を建設し、発電用原子炉を維持していたのであるから、本件事故のような大規模な災害が生じた場合は、電力会社以上に国がその結果を引き受けるべきであり、本来は、国が、過失の有無等に関係なく、被害者の救済における最大の責任を担うべきと考える。国策として、法令の下で原子力発電事業が行われてきた以上、これによる大規模災害については、被害者となってしまった特定の人達にのみ負担をしわ寄せするのではなく、損失補償の考え方に準じ、国が補償の任を担うべきであり、それは結局、電力の受益者であって国の実体をなす我々国民が広く補償を分担することになると考える。
だからこそ、これに近い仕組みとして、原子力損害の賠償に関する法律が設けられており、原子力損害については、・・・

私もこのような考えである。原子力発電所とは原爆の兄弟・姉妹である。核分裂という全く同じ物理現象を利用する。核分裂とは熱エネルギーと放射線を発する放射性物質を生み出す。極めて危険であり、人に有害な反応である。しかし、莫大なエネルギーが取り出せることから、核分裂反応をうまくコントロールし、放射性物質を閉じ込めることができれば魅力的というか、莫大な富をもたらす可能性がある。

原子力発電所を建設し、運転して、電力を得るかどうかは、人間が決めれば良い。危険として、やめるのか。やるなら、どのようにしてコントロールしつつやるのかである。やるばあいは、規制について強制力を持ってやらねば恐ろしい。有効な法の下で実施する必要があると考えれば、法を制定できる国単位での実施しかないだろうと思う。

2)原発に関する最近の国際動向

世界的な温室効果ガス排出削減への動きに加えて、ロシアによるウクライナ侵略以後高まったオイル・ガス供給不安により原発建設が脚光を浴びつつあると思っている。日本であまり報道されなかったと思うが、岸田総理がロンドンで5月5日に行った基調講演で、原発について次の様に述べている部分がある。(首相官邸のこのページ

「喫緊の課題である気候変動問題に加え、世界全体でのエネルギーの脱ロシアに貢献するためにも、再エネに加え、安全を確保した原子炉の有効活用を図ります。」

原発の世界的な見直し動向に対して、日本がどうしてもしなければいけないことがあると思う。それは、福島第一原発で放射性物質の拡散を防ぐことができなかったのかである。津波で非常用電源が壊れた。しかし、緊急で電源を準備できなかったのかである。もし、かくかくしかじかのことを実施していれば、シナリオは、どう変わっていたのか。折角福島原発事故による放射性物質拡散を経験したのである。日本しか実施できない研究であると思う。

3)参議院選挙での各党の原発政策

参議院選挙での各党の原発政策を見てみた結果である。

自由民主党

政策パンフレット

“脱炭素”を成長の起爆剤にする(13ページ)

安全が確認された原子力の最大限の活用を図ります。

立憲民主党

政策を知る

環境・エネルギー

原子力発電所の新増設は認めません。廃炉作業を国の管理下に置いて実施する体制を構築します。

公明党

マニフェスト2022

経済の成長と雇用・所得の拡大(33ページ)

原子力発電に関する取り組みについては、国民の理解と協力を得ることが大前提であり、説明会などを通じた情報提供・公開の徹底等を図りつつ、国が責任を持って進めます。

日本維新の会

日本維新の会維新八策1.基本政策2021

原子力政策(22ページ)

小型高速炉など次世代原子炉の研究を強化・継続します。

日本共産党

2022年参議院選挙政策

(4)気候危機の打開――原発即時ゼロ、石炭火力からの撤退。純国産の再エネ(14ページ)

即時原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとします。

国民民主党

政策パンフレット

4 自分の国は自分で守る(12ページ)

法令に基づく安全基準を満たした原子力発電所は再稼働するとともに、次世代炉等へのリプレース(建て替え)を行います。

原子力についての政策のみで投票先を決める人は少ないと思う。また、原発なんて、政治家が口を出してはいけない分野であるとも思う。しかし、法律の関与なしの野放し状態で進めることはできない。原子力とはプロメテウスの火である。なくなりはしないのだろうな。そう考えると、バカには関与させたくない。これからの政治・民主主義においては、正しい意見を尊重する議員を選出すると同時に、そのような人を育て、且つ役所や企業に於いても、そのような人が活躍する社会を築いていかねばならないと思う。

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2022年4月14日 (木)

2023年1月は東京地方電力不足となるのか?

次のニュースがありました。

・NHKニュース 4月12日 来冬の電力需給見通し 東京電力管内の予備率はマイナスと予測

・日経 4月12日 冬の電力、逼迫のおそれ 東京など7地域の23年1~2月

このニュースについて、検討を加えてみました。なお、ニュースの情報ソースは次です。

・ 経済産業省 4月12日開催 第47回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会

・ 電力広域的運営推進機関 4月12日 第72回 調整力及び需給バランス評価等に関する委員会 です。

1) 2023年1月、2月の東京地方電力需給見通し

Tokyogrid20223winter

上の表が2023年1月、2月、3月の電力需給見通しの表です。H1の意味は、10年に一度程度と予想される厳冬となった場合と言うことで、1月、2月の需要予測5,443万kWを、東京地方のみ供給力が2月は90万kW、3月は84万kW下回る(不足する)と予想している。供給力 5,353万kWと5,359万kWに対して、この不足分が1.7%と1.5%に相当する。需要予測5,443万kWに供給力を3%マージンを確保しておくとすると、3%相当の163.3万kWに追加して2月は90万kW、3月は84万kWを加えることとなるので、不足分は254万kWと247万kWになると計算される。

以上が、電力不足の計算であるが、10年に一度程度と予想される厳冬年の電力需要はということで、本冬で一番需要が大きかった1月6日16時が5,374万kWであった。このことからすると、10年に一度の厳冬予想5,443万kWは更に69万kW大きい。供給力として可能性があるのは、建設中のJERA姉ヶ崎火力(LNGコンバインドサイクル)である。1号機と2号機の運転開始は2023年2月と4月の予定であることから、早めに運転できれば、供給力の増加として期待できる。1号機と2号機とも各65万kW。

2) 2022年1月-3月の状態

電力は貯蔵されないため、需要に応じて、供給することとなる。この物理法則を持つ電力を実際にどのように供給されているかを東北の地震の影響と寒波が重なった3月22日、電力需要最大を記録した雪の1月6日、そして春のような暖かい日になり日照にも恵まれた3月28日の3日についての時間毎の需要と供給源をチャートにしたのが次である。

Tepco2021janmar

需要カーブが、それぞれ大きく異なる。そして3月28日は太陽光発電が多い。3月22日の太陽発電の最大は174万kWであったが、3月28日は1,381万kWの8倍近い。需要に対して太陽光発電が占める割合は、3月22日5%で3月28日は40%である。3月22日と3月28日を火力発電で比べると、3月22日は出力3,700万kWであったが3月28日は1,700万kWで運転している。46%も発電出力を低下させた。

3) 需給逼迫による停電回避に向けて

電力は貯蔵されないことから、停電回避には供給を増加させる必要がある、あるいは需要を減少させるという2つの方法がある。バッテリーは、蓄電時が需要であり、放電時が供給となる。停電回避は、政府の義務だなんて言っても解決にはならない。社会のルールとして、合理的に需給が均衡し、合理的なコスト負担と便益享受が計られることが理想である。

その意味で、社会主義国で行われていた国家の電力管理等は欠点が多い。電力自由化をしてきたのであり、その中での合理的な仕組み作りが重要である。この冬の電力逼迫状況で、自家発電設備をフル稼働させて売電収入を享受できた企業も多いのではと思う。それは、良いことである。自家発電設備は自社工場の電力供給のみならず、社会への電力供給に貢献できたのである。対価は、マーケットが決めた。

エネットにEnneSmart(エネスマート)(Webはここ )と言うのがある。エネットからの節電リクエストに応じてタイムリーに節電に協力すると電気料金の割引が受けられると言うのである。節電できなくても、デメリットはなしとの事である。興味ある仕組みである。

東京電力エナジーパートナーが、くらしTEPCO webサービスというインターネットで電気使用量を見ることができるWebサイトを運営している。このWebサイトで最近、データのCSVダウンロードができなくなっている。他の方法でも良いが、データダウンロードはできず、例えば30分ごとのデータはグラフ表示のみである。グラフのスケールは、その時の最大値を基準にするから、他の日にちとの比較は簡単ではない。

日本最大の電力小売り事業者である東京電力エナジーパートナーが、データのCSVダウンロードを中止するなんて、世の中に逆行するようなことをして、どうするかと強く抗議します。

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2022年3月25日 (金)

やはり変だね朝日の記事

朝日新聞の記事がおかしいのか、記者がおかしいのか、理解不能となってしまう。

朝日 3月24日 電力、地域間融通に不全 送電設備が容量不足、教訓生かせず

有料会員記事となっており、読めない。紙の新聞のコピーでは次の通り。

Asahi20220324

地域間の連携送電線のキャパシティが低いと述べているが、誰が投資し、運営すべきかの議論には触れていない。「投資額は最大4.8兆円にのぼり一部は電気料金に上乗せされる」との記述には驚いてしまう。経済を無視した議論をどうどうと述べる。こんな新聞最低だと思う。

揚水発電についても信じられないことを書く。貯水量が朝100%で夜の10時で29%は、当然、健全な姿である。停電を避けるために運転したのである。揚水も含め水力は、貯水した水を水車に流すことにより発電する。揚水の場合は、貯水イコール蓄電である。そして、「これからは柔軟な運用がさらに広がりそうだ。」と述べている。今やっているのが、その類いの運用ですよと言いたいが、理解せずに記事を書いている。

3月22日のデータは公表されていないが、今年の1月6日の雪の日の発電データは東京電力パワーグリッドのでんき予報過去データからピックアップすることができる。それにより作成したグラフが次である。なお、発電とは東京電力パワーグリッドに接続された発電機による発電であり東京電力とは限らない。

Tepcosupply20220106

比較のため、前日の1月5日のグラフは以下であった。赤が揚水発電で黄が太陽光発電である。6日は、昼間揚水で発電した電気が多い。一方、5日は昼間太陽光による発電が多かったので、昼間は揚水運転で水をポンプアップしている。グラフでゼロより下に伸びているのが揚水運転である。

Tepcosupply20220105

連携線となっているのが、東北系統及び中部系統との電気のやりとり(合計数値)である。私は、日本で電力供給に係わっておられる企業や関係者の方々は、それなりに任務を果たしておられると考えている。批判は、自由であるが、誤解を生むような批判は避けるべきと考える。

なお、前のブログで電力取引所の価格が1kWh80円になったことを書いた。自由化された卸電力市場で電力を購入し、消費者に販売している企業も存在する。今後、清算取引になっていくと、倒産する電力販売会社もでてくると思われる。

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2022年3月24日 (木)

電力需給逼迫は本質を見極めるべき

東京電力管内(正確には東京電力パワーグリッド送配電網管内)の電力需給が逼迫しているとして、3月22日は政府が支障のない範囲での節電協力を呼びかけた。16日の地震で火力発電所の停止が続き季節外れの寒さが大きく関係しているが、中には原子力推進とか送電網整備とかを述べる人もおられるようだが、何がどうしたのか、正確な分析が重要だと考える。

1)3月22日の東京電力パワーグリッド電力供給データ

各送配電事業者は、でんき予報というのを公表しており、東京電力パワーグリッドの3月22日の電力供給カーブは次のチャートの通りである。3月23日の供給カーブ並びにそれぞれの日の太陽光発電実績も記載した。

Tepcosupply20220322a

需要・供給カーブは午前9時頃までは22日も23日も余り差はない。それ以後19・20時頃までは23日が低かった。一方、太陽光発電は23日では最大1270万kWを越える発電であったが、22日は雪・雨の日であったことから最大178kW程度に止まった。1日の違いで、電力需給の姿は大きな差があった。

2)電力取引所取引価格

一般社団法人 日本卸電力取引所(JEPX)が運営している卸電力市場の東京エリアプライスを見てみると次のチャートの通りである。

Tepcosupply20220322b

スポット取引は翌日渡しであり、23日に24日の価格が決定している。22日と23日の取引価格は午前7時から午後11時過ぎまで1kWあたり80円であった。前日に決定する必要があるが、工場設備の一部を停止してでも外部に売電できる電力は卸市場で電力を販売すれば良い電力ビジネスをすることができた日であった。需要が大きければ、価格は上昇する。当然であり、そのことが正常な供給をもたらすことになる。

3)この冬最大の需要であったのか

今年は1月6日が雪であり、需要が大きかったが、太陽光発電は少なく3月22日と同様な日であった。そこで、1月4日、5日、6日、7日と2月10日、そして今回の3月22日と23日の7日間の需要供給カーブを比較するグラフを書いてみた。

Tepcosupply20220322c

今回の3月22日の受給カーブは、5000万kWを越えた1月6日や2月10日より下の方に行くのである。でも、今回は供給力が少なくて需要逼迫。

4)運転停止中の発電所

運転停止には様々な要因があり、3月16日の地震の影響が全てとは言えないと考える。例えば、JERA広野5号機は3月18日(ここ )に復旧。福島ガス発電の福島県相馬郡新地町にある2基で1180MWのLNGを燃料とするGTCC火力発電所は16日の地震で運転を停止していたものの3月20日には再開(参考ここ )。定期点検での停止も他の発電所との計画とすりあわせて決定しているはずである。いずれにせよ、発電所の運転停止と需給の逼迫は関係性はあり、調査は必要と考える。

なお、地震による停止中の主な 発電所は、この資料が参考となる。

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2022年3月 8日 (火)

太陽光発電の現状(3月4日入札結果)

埼玉県小川町での大規模太陽光発電について直前のブログで書きましたが、3月4日に太陽光発電の入札があり、273件、出力合計278.6MW、8.99円~10.25円(平均9.99円)の落札が決定しました。最大の設備はENEOSが18MW、10.1円を出しています。

低炭素投資促進機構による入札結果の公表はここにあります。

それぞれ環境影響評価や地元自治体や住民からの賛同が条件であり、社会的・環境的な問題を発生させず、低炭素のみならず社会の発展に寄与することと期待します。なお、設備の設置場所の情報は発表されていないが、10kW未満ではないので、2021年4月1日以降摘要の無制限・無補償での出力制御の対象と理解します。

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山をつぶしてのソーラー発電は好ましくない

1月25日に埼玉県小川町での大規模な太陽光発電の計画について、山口環境大臣は環境への負荷が大きいとして見直すよう意見を提出した。NHKの報道は、ここにあります。環境省の発表はここ にあります。

そして、2月22日に経産省は事業者小川エナジー合同会社に抜本的な見直しを行うよう求めた。日経の記事はここ にあります。経産省の勧告はここ にあります。

どのような太陽光発電の計画であったかというと、39.6MWの設備を山林に建設するのですが、敷地面積86ha強というわけで、500m幅の長方形だと他の辺の長さは1.7kmですから、非常に大きな面積である。さて、この予定地がどのような場所であるか、プロジェクトの環境影響評価報告書の資料を見てGoogle Earthに書いてみると、次の様な感じでした。

Ogawamachisolar2

最寄り駅は、八高線竹沢駅または東武東上線東武竹沢駅です。開発を否定はしないが、乱開発には反対です。

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2022年3月 4日 (金)

原子力発電所が外国の軍隊に占拠される

ロシア軍がウクライナの原発を占拠なんて、考えてもみなかった。

Bloomberg 3月4日 ロシア軍がザポロジエ原発を占拠、ウクライナはIAEAに支援要請

原発をテロリストが襲撃することは、あり得るとして、日本の原発でも計画をしていたはずである。外国の軍隊が占拠するなんて、思いも寄らなかった。軍隊とは、独立国が独立国として存続するための機関であり、理性も働いていると考える。でも、考えれば、今回のロシアのウクライナ侵攻に際して、プーチンはナチスという言葉を発していたことがある。自分のことを意味してではなかったが、翻れば、今のプーチンはヒットラーの様な狂気に駆られているように思える。

何故原発を占拠したか、このNHKニュース は「電力施設を握って電力を止めるなどして市民生活に影響を与えることで、ウクライナ軍の戦力、ウクライナ政府の戦意をそぐことにつながります。」と言っているが、発電を停止し、ウクライナを停電と電力不足に陥れることはできるが、そんなことに加えて放射性物質をウクライナはおろかモルドバ、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリー、スロバキア、ポーランドなんて地域にも放射性物質が降り注ぐと脅かしているのだろうか。ザポリージャ原発の位置は47.511117427528056N, 34.58536185087585Eです。ザポリージャ原発からルーマニアのブカレストまでは740km、モルドバのキシニョフまでは440km、ポーランドのワルシャワまでは1000kmです。

原発をどう考えるべきか、本当はない方が、良いんでしょうが、現在世界の33カ国で稼働している。運転を中止しても、放射性物質を安全な状態に管理し続ける必要がある。複雑な原発である。核兵器はいけないが、核の平和利用(原発)は良いことであり、推進するなんて、単純には行かない。しかし、核共有の検討なんて、キチガイじみたことを発言した元バカ首相がいるから世界は驚きであるが。人間が管理することが困難な領域が拡大しつつあるのだろうか?むしろ、管理について考えが及んでいなかった分野が存在するということと理解する。

昨年10月11日に世界の原子力発電というブログ を書いた。その中の世界の国毎の原子力発電所の表を再掲する。ウクライナは世界で7番目(日本は12番目)の原発大国であり、原発が供給電力の51%を占める。

Worldnuclearplant2022

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2021年9月20日 (月)

自民党総裁の知的レベル

9月18日に自民党総裁選立候補者討論会が日本記者クラブの主催であり、NHKも中継をしていた。この討論会の全2時間の動画がYouTubeで保存されており、次の日本記者クラブのWebから見ることができる。

2021年09月18日  自民党総裁選立候補者討論会

私のようなコンサルタントからすれば、発言内容には、十分に検討されておらず、問題含みと思える部分も多かったと感じる。有能な政策秘書、アドバイザー、調査・研究員を抱えて、政策の研究・立案をすべきと考えるのだが。

私が思った、自分自身が多少の知識を有しているエネルギー分野のことについて書いてみる。

1)地熱発電

日本には世界第3位の地熱発電ポテンシャルがあり、力を入れて開発すべきとの発言があった。第3位の根拠は、活火山の数は日本には119存在し、活火山の数が米国、インドネシアに次いで第3位だから地熱発電も第3位であるべきとの乱暴な議論のようだ。地熱発電とは地下資源開発と似ている。地下1000m以上の深さ(5000m以上の場合もあるようである)にある地下の熱水(高温高圧で水と蒸気が混ざったH2O)を掘り当てるのである。従い、油田やガス田開発をする人達のビジネスである。そのような場所が日本にどれだけあるのか?下手をすると、環境破壊である。

世界の地熱発電の表を掲げておく。身の丈に合った開発が良いのである。

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2) 小型原発

小型モジュール炉(SMR:Small Modular Reactor)という原子炉の開発が米国等でなされている。小型にすれば、大型より冷やしやすいので、安全性が高まるという発想である。米国NuScale社のSMRは1モジュールが60MWで、6モジュールで1発電所とすれば360MWになる。

しかし、1,200MWというような大型原発が建設されたのは、安全性の追求からであった。全く逆の発想をしようというのだが、そもそもウランを燃料とする原子力発電所である。危険性がなくなるわけではない。リスク評価ができないものをエネルギー供給計画に組み入れることは間違いである。研究開発を適切に見守るのが、現段階では妥当なことである。

3) プルトニウム政策

ウラン原発を運転すると、プルトニウムが生成され、使用済み核燃料に含まれる。プルトニウム(239Pu )は、ウラン(235 )と同じように核分裂を起こす。従い、プルトニウムも原爆の原料となるが、使用済み核燃料のままだと兵器転用は困難と言われている。日本は、プルトニウム を原子燃料として再処理するとして核不拡散条約(NPT)による承認を受けている。しかし、現実には、再処理したプルトニウムを燃料として消費できる見込みは、どれだけあるか?相当少ないはず。

「日本は使用済み核燃料は再処理するので、使用済み核燃料の問題はない。」としてきた。しかし、この政策が破綻してる。問題先送りは、問題の解決をますます困難とし、解決の代償を大きくすることとなっている。低レベル放射性物質の廃棄ですら、容易ではないのであり、重大問題として取り組むべきである。

4) 太陽光発電と風力発電の出力抑制

九州電力送配電は、太陽光と風力の発電出力抑制指令を出している。石炭火力も出力抑制をすべきといった発言を行った人がいるのだが、当然石炭火力も出力抑制を行っていると私は理解している。その根拠は、電力広域的推進機関が再生エネルギー出力抑制に関する検証を実施しており、その結果報告を正しいと考えるからである。報告書は、このページ にある。

発電の出力調整のフレキシビリティーが高いのは水力である。逆に調整不可能が原子力である。火力は、機械(発電所)により異なるが、機械の性能の範囲内で調整可能である。再生可能エネルギーを割合を増加させていこうとした場合、太陽光と風力について出力抑制を実施しないと導入ができない。太陽光、風力の発電事業者が出力抑制の条件に合意して事業を実施しているはずであり、再生可能エネルギーの増加を目指すという課題を追及すべきと考える。

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2021年7月 4日 (日)

熱海土石流の原因は太陽光発電なのか?

熱海市の傾斜地にある伊豆山神社付近で土石流が発生した。そして、この土石流の原因は太陽光発電の工事にあるとする話を耳にした。

Google Mapで見てみると災害現場の上流側約800m離れたところに工事中の現場が見受けられた。(クリックで拡大)

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Google Earthで調べると2020年12月の写真があり、そこには太陽光発電写真が写っている。(クリックで拡大)

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未だ断定はできない。太陽光発電設備と土砂災害に因果関係があるのか、今後調査をすることは絶対必要と考える。

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