2009年4月10日 (金)

北朝鮮リスク

北朝鮮の立法機関である最高人民会議の第12期第1回会議において4月9日、金正日総書記を国防委員長に再任したというニュースがありました。

日経 4月9日 北朝鮮、金正日総書記を国防委員長に再任

北朝鮮という国の政治体制をよく知りませんが、総書記が党の地位であり、国防委員長が大統領兼首相のような軍の最高司令官であり政府で最も権限を有する地位と想像します。

1) ミサイル・リスク

ミサイルが飛んでくるリスクがあるかと言えば、ないとは言えません。但し、それは必ずしも北朝鮮からのみならず、他の国から飛んでくるリスクもあるはずです。その可能性がもしかしたら北朝鮮の場合は、比較論において高いと言うことでしょうか。

比較論の問題ではなく、核リスクの問題のはずです。即ち、2003年に核不拡散条約からの脱退を宣言し、2006年10月に核実験実施を発表しており、核リスクが最大のリスクであり、その運搬手段としてミサイルを保有していることの恐ろしさです。

そう考えた場合、4月5日の飛翔体は、何なのだろうか。人工衛星の可能性もあるが、一方で、この4月6日の日経社説にあるように、人工衛星と弾道ミサイル打ち上げの技術はほぼ同じである。但し、日本を射程に置くには、こんな大きなロケットは必要がない。その意味で、4月5日の飛翔体実験でリスクが増加したとは単純に言えず、もしかしたら、自衛隊の丁度良い訓練であったかもと思う。

2) 国連安保理決議

政府は当初、飛翔体の発射を受けてこの日経4月5日 政府、安保理協議で新決議案提出へ 「テポドン2号」発射受けのように、国連安保理決議を言っておりました。最近は、この日経4月8日 国連安保理、議長声明で妥協も 官房長官 のように、トーンは少し穏やかになっています。

3年近く前の2006年7月5日の飛翔体発射は、日本海に向けての発射であり、人工衛星ではなかったことから、国連安保理決議 2006年7月15日 No. 1695も次のようになっています。

1. Condemns the multiple launches by the DPRK of ballistic missiles on 5 July 2006 local time;
2. Demands that the DPRK suspend all activities related to its ballistic missile programme, and in this context re-establish its pre-existing commitments to a moratorium on missile launching;

また、2006年10月9日の核実験に対しては、この2006年10月14日国連安保理決議 No. 1718があり、外務省の日本語訳もあります。

新たな国連安保理決議ではなく、決議1695号には違反しない人工衛星であったのか、情報公開を求めることと思うのです。そうして、核の放棄に持って行くようにすることが本当の姿だと思います。

3) 最大のリスク

様々脅かしをしても、北朝鮮政府は期待するように動いてくれないはずです。制裁しても全く困らないだろうし、制裁をし、門戸を閉ざさせることによるリスクも考える必要があると思います。

最大のリスクは、北朝鮮内乱・破綻国家リスクと思います。金正日がいなくなり、内部で権力闘争が起こったらという不安です。現在も、どのような権力構造になっているか、分からないので、何も言えません。しかし、分からないからこそ、リスクがあると思ってしまいます。

このAERA2009年4月13日号は、「第4の息子」が4月9日の最高人民会議で後継者として登場する可能性もあると、その関連情報についても複雑なことを書いていました。世襲で国家のリーダーが決定されることのリスクをどう評価するかです。信長や秀吉を考えると、後継者を定める制度がない場合の破綻リスクが高いと思います。民主主義は、後継者を考えなくてもよく、制度自身を運用していく中で、生まれてきます。

北朝鮮で権力闘争が起こったら、どうなるのでしょうか?核兵器を押さえた人物が、巨大な権力を把握する可能性もあると思います。

金正日が健在で権力を持っているうちに、民主化までは進まなくとも、情報公開は少しは進み、核査察を受け、外交関係を多くの国と持つようにさせないと恐ろしいリスクがあるように感じてしまいます。

日本の今の姿勢は、どうなのだろうか?ある国が強硬論で迫り、別の国がなだめと、役割を分担して当たった方がよいかも知れないので、何とも言えません。

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2009年2月 9日 (月)

イラン情勢は動くのでしょうか

米副大統領、イランに対話を呼びかけとの記事が日経にありました。

日経 2月7日 米副大統領、イランに対話呼びかけ ミュンヘン安保会議

ロイターも次のように報道はしています。

Reuter Feb 7, 2009 Biden says U.S. willing to talk to Iran

このブログでも、2007年12月14日にイランの核兵器で、イランにおいて核兵器が完成していない可能性が高いという報告があることを書きました。

また、2008年10月18日の国連安保理事会の理事国就任に思うにおいて、日本が国連安全保障理事会の理事国就任の選出については、イランも立候補しており、2国の選挙であったことを書きました。その際に、米国大統領が民主党から選出された場合は、米国・イランの対話が始まること、そしてイランがIAEAの核査察を受け入れるとの予想を書きました。

2008年10月18日当時と今と異なっていることは、イスラエル情勢だと思います。イスラエルはガザを必要以上に攻撃した。イスラエルもパレスチナ人を殲滅できるとは思っていない。そんなことは、ホロコーストで自らが証明した。イスラエルの人々が恐れているのはハマスなのでしょうか?ミサイルを打ち込んでくるかも知れない。しかし、そんなミサイルよりもっと恐ろしいのは核弾頭付きのミサイルが打ち込まれた場合と思います。現時点でそんな可能性はなくとも、将来的には、イランからそんなミサイルが飛んできたらイスラエルは消滅する。国は消滅しないであろうが、人々の存在しない国など意味がないと思うのです。

勿論、イランが核兵器を保有していたとしても、そんな馬鹿なことを簡単にはしない。イランやアラブ諸国が、通常兵器による攻撃でも、イスラエルを攻撃することができるのはよっぽどの場合のはずです。しかし、一方で、世界中で核兵器による戦争が万一起こる場合、その可能性が高いのは、イスラエルとイランかも知れないという気がします。

では、イランがIAEAの核査察を受け入れるかと言えば、私は受け入れると思います。イランは孤立政策を採らないと思うからです。8千万人の国の発展を考えれば、国際社会に参加していくことですから。でも、イランが一つ要求を出すかも知れないことは、イスラエルのIAEA核査察と思います。

世界は動き出す可能性がある。多分、ヨーロッパ諸国(特に仏、独)の企業は、イランビジネスを狙ってスタート体制を整えているのではと思います。

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2008年12月31日 (水)

ソマリア海賊問題

ソマリア沖の海賊対策として、海上自衛隊の護衛艦派遣が検討されていることが報じられています。

日経 12月27日 ソマリア沖「まず現行法で海自艦派遣」 政府、1月メド対処要領

そして、自衛艦の派遣について、民主党小沢氏も自国の船舶を警備するということに憲法上の疑義はないと思うと発言したとのことであり、実現の可能性が高いと思えることから関連することを書いてみます。

日経 12月26日 小沢氏「憲法上疑義はない」 ソマリア沖の海自艦派遣に理解

1) 海賊事件

ソマリア沖海賊事件で最も有名なのは、サウジアラビアの原油タンカー”シリウス スター”(318,000トン)が満載の原油を積んで喜望峰経由で米国に向けケニヤ沖合830kmを航行中の11月15日にソマリアの海賊に積荷とともに乗っ取られた事件です。次のBBCニュースに、”シリウス スター”の写真が出ていますが、長さ330mの船ですから、とても大きいです。

BBC 18 November 2008 Hijacked oil tanker nears Somalia

海賊の目的は、金銭であり、”シリウス スター”が解放されたとのニュースがないので、まだ身代金交渉(船と積荷も含め)が続いていると思います。BBCニュースの11月18日の時点で、2008年は92海賊事件が発生し、そのうち36件で船が乗っ取られ、268人の船員が人質として捕らえられているとあります。

発生している海域は、BBCニュースの地図にあるが、ソマリア沖とは言っても、極めて広くイエメンの近くとソマリアの南東沖で遠い部分はソマリアから1000kmもある膨大な海域です。そんな海で、ロケット砲やカラシニコフで武装して5mほどの小舟(高速艇)で、襲ってくる。

海賊相手に自衛艦が適切なのだろうか、むしろヘリコプター巡視船の方がよいのではとも思えますが、よく分かりません。例えば、ここに海上保安庁の2008年11月6日発表の「東南アジアへの巡視船の派遣について~タイ・インドネシアにおいて海賊対策連携訓練等を実施~」という文書があります。海賊は軍隊ではなく、犯罪であり、海上保安庁の方が対策についての経験やノウハウ蓄積も多いと考えます。海上保安庁の起用についても、検討すべきでと思います。

2) 国連安保理決議

国際連合安全保障理事会で、ソマリア海賊に関する決議がされています。海賊取り締まりのために、ソマリア政府に協力する国の艦船が領海立ち入りを可能とする2008年6月2日決議1816号があり、当初6ヶ月の期間限定であったが、2008年12月2日決議1846号により12月間延長され2009年12月1日までとされた。更に、2008年12月16日決議1851号により、海賊対策艦船派遣協力国は海賊の拿捕等についてソマリア政府に協力してソマリア国内(領土)にも立ち入る等の協力も可能とした。

海賊の取り締まりは、公海であれば国際法により可能です。海賊が領海に逃げ込めば、その国の政府が取り締まりを行う。決議1816号は、6月間に限りソマリア政府の事前承認等の手続きを経て外国艦船が領海進入を可能とした。しかし、不十分であるとして、決議1846号により期間を更に12月延長し、海賊が陸に上がっても海賊を拿捕できるように決議1851号が行われた。

私の上記解説は、相当意訳的な部分があるので、実際の決議文を読むために、リンクを掲げます。

国連安保理決議 1816号
国連安保理決議 1846号
国連安保理決議 1851号

3) ソマリア

ソマリアは、国連に1960年に加盟した。2)で書いた外国艦船による海賊取り締まりは、ソマリア政府が国連に取り締まり協力要請をしたことを受け、安保理決議をしています。しかし、その政府は決議文に”TFG: Transitional Federal Government”と書いてありますが、暫定政府であり、ソマリアを実効支配していません。ソマリアは無政府状態であり、ソマリア海賊問題のルートはここに存在します。外務省のソマリアの説明はここにありますが、「暫定連邦政府(我が国は未承認)」と書いてあります。米国国務省のソマリアの説明はここにあります。外交関係はないが、暫定政府と定期的対話はあると書いてあります。

ここにWikiのソマリア地図があり、暫定政府地域、ソマリランド独立派地域、イスラム法廷連合等の地域、及び中立地域が示されています。驚くかな、暫定政府首都であるモガディシュ(人口約100万人)の周りは、一歩外へ出ると他の支配地域です。

2008年12月16日決議1851号国連安保理決議についてのプレスリリースがここに、にあります。その中に、潘基文事務総長の演説についても書かれています。潘事務総長の人道関連に関しての演説には、次のように、モガディシュから逃げ出た人々が本年だけで25万人。毎月5000人がケニヤの難民キャンプに避難している。生活物資の支援必要者は320万人と推定される。(人口840万人の国です。)

Regarding the humanitarian situation, he(BAN KI-MOON) said access remained severely restricted, and the level of insecurity for humanitarian workers and the local civilian population was unacceptably high.  During this year alone, an estimated 250,000 people had been displaced from Mogadishu.  The overall number of internally displaced persons stood at 1.3 million and an average of 5,000 Somali refugees arrived monthly in the refugee camps in Kenya.  The number in need of assistance and livelihood support in Somalia stood at 3.2 million.  The delivery of such assistance remained a logistical challenge, not least because of piracy, which had increased the cost of transporting supplies.

海賊により援助物資の輸送も容易ではない。しかし、海賊の言い分は、「♪こんな姿に、誰がした♪」かもしれません。アフリカの不幸の一面です。ソマリアは、19世紀に北部が英国植民地(保護領)となり、南部がイタリア植民地(保護領)になりました。1960年6月に英領が独立し、同年7月に伊領の独立があり、2つの地域が合わせてソマリアとなりました。(民族的には双方ともソマリア人、ソマリア語、イスラム・スンニです。)1969年に革命によりシルマルケ大統領暗殺、バレ少将が最高革命評議会議長に就任。1974年ソ連と友好条約を締結。1977/78年エチオピアと交戦(オガデン紛争)した。ソ連は、エチオピアを支持し、ソマリアは米国に接近。オガデン紛争後は、米国援助があったものの、バレ大統領の独裁色が強くなり、国内の不満が増加。1989年首都で暴動発生し、1991年1月バレ大統領は首都を追われ、全国的に内戦状態になった。最近では、2008年8月の暫定政府とソマリア再解放連盟の間の、停戦等を定めた「ジプチ合意」がありますが、ジプチはソマリアの北に位置する都市国家です。国内の政治的取り決めも外国でしなければならない状態です。

4) ソマリアに関して望むこと

喫緊の課題として海賊対策は必要です。しかし、海賊対策により問題が解決するほど甘くはありません。破綻国家を、どのように援助すべきかは容易ではありません。米ソ代理戦争時代は、それぞれが国内の別の一派を援助したことによりかえって問題解決を困難とし、対立の激しさを生んだと思います。オガデン紛争にしても、ソマリアとエチオピアの国境の線引きを決めたのは、ソマリア人ではなく、植民地宗主国であったのですから。

日本政府に望むことは、海賊対策だけではなく、ソマリア暫定政府がソマリア全国民が支持できる政府を樹立することを支援することです。海賊対策にしてみても、自衛艦の派遣より海上保安庁の人がソマリア政府に海上警備についての知識・経験を伝えることや、警備艇、巡視船をソマリア政府に提供することの方が、重要な気がします。

緊急援助食料さえ被援助者に届かないこと。無法状態であること。なかなか想像できないですね。昭和20年の敗戦日本でも、政府は機能していた。法も有効であったから、戦後復興ができた。日本が、破綻国家に援助できることは多くあると思います。

エチオピアで日本人医師赤羽桂子さんが誘拐されるという事件がありました。ここに共同の10月31日のニュース「「健康だ」と人質の赤羽さん エチオピアの誘拐」があります。その後ニュースがないが、赤羽さんは今もソマリアのどこかで、軟禁されているのだろうと思います。赤羽さんの一刻も早い解放も願いたいと思います。

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2008年9月 4日 (木)

経済成長と財政改革

NB-Onlineが実施した読者1万人アンケートの結果として次の首相への期待は「経済成長」と「財政改革」であったとのことです。

NB Online 9月3日 国民の要望は経済成長と財政改革の“二兎”

1) 日本景気の現状

現状をよく反映したアンケート結果と思います。8月14日エントリーの景気対策を求めるなかに、次のグラフを入れましたが、この先が不安になります。

Gdpjapan20088

それと次の雇用者報酬(実質報酬、季節調整済)のグラフは、2008年第2四半期はついに前年同期比マイナス0.1%になったことを示しています。

Gdp200808analys2

個人に対する分配を上げないと景気の先行きは暗いと思います。

2) 定額減税

公明党が掲げている定額減税が今年度で実施されることになると思います。当然、個人消費を増加させる方向であり、景気対策にもなると思います。但し、減税だけで済むほど、政府の財政事情は甘くはないようです。

3) 借金大国日本

こちらに、財務省作成の一般会計税収、歳出総額及び公債発行額の推移があります。税収は、平成2年(1990年)の60.1兆円が過去最大で、平成20年度予算で税収が53.6兆円。2011年度のプライマリーバランスをゼロにするとの話がありますが、プライマリーバランスのゼロとは国債発行額と国債償還額をゼロにするのであり、国債の利払いは含まれていません。従い、国債を新たに発行して利払をしていくのであり、国債発行残高は増加を続けるのです。だから、会社で考えると、有利子負債が増大している状態で、もし売上と利益が、それ以上に伸びてないと不健全な状態です。

ここに財務省作成の公債残高の推移 があります。平成20年度末553兆円は、GDPが514兆円ですから107.5%です。平成5年(1995年)は、GDP496兆円に対して公債残高172兆円で35%と健全でした。他国との比較として財務省のWebの債務残高の国際比較(対GDP比)ここにあります。日本が借金大国で、イタリアも借金が多いが現時点では日本より少なく、カナダなんかは借金を減らしています。住むなら、当然借金の少ない国に住みたいと思います。

なお、債務残高の国際比較(対GDP比)は日本が181.6%と私の計算より大きいのですが、理由は181.6%がOECD/エコノミック・アウトルックによることと国債以外の債務が入っていることによると思います。ちなみに財務省が2008年6月末現在の残高として発表している債務残高はこちらで、848億円です。

4) 国民負担率

借金の話で嫌になりましたが、国民負担率の話をします。国民負担率とは、税プラス社会補償負担の国民所得(GNI)に対する割合です。税は法人税等を含めた全ての税であり、税に加えて社会補償負担である健康保険や年金の負担を含めて負担率を計算したのが国民負担率です。なお、GNIがGDPと、どう違うかというと、外国での稼ぎがGNIには入っており、逆に日本で働く外国人の本国送金や外国からの投資に対する本国への金利や配当金が差し引かれていると考えてください。

財務省のグラフはここにありますが、私もグラフを作ってみました。

0809

潜在的国民負担率と書いたのが、「国税+地方税+社会保障負担」に更に「財政赤字」を含んだ率であり、財務省のグラフの「財政赤字を含む国民負担率」と同じです。国債を発行したならば、名目経済成長率が国債の利子率と同じとしても、その元本償還は将来の負担になります。従い、赤字国債の発行は、税を払ったことと似通っているのです。このあたり異論があると思いますが、世界中の国を見渡して、こんなに巨額の赤字放漫経営の政府はないのであり、放漫経営のツケがそのうち回ってくるだろうなと私は心配してしまうのですが。

5) 国民負担率の国際比較

財務省のWebを利用します。ここに日本、米国、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの6国比較が、ここにOECD28国比較があります。米国は、医療にしても民間医療保険の割合が大きいことと、政府よりもボランティア的な組織による社会保障を目指す面があるので、国民負担率は低く、OECD28国中で26番目です。日本は、23番目で米国と余り変わりません。高いのは、ヨーロッパ諸国で、デンマークの73.7%はすごいものです。

政府の制度になんか頼らないなら、国民負担率は低い方がよいのでしょう。戦前の日本がそうです。歳取った親を育てるのが長男の努めだとして、政府は何もしない。今や日本は、核家族を通り越して、個人ベースの社会に入って行っていると私は思います。負け犬なんて言葉は、もはや昔。離婚時の厚生年金の分割は、あたりまえ。やはり、社会の変化に社会保障制度も対応して行かなくてはならない。社会保障制度の維持や発展のためには、国民が必要な負担をして行かなくてはならない。逆に、それができなければ、破綻であり、惨めなことになると思います。

デンマークの国民負担率は世界一高いと書いたのですが、この8月29日のNB Online-Business Week デンマーク、「世界一の幸福国」に認定 経済力と社会福祉の適正なバランスが確立しているとの評価によれば、デンマークは世界一の幸福国です。ここに、この記事からリンクが繋がっている世界の10大幸福国のスライドショーがあります。試しに見てみると面白いです。

例えば、自然が美しいというのも幸福国のバロメータの一つだと思います。自然をつぶして、開発して、赤字国債を発行してというのは、夢がないどころか、負の遺産を作っているだけの気がします。せめて日本を幸福国に少しだけでも近づけたい。そう努力をしたい。こんな風に考えると、定額減税なんて小さすぎて、もし、将来その分の税金が増えるなら、ありがたくもない話になります。

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2008年8月31日 (日)

新銀行東京

新銀行東京について、3月14日と6月7日に新銀行東京の今後新銀行東京の倒産の可能性のようなエントリーを書いたこともあるので、次の読売の記事については、気になりました。

読売 8月31日 新銀行東京、融資にブローカー暗躍…都議に口利き依頼も

銀行の倒産には1千万円まで預金保険があるとは言え、影響は大きいので、ない方がよく、東京都の追加出資もあり無事に推移しており安心しています。

しかし、自治体が出資する株式会社の銀行はあるべき姿かと言えば、そうではないと考えます。銀行が預金者に対して預金利息の支払いが実行可能であり、預金の払戻しに応じられるのは、預金により得られた資金を預金以上の高いリターンで貸付を行えているからです。すなわち、儲かっているからであり、儲けることは銀行の使命であります

8月18日から9回にわたって、自治体病院の経営指標を連載しましたが、自治体が病院を持つことと銀行を持つことは、全く意味が異なります。自治体病院が赤字であっても、その使命を果たすためには赤字が許される場合があります。しかし、銀行業務は民間銀行(信用組合、信用金庫等を含め)との競争です。この競争は健全な競争です。結果、自治体銀行が赤字であった場合、最終的には預金の利払いと払い戻しに支障を来す。仮にそうならなくても、純資産額の減少は出資の減少であり、自治体の損失となる。

常々そんなことを思いつつ、読売の記事を読んだことから。「あり得るかも知れないなあ!」と思いました。自治体銀行の融資審査なんて難しすぎると思います。下手をするとガバナンスが、無責任体制で、誰も責任を取らない体質になり得ますから。

「民間にできることは民間に」ではなく「民間が望ましい事業は民間が。政府自治体が国民・住民へのサービスとして提供すべき事業あるいは範囲は政府自治体が。」を貫き通すべきと思います。

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2008年8月15日 (金)

終戦の日と東条英機メモ

終戦の日は、大東亜戦争のことについて、少しは思いを及ぼした方がよいのかなと思いました。

1) 東条英機元首相のメモ

1945年8月10日から14日までの間に東条元首相が書いたメモが国立公文書館から公開されたとのニュースがつい最近ありました。

共同 8月13日 東条元首相の手記公開 国立公文書館

このメモの要旨が次の共同47のWebにあります。この要旨をもとに思いをめぐらせました。

共同47 東条元首相手記の要旨

2) 歴史の整理

8月10日から14日までを、整理した上で、考えた方がよいはずなので、その整理をしました。整理のための資料は全て国会図書館の日本国憲法の誕生からです。

7月27日 米英中、「ポツダム宣言」発表
7月28日 鈴木首相、記者団に対しポツダム宣言黙殺・戦争邁進を表明
8月6日 広島に原爆
8月8日 ソ連、対日宣戦・ポツダム宣言参加
8月9日 長崎に原爆
8月10日 御前会議、国体護持を条件にポツダム宣言受諾決定 午前9時在スウェーデンと在スイスの日本大使館に対して東郷外務大臣から電信を発信
8月12日 米国からの回答文が到着(在スイス日本大使館からの電信受領18時40分)
8月14日 御前会議、ポツダム宣言受諾決定 午前11時在スウェーデンと在スイスの日本大使館に対して東郷外務大臣から電信を発信 天皇、終戦の詔書を録音
8月15日 正午終戦の詔書を放送 鈴木内閣総辞職

3) 歴史から学ぶ

東条は、1944年7月に総理大臣を辞めていますが、普通の人ではなかったのであり、上の出来事に直接の関与はなかったにしろ、全て知っていたはずです。そう考えて、このメモを読んでいくと、その当時のことが理解できるし、現在の我々に対する教訓を与えてくれていると思います。学ぶことは、知ることではなく、分析してその結果を、将来に生かそうとする努力だと思います。

4) 8月10日

東条メモが何故8月10日からか。残っているのが、偶然そうである可能性もありますが、やはり8月10日がポツダム宣言受諾を日本政府が決定したからだと思います。午前9時には東郷外務大臣から電信を発信しており、早朝の御前会議だったのだと思います。1941年12月8日の対米英宣戦の大詔の時の総理大臣であり陸軍大臣であったのですから、8月10日のポツダム宣言受諾決定は意味するところが個人的にも大きかった。

5) 8月12日

米国の回答が届くのが12日の18時40分ですから、東条がその内容を知るのは13日だったかも知れません。8月10日の決定は、国体の護持が条件だったが、やはり米国(英国、ソ連、中国も代表して)からの返事は「ポツダム宣言の通り」との言葉であった。(続きを読むに返事を入れておきます。)

その結果、8月14日のポツダム宣言をそのまま受け入れる決定しか残されなくなった。だから東条のメモも13日は「願くは今後の国民諸君、降服によりて来るべき更に大なる苦難を忍びに忍び他日の光栄ある帝国建設に努められんことを伏して願て止まず。」と、ポツダム宣言受諾を受け入れ、戦後の日本復興に思いを馳せ巡らせた。

6) 学ぶべきこと

学ぶべきことは多いと思います。東条も10日は「皇位確保、国体護持については当然にして、・・・」と書き、11日には「新爆弾に脅え、ソ連の参戦に腰をぬかし一部条件を付し在りといえども」と書いています。私は、米国の返事に接するまでは、東条も国体護持に希望をつないでいたのだと思うのです。その望みが消滅したとき、自分の死を覚悟し、国の将来に望みを託した。

東条メモの全文を読まずして、冒頭の共同47の要旨を読んだのみですが、武士道を感じます。東条は広島・長崎の原爆のことを相当程度知っていたはずですが、11日のメモのような言い方をしており、現代人からすれば、不謹慎この上ないとなるのでしょうが、当時の日本人の感覚は、東条メモの感覚が一般的だったのだと思います。

冷静に考えれば、変だと思うこと。自分自身が冷静だと思っていても、他人から見れば、冷静ではない。そんなことが、たくさんあると思います。当時の日本人の思考はどうであったのか。例えば、御前会議とは何であったのか。会議ではなく、儀式ではなかったのか。それまでに実質的に決まっていて、それを確認するための儀式。今でも、日本の社会の中で、そんな儀式のような会議も多くあると思うのです。

だから、KYは今に始まったことではなく、日本に古くからあった。KYは、すべきではない。自分の考えを他人に伝え、理解させること。それが確立されないなら、民主主義もなく、戦前あるいはそれ以前に戻ってしまうのではと思います。

7) 国体

国体護持とは、何であったのでしょうか。天皇制でしょうか。そうすると戦前の天皇制とは何かになってしまうのです。私なんかにとっては、極めて訳の分からないものになってしまいます。

NHK TVが、「国のために死ねますか?」なんて聞いているのが出てきます。さすがNHKは、バカですねと思います。国のために死ねる人なんか、誰もいないと思います。国とは、何ですか?存在しているのですか?政府は存在します。最近、グルジアで南オセチア問題で紛争が起こりました。南オセチアは、グルジアなのかどうか私には何とも言えません。国とは、本来あいまいなものです。欲望を持った人が、愛国心という言葉を利用して、暴走させる。多分、南オセチアに住む人にとって、愛国心とはグルジア政府に反抗することではないのかなと思います。

訳の分からないものは、訳の分からないものとして、排除しておくことも必要なのだと思います。

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2008年7月19日 (土)

長銀経営者無罪判決に思う

最高裁は1998年(平成10年)に経営破綻した旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で、証券取引法(現金融商品取引法)違反と商法(現会社法)違反で起訴された経営者3人に対して、18日に無罪の判決を出しました。判決文は以下にあります。

平成20年7月18日 最高裁判所第二小法廷 判決

この判決に対する新聞の社説は、日経朝日読売等ありますが、私は日経の「そこを公に検証する、大恐慌後に米議会に置かれた調査機関「ペコラ委員会」のような場が要る。」との意見に賛成します。少し書いてみます。

1) 銀行経営とは何か

一般企業の経営再建は、事業見直し、コスト削減や販売強化・提携強化等ですが、銀行の場合は、そうではありません。銀行にとっては「再建」というような言葉が付されたならば、直ちに破綻に等しいのです。長銀判決を考える上において、それを念頭に入れる必要があると思います。

何故再建ができないかと言ったら、不安な銀行に誰も預金しないからです。預金の引き上げが生じたら、破綻です。通常の企業の仕入れに相当するのですから、仕入れが不可能となれば、企業は直ちに破綻です。

銀行とは信用力が第一に必要なものであり、信用力は決算書(財務諸表)により測定される。特に貸借対照表が重要となりますが、銀行支援のための資本注入とは何であるかは、資金が必要だから増資するのではなく、資本比率を高め、信用力を上げるためにしていると言えます。

通常の企業とは、すこし異なった面を持っています。

2) 当時の銀行(金融界)の状況

1992年頃でしたでしょうか、バブル崩壊がありました。その頃、流行した言葉に「価格破壊」というのがありました。その中で、一番価格が下がったのが、地価だったでしょうね。金融界の鬼子として住専というノンバンクがありました。本来は住宅資金の融資業務のために銀行が設立したが、銀行自らも住宅融資に乗り出し、住宅金融の競争が始まると、資金コストの高い住専は不利になる。信用力ある大手企業は社債、増資、コマーシャルペーパー等を発行して直接金融の時代にも突入していったことで、銀行の優良融資先が減少して行っていた。

住専は、住宅融資ではなく企業向け融資に走り、しかもバブル期待の土地取得融資なんてバカな金融にも横並び競争を始めていました。さらに、もう一つの問題として農林系金融機関が住専に多額の資金を融資していることでした。農地の売却代金の預金を農協が集めてしまう。(農協にとっては、自らの成績を上げることにるし、農家にとっても銀行より農協の方がおなじみさんです。)農協は、その資金を農林中央金庫、信用農業組合連合会(信連)、全国共済農業協同組合連合会等に預金し、更にその先の運用としては、国債より利息が高く大手銀行が出資をしている住専に貸付ける。ごく普通の金の流れです。更に言えば、住専が企業による農地取得資金を貸し付けるのですから、見事にバブルの構造ができています。

住専を処理できなかった。バブルに対処できなかった。バブルに浮かれた結果、そのツケが銀行の破綻、国庫による損失の負担に繋がっていった面があると私は思っています。

3) 会計基準

会計の方法により利益は変動する。会計を知っている人にとっては、当たり前のことですが、余り知らない人にとっては不思議に思う。一番大きな理由は、期間計算であることによると思います。貸した金で利息を取っても、元本が返済されなければ損失となる。利息分が利益となるが、発生主義が会計基準であるから利息について入金の有無に拘わらず、期間をベースに収益を計上する。元本は、利益の源泉であるが、返済されることを原則とせざるを得ない。貸倒見積高に基づいて計算された貸倒引当金を控除することとなる。

法人税の基となる税務上の課税所得計算は、公平・単純と言った原則が適用されなければならない。税額計算で鉛筆がなめられるなら、不公平が蔓延し、無茶苦茶となる。課税所得計算においても、貸倒引当金が認められるが、業種による差があれば変になる。(特例はあり、例えば現在でも、資本金1億円以下の企業には租税特別措置法57条の10による貸倒引当金計算の適用もある。)

税務で引当金が認められないのに、損失を出すのはおかしいという本末転倒の議論をする人が当時はいました。そうなんです、会計基準の世界でも、税効果会計に係わる会計基準が企業会計審議会より発表されたのが平成10年10月30日で、その適用は平成11年4月1日以降開始する会計年度からでした。

長銀事件で問題となっている平成10年3月期の翌々年から税効果会計が適用となりました。この税効果会計に係わる会計基準で「企業会計上の収益又は費用と課税所得計算上の益金又は損金の認識時点の相違等により、企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金の額を適切に期間配分」なんてことが出てきて企業利益と課税所得の金額に差があることが陽の目を見たように思います。

最高裁の判決文では触れられていませんが、企業会計原則の継続性の原則である「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。」ということを考え、そして判決文11ページの「9年事務連絡は,・・・その内容も具体的かつ定量的な基準を示したものとはいえない上,・・・金融機関一般には公表されていなかった。」や12ページの「4号実務指針については,具体的な計算の規定と計算例がないなど,これに基づいた償却・引当額の計算が容易ではなく,・・・結局,定性的な内容を示すにとどまり,・・・定量的な償却・引当の基準として機能し得るものとなっていなかった上・・・」と言った指摘を考えると刑事罰まで問うことが正しいのかとの疑問が出ます。

刑事罰は、刑事罰を構成することが明確であるときに問えると思います。心情により罰を下すものではないはずです。

4) 原因者

本当の原因者はバブルに浮かれた国民であったような気がします。直接的に、責任の一端が長銀経営者にあることについて否定しません。しかし、それ以上に大きな責任がルールを作る側にあったと思います。3)で税効果会計に係わる会計基準を書きましたが、金融商品に関する会計基準が出されたのが平成11年1月22日です。(平成12年4月1日以降開始する会計年度から適用)

一つのルールを作るには大変な労力が必要です。利害関係者が多い。だから時間も要するのですが、住専を破綻させたら、農協がつぶれる。農業が破綻するという大変な構造でした。政治家は、ともすれば問題の先送りに奔走します。しかし、それもツケを払いたくない選挙民が多いからでしょうか。

現在も増税を唱える政治家は少ないし、唱えたとして消費税のみで、真に公平な増税論は何かを余り聞かないように感じます。

従って、長銀問題については、刑事罰を追求するのではない公的な調査期間が調査を行って、問題点を幅広く調査、公表して欲しいと思います。

長銀って良い銀行でしたね。金融債の発行が許されたから支店数は少なく、企業の長期設備資金融資が主体であった長銀、興銀の方々は、一般銀行の方々とは少し違った特異性を持った方が多かったと感じています。現在は、元長銀マンの方々も様々なところで活躍されておられると思います。そういう方々を育てた長銀という銀行と優秀な方々が活躍できる場が存在する社会を良いものだと思います。

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2008年6月11日 (水)

NHKニュースに対するBRCの決定

放送と人権等権利に関する委員会(BRC)が、2007年1月29日のNHK総合テレビの午後9時00分からのNHKのニュース報道は公平・公正を欠き、放送倫理違反があったと6月10日に発表しました。委員会決定第36号であり、ここをクリックするとその文書が読めます。

その不公正があった報道とは、6月10日に私の昨年3月21日のブログで取り上げた、日本(バウネット)、韓国、北朝鮮、中国、台湾、フィリピン、インドネシアのNGO7団体他が開催した女性法廷のNHKのETV2000の報道に関する東京高裁の2007年1月29日の判決についての報道でした。

昨年3月21日に取り上げたこともあり、少し書いてみます。

1) NHKの報道は外部影響力を受けやすい

残念ながら「NHKの報道は外部影響力を受けやすい。」と思いました。何故なら、私の2007年1月30日のブログ 「あるある」とNHKの最後に、2007年1月29日 19時31分と記録されているNHKニュースの文章が残っています。多分これが「NHKニュース 7」の報道であったと思われます。

NHKニュース7では、NHKの見解も述べていますが、原告側のコメントも伝えていたのです。ところが、9時のニュースは、安倍晋三と中川昭一のコメントを報道し、バウネットとその弁護士のコメントの報道を落としたのです。たった2時間で、ニュースの中を変えてしまったというお話です。

NHKには倫理がないと思います。BRCの決定文によると、NHKの説明は「テレビ放送では、新たな情報やニュース素材が入ってきた場合、後の放送で当初の放送とは異なった扱いをすることは通常行われていることであって、政治家二人の談話は、「ニュース7」の放送後に入ってきたものであり、これを受けて本件放送を構成したことは通常の編集判断であって、これによって公平性に問題を生じるようなものではない。」と言っているようですが、私は、この言葉は犯罪者の言葉を感じます。

2) BRCが判断したこと

BRCの決定文から抜き出すと、以下の文章に代表されると思います。

裁判の相手方であった申立人らの見解に何ら触れることなく、自らの解釈だけを伝え、さらに介入が疑われた二人の政治家のコメントだけを放送したことは、被申立人自身が掲げる上記の自主的規範に照らしても、本件放送において申立人らに対し公平・公正な取扱いを欠き、放送倫理違反があったといわざるを得ない。

3) 政治家2人の介入

NHKは政治介入がなかったと言っているが、介入という言葉の定義をせずに議論しても無駄なだけ。実は、NHKの日本語は言語明瞭意味不明のことが多いと思っています。例えば、国という言葉をよく使っていますが、私は普通は政府という言葉に置き換えて理解しているが、そうでない場合もある。公共放送という訳の分からない言葉もよく使っておられます。

そこで、政治家の介入ですが、私の3月21日のブログに書いたように、放送総局長他が安倍晋三と面談したのが2001年1月29日午後でした。そして、翌30日の出来事は、番組制作局長が、NHK会長室において、会長と本件番組について話し合った後、放送総局長室を訪れ、放送総局長とともに再度修正された台本を読み合わせて検討した上、教養部長に対し「自民党は甘くなかったわよ。」と発言した後、元兵士と元慰安婦女性2人の証言シーン等3分の削除を指示した。

そして、通常の44分より短いETV2000の40分版の番組を完成させたのです。これが、高裁が認定した事実です。最高裁の判決は6月12日です。気になりますね。

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2008年5月29日 (木)

カニカニ詐欺の電話を受けました

1) カニカニ詐欺の電話

驚きました。まさかです。本日、カニカニ詐欺の電話がかかってきました。

「北海道のえりも岬の近くですが。北海道の新鮮な海産物が今大漁なんです。海産物はお好きでしょう・・・・」というようなことを言っていました。そして、電話の音には、市場であるかのような威勢の良い声が入っていました。しばらく、返答をしないで、そのまま聞き流していると自然に電話が切れて終わりました。

これだけは、未だカニカニ詐欺とは決められないので、電話の通信記録に残った相手先の電話番号011-330-0044に電話を掛けてみると呼び出し音のみで応答がありません。そして、数時間経過して電話をすると「お掛けになった電話番号は現在使われておりません。または、・・・・」とのテープ音が流れました。

当然受けた時から変な電話でした。カニカニ詐欺の証拠を捕らえようかとも思いましたが、個人でできることには限界があり、相手の電話番号を残せたのみです。多分、決定的証拠を相手も出さなかったと思います。言葉尻を捕まえて、売りつける作戦であり、危険と判断すれば、相手も電話を切ったと思います。住所と名前を聞いて、宅急便で送りつけ、生ものだから解約できないとして、お金を取る手段と思いますから。

カニカニ詐欺に関する記事としては、この5月29日 @niftyニュースAERA 2008年6月2日号 現地取材「3千円のクズガニが1万2千円」 カニカニ商法中身スカスカがあります。

2) 消費者庁

福田内閣メールマガジン(第32号 2008/05/22)には、「消費者を守る新しい組織である「消費者庁」を、できるだけ早期につくりあげます。」と書いてあります。消費者庁設置を求める意見書としては、この2008年2月15日付け日本弁護士連合会の「消費者庁」の創設を求める意見書があります。

日弁連の意見書10ページ目には、「3 消費者行政機構の現状と問題点」として、以下のようなことが書かれています。

(1)わが国の消費者行政は、多数省庁が業界を行政上の取締法規によって監督することによって行われている。・・・・消費者被害の防止よりも企業の被る損失や企業活動への悪影響を懸念し、規制権限を適切に行使しない事態が消費者被害を深刻にしてきた。さらに、複数の省庁に係る重大あるいは複雑な問題の場合には、総合的な対策の企画・立案が必要となるが、そのような権限のある機関がなく、迅速に適切な対応をとることができず、問題が深刻化する。

(2)消費者政策の企画立案は、内閣府が担当している。しかし、この事務は、分担管理事務とされており(内閣府設置法4条3項36号)、・・・・端的に言えば、関係省庁の意に反した立案はできないのである。これに対して、・・・横断的な企画調整機能を担う内閣補助事務(同法3条1項、4条1項・2項))に関しては、特命担当大臣の関係行政機関の長に対する資料提出・説明要求・勧告・勧告に基づく措置の報告要求・勧告事項に関する内閣総理大臣への意見具申などの権限が付与されている(同法12条)。しかし、消費者問題のなかで内閣補助義務と位置付けられているのは、「食品の安全性の確保を図るための環境の総合的な整備に関する事項」(同法4条1項16号)「食育の推進を図るための基本的な施策に関する事項」(同項17号)などに限られている。・・・・・・

でも消費者庁ができるのだろうか福田さん!というのが今の政治の現状でしょうか?この共同47ニュース 5月16日 消費者庁に20法令移管 閣僚折衝へ政府原案には、「いずれの法令も関係省庁の権限の源泉だけに「霞が関」は徹底抗戦の構えで、首相が最終段階で指導力を発揮できるかが焦点になる。」と書いてあります。

3) 消費者行政

消費者基本法があるんですよねと言いたい。消費者基本法第2条1項と第24条を書きます。

2条1項 消費者の利益の擁護及び増進に関する総合的な施策(以下「消費者政策」という。)の推進は、国民の消費生活における基本的な需要が満たされ、その健全な生活環境が確保される中で、消費者の安全が確保され、商品及び役務について消費者の自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供され、消費者の意見が消費者政策に反映され、並びに消費者に被害が生じた場合には適切かつ迅速に救済されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として行われなければならない。

24条 国及び地方公共団体は、消費者政策の推進につき、総合的見地に立つた行政組織の整備及び行政運営の改善に努めなければならない。

消費者基本法に従って政府が行政を実行していないので、問題が起きているのかなと思いました。少なくとも事故や被害発生等に関する広報活動は積極的にすべきであり、法令移管がなくとも消費者のために活動を行う組織を政府の中に作って、活動しながら改善をしていかないと進まないと思いました。

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2008年5月24日 (土)

日米の経済比較

5月16日に内閣府経済社会総合研究所から2008年第1四半期のGDP速報(1次速報値)が発表され、約半月前の4月30日に米商務省(US Department of Commerce)から米国GDP第1四半期の速報値(GROSS DOMESTIC PRODUCT: FIRST QUARTER 2008 (ADVANCE))が発表されています。

1) 日本の景気は良いのか?

5月16日の新聞報道ですが、以下の様なのがありました。(毎日は社説です。)

読売 日本経済成長加速→1~3月期GDP、年率換算で3・3%
朝日 1~3月期GDP、年率3.3%増 3四半期連続プラス
毎日 社説:GDP成長率 景気、物価両にらみの時だ
日経 2008年度の実質成長率1.3%に・NEEDS予測

おそらくは、読売の記事にある「米国経済の減速などの影響で、今後も順調な成長が続くかどうかは不透明」との見方をされておられる人が多いのではと思います。

4月30日の米国GDPについての報道を掲げておきます。

日経 5月1日 1―3月の米実質GDP、0.6%成長――住宅や消費の不振続く

2) 日米比較

2003年からの5年間についての日米GDPの伸び率、即ち経済成長率のグラフを書いてみました。

Gdp200805

2008年第1四半期の前期比GDP成長率(年率換算)は、日本が3.3%、米国が0.6%なので、これだけだと日本が断然良いと感じるのですが、グラフに書いてみると異なった姿が見えてきます。直前の四半期と比べた場合は、季節調整を行っても3月と期間が短いので、調整しきれないのではと私は思います。

上のグラフで波線で現したカーブが、前年同期比でこちらの方が、安定したカーブになっています。前年同期比を2008年第1四半期で日米比較をすると、日本が1.1%で、米国が2.5%です。日本は、サブプライムで騒いでいる米国より悪いのです。そこで、次が2003年第1四半期を100として書いた実質GDPの推移グラフです。

Gdp2008051_2 

やはり、日本経済の方が、問題が多いのではと感じてしまいます。

3) 民間住宅投資

米国ではサブプライムローン問題が大変であると報道されています。確かに、金融関係では大幅な人減らしとボーナスカットが実施されています。そして、住宅関連の建設を初め、住宅設備関係も不況です。しかし、これもグラフを書いてみると少し異なった絵が浮かんできます。

Gdpresidential200805

サブプライムローン問題が表面化したのは、2007年7月28日のエントリー株価・為替・金利の動向で書いたように、2007年7月中旬です。上のグラフからすれば、2007年7月中旬は米国の住宅投資が2003年初めの水準に落っこちてきた頃です。しかし、米国では2006年に入った頃から、住宅投資は減少を始めていたのです。言ってみれば、その頃から新規住宅金融が減少をしていたのであり、サブプライムローン問題の端緒が始まっていた。

日本は、住宅を見ても米国より事態が悪いように思えます。2007年に入っての落ち込みは姉歯ショックでしょうか?そんな単純なものではなく、個人の収入が伸びないことから住宅投資も長年伸びてこなかった可能性があると思います。

4) 家計最終消費支出

個人の支出である家計最終消費支出がどうであったのか伸び率を見たのが次のグラフです。更に、2003年第1四半期の支出を100として書いた推移グラフをその下に掲げます。

Gdp200805houseconsr

Gdp200805housecurv

上のグラフは平均を示しているのであり、貧困層と富裕層で異なるかも知れません。むしろグラフを書いてみると、昨年の初め頃まで言われていたいざなぎ超える好景気と言うのが嘘であったような気がしました。欺されていたのでしょうか?

サブプライムローン問題なんて、実はたいしたことはないのではと思うのです。むしろ、食料価格やエネルギー価格、その他資源価格の高騰の方が、本当は経済に与える影響が大きいのだと思います。そして、影響力を考えた場合、石油メジャーに代表されるように米国は石油・ガス価格の高騰はマイナスのみに働くのではないのです。食料についても同じで、全て日本経済の方が不利であると思います。

スイスの有力ビジネススクールIMDが「2008年世界競争力年鑑」を発表しましたが、日本は22位です。1位米国、2位シンガポール、3位香港と続き、アジアの国で日本より順位が高いのは台湾13位、中国17位、マレーシア19位です。日経の5月15日の記事日本の競争力22位に上昇・08年、スイスのビジネス校調べがあります。又、順位表は、ここにあります。

日本経済は、多くの問題を抱えている。何も解決していないとの気がしています。例えば、本日は、このあたりにして、時間がかかるかも知れませんが、これから先に書き続けたいと思います。

最後に、日米のGDP速報が記載されているWebを書いておきます。

日本:http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#qe
米国:http://www.bea.gov/national/index.htm#gdp

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2008年5月14日 (水)

ニイウスコーの推理

ニイウスコーと言っても、余りご存じないかも知れません。でも、「日本IBMと野村総合研究所(NRI)によって設立されたニイウスは、最先端のハード、アプリケーション、それに高度なSEサービスを組み合わせた事業展開のもと、情報システムを構築するソリューション・プロバイダ」と言えば、どうでしょうか?ITプラス野村の知的ノウハウがたくさん蓄積された素晴らしい会社と思いませんか?

上の会社紹介は、ニイウスコーの代表取締役副社長割方 美奈子氏が日経BP社の「IT業界に就職するための完全ガイドIT業界徹底研究2007年版」のインタビューに答えて同氏が話した言葉です。その記事はここに同氏の写真と共にあります。

ニイウスコーは、実は現在有名会社でして、東証一部上場で(現在東証2部)、架空循環取引が発覚しているIT会社で、4月30日に民事再生手続開始の申立てを行ったことから脚光を浴びています。(申請したのはニイウスコーとその子会社ニイウスですが、このブログの中では合わせてニイウスとします。)関連の記事のリンクをあげておきます。

読売 4月25日 ニイウスコー、循環取引繰り返し300億円過大決算の疑い(リンク切れ?)

Net IB 05月02日 売上水増しの「循環取引」にのめり込んだ日本IBM、野村総研が母体のニイウスコー

私の、日本語の使い方が、乱れているようです。脚光とは、良い意味の場合に使うはずが、失礼いたしました。でも、この会社を見ていくと私の頭では、ついて行けない部分がありすぎまして、そのあたりを書いてみます。

1) IT株は恐ろしい

ニイウスコーの株価は本日304円でした。5月2日に民事再生手続開始決定が出され、認可されるかどうかは不明です。チャートを見ると言葉につまります。

Niws20080513

コンピューター・ソフトって本当に難しいです。例えば、読売 5月12日三菱UFJ システム統合初日に障害といったこともありましたし。IT会社の株なんて、素人が手を出せるような物ではなく、玄人だってダメだったりすると思います。日本IBMや野村総研なんて名前でも、手を出してはならないことを示しているサンプルではないでしょうか?

なお、IT技術者として生きていきたいと考えておられる方々について、私はITは未来を切り開く重要な産業だと思っています。IT産業は今後も続くし、社会にも役に立ちます。でも、投資対象として考えると難しい面がたくさんあると思います。IT技術者の方々の活躍には今後も期待します。

2) 日本IBMと野村総研

現在のニイウスコーの大野 健社長は卒業後すぐに野村総研に入社した野村総研の出身です。行きがかり上そうなったのだと思いますが、私にとっては野村総研がITには、必ずしも直接に結びつきません。

大野 健氏の前任は末貞郁夫氏で、この人は、1992年のニイウスコー設立以来社長を務めていました。(ここで中断。上に上げた読売の記事のリンクが突然切れました。その代わりに、日経IP Proの記事です。IP Pro 2月14日 ニイウスコー、不正取引の疑いで中間決算発表を延期)

ニイウスコーが4月30日に発表した「調査委員会の調査結果概要と当社としての再発防止策について」という文書がここにあります。この中で、架空循環取引が存在したことを認めています。「過去5期にわたる調査とそれに基づく過年度修正の結果、合計56取引、売上金額総額682億円の不適切取引が行われていたこと、当期利益への影響額は277億円であったことが判明しました。」と書かれています。

その原因の一端として「営業部門へは、達成不可能とも思われる高い社内予算を課す代わりに、その達成率に応じて高額な給与またはボーナスの支給を保証してきたことが明らかになっています。その結果、営業担当者らは、不適切な取引によるか否かは別として、目標達成と高額なインセンティブの取得へと邁進してきました。」とも書かれています。

「達成率に応じての高額な給与またはボーナスの支給」とは、IBMの体質そのものと思います。東洋経済 5月13日 惑・ニイウスコーの破綻とIBM、トーマツの影 は「成績優秀な営業マンに海外旅行を与え、業績連動報酬は最高で数千万円にも上った。」と書いています。休暇をくれて夫婦で会社負担での1週間の海外旅行なんてあったら、家に帰ったら女房から「○○さんのように、あなたも頑張りなさい。」と毎日言われたりして。

業績連動給は、恐ろしいです。下手をすると人間性を失います。

3) 医療事業撤退207億円

2007年6月期は、139億円の純損失ですが、医療事業撤退207億円が含まれています。医療関係の同様なニュースとしては日経 3月29日 偽造の「丸紅保証書」で投資、米証券が240億円回収不能を思い出します。

私の10月27日のエントリー 廃止候補の201病院を見れば、医療は大変ですし、10月 4日のエントリー 医療の国際比較を見れば、日本の医療は最高の医療が最低の金額で得られるのですが。経済財政諮問会議では、日本の医療は非効率である。だから、IT等を導入して効率化すべきといった議論もなされていました。少し古いですが、2002年の国際医療福祉大学の阿曽沼教授のプレゼンのスライドに次の絵があります。

Photo

電子カルテといった文字が浮かんできます。医師の数を増やさないでIT化して、解決するのでしょうか?2)で書いた「人参の馬」には、社会のためといった発想は生まれてきません。

私には、ニイウスコー、丸紅、リーマンなんて皆、医療の発展なんて考えていない。ただ、自社が金儲けするだけを考えたのではないかと。だから失敗する。ビジネスで成功する秘訣は、そのビジネスが社会のために役立っていることだと思います。

4) 何故11月に200億円の増資?

上の1)、2)、3)は、「さもありなむ」です。でも、2007年11月の200億円の増資は、闇に包まれています。何故倒産が予想される会社に200億円もつぎ込むか?200億円つぎ込んだのは、ロングリーチグループ(175億円)とフェニックス・キャピタル(25億円)です。ロングリーチグループはケイマン島の法人ですが、元をたどれば日本かも知れません。フェニックス・キャピタルは日本の株式会社でこの会社です。でも、単純に欺されたのでしょうか。

ニイウスコーの貸借対照表を見ても資産に計上されているもので価値があると思えるものは、ほとんどありません。2007年6月末で41億円の債務超過であったのが、200億円の増資で159億円の純資産となったものの、資産総額667億円を正当に評価すれば無茶苦茶になるのは目に見えています。それなのに金を出したのは誰か?何故か?であります。

もっと恐ろしい裏があるように思えたのです。

私は、ニイウスコーは生き延びないと思っています。ニイウスコーには子会社を含め600名以上のシステムエンジニアが働いていますが、エンジニアにとってニイウスコーに止まる必然性が感じられないからです。むしろ見切りを付けて、新しい勤務先を見つけるのが重要であって、下手をするとニイウスコーの資産であるソフトだってこっそりコピーしてとりあえず個人で保管しておくなんて。ソフト会社が倒産すると、重要ソフトも盗まれてもぬけの殻になる。最も、倒産会社にソフトのみが残っても無価値の資産である。

だから生き延びさせるための手段であった。そうすると資金の出し手は日本IBMが一番くさくなる。但し、日本IBM1社ではなく野村総研も加わっている。だから、200億円増資後は社長が野村総研出身の大野 健氏となった。銀行も、その結果支援を継続するはずであったが、足並みが乱れ民事再生手続開始の申立てとなってしまった。だから、4月30日のプレスリリース民事再生手続開始の申立てに関するお知らせには、「今般、一部の金融機関からの賛同が得られず」と書いてあった。

こんな推理をしてみました。

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2008年5月12日 (月)

年内に総選挙ですか?

次のような記事を見たものですから。

朝日 05月11日21時08分 税制改正を争点に年内にも総選挙 自民幹事長が示唆

可能性は、当然あると思います。もしかしたら、自民・民主のリッシャッフルなんて可能性もあったりして。税制改正が争点と朝日の記事は言っていますが、それが全てではないにしろ、大きな争点になるに違いないと思います。

1) 現状の税収

国会で成立した平成20 年度一般会計の租税及び印紙収入予算額は次のグラフの通りです。

20

所得税16.3兆円、法人税16.7兆円、消費税10.7兆円でこの3つの税だけで43.7兆円あり、税収の81.5%を占めます。改正するなら、この3つの税をどうするかが一番問題となるはずです。

2) 所得税

所得税を単独で考えるか、消費税と合わせて考えるか、またさらには年金、健康保険も含めて考えるかにより、アプローチが変わるのかも知れません。私は、所得税、消費税、年金保険料、健康保険料の全てを合わせて考えるべきと思っています。

所得税単独での議論では、最高税率が40%で地方税の10%を合計すると、これ以上高い税率はあり得ないとの議論が出てきます。しかし、年収3百万円の人は、確かに所得税はほとんど払っていないかも知れないが、家賃を除けば、ほとんどの支出には消費税を払っているわけで、地方税も合計すれば年間45万円程度払っているのではと思います。そうすると15%です。もっと低所得の人は更に余裕のない生活になってしまう。

社会保険料は、低所得者への減免措置はあるが、累進構造になっていない。基本的には、所得税率の引き下げは、低所得者を直撃する。それが現実に起こったのが、定率減税の廃止で、一方で定率減税と同時に実施した高額所得者の減税(累進税率の高い部分の廃止)は、元に戻しませんでした。

累進構造を持った所得税を社会が、どの上手に使いこなせるかが、今後の日本社会の発展に重要だと私は思います。なお、自営業者の所得が捕捉されないからとの議論は、私は嘘八百と思っています。税務署員は、そんなに甘くないし、職務を立派に果たしておられると思います。昔は、ビジネスの決済が現金でしたが、今は銀行振り込み、クレジットカード、手形小切手を含め銀行口座を経由する方法です。基本的に、所得をごまかしにくい社会になっています。

3) 消費税

高福祉社会を所得税増税だけで実現は困難と思います。どうしても消費税増税をせざるを得ない。その時に、年金の掛け金や健康保険料をどうするのかがポイントと思います。消費税が増税になったとしても、社会保険料が同額安くなればよいのです。上の表の消費税は地方消費税を含まない金額ですから、4%の基準です。1%の増税は約2.7兆円の税収増になります。

ジュリストの2008年5月1日号は、【特集】国家は撤退したか?―「規制緩和」と「リスク社会」です。誰のための国家であり、政府であるか。そんな国家なら政府なら必要ないと言えないのです。無政府状態とは、何をしても犯罪を構成しなくなるわけで、弱肉強食以外の何ものでもない。小さな政府論は、聞こえはよいのですが、ライオンが子羊にささやいている恐ろしい言葉ではないかと思えます。

4) 法人税

諸外国よりも高いとの意見を聞くことがあります。しかし、単純ではありません。例えば、中欧のスロバキアですが、所得税、付加価値税、法人税全て19%です。しかし、社会保険料は会社負担35.2%で個人負担13.4%です。背景として、社会主義国から市場経済へ移行したが、計画主義経済で競争力ある産業が存在しなかったことから、外国から企業誘致を推進し、国民の雇用確保に努めることが最重要政策でありました。それと、社会主義で国営企業のみの産業構造の場合は、国営企業の収益金が国庫収入になるのですから、税の概念が異なってきます。税徴収がスムースに行かなければ、公平な税が成立しませんから。

日本は、日本として法人税をどうするかを考えるべきと思います。法人税の特徴は、赤字企業は支払う必要がないことです。それと、法人の利益は最終的には、個人に回ってくることとなるが、法人税率が低いと、個人には回さず、法人に留保することが有利になってしまいます。法人税率を下げても、それが労働者の賃金に回ることは絶対なく、賃金は税が決定するのではなく労働市場が決定する。

同様に、非正規雇用が話題になりますが、労働市場が決定している面があるのであり、法人税を増税して非正規雇用者のセーフティー・ネット整備に支出するとの考え方もあるのではとも思います。

5) 小さな政府・大きな政府

小さな政府を目指した結果は、格差社会と理想を失った社会になってしまったのではと思います。勿論、むやみに大きな政府が良いのではなく、適切な政府が良いはずです。

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2008年5月 7日 (水)

後期高齢者医療制度

「長寿医療制度」の間違いではないかって?厚労省が、そう言っているかも知れませんが、法律の名前が、「高齢者の医療の確保に関する法律」(リンクはここ)であり、その50条で、「次の各号のいずれかに該当する者は、後期高齢者医療広域連合が行う後期高齢者医療の被保険者とする。」と定め、次の各号は(1)75歳以上の者と(2)65歳以上75歳未満の障害者としています。

衆院山口2区補欠選挙において、後期高齢者医療制度が始まったことも、選挙結果に影響したとの噂ですが、ゴールデンウィークが明けようとしていることから、ここらで現実に戻って、後期高齢者医療制度をよく見てみます。

1) 何故75歳で線を引くか?

人の医療費は、その多くを死に至る直前に支出しているのが、現状であると理解します。次の、グラフは、1948年生まれの人の将来の人口予測です。(国立社会保障・人口問題研究所による「将来推計人口」による。)

Lifeexpect1948

現在60歳であるとして、将来75歳になっても85%の人たちは健在です。それと、将来の人口構成を見たのが次のグラフです。データ元は同じです。

Age75population

現在日本の人口は127百万人程ですが、既に減少傾向に入っており、2021年頃に1.2億人にを切ることになる。75歳以上の人口は、現在10.4%ですが、20年後の2028年には19.3%と20%近くなると予想されます。

対策を考えるなら、75歳で線を引くことになるなという感じです。

しかし、重要なのは、分析したり、検討したりする場合の線と制度を構築する際の線が同じである必然性はないし、制度は制度で何がよいかを検討するのが本来であると思います。大嘘を、そのままにして、名前を「長寿医療制度」なんて呼ぶのは、悪いことと思います。

2) 医療費抑制が目的

参議院厚生労働委員会で法案の審議が、2006年5月23日に始まりましたが、その時の西島英利委員(自民)の質問とそれに対する水田邦雄君厚生労働省保険局長の答弁によく出ています。(国会での答弁の通りに、国民に説明をしないのは、国民に対する裏切りみたいに思えるのですが)

西島英利君 ・・・・もうちょっと時間はございますけれども、高齢者医療制度の、特に後期高齢者医療制度につきまして、本来この後期高齢者医療制度は、ある意味では医療費の適正化のために実はつくられた制度と私は理解をいたしております
 ですから、75歳以上の医療はみとりの医療なんだというふうに考えまして、ある意味では包括的な医療ということにしたらどうかというのを、当時私が日本医師会に在籍していましたときに自民党に御提案申し上げて、健康保険法の附則の中に書き込んでいただき、今回制度化されているというふうに私は理解をいたしております。
 となりますと、まさしく医療費適正化のための一つの方法でございますので、まさしくこの後期高齢者医療制度が導入されて、どのくらい、じゃ医療費の適正化が行われるのかと、本来やっぱり数値は出していかなきゃいけないはずでございますけれども、まだ厚生労働省の方からそういう数字はほとんど聞いておりません。
 この件について何か御見解があればお教えいただきたい。

水田邦雄君 ・・・・・後期高齢者に係る医療費につきまして申し上げますと、2015年、平成27年段階で、改革を実施しない場合医療費ベースで18兆円という見通しが、改革の実施後は16兆円、それから2025年段階では、改革前で医療費ベースで30兆円との見通しが、改革実施後は25兆円と、このような数字を医療費について持っているところでございます。

3) 誰が得をする制度か?

厚生労働省は、保険料は10%負担で、50%は公費(政府・都道府県・市町村4:1:1)と40%を国保、組合健保、政府管掌保険が負担とすると言っていますが、40%の既存健保の負担に人頭割が含まれています。組合健保は、基本的には大企業です。人件費が高いと負担割合が低いのです。だから、保険料率も組合により3%~10%と開きがあります。人件費が高い保険料率の安い健保組合は、後期高齢者制度が始まって、ウハウハかも知れません。

しかし、参議院厚生労働委員会の議事録を読んでも、不思議なことばかりです。2006年5月30日の朝日俊弘委員(民主)の質問に対する川崎厚生労働大臣の答弁です。

川崎二郎君 特定保険料の負担でございますけれども、高齢者医療制度においても過度のものとならないよう、後期高齢者支援金の割合は制度発足時は給付費全体の約四割になりますけれども、若い人口が減っていく、我々が後期高齢者になっていく、その割合が減少していく仕組み、我々が増えれば、若い人口の減少を勘案して、その割合が減少していくと
 
それから、個別の保険者ごとに見て支援金等の負担が著しく重い保険者については、著しく重い部分について全保険者で再案分する措置、負担調整措置を講ずることといたしております。
 また、健保組合等は医療給付や後期高齢者支援金等に要する費用の見込額等を勘案した上で医療給付等を不足なく行えるよう保険料率を定めることになりますが、特定保険料率と基本保険料率が特に高い水準となる健康保険組合に対しては、これまでと同様、給付費等臨時補助金も活用してまいりたいと。すなわち、事実上赤字になるところには国の方から調整をすると、このようなことを考えております。
 ずっとその後どうなるかと。そこにつきましては、将来における医療費の動向、健康保険組合等の財政状況を見極めた上で、中長期的な課題として今御指摘いただいたことは考えなければならないだろうと、このように考えております。

日本の医療保険の負担は、いびつな形をしている部分があり、本来は、そのような部分を改善していくはずが、そうではなく、破滅に向かっているのが、後期高齢者医療制度である気がします。制度が維持できなくなることが予想されるからです。75歳で一端線を引いたら、「高齢者は高齢者で何とかしろ」との声が強くなる可能性があります。そうなると、一人あたりの医療費の制限をせざるを得なかったり。混合診療解禁へも向かうと思います。

混合診療解禁でよいではないかと思われる方もおられるでしょうが、混合診療解禁の裏に潜むのは、後期高齢者医療制度よりもっと恐ろしい面もあり、別途何時の日がエントリーをたてたいと思います。

4) 国会審議

2005年9月11日が郵政民営化衆議院選挙で、与党の圧勝でした。それを引き継いで、後期高齢者医療制度が盛り込まれた「健康保険法等の一部を改正する法律案」が衆議院に2006年2月10日に提出されました。衆議院厚生労働委員会は5月17日に強行採決で、翌18日に衆議院本会議で可決され、参議院本会議可決が6月14日、公布が6月21日でした。

5月18日の衆議院本会議の議事録の一部を少し覗くと次の様でした。(自民、公明は発言をしませんでした。)ねじれ国会は、よいものだという気がします。ガソリン税の暫定税分は少なくとも一般財源になりましたから。

民主党の郡和子でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の健康保険法等の一部を改正する法律案及び良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。(拍手)
 この国に民主主義はないのか、医療はだれのものなのか。
 昨日の厚生労働委員会での与党による強行採決は、国民を愚弄し、政治を私物化するものであります。二〇〇二年の健康保険法改正案のときには五十六時間の審議が行われましたが、しかし、今回はまだ三十四時間にすぎません。国民を代表して、断固抗議するものであります。(拍手)
 政府のこれまでの失政により、日本の医療は今壊滅の危機にさらされています。理想の医療、それは、国内のどこででも、いつでも、最善、最良の医療を無理のない金銭負担で、安心して受けられることです。医師を初めとする医療従事者と患者、患者家族との間で培われた確かな信頼関係の中で、平等、公平に受けられる医療、この日本が世界に誇るべき医療体制は、政府の失政により崩壊の一途をたどっております。

高橋千鶴子君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法及び医療法の一部改正案に対し、反対の討論を行います。(拍手)
 まず最初に、本法案は、国民の命と健康にかかわる極めて重大な法案であるにもかかわらず、昨日の厚生労働委員会において、自民、公明の与党が審議を打ち切り、採決を強行する暴挙を行ったことに、満身の怒りを込めて抗議をするものであります。(拍手)
 小泉構造改革のもとで、国民健康保険の保険料を払えない世帯がふえ、保険証の取り上げが三十二万件に達するなど、国民の命と健康は重大な危機に直面しています。
 本法案は、医療給付費の削減を至上の命題とし、高齢者を中心に患者負担を拡大する、都道府県には入院日数の短縮目標を義務づけ、高齢者医療制度を創設して新たな負担増を打ち出すものであり、しかも、産科や小児救急を初めとする地域医療の拡充、医師の確保や看護師の充足など、国民の切実な声である医療供給体制の充実とはほど遠い制度改悪となっています。
 本法案に反対する第一の理由は、高齢者や重症患者への情け容赦ない負担増と医療の切り捨てが強行されることであります。
 ことし十月から、高齢者の窓口負担は現行の二割から三割になり、療養病床の食費、居住費も保険適用から外されました。また、新設される高齢者医療制度では、年間六万円もの保険料が年金から天引きされ、滞納すれば保険証の取り上げもするというものであります。

日森文尋君 私は、社会民主党・市民連合を代表して、健康保険法等の一部を改正する法律案、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案、この両案について、反対の立場で討論いたします。(拍手)
 まず、冒頭、昨日、厚生労働委員会において、国民の命に直結する本重要法案を政府・与党が強行採決したことに対し、満身の怒りをもって抗議をいたします。(拍手)
 本法案は、政府の財政支出の削減のみが目的です。公的医療の範囲の縮小、削減は、国民共有の財産である国民皆保険制度を縮小し、所得による医療格差を持ち込むものです。医療費適正化は避けて通れない重要な課題ではありますが、本法案の基礎となる医療費の将来推計、健診効果による抑制効果は、正確な根拠に基づいたものではありません。
 また、医療改革において最も優先すべきは、国民の立場に立った医療の中身の改善と医療提供体制の構築、そして国民の信頼を得る医療保険制度の充実です。政府が、これらに対する明確なビジョンも戦略も何ら示さないまま、国民、患者、医療現場、そして地方に負担と責任を一方的に押しつけることは断じて許されません。

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2008年4月26日 (土)

揚げ足取りで、ごめんなさい

衆議院山口2区の選挙が明日の27日にです。今月の大きな政治課題の一つがガソリン税です。税制法案は、山口2区の選挙結果には関係なく、衆議院で3分の2以上の再可決になると私は思います。

読売 4月26日 暫定税率復活へ、自公が30日再可決を正式表明

揚げ足取りとは、公明党の選挙公約です。私も、公明党の昨年の参議院選に当たってのマニフェストで、この公明党のWebにありますが、10ページ目の下の、「(5)ユーザーの立場で、自動車関係諸税を見直し」という部分です。

■自動車関係諸税は、公共事業5カ年計画や道路特定財源のあり方の検討にあわせ、見直します。その際、特に自動車重量税については、その財源が本来の道路整備事業に活用されていない現状にかんがみ、例えば、暫定税率の引き下げにより納税者に還元することや、その使途のあり方を検討することなど、見直します。

「見直します。」だから、「見直した結果、重量税は、やはり必要です。」と言うのも、間違いではないが、普通に読めば、「廃止します。」なのだろうと。

私は、1月17日のエントリー 揮発油税の扱いなどで、揮発油税、軽油取引税は税率は現状維持とし、一般財源化すべきと書いてきました。重量税については、触れませんでしたが、こんな変な税金こそなくすべきだと思います。

でも、公明党は、マニフェストに書いておいて、知らないうちに触れずじまい。素知らぬ顔を決め込むのでしょうか?

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2008年4月12日 (土)

福島交通会社更生法を申請

昨日福島交通が東京地裁へ会社更生法の適用を申請しました。負債総額は福島交通(株)が約73億9000万円で、同時に会社更生法の適用を申請した関係会社の福交整備(株)が約7億1700万円であり、2社合計で約81億700万円です。

福島交通(株)の路線は、福島交通のWeb(ホームページはここ)から拝借しましたが、以下のように、福島県の郡山を中心とした中通りであります。

Photo

直ちにバスが運行を停止したり、鉄道が廃線になったりすることは考えられませんが、ある程度から先のことは何の保証もないと考えるべきです。そうすると、一番困るのは利用者で、特に他に交通手段を持たない老人や弱者だと思います。

ガソリン税・軽油取引税等の暫定税率のことを何度も書きましたが、道路とCO2対策なんて言わないで、最も重要な公共交通機関の維持を図るべきです。インフラは重要です。インフラがなければ、人々の生活は貧しいものです。そして、発展も産業も意味はありません。少し前に、「改革なくして・・・」と言った人がいますが、これを「インフラ」に置き換えればよいのです。

今後、更生計画が検討されていきますが、その中でバス路線の廃止、運転本数の減少、鉄道の廃止も検討対象になることは間違いがないし、地方自治体からの補助金額の増額も検討対象になってくる。再建する一番手っ取り早い方法は、金が稼げる路線を残し、赤字路線は撤退し、現在800人近くいる従業員を減らすことです。それでよいのですか、福島県中通りの皆さん?ということですが。でも、発言する場が、限られるかも知れませんね。地方自治体は、税収不足、交付金削減、三位一体とか言われていじめを受けて「袖を振りたいが、振る袖なんてありません。」という状態でしょうか。

そのような中で、政府・県・市町村が年間1億6千万円の補助金を支出していました。これについての報道は、この河北新報 4月12日 旧経営陣の負債重荷 福島交通破たんにあります。又、どの路線に対して払われていたかは、この福島交通のWebにあります。

日本の田舎は美しいと思います。そして、人間的な暖かみをもった人たちが、そこに住んでいます。そこに、バスも走っていて欲しいと思います。

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2008年4月 2日 (水)

インドのタタ自動車

インドのタタのナノの驚異というエントリーを書いたのは、1月21日でした。あれから、2月半ほど経過しましたが、その後のニュースとしては、次の話題があります。

産経MSN 4月2日 インドのタタ自動車、今夏に東証上場

日経 3月26日 印タタ自動車、英ジャガーとランドローバーを買収・フォードと基本合意

思ったより展開が早いですね。インドの力強さをみなぎらせているみたいです。本日は、またタタ自動車(Tata Motors Ltd.)について。

1) 東証上場

NO PROBLEMですね。何故なら、1月21日のエントリーにも書きましたが、ニューヨーク証券市場(NYSE)にADR(American Deposit Receipt)を上場していますから、NYSEでのADR上場の基準をタタは満たしており、且つ米国基準で作成された監査済み財務諸表を含め必要な情報開示を実施しているからです。NYSEで上場が大丈夫なら、東証でダメとは考えにくいです。

タタが東証で上場しようというのは、ADRの日本版JDR(Japanese Depositary Receipt)で、読売 2007年4月25日 日本型預託証券 年内実現へに読売新聞の記事で説明があり、「JDR上場は年内にも実現」と書いてありました。少し遅れて、この夏からと言うことでしょうか。

私は、アジア株を日本の証券取引所で取引を容易にすることは良いことと思います。タタ株が現在取引できないわけではなく、日本の証券会社経由で、あるいは直接インドの証券会社を通じてタタ株をインド・ルピーで売買できるし、必要な手数料を支払えば済むわけですから。しかし、東証に上場していれば、東証と証券会社の手数料だけで済みますから、多分安いはずです。アジアの株式がJDRという形を含め、日本でたくさん上場してくれれば、面白いと思います。今、XX国は金融引き締めに入った。だから、AA株は手放して、YY国で資源をもっているBB社の株を買うかなんてことになります。

金融の世界でも、日本にリードして欲しいというか、アジアのお手本になるような市場になって欲しいと思います。

2) ジャガーとランドローバー

会社ではなく、自動車のブランドとその製造事業の買収です。だれから買ったかというと、フォードからです。タタ自動車とフォードのプレスリリースを掲げます。

フォード 3月26日 プレスリリース
タタ自動車 3月26日 プレスリリース

フォードは約23億ドル(2300億円)で、タタ自動車に売却するのですが、次の記事によればフォードが買収した時の半分にも満たない額と書いてありますので、これを安いと考えるか、高いと考えるか。少なくも事業を買ったときより安く売るのは、その事業が損失を生んでいる事業の場合です。

NBOnline-BusinessWeek 4月2日 ジャガーとランドローバー、タタに売却

次の記事は、興しろいですね。昨年11月の時点で、方向が見えていたようです。

日経WOMAN11月22日 「ジャガー」労組、印タタ自動車による買収支持・米紙

16000人の従業員を引き継ぐことになりますが、この従業員のために6億ドル(600億円)の年金資産をフォードが追加拠出することが条件ですから。従業員にすれば、1人あたり4百万円近くの年金支払いが、確実になる。逆に言えば、肩たたきをされやすくなるかも知れないが、年金を確実に受け取れるようになることは最高です。

タタ自動車は、簡単に首切りなんかしないでしょうが、労務問題が少なくなっていることは、歓迎するはず。そして、何よりもタタにはない高級車ジャガーと高級四駆ローバーのブランドを手に入れましたから。かつての宗主国のブランドです。どう発展させていくか、フォードが持っているより、よほど楽しみが増えた気がします。

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2008年3月31日 (月)

リベラルとは

悲しいニュースを見たものですから。

MSN産経 3月31日 18:46 東京での「靖国」上映中止に 「近隣に迷惑の恐れ」

この前のニュースとしては、次の朝日を見てください。(但し、Web魚拓です。)

朝日3月18日「靖国」上映を中止 東京の映画館

3月18日の時点では、東京・新宿の「新宿バルト9」が上映を取りやめ、他の都内3館、大阪1館は予定通り上映と言うことでした。ところが、本日は、銀座シネパトス、シネマート六本木、Q-AXシネマ(渋谷区)とシネマート心斎橋も上映を中止したとのことで、全滅しました。

これだけでは未だ解りづらく、3月9日と3月13日の朝日の記事を見てください。(両方とも、Web魚拓です。)

朝日3月9日 靖国映画「事前試写を」 自民議員が要求、全議員対象に
朝日3月13日 映画「靖国」の助成、文化庁「取り消しは難しい」

朝日の3月18日の記事のように、自民党の稲田朋美衆院議員と、同議員が会長を務める同党若手議員の勉強会「伝統と創造の会」(41人)が試写会を要求し、映画を見たら圧力をかけ始めて、最終的には予定されていた通常の映画館での上映までが全てなくなったという話です。

稲田議員とは、ここにホームページがありますが、福井1区の小泉チルドレンです。

自由と民主主義を壊す巨悪の存在を感じます。映画館にも右翼が圧力を掛けたのでしょうか。日教組のグランドプリンスホテル新高輪を予約したが、ホテルから右翼団体による妨害行為の可能性などを理由に、契約の解除を求めていた。ホテルは「街宣車が集まるなど大きな騒ぎになる恐れがある。」と説明したという報道を思い出します。

右翼が動けば思い通りになると言うのは、イラクかアフガニスタン並みの治安になってしまったのでしょうか。悲しいことです。自由と民主主義を実現していきたいものです。自由と民主主義の敵である稲田議員と41人の伝統と創造の会の議員には直ちに国会議員を辞任して欲しいと思います。

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ガソリン・スタンドはどうするのか

明日でガソリンの暫定税率は一端課税されなくなるようですが、ガソリンスタンドはどうするのか考えると眠れなくなりそうです。(私は、ガソリンスタンドの経営をしていないから、大丈夫ですが)

1) ガソリン税は製造場から移出時に課税

先ずは、ニュースを一つ。

共同 3月31日09:45 ガソリン卸値22-23円下げ 出光興産など3社

記事の中にもありますが、「石油元売り最大手の新日本石油は4月1日以降、製油所から出荷されるガソリンの卸価格を暫定税率分の1リットル当たり25円10銭値下げするが、3月末までに出荷されて油槽所に保管されている在庫については暫定税率を含んだ税額を卸価格に上乗せする。」ということで、暫定税に相当するのは、25円10銭ですが、揮発油税はメディアが言う「蔵出し税」ではなく「製造場所からの移出時課税」です。

だから、複雑です。ガソリンを製造する場合には、税務署に届出をし、製造場所から保管用のタンクにガソリンを運搬して移したりしたのも含めて、移出した量を基準とする税務申告書を毎月税務署に提出して、納税します。

だから、出光興産、ジャパンエナジー、コスモ石油は、既に移出をして旧税率で1リットル当たり53円80銭の税を払ったガソリンがあることから22-23円の値下げと言っていると理解します。

2) ガソリン販売価格は?

自由価格です。誰も統制なんかしていません。もともと税が53円80銭だろうが28円70銭だろうが、いくらで販売しようと自由です。だから皆、安いガソリンスタンドへ殺到するのでしょうね。

3) ガソリンスタンドの競争は?

ここが問題でしょうね。1)の記事からすると

a) 新日本石油は何時から25円10銭の値日をするのか?4月X日Y時z分の出荷からでしょうか?厳密に適用すると、あるタンクローリーの半分は値引きなし、半分は25円10銭値引き適用なんてあり得るのでしょうか。それより、下がる前と後のガソリンが、どのガソリンスタンドに配達されるかで、運命が決まったりして。

多分、1月まとめて請求する段階で、公平になるように調整するのでしょうね。

b) 出光興産、ジャパンエナジー、コスモ石油の場合も、いずれは25円10銭の値引きをするのでしょうね。

大変なのは、ガソリンスタンドで、客は25円も値段が違えば、安い所に必ず行く。石油元売りの販売だったら、掛け売りだから、請求段階で調整は可能であるが、現金・クレジットカードに、「後で価格調整します。」とは言えませんから。

例えば、10キロリットルの在庫を持っていた。所詮値引きしても25万円をはき出すだけ。この在庫がなくなり、元請けから安いガソリンが入荷するまでは、値引きをしないと頑張っても、近くに25円10銭の値引スタンドがあれば、全く売れなかったりして、25万円の損どころか100万円以上の損を出したりする可能性があります。

一方、25円10銭の値引スタンドは、1リットル10円の祖利益があるなら、25キロリットル多く売れれば、トントンで、それ以上売れれば、儲かってしまう。それでなくても、ガソリンスタンドって熾烈な競争をしています。多分、多くのスタンドは25円値引きになるのでしょうね。そうなると、誰が得をしたのか、訳が分からなくなる。下手をすると、「課税に応じて販売価格を決めていく正直者が馬鹿を見る。」なんてことになるような気がしました。

元請けも、直営ガソリンスタンドを幾つかは持っているのであり、変な販売競争はしたくない。でも直営店での販売が伸びないのであれば、頑張ってばかりはおれないでしょうね。

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2008年3月30日 (日)

イラク戦争と石油

ガソリン・軽油の暫定税率をめぐる国会は、総無責任体制みたいです。しかし、国会議員のみを非難するだけでは済まず、実は多くの国民自身が人ごとのように考えているのではと思うのです。私なら、ガソリン・軽油の暫定税なんかなくしてくれるより、消費税を1%引き下げてくれた方が、よほど嬉しいですが。(消費税を1%を下げての減税額は2兆円程度ですから、ガソリン・軽油の暫定税の方が、金額が大きいがそれでも、消費税の方に魅力を感じます。)

暫定税率をなくしても税がなくなるだけで、石油が安くなるわけではない。イラク戦争も開戦から5年を超え、もしイラクから石油がもっと産出されていたならば、もう少し原油が安かったのではないかと思います。

1) イラクの原油生産量

ご承知の通り、原油の国別比較では埋蔵量でも、生産量でもサウジアラビアが1番です。埋蔵量の順で1番から10番までを並べたのが、次の表です。

  埋蔵量十億バレル 2006年
生産量
埋蔵量/
生産量
2008年2月
生産量
1 サウジアラビア 264 10,859 66.7 9,056
2 イラン 137 4,343 86.7 3,866
3 イラク 115 1,999 157.6 2,328
4 クウェート 102 2,704 102.8 2,550
5 UAE 98 2,969 90.2 2,582
6 ベネズエラ 80 2,824 77.6 2,392
7 ロシア 80 9,769 22.3  
8 リビア 41 1,835 61.9 1,770
9 カザフスタン 40 1,426 76.5  
10 ナイジェリア 36 2,460 40.3 2,062

生産量の単位は、1日あたり千バレルです。イラクは、埋蔵量で第3位ですが、生産量では第8位です。「埋蔵量/生産量」は、埋蔵量を生産量で割った数字を年に換算しており、何年で枯渇するかといった感じです。だから、イラクには増産の可能性ありとの感じです。上記は、BP統計(BP Statistical Report)2007年からの数字です。表の一番右端の2月の生産量はOPECの報告書にあった数字です。イラクも多少増産して、3位以下の国々とほぼ肩を並べた感じです。

イラク戦争とイラクの原油生産の関係はあったのかと言うことで、10年間のイラク原油生産量を描いたのが次のグラフです。

Iraqoilproduction20083_3 

米軍のイラク侵攻が2003年ですから、2003年には少し生産量が落ちています。

2) Financial Timesの記事

3月19日のForbidden fields: Oil groups circle the prize of Iraq’s vast reservesと言う記事で、NBOnlineの5年目のイラク戦争~石油をめぐる攻防は「クライマックス」で知りました。2つの記事とも、無料で読めるのですが、登録が必要かも知れません。

Shell is now negotiating a technical support agreement in which it will be compensated for helping upgrade production of producing fields. ・・・・・・Shell is one of several inter­national oil companies – including BP and the US groups ExxonMobil and Chevron – that have been tapping into Iraq’s oil industry by remote control.

と言うことで、大手国際石油会社は皆さんイラクとビジネスをしておられるようです。当然ですけど。これが本格化するかというと、全く見えてこないというお話です。

2つ問題があり、1つは治安です。命をかけて仕事はできないというか、生産をすることは、根をはやすことであり、通常の会社ならできません。次の問題は、誰が地面の下にある原油の所有者か?です。日本人だったら、イラク人と答えるかも知れませんが、イラクの人からすれば、シーア、スンニ、クルドは全て別の国の人という感覚だと思います。その上、油田は南部のシーア派が住んでいる場所とまだ大量の油田が眠っているという北部のクルド人地区に多くある。しかも、憲法で決着がついておらず、イラクの国内問題が存在する。

時間を要すると思います。焦ったら戦いになるだけと思います。戦っても憎しみが残るだけでしょう。時間が癒してくれるのを待つ。もともと、原油はイラクの人たちの物です。イラクが平和になるまで待てば良いだけと思います。

3) 旧フセイン政権とアルカイダ

このこの3月15日朝日新聞の旧フセイン政権とアルカイダ結ぶ証拠なし 米軍委託報告ですが、記事には「ウェブサイトに掲載する予定も取りやめになった」とかいてありますが、ここにあります。"This study found no "smoking gun" (i.e., direct connection) between Saddam's Iraq and al Qaeda."と書いてありますが、結びつく可能性があったことを否定しているわけではありません。

だから、「戦争をしてよい」とはならないと思います。面白いのは、この2003年3月8日放送のNHKこどもニュースの解説です。

アメリカやイギリスは、イラクが「大量破壊兵器は持っていない」というだけで、ちっともその証拠を示していない、と考えていて、「国連の求めに応えようとしないのだから、イラクを攻撃しよう」と準備を進めています。
 これに対して、フランスやロシア、ドイツなどは、「国連の調査団はイラク国内で調査できているのだから、もっとイラク国内を調べるべきだ」と主張して、アメリカなどのイラク攻撃に反対しています。

4) 福田首相はKYやめてツッパシタラ

何故そんなことを思ったかというと。上のこどもニュースの解説に、当時のブッシュ・ネオコンとお友達であった日本の宰相の言葉を付け加えると面白くなるからです。彼は、変人と呼ばれていたから、さもありなんですが。当時変人の近くにいた人たちが皆、変人と同じことを言っていました。

だから福田首相も、せめて3月初めとかもっと早い時期に道路特定財源は2008年度だけにすると宣言してしまえば良かったかも知れないと思うのです。そうすれば、国民に迷惑はかからなかった。名首相であるよりは、国民のことを本当に思う首相であるべきと思います。変人と同じになる必要はありませんが、あの変人のもつ強引さを少しは持ってアドバルンを上げてることがあっても良いのではと思ったのです。

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2008年3月27日 (木)

政府系投資ファンド(SWF)に対する規制

政府系投資ファンド(SWF)に対する規制が必要なのか、考えてみます。

1) 米財務省/シンガポール政府/アブダビ政府の高官による基本合意

先ずは、次の記事です。

読売 3月21日 米・シンガポール・アブダビ、政府系ファンド投資原則で合意

正確な内容については、次のプレスリリースをご覧下さい。

3月20日 US Department of Treasury発表 ”Treasury Reaches Agreement on Principles for Sovereign Wealth Fund Investment with Singapore and Abu Dhabi”

基本合意の概要は次の通りで、当然と言えることでありますが、興味深いとも言えます。

SWFの基本方針

1. SWFの投資決定は、純粋に経済利益の追求を目指して行われ、相手国政府の政策に関与する目的で行ってはならない。
2. SWFが情報開示を進めることは、金融市場の不安を解消し、相手国からの信頼を得ることになる。
3. SWFは、自らのガバナンスを高めるべきである。
4. SWFと民間とは、公平な競争関係であるべきである。
5. SWFは、相手国の法令を尊重し遵守する。

投資受け入れ国の基本方針

1. 投資受け入れ国は、外国からの直接投資を防止する規制・制限をしてはならない。
2. 投資受け入れ国における投資規制の枠組みは明確であり、判断基準が法に明確に示されており、解釈に幅がないこと。
3. 投資受け入れ国は、投資家毎の差別をしてはならない。
4. 投資受け入れ国は、SWFの投資判断に関与してはならない。安全保障を目的に、投資制限を行う場合は、純粋に直接関与する部分のみとすべきである。

発表文にも、”We hope that the IMF and OECD's work can build upon these basic principles”とありますが、IMFもOECDも、大きく違ったルールは作らないと思いますし、これがやはりベースになると思います。

2) 我が国では

上の原則を読んでいると、日本は鎖国に近く、黒船がこないと開国できないのかなと思いました。勿論、開国が全てではなく、整備できていない状態で急に開国をする場合が恐ろしいのであり、また開国せずに頑張って日落ちる国になることの恐ろしさです。

即ち、

1.空港外資規制

この日経の2月3日の記事”の「冬柴鉄三国交相は「一部特定の外資支配は国益に反する」と主張しており」はすごいですね。上の原則とは、真っ向から対立しています。

2.放送局外資規制

電波法の20%規制は合理的なのでしょうか?テレビショッピングより、CNNやBBCがCM付きでよいから、CSでなくて見ることができる方がよいと思いますが。ネット時代にカビの生えた電波法を守ることの滑稽さでしょうか?

3.外為規制

具体的には対内直接投資等に関する命令(これ自身が複雑で嫌になりますが、外国為替及び外国貿易法27条1項の審査が必要となる対内直接投資等に該当するおそれがあるものを定める対内直接投資等に関する政令27条2項の主務省令がこれです)の別表1は安全保障上の必要性を理由に事前届出の対象とする製造業等ということで理解できるのですが、別表2の業種に該当する上場会社については、10%以上外資が保有するには許可(許可とは言っておらず、届出と言っているのですが、禁止することがあるとなっており、甚だしいインチキ法です。)が必要です。

例えば、別表2の最初は「米作農業」になっていますが、株式会社が米作をできないのに、バカかと思います。個別の法で決めるべきを、外為法でするのは、キチガイみたい。

なお、この規制に関しては、この日経 2月14日の記事にある「英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)によるJパワー(電源開発)株の買い増し」が問題となっています。この記事には、日本の安全保障を脅かすかどうかを検討なんて書いていますが、そんな問題でしょうか?最も、Jパワーも原子力発電所を大間に建設しようとしているし、水力発電所も保有していますから、全く関係ないとは言えないのですが、それなら政府が2/3以上株式を保有していた会社なのですから、その株を一般に売り渡して銭を儲けた政府が悪いと私は思います。きちんとした長期の考えも持たずに、株式を売却するバカが一番悪いと思います。もし、問題なら買い戻して、再び政府の子会社にするのが皆が納得しやすいと思います。政府によるTOBも考えれば楽しいものです。

なお、対内直接投資等に関する命令の別表はこの日銀の解説書についています。

3) 鎖国状態は避けるべき

私は、「鎖国状態は避けるべき」と思います。日本国憲法の前文に、「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とあります。世界の国々や人々と手を取り合って、世界中の人々が発展するようにするのが、本当だと思います。グローバル標準とは、文字通り世界共通標準であり、米国の標準ではないはず。但し、日本標準でもないのであり、世界を良くし、発展させる標準を世界が確立していくことのはずです。世界の発展のための、世界のことを考えた基準を作っていくべきだと思います。

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2008年3月20日 (木)

円高為替の今後

このエントリーを書いている時点での、ニュースでは、次のような報道があります。

日経 3月20日18:59 ロンドン外為9時半 円は対ドルで続落して始まる(前日終値に比べ40銭円安・ドル高の1ドル=99円70―80銭で推移している。)

為替について書いていきます。(チャートは、クリックすると拡大されます。)

1) 円高・ドル安

いずれにせよ、100円を切っているのであり、感覚からしてずいぶん円高・ドル安になってきています。Yahoo Japanのチャートを出してみます。

Yenusd20080320

1年前が120円ぐらいであったのですから、20%近くドルが下がっています。但し、下がり始めたのは、7月に入った頃からであり、それから110円になるまで5ヶ月かかったが、1月に110円を切ったら加速して、ついに3月13日に100円をも切ってしまいました。

3月13日 ロイター ドル12年ぶり100円割れ、ユーロは導入来の高値更新 

2) 外国通貨は米ドルが全てではない

確かに、この1年なり、3ヶ月間なりの為替相場の動きを見ると不安になるのですが、FXの相場をはっているのでなければ、冷静に見るべきだと思います。次のグラフは2007年3月20日以降の円、米ドル、ユーロ、英ボンド、中国人民元、インドルピー、韓国ウォン、タイバーツの為替相場のチャートです。通常のチャートと異なるのは、SDRとのレートの変化で表しました。SDRは、ユーロ、日本円、英ポンド、米ドルで構成されたバスケット通貨ですから、これら4通貨の加重平均相場です。

Sdr20080320

2008年1月1日以降の部分を拡大したチャートが次です。

Sdryy20080320

3) 円高やドル安の影響

この3ヶ月間だけを見ると円は確かに高くなっているのですが、それでもユーロとそんなに大きな差はないのであり、むしろ1年間で見ると黒線の米ドルが一方的に下がってきており、それよりも更に下げているのが韓国ウォンです。通貨が下がるというか弱くなるというか、そんな場合は、その通貨の購買力が低くなるのであり、輸入品が全て値上がりします。

米国は、多くの消費物資を輸入している国ですから、それらが全て値上がりするわけです。今年の米国は大変です。サブプライムで苦しんで、景気後退が予想されており、それを更に物価上昇が追い打ちを掛けるわけですから。イラク戦争以来、悪夢の中にいる状態でしょうか?イラク戦争も、完全な泥沼で、抜けるためには米国が戦後処理をせざるを得なくなっている。

それからすれば、ブッシュとネオコンは、何と浅はかだったのだろうかと思ってしまいます。イラクに侵略する理由などなかったはずで、唯一あったのは、「イラクは今だったら簡単に落とせる。」だけだったのではと思います。ただし、サダム・フセインも、よもや米国は仕掛けてこないと読み間違えたのだろうと思いますが。結果、戦争が起こって苦しむのは、誰なのかイラク戦争を見ているとよく分かりますね。

少し、話がそれすぎた感がありますが、元に戻すと、円高は決して悪いことではないと言いたいのです。当然、戦争とは比較になりません。輸入品が安くなることは悪いことですか?別の言い方をすれば、収入が増えることは悪いことですか?ガソリン、灯油、軽油、鉄、飼料色々安くなるはずです。

例えば、次のチャートは過去5年間のユーロと円の為替です。

Euro20070320

円高とは全く異なった印象を受けるはずです。世界は、そんな単純ではないと思います。だから今回の円・米ドル相場もこの数日は足踏みをしていますが、もしかしたら日銀総裁と関係があったりして。日銀が、信用されるならもっと円高ではないでしょうか?福田首相も絶妙の手腕の持ち主だったりして!

4) 今後の為替

為替レートは、誰にも分かりません。言えることは、悲観する必要は何もないと言うことです。NHKニュース3月20日 16時59分 半数超の大手企業 減益を懸念(リンクがすぐに切れるかも知れませんが、対策はしません。)というのがありますが、減益で丁度良いのではないでしょうか?損失ではありませんし、対応にはある程度時間を要するのはやむを得ないのですから。

上に掲げた過去1年間の円、米ドル、ユーロ、英ボンド、中国人民元、インドルピー、韓国ウォン、タイバーツの為替相場のチャートを見れば、円は勝ち組にいるんです。勝ち組にいることの強みを、今後どう生かしていくのかが重要と思います。

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2008年3月14日 (金)

新東京銀行の今後

新東京銀行のことが、連日話題となっており、400億円の増資を審議する東京都議会予算特別委員会は、本日の3日目の総括質疑が開会できなかったようであります。

新東京銀行については、倒産の秒読みに入っている感もあるものですから、書いてみます。(追記、修正あり。)

1) 新東京銀行倒産の兆候

銀行の倒産という最悪の事態が新東京銀行にやってくると感じるのは、新東京銀行が3月11日に発表した新銀行東京調査委員会調査報告書(概要)を読んだからです。調査報告書(概要)ここにあります。

銀行は預金を集め、貸付を行い、その利子率の差により収益を得て、運用経費を支払い、そのうえで資本に関わる費用(株主配当金)を支払うものです。預金を踏み倒すことは、許されません。従い、貸付は回収が前提で実施されるものです。ところが、調査報告書には恐ろしいことが書かれています。

・営業担当者(契約社員)に融資実行実績に応じた成果手当を支給する一方で(最大年間200万円)、デフォルト発生を不問とした。
・平成18年1月より、融資実行後6ヶ月以内にデフォルトが発生した場合には、成果手当から控除したが、6ヶ月を超えた場合には満額支給とした。
・このような業務執行の結果、営業担当者の間にはデフォルトの発生を軽視したモラルハザードが広まった。

無茶苦茶です。良心の呵責があっても、上司から返済をうけることなんか気にせずに貸し込めと言われたら、多くの人はやっちゃいます。まして200万円の人参をぶら下げられて。

「貸倒引当が予定よりいっていない」や「リスクをとるというのは貸倒引当金をしっかり使い込むということだ」との発言を代表取締役が繰り返した。

信用第一は、金融の常識というより、ビジネスの基本です。与信できる相手であるからこそ、ビジネスをします。個人が銀行に預金をするのも、その銀行が信用できるからです。常識破りの発言を代表取締役が繰り返したなんて、私も、これが新東京銀行による発表でなかったら信じられないです。次の文章もすごいです。ガバナンス・ゼロの会社です。

・委員会設置会社においては、代表執行役と執行役の職務分掌については取締役会決議に基づき明確に定めるものとなっているが、当社においては創業期における統一的かつ効率的な業務を確保する必要があることから、代表執行役は業務全般を統轄し、また、他の執行役はその指揮監督に服することを定めた「執行役職務分掌規程」を設けていた。
・代表執行役は、その強い権限を背景に経営の意思決定や他の執行役の人事等に影響力を不適切に行使し、独善的な業務運営を展開した。
・代表執行役と意見の対立した執行役の辞任もあり、開業後僅か2年のうちに、開業時の執行役6人のうち4人までが退任した。
・その後、後任の執行役は全て代表執行役の推薦により招聘されたことから、代表執行役の独善的な体制が確立し、事実上代表執行役に反対する意見は抑え込まれた。

新銀行東京は、東京都がBNPパリバ信託銀行の全株式を2004年4月に取得し、2005年4月から業務を開始しました。最初の代表取締役はトヨタ出身の仁司泰正氏で、2007年6月からはりそな銀行(埼玉銀行→あさひ銀行の)出身の森田 徹氏で、2007年12月からは前東京都港湾局総務部長の津島隆一氏です。委員会設置会社で辣腕をふるいとは、酷いものです。他の取締役は、飾りであったのでしょうか、今後明らかになっていくと思いますが。

2) 財務諸表から見る倒産

次のグラフは2007年9月末の新東京銀行の貸借対照表です。

Photo

資本金が非常に小さいことが分かります。実は、このグラフの資本金は資本金ではなく、資本金と資本剰余金の合計額から赤字となっている利益剰余金と評価換算差額を差し引いた残額ですから純資産額です。即ち、新東京銀行は、もう体をなしていないに近いと思います。(なお、貸し倒れ引当金は、貸出金から控除せずに負債に含めて表示しました。)

参考までに、損益計算書は次の表をご覧下さい。

  平成18年3月期 平成19年3月期 平成19年9月期(6月)
資金運用収益 2,843 9,024 4,557
信託収益 8 66 76
手数料収入 507 1,783 1,161
その他収益 289 756 127
収益合計 3,648 11,631 5,923
信金調達費用 1,086 4,561 2,945
役務費用 78 126 75
その他費用 444 423 836
貸倒引当金繰入額 7,968 27,800 4,563
当期純損失 20,961 54,651 8,710

平成17年4月に開業ですから、上記が営業成績の全てです。資金運用収益より貸倒引当金繰入額の方が大きいなんて、そんな銀行見たことない。平成19年9月期は、その差が縮小しているが、適正額の貸し倒れ引当金が計上されているか不明です。最も、これが一番問題となる点であり、平成19年9月期の証書貸付残高209,655百万円に対して貸倒引当金は34,461百万円ですから16.4%です。1)に記載した無茶苦茶貸付を考えるとずっと大きいのではと思うのです。もし、20%の貸し倒れ率が妥当とすると7,548百万円追加引き当てが必要であり、30%とするなら28,513百万円追加必要となります。

400億円の増資というのは、どのような計算か不明ですが、不明な金を支出することほど、リスクがあり、怖い物はありません。

3) 新東京銀行の預金は引き上げるべきか

ここまでくると、取り付け騒ぎが心配になります。預金保険機構を調べると新銀行東京は信託銀行として記載されていました。預金者一人につき元本1,000万円までとその利息が預金保険機構により支払われます。

だから、1,000万円以上預金をしている人は、預金の引き出しを始める可能性が高いように思います。但し、一番の大口預金者は東京都だと思うのです。新銀行東京が破綻した場合の東京都の損害はこれまでに支出した資本の1000億円と預金ですから、すごい金額です。1000億円の根拠は資本金と資本剰余金の合計に東京都の出資比率84.22%を掛けました。(株主構成はここにあります。)て1000億円になるのですが、ビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行株式会社の東京都による買収金額にその後の東京都の出資額を合算したのが、これまでの東京都の新東京銀行にたいしてつぎ込んだお金です。(この部分、少し修正しました。)

但し、このこの平成16 年2 月23 日付け全国銀行協会の意見書からすると、当初が1000億円ですから、その後平成17年8月に180億円の増資をしていることから、東京都の出資は1000億円を上回っているのではと思います。(この部分、追記しました)

さあ、そこで問題です。東京都が損をすると言うことは、都税をつぎ込むことですから、東京都民が損をする。しかし、東京都民は株主ではないから、代表訴訟もできなければ、何もできない。自治体が銀行に対して再建のためならまだしも(それでも問題はありますが)、事業を目的として出資するという禁じ手を実施した場合の、最悪のシナリオが実現する可能性がある。

でも、それだけではない、預金保険機構の資金は、預金額に応じて銀行が積み立てたものです。最終的な資金提供者は預金者です。まじめに他の健全な銀行に預金した人のお金をさらっていくドロボウ銀行新東京銀行が実現する可能性があります。

これからは、東京都民がお金をつぎ込み、人様には迷惑を掛けてはならないと、汗水垂らして新東京銀行を再建することになるのでしょうか?東京都が預金を引き上げたら、即刻倒産でしょうし、ずるずる行けば底なし沼の地獄がある。

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2008年2月 5日 (火)

これはすごいなJFE、さすがIHIとは違う

開いた口がふさがらなくなりそうです。

IHIは、12月12日のエントリー IHIと東証に書いたように、平成20年3月期通期予想が当初予想より550億円のダウン、平成19年3月期の過去の損益修正が経常利益段階で300億円のダウンで合計850億円ダウンとなった結果、東証他は訂正内容が重要と認められる相当の事由があり、今後の推移及び訂正報告書を提出した後の審査の結果いかんによっては上場廃止基準に該当するとして、監理ポストに指定しました。

JFEの500億円損失(当期利益でのダウンは600億円)のニュースとしては、次の日経を掲げます。

日経 2月4日 JFEの今期、純利益13%減に下方修正・特損500億円計上

1) JFEは、どう思っているのだろうか?

実は、JFEホールディングスは、このことについてプレスリリースを行っていません。500億円や600億円利益が減少するのは、わざわざ発表するに値しないなんて、すごいと思いました。発表したのは、この2月4日に発表した2007年度 業績見通しのなかの、「2007年度 特別損益と当期損益」というページに、500億円の特別損失発生の注として次のことが書かれているのみです。

JFEエンジニアリング(株)の子会社であるJFE環境ソリューションズ(株)が長期契約を締結し、運転・保守を行っている施設のうち数件において、契約期間を通じて将来損失が見込まれることとなったため、当期に一括して前倒しで引き当てることと致します。これは、将来に向けた一層の財務体質の健全化を目的としたものであり、これにより、先行きのリスクに対する透明性の確保を図ってまいります。

中国向けの需要等で鋼材価格が高くなり、製鉄業は業績が良い。だから、500億円や600億円ぐらい、どうでもよいのだという感じがして、株主をバカにしているように思えます。

IHIの発表は、まだ真摯に受け止めて、頭を下げているという感じがするのですが、JFEは高慢ちきの、どうしようもない会社との印象を受けてしまったのですが。

2) JFE500億円の真相

この真相は、非常に気になるのです。これも日経を掲げます。

日経 2月4日 ごみ処理プラント、JFEが今期特損500億円

JFE環境ソリュージョンズ(株)が長期契約をしていた案件は、ごみ処理プラント(ゴミ焼却炉?)ですから、多分相手は地方自治体なのです。もし、地方自治体でなければ、いくつかの地方自治体が集まったゴミ処理の組合です。いずれにしても、相手は市町村です。

日経の記事では「今後17年にわたって生じる損失を損失引当金として一括計上」ですから、1年に30億円です。でも、地方自治体が相手ですから、初めから赤字受注ではなかったと思います。性能が出なかったから、無料メンテナンスをすることとしたのか、そんな生やさしいことではなく、焼却場の運転を無料で引き受けることとしたのか、恐ろしいのは、相手の地方自治体においても、JFEのごみ処理プラントを購入したことから、損失が発生していて、その地方自治体の住民に対する行政サービスが悪くなっている恐れです。

JFEホールディングスに当期純益が2,600億円まだ残っているので、迷惑を被った自治体もまだ救われる余地があるのではと思うのです。

3) JFEの発表が待たれる

上記の2)の自治体が迷惑を受けているかどうかは、最悪の懸念を書いたまでで、JFEが社会に対して真相を発表すべきです。株主をバカにして、社会にはほっかむりをすることが許されるとJFEの経営者は考えているのかと言いたいのです。もし、何もしないなら、コンプライアンス最低の企業と思います。

4) 蛇足

冒頭にIHIについて触れましたが、次の話があります。

日経 1月11日 JFEとIHI、造船統合へ・国内首位、シェア2割に

それ以前に、JFEが日立造船と折半出資するユニバーサル造船(川崎市)を子会社化し、これをIHIの造船子会社と統合するという話ですが、弱小(と呼ぶと怒りを買いそうですが)が集まるだけみたいな。でも、IHIは、水戸藩主徳川斉昭が幕命により江戸・石川島の地に造船所を開いた石川島造船所、戦艦大和を作った呉、元神戸製鋼の造船所である播磨造船所ですから、日本鋼管鶴見造船所よりはるかに老舗だと思いますが、どうするのでしょうか?ここに名前をあげた造船会社の共通点は大型LNGを建造していない(誰も発注しない)でしょうか?

たまたまでしょうが、統合や合併で問題が解決するわけではない。業績が良くなるわけではない。ということを経営者は、認識すべきです。多分、認識しているでしょうね。だから、言い方を変えると、「株主(潜在的株主も含め)や社会に、必要な情報を開示すべき。」であります。そして、株主は、自らの権利を行使して、取締役案を否認するなら、否認すべきと思います。

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2008年1月30日 (水)

近江八幡市PFI病院の倒産の恐れ

前回のエントリー「自治体の保証債務」の最後にPFI病院について次に書くと言ったものですから、今回はPFI病院の倒産の恐れについて書きます。ニュースは次の朝日ですが、日経にもありました。但し、日経は既に記事が消えているので、朝日だけを掲げます。

朝日 1月20日 民間資本活用「PFI方式」の病院が経営難 滋賀

1) 倒産の恐れは本当か

近江八幡市は、近江八幡市PFI病院(近江八幡市立総合医療センター)の経営改善をはかるため、専門家や有識者等で構成されている「総合医療センターのあり方検討委員会」を昨年の12月4日にたちあげ、本年1月21日まで計3回の委員会を開催し、「総合医療センターのあり方に関する提言」(以下提言と呼びます。)が市長あてに提出され、それがWebに公開されています。ここにあります。

提言を読むと、もっと恐ろしいことが、書いてあります。即ち、PFI病院の倒産ではなく、近江八幡市が倒産(正確には、夕張市と同じように財政再生団体となる。)する可能性があるとかいてあります。

具体的には、提言の7ページの下の方です。

(何の対策も採らなければ、数年後に市は財政再生団体へ転落する恐れ)・・・・そして、平成23~25 年度にはこの資金不足額が約50~70 億円に膨らむと見込まれ、この金額の規模は近江八幡市が財政健全化法上の財政再生団体に転落する水準である。

2) 経営悪化の原因

近江八幡市民病院がPFI病院となったのは2006年10月です。PFI病院となるまでは、黒字の年もあったりで、自治体病院の中では、良い経営状態の病院であったのです。次の表を見るとよく分かりますが、平成18年度の前半が従来の市民病院で後半がPFI病院です。見事に、大赤字に転落しています。(提言20ページ、21ページ)

 単位:百万円 平成16年度決算 平成17年度決算 平成18年度決算 平成19年度予算額
医業収益 7,417 7,620 7,548 8,673
医業費用 7,247 7,418 7,780 9,795
医業損益 171 202 -232 -1,122
医業外収入 165 201 836 782
医業外費用 459 392 742 1,036
経常損益 -123 11 -138 -1,376
年度未処理欠損金 -88 11 -299 -2,658

PFIになって、なぜ大赤字になったかは、平成17年度決算と平成19年度を比べると、医業費用が23億円以上増加しています。次の表を見てください。材料費のみ減っていますが、すごいのは経費で、15億円の増加です。次は、減価償却費の8億円です。

 単位:百万円 平成16年度 平成17年度 平成18年度 平成19年度 平成17年度から平成19年度へ増加額
給与費 3,724 3,897 4,041 4,364 467
材料費 2,592 2,545 2,149 2,058 -487
経費 652 708 1,348 2,248 1,540
減価償却費 258 247 214 1,090 844
資産減耗費 3 1 8 8 7
研究研修費 18 19 20 26 6
合計 7,247 7,418 7,780 9,795 2,377

提言には、次のことが書かれています。

14ページ
総合医療センターがSPCに対して支払う対価のうち、新病院の施設整備費等の元本に係る支払金利相当額の負担が非常に重いものとなっている。その額は、PFI事業期間30 年間のトータルの施設整備費等約244 億円のうち、約99 億円が金利相当分である(元本は約145 億円)。この99 億円は、毎年数億円以上の医業外費用として病院の資金繰りに重くのしかかっている。

私が、逆算すると利子率3.75%です。但し、提言のこの文章のすぐ下に、「公的金融である地方債で借りていた場合、平成18 年度で約2%前後の金利」と書かれてあり、2%で計算すると年間1.7億円節約できます。30年間合計で50億円です。病院のような施設は、低利資金を使って、社会貢献するように建設すべきです。高利資金に絶対に手を出してはいけないにも拘わらず、禁じ手を使っています。その結果は、健康保険料を支払っている善良な人と、市民サービスが悪くなる近江八幡市民にしわ寄せが行くのです。(支払いの計算書を続きを読むに入れておきますので、興味のある人はごらんになって下さい。)

もう一つ、PFIの変なことをあげます。(アンダーラインは私が引きました。)

9ページ
病院側から委託職員側へ業務上の要望事項がある場合、病院から個々の委託業者へ直接要望することができず、一旦、委託業務を一括して契約しているSPCに対して要望を伝えなければいけない。これが病院と委託業者との直接的な委託関係であれば、病院側と委託側の現場責任者の話し合いで即解決できるという関係が一般的である。つまり総合医療センターでは病院と委託業者の間に、SPCという中間業者が介在することによって、指揮命令系統における手続きが一階層分余計に存在するということができる。

更に提言にある言葉を使って、文章を書くと、

医療現場の仕事は、机上の事務仕事と違い常に患者さんという生身の人間と相対しながらリアルタイムで進行する仕事であり、業務運営上余計な手続きが増えるだけで、現場の効率性が著しく損なわれるという特徴を持っている。また、患者さんが感情を持った生身の人間である以上、その接遇においては十人十色の臨機応変な対応が必要であり、それらに必要とされる臨機応変な対応内容をすべて契約書の文言に規定することは不可能であるとともに、受託業者側が、契約文言にないことを理由に逐一対応を拒んでいては、円滑かつ効率的な病院運営は不可能である。」となります。

こんな病院には、入院したくないと思わせるような迫力があります。 「自治体の保証債務」の場合は、コンテナターミナルです。でも、これは医療です。医療崩壊と言われる中、誰が医療崩壊を促進しているか、よく考えてみる必要があると思います。

3) 責任問題

やはり、責任問題に触れざるを得ませんが、これも、提言から抜き出します。

4ページ
しかし、どのような組織でも経営悪化の責任は、普段から経営に関する実質的な意思決定を行うことのできる経営者にあるということは明らかであり、総合医療センターにおいても経営を悪化させたことで、職員に不安を与え医療の提供に影響を与えているとすれば、この責任は第一義的にはすべて経営者にあるといえる。

経営者とは誰でしょうか?院長ですか?私は、そうは思いません。院長は、PFIにするかどうかの決定には、ほとんど口を挟まなかったと想像します。おそらく、そんな権限は与えられていなかった。マックの店長の場合は、管理職ではないとの東京地裁の判決です。院長は、管理職であったでしょう。でも、経営者では、なかった。

何も考えずにPFIを採用したと書いてある部分を紹介します。

11ページ
PFI事業計画の資金面に関し参照できる十分な資料が得られなかったことから、資金収支計画が綿密に検討されたという事実を認めることはできなかった

12ページ
近江八幡市は、企業体の経営を行う当事者としての自覚と能力を欠いた状態で、PFI方式を前提とした新病院の建設を計画・実行したため、実際の経営を行ってはじめて病院の危機的な状況に気付いたとも考えられる。一部の職員は当初から病院経営計画の妥当性に疑問を抱いていた可能性があるが、PFI推進派に対する遠慮のために言い出せなかったという状況があったということが推測される。

4) 反省点

PFI業者を高利貸しとは言えないでしょう。PFI業者は、業者自身でリスクを計り、金額を見積もったでしょうから。言えることは、近江八幡市はあるゆる選択肢を検討し、最善と思える選択をしたのか、そして、その過程は公開し、市民の誰もが意見を述べるようにしたかだと思います。提言を読んでみると、全く行われていなかったとしか、私には読み取れませんでした。

その結果が、近江八幡市の倒産とこの病院の閉鎖であったなら、最高の悲劇を見ている気がします。 他に私が知っているPFI病院として高知医療センターというのがあります。病床数648床ですから、近江八幡市立総合医療センターの病床数407床の1.6倍です。しかし、高知医療センターがSPCに支払う金額は30年間で2132億円です。単純には比較できないのですが、近江八幡市立総合医療センターのざっと10倍なのでしょうか。(2132億円はこの書類の8ページ目の「3(1)PFI事業の概要」に書いてあります。)

政府や自治体が信じられないお金の使い方をしてしまう。国民や住民が、本当はそんな政治を望んでいないのに、欺されてしまうからでしょうか。

「民間にゆだねることが可能なものはできる限りこれにゆだねることが、より自由で活力ある経済社会の実現に資することにかんがみ」

と始まるのが、郵政民営化法第1条です。私は、間違っていると思います。本当は、

「政府・自治体その他公的機関が実施することが望ましいものは政府・自治体その他公的機関が実施し、民間が実施することが望ましいものは民間が実施し」

が正しいと思います。病院は、民間で実施することに問題はありません。しかし、僻地の場合、高度医療の場合、民間が採算やリスクの点から取り組めない医療の場合については、政府・自治体その他公的機関が実施すべきと私は考えます。

間違っていることが書いてある郵政民営化法が成立したのは、悲しいことです。郵政民営化法も「銀行業と生命保険業は、民間事業とする。」であれば、私も賛成です。

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2008年1月28日 (月)

自治体の保証債務

次のニュースがありました。

日経 1月27日 隠れ負債、自治体に重荷・公社や三セクに対する債務保証

ということで、このニュースの中に次のような文が入っています。

・ 地方自治体が債務保証や損失補償をする、いわゆる「隠れ負債」が一部市町村で大きな負担になっている実態が明らかになった。

・ 塩漬けの土地を抱える土地開発公社向けに保証しているケースが多い。

・ 自治体が債務の肩代わりを迫られれば財政運営に支障が生じ、住民サービスの低下につながる可能性もある。

・ 青森県大鰐町で、大鰐地域総合開発など3法人に対して73億円の損失補償をしていた。バブル期のリゾート開発の失敗で金融機関から肩代わりを求められ、1997年から30年計画で返済している。

1) もしかして巧妙な債務保証ではないか

「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」という長い名前の法律(財政援助制限法と以下略します。)があります。この第3条は次の通りです。

第3条  政府又は地方公共団体は、会社その他の法人の債務については、保証契約をすることができない。ただし、財務大臣(地方公共団体のする保証契約にあつては、総務大臣)の指定する会社その他の法人の債務については、この限りでない。

だから、三セクに対する債務保証は、違法であります。しかし、自治体は、保証ではないと言うようです。何故かというと、次のような文面だからであると思います。

つきましては,誠に勝手なお願いとは存じますが,同社の借入金債務に関し,川崎市は貴行に対し,ご迷惑をおかけしないよう,同社の経営に関し充分な指導・監督を行う所存でございますので,貴行のご融資に関し,何卒格別なるご高配を賜りますようお願い申し上げます。

何故、川崎市となっているかは、かわさき市民オンブズマン(ホームページはここ)が、川崎市の第三セクター「かわさき港コンテナターミナル(株)」(略称KCT)に支出した損失補償合計9億円は違法として住民訴訟を起こしていた件の判決文から取ったからです。判決文は、かわさき市民オンブズマンのWebあるいは裁判所のWebで見ることができます。

どのように、解釈しますか?必ずしも、川崎市と同文とは限りませんが、財政援助制限法の下では、総務大臣が認めていない限り、自治体の保証行為は違法であると、私は素直に解釈しますが。でも、そうなると冒頭部分の全てが崩れるように思えます。

3) KCTの判決

横浜地方裁判所2006年11月15日のKCT訴訟(事件番号:平成17(行ウ)28)の判決においては、市民オンブズマンの損害賠償請求を棄却したものの、損失補償は違法無効だとしました。

判決の関連部分を抜き出してみました。

2 争点2(本件協定の適法性等)について
(1) 「本件協定が財政援助制限法3条に違反するかどうか」について

・・・・・・財政援助制限法3条は政府又は地方公共団体が「法人の債務」について「保証契約」をすることを禁じており,・・・・本件協定は民法上の保証契約とはいえないまでもそれと同様の機能実質を有するものであって,同条による規制を潜脱するものというほかはなく,同条に反するものとして違法なものと解するのが相当である。

(2) 財政援助制限法3条に違反して締結された契約の効力について

・・・・・本件協定は私法上無効であって,本件の支出命令及び支出は,無効な支出負担行為に基づいてされたものとして違法である・・・

(3) XX市長の責任について

・・・XX市長が本件協定を有効なものと考え,これを前提とする支出命令を発したとしても,その責めに帰すことのできない,やむを得ない事情があったものと認めるのが相当であり,その点に故意,過失があったとも認められない。

(4) 本件各金融機関に対する返還請求について

ア上記のとおり,本件協定は違法,無効なものであり,これを前提とする本件損失補償金の支払は法律上の原因を欠くものである。しかし,現時点で,川崎市が本件各金融機関に対して既に支払われたこれら本件損失補償金を不当利得として返還を求め得るかということになると,この点については重大な疑義があるといわざるを得ない。・・・・・

4) 悲惨なKCTの事業内容

資本金6億円(うち川崎市出資額3.1億円)で1995年に設立され、川崎市が2006年1月に破産手続き開始の申し立てをしました。

債権集会における負債総額は68億円でした。例えば、1997年3月期の業績は年間売上5億円で、売上原価12億円、販売費及び一般管理費6億円で、営業損失13億円と聞いたら、どう思われますか?さすが三セク立派すぎます。当初借入金は9億円でしたが、たちまち膨らんでいった。10年で倒産したわけで、倒産時には借入金が54億円になっていた。金融機関は最終的には54億円のうちの当初の元本9億円について損失補填により返済を受けたと言うわけです。

思うことは、(1) 政府や自治体は営利事業を行ってはならないということと、(2) 全ての資産・負債及び収入・支出を明らかにして、公告をすること。この2つのことをしなければと思います。

判決文を読むと、以下の文章が【被告の主張】という部分に出てきますが、よくある役所の文章だと思います。これは、参考資料であって、ビジネス・ディシジョンをするための文章ではないですよ。事業をしたことがない人が、事業をすると悲惨なことになるサンプルかなとおもいました。

川崎市としては,コンテナターミナルの整備を決定するに当たって,荷主・船社のヒアリング,経済動向の予測等の様々なデータに基づき,その成立可能性について多方面からの調査・検討を実施し,これらを踏まえ,港湾法3条の3の規定に基づき,学識経験者,地元経済関係者,川崎市議会議員,港湾関係者等で構成される川崎港港湾審議会,さらには運輸大臣の諮問機関である港湾審議会の審議を経て,昭和58年8月改訂の川崎港港湾計画(乙8)において,昭和65年を目標年次として東扇島地区に公共コンテナふ頭を整備することを正式に位置付けた。

同じようなことを、PFI病院について思ったのですが、長くなったので次の機会とします。

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2008年1月21日 (月)

インドのタタのナノの驚異

30万円を切る超低価格車として、タタのナノが紹介されていますが、よく考えると驚異の車ではないかと思いました。ニュースとしては、次のMSN産経ニュースをあげておきます。

MSN産経ニュース 1月14日 超低価格車戦争が幕開けへ

1) タタ自動車とは

タタ・グループとは、インドの98社の企業グループで、IT、鉄鋼、化学、自動車、エネルギー、茶、ホテル・・様々あります。そのうち27社が上場企業です。タタ自動車(Tata Motors Ltd.)も上場企業(Bombay Stock Exchange Limited (BSE) とNational Stock Exchange of India (NSE)に上場し、NYSEにADRを上場。)であり、自動車とトラック・バスを生産しています。業績は、次のグラフの通りで、右肩上がりです。円で表示していますが、全て1ルピーを2.73円で換算しました。

Tatapl

2) 自動車ナノ

10万の金額をインド、パキスタン、バングラデシュではラーク(Lakh)と呼びます。ターゲットとするには、丁度切りが良かったのだと思います。ここにタタのプレスリリースがあります。

  形式 エンジン 馬力PS 全長mm 全幅mm 全高mm
ナノ RR 2気筒623cc 33 3100 1500 1600
Maruti 800   3気筒796cc 52 3300 1410 1405
スズキ アルト FF 3気筒658cc 54 3395 1475 1500
ダイハツ ミラ FF 3気筒658cc 58 3395 1475 1530
ホンダ Life FF 3気筒658cc 52 3395 1475 1580

タタは、ナノをスズキのインド合弁会社の車マルチと比べていますが、マルチ800は800ccエンジンなので、日本の軽自動車と比べるのがわかりやすいと思います。ナノはエンジンが2気筒であり、少し馬力が小さいが実に日本の軽自動車にそっくりだと思います。

大きな、違いはナノがエンジンを後ろ置きにして、後輪駆動を採用しています。今は、電子エンジン燃料制御の時代だから、アクセルは電線に繋がっていればよい。そこらが、昔ホンダがエンジン前置き、前輪駆動なんて車を作ったときと世の中が変わっているのだと思いました。いずれにせよ、RRを採用したことで、前の足を置くあたりが広くなった。だから、全長を短くできた。多分、車体重量も軽くて済んでいるのだと思います。安全性は確保したと言っているので、衝突試験も実施したのだと思うし、排ガス規制もクリアーしているのだと思います。

ナノの写真はここにあります。それと、ナノのエアコン付き革張りシート車なんてのも価格は高くなるが作る計画があると書かれています。

3) Distributed Manufacturingとは驚きました

エアコン付き革張りシートは、ラタン・タタ氏(グループ会長)のインタビュー記事に書いてあるのですが、それよりも次のDistributed Manufacturingです。インドでかつて1車種を百万台なんて生産をしたことがない。だから、ナノを生産したい会社があれば、ナノの生産工場を建設してもらって、必要な設計情報や技術を供与する。その方が、コストも安く付くし、開発も進むのだと。

But such a figure (a million cars) has never been achieved in the country before. If it had to be done the conventional way, it would have meant investing many billions of dollars. So we looked at a new kind of distributed manufacturing, creating a low-cost, low break-even point manufacturing unit that we design and give to entrepreneurs who might like to establish a manufacturing facility. We looked at different ways of servicing the product, at the customer's location, and through a concept adopted from the insurance industry, wherein self-employed people are trained and certified by us. And we went back to innovation in design and scrupulously took, as much as we could, cost out of the product.

インド的です。インドには、インドの哲学があるのだと。果たして、成功するかどうか、分かりませんが、すごい実験だし、成功しなくても学ぶことは多すぎるだろうと思います。もしかして、今の日本企業や日本人が失ってしまったのは、そんなチャレンジ精神ではないかと思います。技術は、チャレンジによってのみ発展・進歩します。もう少ししたら、先端技術は全てインドからとなったりして。

ここまで書いて、他のところにもあったのですが、中国と比べたら、中国の二輪車や自動車は日本車のコピーを品質を無視して製造することで発展してきた。タイの自動車は、全てが外資みたいなもの。アジアで、独自に自動車を開発できる国は日本とインドなのでしょうか。タタも中国に出て行くと思います。

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2008年1月17日 (木)

揮発油税の扱い

民主が揮発油税の税率を、租税特別措置法第89条に定めた適用期限がこの3月末で満了することから、本法である揮発油税法の税率に戻そうとの動きが聞こえてきています。

日経 1月16日 民主、ガソリン価格で「値下げ隊」・議員60人が結成

数日前ですが、この朝日新聞の1月13日の記事「3月末まで成立させない」 ガソリン税で民主・山岡氏は13日のNHKの日曜討論の中での発言として、「暫定税率は廃止する方向で検討し、・・・・民主、共産、社民3党の足並みがそろう方向となった。 」と報道しています。

どちらかというと、このブログでは、政府、与党、自民・公明の政策に批判的なことを書いておりますが、揮発油税の税率は現状を維持すべきと私は考えています。その理由を以下に述べます。

1) 石油価格

まずは、原油価格の推移を表したグラフが次です。1999年1月から2007年11月までの動きです。原油価格は、OPEC Baskect Average Priceを使っています。

Crude200711

本年初めに原油が100ドルを超えたと報道がありましたが、あの価格はWTI (West Texas Intermediate)という米国テキサス州の原油のニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)での価格です。上のグラフのOPEC Baskect Average Priceの方が、日本に輸入される原油価格に近いと思います。なお、バレルと米ドルで表現しても、ピンとこないので、円貨換算してリットル表示にしたのがピンクの線です。右座標で読んでください。

これと、ガソリン価格との関係を見たのが次のグラフです。

Gasoline200711

一番上の赤の線がガソリン価格です。総務省の小売統計物価調査の東京都区部小売価格がデータの源です。ガソリン小売価格と原油価格は、ほぼ連動しています。その差額を黒の線で表しましたが、80円と100円の間にあることが分かります。この内訳は、中東から日本へのタンカー運賃、日本での貯蔵、精製、ガソリンスタンドまでの運賃とガソリンスタンドでの販売費用、そして税金です。

2) ガソリンと軽油の税金

ガソリンに課せられる揮発油税と軽油に課せられる軽油引取税に絞ることとします。揮発油税が48.6円/㍑と軽油引取税32.1円/㍑なのですが、実質としてはガソリンには5.2円/㍑の地方道路税(国税ですが、地方の道路関係に支出が限定されています。)があるので、ガソリンは実質53.8円/㍑が税金です。

ガソリンと軽油で税金の差が、21.7円/㍑ですから、これがガソリンと軽油の価格差の大部分です。

上のガソリンのグラフの差額は80円~100円ですから、このうち53.8円が税金なので、26円~46円が輸送費、精製費、販売費になります。平均を計算すると88円でした。そうなると、税を差し引いた残りは34円です。

3) この3月以降の税率は

ガソリンが揮発油税24.3円/㍑と地方道路4.4円/㍑の合計28.7円/㍑及び軽油引取税15円/㍑となります。その根拠は、「続きを読む」に関連の法律条文を記載しましたが、現在適用中の税率については「平成15年12月1日から平成20年3月31日までの間」と記載されているからです。

税金が安くなることは良いことだと単純に考えて良いのでしょうか。ガソリンの年間消費量を59百万キロリットルとし、軽油の年間消費量を41百万キロリットルとして税額を計算すると現行税率でガソリン関係は3.2兆円、軽油関係が1.3兆円の合計4.5兆円です。これが下がった税率になると、それぞれ1.7兆円と6000億円になり合計は2.3兆円ですから、2.2兆円の税収がダウンとなります。

2.2兆円の財源がなくなることは、大きいです。教育、医療、格差問題、研究開発、環境いずれをとっても重要と思うし、手が抜けないと思います。2.2兆円を道路財源として、使用することは中止して当然と思います。その場しのぎではない、解決策を作るべきだと思います。例えば、炭素税の議論が全く行われていません。ずるずると来ているだけだから、1月9日の次のグラフのように、日本の地位は落ちて行くのみという気がします。

Co24_2

それに、税率を引き下げてガソリン・軽油価格が安くなって、その恩恵は、誰の所に行くのでしょうか?下請けの運送業者にはほとんど行かないと思います。税金が下がった分、運賃を安くさせれると思います。自家用車に乗ることが少ない、ガソリンを使わない高齢者にも恩恵は行きません。公共交通機関の運賃は据え置きです。ほとんど、影響がないからです。(元々燃料費により運賃を上げていないと思います。)

高価格だから、省エネルギーが進むのであり、省エネルギーが最も重要という側面があると思います。

4) 世界の石油需給バランス

次のグラフは2006年の初めからの四半期毎の世界の原油生産と原油需要のグラフです。(データは米国Energy Information Administrationからです。)

Oilbalance20073_2

グラフの上に書いた数字は、赤で1.17%の場合は、1.17%需要が生産より大きかった。即ち、不足であった場合です。不足した場合は、在庫(Stock)からの供給となり、生産が大きければ在庫の増加になります。統計誤差も大きい場合は1%近く含まれることがあり得るので、需要の伸びも需給バランスもそれほど大きいわけではありません。少しのバランスに対して、価格は大きく動くのがマーケットです。そして、長期的には、需要も増加するし、価格も上昇すると見るのが正しいと思います。但し、現在の価格が高いか安いかは誰にも分からないのです。

これだけの需給バランスで、最初の1)に書いたような価格変動になるのです。価格は、だれも高い・安いと言えないのです。現実に、その価格で取引がされている以上は、嘘ではない実価格です。年間の取引高は全世界で300兆円です。価格は、コントロールできない。だから、価格が上がっても耐えうる体質を作ることが重要です。それは、揮発油税を下げることとは私には思えません。

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2008年1月12日 (土)

テロ特措法の成立

12月16日 のエントリー自民・公明2つの??で、衆議院解散のリスクを冒してまで自民・公明は新テロ対策特別措置法を衆議院の2/3多数決で成立させるのだろうかと書きましたが、解散の恐れがなくなったことから11日に成立しました。読売の記事を掲げておきます。12月に、エントリーを書いたことから、又少し書いてみます。

読売 1月12日 新テロ対策特措法が成立、57年ぶりの衆院再可決

1) 新テロ対策特別措置法とSeptember 11テロ

法案はここにあり、法案通りで成立したと思います。その第1条には「平成十三年九月十一日にアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃」との言葉が入っており、このテロリストによる攻撃とは2001年9月11日米国での同時多発テロ(Septeber 11)のことであります。失効したテロ特措法はここにありますが、法律名が「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等」で始まっています。

September 11に対する米国のアフガニスタン侵攻作戦は不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom)と呼ばれ、米軍のアフガニスタン侵攻に協力したいが、戦闘地域には入れないのでインド洋で補給活動を行うとして成立したのがテロ特措法です。しかし、September 11から6年以上が経過し、September 11についもその背景、原因、対策等をじっくり考え直す必要があるのではと感じます。

米国陸軍のOperation Enduring FreedomについてのWebがここにあります。アフガニスタン侵攻を米軍は、そう呼んでいるのです。全て、Freedomです。イラン侵攻もOperation Iraqi Freedomであります。

2) 現在のアフガニスタン

アヘンビジネスで潤っています。勿論、違法行為です。手っ取り早く、現金を手にする方法は、アヘンです。ニュースとしては、次のようなのがあります。

Herald Tribune August 5, 2007 2007 Afghan poppy harvest headed for record levels
AFPBBニュース 8月28日 アフガニスタンのアヘン生産量、前年比34%増

国連麻薬犯罪局(UNODC-United Nartions Office on Drags and Crime)のWorld Drug Report 2007にあったアヘン用芥子の栽培面積の表を掲げておきます。

Unodcopium_2 

報告書はここにあります。

全世界の95%近くのShareとはすごいですね。ビジネスにおいて、こんな独占て、本当にすごいです。海上封鎖なんて、全く関係ないと思います。そもそも、テロを軍隊では壊滅できないと思います。むしろ、警察力や、警備力の方が有効であるし、そこまで弱者を追い詰める必要はないと思います。追い詰められた弱者が最後に救済を求めるのは宗教だと思います。宗教にしか望みが見いだせず、自爆していった人間がSeptember 11の犯罪者であったのではと思います。なお、私は彼らを擁護する気はありません。多くの人の命を奪ったのですから。軍隊・軍事力で解決するとは思わないと言っているだけです。そして、軍隊・軍事力でない別の解決があるはずと言いたいのです。

この地図はNATOのWebの地図です。アフガニスタンの隣国はパキスタンだというのがよく分かります。アフガニスタンなんて国は、元々なかったのだと思います。パキスタンを含むインドを英国が植民地とし、トルクメン、ウズベク、タジクなんて所をロシアが侵攻し、英国とロシアの緩衝地帯としてアフガニスタンが生まれたのではないでしょうか。アフガンの南部とパキスタンの西北は同じ人種の人たちです。

ベナジール・ブットが選挙戦中に殺された。まだよく分かっていませんが、アフガンとパキスタンの恵まれない人たち。単に恵まれないだけではなく、隣人を武力で殺されている人たち。そんな社会の底辺の人たちが、関係しているように感じてしまいます。どうすればよいかは、難しいところですが、武力で侵攻して片付く問題ではなく、時間を掛けてゆっくりと解決する以外に方法はないように思うのですが。

3)これからの新テロ対策特別措置法

格好良い名前の不朽の自由作戦であるアフガニスタン侵攻作戦は、ブッシュとネオコンのやったことで、米国の次の大統領が誰になろうとも、国連を無視して”米国は世界の正義警察だ”、”自由の擁護”だと言って出て行かず、国連をもっと前に出して、自らは出費を少なくせざるを得ないだろうと私は思います。そこで、新テロ対策特別措置法は附則第3条に、「この法律は、施行の日から起算して一年を経過した日に、その効力を失う。」と規定されています。だから、2009年1月になれば、失効し、延長されないだろうと私は予測するのですが。

1年だけは、ブッシュに誰かが約束したから、仕方ないかと成立させたのかなと思います。

4) もう一つの?(大阪知事選)

同じ12月16日 のエントリー自民・公明2つの??で橋下とおる候補を自民・公明が推薦するかどうかの疑問を書きましたが、読売関西 1月10日 梅田、橋下、熊谷氏ら立候補のように、橋下については自民党府連推薦、公明党府本部支持ということで、党そのものは、何もしないと言うことになりました。

これって何なのでしょうと思います。あんな男を党は推薦できず。しかし、地方組織がするなら、勝手にどうぞということでしょうか?政策もなければ、政治活動もないということでしょうか?そんな政党があっても自由なのでしょう。

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2008年1月11日 (金)

追徴税の支払いは税引後利益に関係せず(フォスター電機)

「追徴税の支払いは税引後利益に関係せず」です。もしかしたら、おもしろいなと思いました。何の件かは次の朝日の記事とフォスター電機のプレスリリースをご覧下さい。

朝日 1月9日 フォスター電機18億円申告漏れ 香港子会社分申告せず
フォスター電機株式会社 1月9日 プレスリリース 本日の一部報道について

1) 本当に税引後利益に影響せずか?

”影響せず”です。昨年12月21日に平成19年4月1日から平成19年9月30日までの半期報告書をフォスター電機は、提出していますが、そのなかの当該中間期に関する連結財務諸表及び単体財務諸表は次のようになっています。(単位:百万円)なお、繰延税金資産及び負債は流動・固定合計の数字にしています。

  繰延税金資産 繰延税金負債 未払法人税等 過年度法人税等 法人税等調整額
連結貸借対照表 657 1,653 1,730
連結損益計算書 1,463 ▲798
単体貸借対照表 1,273 0 1,675
単体損益計算書 1,463 ▲1,230

プレスリリースは、「追徴税額は地方税等を含め約900 百万円と試算しており、当中間期では896 百万円を見積計上しております。」と記載していますが、上の表だけ見ると1,463百万円を予想したのかと思います。

やはり税引き後利益には、ほとんど影響がありません。何故なら、単体の方から述べますが、法人税等調整額を1,230百万円計上して、この期の法人税の負担を1,230百万円少なくしているからです。では、その心は?となりますが。それは、将来の税金の前払いとして扱っているからです。税金の前払いであるから、繰延税金資産となります。(繰延税金資産計上額1,273百万円)

すなわち、将来香港子会社のフォスターエレクトリックから親法人に配当が支払われ、配当金の見合いで親会社は利益を計上し、その時の利益に対応する法人税等であるからです。将来、親会社が利益を計上するときには、今回払った税金分が丁度税の前払いに相当するからです。香港の子会社の法人税率は低いから香港では税引後利益は大きい。しかし、日本の親会社へ配当として支払えば、日本での法人税が課される。この時の日本の法人税の納付金額は(その先の投資先の中国も含め)香港で子会社が支払った額が二重課税となるために控除されます。

これで、連結財務諸表の税引後利益もおわかり頂けたのではないかと思います。会社の利益が香港の子会社にあろうが、本社に配当として受領していようが、理論的には同額でないといけないのです。というか、最終的には子会社を持つのは、子会社の事業利益の配当を期待して投資したのですから、親会社に配当してくるはずです。その前提で連結財務諸表は作成されているからです。技術論で言えば、子会社の利益が将来の配当で親会社に移ったときに、税の納付が発生することから、未払い税金です。但し、債務の発生にはなっていないことから、会計の仕訳では(法人税等調整額/繰延税金負債)となります。従って、連結財務諸表では、未払法人税に加えて繰延税金負債も計上されています。

2) タックスヘイブン対策税制とは?

タックスヘイブン対策税制とは、租税特別措置法66条の6「内国法人に係る特定外国子会社等の留保金額の益金算入」のことです。税率が25%以下の国に子会社を持っていた場合、その子会社の利益を日本の親会社に配当してこないで、子会社に留保した場合に一定の留保金額(課税対象留保金額)については、親会社である日本法人の課税所得に加算して親会社の納付税額を計算する制度です。低課税国に子会社を設立して税逃れをすることを防ぐのが最大の目的と理解しています。

一方、プレスリリースは「業態が卸売業で、第三者からの仕入高が50%以上あることからタックスヘイブン対策税制の適用除外であると認識しておりました。」と述べていますが、この意味は、租税特別措置法66条の6第4項に適用しない場合の除外事業を規定しており、卸売業の場合は租税特別措置法施行令39条の17第2項において「関連者以外の者との間の取引に係る仕入取扱金額の合計額の占める割合が百分の五十を超える場合」と規定されています。従い、プレスリリースが正しいことになります。

しかし、香港子会社が中国に孫会社を持ち、一体としては製造業であると税務署は考えたのだと思います。実際、フォスター電機のビジネスレポート(第74期中間期)には次のように書かれています。(実物には赤字表示はありません。)

FOSTER ELECTRIC CO.(, HONG KONG)LTD. 豊達電機(香港)有限公司
-各種スピーカ、スピーカシステム、ヘッドホン、マイクロホン、および電子部品の製造・販売-

私も、実態を知りませんが、表面ではなく、実態を重視して税法を適用するのが正しいと思います。さもないと、税逃れがいくらでもできますから。そして税逃れは、正規に税を納付する人が困ることとなります。

3)?????

ブログに書くほどのこともないかと思ったのですが、追徴課税があっても、税引後利益は変わらずというのが、面白いと思いましたので、書いてみました。しかし、本当は租税特別措置法66条の6ではなくて、法人税法69条(外国税額の控除)があるから、香港で税を納付していなくても、日本で税の納付金額が大きくなるし、逆に外国子会社で税を納付してたら、(限度額はありますが)その額だけ日本での納付税額は少なくて済むという「外国税額の控除」の話だと思います。だから、税引後利益に変化なしと言うわけです。

そこで、もう一つ、法人税率引き下げの議論があります。日本の会社は、低課税国で事業をしようが、日本の税率が最終的には税の負担になります。従い、日本企業に国際競争力を持たせるには、日本の法人税の税率引き下げが必要だとの議論が生じています。即ち、国際的に見て米国に次いで高いのであるとの議論です。

しかし、法人税のみを取りだして議論することは、正しくなく、政府の税収全体をどうするかの議論をしなければならないと考えます。法人税を低くすると、その分、消費税の引き上げになるでしょう。一方、世界一高い米国企業は、外国に投資し、外国で事業を行うことによって利益をあげています。米国も日本も外国税額控除の制度については、ほぼ同じです。例えば、地方税も含めて税率30%と言う国があったとします。日本より、地方税の分だけ安いのであり、そこに株主が直接会社を作り、事業をすれば今でも税率30%がエンジョイできます。でも、現実には、なかなかそんなことが生じないし、そんなことをしても、経費も増えるしリスクも増えます。もし、やるのであれば、法人税ゼロの国を利用するのではと思います。だから、少々下げても意味はないと私は考えています。

日本を住みやすい、暮らしやすい、有能な人材が豊富な国にすることが、日本を競争力のある国にすることだと思います。(直前のエントリーと同じトーンとなりました。)そのために、税はあるはずです。

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2008年1月 9日 (水)

日本は”環境で世界をリード”できるか?

”環境で世界をリード”は、福田総理の年頭所感から引用した言葉です。福田総理の年頭所感はここにあります。なかほどに【環境で世界をリード】との表題があります。

年頭所感ですから、豊富を述べ、夢を述べることは重要と思います。一方で、年頭所感を聞くに当たっては、その実現性がどうか、課題や問題点はないかについても考えてみることは必要であると思い、このエントリーを書いています。

1)日本は環境で世界をリードしているのか?

年頭所感にある「日本は、環境・省エネ分野において世界の研究開発のトップを走り続け、環境にやさしい国づくりを進めてきました。」という部分ですが、格好良すぎるのではと感じました。

環境に関連して二酸化炭素(CO2)排出量について調べてみます。CO2排出量については、「気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書 (Kyoto Protocol to the United Nations Framework Convention on Climate Change)」が余りにも有名です。京都議定書は議定書の附属書Iの締約国("Party included in Annex I" )からのCO2排出量を1990年の5%削減にむけて2008年から2012年の期間内に達成すべく個別締約国の削減値を附属書Bに記載して、その義務を取り決めました。

次のグラフは、国際連合枠組条約事務局(United Nations Framework Convention on Climate Change : UNFCCC)の2007年10月24日付け報告書(National greenhouse gas inventory data for the period 1990–2005)からCO2排出値が大きい10ヶ国を現したものです。

(京都議定書も複雑ですね。もとの条約は「気候変動に関する国際連合枠組条約」であり、1992年5月9日に国連本部で採択され、1994年3月21に発効し、現在までに192ヶ国により批准がされています。京都議定書は、この条約に関する議定書(プロトコール)で、1997年12月11日に採択され、84ヶ国により署名されました。附属書Iの締約国として削減義務を有しているのは、国の数では48でした。京都議定書を、日本は2002年6月に、そしてロシアが2004年11月に批准をして2005年2月16日に発効しました。米国は未だに批准をしておらず、ゴアさんがノーベル賞というのは、最高の皮肉にも思えます。)

CO2排出値の報告書はここに、京都議定書は日本語訳英語版、そして条約は英語版しか見つけられませんでしたがここにあります。

Co21 

各国の棒グラフの上に書いたのは、1990年CO2排出量に対する増加比率です、ドイツは18.4%の減少であり、英国も14.8%の減少。そしてフランスも1.6%ではあるが減少です。一方、ダントツはやはり米国で16.3%も増加しており、1990年より10億トン多くなっていますから、ドイツ1国とほぼ同じ量が増加し、日本の排出量13億トンと比べても余り変わらなかったりします。減少率の義務は、ヨーロッパ諸国が8%で、日本は6%です。

なお、減少率のみを見るとロシアが28.7%減少ですから、率では大きいのです。なお、グラフには11位以下なので現れていませんが、ラトビア、ウクライナ、リトアニア、ベラルーシといった旧ソ連諸国やルーマニア、ポーランド、チェコ、ハンガリーといった東欧諸国は全てマイナスです。ソ連崩壊が1991年12月ですから、1990年というのはその前年の絶好調の時代であり、ソ連崩壊によりソ連諸国や東欧諸国は、どの国もマイナス成長を記録しました。この側面を忘れると誤解が生じます。

次に1990年の排出量を1としてグラフを書いたのが次です。

Co22 

スペインが一番上の線で、一番下がロシアです。今度は、CO2排出効率を見るために、1米ドルのGDPの生産のために何キログラムのCO2を排出したかのグラフを書きました。

Co23_2

今回は、ロシアが最高に悪くて、他の国が下の方に行ったので、ロシアを除く9ヶ国についてのグラフが次です。

Co24_2

日本は、一番下で、最高の効率であったのですが、2005年の数字ではフランスの方が小さいので効率がよいのです。産業構造や様々な要素が関係することから、これだけで論じるのは間違いですが、一つの傾向であり、一つの比較です。

あの米国でさえ、一方的右肩下がりであり、日本は1995年が底で、残念ながら1位ではなく先頭ダンゴ集団の一員です。だから、福田総理の年頭所感にある「日本が持つ世界最先端の技術を各国に広めることで世界に貢献し、大きな役割を果たすことができます。」というのが、むなしく聞こえてきます。GDPの数字は、国連統計局の数字を採用しました。Webはここです。

参考として、灯油・軽油の1リットルの燃焼でCO2発生量は約2.7kgで、ガスの場合は1立方メートルで2.3kg、石炭は1kgを燃焼して2.5kgのCO2といった感じです。

3)中国とインドの参考グラフ

中国とインドの両国は京都議定書の附属書Iの義務を負っている締約国ではありませんが、署名をした締約国です。CO2排出量からすると中国はロシアより多く、米国に次ぐ世界第2位で、インドは日本とドイツの間となる世界第5位です。中国・インドが、これからの世界では大きく関わってくると思います。中国とインドを前の前のグラフに加えたのが次です。

Co25

中国もインドも頑張っています。例えば、中国のバイオガスについてこんな文章(ブログ?)がありました。インドも、バイオマス(マスタードの軸等)を燃料とする発電があります。例えば、これです。バイオエタノールを作るよりはるかに効率的だと思います。バイオエタノールは、バイオエタノールを作るためにCO2を発生し、エネルギーも消費しますから。参考として2007年10月12日のエントリー バイオ燃料

3)日本はどうすべきか?

総理の年頭所感の基本的な部分である、日本は高い技術で生きていこうということについて、私は賛成します。但し、そのためには、世界的に通用する高い技術を持ち続けなくてならない。1米ドルのGDPの生産のためのCO2排出量のグラフを見ても、日本の技術力は、相対的には他国に追いつかれたのではと思うのです。勿論、全てではなくて、ある部分では勝っていて、別の分野では負けているという状態と思います。

恐ろしいのは、実は相対的な高い技術力がなくなってしまう恐れです。その可能性はあると思うのです。高い技術力は、人です。人材育成に、今私たちはどれだけ投資をしているのだろうかと思うからです。国立大学を独立行政法人だとか言って、教育制度を壊していやしないか?若者をワーキングプアだとか格差社会とか言って、教育するのではなく、奴隷として今の社会が扱い、結果的に未来の重要な資産を食いつぶしていないだろうか?

少子化対策とは、「生めよ増やせよ!」として、子供が生まれたらお金をあげましょうとすることではないと思います。幼児が少年、少年が青年になって、未来を切り開き、社会を作っていくそんな社会にすることだと思います。優れた人材が教育に進んで携わり、未来を作る人材が育っていかねばならないのに、社会が教師いじめをしたりしてとても悲しく思います。

ゴアさんのノーベル賞を皮肉と言いましたが、ゴアさんは立派な人だと思います。ブッシュ政権になっても、自分の持論は変えませんでした。教育とは、そのような人材を育成することでもあると思います。点取り虫の風見鶏を大量生産したら、将来は暗いと思います。

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2007年12月28日 (金)

地方税はどうなるの?

地方税はどうなるのだろうかと自民党の税制改正大綱(平成19年12月13日) を読んでいて思いました。自民党の税制改正大綱はここにあります。

1) 事業税を減税(法人のみ)で、地方法人特別法人税をつくる

次の表をご覧下さい。(1) + (2)が「現行」とほぼ同じであることが分かります。

  現行 改正案(1) 特別税(2) (1) + (2) 事業税割合
資本金1億円超の普通法人
400万円以下 3.80% 1.50% 2.22% 3.72% 40.32%
400万円~800万円 5.50% 2.20% 3.26% 5.46% 40.32%
800万円~ 7.20% 2.90% 4.29% 7.19% 40.32%
資本金1億円以下の普通法人
400万円以下 5.00% 2.70% 2.19% 4.89% 55.25%
400万円~800万円 7.30% 4.00% 3.24% 7.24% 55.25%
800万円~ 9.60% 5.30% 4.29% 9.59% 55.25%

資本金1億円超の法人の税率が低いのは、資本金1億円超の法人は外形標準課税が適用となり、付加価値割と資本割が所得割に加わるからで、上の表は所得割の税率だからです。

だから、法人の所得に対して特別税(2)と書いた税率が、地方法人特別税になるのだと思えばよいのです。

2) 不思議な地方法人特別税

企業は都道府県に納付します。都道府県は国に支払います。国は、地方法人特別譲与税と名前を変えて、都道府県に分配します。その分配の金額の決め方は、2分の1を各都道府県の人口割合とし、2分の1を納付した各企業の従業者数の割合とします。但し、この結果、差し引きで損をする都道府県が出るかも知れません。損をする都道府県が、財源超過団体であった場合は、損を少なくする調整を少しします。

財源超過団体とは、地方交付税を受け取っていない税収の多い金持ち都道府県です。そんな都道府県はたった2つ。東京都と愛知県です。

一見、合理的に見えるのですが、法人事業税とは、法人の本社所在地の都道府県のみに納付するのではなく、支店、工場、倉庫等その法人の施設が存在する各都道府県の従業者の数で分割して納付するのです。工場を誘致すると、都道府県の税収は増加します。何故なら、工場の場合は、分割の計算をする際に1人を1.5人で計算しますから。

そもそも、各都道府県の従業者数で分割することになっている税をいじって、どうするのだろうかと思います。よっぽどの賢人か、よっぽどの阿呆と思います。法改正にも経費がかかるし、これを運用するのにも経費がかかるしと思います。

3) 地方交付税の充実が本当の姿ではないの

「三位一体の改革」とか言った人がいました。ほとんど理解できませんでした。「地方交付税が地方の独立をそぎ、各省庁の横暴を許す。」なんて話があったようにも思いますが、地方交付税法第1条は次のように書いてあります。

・・・・・・地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。

そして、第3条第2項は次の文章です。

国は、交付税の交付に当つては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。

変なことをせずに、正々堂々と議論をすべきだと思います。愛国心のない方々が、立法に携わっているのでは疑ってしまいます。何故なら、愛国心の反対は国家分裂だと思うからです。同じ国の人間だから、一緒に理想を追求しましょう。困っていれば助け合いましょうというのが、愛国心だと思うのです。金がなくて困っている地方に、いくら金が必要かのアプローチではなく、この方法で分配するから文句を言うなという論法に思えるからです。

そう言えば、道州制なんて言った人もいましたね。道州制分裂国家の危険性はないのでしょうか。

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2007年12月14日 (金)

イランの核兵器

少し前のことですが、「イランは2003年秋に核兵器の開発を中止していた。」とのニュースがありました。日経と朝日の記事は、次の通りでした。

日経 12月4日 イラン、03年に核兵器の開発停止・米情報機関が分析
朝日 12月4日 「イラン核開発計画中断」 米報告書「03年秋に」

この報告書はここ (文書名 Iran: Nuclear Intentions and Capabilities)にあります。

1) 報告書Iran: Nuclear Intentions and Capabilitiesに書いてあること

以下のように、ずいぶん明解に書いてあります。(私の参考訳文を付けておきました。ニュアンスはネイティブにも難しい面があるのだと思います。表紙を入れて、9枚の報告書で、6枚目に下の文章があるのですが、7枚目に"High confidence"、"Moderate confidence"、"Low confidence" の解説があります。解説も原文を読んでいただければ、よいのですが、続きを読むにも入れておきます。)

We judge with high confidence that in fall 2003, Tehran halted its nuclear weapons program; we also assess with moderate-to-high confidence that Tehran at a minimum is keeping open the option to develop nuclear weapons.

テヘランは2003年秋に核兵器開発計画の推進を中止したと、我々は相当に高い確率で判断できる。また、テヘランは将来の核兵器開発に関して中止することを含め話し合いの余地を残していると考えても良いものと推定する。

この報告書を読んで、他にも面白いと思ったのは、次の部分(Eの2つめの文章)です。

We assess with moderate confidence that convincing the Iranian leadership to forgo the eventual development of nuclear weapons will be difficult given the linkage many within the leadership probably see between nuclear weapons development and Iran’s key national security and foreign policy objectives, and given Iran’s considerable effort from at least the late 1980s to 2003 to develop such weapons. In our judgment, only an Iranian political decision to abandon a nuclear weapons objective would plausibly keep Iran from eventually producing nuclear weapons—and such a decision is inherently reversible.

この文章の最後の部分は、私は以下のように理解します。

・・・・イラン人自身による核兵器開発放棄の政治的決断がイランの完全な核兵器放棄につながり、そして、このようにして下された決断は後戻りはしないと、我々は判断する。

2) この報告書の報告者ODNI長官

報告書にも触れられているのですが、United States of Americaという連邦政府の情報・諜報部門のトップの人なのです。Webはここにあります。情報活動というのは、多くの政府の部局でやっており、ODNIの説明がここにありますが、その中に書いてあるIntelligence Community (IC)は、このWikipediaを見るとCIAを含め全部で16あり、その16の組織が集まってICを作り、ICのHeadと読んでいるので、議長・会長と言ったところでしょうが、それがODNI長官です。

だから、報告書は、米国政府の正式・公式の報告書なのです。

3) George W. Bushの反応

当然、素直に従うわけはありません。政治家ですから。だから、危険性は変わっていないと言っております。

Reuter Dec 4 Bush says Iran still dangerous

"Iran was dangerous, Iran is dangerous and Iran will be dangerous if they have the knowledge necessary to make a nuclear weapon," Bush told a White House news conference.

面白い表現ですね、"was"、"is"、"will"ですから、英語の勉強をしているみたいで。

4) これからのイラン

私は、おそらく国際社会に出てくるのではないかと思うのです。米国にとっては敵であった。だから、イラクに攻めに行って、米国は泥沼に落ち込んだ。イラクの石油が欲しかった。何故なら、イランの石油には手を出せなかったから。多分、民主党になったら、違ってくるのではと私は思うのです。

日本は、米国に気兼ねしながらイランとお付き合いをしていた。やはり、石油・ガスは欲しいですから、(間違いました)必要ですから。でも、米国に気兼ねをする必要のない国は、イラン外交を展開していました。例えば、読売 12月10日 中国石油化工集団、イランの油田開発で正式契約です。

世界の石油の確認埋蔵量の11.4%と世界の天然ガスの埋蔵量の15.5%が、イランにあるのです。石油はサウジアラビアに次いで2位、天然ガスはロシアに次いで2位です。すごいエネルギー資源の国なのです。だから、世界を敵にして核兵器の開発をする必要が全くないような国です。将来は、皆頭を下げて、石油とガスを下さいとイラン詣でをするのです。

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2007年11月15日 (木)

これからの日本経済

本日は思い切って大きく出てみました。何をすべきか、何を考えるべきか、思いつくままに書いてみます。

1) 上場企業の決算好調

次の共同通信の報道です。「東京証券取引所の市場第1部に上場する企業の2007年9月中間決算・・・・連結経常利益の総額は約18兆1000億円に達する見通しで、過去5年間で2倍以上に膨らみ、5年連続で過去最高を更新するのは確実・・・・」との記載があります。

共同通信 11月14日 中間益、5年連続過去最高 円安、新興国の需要が寄与

2) 日銀政策金利0.5%に据置き

昨日の日銀決定ですが、日経記事を掲げておきます。

日経 11月13日 日銀、金利据え置き・決定会合8対1、世界経済なお注視

そして、次の日経記事では、大田弘子経済財政担当相が昨日13日の7―9月期の国内総生産(GDP)発表後の記者会見で、実質経済成長率を2.1%とした政府経済見通しについて「相当厳しくなっているのは事実」と述べたと報道されています。

日経 11月13日 経財相「デフレ脱却足踏み」、政府見通し下方修正も

3) 現実の姿は(米国編)

1)と2)は、一見すれば正反対に思えるのですが、実は双方とも正しいのであり、その様な状態が起こるのが現在の日本経済の実態だと思います。現在の日本経済・世界経済に暗雲をもたらしているのは、米国のサブプライム問題でしょうか。例えば、このCitigroupの11月4日のプレスリリースによればCitigroupが保有するサブプライムに関する直接のエクスポージャーが550億ドル(約6兆円)あり、最大110億ドル(1兆2千億円)の損失(税引き後で70億ドル(約8千億円))になる見込みというから、巨額です。でも、Citigroupの年間純益は200億ドル程度で、本年第一四半期から第三四半期の純益の合計も134.5億ドルあり、年間決算で赤字となることはないのだろう思います。

すこし、横にそれてしまいますが、14日Citigroupは、日興との株式交換の比率を変更し、日興株価を1,700円としてCitigroup株は2008年1月15日から27日の間の平均株価を使用して株式交換比率を計算することを発表しました。(このプレスリリースです。

ところで、サブプライム問題とは、金融機関のみの問題ではないのです。このNBOnline Business Week(英語版はここ)は、住宅在庫が大きく膨らんでいることを伝えています。グラフで見ると次の通りです。

Ushousinginventories

米国住宅産業のさらなる不況・不動産価格の低迷・低所得者層の消費支出の減少・・・と様々なデフレーションに向かう、日本のバブル崩壊時の様子を更に深めるのだと私は予測します。

もう一つの米国のニュースはGMの第三四半期の繰延税金資産390億ドル取崩による損失です。結果第一四半期から第三四半期の9ヶ月間の業績は売上高1,342億ドル(14.8兆円)で純損失380億ドル(4兆2千億円)です。円換算すると一瞬、計算間違いかと思う金額です。

米国経済の先行きは、決して甘くないと思います。私が、今思うことは、ブッシュが率いていた共和党は負けるのだろう。来年の選挙は、ヒラリー・クリントンか、どうかは分かりませんが、民主党が勝つのだろうと思うのです。理由は、イラクではありません。民主党支持層が共和党に生活を壊されたと大選挙運動をするのではと思うからです。Sickoで、ムーアが運動した医療保険と同じ構造です。

日本は、どうするのか?ブッシュと友達ごっこをしても、破滅に向かうだけと思えます。

4) 現実の姿は?(世界編)

日本の企業(一部上場会社)が利益計上をしているのは、2つの理由からと思います。1つは、リストラ・社員のスリム化・派遣の起用・・・等々による経費削減の効果が現れているから。もう一つは、中国景気・中国及びアジア諸国向けの輸出の好調と思います。

実は、この2つは将来を考えると、それほど長続きしないと私は思います。経費削減策により、恩恵を被っている人たちは実は少数で、逆に収入が減少したりしてどちらかというと恩恵が及んでいない被害者の方が多いと思うのです。一番、利益を得ているのは、人間ではない会社であったり、会社の株を保有している外国投資家であったりという構造ではないかと思えます。被害者の方が多いとなると、長続きしないと思います。どこかで破綻がくるのではないか。それは、被害者が氾濫するという形ではなく、既に限度に近く、この経費削減策がもう通用しなくなるというケースに陥る可能性もあると思います。

中国・アジアのリスクですが、実はリスクは低いと思います。即ち、成長を続ける。しかし、成長を続けることは、逆に日本を必要としなくなることです。高い頭脳・力・設備・経験・・・そんなものを、どしどし身につけていっていると思います。今、中国・インド・アジアに輸出できているモノは、まもなく、それらの国々で生産される。実は、既に中国製品・インド製品がアジア各国で見られるようになりました。日本製品より高い技術力の製品を見たこともあります。もし、これを素直に認めない日本の企業経営者がいるなら、その人は失格と思います。

推し進めるべきは、協力関係です。中国・インド・アジアが万能ではありません。互いに補完・協力して経済活動を進めることで、互いに豊かになれるのだと思います。EUが何故できてきたか?何故ヨーロッパは通貨統合まで、したのか?通貨統合なんて、すごい決断です。日本で言えば、日銀が存在しなくなるのです。日本の都合で、中央銀行の利率を決めたり、外国為替に介入したりすることができなくなるのです。ある意味、国家主権を放棄することです。そこまでして、ヨーロッパ諸国は通貨統合を果たしたのです。

昔の日本人は唐・天竺から文化・文明を学び交流していました。日本が主導権を握った大東亜共栄圏を勝手に思い浮かべたこともありました。これからは、中国・インド・アジアが連邦国家のようになっていかないといけないのではないか。そんなことを思ってしまいました。

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2007年11月12日 (月)

NHKスペシャル「やくざマネー」

NHKスペシャルで「やくざマネー~社会を蝕(むしば)む闇の資金~」というのを放送していました。「金には色はない。」のであり、行為そのものに違法性がないのであれば、やくざであるからと、それを非難はできないと思います。「やくざ」の定義が明確でないと、単に金を動かすことで、非難はできないし、「やくざ」が違法行為をする集団とその構成員と定義するなら、違法行為を取り締まるべきであると思います。

「やくざマネー」を一般投資家を翻弄し、資金を欺し取ろうとすることであれば、実はたくさんあるし、気をつけておかねばと思います。そんな感じで書いてみます。

1) モックの新株予約権

モックの新株予約権については、9月15日のエントリー 株式会社モックをめぐる推理9月27日のエントリー モック株主総会決議成立で書きました。株価は、以下のチャートの通り下げ続けています。10株を1株に併合していることから、過去の株価は10倍で表示されています。

071111

そして、モックは、この11月1日付開示資料の通り、「2007 年10 月において月末上場時価総額が5億円未満となりましたので、今後の見通し等につきまして、・・・・・」と上場廃止になる可能性を発表しました。既に、新株予約権は10月31日に発行済みであり、これを購入した香港のペーパーカンパニーMaxi Point Investment Limitedは、15,000円で株式を購入できるのであり、株価は15,000円に張り付くはず。私は上場廃止は確実と思っていました。

しかし、11月に入って少し株価は持ち直し、9日には38,350円となったことから、不思議に思う次第です。現在、モックは、11月1日開示資料にも記載の通り子会社株式を含む資産の売却を進めており、Maxi Point Investment Limitedに新株を発行し、60億円の資金を得たならば、何に使うのでしょうかと思います。考えられることは、現在の株価で売却すれば1株あたり15,000円以上の売却益をMaxi Point Investment Limitedが得られること。但し、400,000株も売却することは、困難と思えます。もう一つは、NHKスペシャルで「やくざマネー」であった、Maxi Point Investment Limitedの裏に存在する本当の資金の出し手に戻すこと。もしかしたら、この2つが絡み合っているのではないかとも勝手に思います。

「金には色はない。」と書いたのですが、一方でIR開示内容と企業が実際に実行していることに差がある場合は、やはり投資家を欺すことであり、犯罪であると思います。そう言った点については、強制捜査が可能である警察力に依存せざるを得ない面があるのではと思いました。

2) オックスホールディングス

オックスホールディングスのホームページはここにありますが、10月3日に30億円の発行株価変動型の新株予約権(対価3百万円)の発行を発表し、10月18日に発行しています。この会社の驚くべき所は、11月8日付業績予想の修正に関するお知らせ で、2007年9月期の業績予想が17億円ダウンして、連結27億円の赤字、個別25億円の赤字と発表していることです。従業員17名で関係会社を入れても100名にならない会社です。

何がどうなっているか、私にしたら恐ろしくて投資などは考えられないのです。オックスホールディングスの30億円の新株に相当する新株予約権を引き受けたのも、香港のペーパーカンパニーです。

「やくざマネー」なるものがあるかも知れませんが、昔からあるのはヤミ金融です。嘘と詐欺が存在すると同時に、金も存在する。モックとオックスホールディングスの2社を書きましたが、ヤミ金融が絡んでいるとの根拠は何もありません。共通項は、これら2社の新株引き受け権を購入したのは、香港の会社であり、その資本金がモックは1香港ドル(13円)でオックスホールディングスが2香港ドル(26円)でした。

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2007年10月27日 (土)

廃止候補の201病院

平成18年度版を2008年8月18日以降の下記エントリーで記載しました。

2008年8月18日 自治体病院の経営指標の実績

<追記>
このエントリーを、たくさんの方が訪れていただいて、資料作成も大変でしたが、読んでいただいていると思うとうれしくなります。このエントリーのために資料を作成した際、都道府県立病院と大都市の病院を見落としてしましました。12月 2日のエントリー
廃止候補の都道府県立病院に、見落としていた都道府県立病院と大都市の病院を追加しましたので、そちらの方もごらんになって下さい。

朝日新聞の記事です。

朝日 10月26日 病床利用率、70%下回れば削減も 公立病院改革

ということで、10月 2日のエントリー「病院経営」で利用した総務省の平成17年度の地方公営企業年鑑により、病床利用率70%未満の自治体病院を探しました。記事では、「病床利用率が過去3年間連続で70%未満の病院には病床数削減や診療所(病床数20床未満)への転換など抜本的見直しを求める。」とあり、下のリストは平成17年のみの数字ですので、必ずしも正しくはないのですが、記事には「3年以内に黒字化を達成するよう求め」とも書いてあり、70%以上であっても削減に追い込まれる可能性もあること。そして、このNikkei Net (10/26)国公立病院、赤字倍増に には,「国公立病院の経営が悪化している。厚生労働省の調査によると、2007年6月単月の収支は平均5799万円の赤字で、赤字額は2年前の2倍に拡大した。」との記載があり、むしろ悪化している状態です。

他の医療機関が存在し、必要性が薄れてきている場合は削減・閉鎖はあってよいと思いますが、地域の医療を支える重要な病院であれば、病床利用率で一律に削減することには問題がありすぎると思います。地方の格差拡大は、お金のことより医療で進んでいるように思えます。

厚生労働省に各病院の医療の観点における必要性を調査し、国民に報告して欲しいと思います。しかし、そんな期待をするよりは、地元の方で本当に困ってしまう人が、市町村や厚労省、政府に働きかける方が、よほど有効であると思います。

もし、私の作成したこのリストが本当に困る人の目に入り、お役に立てるのであればと思うことから、全リストを以下に掲げます。そして、75%だったら大丈夫とも言えないので、全728病院を記載します。知っている病院を見てください。

所在都道府県 団体名 病院名 病床利用率%
北海道 函館市 市立函館病院 85.1
北海道 函館市 市立函館恵山病院 83.4
北海道 函館市 市立函館南茅部病院 84.5
北海道 小樽市 小樽病院 55.8
北海道 小樽市 第二病院 67.3
北海道 旭川市 旭川病院 84.1
北海道 室蘭市 総合病院 91.7
北海道 釧路市 市立釧路総合病院 86.1
北海道 釧路市 市立釧路国民健康保険阿寒病院 66.3
北海道 北見市 北見市国民健康保険常呂病院 64.5
北海道 夕張市 総合病院 46.0
北海道 岩見沢市 総合病院 96.6
北海道 岩見沢市 栗沢病院 90.6
北海道 留萌市 市立病院 82.2
北海道 苫小牧市 苫小牧市立総合病院 76.0
北海道 稚内市 稚内病院 79.5
北海道 稚内市 稚内こまどり病院 91.5
北海道 美唄市 市立美唄病院 42.8
北海道 芦別市 芦別病院 82.3
北海道 江別市 市立病院 76.6
北海道 赤平市 赤平総合病院 85.1
北海道 士別市 士別総合病院 77.9
北海道 名寄市 総合病院 71.6
北海道 名寄市 名寄東病院 93.4
北海道 三笠市 三笠総合病院 78.3
北海道 根室市 根室病院 73.0
北海道 千歳市 千歳市民病院 86.1
北海道 滝川市 市立病院 72.9
北海道 砂川市 市立病院 82.7
北海道 歌志内市 市立病院 95.5
北海道 深川市 総合病院 77.6
北海道 松前町 松前病院 77.2
北海道 木古内町 国保病院 72.4
北海道 森町 国保病院 69.2
北海道 八雲町 八雲総合病院 85.0
北海道 八雲町 八雲町熊石国民健康保険病院 58.6
北海道 長万部町 町立病院 67.8
北海道 厚沢部町 国保病院 48.7
北海道 乙部町 国保病院 35.3
北海道 奥尻町 国保病院 82.2
北海道 今金町 国保病院 71.4
北海道 せたな町 せたな町立北檜山国保病院 56.8
北海道 せたな町 せたな町立大成国民健康保険病院 39.8
北海道 黒松内町 黒松内町国民健康保険病院 23.0
北海道 京極町 国保病院 36.8
北海道 南幌町 国保町立病院 69.2
北海道 奈井江町 奈井江町立国民健康保険病院 71.2
北海道 由仁町 町立病院 82.6
北海道 長沼町 長沼病院 75.0
北海道 月形町 国保町立病院 90.0
北海道 幌加内町 国保病院 81.5
北海道 上川町 町立病院 32.4
北海道 美瑛町 町立病院 73.3
北海道 上富良野町 上富良野町立病院 66.8
北海道 中富良野町 町立病院 54.6
北海道 和寒町 国保町立和寒病院 70.6
北海道 下川町 下川病院 76.7
北海道 遠別町 遠別町立国保病院 61.1
北海道 天塩町 国保病院 70.8
北海道 幌延町 町立病院 69.4
北海道 猿払村 国保病院 79.9
北海道 浜頓別町 国保病院 70.0
北海道 中頓別町 国保病院 47.5
北海道 枝幸町 枝幸町国民健康保険病院 82.4
北海道 枝幸町 枝幸町国民健康保険歌登病院 56.8
北海道 豊富町 豊富町国民健康保険病院 53.8
北海道 美幌町 国保病院 84.9
北海道 斜里町 斜里町国民健康保険病院 80.3
北海道 滝上町 国保病院 98.5
北海道 興部町 国保病院 55.6
北海道 雄武町 国保病院 73.9
北海道 豊浦町 国保病院 80.6
北海道 白老町 国保病院 63.7
北海道 むかわ町 穂別町立病院 94.1
北海道 日高町 日高国保病院 40.8
北海道 日高町 門別国保病院 86.4
北海道 平取町 国保病院 60.0
北海道 新冠町 国保病院 68.9
北海道 新ひだか町 新ひだか町立静内病院 34.3
北海道 新ひだか町 新ひだか町立三石国民健康保険病院 77.4
北海道 士幌町 国保病院 70.4
北海道 鹿追町 国保病院 49.0
北海道 芽室町 国保芽室病院 72.3
北海道 大樹町 国保病院 68.4
北海道 広尾町 広尾町国民健康保険病院 75.6
北海道 池田町 町立病院 79.8
北海道 本別町 国保病院 80.9
北海道 足寄町 国保病院 83.4
北海道 厚岸町 厚岸病院 66.3
北海道 標茶町 町立病院 58.3
北海道 別海町 別海病院 72.9
北海道 中標津町 中標津病院 56.8
北海道 標津町 国保標津病院 72.9
北海道 羅臼町 国保病院 77.2
北海道 利尻島国民健康保険病院組合 利尻島国保中央病院 63.3
青森県 青森市 青森市民病院 86.3
青森県 青森市 浪岡病院 65.6
青森県 弘前市 市立病院 93.2
青森県 八戸市 八戸市民病院 90.3
青森県 黒石市 国保黒石病院 76.9
青森県 五所川原市 西北中央病院 73.6
青森県 十和田市 中央病院 65.0
青森県 三沢市 市立病院 89.1
青森県 つがる市 国保病院成人病センター 71.5
青森県 平川市 国保平川病院 59.6
青森県 平内町 国保平内中央病院 94.9
青森県 外ヶ浜町 外ケ浜中央病院 94.5
青森県 鰺ケ沢町 中央病院 61.1
青森県 藤崎町 国保藤崎病院 32.1
青森県 大鰐町 大鰐病院 52.8
青森県 板柳町 国保板柳中央病院 65.0
青森県 鶴田町 国保中央病院 66.9
青森県 六戸町 国保病院 54.5
青森県 おいらせ町 国民健康保険おいらせ病院 60.3
青森県 三戸町 国保三戸中央病院 71.0
青森県 五戸町 国保五戸総合病院 77.2
青森県 田子町 国保田子病院 85.4
青森県 南部町 国保名川病院 100.4
青森県 中部上北広域事業組合 公立七戸病院 67.8
青森県 公立金木病院組合 公立金木病院 74.9
青森県 一部事務組合下北医療センター むつ総合病院 76.9
青森県 一部事務組合下北医療センター 国保川内病院 21.7
青森県 一部事務組合下北医療センター 国保大間病院 65.3
青森県 一部事務組合下北医療センター むつリハビリテーション病院 81.7
青森県 北部上北広域事務組合 公立野辺地病院 79.3
岩手県 盛岡市 盛岡市立病院 73.7
岩手県 宮古市 宮古市国民健康保険田老病院 36.1
岩手県 釜石市 釜石市民病院 24.1
岩手県 八幡平市 八幡平市国民健康保険西根病院 67.8
岩手県 奥州市 奥州市総合水沢病院 76.6
岩手県 奥州市 奥州市国民健康保険まごころ病院 85.5
岩手県 雫石町 雫石病院 51.1
岩手県 葛巻町 国保葛巻病院 79.4
岩手県 西和賀町 国保沢内病院 60.5
岩手県 金ケ崎町 国民健康保険金ケ崎病院 40.1
岩手県 藤沢町 国保藤沢町民病院 83.2
岩手県 洋野町 国保種市病院 66.8
宮城県 石巻市 石巻市立病院 83.1
宮城県 石巻市 石巻市立雄勝病院 94.4
宮城県 石巻市 石巻市立牡鹿病院 51.5
宮城県 塩竈市 塩竈市立病院 54.4
宮城県 気仙沼市 気仙沼市立病院 86.4
宮城県 登米市 登米市立佐沼病院 82.5
宮城県 登米市 登米市立登米病院 75.9
宮城県 登米市 登米市立米谷病院 57.7
宮城県 登米市