2009年12月25日 (金)

鳩山由紀夫首相偽装献金問題

偽装献金問題について、24日午後6時過ぎから、鳩山由紀夫首相の記者会見があり、次のMSN産経のWebにその詳報があります。

MSN産経 12月24日【鳩山会見詳報】(1)偽装献金「本当にまったく承知していなかった」(24日夕)

この問題は、よく考えないといけないような気がしました。このページの詳報には、次の記述があります。

母からの贈与として2002年にさかのぼって申告をして速やかに納税を行ってまいります。贈与税の対象となる資産は、総額で12億6000万円となるということでございますので、納税額は概算でも6億円を超えることになると聞いております。

鳩山由紀夫氏の母から8年間で12.6億円の資金提供があったことを、贈与税の支払いで済ませてよいのかな?払う必要があるのかな?と思いました。母も、政治活動をし、政治献金をすることができるのであり、政治資金規制法による寄附の総額の制限について考えないことにすると、贈与税の話ではないと思う。弟の鳩山邦夫氏にも資金提供していることを理由に、贈与とするのも、何か釈然としない。

ところで、政治資金規制法による寄附の総額の制限(個人:各年2千万円)は、何なのだろうか?選挙権がない、企業、団体に制限をつけるのは、判るものの、個人に制限をつけるべきなのだろうか?

12.6億円を何に使ったのでしょうか?かつて、自民党で派閥の領袖になるには、派閥所属議員に金を渡して、派閥の維持をせねばならず、政治には金がかかるとの話を聞いたことがあります。同じように、仲間にお金を渡さないと政治活動ができないのでしょうか?お金の使い方に関しては、このページの詳報に、五百蔵弁護士の発言として、個人の政治活動1億円、秘書などの給与が6000万円台、残りの政治活動が4千万円で、合計2億円強とあります。

コンサルタント業からすれば、政策研究を行い、その結果を実現するための広報活動が政治活動であるとの気がしますが。従って、コンサルタントやシンクタンクに調査・研究の依頼が増加する。そう、甘くはないかな。

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2009年12月23日 (水)

沖縄返還に関わる核密約文書を読む

故佐藤栄作首相(当時)がサインをした核持ち込みに関する「密約」文書を、次男で元通産相・運輸省・参議院・衆議院議員の佐藤信二氏(77)が保管されておられ、その文書を公表されました。

読売 12月23日 核密約公表「真実残すことが大事」…佐藤元通産相

佐藤信二氏の発言として「文書にはすでに政治的な意味はなく、公表によって現在の日米安保体制が大きな影響を受けることはないと思う。おやじがどう考えたかわからないが、歴史に真実を残すことが大事だと思う。」と読売の記事にありますが、本当にその通りだと思います。真実を残すことは、重要なことです。そこで、私も、自分の考えを書いてみます。

なお、サインされた文書の文面はDaily Yomiuri Online Dec. 23, 2009 Secret N-pact comes to light / Japan-U.S. accord was kept at ex-Prime Minister Sato's homeの記事の下の方にあり、その日本語訳は読売 12月22日 日米首脳「合意議事録」全文和訳にあります。また、このブログの最後の部分に、続きを読むをクリックすると、1969年11月21日の共同声明とともに文書が出てくるようにしました。

1) 有効性

佐藤首相と米ニクソン大統領がサインした本物であり、有効性に疑う余地はないのですが、日米の政府に義務を負わせているのかというと、そうではないと考えます。

文書の1ページ目に、”international obligations assumed by the United States”との言葉があるが、この文書で米国政府の義務が新たに発生しているのではなく、安保条約その他で決まっている義務であり、この文書で拡大も縮小もしていない。”the United States Government will require” とか、”would anticipate ”や”also requires ”が出てくるが、それに対して、どうのこうのは、1ページ目には書かれていません。”with prior consultation with the Government of Japan.”と書いてあることから、米国にとっては面倒くさくも事前協議をしなければならないことを認めたと読むべきなのでしょうか?あるいは、当然のことであり、特に義務が増えたわけではないとも言えます。

問題は、2ページ目の”The Government of Japan, -省略- will meet these requirements without delay when such prior consultation takes place.”という部分ですが、”shall”であれば、義務と私は解釈します。”will”となっており、尽力義務に近いと解釈します。読売の訳文は、「遅滞なくこれらの必要を満たすだろう。」となっています。

”prior consultation with the Government of Japan”ですから、日米政府が事前協議をするのであり、佐藤首相が承認する権限があったのかという点はいかがでしょうか?国会承認は不要でしょうか?緊急事態なら別との議論もありえるでしょうね。しかし、次の首相になっても有効でしょうか?佐藤首相は次の首相に引く継ぐ義務を持っていたでしょうか?自宅に、原本を持って帰ったことからして、私は、佐藤首相自身は、自分個人の義務として扱うつもりであったと考えます。

ニクソン大統領と佐藤首相の個人の間の覚え書きとして有効であるが、政府間の文書としては有効ではない。但し、書かれたことは精神的には引き継がれており、万一本当にそのようなことが生じれば、日本国民は支持するのではないかと思います。但し、「本当に」であり、世界情勢が変われば、全く異なるし、現時点において、そんな事態は全く予想されないと思います。

2) 普天間には核はなかった

Kadena, Naha, Henokoと書いてあり、この3カ所に米軍の核兵器貯蔵施設があったのです。”standby retention”と書いてあり、どこにでも核兵器を簡単に貯蔵するわけにはいかないのだと変な納得をします。そして”activation”ですから、実際に貯蔵するとなると、手入れをして使用可能な状態にしなければならないのです。

極めて当たり前の話ですが、保管するからには、絶対的とも言える安全性で保管し、盗難なんて絶対あってはならない。考えれば、核兵器を保有することは、莫大な経費を要することです。およそ使うことがないとまで言えないかも知れないが、使うことを望まない兵器です。オバマ大統領のプラハ演説も、防衛予算を下げたいと言う理由も、背景にはあると思います。

Nike Hercules(ナイキ・ヘラクレス)ですが、既に旧式であり、今はPatriotに置き換わっていると了解します。地対空ですが、地対地でも使え、核兵器搭載も可能であったようです。必ずしも、一定の場所で使うのではなく、移動して数日で使用開始できたようです。沖縄では、どこに基地があったのか調べていませんが、Nike Hercules用の多分核弾頭も保管されていたのでしょうね。

日米安保条約も60年安保、70年安保の時と今とでは、多くの人の受け止め方が違って来ている気がします。いずれにせよ、日米安保条約の柱の一つは、日本が米国の核の傘の下にいることだと思います。では、核の傘の下にいることは、核兵器の貯蔵庫を提供することに結びつくのか?そうではないでしょうが、完全にNOであるのか、当時の佐藤首相は、great emergency(読売訳文:重大な緊急事態)には、持ち込み可としました。今でも、沖縄に核兵器を貯蔵可能な施設が存在し、維持されているのか不明であり、今の軍事技術で日本や沖縄に核兵器をわざわざ重大な緊急事態と言えども、貯蔵する必要性があるのか、大いなる疑問があると思います。

核兵器が抑止力だとしたならば、原子力潜水艦から核ミサイルを発射できるようにし、発射後潜水艦が潜水すれば、相手は、その潜水艦を攻撃できないから、よっぽど抑止力になると思います。最も、潜水状態でミサイル発射できるでしょうね。陸地だったら、そこを反対攻撃されるから、あまり意味がないような気がします。

米国にBrookings InstitutionというNPOのシンクタンクがあり、そこのWebにBombs in the Backyardというのがあり、日本にある核兵器貯蔵場所として、嘉手納、三沢、横田が書いてあります。

本当は、どうなっているのか、分かっていません。核兵器が使用されない世界をつくる努力が一番重要だと思います。

3) 蛇足

日付が面白いと思いました。文書の表題には1969年11月21日とあり、最後のサインの部分には11月29日とあります。共同宣言には、11月19日,20日および21日にワシントンにおいて会談しと書いてあり、宣言文の日付は最終日である11月21日です。

文書は、3日間の会談の第1日目にサインされたのです。それまでの交渉で、ほとんど固まっていたから、始まったら直ぐにサインして良い状態だったのでしょうね。あるいは、こんな文書のことより、首相と大統領の間で直接会って話をしなければいけない重要事項・懸念事項がたくさんあったのかも知れません。

色々と思い浮かばせてくれる文書であり、歴史の資料は、種々のことを考えさせてくれます。

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2009年12月12日 (土)

普天間問題

迷走する米軍普天間基地移設問題ですが、それを代表するのが、次のような記事と思います。

日経 12月11日 普天間巡る日米合意、首相が修正検討

しかし、選択肢は、多くないはずです。書き進めます。

1) 伊波宜野湾市長の説明

伊波宜野湾市長が、11月26日、衆議院第二議員会館において、与党国会議員に対して説明を行ったとのことで、その内容がここにあります。

「沖縄駐留の米国海兵隊の主要な部隊が一体的にグアムへ移転する。普天間飛行場の海兵隊ヘリ部隊も含まれる。」との説明です。

要望は、普天間飛行場の早期解決であり、12月11日に政府宛に提出した要請文がここにあります。次のように書かれています。

新政権におかれましては、辺野古地区へ新たな代替施設の建設に固執することなく、多くの市民・県民が求める県外・国外移設への意思を汲み取り、普天間飛行場問題の解決に向けて沖縄からグアムへの海兵隊移転の検証を通して、普天間飛行場の危険性除去と早期の閉鎖・返還の実現にむけて取り組むことを切望いたします。新政権におかれましては、辺野古地区へ新たな代替施設の建設に固執することなく、多くの市民・県民が求める県外・国外移設への意思を汲み取り、普天間飛行場問題の解決に向けて沖縄からグアムへの海兵隊移転の検証を通して、普天間飛行場の危険性除去と早期の閉鎖・返還の実現にむけて取り組むことを切望いたします。

2) 沖縄駐留の米国海兵隊のグアム移転

11月26日の宜野湾市長説明の最後に、グアム移転に関する環境影響評価書ドラフトが紹介されています。この環境影響評価書は11月21日に発表されたばかりで、ここから全てDownloadできます。環境影響評価書についての最初の公聴会が1月7日Southern High School, Guamで開催され、Guamで4回、Tinianで1回、Saipanで1回の合計6回が1月15日までの間に開催されます。

環境影響評価書を作成したのは、米国国防省Joint Guam Program Officeであり、この組織は、2006年8月25日に作られました。ホームページはここです。

Joint Guam Program Officeの目的は、2005年10月29日で日米間で合意された「同盟:未来のための変革と再編」(U.S.-Japan Alliance:Transformation and Realignment for the Future)に基づく海兵隊グアム移転の実施のためです。2005年10月29日の合意文書は外務省Webのここ仮訳)にあります。

海兵隊のグアム移転とは、他のコンポーネントも含め以下です。

・ 8,600人の海兵隊員とその家族9,000人のグアム移転と、北マリアナTenian島における訓練所の設置

・ 原子力空母のグアム基地建設

・ ミサイル防衛システムの訓練所の設置(600人の隊員と家族900人)

宜野湾市長が言うように、8,600人がグアムに移動することから、沖縄には実質海兵隊は残らないと思います。

3) グアム移転等の詳細を取り決めたロードマップ

日米間で、2006年5月1日に「再編実施のための日米のロードマップ」(United States-Japan Roadmap for Realignment Implementation)が調印されています。文書は、ここ仮訳)にあります。

8,600人の海兵隊員とその家族9,000人のグアム移転については、次のように書いてあります。

約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員と、その家族約9000名は、部隊の一体性を維持するような形で2014年までに沖縄からグアムに移転する。移転する部隊は、第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部を含む。

「第3海兵機動展開部隊の指揮部隊、第3海兵師団司令部、第3海兵後方群(戦務支援群から改称)司令部、第1海兵航空団司令部及び第12海兵連隊司令部」がグアムに移転することから、辺野古に残る部隊は、何なの?と思います。

2014年までに海兵隊のほとんどが沖縄からグアムに移転することが、3年以上前に決まっていると思います。

政府は、説明すべきです。と同時に、このことをほとんど報道しないマスコミも責任があると思います。マスコミ報道は、普天間から辺野古に移転するように伝えていると感じます。真実を報道しないマスコミは悪いと思います。能力がないことは、理由にならない。「再編実施のための日米のロードマップ」は、密約ではありません。正式な合意文書として、外務省と防衛省が発表している文書です。

4) 在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定

もう一つ重要な日米協定があります。2009年2月17日付けの「在沖縄海兵隊のグアム移転に係る協定」です。日本文も正文であり、外務省Webのここにあります。正式な名称は「第三海兵機動展開部隊の要員及びその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」です。

注目点は、以下のような部分です。

・ 「再編実施のための日米のロードマップ」の再確認

・ 第三海兵機動展開部隊の要員約8000人及びその家族約9000人の2014年までの沖縄からグアムへの移転および嘉手納飛行場以南の施設及び区域の統合並びに土地の返還

・ KC130機部隊の沖縄から岩国飛行場へ移駐

・ 費用見積額102億7千万ドルのうち60億9千万ドルを日本政府が負担する。

・ ロードマップは、その全体が一括の再編案と想定する。(英文では、Recallingとなっています。)

そして、最も着目すべきは、次の9条2項と考えます。即ち、代替施設の完成と書いてあるが、ロードマップに記載されているのは辺野古V字型1600m滑走路2本の案です。

第二条に規定する合衆国の措置は、(1) 移転のための資金が利用可能であること、(2) ロードマップに記載された普天間飛行場の代替施設の完成に向けての日本国政府による具体的な進展があること及び(3) ロードマップに記載された日本国の資金面での貢献があることを条件とする。

この協定は、国会承認の後の公文の交換により効力を生じる(11条)となっています。5月13日に国会承認がなされ(5月11日外務省発表)、7月11日に公文が交換されました。(外務省発表7月11日)(交換公文はここ

但し、複雑なのは、ねじれ国会であったため、5月11日の参議院で承認されず、同日の両院協議会で意見の一致はなく、結果として衆議院の議決が国会の議決となったのです。

5) 今後

米国と行った公文の交換は有効です。これを無視すれば、逆に米国が無視した時に、何も言えず、世界の中での日本の信頼性も失うし、外交により平和を維持し、発展を計る日本の理念すら通用しなくなるでしょう。7月11日の交換公文は、麻生内閣崩壊直前ですが、米国に対しては、「それを言っちゃあ、おしまいだ。」であります。

自公議員は勿論、民主党、社民党、共産党の議員をも、全て知っているのです。その上で、どうしようというのか?上に掲げた文書を読んでの可能性は、辺野古40m滑走路案で2014年移転を進めることではないかと思います。勿論、米国側が40m滑走路案で受けてくれることが前提ですが、そもそも主力はグアムに移転するし、普通の飛行機は岩国に移転する。沖縄に海兵隊は基本的に残らないはずであり、そもそも、V字型1600m滑走路2本なんて日本が出した提案ですから。40m滑走路案の詳細については、11月17日のエントリーの下の方をコメントを含めて読んでください。

民主党の人達が、40m滑走路案で収めようと、煙幕を張り巡らせているのか、不透明です。

いずれにせよ、重要なことは、2014年ではなく、沖縄の基地の位置づけです。例えば、再編実施のための日米のロードマップには、「キャンプ・ハンセンは、陸上自衛隊の訓練に使用される。」とあり、米軍が出たあと自衛隊は、どのように使うのか?米軍はダメだが、自衛隊はOKなのか?沖縄の基地、防衛、アジアの安全、世界平和について、どのような展望を持つのか議論をする必要があると考えます。遠い、将来は不明でも、5年先-10年先の計画はあって当然であると思います。防衛庁を防衛省にしたのに、防衛計画がないのは、三等国家と思えます。もしかして、存在するのに、国民に伏せているとしたなら、四等国家ではなく、戦前の国民不在の軍部独走となんら変わらないと思います。

民主党さん、やるべきことは、内輪もめではなく、国民に防衛に関する情報を適切に開示することと考えます。

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2009年11月26日 (木)

鳩山政権の温暖化ガス25%削減政策

「新しい日本政府は、温室効果ガスの削減目標として、1990年比で言えば2020年までに25%削減を目指すという非常に高い目標を掲げました。」との鳩山総理の発言は、9月24日第64回国連総会における鳩山総理大臣一般討論演説 であり、その演説全文は、この首相官邸のWeb Pageにあります。

25%削減は1990年比です。1990年の日本の温暖化ガス(GHG)の排出量基準値は1,261百万トンであったので、これを946百万トンにすることを目指すことになります。なお、環境省が発表した2008年度のGHG排出量速報値は1,286百万トンです。

1) 実績

環境省の数字を見ても、1990年以前の数字が見あたりません。そこで、化石燃料である石油製品、LPG、LNG、石炭の消費量から、CO2排出量を計算しました。実は、GHGには、CO2以外にメタンガスやフロンガスその他が含まれます。計算したのは、エネルギー起源のGHG(CO2)になるので、エネルギー起源CO2について、1980年からの実績をグラフにしました。基準となるのは、1990年のエネルギー起源CO2排出量1,059百万トンとその25%減の794百万トンです。

Co2since1980

棒グラフがエネルギー起源のCO2排出量です。赤の線が、1990年の25%減である794百万トンです。1983年が一番少なかったのですが、それでも854百万トンでした。2020年とは、あと10年強ですから、過去に戻るとすると1998年頃の数字になるのでしょうか。

上のグラフで、緑で書いた線が2000年を基準とした実質GDPです。1980年から1983年頃は、GDPは増加(成長)していたが、CO2排出量は減少していたことが分かります。そこで、GDP1円を生み出すのに、何グラムのCO2を排出していたかをグラフに書いてみました。

Co2gdpsince1980_2

省エネが進んだと言えるし、エネルギー多消費型産業からエネルギー小消費型産業に移ったとも言えます。いずれにせよ、今のGDPを実質的に維持するとして、2008年のエネルギー起源CO2排出量1,138百万とを794百万トンにするのですから、30%削減することであり、1.458CO2グラム/GDP円にしなければなりません。上のグラフで見て、1.5を切るのは、相当の努力が必要と思えます。

2) 調査・分析・検討

朝日新聞が次の報道をしていました。

温室ガス25%削減影響、「民主応援する人」で再試算

以前から政府の審議会とやらが沢山あり、その人選は全て政府が行っており、基本的には、与党の政策の影響を受けた報告書が出てきたりしていると感じがあります。それからすると、似たようなものだろうと思います。伊東乾氏は、NB Online 11月25日 オバマ核軍縮ビジネスモデルと原発産業(その1)に、ずばり「政府側の要請で、都合のよい数値を並べる「御用学者」というもののケーススタディーをたくさん目にしてきました。」と書いておられました。

私の要求は、報告書を例え何百ページ、何千ページであれ、全て公開することです。使用した手法、データ、数式等がないと議論にならず、フィードバックも不可能です。

3) 環境省の地球温暖化対策税の家計負担

私は、11月22日の環境税(地球温暖化対策税)で、1世帯あたりの税負担は年間2万円程度と書いたのですが、環境省は1,127円と計算しています。余りにも、差が大きいのです。

環境省の計算は、車を保有し、ガソリン代に含まれるガソリン暫定税が節約できると計算しています。私の計算は、1兆6選700億円の税を徴収するのであるから、1人あたりにすると1万3千円強となります。4人家族であれば、5万円の負担です。企業の負担に一旦はなる部分があるので、直ちに家計の支出に響いてはこないかも知れません。しかし、いずれは製品や商品の販売価格の上昇になるのであり、巡り巡って家計負担にも影響が出てきます。

環境省は、1,127円の計算根拠を示していたので、この計算は誤っていると思いました。一方、税が有効に使われて、生活が良くなることも期待できるので、税の全額が負担となるわけではありません。それからすると、ガソリン大量消費者に恩恵が行く変な税改定案であることには間違いはないと思います。

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2009年11月22日 (日)

環境税(地球温暖化対策税)

次のニュースがあり、環境税については、その少し前の11日のニュースを掲げます。

日経 11月21日 国家戦略室、暫定税率見直しで協議 環境税も検討に着手

日経 9月11日 環境税導入なら年1121円負担増 環境省案で家計試算

環境省の税制案は、次のWebからダウンロードできます。(平成22年度税制改正となっている方です。)

環境省の環境税の具体案

平成22年度税制改正には、地球温暖化対策税のみが書いてあり、実質は二酸化炭素税(CO2Tax)です。

1) 環境税の税率

環境省の税案の1ページ目に書いてあり、次が税率です。

1

なお、石炭は炭種により熱量が大きく変動するのですが、25.8MJ/kgは6500kCal/kgに相当する熱量が高い高品質の石炭です。

2) ガソリン税暫定税率

ガソリン及び軽油の税率と私の計算した税額は次の通りです。

200911_2

ガソリン税と軽油取引税を合計すると、4兆円を超える金額となり、暫定税率がその半分の2兆円ですから、暫定税率をなくすと影響が非常に大きいことが分かります。なお、上の日経の記事は、「暫定税率を廃止すれば、年間約2兆5000億円の税収減」としていますが、その理由は、自動車重量税が1兆7000億円あり、このなかに暫定税率による税額が約5000億円含まれているからです。

いずれにせよ2兆5千億円は、平成21年度当初予算の税収46兆円と比べて、その5%以上になる巨額です。この税収がなくなるとどうなるかと言えば、将来の世代に負担を押しつけることとなります。

3) 環境税導入とガソリン暫定税の廃止

ガソリンの地方揮発油税は地方自治体の財源になるので、揮発油税のみを考えると17,320円の増税と24,300円の税廃止であるから、6,980円税が少なくなる。但し、原油段階の環境税が適用されるから、総合では税引き下げ額5,916円である。政府財政の観点では、57百万kl相当の3372億円税収が減少することとなる。

環境税は、石油化学の原料となるナフサ、製鉄用に使用する石炭、セメント焼成に使用する石炭、漁船用と農業用のA重油を除いて、全ての化石燃料に課税されることとなる。その結果は、次の表の通り。

200911a

約1兆円の地球温暖化対策税を徴収して、ガソリンに3300億円補助する。結果としては、6700億円の増税であり、輸入時とガソリン出荷時に課せられる間接税であることから物価が上昇し、国民負担が増加する。

4) 国民負担額

6700億円が輸出品に転嫁される部分もあり全額が国民負担となるわけではない。しかし、車に乗らない人にとっては、実はガソリンへの補助金3300億円も負担するのであるから、一人あたり年間6,000円、一世帯あたり2万円というような額の負担になると思う。

家計支出の直接的な部分のみを考えると;

A) 灯油: 18リットルで50円値上がり。従い、年間700円以上と思う。

B) 電気料金: 1kWhあたり40銭程度の値上がり。従い、年間4,000kWh消費している家庭で1,600円。

C) ガス: 1m3あたり1.32円程度の値上がり。従い、年間500m3消費している家庭で660円程度。

以上合計で、2,960円。鉄、プラスチック、セメントが値上がりしなくとも、それ以外は全て税負担増となるのであり、例えば電力を1kWhにつき10円で購入している大工場があるとすれば、電力コストは4%上昇する。当然、製品に波及すると考えるべき。

増税となっても、税が有効に使われ、低炭素社会に向かうのであればよいが、実際にはガソリンの値下げに使われ、しかもCO2増加に向かう。せめて、ガソリンに対する地球温暖化対策税を暫定税率と同じ24,300円とするか、あるいはヨーロッパ諸国に少しでも近づけるべく例えば30,000円とすれば、どうだろうかと思う。

エコカー減税をしても、その財源は国民全員が負担しているのである。本来であれば、燃費の悪い車に負担をさせるべきである。その方法は、ガソリン税の税率を上げることにある。

5) 石油石炭税のナフサ免税

石油石炭税のナフサに対する免税(租税特別措置法90の4)と税還付(租税特別措置法90の5)の適用期限が2010年3月31日までです。ガソリンは、租税特別措置法で特別扱いしているので、本来の姿に戻すとして25,100円/kl税金を低くなり、同じ思想で本来の姿に戻すなら、ナフサからも2,410円/klの石油石炭税の免税・税還付を中止することとなります。それに対して、石油化学工業各社は、当然引き続きの免税・税還付適用を求めています。

毎日 11月20日 石油化学工業協会:ナフサ非課税継続求め緊急決議

石油化学工業協会 2009年11月19日 緊急決議

2008年は国産と輸入合計で約4,400万Klのナフサを原料としているので、約1,000億円の免税・税還付額です。環境税で免税とし、一方で租税特別措置の撤廃を唱えているから変な現象が生じるかも知れないという笑い話です。

それにしても、石油石炭税とは変な税金なのです。税率からしても原油・石油製品2,410円/kl、ガス1,810/トン、石炭700/トンですから。地球温暖化対策税に統一して合理化すべきです。

税を大きくいじろうとすると種々問題は出てくるのですが、政権のためではない、国民のための税制を作って欲しいと思います。

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2009年11月21日 (土)

事業仕分けの評価

事業仕分けについて、様々な人が色々なことを言っており、その評価について、混乱を招きかねず、私の現在思っていることを書いてみます。

1) 情報公開・情報開示

11月11日の事業仕分けへのお誘いに書き、11月12日の事業仕分け見学報告で私が感じたことを書きましたが、公開されていなかった議論が、一般の人に公開されたことは、有意義であると考えます。

従来のような結論のみの発表では意味がなく、賛否両論を聞くことができ、それぞれの背景に関する情報も得られる。結果、我々も判断が可能となる。行政刷新会議事務局のホームページ資料集から、資料のダウンロードができます。ワーキンググループライブ中継サイトもあるので、インターネット中継を見ることもできます。

ネットの時代であり、政府の公開すべき会議は、このように公開されることが、望ましいと思います。

2) ワーキンググループは結論を出していない

マスコミでは、ワーキンググループの結論と伝えられているが、資料集における表現は「評価コメント」となっています。従い、評価コメントを受けて、要求元である府省が、それに対する反論をすべきと考えます。当然、反論も公開されるべきです。

「専門家でない人達が誤った判断をしている可能性がある。」との批判を耳にします。その可能性はあり得る。しかし、そうであれば、データーを示し、反論する義務が要求元の府省にあります。公務員は誰の為に働くかです。役人として、正しいことを伝えるのは当然の義務です。

結果を受けて、結論を出すのは、国民です。自らの意見を主張すべきと思うし、最終的には与党の意見が一番反映されるのでしょうが、それが間違っていると思えば、次の選挙で正しい人を選ぶことと思います。

3) 例として農道整備事業

項目は11月11日第1会場の4番目です。資料は午後の部(1)と(2)にまたがっています。内容は、都道府県に対する国庫補助率50%の農道整備補助金であり、地域の農業振興計画のもとに支出され、平成22年度概算要求額168.7億円です。

資料やワーキンググループのコメントも参考にして私の意見を述べると次の通りです。

A) 農業振興政策
農業に対して政府が必要な援助をすることに賛成します。その項目には、農道整備以外に用排水施設整備、防災保全等もあり、農業政策という大きな単位で考えないと、個々の予算で議論をすると誤る恐れがある。農水省は、全体の説明をすべきである。都道府県に委ねる部分も多いと思うが、その方針と現状についても説明すべきである。

B) 地方道計画との整合性
資料によれば、平成元年度から平成18年度までに完成した国庫補助支出農道のうち57.2%(広域農道については63.5%)が一般の市町村道に転換されています。それじゃ、初めから市町村道として建設し、維持すべき道路の方が多く、国庫補助金でも国交省から出すべきが農水省から支出されているという管理不可能状態になっていると考えられます。

C) 効果算定
資料に会計検査院指摘の事業効果算定不適切や調査不十分な事業計画が書かれている。農水省の説明は、私には、博報堂や電通の説明みたいに絵や写真があり、数字なしのごまかしに思えます。役人は、数字に基づく計画や評価をすべきです。実施後計画通りになっていなくとも、結果報告もすべきです。国民の税金を支出する以上は、正しい報告をして、その結果による国民の意見も反映すべきです。

D) 結論
上のようなことがあり、ワーキンググループとして単純には承認できなかったはずです。結論は廃止ですが、コメントには「一般道と一緒に自治体に委ねるべき。」ともあり、根本から出直すのが正しいと思います。勿論、それで、平成21年度において支障が出ないかどうかについて、農水省は検討を行い、支障を生じてはならず平成21年度についての暫定措置が提案されても当然と思います。

4) マスコミ報道

マスコミ報道は、騒ぎ立てているのみに思えます。公開魔女狩りだとの批判を言う人の言葉を報道しても良いのですが、ワーキンググループとして参加された方々のコメントも正確に伝える必要があります。

11月21日8:30からの NHK週刊ニュースは、岡山県玉野市で学校の前の橋が農道であり、農道補助金予算が削られると学校が困ると報道していました。これって、徹底的におかしい気がします。農地でないのに、何故農業補助金で整備するのか?今でも、何故農道なのか?NHKとは、本質を掘り下げられない人達ばかりなのだと思いました。

その次に9:00から 経済ワイドビジョンeというのがありました。こちらは、仕分け人として参加された方の出演もあり、少しはましでした。しかし、山口県の例として建設中の農道工事が中断され、その結果、国道の予備道路としての機能を果たせず困ると報道していました。国道の予備道路であれば、農道ではなく、地方道というのが私の整理です。

予算があれば、その予算名目での使い道を考える。金に色はついていない。「誤魔化した者勝ち」 が、まかり通っていた部分がある。それをワーキンググループが指摘したと思います。そのことを認識すべきです。もしかしたら、NHKも実は婉曲的方法で玉野の農道と山口県の農道について報道したのかも知れませんね。

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2009年11月12日 (木)

事業仕分け見学報告

柔道整復師に関する金額について間違いがあることの指摘を受け、修正しました。
正しくは、「年間927億円」→「約3000億円」であり、「税金から245億円」→「税金から927億円」です。245億円は地方自治体の負担金額でした。結果、税金と地方自治体を合計すると柔道整復師に1172億円が支払われています。

時間を都合して、事業仕分けを、少しだけ覗いてきました。短い時間の見学でしたが、以下報告をいたします。

Photo

1) グランドデザインのない支出は不必要の判断に

配布資料は、行政刷新会議事務局のホームページからたどっていくと、Downloadすることができます。ピックアップされた支出や事業なので当然かも知れませんが、一部の団体が、族議員を利用して、府省庁に要請をして、継続されている事業が、やり玉にあがっています。例えば、農林水産省の農道整備事業。地方道路の基本プランと政府農業支援政策基本構想があって、その上で、農道整備があるはず。あるいは、都道府県に農業振興政策を委ね、都道府県毎の農林関係事業交付金として一括公布とし、各都道府県と総額の交渉をした方が、よっぽでスッキリします。聞き取りにくい部分はありましたが、担当府省の説明は、明確ではありませんでした。

医療費が大変だと言われる中で、医療費総額の増加よりも、伸びているのが、柔道整復師に支払う金額。柔道整復師は医師ではないので、医療行為はできないが、応急手当のように健康保険が認められる場合もある。ところが、実績では国民医療費の0.99%が柔道整復師に支払われており、平成22年度は年間927約3000億円と推定される。このうち、税金から245927億円で、更に国保の市町村負担245億円が加わり、当然健康保険料にも反映されている。制度の問題であり、予算を減額しても、意味がない。MSN産経ニュース 2009年6月22日 療養費不正受給など横行で柔道整復師の処分急増 大阪 のようなトンデモないケースは不正取り締まりの問題であるから別にして、接骨院・整骨院では、X線検査やCTあるいは血液検査等は禁止されており、できないので、医療のカテゴリーに入るのか、医療保険の適用はどうすべきかの見直しは必要と考える。その上で、総額の支出を抑えるのか、必要な医療サービスの確保にあてるのかの問題と思う。

事業仕分けが報道されている3兆円の予算削減にならなくても、各府省が基本構想やグランドデザインを抜きにして要求している予算とその事業については、見直しの方向に向かうのは当然として、各府省が協力して付け焼き刃ではない基本構想・グランドデザインを作っていくよう動くよう、行政刷新会議は頑張って欲しいと思う。

2) 不満

やはりマスコミでした。昔から、TV局等のカメラが乱立するのが気になるが、やむを得ない面があるので仕方ないとします。不満は報道関係者の中でも、記者です。実名を出すこととしますが、NHKという腕章を付けた記者が、同じNHKの記者と長々と声を出しながら話をしているのです。モラル最低のNHKであります。

報道関係者は多く、しかも一般の傍聴者よりよく動き回ります。報道の仕事故やむを得ないと思いますが、モラルだけは持っていて欲しい。会議において、頑張っている枝野氏や蓮舫氏の発言はよく聞き取れるのですが、府省の説明者の言葉は、聞くのが大変なのです。そこを、会議の内容を追いかけているとは思えない報道記者が自分の会社の人間と会議場で打ち合わせをしている。せめて、会議場から外へ出て、自社の打ち合わせをするぐらいのモラルを持ち合わせていないのかと頭に来ました。

料金を払いたくないNHKです。放送法の改正で、強制有料放送を廃止し、一般有料放送にすべきです。カメラマンは黙々と良い絵を撮るために仕事をする人達だと思っていましたが、NHKはカメラマンもそうではないようでした。報道関係者は、腕章をするか胸に氏名票を付けているので、すぐにわかるのですが、この始末でした。

一般の傍聴者の方は、黙って行儀良く聞いておられたので、対照的でした。

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2009年11月11日 (水)

事業仕分けへのお誘い

行政刷新会議の事業仕分けが、11月11日より始まります。

日経 11月9日 事業仕分け、診療報酬など220件447事業 11日から公開協議

事業仕分けのよいのは、公開であり、登録不要で入退室自由。セキュリティチェックのための本人確認用の身分証明書をもって開場に行けばよい。座席数は300名程度なので、立ち見となる可能性や入場制限になることもあり得るがやむを得ないと思います。

事業仕分けに関する内閣府行政刷新会議事務局の案内は、ここにあります。

どうですか、どのようなものか、少し見物に行ってみようかなとの気にもなりますね。場所は、国立印刷局市ヶ谷センターです。

少しは、政府予算と税金が、より身近に感じられるようになるかも知れません。

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2009年11月 5日 (木)

日本航空の問題は経営にあり

日本航空の問題は、解決に向かっているのではなく、悪化が深刻化しているように思えます。

日経 11月5日 日航対策本部、来週に方向性 年金減額は「国民目線で」

読売 11月4日 日航の格付け、2段階引き下げ…S&P

1) 日本航空は営利会社

営利会社と言うと、マイナスのイメージを持つ人がおられるかも知れないが、市場競争による合理的なコストで仕入れを行い、市場競争により合理的な料金でサービスを提供する会社です。競争原理が、制度や技術の革新・改革を生み出し、更に人々や社会・産業を豊かにします。そのような良い循環サイクルを期待します。

しかし、分野によっては、営利事業とせず政府事業が、望ましい分野もあります。例えば、上水道、下水道もそうでしょうし、道路建設もそうでしょう。その点、航空輸送事業は、私は営利事業であるべきと考えます。新機種の航空機が、常にでてきます。必ずしも、新しいのがよいとは断言できません。例えば、ボーイング737なんて、40年も前の1968年にルフトハンザが初めて就航させました。少しずつ改良も加わり、最新機はB737-900ERですが、B737の累計受注は8000機を超えています。その会社に一番適した航空機を就航させることが大事な営業戦略です。その会社の客層、運行している路線、メンテナンス体制、資金調達・・・様々あります。それらを総合して、その会社に一番適した航空機の機種を選定するのです。蛇足ですが、かつて、中国の国内線で、B777に乗ったことがあります。多分、私にとって、その時が初めてのB777であったと思います。当時は、JASが広州に飛ばしていた頃です。中国は、これから、すごい国になるだろうなと、実感したことを覚えています。

日航対策本部のニュースを読むと、営利会社の経営に疎いと思われる政治家が、不必要な手を出して、混乱を拡大しているような気がします。日本郵政も郵貯と簡保について、民営化の視点が必要だと思いますが、日本航空は純粋に営利会社としての経営が必要であり、求められているのは、経営改革を実行できる経営者です。

2) 労務問題

日本航空の重要な資産の一つは、人です。安全運行は、計器が担っているのではなく、計器は補助であり、根本は人です。人がいなくなったら、もぬけの空です。そんな重要な人でありながら、日本航空の経営は、なっていなかったと思います。次のニュースが、そうです。読売と朝日で、内容が少し違い、どちらがより正確か分かりませんので、両方を掲げます。

読売 11月4日 旧JAS系乗務員に不利な扱い…経営統合時
朝日 11月5日 客室乗務員の職級、組合で差別 JALに改善命令

楽しく働ける職場を作ることが、企業の重要な経営事項の一つです。日本航空には、残念ながら、それを感じさせない所があるように思えます。対立状態となった組合との関係を解決するのは、容易ではないでしょうが、話し合って解決に努めないと、どうしようもないはずです。企業年金を切り捨てて、組合問題を解決しないなら、根本問題を解決しないだけではなく、更に傷口を深くする可能性もあると思います。JR尼崎事故ではないが、日勤作業による意欲喪失・不安により事故なんてバカな事態は避けたいし、人材の海外流出も悲しいことです。

労務問題も含め、営利企業の経営者として、解決能力のある人を経営者に就任してもらうことが、現在の日本航空の最優先課題だと思います。

3) 厳しい格付け引き下げ

航空輸送事業は、固定資産の額が大きい、設備産業です。日本航空は、第2四半期の発表を行っていないので、2009年3月期で全日空と比較すると次の通りです。

Jal2009114

参考として、トヨタを右端に掲げましたが、航空輸送会社は売上高に対して固定資産が非常に大きいことが分かります。航空輸送会社にとって、長期資金を低利で調達することが、極めて重要なのです。長期資金を低利で調達するには、高い企業格付けを保有していることが一番です。

S&P2段階引き下げの理由は、現状の混乱のみならず、将来についても暗いと見ている結果と思います。企業格付けについては、現在の経営数字よりも、将来の企業見通しの方が、物をいう世界であるとも言えます。日本航空の経営者には、将来の数字(単なる利益の額のみではありません。)と、その根拠を示せる経営者が必要なのです。

4) 政府援助

政府援助としては、経営の合理化を助けることです。国内不採算路線の減便や、どうしても不採算路線が必要であれば、継続のための補助金でしょう。航空機燃料税というのがあります。1キロリットルにつき26,000円です。軽油取引税が、暫定税率で1キロリットルにつき32,100円です。(暫定をなくすと、15,000円)国際線には、他の国の飛行機会社と競争があるので、非課税ですが、道路を使わない航空機に対して、これ何?です。飛行場に支払う離着陸料は別途払うのです。

航空機燃料税は、全日空も負担しているから、競争原理としては、ブレークイーブンです。しかし、不採算地方空港を支えるために、この税金は使われています。平成21年度の航空機燃料税の税収見込みは予算では、1,052億円です。政府は援助をするのではなく、足を引っ張っている部分があるように思えます。不合理だと感じませんか?日本航空の問題は、解決に向かわせているのではなく、悪化が深刻化する方向に向かわせていないか、原点に戻って考えるべきと思います。

民主党政権は、これまでの自公政権の不合理さを改善しようと選挙民が選んだと思います。ところが、民主党政権は、政権を取ると、不合理を解決するのではなく、さらに拡大する方向に進んでいるように感じます。

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2009年11月 1日 (日)

日本航空への政府介入に反対する

民主党無茶苦茶政権は、庶民の敵でしかないのかなと思います。

日経 10月30日 「日航再建対策本部」を設置 国交相が本部長、年金減額など検討 
日経 10月31日 日航の企業年金減額「特別立法も選択肢」 厚労政務官

1) 恐ろしい懸念

この行き先に何があるかと言えば、将来法律によって、企業年金、共済年金、厚生年金、国民年金が減額されてしまう恐れです。高齢化社会、低金利、減税の先にあるものは、年金支給額の減額です。国会議員を選ぶのは国民ですから、国会議員が法をつくれば、何でもできるという社会は望ましい社会でしょうか?

日本航空の企業年金問題は当事者間で話し合って決めるべきものです。もし、話し合いがつかないなら、会社更生法や民事再生法を使えばよいのです。会社更生法は、会社を更正する法であり、倒産させる法ではありませんから。会社更生法の申請をしても、飛行機は飛ぶのに、倒産させないと啖呵を切って無茶苦茶にする。そんなことが許されてよいのかな?

法では、「XXXの場合は、企業退職給付債務の減額となる。」と言うような条文を入れたら、そんな適用を考える企業が次々と現れるかも知れません。一方、「子会社を含む日本航空の・・・・・」と言うような法をつくれば、企業と個人の間の債権・債務を法が変更することとなり、個人の権利を国家が介入することになり、自由な市場取引を後出しで無理矢理介入する。私にとっては、憲法違反になるような恐ろしい法に思えます。

2) 日本航空の赤字

今は、多くの航空会社が赤字です。全日空はここに第2四半期の決算短信を発表しましたが、税引前損失414億円で、繰延税金資産を積み立てて法人税等を利益として計上し、赤字幅を税引後損失253億円に圧縮しています。

日経 10月14日 日航債務3000億円免除 再生チーム素案、債務超過と判断 なんて報道もありましたが、チーム前原とは何でしょう?私の7月3日のブログに書いたように、2009年3月末時点で日本航空の純資産額は1967億円で、退職給付債務に係わる未認識数理計算上の差異が2561億円あり、これらを合算すれば債務超過です。しかし、新日本が監査をした財務諸表を間違いだと言えるほど私は偉くありません。今でも、新日本を信じています。

退職給付債務8009億円に対して未認識数理計算上の差異2561億円は、確かに大きいのです。しかし、今の世では、多くの企業がそうなっています。ちなみに、トヨタ、ホンダ、日産(2009年3月末)は次の通りです。

日本航空 トヨタ ホンダ 日産
退職給付債務 8009億円 1兆6327億円 1兆4259億円 1兆0871億円
未認識数理計算上の差異 2561億円 4970億円 6438億円 2162億円

純資産額 (トヨタ、ホンダは
その他包括利益を除く)

1967億円 11兆1689億円 5兆3301億円 2兆9260億円

日本航空が8009億円の債務に対して、2561億円の差異ですから、トヨタ、ホンダの比率とほとんど変わりません。純資産額は、参考としての記載で、日本航空に問題なしとは言えないのですが、これ位の会社は多いと思います。トヨタ、ホンダについては、財務諸表が米国基準であるため、私がこれと思う数字にしています。

3) 日本航空の企業年金

企業年金制度は、個別の企業により様々であり、日本航空の企業年金についての詳細は知りませんが、①勤務期間中に労使折半で掛け金を払っていた年金の給付と②退職一時金を有期年金または終身年金として選択した場合の年金給付と聞きます。即ち、退職一時金を受領せずに全額年金とした人にとっては、自分が拠出した掛け金による年金の方が多くなります。

会社にとっては、資金を飛行機の購入に回せるし、従業員にとっては、4%-5%のような利率で確実に運用して年金を受領できる制度であり、日本航空の倒産リスクを無視すれば、年金は賢い選択です。

具体的な金額は、私も分かっていませんが、一方的にJALの企業年金は高すぎるからと叫んで同調するのは、危険な面があることを認識すべきです。

4) マスコミ報道

いつも嫌になるのがマスコミ報道です。どこのマスコミかが、「JALは倒産しても年金債権は労働債権であるから、保護されて優先的に支払われる。特別法で減額しないと、JAL退職者は高額の年金を継続して受領する。」といったような報道をしていた気がします。

企業年金債権も労働債権です。しかし、全額が優先して保護されるとまで言い切れないと思うし、一時金とするか年金とするかの選択をするのであれば、年金でも社内預金と近くなるのではないか。社内預金の場合は、一般債権として扱われてしまう。

多くの担保債権者も存在するはずで、日本航空の年金受領者を特権者であるかのような報道をしてよいのだろうかと思いました。

5) 日本航空の利権

最後まで、経営者のいない会社だったかも知れない。本来は、再建策を作成して、それを実行するのが、経営者であるが、株主でもない政府に振り回されていた。日本航空は1953年の日本航空株式会社法により政府と民間出資の株式会社となり、この法律の1987年廃止まで、政府の影響下にあった。政府イコール官僚とそれを操る自民政治家のスタイルであり、経営者不存在の会社であった。

どこに飛行機を飛ばすかは、会社が決めるのではなく、政府が締結する航空協定の相手国にナショナルフラッグとして飛んでいく。経営者が当事者能力を持っていないから、不合理な労務管理に走り、結果として多数の労働組合が結成される。日本航空は航空機購入のクレジットメモを利用して利益の前倒しをしていたとの報道があったように思います。実は、それ以前には、リベートと称した現金値引きを利益に計上し、飛行機の方は取得原価の減額をせずに計上すると言うような会計処理をしていたと思います。でも、他の会社もやっていたように思いますが。

不採算国内路線を押しつけられ、高い離着陸料を払わされ、政治家達から好きなようにされていますが、極めつけは、旧JASを統合して救済する役目を押しつけられ、日本国内に幾ら多くの不採算飛行場を建設しても、大丈夫なようにさせられたことではと思います。

政治家が巧妙だったと言えるかも知れないし、日本航空経営者が無能力であったと言えるかも知れないし。余りいい気分はしません。でも、民主党が爪を伸ばすとまでは、私も思っていませんでした。

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