2021年9月30日 (木)

核燃サイクルはまずは議論を開始せよ

自民党総裁選は終了し、岸田文雄氏が総裁に選出された。9月10日のエコノミストOnlineに次の記事があった。

「核燃サイクルはやめるべきだ」「青森県に保管料を払え」河野太郎氏が示した首相の決断

破綻している核燃料サイクルを維持する意味は、どう考えてもない。河野氏が言うとおりである。

高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃止措置は2018年3月に認可され、プルトニウムを燃料とする原発建設の計画はない。MOX燃料を既存の原発で使用するとしても、どれだけのプルトニウムを消費するか、少ない量と思う。

しかし、問題はそれだけではない。プルトニウムこそ原爆の原料であり、長崎原爆のプルトニウム量は10-15kgで核分裂を起こしたのは、そのうちの1.2kg程度であった(このIAEAのINIS )。100万kWの原発が1年間の運転で生み出すプルトニウムの量は200kg 程度である。多いと思えるが、交換する量が35-40トンであるので、プルトニウムは0.5%程度。MOX燃料だと4-9%と言うわけで、原発でどれだけ使用するか不明であるのにプルトニウムの濃度を上げれば、核兵器転用のリスクをあげるだけと思える。

方針の転換は大変である。まずは、研究をすべきである。研究とは、技術課題のみに限らず、政府内部、地方自治体、住民・国民、関係する企業、国際的な関係も含めて方針転換について議論をすべきである。どう考えても非合理と思える核燃料サイクルが維持されてきたのは何故か?誰も猫にスズを付けたがらなかったからなのか。スズを付けることは、それほど大変なのか。研究・議論しないと分からない。

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2021年3月25日 (木)

原発批判 朝日社説への反論

朝日社説への反論とのタイトルだが、内容の間違い指摘ではない。視野が幾分か狭く、真に考えるべきことが抜けていると思った。ちなみに次の社説である。

朝日社説 3月24日 柏崎刈羽原発 東電に運転資格はない

では、誰がどこの団体・会社が運転するのだと言っても、その答えは難しい。様々な観点から検討を加えて、日本における原発保有・運転・廃棄核燃料と放射性物質管理者をどうすることが最適かを考えねばならない。東電を批判することは簡単である。東電に資格はないという発言には同時に、誰であるべきか、具体的な固有名詞はなくても方向性か何かが示されるべきと考える。そこで、浅はかながら。少し考えてみる。

1)最近の不祥事・問題点

柏崎刈羽原発で社員によるIDカード不正使用という事件があった。その原因分析・改善措置概要がここ にある。あってはならないことだが、どこにでも起こりうる問題である。不正をした社員の責任追及のみならず、制度・システムの責任も追及されなくてはならない。顔認証・指紋認証等も組み込んで厳格性をあげることも考えられたと思う。人間の善意のみを信じては失敗する可能性がある。

柏崎刈羽原発で核物質防護設備である侵入検知装置の損傷や故障という問題があった(新潟日報の記事 東電HD発表による概要 )。どのような検知装置で核物質防護設備とは何かと言っても詳細は発表することにより当該部分の防護が薄くなりかねず、余り発表されないのではと思う。軽微なことかも知れないが、核物質という重大な事項故原子力規制庁が動いたと言うことなのかよく分からない。ひとまずは、原子力規制庁を信頼したい。

ところで、これら不祥事・問題発生を理由として是正措置命令の結果、東電が柏崎刈羽原発を運転できなくなったとしても、核燃料が発電所内に存在し、放射性物質も同様に存在する。本質的な問題解決ではないのである。運転している原発がない福島県もこの発表 のように核物質防護措置に万全を期すように東電に3月16日に申し入れている。

2)株式会社組織自体の問題点

株式会社が原発を保有・運転し、廃棄核燃料と放射性物質管理者としての義務を果たすことの制度上の問題を考えねばならない。原発という安全性を最優先とする基準と株式会社という利益追求組織の整合性である。株式会社は、出資者たる株主は取締役を選任し取締役が経営に携わる。取締役の業績評価と会社の利益が大いに関係する。利益が大きければ、PERは一定としてEが大きくなれば、その分株価Pも高くなる。PBRも同様で、利益が大きければBが大きくなり株価Pも高くなる。そして株主は配当金も受けとれる。

原発を利益追求組織である株式会社が保有・運転することの問題点をよく考える必要がある。そして、このことは使用済み核燃料や高濃度から低濃度までの放射性物質の廃棄とその管理の段階になると、利益を生まず、費用のみが発生する事業となる。株式会社は、収益貢献がない事業においては、コスト削減が最大の関心事となるわけで、安全と言ったって地震、津波、テロのリスクなんて、どの程度まで対策するかと言えば、どうしたってコストを中心に考えてしまう。福島第一原発のトリチウムを含む126万m3の汚染水にしても、大地震によりタンクが破損し大量流出なんてことにならないとは限らない。東電の責任とだけ述べていても始まらないはず。

1955年に原子力基本法等が制定され、原発に積極的な姿勢を示す電力9社と電源開発の対立もあったが、電力、電源開発、メーカーなどの共同出資で1957年11月に日本原子力発電株式会社が設立された。その後、関西電力、東京電力他も原発を保有することとなった。当時、原子力平和利用と言われ、将来的には原子力は低コストのエネルギー源になると期待されていた。

2011年福島第一原発事故を経験した我々には原子力の安全な平和利用は課題が多い、相当先の話であり、安全を達成するための膨大な費用があることを認識したと思う。原発の安全を確保する。そのためには、どのような組織が保有・運転・廃棄をすべきか考えるべきである。私は、特殊法人と思うが、そのためにはその法制定の研究だけでも相当の時間を要し、一刻も早く検討をすべきと考えている。なお、仮に新しく日本で原発を建設しなくても、現存する原発の廃棄物処理で数百年を要するのであり、よく考える必要がある。

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2021年3月12日 (金)

福島原発事故から10年の教訓(3)

2011年3月11日に福島原発事故は発生した。この事態に関する、東京電力福島第一原理力発電所の3月11日発表(これ) は次の様なことを伝えている。

  • ・・・福島第一原子力発電所1号機、2号機および3号機は、午後2時 46 分頃に宮城県沖地震により、原子炉が自動停止。
  • 外部電源が確保できない状態となり、非常用ディーゼル発電機が自動起動。
  • 午後3時 41 分、非常用ディーゼル発電機が故障停止し、これにより1、2および3号機の全ての交流電源が喪失、午後3時 42 分に原子力災害対策特別措置法第 10 条第1項の規定に基づく特定事象が発生したと判断し、第1次緊急時態勢を発令するとともに、同項に基づき経済産業大臣、福島県知事、大熊町長および双葉町長ならびに関係行政機関へ通報した。 今後、非常用ディーゼル発電機が停止した原因等を調査し復旧に取り組む。
  •  1号機および2号機の非常用炉心冷却装置について、午後4時36分に、原子力災害対策特別措置法第15条第1項の規定に基づく特定事象が発生したと判断し、経済産業大臣、福島県知事、大熊町長および双葉町長ならびに関係行政機関へ通報(1号機については第15条第1項を一旦解除したが、再度午後5時7分に適用)

次の文章は国会事故調報告書143ページからの抜粋です。

地震発生から約50分後に来襲した津波によって、多くの非常用ディーゼル発電機や冷却用海水ポンプ、所内配電系統設備、直流電源設備等が浸水した。
以上の結果、1、2、4号機では全電源を、3、5号機では全交流電源を喪失するに至った。さらに、3号機も3月13日2時42分には直流電源が枯渇し、全電源を喪失した。

1) 事故の深刻さ

福島第一原発は地震と津波で大きな被害を受けたが、直流電源(バッテリー電源)を失ったことは、致命傷だった。原発とは、原子炉の中に運転中に人は入れない。温度、水位、圧力等の計器を現場で見れない。電線や途中の中継器を伝わってきた信号が運転室・制御室の計器に表示・記録される。更に一部の重要な機器(例えばバルブ)は、複数の手段で操作が行えるようになっている。直流電源も喪失した事の意味は、お手上げ状態になったことと等しい。

福島第一原発の原子炉の核分裂の継続は停止することができた。その意味では最悪の事態の回避は地震直後の14:46に達成した。残るは、核分裂の結果蓄積されている放射性物質の崩壊熱の除去を続けることである。核分裂もそうであるが、崩壊熱も空気なしの密閉状態で発生するので、冷やされていないと温度は天井知らず。2000°C以上にもなるし、核燃料まで融解してデブリとなっているので3000°C以上にもなったのではと思う。また、水素爆発の水素も高温金属が水と反応して発生したのである。

私は今でも思っているのがが、自衛隊を何故災害派遣により、福島第一原発へバッテリーや電源車を運搬することと福島第一原発の最低限度の作業エリアの津波・地震がれき撤去をしなかったのかと残念である。1号機水素爆発の発生までは、放射線量も高くはなかった。

参考まで、国会事故調報告書の同じ143ページには次の様にある。

電源喪失によって、適時かつ実効的な原子炉冷却も著しく困難になっていた。なぜなら、原子炉冷却、すなわち、高圧注水や原子炉減圧、低圧注水、格納容器冷却又は減圧、最終ヒートシンクへの崩壊熱除去といった、冷温停止へ向けた各ステップの実行とその成否は、電源の存
在に強く依存しているためである。また、前述した発電所構内のアクセス性の悪化は、消防車による代替注水や電源車による仮設電源、格納容器ベントのライン構成及びそれらの継続的な運用において、大きな障害になった。

2) 関係者の義務

当時、政府の原子力災害対策本部長であった首相は3月12日に福島第一原発にヘリコプターで自ら飛んでいくという必要性・有効性を考えるのではなく大衆アピール性を考える人であったし、当時の与党は「政治主導」と言って、役人の言うことを聞かない人達であった。不幸な時代であったと思う。今年も国会議員選挙があるが、投票基準は「政権交代」であってはならない。本質的な「国民のために働く人を選ぶ」を基準にすべきである。

さて、最近公務員の辞職が相次いでいる。本当は、「政治主導」と言っていたバカ内閣での公務員だって、事業仕分けと言ってつるし上げられていた公務員だって、自ら正しいと思うことは、国民のためなら自らの主張を通すべきである。 結果、冷や飯を食わされるかも知れないし、辞職に追い込まれることになるかも知れない。公務員は、憲法12条2項を貫いて、自らの職務において国民に奉仕する者であるべき。

なお、東京電力で原子力に関係した人も同じである。例えば、非常用ディーゼル発電機を地下以外に敷地内の屋外に増設しておけなかったか、或いは電源車をスタンドバイとして敷地内に置いておけなかったか。福島第一原発は、当時としては米GEの設計指針に依存せざるを得ず、津波には弱い面があるレイアウトとなっていたと私は思う。しかし、途中改造は東京電力がすれば良いのであり、どのような検討がなされていたか私は興味がある。

吉田調書には「官邸のバカヤロ」てきな発言があるが、官邸と東京電力との間はどうだったのだろうか?電力会社でも人により政府に頭が上がらない人もいるし、その逆もいる。しかし、福島第一原発事故のような場合には、電力会社としても、これは実現して欲しいということもあると思う。会社を辞める事になっても良い。

3) 危険な原発だからこそ

原発は危険である。だからこそ、運転するなら、廃炉をするなら、廃棄物処理をするなら、危険性を考えて業務・仕事をして欲しい。

原発は危険であると述べた。しかし、考えれば多くの側面を持っている。原爆であり、水爆の元である。原発無くして、原爆無し。核保有国は皆原発を持っている。原発はCO2を発生しないと言うが、厳密には核分裂に酸素も炭素も必要ないのでCO2とは無関係。しかし、建設やウラン採掘、運搬、保守の時には化石燃料を使っている。CO2もリスクであるが、放射性廃棄物もリスクである。核分裂がCO2を出さないとして優れていると単純には言えない。

やはり、様々なことを考えざるを得ないようです。

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2021年3月11日 (木)

福島原発事故から10年の教訓 (2) 責任問題

2021年2月19日国と東電双方に賠償を命じる判決が東京高裁であった。(参考 日経記事

国の責任と言った場合、国とは何であるのかも考える必要がある。国家賠償法の国とは政府のことである。しかし、政府に故意や過失はない。故意や過失は、人間が犯すものであり、国家賠償法では「公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたとき」となっている。 しかし、これは政府と地方自治体のみにあてはまるのではない。民間企業でも同じであり、意思を持ち、判断するのは人間である。損害賠償に関しては、政府や企業をして賠償金を支払わせる必要がある。しかし、事故の原因究明・再発防止・調査/研究にあたっては真摯な取り組みが求められる。

1) 原発は危険であることが顧みられなかった

直前のブログで原発とは危険なものであることを書いた。 ところが、多くの人達は原発の安全性を信じていた。 信じてはいなくとも、危険であると声高に主張することは、はばかれた。関係者の多くは、5重の壁とか5重の安全性と主張し、素人からの批判を相手にしなかった。原発専門家とは、原発があることにより仕事や職を得ている人であり、そうである限りは批判は困難であった。政治家も全く同じ。

ローマクラブが「成長の限界」と言う報告書を出したのが1972年であり、地球上の資源の有限性を警告した。1973年末近くから第1次オイルショックが始まり、原油価格は3年後の1975年末には3倍以上となった。原子力が脚光を浴びて当然であり、燃料資源の輸入国である日本にとって原子力が重点施策となるのは当然のことであった。発電に関しては、国産エネルギーである水力は、当時既に可能なポテンシャルの大部分は開発済みであった。原子力は、コスト面からは燃料費の割合は低く、建設やメンテナンスで国内企業に発注される割合は大きい。

世の中の流れに警告を発することは容易ではない。しかし、誰かが危険性・安全性リスクに関して強い警告を発していても良かったのではと思う。

2) 津波

津波の予見可能性と対策に関しては、裁判で論点になっている(参考:福島民有新聞 2020年5月11日記事 )。2002年の地震調査研究推進本部の「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」という報告書はこれ と理解するが、この報告書で大津波を予見することができ、津波対策を取る責任があったとまで言えるのか、読んでみて私は相当疑問に思った。

原発は危険である。従い、津波対策は万全でなくてはならないとことは明白である。では、福島第一原発1-4号機の場合に何メートルの津波を想定すべきかは、答えられない。国策として原発を推進しているなら、国の機関として津波の基準を定め、各原発の津波対策を評価して合格・不合格を判断すべきである。電力会社による独自判断で対応させ、失敗すれば所有・運転している電力会社であるという論理構成は無責任と考える。

3) 原発実施者

1955年に原子力基本法が制定され、日本の原子力・原発は、この法律により実施されている。原子力利用に関する政策は内閣府の原子力委員会が企画し、審議、決定することとなっている。

原発を保有・運転しているのは上場会社である民間企業である。私は、これに違和感を感じざるを得ないのである。上場会社は利益を追求せねばならない。上場会社は株式会社であり、意思決定機関を構成する取締役等の任期は2年とかであり短期である。そんな組織が計画から運転まで10年。運転期間50年。廃炉何10年。廃棄物処理100年以上といったような長期の業務を果たすのにふさわしい組織とは思えないのである。核燃料サイクルまで考えれば、300年-1000年と言った期間ではと思ってしまう。そして、取りかかったら、止められないのである。止められない例が、電源開発の大間原発だろうと思う。

日本の原発を今直ちに運転を止めても、今後100年以上見守る必要がある。企業で言えば、収入がないのに、支出が100年以上続くのである。特別な法律を制定し、特殊法人を設立して、問題の無い原発体制を構築する以外に方法はないだろうと思う。逆の言い方をすれば、現在日本で原子力発電所を保有している北海道電力、東北電力、東京電力ホールディングス、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、日本原子力発電、電源開発の11社が原発事業を譲渡して合理的な原発事業を実施できる特殊法人を作ればよいのだろうと思う。なお、原発事業とは発電事業のみを意味するのではない。原発の廃炉事業や廃棄物処理事業も極めて重要な事業である。

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2021年3月 9日 (火)

福島原発事故から10年の教訓(1)

2011年3月11日の東日本大震災の日から10年になろうとしている。東日本大震災の災害・事故で忘れられないことは、東京電力福島第一発電所の津波被害とそれにより引き起こされた放射性物質の拡散・汚染事故である。東電の責任 である。同時に、国の責任であるとしたところで、将来に向けて、我々は何をすべきかが見えてこないと考える。やはり、事故から10年を機会に根本問題を考えてみたいと思う。

1)原子力発電所(原子炉)は、安全か

このそもそもの問に答えるのが第一歩である。そして、その答えは、「原発は危険」となる。例えば、原子炉の最高温度はATOMICAにあるこの表 によれば柏崎刈羽原子力発電所の場合、1710°Cの超高温となっている。PWRの場合は、燃料最高温度を二酸化ウランの溶融点2800°C未満にすると言うことであり、他の原発原子炉でも同じような温度だと思う。原子炉の熱はウラン235が核分裂する際に発生する熱(エネルギー)を蒸気で取り出して蒸気タービンで発電機を駆動して電力を得る。熱は核分裂から発生するが、燃料たるウラン235は運転中の原子炉内にあり、ウラン235の核分裂を制御することにより運転するべき出力(発電)を得る。そして、このウラン235の核分裂とは熱(エネルギー)を発生し、同時に放射性物質を生み出す。(参考: 原子核分裂核分裂でできた物質の片割れはどこに?核分裂原子炉内の生成物 ) 1kgのウラン235 は、核分裂により1kgの他の物質(核分裂生成物)が生まれ、これらは放射線を出す放射性物質である。ちなみに、100万kWの原発を1年間運転したとすると、補充する必要があるウラン235は約1,200kgであり、5%濃縮ウランだと核燃料ベースで24トンの取り替えである。ウラン235 が核分裂生成物になるのであるが、核分裂生成物を燃料棒の内部に完全に閉じ込めることは無理である。5重の壁とか5重の安全性を備えているとしても100%安全にはならない。

2)100%安全の誤解(神話)

福島原発事故を生んだ大きな要因の一つが安全神話(信仰)であったと考える。神話や信仰などと言う言葉は使いたくない。人間は神をつくってはいけない。人間は謙虚であるべきです。真実を見つめ、真実を謙虚に受け止め、努力することが重要です。福島事故の教訓がもたらしたことに、原発近辺の住民避難計画・訓練がある。福島事故以前に誰も言い出せなかった。考えた人はいたと思うが、関係者は口にできなかった。

原発近辺の住民が原発の立地を受け入れていただいていることにより、我々は原発で発電した電気を使える。使うことができた。そう考えたなら、原発近辺の人々が非難するために利用できる高速道路やバス等の輸送手段を受益者の負担により整備することも当然のことのように思える。

今回は、ここまでとします。言いたいことは多くあり、できる限り続けようと思います。

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2020年11月18日 (水)

SpaceXって、すごいなあ

米企業SpaceXが開発・制作したロケットFalcom9が宇宙船Dragonを宇宙に打ち上げ、Dragonは日本時間17日午後1時すぎ、国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした。Dragonには、日本人宇宙飛行士の野口聡一さんを含め宇宙飛行士4人が搭乗しており、ISSに入った。

日経 11月17日 野口さん搭乗「クルードラゴン」 宇宙ステーション到着

1)Falcom9とH-IIBの比較

SpaceXのFalcom9と三菱重工のH-IIBの比較表が次である。

  Falcom9 H-IIB
全高 70m 56m
総重量 549トン 531トン
推力  7,400KN 11,416KN
宇宙低衛星軌道(LEO) 打上能力 22.8トン 打上能力 16.5トン(注)
静止遷移軌道(GTO) 打上能力 8.3トン 打上能力 8.0トン

(注)H-IIBの宇宙低衛星軌道(LEO)は、ISSの軌道への打ち上げ能力である。

SpaceXのFalcom9と三菱重工のH-IIBに大きな能力差はないと言えるかも知れないが、Falcom9が打ち上げたのは有人宇宙船Dragonであり、本年5月21日にH-IIBが打ち上げた「こうのとり」は実験装置等を対象した無人の宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle:HTV)である。有人宇宙飛行船を打ち上げることができるロケットってすごいなと思う。

2)再利用(リサイクル)

Falcom9の1段目ロケットは、何度も使えるのである。 ここ にFalcom9のYouTubeがある。この動画の最後が、Falcom9の1段目ロケットが地表におりる所を映している。 いやはや、すごいものだと感心する。

3)Falcom9の燃料は灯油

Falcom9の説明には”Merlin engines use a rocket grade kerosene (RP-1) and liquid oxygen as rocket propellants in a gas-generator power cycle.”とあり、液体酸素は使うが、燃料は「ロケット品質の灯油」ということで灯油である。H-IIBのように水素なんて前近代的燃料は使わない。

4)5兆円のユニコーン企業

ユニコーンとは角(つの)が1本の一角獣のことであるが、超巨大未上場企業をユニコーン(企業)とも言う。この8月19日のCNNニュース は、 SpaceXを460億ドルのユニコーン企業と題している。非上場で5兆円の資金を獲得しているのである。人工衛星の市場は大きい。安く打ち上げられるなら、世界中から顧客をいくらでも呼び込める。巨額の収入が期待できる。

米国の起業って、すごいなと思う。

(注)SpaceXのFalcom9と三菱重工のH-IIBの比較表で。Falcom9の推力が間違っていたので、7,400KNに訂正しました。

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2020年10月 3日 (土)

福島原発事故避難者訴訟 国の責任

福島原発事故避難者訴訟で、国と東電に対し、原告3550人に計約10億1千万円を賠償するよう命じた仙台高裁判決が9月30日にあった。

日経 9月30日 二審も国と東電に賠償命令、原発事故訴訟で仙台高裁

原子力損害賠償法に「原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。」と書いてあるから、福島原発事故の責任は全て東電というのは、釈然としない。当時の政権にいた人たちが、これを盾に自分たちの無責任を主張し、無能力を証明していたと思う。

さて、国の責任といった場合は、誰であるか?私は、最終的には国民であると思っている。最後は税金であり、国民の負担である。原発事故の賠償責任と言った場合、2つの事がある。1つは、事故の直接的なことである。即ち、大事故が起こったにも拘わらず、自衛隊の派遣すら行わず、専門家による事故回復に向けての活動すら実施しなかった政府中枢にいた人たちの無能さがある。近年の水害により高層マンションで停電となり自家発も止まって困難に陥った人がおられる。原発の場合は、悲惨である。非常用電源を完全に喪失したなら、危険と隣り合わせである。無能な政府中枢の人たちは、それを放置した。しかし、そのような政権は選挙で成立したのである。選挙の仕組みや無責任な首相を生み出した責任は国民にあるとも言える。現状では、バカが首相になることもあり得るとして、色々のことを考えざるを得ないのだろうと思う。

もう一つは、原発政策である。日本は原発を電力供給源として選択した。その方法は、株式上場電力会社による原発の建設と運転である。更には、プルトニウムの再利用政策も推進した。ウランやプルトニウムの核分裂を原爆に利用せずに熱をうまく取り出す技術は、誰が責任を持てるのだろうかと思う。単純に核分裂を起こせば、原爆となる。コントロールすれば、熱利用が可能ということだが、コントロールに失敗すれば事故が起こる。極めて当然である。核分裂の利用についての研究まで中止せよとは言わない。しかし、核分裂の熱利用に関しては、常に監視を行い、必要な措置を採り続けなければならない。熱により蒸気を発生させ、タービンを回転し、それにより発電機を駆動し、その電気を利用するなら、監視と必要な措置は絶え間なく必要である。監視と必要な措置は誰が行うのかと言えば、電力会社のみにあらずと言うか、電力会社のみに任せては危険である。危険であるが故に、政府に限らず、民間も含め、監視をし、建設・運転・廃棄物処理・核燃料管理・核兵器転用リスク管理・テロ対策等広範囲にわたってルールを整備し、安全を確保しなければならない。

原発とは実に恐ろしい代物だと思う。「電力供給は原発に依存しない。」と言っても原発は存在するのであり、原発関連のリスクは100年以上永続するのである。

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2019年10月30日 (水)

原子力発電についてはまじめに考えるべき

次の朝日新聞の記事を読むと、東京電力が日本原電にお金を払うのは間違いだと読んでしまう。

朝日新聞 10月28日 安全対策で割高懸念の原電 それでも電力会社が支える訳 (全文を読むには有料記事となっている。)

日本原電の株主構成は次の通りです。

Japc201910a

特殊な会社です。一方、この会社の販売先は、東京電力エナジーパートナー、関西電力、中部電力、東北電力、北陸電力と東京電力パワーグリッドの6社です。東海(1,100MW)と敦賀(1,160MW)の2つの原子力発電を保有している。しかし、2011年度に休止して以後は休止状態が継続しており発電していない。しかし、2019年度の売上高は109,130百万円であり、その内訳は次の通りである。

Japc201910b

原子力発電所とは、発電をしなくても金が掛かるやっかいな物である。かと言って、放っておいて済む物でもない。休止した状態でも放射性物質が大量に存在する。厄介者のおもりを誰がするかと言えば、所有者しかいない。この所有者日本原電が頼れるのは、株主と電力販売の契約がある相手先しかいない。

困ったことである。でも、日本の原子力発電の政策のツケが出ているだけの話である。ここで、東京電力に手を引けと言ったらまさに無責任発言である。日本の原子力発電政策が見える実例でもある。民主党という政党が政権を得る直前の2009年7月の政策集がここ にある。その39ページの右上に「原子力利用については、安全を第一としつつ、エネルギーの安定供給の観点もふまえ、国民の理解と信頼を得ながら着実に取り組みます。」と書いていある。原発に対する当時の代表的・模範的意見だと思う。現在は、どうなのだろうか、廃炉・使用済み核燃料問題・プルトニウム問題・核兵器転用問題・廃棄物処理問題等を含め、国民的議論が必要であると考える。

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2019年2月14日 (木)

一般家庭の太陽光発電

直前のブログで、自分で太陽光発電の点検は難しいので、継続してモニターをすることは必要であると書きました。

そこで、典型的な例として次の発電・売電・電力購入のカーブを掲げます。

Solarpv2012d

太陽が上っている日の出から日没までの時間帯が発電電力を得ることができ、発電があれば、その分購入電力が少なくなる。更に、発電電力が家庭内消費電力を上回れば、上回った分を電力供給会社に売電することとなる。上記の例だと、午前5時から発電が始まり、午前8時には家庭内消費を上回るので、売電が始まる。16時になると発電が家庭内消費を下回ることとなり、18時以後は発電をしない。

なお、上の例は、年間の平均をカーブにしたので、5月頃の日照が良い場合は、発電量はもっと多い。一方、雨天の日は、ほとんど発電しない。消費も夏・冬は多いが、春・秋は少ない。一つの例としては、5kWの設備で年間発電量5,500kWh、発電からの家庭電力消費2,100kWh、売電量3,400kWh、電力購入量2,800kWh程度でしょうか。地域差もあるし、設置している設備が完全に南を向いているかも関係します。

都道府県別の家庭太陽光発電の設置割合を何世帯で1設備の設置となっているかを調べてみたのが、次の表であり、これを地図で示したのが、最後の図です。

Solarpv2012e
Solarpv20192c

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2018年12月 7日 (金)

太陽光発電買い取り価格見直し修正

太陽光発電買い取り価格見直し修正を経済産業省は発表した。

日経 12月6日 太陽光買い取り一部減額を猶予 経産省、見直し案修正

経産省 12月5日 FIT制度における太陽光発電の未稼働案件への新たな対応を決定しました

経産省発表別紙1 2018年12月5日 既認定案件による国民負担の抑制に向けた対応

当初の経産省の案(意見公募を求めた改正省令の案)では、2015年3月末以前に認定を受けたが、送電線への接続工事の申し込みの受領が2019年3月末までになされなければ、買取価格を21円/kWhとし、且つ運転開始日期限2000年3月末であった。今回の修正により、2MW以上の未稼働案件は2019年9月末までの接続工事申し込みの受領条件で2020年9月までの運転開始日期限となった。(環境影響評価(アセスメント)案件は更に6月後の期限)

最初から落ち付け所を見据えた意見公募であったような気がするが、一方で悲しいかな次のような意見を出す人たちはいた。

朝日新聞社説 12月3日 陽光の価格 引き下げは注意深く

現在の太陽光発電の発電原価

みなさんは、次のような記事をどう考えられますか?

日経XTECH 2017年7月21日 世界最安「ギガソーラー」、2.42セント/kWhでも利益の出るワケ、ジンコソーラーに聞く

次のグラフは、国際再生エネルギー機関(IRENA)のBoosting Solar PV Marketという冊子にあったものだが、太陽光発電設備の価格は大きく下がっている。

Solarpv201812

大型の太陽光発電設備の長期平均発電コスト(LCOE)は2015年13セント/kWhであったが、2025年までには5.5セント/kWhと予測している。高いコストの購入は避けるのが世の中の常識である。原価が下がっているのに、取引価格据え置きでは癒着ビジネスである。

実は、2015年3月末以前に認定を受けたが未稼働の太陽光案件は2352万kWと稼働済み3351万kWの70%に相当するのであり、こんな事業者に利益を渡すのは非合理的であると思う。

国民を苦しめる電力料金

現在の再生可能エネルギー賦課金単価は2.90円/kWhであり、その計算根拠はこの2018年3月23日 経産省発表に書いてある。2.90円/kWhと聞くと何となく安いように思うが、年間の賦課金総額は2兆3700億円である。すなわち、消費税率では約1%に相当する。2017年度では再生可能エネルギー買取金額合計2兆4352億円のうち1兆6519億円が10kW以上の太陽光発電の買取に支出された。

現在の新規太陽光発電の買取価格は2MW以上の場合、入札制であり、2MW未満は18円/kWhと合理的な水準に改訂されている。しかし、一方既存の太陽光設備の買取価格は平均38.6円/kWhとなっており、2兆4352億円の負担の大きな原因である。

災害を引き起こす太陽光発電設備

悪徳業者に限られると言って良いのだろうが、次のようなニュースがある。

千葉日報 11月7日 40メートルにわたり土砂崩れ 斜面から再生土が流出 市原の市道

太陽光発電設備の工事現場であったようだ。別件だが、2018年7月に姫路で太陽光発電パネルが崩落している写真が次の神戸新聞NEXTの記事にはある。

神戸新聞NEXT 7月13日 豪雨で太陽光パネル崩落 住民ら不安の声 姫路

私は、何の展望もなく無理に導入した日本の再生可能エネルギー固定料金買取制度は崩壊していると思う。十分な検討を重ね、日本に適した再生可能エネルギーの導入策を作成すべきと考える。

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