2017年6月 6日 (火)

東芝の監査委員会と監査法人

東芝に関しては、毎日のように様々な報道が為されている。例えば、次の東洋経済ONLINEの記事である。

東洋経済ONLINE 5月5日 東芝の監査法人、「PwCあらた」が一転継続へ

注目は、記事よりも、この記事に対するコメント欄の書込(ここ)である。監査委員会と会計監査人との関係についてのコメントがある。

会計監査人は2016年3月までは新日本であり、4月からはPwCあらたである。東芝は、指名委員会等設置会社であり、執行役の取締役以外に指名委員会、監査委員会、報酬委員会を構成し、委員となっている取締役が存在する。

一連の問題で、東芝監査委員会の委員となっている取締役は3名いるが、果たして何をしていたのか、何をしているのかと問いたださなくてはならない。監査委員3名は、全員社外取締役なのだが、委員長は元監査法人の執行社員であった公認会計士であり、残る2名のうちの1名も別の監査法人の元代表社員であり、証券取引等監視委員会委員を勤めた事がある人物。そして、もう一人は元検察官で最高裁判所判事にもなった人である。監査委員会の委員自らが全ての作業をする必要はない。調査他の職務を補助すべき使用人に業務を命じれば良いのである。そして、監査法人と密接な連絡を取り、監査法人の意見を聴取する必要がある。

問題ある会社の監査委員に就任している場合の株主や社会に対する責任は、それだけ重大であると考える。悪い奴らは、悪事を隠すために、さも立派な肩書きのあるこれぞ社会正義と看板を掲げる事ができる人物をお目付役に任命する。東芝問題って、複雑且つ大変ですね。

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2015年7月31日 (金)

東芝のガバナンスを考える

東芝の巨額粉飾事件の原因は、本来機能すべき会社のガバナンスが機能していなかったと考えるべきと思う。その理由を考えてみる。そうすることが経営コンサルタントとしての社会全般への貢献であるとも思う。

1) 東芝は委員会設置会社である

東芝は委員会設置会社である。

(2015年5月1日に改正会社法が施行され、名前は指名委員会等設置会社になっており、正確には指名委員会等設置会社と呼ぶべきである。しかし、今回のこのブログ内では、委員会設置会社と呼ぶこととする。)

委員会設置会社とは、2003年4月施行の改正商法特例法により導入され、2006年5月施行の会社法に引き継がれた。委員会設置会社ではない従来型の会社統治制度は、株主総会で選任された取締役により構成される取締役会が業務を執行し、そして株主総会で選任された監査役が取締役の業務執行を監査する。取締役の業務執行における不正行為を監視するのは監査役である。監査役の仕事としては、取締役並びに取締役会が不正防止のための適切な管理・監視体制等を構築しているかを監視し、取締役会に改善を勧告することもその業務に含まれる。

委員会設置会社の場合は、監査役は選任されない。株主総会での選任は取締役のみとなる。そして、委員会設置会社では指名委員会、報酬委員会と監査委員会の3つの委員会が組織される。3つの委員会の委員は、取締役の中から、取締役会の決議で選任される。業務執行は、取締役ではなく取締役会が選任する執行役により行われる。但し、取締役が執行役を兼任することは可能である。

委員会設置会社の場合、執行役が業務を執行し、執行役を選任するのが取締役会であることから、取締役会はミニ株主総会の感覚を持つ。数えてはいないが、米国では上場会社のほとんどは委員会設置会社であると思う。株主統治を重視する考え方に立てば、株主代表の取締役会が執行役による業務執行を監視するほうが不正は生じにくいし、株主の利益にそった会社の活動が期待できるとの考え方である。取締役の任期は1年であり、執行役は取締役会の決議で何時でも解任できる。

2) 監査委員会

今回の東芝の巨額粉飾事件の問題点で見落としてはならないのは、監査委員会の職務執行の適正さ・的確さである。会社法404条2項は次の通りである。

監査委員会は、次に掲げる職務を行う。
 執行役等(執行役及び取締役をいい、会計参与設置会社にあっては、執行役、取締役及び会計参与をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
   株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容の決定

社長(執行役)を含む会社トップの不適切な職務執行が巨額粉飾を生んだ事件である。東芝巨額粉飾事件については、J-soxのような内部統制制度が機能しにくい面が存在する。即ち、内部統制制度とは社長(執行役)を頂点としての組織が運営・運用する制度である。トップが暴走した場合に、それを阻止する体制は、J-soxでは不十分であると私は考える。委員会設置会社ではないが、大王製紙事件や、オリンパス事件でもJ-soxは機能していなかった。

委員会設置会社の場合のトップ(執行役)の不正防止機能は、監査委員会の職務執行であり、その適正さに期待をしなければならないと考える。

3) 東芝の監査委員会

東芝の7月22日現在の監査委員会の委員は、伊丹敬之(委員長、社外)、島岡聖也(社内法務出身)、島内憲(社外)、斎藤聖美(社外)、谷野作太郎(社外)で全員6月総会で再任されている。経歴はこの東芝の株主総会招集通知を見ると外務省出身であったりで2)で書いたような執行役の不正を正す能力がどこまであったのかと疑問に思える面がある。

委員会設置会社の場合、1)において株主の利益にそった経営が期待できると書いたのであるが、逆にワンマン経営に陥る可能性も高くなるのである。即ち、一人または何人かが取締役と執行役を兼任し、この人が代表執行役のような執行役及び従業員のトップになる訳で、執行役から取締役会への報告は3月に1回で済ませることも多く(会社法417条4項)、監査委員会も取締役の開催と併せて3月に1回のペースとなることも多い。そして、実際に業務に携わっているのは執行役であるから基本的に全ての資料は執行役が準備する。取締役から執行役に対する質問についても、会社の業務に関する情報格差は大きく、各委員会の過半数を占める社外取締役が本質を捉えて執行役の会社業務について正すことには困難がつきまとうと言える。

監査委員会の能力についての疑問を書いたのであるが、任務を怠ったとなると取締役に対する株主代表訴訟の可能性が出てくる。これについては当然監査委員会の委員を含め東芝の取締役は認識しておられると思う。賠償上限金額を定めて就任していると思うが、今後の日本の会社の社外取締役はなり手があるのかとも思う。また経歴等で見栄えのよい社外取締役ではなく実務に優秀な職人的な社外取締役が望まれる気がする。

4) 日本型会社経営

独立社外取締役が取締役に就任することに反対するのではありません。東芝のように委員会設置会社とすることが日本の会社にとって良いことなのかという疑問です。企業には、それぞれ風土があり、一概に述べることは不適切と考える。しかし、日本型の終身雇用制度においては、委員会設置会社のガバナンスはうまく機能しないとの疑問が、東芝巨額粉飾事件を考えるにつれ強くなってきたのです。

代表執行役一人に、好きなように活躍させて、株主の利益拡大を最優先にする会社とするなら委員会設置会社も機能すると思う。年功序列的に社内から認められてトップになるのではなく業績回復や業績拡大を目指して競争相手から引き抜いてでもトップに据えたくなる人間がいれば連れてくるやり方の場合、委員会設置会社の仕組みはうまく機能すると思う。日本はやはり年功序列的なガバナンスであると思う。基本的には、社内風土・企業内容・人員等を的確に把握している人がトップとなり、リーダーとなって業務を執行していく。先輩を敬い、同じ釜の飯を食ってんだからと、遠慮なく意見を述べ、正すべきことは正していく。監査についても社内出身者の場合は、手心を加える面があるかも知れないが、不正の可能性を見抜くことが容易とも言える。

日本型会社ガバナンスを見直してみるべきではないかと思う。終身雇用や従業員第一というような経営姿勢から生まれるガバナンスも良いではないかと思う。株主利益優先なる経営方針やガバナンスがもたらす結果は、どうであるか、個々の会社毎に考える必要があると思う。どの会社のガバナンスの説明を見ても、金太郎飴みたいに思え、書いてあるだけではないのと疑ったりしてしまう。

5) 東芝の今後

東芝がこれくらいのことで、どうかなる訳ではないと考える。日本の将来を担う技術を保有する会社である。一方、それ故非常に残念でもある。社会に貢献することを最大の目的として会社を運営・経営をしていかれたいと望む。

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2015年7月22日 (水)

東芝の問題

東芝の粉飾事件は、日を追う毎に、問題が膨らんできているような気がする。時事ドットコムは、米国における東芝株の株価急落に起因する損失についての裁判について報道している。

時事ドットコム 7月22日 東芝に賠償請求=集団訴訟に発展も-米

米国の法廷での裁判であり、私は、陪審員制と理解します。陪審員制の場合、情状による判断が入りやすく、弱者救済に向かうことが多いと聞いたこともあり、東芝にとっては、厳しい判決となりうるように思う。

しかし、東芝は、何故こんなバカな粉飾をしてしまったのだろうと不思議に思う。日経は7月21日に、東芝、不適切会計問題を読み解くという記事を出しているが、社長の指示でそんな簡単に社員が粉飾決算に手を染めるのだろうかと疑問に思う。義侠心が多い社員もいる。最も、上の意向を汲んで行動する人もいるだろうが逆に社会的正義感が強い人もいる。社内監査部門もあるし、社内制度・組織では不正が生じないようガバナンスが働くようになっていると思う。そう考えると、社長が犯人ではなく、社員・就業者全員が一丸となって粉飾をしたのではとさえ思ってしまう。そうなると、会計監査人新日本監査法人は、どうなのだろうか?会社法423条の役員等の株式会社に対する損害賠償責任には会計監査人も含まれている。日本で、株主代表訴訟が提起された場合には、新日本監査法人が含まれる可能性もあると思う。

ところで、ウェスチングハウス(WH)は、どうなのだろうか?東芝の有価証券報告書(2014年3月期)を見ると、WHの全部の持分は東芝エナジーホールディングス(米国)が保有し、この87%を東芝が保有しているとの記載がある。東芝がWHの67%を買収したのは英BNFLからで2006年。(この東芝発表2006年2月6日には、54億ドル(約6,210億円、115円/ドルで換算)で契約を締結とある。但し、54億ドルは、米ショー・グループ(20%)、カザフスタンの国営原子力事業会社カザトムプロム(10%)と日本IHI(3%)の合計である可能性はある。2011年のWH20%持分追加取得はこの東芝発表2011年9月6日であり、米ショー・グループから。金額はこの日経2015年7月22日によれば、1250億円であるが、東芝の発表にもショーのプットオプション行使の決定とあり、ショーが6,210億円の20%で東芝に売却するオプションを保有していたと想定される。

そこで東芝のWH取得の投資額を考えると、6,210億円の87%である5,400億円と想定される。2014年3月末連結財務諸表におけるWHの資産は259億円が計上されており、のれんは全社合計で5800億円計上されている。東芝は米国基準で財務諸表を作成しており、のれんは規則的な償却の対象ではなく、5,400億円がほぼそのまま資産計上されている可能性はある。

どうなのだろうか?原発に明るい未来は考えられるのだろうか?特にWHの加圧型軽水炉の将来は、どうなのだろうか?仮にWHの持分を東芝が売却しようとして買い手が現れるのだろうか?米国政府・米議会や米国民にしてみれば、変な相手先への売却を認めないはずである。東芝のWH投資は更に混迷を深める問題である。

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2015年4月 7日 (火)

役員報酬14億円強を受領のユーシン会長兼社長

会計ニュースコレクターさんのブログ(これ)で知りました。自動車部品会社ユーシンの会長兼社長が一人で受け取った役員報酬14億円強が過去最高を記録したと東京商工リサーチが4月3日に報じた。東京商工リサーチのニュースはここにあります。

ユーシンは自動車部品等の製造メーカであり、過去2回社長を公募したことでも有名である。(参考:東洋経済 2014年08月29日 ユーシン、2度目の社長公募はどうなった?後継者選びに挑んだ80歳社長

なお、過去の役員報酬の支払い記録と業績を調べると次表の通りであった。

Ushin20153a

2014年11月期は12億5千万円の純利益であったが、連結業績は4億3千万円の赤字であった。2011年11月期を除き、連結ベースの方が業績が悪い。即ち、赤字子会社が多いことを意味する。

また、役員基本報酬にしろ賞与にしろ圧倒的に田邊耕二氏に対する支払額が多く、2014年11月期は86%が同氏への支払いである。優秀な人材が来れば、10億円を越える報酬も支払いますよと更に3回目の社長公募への布陣なのかも知れないが、分かりません。

考えれば、会社法以前の商法時代は役員賞与は利益処分として扱い多くの会社では株主配当金のより少ない金額を役員賞与の総額としていた。決して、それが正しいとは限らないが、会社法にだって次の361条1項がある。

第361条 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容

ユーシンの112回定時株主総会(2013年11月期)招集通知を見ると、4号議案として取締役の報酬額改定の件とある。しかし、取締役の報酬額総額を年額10億円以内から年額30億円以内に改訂するという内容であった。個人別の役員報酬額は年1億円以上の場合、2010年3月期以後の有価証券報告書でコーポレートガバナンスに関する項目として開示が義務付けられた(参考)。従い、有価証券報告書が株主総会の後で提出される場合には、1億円以上であっても役員報酬は総額の開示で通用する。本当は、株主配当金や役員報酬については、株主総会で議論されても良いことと思うのであるが。なお、ユーシンの株主配当金は年間3億円弱。また、田邊耕二氏の持ち株は1%未満である。

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2013年11月 6日 (水)

雪国まいたけ事件から学ぶべきこと

雪国まいたけが過去の不適切な会計処理に関する調査報告書と社長の辞任を11月5日に発表した。日経の記事は次の通り。

日経 11月5日 雪国まいたけ、12年3月期に違法配当の可能性

雪国まいたけによる発表は、社内調査委員会の調査報告書の受領及び当社の対応についておよび代表取締役の異動(社長交代)に関するお知らせです。

日経記事に「2012年3月期の配当可能剰余金がゼロとなり、同期の株主配当金1億3300万円が全額違法配当になっている可能性がある」との文章がある。「調査報告書の受領及び当社の対応」とする方の会社発表の7枚目以降のページに社内調査報告書の要約版が添付されている。これを読むと、平成11年3月期以降から本年6月末までの間で、不適切な会計処理により13億84百万円の利益が過剰に計上されていると書いてある。結果、2013年3月末においては、連結決算の貸借対照表で純資産が13億84百万円減少し、単体決算で14億27百万円減少する。その結果として純資産額は、連結で8億15百万円、単体で6億1千万円となる。

一方、株主が払い込んだ資本金と資本剰余金並びに過去の利益の積立額である利益剰余金の合計である株主資本は、2013年3月末で連結で22億14百万円、単体で19億71百万円であった。その結果として、過去の利益配当において株主が払い込んだお金をたこ足配当した部分の金額(単体のみを対象として)が、私の計算では13億61百万円もあったことになる(19億71百万円マイナス6億1千万円)。これでは、2012年3月期の株主配当金1億3300万円に限定されない超巨額違法配当事件と思える。(結果は今少し待ちたい。)

そのような超巨額不適切会計処理が行われた背景であるが、日経記事には「経営者の強すぎたリーダーシップによる暗黙の重圧」なる表現があり、報告書要約版を読むと、「私たちは出来ない理由を探しません!出来る理由を見つけます! 私たちは妥協しません! 許しません!」との会社の行動指針があったことが書いてある。(15ページ)

背筋が寒くなる標語である。半沢直樹とブラック企業が頭に浮かんでしまうが、同時に戦前・戦中の日本の標語に連想が移る。「鬼畜米英。欲しがりません勝つまでは。」とかで、竹槍で銃と戦うなんて絶対に無理で、頭を使い、交渉力や国内政治と外交を含む分析力や企画力等で勝負すべきが、完全に間違っていると考える次第である。「それでも、お前は日本人か」なんて、こんな事を言ってしか相手との論争に勝てないのは無能力の証明と考えるが、それに似たような表現である。

企業にも政府にも社会にも、精神主義がはびこってはならない。相手の言葉も理解し、論理的、合理的に進めることができて繁栄があると信じる。

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2012年10月 1日 (月)

三洋電機の配当に関する株主代表訴訟判決に思う

配当可能益がないのに違法な配当をしたとして、元株主が井植敏元会長ら当時の三洋電機経営者15人に対して総額約279億円の三洋電機への支払を求めた株主代表訴訟の判決が28日にあり、大阪地裁は違法配当ではないとして、株主の請求を棄却したとのニュースがあった。

時事ドットコム 9月28日 井植元会長らの責任認めず=三洋電機の株主訴訟-大阪地裁

何故、これを本ブログで取り上げたかというと、三洋電機の財務諸表に関して金融庁が課徴金納付命令を出しているからである。

金融庁発表 2008年1月18日 三洋電機株式会社の半期報告書に係る金融商品取引法違反に対する課徴金納付命令の決定について

課徴金納付命令となった対象は有価証券報告書は2005年9月中間期半期報告書であり、この金融庁勧告の通り、純資産額が174,641百万円であったにもかかわらず、純資産額に相当する「資本合計」欄に226,872百万円と記載したと言うことであり、52,231百万円の粉飾決算である。なお、三洋電機の有価証券報告書は、2005年9月中間期半期報告書を含め、この三洋電機のWebからダウンロード可能です。

そうなると考えてしまう。元株主の申し立てのように、違法配当ではなかったのかと。即ち、三洋電機は2005年3月期の中間配当(配当支払い時期2004年12月頃)まで、1株あたり期末配当3円と中間配当3円を継続していた。1回の配当支払総額は55億円-56億円であり、元株主の賠償額279億円は粉飾額522億円より小さいのである。また、2005年9月中間期末における利益剰余金合計は、粉飾額522億円をマイナスする以前で既に1,913億円のマイナスを計上していた。

522億円のマイナスをどの時点で財務諸表上に認識するのが妥当であったのかは、当事者でないと、判断は困難である。ちなみに、監査法人は中央青山であった。

しかし、結果としては、三洋電機はパナソニックに買収されたのであり、日本航空と比べれば、ごく普通の企業であると考える。日本航空の場合は、株式を無価値にし、債権カットをして株主と債権者を泣かせた。銀行の損失は法人税の減収であり、国民の税金負担増大である。借入金・社債の債権カット額分は返済も利払いも不要になったのみならず、会社更生法適用による債権放棄として益金不算入の扱いを受ける。法人税さえ納付義務が当面なくなった。泣きを見るのは国民である。また、債権カットを実施し関係者の同意を得るためにと従業員の年金カットも行われた。三洋電機は、国民にこのような多大な犠牲を強いることはなかったのである。企業活動に関する一つの重要なことの一つは、政府は個別企業に関与してはならないことである。

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2012年2月17日 (金)

オリンパス事件で7名逮捕

やっと逮捕したかと思う。

日経 2月16日 オリンパス虚偽記載の疑い、7人逮捕 旧経営陣と証券OBら

どう考えますか?昨年12月6日のオリンパス第三者委員会報告書に思うで、菊川剛を、私は、、ごく最近になって損失隠しを知ったと説明していたすごい面の皮の男と書いた。

嘘で固めた人生をおくることは、その当人にとって不幸なことである。しかし、同時に、その周りの人達も大いなる迷惑を受け、不幸になったと言えると思う。オリンパス事件では、迷惑を受けた株主や従業員は存在しているはずである。変な投資勧誘者に多額の報酬を払わずに株主配当や従業員給与として払われていたならばと思う。

人は悪事を働くものとして、監査役は取締役の監査をするのである。オリンパス事件の場合、監査役が自らの業務である監査をせずに、取締役とグルになって悪事を働いた企業犯罪そのものと考える。

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2011年12月17日 (土)

オリンパスの違法配当

1400億円以上にのぼる粉飾決算事件だが、どうも頭が混乱しそうになる時がある。次の日経記事です。

日経12月16日 オリンパス「配当、限度額超えてた」と正式発表

「訂正後の貸借対照表では株主に分配可能な限度額を超えていた」であるが、「対象期間に行った剰余金の配当の効力に影響はないものと考えている」に結びつけてどうだろうか、ミスをしても、大丈夫ですと言うのと、変わりはないと思う。なお、会社の発表はここにある。

1) 剰余金の配当の効力への影響

コメントしようとは思わないが、会社法462条(剰余金の配当等に関する責任)第2項に「前項の規定にかかわらず、業務執行者及び同項各号に定める者は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、同項の義務を負わない。」である。これを主張しようとする取締役が多くいるのかなと思った。

それとオリンパスは会計監査人設置会社である故、会計監査人設置会社であった監査法人に責任を浮かび上がらせようとしているのか?でも、作成者はオリンパスである。オリンパスの方が、質の上でも、責任重大であるはずが。

2) 何故抵抗が続くのか

過年度決算訂正を発表したが、2007年3月期までの5年分のみ。2007年3月期でいきなり1116億円のファンド連結に伴う特定資産の修正が計上されている。損益計算書のファンド関連損失は21億円億円なので、1000億円以上は2006年3月以前のはず。第三者委員会報告書には「金融資産の運用損は飛躍的に膨れあがるに至り、1990年代後半には1000億円をやや下回るほどの巨額なものとなった。」とあるが、会社の決算訂正は、無視をしていると思う。

報道では、「飛ばし」と呼ばれている。しかし「だまし」が正しいと思う。200億円の投資をして、時価が100億円になった。その時に、200億円を短気で調達し、海外の銀行に預金をする。その預金を担保にしてダミーに金を借りさせ、その金で損をした投資を200億円で購入させる。そうすると200億円はオリンパスに入ることになり、元の短期借入は返済できる。残るのは、200億円の預金であるが、担保になっているので、実質価値はダミーが持つ時価100億円の投資のみ。複雑なことをしなくても、同じ効果であるが、銀行預金の担保部分を秘密にすれば、預金は預金残高で評価されるから200億円。ダミーは水面下に隠れて分からない。そして、複雑な構造にしたことから、手数料の持ち出しはある。こんな操作は、飛ばしではなくだましである。

別の表現をすれば、会社の金に手を出して、馬を買った。でも、はずれた。だから、買っていないように隠そうとし、誰かに会社の金を手数料として支払って、その手数料をバックしてもらう。これが、穴埋め資金となる。この話とオリンパスの今回の事件は、ほぼ同じと思う。

会社の為にしたのだと、同情するような意見も聞かれる。しかし、犯罪であり、あってはならないこと。他の企業でも発生しうるからこそ、厳しい処分が必要と思う。

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2011年11月 9日 (水)

あきれかえるオリンパス事件

悪い方向に進むオリンパス事件と思う。先ずは、日経のニュース

日経 11月8日 オリンパス、90年代から損失隠し 買収資金で補填

これについてのオリンパスの発表

11月8日 オリンパス発表 過去の損失計上先送りに関するお知らせ

この中で、第三者委員会による調査の過程で判明したと書いてある。ところが、次のオリンパス発表では、

11月8日 オリンパス発表 第三者委員会の調査対象拡大及び人事異動のお知らせ

には、損失計上先送りに関わっていた森久志副社長の解職と山田秀雄常勤監査役の辞任の意向と書いてある。即ち、現任の副社長や監査役が関わっていた組織犯罪となる。それじゃ、第三者委員会の調査を待つまでもなく、判明していたことになる。第三者委員会による調査の過程で判明との言い逃れは、無理あると思う。

金額について答えていないが、1000億円を上回る気がする。何故なら、アルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボの3社で734億円を支払、ジャイラスの手数料は700億円なので、合計で1400億円を超える。そして、恐ろしいのは、未だ全額処理できていなかった場合。合計は幾らになるのだろう?

ところでそんな巨額をどのように粉飾したのか、これが興味の対象になる。日経記事には「含み損を抱えた運用資産を、複数のファンドに移すなど複雑な操作をして損失計上を回避」とあるが、ファンドに移しただけで損失回避が出来るわけではなく、時価評価や資金決済で、浮かんでくるはず。そして、最大の難関である監査法人の監査をどう誤魔化したのかである。金融商品で監査法人を誤魔化すことは難しいと思うし、山一事件以後は、監査法人も一番気にしたはずである。何故なら、監査が不十分であったら、監査法人と会計士が吹っ飛ぶのだから。

もし、この損失を生んだ証券投資に、証券会社が絡んでおり、その証券会社が、損失隠しに協力していたとするならば、こちらも大事件になる。

このオリンパス事件について株主からの民事訴訟は確実と思うが、刑事事件については、何人起訴されるのか、もしかしたら史上最大の人数になりそうな気がする。現在まで、ほぼ確定は、米国においてHajime SagawaとAkio Nakagawaなのだろうか。

それと、オリンパス事件の波及はどうなるのだろうか?同様な損失隠しが、他社でもあり得るとなれば、信用を失う日本の上場会社も多いかも知れない。それらの会社は、海外進出において、海外での資金調達が困難となる可能性あり。外人投資家の日本株売却は、日本の株式の更に安値低迷となる。この損失隠しが、日本の当時の会計基準や以後の改正と関係しているだろうか?現在、IFRSへの抵抗勢力が存在する。その人達の日本基準というかけ声は、一斉に色あせるだろうかと思う。

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2011年11月 2日 (水)

オリンパスは、謎が深まるばかり

謎が深まるばかりのオリンパスです。会社の所有者は、株主である。オリンパスは、上場会社であり、ここまで謎が深まれば、会社として明確な説明をせねばならず、さもなければ株主を欺して投資をさせたことになると思う。では、深まった謎とは、価値のない3社(アルティス、NEWS CHEF、ヒューマラボ)の株式を734億円の対価で購入し、その代金をケイマン島の会社に送金したことです。価値のないというのは、次のウォール・ストリート・ジャーナルの記事からです。

WSJ 11月1日 オリンパス買収の3社、当初休眠状態だった-信用調査などで判明

普通に考えれば、犯罪が関係していると思える。無価値の権利に734億円を払うのだから。

ところで、読売の次のニュースがある。

読売 10月31日 オリンパスの米大株主、詳細な情報開示要求

会社法371条により監査役設置会社は裁判所の許可を得て取締役会議事録の閲覧又は謄写の請求をすることができる。これだけ疑惑が大きい事件なので、裁判所は許可すると思う。そうすると、全株主も同じ権利を持つので、取締役会の議事録が読める。万一、無いとすれば、オリンパス取締役と監査役の責任は重大だし、納得できる内容が書かれていなければ、株主代表訴訟に確実につながると思う。そして、取締役・監査役の刑事責任は・・・?

なお、オリンパスの2011年3月期有価証券報告書には、サウスイースタン・アセット・マネジメントの株式保有について、2010年5月14日付大量保有報告書の変更報告書で19,406,997株(7.15%)の保有報告があるが、オリンパスでは実質所有株式数の確認ができていないと書かれている。

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